以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素は、同一の符号を付し、構成要素の重複説明は省略する。
<インクジェット記録装置の構成>
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の構成について説明する。図1は、インクジェット記録装置の全体構成例を示す概略構成図である。
図1に示すインクジェット記録装置1は、ヘッドユニット24のインクジェットヘッドに設けたノズルからインクを吐出することで用紙Sh(記録媒体の一例)に画像を形成(記録)する。このインクジェット記録装置1は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のインクを重ね合わせるカラーインクジェット記録装置である。なお、インクジェット記録装置1が扱うインクの色はこの4色に限定されず、他の色が用いられてもよく、5色以上の色が用いられてもよい。
インクジェット記録装置1は、給紙部10と、画像形成部20と、排紙部30と、メンテナンス部60(図3〜図5参照)と、制御部100と、を含む。そして、インクジェット記録装置1は、外部装置2(図6参照)から入力された画像データを用紙Shに形成する。
給紙部10は、給紙トレー11と、用紙供給部12と、を含む。給紙トレー11は用紙Shを載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレー11は、載置された用紙Shの枚数に応じて上下(昇降)方向に移動可能に設けられる。そして、給紙トレー11に載置された複数の用紙Shのうち上下方向の最上部の用紙Shは、用紙供給部12により搬送される位置において、給紙トレー11内で保持される。
用紙供給部12は、複数(本実施形態では、2つ)のローラー121、122と、搬送ベルト123とを有する。搬送ベルト123は、長手方向の両端が接続された無端状に形成されており、その両端がローラー121、122に張架されている。そして、ローラー121、122のうち一方のローラーが回転駆動することで、搬送ベルト123は、2つのローラー121、122の間を循環移動する。これにより、搬送ベルト123に載置された用紙Shが搬送される。
また、用紙供給部12は、ローラー121、122を回転駆動する不図示の駆動部や、給紙トレー11に載置された最上部の用紙Shを搬送ベルト123に受け渡す不図示の供給装置を有する。そして、用紙供給部12は、搬送ベルト123に載置された用紙Shを画像形成部20に向けて搬送することにより、画像形成部20に用紙Shを給紙する。
画像形成部20は、画像形成ドラム21と、受け渡しユニット22と、加熱部23と、ヘッドユニット24と、定着部25と、画像読取部26と、用紙排出部27と、を含む。
画像形成ドラム21は、円筒状に形成されており、不図示の駆動モーターによって図中の反時計回りに回転する。画像形成ドラム21の外周面には、給紙部10から供給された用紙Shが担持される。そして、画像形成ドラム21は、回転駆動することで用紙Shを排紙部30に向けて搬送する。また、画像形成ドラム21の外周面には、加熱部23、ヘッドユニット24、定着部25及び画像読取部26が、画像形成ドラム21に対向して配置される。
受け渡しユニット22は、給紙部10の用紙供給部12と画像形成ドラム21との間を介在する位置に設けられる。受け渡しユニット22は、爪部221と、円筒状の受け渡しドラム222と、を含む。爪部221は、用紙供給部12により搬送された用紙Shの一端を担持する。受け渡しドラム222は、爪部221に担持された用紙Shを画像形成ドラム21に向けて誘導する。これにより、受け渡しユニット22を介して用紙供給部12から画像形成ドラム21の外周面に、用紙Shが受け渡される。
受け渡しドラム222における用紙Shの搬送方向の下流側には、加熱部23が配置される。加熱部23は、例えば不図示の電熱線等を有し、通電によって発熱する。加熱部23は、制御部100による制御により、画像形成ドラム21に担持されて加熱部23の近傍を通過する用紙Shが所定の温度となるように、用紙Shを加熱する。また、加熱部23の近傍には、加熱部23付近の温度を検知する不図示の温度センサーが設けられており、制御部100は、温度センサーが検知した温度情報に基づいて、加熱部23の温度を制御する。
用紙Shの搬送方向における加熱部23の下流側には、ヘッドユニット24が設けられる。ヘッドユニット24は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)に応じて4つ設けられている。4つのヘッドユニット24は、用紙Shの搬送方向に対して上流側から、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの順に配置されている。
ヘッドユニット24は、用紙Shの搬送方向と直交する方向(幅方向)において用紙Shの全体を覆う長さ(幅)に設定されている。つまり、インクジェット記録装置1は、ワンパス方式のラインヘッド型インクジェット記録装置である。4つのヘッドユニット24は、それぞれ吐出するインクの色が異なるのみで、互いに同一の構成を有する。
