JP2021127254A - 粒子材料及びその製造方法、誘電体材料、スラリー組成物及び樹脂組成物 - Google Patents

粒子材料及びその製造方法、誘電体材料、スラリー組成物及び樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】サブミクロンからミクロンオーダーの二酸化チタンからなる粒子材料を提供することを解決すべき課題とする。【解決手段】体積平均粒子径が0.3〜20μm、球形度が0.9以上、水分量が0.5質量%以下、亜麻仁油吸油量が0.25mL/g以下である二酸化チタンからなる粒子材料を製造する方法であって、金属チタンからなる原料粒子材料をキャリア中に浮遊させた状態で高温の酸化雰囲気中に投入して燃焼させる爆燃工程を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、二酸化チタンからなる粒子材料及びその製造方法、誘電体材料、スラリー組成物及び樹脂組成物に関する。
従来の球形度が高く単分散に近い二酸化チタンからなる粒子材料は、二酸化チタンからなる粉末を火炎中に投入することにより溶融させた後に急冷する方法にて製造されたり、四塩化チタンガスを酸化反応させて或いはチタンアルコキシドからゾルゲル法にて二酸化チタンを生成する方法にて製造されたり、二酸化チタンを焼成後に粉砕して製造したりしている。
ここで四塩化チタンを原料とする製造方法としては、特許文献1に開示されている方法がある。特許文献1の実施例1によると、四塩化チタンガスから得られる二酸化チタンは、BET換算粒子径が300nm、レーザ式粒度分析法により測定した平均粒子径が0.6μmの凝集物である。このような凝集物を加熱溶融して得られる二酸化チタンからなる粒子材料の平均粒子径は10μmを遙かに超えた大きな粒子であった。
ところで、近年封止材などの薄層部に誘電体からなる粒子材料を使用することで、コンデンサ機能を付与する薄膜キャパシタという方式の開発が進められている(特許文献2、3など)。その薄膜キャパシタの実現を目的として特許文献1などに挙げられた酸化チタンからなる粒子材料を樹脂材料中に分散させた樹脂組成物を用いて膜厚20〜50μmのフィルムの作成を目指したところ、粒子径が300nm程度の小さな一次粒子が凝集した粒子材料であると十分な充填率が実現できないために満足な誘電特性を実現することができなかった。それ以外の粒度分布を持つものとしては粒子径が10μm以上の大きな粒子材料が存在するが、大きな粒子材料を採用すると、十分な充填率は実現できるもののこの厚さのフィルムへの加工が困難であった。
特開2008-273832号公報 国際公開第2016/158228号 特開2016-111182号公報
本発明は上記実情に鑑み完成したものでありサブミクロンからミクロンオーダーの二酸化チタンからなる粒子材料及びその製造方法、誘電体材料、スラリー組成物、樹脂組成物を提供することを解決すべき課題とする。
(1)上記課題を解決する本発明の粒子材料は、体積平均粒子径が0.3〜20μm、球形度が0.9以上、水分量が0.5質量%以下、亜麻仁油吸油量が0.25mL/g以下である二酸化チタンからなる粒子材料である。
特に、3.5g/35mLの濃度で20℃、30分間撹拌懸濁させた後の固液分離後の抽出液のECが40μS/cm以下、塩素イオン濃度が100ppm以下、ナトリウムイオン濃度が30ppm以下であることで電子材料に採用するときに優れた電気的特性を発現することが可能になる。
更に、表面にシリカ層が形成され、FT−IRスペクトルにおいて3730−3770cm-1にピークを有していることが好ましい。シリカにて表面を被覆することにより化学的安定性が向上できると共に、OH基が存在することにより樹脂材料などとの親和性を向上するための表面処理なども容易に行うことが可能になる。
そして、粒子材料の表面には、シラン化合物により表面処理が為されていることが好ましい。
(2)上記課題を解決する本発明の粒子材料の製造方法は、上述の(1)に記載の粒子材料を製造する方法であって、金属チタンからなる原料粒子材料をキャリア中に浮遊させた状態で高温の酸化雰囲気中に投入して燃焼させる爆燃工程を有する。