ヘッドユニット24の近傍には、ノズルチェック部105(ノズル状態確認部の一例、図6参照)が設けられる。ノズルチェック部105は、用紙Shに形成された画像を読み取るセンサー等を含み、用紙Shに形成された調整用のチャートを読み込んで、読み込み画像を確認することにより、ノズル244(図2参照)の吐出状態(以下、単に「ノズル状態」とも称する)を確認する。ノズル状態には、例えば、インクが予定通りの位置に着弾した状態である正常状態の他に、ノズル244から吐出されたインクの着弾位置にズレがある状態や、ノズル244から吐出されるインクの量が少ない、あるいは吐出されない状態である、吐出不良の状態などがある。そして、ノズルチェック部105は、ノズル244のノズル状態を示すノズル状態情報を生成して、制御部100に出力する。
搬送方向におけるヘッドユニット24の下流側には、定着部25が配置される。定着部25としては、例えば、低圧水銀ランプ等の紫外線を照射する蛍光管を適用可能である。そして、定着部25は、紫外線を画像形成ドラム21により搬送された用紙Shに向けて照射し、用紙Sh状に吐出されたインクを硬化させる。これにより、定着部25は、用紙Shに形成された画像を定着させる。
紫外線を発する蛍光管としては、低圧水銀ランプの他、数百Pa〜1MPa程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオードなどを使用可能である。これらの中で、紫外線をより高照度で照射可能であって消費電力の少ない光源(例えば発光ダイオード等)がより望ましい。
なお、定着部25は、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線を照射するものであればよく、紫外線を照射するものに限定されない。例えば、定着部25は、用紙Shに熱を与えることでインクを乾燥させたり、インクに化学的な変化を起こさせる液体を付与させたりする等の、その他各種の方法でインクを用紙Shに定着させてもよい。
搬送方向における定着部25の下流側には、画像読取部26が配置される。画像読取部26は、複数の検出素子が用紙Shの搬送方向と直交する方向(幅方向)に沿って並べられたインラインセンサ等で構成され、ヘッドユニット24及び定着部25により用紙Shに形成された画像(以下、「印字画像」とも称する)を読み取る。画像読取部26が読み取った画像のデータは、制御部100に送られる。
搬送方向における画像読取部26の下流側には、用紙排出部27が設けられる。用紙排出部27は、画像形成ドラム21により搬送された用紙Shを排紙部30に向けて搬送する。
用紙排出部27は、円筒状の分離ドラム271と、排出ベルト272と、を含む。分離ドラム271は、画像形成ドラム21に担持された用紙Shを画像形成ドラム21の外周面から分離させて、分離した用紙Shを排出ベルト272に誘導する。
排出ベルト272は、用紙供給部12の搬送ベルト123と同様に、無端状に形成されており、複数のローラーにより回転可能に支持されている。排出ベルト272は、分離ドラム271による受け渡された用紙Shを排紙部30に送り出す。
排紙部30は、用紙排出部27により画像形成部20から送り出された用紙Shを格納する。排紙部30は、平板状の排紙トレー31を有し、該排紙トレー31上に、画像が形成された用紙Shを載置する。
[ヘッドユニットの内部構成]
次に、図2を参照して、ヘッドユニット24の内部構成について説明する。図2は、ヘッドユニット24の内部構成を示す図である。図2(A)は、ヘッドユニット24を側方から見た場合の内部構成の概略図であり、図2(B)は、ヘッドユニット24を上方から見た場合のヘッドユニット24の内部構成の概略図である。なお、ここでいう上方とは、画像形成ドラム21の外周面と対向するヘッドユニット24の一面(下面)側をヘッドユニット24の下方とした場合における上方である。また、側方とは、ヘッドユニット24の上下方向及びX方向に沿うヘッドユニット24の一側面を正面としてヘッドユニット24を見た場合の正面を示す。
なお、色毎のヘッドユニット24の構造は同一であるため、一つのヘッドユニット24のみについて説明を行う。図2(A)、(B)に示すように、ヘッドユニット24は、インクタンク240と、インクヒーター241と、複数のインクジェットヘッド242と、を含む。インクタンク240は、各インクジェットヘッド242に供給するインクを貯留するタンクである。インクヒーター241は、インクタンク240から各インクジェットヘッド242に通じる図示しないインク経路において、吐出前のインクを加熱により温度調節する。
複数のインクジェットヘッド242においては、例えば、図2(B)に示すように、2つのインクジェットヘッド242を一組として、1つのインクジェットモジュール243が構成される。本実施形態では、16個のインクジェットヘッド242が設けられており、それゆえ、インクジェットモジュール243の数は8個である。
図2(A)及び(B)に示すように、8つのインクジェットモジュール243は、用紙Shの搬送方向に沿って2列並べられている。そして、図2(B)に示すように、一列のインクジェットモジュール243は、画像形成ドラム21の幅方向(図中のX方向)に沿って4つ並べて配置されている。また、8つのインクジェットモジュール243は、2列のインクジェットモジュール243が用紙Shの搬送方向に沿って互い違い千鳥状に配置されている。
さらに、インクジェットヘッド242は、複数のノズル244を有する。複数のノズル244は、画像形成ドラム21の幅方向(図中のX方向)に平行な方向であって、用紙Shの搬送方向に直交する方向に沿って並べて配置される。また、インクジェットヘッド242は、複数のノズル244がヘッドユニット24の下面側に露出するよう設けられる。そして、インクジェットヘッド242は、複数のノズル244から選択的にインクを吐出させることにより、画像形成ドラム21に担持された用紙Shに画像を形成する。
なお、インクジェットモジュール243の個数及び配置は、上述したものに限定されない。例えば、インクジェットモジュール243の個数は、6つ以下又は10つ以上であってもよく、他の形態で配置されてもよい。
メンテナンス部60は、ヘッドユニット24のメンテナンスを行う。
[メンテナンス部の構成]
次に、図3〜図5を参照して、メンテナンス部60の構成について説明する。図3は、画像形成ドラム21とメンテナンス部60との位置関係、及び、ヘッドユニット24の移動前後の位置の例を示す斜視図である。図4は、メンテナンス部60を搬送方向に沿った視線から見た場合におけるメンテナンス部60の側面図である。図5は、メンテナンス部60によるヘッドユニット24のメンテナンス方法の概要を示す図である。図5(A)は、メンテナンス部60の斜視図であり、図5(B)は搬送方向に沿った視線から見た場合のメンテナンス部60の部分拡大図である。
図3に示すように、メンテナンス部60は、画像形成ドラム21に対してその幅方向Xに沿って隣接して配設される。このメンテナンス部60は、図4に示すように、インク受け部61と、インク掻き取り部材62と、インク吸い取り部63と、を含む。各ヘッドユニット24は、不図示の支持機構により幅方向(図中のX方向)に沿ってスライド移動可能に支持されており、ヘッドユニット24は、画像形成ドラム21の外周面に対向する位置からメンテナンス部60側に、手動操作によりスライド移動させることが可能である。
メンテナンス部60は、画像形成ドラム21と同心であって当該画像形成ドラム21の外径にほぼ等しい円弧に沿って回動させる図示しない支持機構に支持されており、当該支持機構が有する駆動モーターにより、各ヘッドユニット24の対向位置に搬送される。
そして、各ヘッドユニット24がメンテナンス部60の対向位置にあるときに、各ヘッドユニット24を画像形成ドラム21から幅方向Xの片側に向かってスライド移動させると、まず、ヘッドユニット24の下面がインク受け部61に対向する状態となる。さらに、各ヘッドユニット24をスライド移動させると、各ヘッドユニット24はインク掻き取り部材62の上方を通過して、その下面がインク吸い取り部63と対向する。
インク受け部61は、下側に窪んだ受け皿状の容器であり、ヘッドユニット24の全てのノズル244から吐出されるインクを受ける。そして、インク受け部61は、ノズル244から吐出されたインクを、図示しない所定の廃棄部に排出する。
インク掻き取り部材62は、金属製のブレード状の部材であり、ヘッドユニット24の下面側に突出するよう矩形板が屈曲された形状を有する。また、インク掻き取り部材62は、用紙Shの搬送方向に直交する画像形成ドラム21の幅方向Xに延在した形態で、インク吸い取り部63の一端に配設される。このインク掻き取り部材62は、図5(A)及び図5(B)に示すように、ヘッドユニット24が幅方向Xに沿って移動するときに、ノズル244が形成された下面に対して非接触な状態で、当該下面のインクのみに接触する。これにより、インク掻き取り部材62にインクが伝わってインク吸い取り部63に落ちる。
インク掻き取り部材62に用いられる金属材料は、例えばステンレス等、インクにより侵食されない性質を有することが好ましい。さらに、インク掻き取り部材62には、図5(B)に示すように、当該インク掻き取り部材62を加熱するヒーター64と、インク掻き取り部材62の温度を測定する温度センサー65と、が設けられる。制御部100は、温度センサー65でインク掻き取り部材62がインクを低粘度に保つ温度を維持するよう、ヒーター64を制御する。
インク吸い取り部63は、図5(A)及び(B)に示すように、ヘッドユニット24の下面に当接して、当該下面に付着したインクを吸収する部材である。このインク吸い取り部63は、矩形板状のインク吸収性のスポンジ等によって構成されており、インク吸収領域631と、インク受け領域632と、を有する。インク吸収領域631は、ヘッドユニット24の下面に当接して当該下面からインクを吸収する。
インク受け領域632は、インク掻き取り部材62の下方に位置するとともに、当該インク掻き取り部材62から垂れ落ちるインクを受ける。また、インク吸い取り部63は、図示しない昇降手段によってヘッドユニット24に対する接離方向(上下方向)に移動可能であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、インク吸い取り部63を固定して配設しておき、当該インク吸い取り部63に対してヘッドユニット24を上下方向に相対移動させてもよい。
また、このインク吸い取り部63には、図4に示すように、該インク吸い取り部63を加熱するヒーター633と、インク吸い取り部63の温度を測定する温度センサー(図示略)と、が設けられる。制御部100は、温度センサーでインク吸い取り部63がインクを低粘度に保つ温度を維持するよう、ヒーター64を制御する。
なお、本実施形態では、メンテナンス部60がインク受け部61と、インク掻き取り部材62と、インク吸い取り部63と、を含む例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。メンテナンス部は、インクジェットヘッド242のノズル面を拭うゴム等の弾性体や、洗浄液を含む湿式ローラーなどの、他の方式で構成されてもよい。
<インクジェット記録装置の制御系の構成>