特に、爆燃工程後にテトラアルコキシシラン化合物を表面に付着して加熱するシリカ被覆工程を有することが好ましい。
(3)上記課題を解決する本発明の誘電体材料は、上述の(1)に記載の粒子材料を有する。
(4)上記課題を解決する本発明のスラリー組成物は、(1)に記載した粒子材料と、その粒子材料を分散する有機溶媒とを有する。
(5)上記課題を解決する本発明の樹脂組成物は、(1)に記載した粒子材料と、その粒子材料を分散する樹脂材料とを有する。
本発明の粒子材料は、上述の範囲内の粒子径、球形度、水分量、亜麻仁油吸油量をもつことにより誘電体材料として好適に用いることが可能になる。
実施例1の粒子材料の粒度分布を示す図である。 実施例2の粒子材料の粒度分布を示す図である。 実施例3の粒子材料の粒度分布を示す図である。 実施例4の粒子材料の粒度分布を示す図である。 実施例5の粒子材料の粒度分布を示す図である。 実施例1の粒子材料のXRDスペクトルである。 実施例2の粒子材料のXRDスペクトルである。 実施例3の粒子材料のXRDスペクトルである。 実施例4の粒子材料のXRDスペクトルである。 実施例1の粒子材料のSEM写真である。 実施例2の粒子材料のSEM写真図である。 実施例3の粒子材料のSEM写真図である。 実施例4の粒子材料のSEM写真である。 比較例1の粒子材料のSEM写真である。 比較例2の粒子材料のSEM写真図である。 実施例1の粒子材料のFT−IRスペクトルである。
本発明の粒子材料及びその製造方法、誘電体材料、スラリー組成物及び樹脂組成物について、以下実施形態に基づき詳細に説明を行う。
(粒子材料)
本実施形態の粒子材料は、二酸化チタンからなる。「二酸化チタンからなる」とは、粒子材料を構成する個々の粒子について、その1つの粒子の質量を基準として、二酸化チタンの含有量が50%以上であることを意味し、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましく、100%以上であることが最も好ましい。二酸化チタンは誘電体材料として好ましい材料であり、含有量はある程度高い方が好ましい。しかしながら、二酸化チタン以外の材料が僅かに混合されていても十分な性能を発揮できると共に混合された材料によって好ましい性質の付与が実現できることもある。二酸化チタンの結晶構造は特に限定しないが、アナターゼ型を含むことが好ましい。
本実施形態の粒子材料は、体積平均粒子径が0.3〜20μmである。好ましい下限値としては、0.3μm、0.5μm、0.7μm、1.0μmが例示でき、好ましい上限値としては、20μm、10μm、7μm、3μmが例示できる。これらの下限値及び上限値は任意に組み合わせることが可能である。体積平均粒子径が大きくなると誘電体材料としての性能が向上し、小さくなると薄膜中への添加が容易になる。
本実施形態の粒子材料は、球形度が0.90以上であり、0.95以上であることが好ましく、0.98以上であることがより好ましく、0.99以上であることが更に好ましい。球形度が大きい方が、有機溶媒や樹脂材料中に分散させた際の粘度が低下して流動性が向上できる。
本実施形態の粒子材料は、水分量が0.5質量%以下であり、0.4質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.25質量%以下であることが更に好ましく、0.2質量%以下であることが特に好ましい。水分の含有量を減らすことで誘電正接を小さくでき、その結果として誘電体材料としての性能が向上できる。
本実施形態の粒子材料は、亜麻仁油吸油量が0.25mL/g以下であり、0.20mL/g以下であることがより好ましく、0.18mL/g以下であることが更に好ましく、0.15mL/g以下であることが特に好ましい。亜麻仁油吸油量が小さいほど、粒子材料の充填率が高くなり、誘電体材料としての性能が向上できる。亜麻仁油吸油量を小さくするためには、単分散に近い粒子径をもつ粒子材料に対して粒子材料の隙間に入ることができる相対的に小さな粒子径をもつ粒子材料を加えることで全体としての充填率が向上できる。つまり、粒子材料として2つの粒子径にピークをもつものを採用することにより充填性が向上できる。例えば、2つのピークのうちの粒子径が大きい方のピークの粒子径に対して、小さい方のピークの粒子径が40%以下であることが好ましく、30%以下であることが更に好ましい。