次に、図6を参照して、インクジェット記録装置1の制御系の構成について説明する。図6は、インクジェット記録装置1の制御系の構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、インクジェット記録装置1は、制御部100を備える。制御部100は、例えばCPU(Central Processing Unit)101と、CPU101の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)102と、CPU101が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)103と、記憶部104と、を含む。
制御部100のCPU101は、インクジェット記録装置1の制御系を構成する各部とシステムバスBを介して接続されており、インクジェット記録装置1全体の動作を制御する。
また、制御部100は、後述する入出力インターフェース53が受信した画像データに対して色変換処理を行うとともに、ディザ処理や誤差拡散処理といったハーフトーン処理を行い、画像データの各画素の階調数を、ヘッドユニット24により表現可能な階調数に減じる。これにより、記録データが生成される。
記憶部104は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等よりなる大容量記憶装置である。記憶部104には、制御部100で生成された記録データや、ノズルチェック部105により取得されたインクジェットヘッド242のノズル状態情報、後述する印字結果画像生成部108により生成された印字結果画像などが記憶される。
また、インクジェット記録装置1は、搬送駆動部51と、操作表示部52と、入出力インターフェース53と、加熱部23と、ヘッドユニット24と、定着部25と、を含む。
搬送駆動部51は、画像形成ドラム21や用紙排出部27などの搬送系の駆動を行う。操作表示部52は、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイ(表示部の一例)からなるタッチパネルである。操作表示部52の画面には、ノズル244における吐出不良の発生を通知するUI(User Interface)や、後述のメンテナンス実施要否判定部107によるメンテナンスの要否の判定結果を通知するUI、印字結果画像生成部108により生成された印字結果画像などが表示される。さらに、操作表示部52は、不図示の複数のキーを備え、ユーザーのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける入力部としての役割も果たす。
入出力インターフェース53は、PC(パーソナルコンピュータ)や、ファクシミリ装置等で構成される外部装置2に接続される。そして、入出力インターフェース53は、外部装置2から画像データを含む印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブに含まれる画像データを制御部100に出力する。
加熱部23は、制御部100による制御により、画像形成ドラム21に担持されて加熱部23の近傍を通過する用紙Shが所定の温度となるように、用紙Shを加熱する。
ヘッドユニット24は、制御部100によって生成された記録データを受け取り、該記録データに基づいて用紙Sh上に所定の画像を形成する。具体的には、ヘッドユニット24は、制御部100による制御に基づいてヘッド駆動部245を駆動することにより、インクジェットヘッド242の各ノズル244からインクを用紙Sh上の所定の位置に吐出させる。
定着部25は、制御部100による制御に基づいて、用紙Shに形成された画像を定着させる。
また、インクジェット記録装置1は、画像読取部26と、ノズルチェック部105と、メンテナンス部60と、画像補正部106と、メンテナンス実施要否判定部107と、印字結果画像生成部108と、品質判定部109と、表示制御部110と、を含む。
画像読取部26は、ヘッドユニット24により用紙Shに形成された画像を読み取り、読み取って得た読取画像データを制御部100に出力する。
ノズルチェック部105は、制御部100による制御に基づいて、ノズル244における吐出不良の発生の有無等の情報である、ノズル状態を確認してノズル状態情報を生成する。ノズルチェック部105で取得されたノズル状態情報は、制御部100に出力され、制御部100の制御に基づいて記憶部104に記憶される。
メンテナンス部60は、メンテナンス実施要否判定部107及び品質判定部109によって、ヘッドユニット24のメンテナンスの実施が必要であると判定された場合に、ヘッドユニット24のメンテナンスを行う。
画像補正部106は、ノズルチェック部105によって吐出不良のノズル244が検出された場合、該ノズル244に隣接するノズル244からのインクの吐出量を増やすこと等により、印字画像の画像補正を行う。
メンテナンス実施要否判定部107は、例えば、ジョブとジョブとの合間等のタイミングにおいて、ヘッドユニット24のメンテナンスの実施要否の一次判定、及び、二次判定を行う。一次判定では、メンテナンス実施要否判定部107は、記憶部104に記憶されたノズル状態情報に基づいて、自動メンテナンスの実施の要否を判定する。自動メンテナンスは、ノズル状態に変化が起きた場合、又は、起きることが想定されるタイミングにメンテナンス部60によって自動で行われるメンテナンスである。自動メンテナンスには、例えば、印字枚数や印字時間などによって規定される定期メンテナンスや、不定期メンテナンス、ノズル244の吐出不良検出時に行われるメンテナンスなどがある。
例えば、メンテナンス実施要否判定部107は、自動メンテナンスの実行タイミングは訪れているが、ヘッドユニット24の各ノズル244に吐出不良等は発生しておらず、ノズル244の吐出状態が良好である場合には、一次判定において、メンテナンスの実施は不要であると判定する。
また、特定のノズル244において吐出不良が検知されていても、該ノズル244によって吐出されるインクの着弾予定位置が、記録データによって示される印字画像形成領域を外れていた場合には、メンテナンス実施要否判定部107は、一次判定において、メンテナンスの実施は必要ないと判定する。言い換えると、メンテナンス実施要否判定部107は、印字画像形成領域に対してインクを吐出するノズル244において、吐出不良が発生している場合には、一次判定において、メンテナンスの実施は必要であると判定する。なお、メンテナンスの実施が必要であると判定する場合における、印字画像形成領域と対応する位置にある吐出不良のノズル244の本数は、ユーザー等によって、適切な値が設定される。
なお、メンテナンス実施要否判定部107は、画像補正部106による画像補正結果も参照して、メンテナンスの実施の要否を一次判定してもよい。例えば、吐出不良のノズル244がある場合であっても、画像補正部106による画像補正が行われることにより、画像品質に問題が生じなくなる場合には、メンテナンス実施要否判定部107は、一次判定において、メンテナンスの実施は不要であると判定してもよい。
また、メンテナンス実施要否判定部107は、二次判定においては、品質判定部109による印字品質の判定結果に基づいて、メンテナンスの実施の要否を最終的に判定する。
本実施形態では、メンテナンス実施要否判定部107が、第1の判定方法又は第2の判定方法によって、メンテナンスの実施の要否を判定する例を挙げる。第1の判定方法は、インクジェット記録装置1の内部で(ユーザーによる判断を仰がずに)行う判定方法であり、第2の判定方法は、操作表示部52の画面に表示される各種UIを介してユーザーから入力された指示に基づいて行う判定方法である。なお、メンテナンス実施要否判定部107は、予め定められた自動メンテナンスの実施の要否を判定する際には、第1の判定方法及び第2の判定方法のうちのいずれか一方を採用し、ユーザーによる手動メンテナンスの実施時には、第2の判定方法を採用する等のように、2つの判定方法を場合によって使い分けてもよい。
印字結果画像生成部108は、記憶部104に記憶されているノズル状態情報と、ヘッドユニット24によって次に印字される予定の記録データと、に基づいて、印字結果画像を生成する。印字結果画像は、次に印字される画像が印字された場合における印字結果をシミュレーションした画像である。例えば、印字結果画像生成部108は、次に印字予定の画像の印字画像形成領域にインクを吐出するノズル244において、吐出不良が発生している場合には、印字結果画像として、該ノズル244に対応する位置にインクが着弾していない画像を生成する。
また、印字結果画像生成部108は、制御部100によって、画像補正部106による画像補正内容を反映した印字結果画像の生成が指示された場合には、画像補正部106による画像補正内容を反映した印字結果画像を生成する。
なお、印字結果画像生成部108は、用紙Shに対するインクの浸透特性を参照して、印字結果画像を生成してもよい。インクの浸透特性は、様々な種類の用紙Shとインクとの情報に基づいて、不図示のAI(Artificial Intelligence)等によって解析させてもよく、用紙Shの種類とインク種類とを対応付けたテーブル等を設けておき、該テーブルを参照して求めてもよい。
品質判定部109は、印字結果画像生成部108によって生成された印字結果画像に基づいて、次に印字される画像における印字品質を判定する。もしくは、品質判定部109は、ノズル状態情報と、ヘッドユニット24によって次に印字される予定の記録データとを照合することにより、次に印字される画像における印字品質を判定してもよい。この場合、印字結果画像生成部108による印字結果画像の生成は行われなくてもよい。
また、品質判定部109は、吐出不良が発生しているノズル244に割り当てられたインクの色も参照して、次に印字される画像における印字品質を判定してもよい。例えば、吐出不良が発生しているノズル244から吐出されるインクの色がイエローである場合、対応する画素にインクが着弾しなくても、画像の見た目には影響が出にくい。したがって、品質判定部109は、吐出不良が発生しているノズル244に割り当てられた(吐出予定の)インクがイエロー(等の印字品質に及ぼす影響が低い色)である場合には、次に印字される画像における印字品質に問題はないと判定してもよい。
表示制御部110は、操作表示部52の画面に各種情報を表示させる制御を行う。例えば、表示制御部110は、操作表示部52の画面に、吐出不良発生通知UI201(第1のユーザーインタフェースの一例、図8参照)や、一次判定結果通知UI202(第2のユーザーインタフェースの一例、図9参照)、印字結果画像確認UI203(第3のユーザーインタフェースの一例、図10参照)、ジョブリスト画面204(図11参照)などを表示する。