本実施形態の粒子材料は、シリカからなるシリカ層を表面に有することが好ましい。シリカ層の厚みは、1nm〜50nmであることが好ましく、その下限値は、1nm、3nmであることが好ましく、上限値は、50nm、30nmであることが好ましい。これらの下限値及び上限値は任意に組み合わせることができる。また、全体の質量を基準としてシリカ層の質量は、0.01%〜1%程度であることが好ましい。その下限値は、0.02%、0.05%であることが好ましく、上限値は、0.80%、0.70%であることが好ましい。これらの下限値及び上限値は任意に組み合わせることができる。シリカ層の表面には、OH基が存在することが好ましい。特にFT−IRスペクトルにおいて3730−3770cm-1にピークを有していることが好ましい。シリカ層は、表面を隙間無く覆っていることが好ましい。例えば表面全体を基準として50%以上の面積を覆っていることが好ましく、70%以上の面積を覆っていることがより好ましく、90%以上の面積を覆っていることが更に好ましく、100%の面積を覆っていることが特に好ましい。
本実施形態の粒子材料は、表面処理剤にて表面処理が為されていることが好ましい。表面処理剤としては、シラン化合物が好ましい。シラン化合物としては、有機官能基を有する化合物が好ましい。また、ヘキサメチルジシラザンなどの有機官能基をもつシラザン類を採用することもできる。そして、シランカップリング剤を採用することもできる。シラン化合物が有することができる有機官能基としては、アルキル基(炭素数1〜10)、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、フェニルアミノ基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基等が挙げられる。シラン化合物1分子あたり有機官能基を導入する数としては特に限定しないが、Si原子の4つの結合手のうち1〜3の結合手に有機官能基を導入することが好ましい。表面処理剤を反応させる量としては、表面に存在するOH基の量に対して、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%反応させることができる。
本実施形態の粒子材料は、3.5g/35mLの濃度で20℃、30分間撹拌懸濁させた後の固液分離後の抽出液のECが40μS/cm以下、塩素イオン濃度が100ppm以下、ナトリウムイオン濃度が30ppm以下であることが好ましい。特に上記ECの値の上限値は、35μS/cm以下、30μS/cm以下、20μS/cm以下とすることができる。また、塩素イオン濃度の上限値は、80ppm以下、50ppm以下、30ppm以下、20ppm以下、5ppm以下とすることができる。ナトリウムイオン濃度の上限値は、25ppm以下、20ppm以下、15ppm以下、10ppm以下、5ppm以下とすることができる。ECの値や、塩素イオン濃度、ナトリウムイオン濃度を上記範囲に制御することにより半導体封止材などの用途に好適に採用することができる。
(粒子材料の製造方法)
本実施形態の粒子材料の製造方法は、上述した本実施形態の粒子材料を好適に製造できる方法である。本実施形態の製造方法は、金属チタンからなる原料粒子材料をキャリア中に浮遊させた状態で高温の酸化雰囲気中に投入して燃焼させる爆燃工程を有する。爆燃工程は、火炎、プラズマ、アーク放電、レーザなどにより高温となった酸化雰囲気中に原料粒子材料を投入することにより原料粒子材料を構成する金属チタンが酸化して酸化物ガスとなる。
その後に急冷することで凝集することにより球状の二酸化チタンからなる粒子材料が得られる。原料粒子材料の組成、粒子径、投入量、キャリアの組成、キャリア中の原料粒子材料の濃度、酸化雰囲気の組成や温度などを制御することにより得られる粒子材料の粒度分布、球形度、水分量、ECの値が制御できる。
粒子材料の粒子径を0.3μm以上にするためには、平均粒子径が5μm以上のチタン粉末を原料に用いて爆燃法を経ることで実現できる。更に粒子材料の粒子径を大きくするためには、原料チタン粉末の平均粒子径を大きくすることにより実現できる。また、粒子材料の粒子径を20μm以上にするためには、理論完全燃焼に必要な酸素量を減らすこと、原料の投入量を増大することにより粒子成長を促進し実現できる。更に粒子材料の粒子径を小さくするためには、原料粉末の単位時間当たりの投入量を減らすことにより、粒子成長が抑制され実現できる。
粒子材料の球形度を0.9以上にするためには、金属チタン粉末を酸素雰囲気中で燃焼させ、酸化チタンガスを形成させた。その後、急冷させると酸化チタン液滴を形成し、その際に表面張力により球状化、さらに急冷することで固化することにより実現できる。更に粒子材料の球形度を大きくするためには、冷却速度を緩やかにすることにより実現できる。
粒子材料の水分量を0.5質量%以下にするためには、原料粒子材料に付着したり含まれたりする水分量を減らしたり、キャリア中の水分量(燃焼により生成する水分も含む)を減らしたり、助燃性ガスの燃焼により生成する水分量を減らしたりすることにより実現できる。また、生成した粒子材料を加熱乾燥することによっても実現できる。加熱温度は、吸着水を除去する温度以上であり、更には結合水を除去できる温度にすることが好ましい。
粒子材料の亜麻仁油吸油量を0.25mL/g以下にするためには、球形度を高くする他、先述したような2つ以上のピークをもつように粒子材料の粒度分布を調節することにより実現できる。
粒子材料の上記ECの値を40μS/cm以下にするためには、原料粒子材料に含まれるアルカリ金属、アルカリ土類金属の含有量を減らすことにより実現できる。例えば、原料粒子材料としての金属チタンを精製して含有する不純物の量を減らすことや、製造した粒子材料に対してECを向上する成分(アルカリ金属やアルカリ土類金属や、それらを含む化合物)との接触を避けたりすることで実現できる。
粒子材料の塩素イオン濃度を100ppm以下にするためには、原料粒子材料に含まれる塩素の濃度を減らすことにより実現できる。塩素濃度を減らすには、四塩化チタンガスから製造する二酸化チタンを採用することを避けたり、塩酸などの塩素を含有する化合物による処理を避けたりすることにより実現できる。
原料粒子材料は、粒子径の下限値が0.1μm、1μm、10μm、30μm程度にすることができ、上限値が300μm、200μm、150μm、100μm程度にすることができる。これらの下限値及び上限値は任意に組み合わせることができる。下限値を大きくすると、得られる粒子材料の粒子径が増大し、上限値を小さくすることで得られる粒子材料の粒子径が小さくなる。
キャリアとしては、気体、液体などの流体が挙げられる。気体としては、窒素、アルゴン、酸素、プロパンやメタンなどの炭化水素ガスなどを単独又は混合したガスが例示でき、空気も採用できる。液体としては、水、アセトン、アルカン、エーテル、アルコール等が挙げられる。
特に水分を減らしたキャリアを採用することが好ましい。含有する水分の他にも燃焼により水が生成する成分(水素を分子中に有するもの)を減らすことが好ましい。含有する水分や燃焼により生成する水分量が燃焼炉内中に5体積%以下になるように制御することが好ましい。特に水分量の上限値としては3体積%、2体積%、1体積%、0.5体積%を採用することができる。また、キャリア中に含まれる水分量及び燃焼により生成する水分量を減少させることにより製造された粒子材料に含まれる水分量を減少することができる。キャリア中の水分量を減らす方補は特に限定しないが、何らかの方法により乾燥することができる他、キャリアとして空気を採用する場合には空気中の湿度が低いときを選ぶことにより水分量が調節できる。更に燃焼により水分が発生しないガスを採用することもできる。
また、製造した粒子材料の水分量を減少させるには粒子材料を加熱することによっても達成できる。加熱温度としては、特に200℃以上で加熱することが好ましく、400℃以上、更には500℃にて加熱することがより好ましい。加熱時間は特に限定されないが、前述した水分量に到達するまで行うことが好ましく、加熱によって粒子材料に物理的に付着している水分の他、化学的に結合している結合水を除去することも好ましい。