吐出不良発生通知UI201は、ノズル244における吐出不良の発生を通知するとともに、メンテナンス部60によるメンテナンスの実施の一次判定の要否をユーザーに問うUIである。一次判定結果通知UI202は、メンテナンス実施要否判定部107によるメンテナンスの要否の一次判定結果を通知するとともに、印字結果画像の生成の要否をユーザーに問うUIである。印字結果画像確認UI203は、印字結果画像生成部108により生成された印字結果画像を表示するとともに、ユーザーによるメンテナンスの実施要否等の指示を受け付けるUIである。ジョブリスト画面204は、印字待ちのジョブ及び該ジョブのステータスを表示するとともに、該ジョブに対するメンテナンス要否一次判定処理、又は、印字結果画像の生成の指示を受け付けるUIである。
表示制御部110は、これらの各種UIを介してユーザーより入力された指示の内容を、制御部100に出力する。
<インクジェット記録装置によるメンテナンス実施要否判定方法>
[第1の判定方法によるメンテナンス実施要否判定処理]
次に、図7を参照して、インクジェット記録装置1による第1の判定方法に基づくメンテナンス実施要否判定方法について説明する。図7は、インクジェット記録装置1による第1の判定方法に基づくメンテナンス実施要否判定処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
まず、インクジェット記録装置1の制御部100は、ジョブに基づく用紙Shへの印字が完了したか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1で、印字は完了していないと判定された場合(ステップS1がNO判定の場合)、制御部100は、ステップS1の判定を繰り返す。
一方、ステップS1で、印字は完了したと判定された場合(ステップS1がYES判定の場合)、メンテナンス実施要否判定部107は、メンテナンス実施の一次判定を実行する(ステップS2)。つまり、メンテナンス実施要否判定部107は、記憶部104に記憶されたノズル状態情報、すなわち、印字画像形成領域に対してインクを吐出するノズル244において、吐出不良が発生しているか否かの情報に基づいて、メンテナンス部60による自動メンテナンスの実施の要否を一次判定する。
次いで、制御部100は、ステップS2の一次判定において、自動メンテナンスの実施は必要であると判定されたか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3で、自動メンテナンスの実施は必要であると判定された場合(ステップS3がYES判定の場合)、制御部100は、直前のジョブ、つまり、ステップS1で実行が完了したジョブにおいて、ノズルチェック部105によるノズルチェックは実施済みであるか否かを判定する(ステップS4)。
ステップS4で、直前のジョブにおいて、ノズルチェックは実施されていないと判定された場合(ステップS4がNO判定の場合)、ノズルチェック部105は、ノズルチェックを実施する(ステップS5)。なお、本実施形態では、ステップS3において、制御部100が直前のジョブにおけるノズルチェックの実施の有無を確認する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。ノズルチェックが実施されたジョブとして、どのジョブが参照されるかは、ユーザー等によって適宜設定可能である。
次いで、制御部100は、ノズルチェック部105によるノズルチェック結果に基づき得られたノズル状態情報で、記憶部104に記憶済みのノズル状態情報を更新する(ステップS6)。
ステップS6の処理後、又は、ステップS4がYES判定の場合、品質判定部109は、次に印字予定の画像の印字品質を判定する(ステップS7)。具体的には、品質判定部109は、記憶部104に記憶されたノズル状態情報と、次に印字される予定の記録データとを照合することにより、次に印字予定の画像の印字品質に問題が生じていないかを判定する。
次いで、制御部100は、ステップS7の印字品質の判定において、印字品質に問題があると判定されたか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8で、印字品質に問題があると判定された場合(ステップS8がYES判定の場合)、制御部100はメンテナンス部60にヘッドユニット24のメンテナンスを実施させる(ステップS9)。
一方、ステップS8で、印字品質に問題はないと判定された場合(ステップS8がNO判定の場合)、又は、ステップS3がNO判定の場合、制御部100は、次のジョブの実施タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10で、次のジョブの実施タイミングは到来していないと判定された場合(ステップS10がNO判定の場合)、制御部100は、ステップS10の判定を繰り返す。
一方、ステップS10で、次のジョブの実施タイミングが到来したと判定された場合(ステップS10がYES判定の場合)、制御部100は、ヘッドユニット24によるジョブに基づく印字を開始させる(ステップS11)。ステップS11の処理後、制御部100は処理をステップS1に戻す。
[第2の判定方法]
次に、図8〜図12を参照して、インクジェット記録装置1による第2の判定方法に基づくメンテナンス実施要否判定方法について説明する。図8は、吐出不良発生通知UI201の構成例を示す図であり、図9は、一次判定結果通知UI202の構成例を示す図である。図10は、印字結果画像確認UI203の構成例を示す図であり、図11は、ジョブリスト画面204の構成例を示す図である。図12は、インクジェット記録装置1による第2の判定方法に基づくメンテナンス実施要否判定方法の処理手順の例を示すフローチャートである。