酸化雰囲気を火炎により形成する場合には、助燃性ガスと可燃性ガスとの混合物を燃焼させて火炎を形成することができる。助燃性ガスとしては酸素や空気が挙げられる。可燃性ガスとしては、プロパン、メタン、アセチレンなどの炭化水素ガス、アンモニア、水素ガスが挙げられる。助燃性ガスと可燃性ガスとの混合比は特に限定しない、助燃性ガスを化学量論的に過剰にした酸化炎にすることが好ましい。
キャリア中の原料粒子材料の濃度は特に限定しないが、0.2〜3kg/Nm程度が例示できる。下限値としては、0.2kg/Nm、0.6kg/Nmが挙げられ、上限値としては、3.0kg/Nm、1.5kg/Nmが挙げられる。濃度を高くすると得られる粒子材料の粒子径が大きくなり、濃度を低くすると得られる粒子材料の粒子径が小さくなる。
原料粒子材料の供給速度は、0.2kg/h〜5.0kg/h程度にすることができる。下限値としては、0.2kg/h、0.6kg/hが挙げられ、上限値としては5.0kg/h、2.0kg/hが挙げられる。供給速度を高くすると得られる粒子材料の粒子径が大きくなり、低くすると得られる粒子材料の粒子径が小さくなる。
キャリアの他に助燃性ガスや不活性ガスを供給してもよい。助燃性ガスは酸化雰囲気の近傍に供給することができる。
これらの反応は反応炉内にて進行するが、反応炉内に供給される助燃性ガス(酸素など)の量は、可燃性ガスや原料粒子材料を十分に酸化できる量と比較して過剰な量とすることが好ましい。
表面にシリカ層を形成することも可能である(シリカ被覆工程)。シリカ層の形成方法としては、特に限定しないが、テトラアルコキシシラン、トリメトキシシランを表面に付着させた後に反応させることにより形成することができる。反応に際して加熱することができる。加熱温度の下限値としては、20℃、30℃、40℃を採用することができる。テトラアルコキシシランを表面に付着させる方法としては特に限定しないが、液体状のテトラアルコキシシランをそのまま噴霧などにより接触させたり、蒸発させて気体状にして接触させたり、有機溶媒中に溶解させた状態で噴霧などにより接触させたりすることができる。テトラアルコキシシランの量は形成するシリカ層の厚みにより決定できる。テトラアルコキシシランの種類としては特に限定しないが、炭素数1〜4程度のアルコキシ基を有するものが例示できる。
表面処理については上述した粒子材料にて説明した通りであるためここでの説明は省略する。
(スラリー組成物)
本実施形態のスラリー組成物は、本実施形態の粒子材料を有機溶媒中に分散させた組成物である。有機溶媒としては特に限定しないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテート、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、THF、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、酢酸、オレイン酸が例示できる。
粒子材料と有機溶媒との混合比は流動性を保つ限り特に限定されないが、例えば(粒子材料):(有機溶媒)の質量比を5:95〜85:15程度にすることができる。本実施形態のスラリー組成物は、樹脂材料、他の粒子材料などと混合するときに粒子材料を供給するために用いても良いし、目的の部位上に塗布した後に有機溶媒を乾燥させることで粒子材料を塗布するために用いることもできる。
(樹脂組成物)
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態の粒子材料を樹脂材料中に分散させた組成物である。樹脂材料としては加熱により溶融可能な高分子化合物、硬化後の高分子化合物、反応により硬化可能な高分子前駆体などが採用でき、特に限定しないが、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、LCP樹脂(液晶樹脂)、COC樹脂(環状オレフィン・コポリマー)、フッ素樹脂が例示できる。
粒子材料と樹脂材料との混合比は流動性を保つ限り特に限定されないが、例えば(粒子材料):(樹脂材料)の質量比を5:95(下限値)〜90:10(上限値)程度にすることができ、下限値として10:90、20:80、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20とすることができる。本実施形態の樹脂組成物は、半導体の封止材の一部乃至全部に用いることができるほか、基板材料の一部乃至全部に用いることができる。
(誘電体材料)
本実施形態の誘電体材料は、本実施形態のスラリー組成物や樹脂組成物を有し、誘電体としての用途に用いことができる材料である。本発明の誘電体材料は、粒子材料を多く含有することが好ましく、例えば60質量%以上含有させることが好ましい。そして、前述の樹脂組成物の欄にて説明したように、基板材料や封止材の一部とした上で誘電体材料としての作用効果を発揮させることもできる。
(実施例1)
金属チタンからなり、体積平均粒子径30μmの原料粒子材料を10g/分、可燃性ガスとしてのプロパンガスを2.2L/分、原料粒子材料と可燃性ガスとが燃焼するために必要な量に対して1.5倍量の助燃性ガスとしての酸素ガスとを燃焼炉中に供給して燃焼させて粒子材料を製造した(爆燃工程)。助燃性ガスを過剰に供給したため概ね完全燃焼が実現できた。
燃焼炉は、排風機を接続して炉内を負圧にし、得られた粒子材料をバグフィルター捕集を経て回収した。得られた粒子材料の分析データを表1にまとめた。
得られた粒子材料14gをエポキシ樹脂(ZX1059を4.7g、エタキュア100を1.3g)に混合・分散させて樹脂組成物(粒子材料の充填率は70質量%)を得た。この樹脂組成物を170℃で加熱して硬化させて得られた硬化物(樹脂組成物)から4mm×4mm×30mmの直方体を切り出して試験試料片とした。
(実施例2)
原料粒子材料の体積平均粒子径を100μmに変えた以外は実施例1と同様な方法で試験試料の作成及び評価を行った。
(実施例3)
助燃性ガスとしての酸素ガスの量を粒子材料及び可燃性ガスとしてのプロパンガスが燃焼するために必要な量の1.05倍にした以外は実施例1と同様な方法で試験試料の作成及び評価を行った。
(実施例4)
助燃性ガスとしての酸素ガスの量を粒子材料及び可燃性ガスとしてのプロパンガスが燃焼するために必要な量の1.05倍にした以外は実施例2と同様な方法で試験試料の作成及び評価を行った。
(実施例5)
原料粒子材料の体積平均粒子径を20μmに変えたこと、原料粒子材料の供給速度を7g/分としたこと、助燃性ガスとしての酸素ガスの量を粒子材料及び可燃性ガスとしてのプロパンガスが燃焼するために必要な量の2.0倍にしたこと、以外は実施例1と同様な方法で試験試料の作成及び評価を行った。
(実施例6)
実施例1の粒子材料を20gに対してテトラエトキシシラン1.2gを10分間かけてゆっくり滴下した後、イオン交換水0.2gを10分間かけて滴下しながら撹拌混合した。その後、60℃で1時間反応させ、更に120℃で2時間加熱して揮発成分を留去した。得られた粒子材料をFT-IR(拡散反射法)で測定した結果、3750cm−1近辺にSiO-Hに由来するピークが検出されたため、二酸化チタンからなる粒子材料の表面にシリカ層が形成できていることを確認した。
(比較例1)
市販の二酸化チタンからなる粒子材料(富士フィルム和光純薬工業製酸化チタン(IV)、アナターゼ型 )を用いたこと、粒子材料の充填率を20質量%としたこと、以外は実施例1に記載の方法にて樹脂組成物の硬化物を作成し、同様の操作で誘電率測定を実施した。
(実施例7)
実施例1で得られた粒子材料20gを500℃2時間加熱乾燥したのち回収した。
(比較例2)
原料粒子材料として、市販の二酸化チタンからなる粒子材料(富士フィルム和光純薬工業製酸化チタン(IV)、ルチル型、 -5μm, 99.9%)を用いた以外は比較例1と同様な方法で試験試料の作成及び評価を行った。