(吐出不良発生通知UIの構成)
図8に示す吐出不良発生通知UI201は、ノズルチェック部105がヘッドユニット24のノズル244の吐出不良を検出した場合に、制御部100の制御に基づいて、表示制御部110が、操作表示部52の画面に表示させるUIである。吐出不良発生通知UI201には、「吐出不良ノズル検出 メンテナンス実施要否一次判定を実施しますか?」のメッセージが記載されている。該メッセージの下部には、画面の左から順に「はい」ボタンB1、「いいえ」ボタンB2及び「キャンセル」ボタンB3が配置されている。
ノズルチェック部105がヘッドユニット24のノズル244の吐出不良を検出した場合、制御部100は、吐出不良発生通知UI201を操作表示部52の画面に表示させることにより、ユーザーに、メンテナンス実施要否一次判定を実施するか否かを問う。吐出不良発生通知UI201の「はい」ボタンB1の押下を検知した場合、制御部100は、メンテナンス実施要否判定部107に対して、ノズル状態情報に基づくメンテナンスの実施の要否の判定である一次判定を実施させる。
「いいえ」ボタンB2の押下を検知した場合、制御部100は、メンテナンス実施要否判定部107に対して、一次判定の実施を指示しない。「キャンセル」ボタンB3の押下を検知した場合、制御部100は表示制御部110に吐出不良発生通知UI201の表示を終了させる。
(一次判定結果通知UIの構成)
図9に示す一次判定結果通知UI202は、メンテナンス実施要否判定部107が一次判定の結果をユーザーに通知するとともに、印字結果シミュレーションの実施の要否をユーザーに問うUIである。印字結果シミュレーションは、ノズルチェック部105が取得したノズル状態情報を、次に印字される画像に反映させるシミュレーションである。
一次判定結果通知UI202には、「吐出不良ノズルが印字画像範囲内にあります。印字結果シミュレーションを実施しますか?」のメッセージが記載されている。該メッセージの下部には、画面の左から順に「はい」ボタンB11、「いいえ」ボタンB12及び「キャンセル」ボタンB13が配置されている。
メンテナンス実施要否判定部107が、一次判定において、印字画像形成領域と対応する位置にあるノズル244において、吐出不良のノズル(以下、「吐出不良ノズル」とも称する)があると判定したとする。この場合、制御部100は、一次判定結果通知UI202を操作表示部52の画面に表示させることにより、ユーザーに、吐出不良ノズルが印字画像範囲内にあることを通知し、さらに、印字結果シミュレーションの実施の要否をユーザーに問う。
一次判定結果通知UI202の「はい」ボタンB11の押下を検知した場合、制御部100は、印字結果画像生成部108に印字結果画像を生成させるとともに、品質判定部109に、該印字結果画像を用いた、次に印字される画像の印字品質を判定させる。
「いいえ」ボタンB12の押下を検知した場合、制御部100は、品質判定部109に対して、印字画像の品質の判定の実施を指示しない。「キャンセル」ボタンB13の押下を検知した場合、制御部100は表示制御部110に一次判定結果通知UI202の表示を終了させる。
(印字結果画像確認UIの構成)
図10に示す印字結果画像確認UI203は、印字結果画像生成部108により生成された印字結果画像を表示するとともに、ユーザーによるメンテナンスの実施要否等の指示を受け付けるUIである。
印字結果画像確認UI203には、「印字結果シミュレーション完了」のメッセージが記載されている。該メッセージの下部には、印字結果画像表示領域Arが配置され、該印字結果画像表示領域Arには、印字結果画像生成部108により生成された印字結果画像が表示される。印字結果画像表示領域Ar内にはポインタPtが表示され、ユーザーは、このポインタPtの位置を動かすことにより、印字結果画像表示領域Ar内における印字結果画像の表示範囲を変更することができる。
印字結果画像表示領域Arの左側には、画面の上から順に、「原寸大」ボタンB21、「拡大」ボタンB22、「縮小」ボタンB23が配置されている。「原寸大」ボタンB21は、印字結果画像表示領域Arにおける印字結果画像の表示倍率を原寸大にする指示を受け付けるボタンである。
「拡大」ボタンB22は、印字結果画像表示領域Arにおける印字結果画像の表示倍率の拡大指示を受け付けるボタンである。ユーザーによって「拡大」ボタンB22が一回押下される毎に、表示制御部110による制御に基づいて、印字結果画像表示領域Arにおける印字結果画像の表示倍率が所定の割合だけ拡大する。「縮小」ボタンB23は、印字結果画像表示領域Arにおける印字結果画像の表示倍率の縮小指示を受け付けるボタンである。ユーザーによって「縮小」ボタンB23が一回押下される毎に、表示制御部110による制御に基づいて、印字結果画像表示領域Arにおける印字結果画像の表示倍率が所定の割合だけ縮小する。
なお、図10に示す例では、「拡大」ボタンB22又は「縮小」ボタンB23の押下回数に応じて、印字結果画像表示領域Arにおける印字結果画像の表示倍率が拡大又は縮小する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。拡大率又は縮小率を数値で入力可能なUIが設けられてもよい。