表1に各実施例及び比較例の粒子材料の製造条件、体積平均粒子径、球形度、真比重、XRD測定から算出したルチル型二酸化チタンの含有割合(残部はアナターゼ型であると考えられる)、酸素含有量、水分量(カールフィッシャー法:吸湿前後)、亜麻仁油吸油量を示す。水分量の測定にあたって吸湿させる条件は40℃、85%RH、24時間とした。亜麻仁油吸油量は1gの粒子材料に対し、亜麻仁油を1滴ずつ滴下していき、目視にて流動化したことが確認できるようになったときの亜麻仁油の添加量mlとして測定し、亜麻仁油添加量(ml)÷粒子材料重量(g)として算出した。
実施例1〜5の粒子材料についてレーザ式粒度分析法にて測定して得られた粒度分布を図1〜5に示す。実施例1〜4の粒子材料のXRD測定スペクトルを図6〜9に示す。実施例1〜4及び比較例1、2の粒子材料について、SEM写真を図10〜15に示す。実施例1の粒子材料のFT−IRスペクトルを図16に示す。各実施例の粒子材料の粒度分布のピーク幅は狭いことが分かった。また実施例1の粒子材料は、狭いピークが2つ確認され、大きな粒子径をもつ粒子の間隙に小さな粒子径をもつ粒子が入り込んでいる様子がSEM写真からも明らかになった。
Figure 2021127254
(充填率の評価)
実施例1及び2、比較例1及び2について、それぞれの粒子材料とエポキシ樹脂との混合比を変えることで、充填率(FC)が20質量%、40質量%、60質量%、70質量%の樹脂組成物を作成し、それらについて実施例1の条件で硬化させた硬化物から切り出した試験試料片を作成した。これらの試験試料片に対して誘電率測定を実施した(表2)。
Figure 2021127254
表2より明らかなように、充填率が高い方が、比誘電率が高くできることが分かった。また、比較例1の粒子材料は充填率40質量%以上に、比較例2の粒子材料は60質量%以上に、それぞれすることができないことが分かった。これはSEM写真、球形度、体積平均粒子径から明らかなように比較例の粒子材料がいびつな形状且つ粒子径が小さいためであると考えられる。
(溶出物の評価)
実施例1〜5及び比較例1,2の各粒子材料3.5gを純水35mL中に投入後、20℃、30分間撹拌懸濁させた後に固液分離することで抽出液を得た。これらの抽出液について、イオンクロマトグラフィーで分析して検出されたイオン性不純物量中のLi、Na、K、F、Clの量、並びに、電気伝導度(EC)を測定した結果を表3に示す。
Figure 2021127254
実施例1〜5、7は、全てLi、Na、K、F、Clが5ppm以下であることが分かった。ECの値についても実施例1〜5及、7については、20μS/cm以下の小さい値を示した。

Claims (9)

  1. 体積平均粒子径が0.3〜20μm、球形度が0.9以上、水分量が0.5質量%以下、亜麻仁油吸油量が0.25mL/g以下である二酸化チタンからなる粒子材料。
  2. 3.5g/35mLの濃度で20℃、30分間撹拌懸濁させた後の固液分離後の抽出液のECが40μS/cm以下であり、かつ、塩素イオン濃度が100ppm以下、かつ、ナトリウムイオン濃度が30ppm以下である請求項1に記載の粒子材料。
  3. 表面にシリカ層が形成され、
    3730−3770cm-1にピークを有している請求項1又は2に記載の粒子材料。
  4. シラン化合物により表面処理が為されている請求項1〜3の何れか1項に記載の粒子材料。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の粒子材料を含有する誘電体材料。
  6. 請求項1〜4の何れか1項に記載の粒子材料を製造する方法であって、
    金属チタンからなる原料粒子材料をキャリア中に浮遊させた状態で高温の酸化雰囲気中に投入して燃焼させる爆燃工程を有する粒子材料の製造方法。
  7. 請求項3、又は請求項3を引用する請求項4に記載の粒子材料を製造する方法であって、
    前記爆燃工程後にテトラアルコキシシラン化合物を表面に付着して加熱するシリカ被覆工程を有する請求項6に記載の粒子材料の製造方法。
  8. 請求項1〜4の何れか1項に記載の粒子材料と、前記粒子材料を分散する有機溶媒とを有するスラリー組成物。
  9. 請求項1〜4の何れか1項に記載の粒子材料と、前記粒子材料を分散する樹脂材料とを有する樹脂組成物。
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