印字結果画像表示領域Arの右側には、画面の上から順に、「ページ戻り」ボタンB24、「ページ送り」ボタンB25が配置されている。「ページ戻り」ボタンB24は、印字結果画像表示領域Arに表示される印字結果画像のページを、前のページに戻す指示を受け付けるボタンである。ユーザーによって「ページ戻り」ボタンB24が一回押下される毎に、表示制御部110による制御に基づいて、印字結果画像表示領域Arにおける印字結果画像のページが1ページ分前に戻る。
「ページ送り」ボタンB25は、印字結果画像表示領域Arに表示される印字結果画像のページを、次のページに送る指示を受け付けるボタンである。ユーザーによって「ページ送り」ボタンB25が一回押下される毎に、表示制御部110による制御に基づいて、印字結果画像表示領域Arにおける印字結果画像のページが1ページ分次に進む。
なお、図10に示す例では、「ページ戻り」ボタンB24又は「ページ送り」ボタンB25の押下回数に応じて、印字結果画像表示領域Arにおける印字結果画像のページが移動する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。印字結果画像表示領域Arに表示させたいページの番号を入力可能なUIが設けられてもよい。
印字結果画像表示領域Arの下には、モード選択用のドロップダウンリストLtが配置されている。モード選択用のドロップダウンリストLtには、印字結果画像表示領域Arに表示させる印字結果画像の表示モードが一覧で表示される。図10に示す例では、「標準」が表示されているが、この他に、「画像補正モード」、「エコノミーモード」、「高画質モード」がある。
「標準モード」は、印字結果画像を、加工を加えずに表示させるモードである。「画像補正モード」は、画像補正部106による補正後の印字結果画像を表示させるモードである。「エコノミーモード」は、省エネルギー設定がされている場合等における、画素数が低減された印字画像を表示させるモードである。「高画質モード」は、高画質の設定がされている場合における、高画質な印字結果画像を表示させるモードである。
印字結果画像生成部108は、モード選択用のドロップダウンリストLtを介してユーザーによって選択された表示モードに応じて、印刷結果画像を加工して、表示制御部110に出力する。もしくは、印字結果画像生成部108は、これらのモードに応じた各印刷結果画像を予め生成して記憶部104等に記憶させておき、ユーザーによって選択されたモードに対応する印字結果画像を読みだして、印字結果画像表示領域Arに表示させてもよい。
モード選択用のドロップダウンリストLtの下には、「メンテナンスを実施しますか?」のメッセージが表示され、その下には、画面の左から順に「はい」ボタンB26、「いいえ」ボタンB27及び「キャンセル」ボタンB28が配置されている。
「はい」ボタンB26の押下を検知した場合、制御部100は、メンテナンス部60に、ヘッドユニット24のメンテナンスを実施させる。「いいえ」ボタンB27の押下を検知した場合、制御部100は、メンテナンス部60に対して、メンテナンスの実施を指示しない。「キャンセル」ボタンB28の押下を検知した場合、制御部100は表示制御部110に印字結果画像確認UI203の表示を終了させる。
(ジョブリスト画面の構成)
図11に示すジョブリスト画面204は、印字待ちのジョブ及び該ジョブのステータスを表示するとともに、該ジョブに対するメンテナンス要否一次判定処理、又は、印字結果画像の生成の指示を受け付けるUIである。ジョブリスト画面204は、例えば、吐出不良発生通知UI201(図8参照)、一次判定結果通知UI202(図9参照)、印字結果画像確認UI203(図10参照)でキャンセルボタンが押下された場合に、表示制御部110の制御に基づいて表示される。
ジョブリスト画面204には、ジョブの一覧が表示される。一覧に含まれる各ジョブにおいては、ジョブ名及びジョブのステータスの情報が示される。図11に示す例では、ジョブリスト画面204において「ジョブ1」〜「ジョブ8」の8つのジョブが示されており、「ジョブ2」が太字で示されているとともに、リストの先頭に黒丸のマークが付加されている。つまり、ジョブリスト画面204が表示されている時点では「ジョブ2」が印字中であることが示されている。
また、「ジョブ1」のステータスは「印字済」であることが示されている。「ジョブ3」〜「ジョブ6」のステータスは「RIP済」であることが示されている。「RIP済」は、該当するジョブはRIP(Raster Image Processor)処理が済んでおり、印刷を待っている状態であることを示す。「ジョブ7」及び「ジョブ8」のステータスは「生産待ち」であることが示されている。「生産待ち」は、該当するジョブは、RIP処理が行われる前の段階であることを示す。
ジョブリスト画面204の右上には、画面の上から順に「メンテナンス実施要否一次判定」ボタンB41及び「印字結果シミュレーション」ボタンB42が配置されている。
「メンテナンス実施要否一次判定」ボタンB41は、メンテナンス実施要否判定部107によるメンテナンス実施要否一次判定を実施させるためのボタンである。ユーザーによって「メンテナンス実施要否一次判定」ボタンB41が押下された場合、制御部100は、メンテナンス実施要否判定部107に、選択されたジョブのメンテナンス実施要否一次判定を実施させる。
「印字結果シミュレーション」ボタンB42は、印字結果シミュレーションの実施を指示するためのボタンである。ユーザーによって「印字結果シミュレーション」ボタンB42が押下された場合、制御部100は、印字結果画像生成部108に印字結果画像を生成させ、表示制御部110に、印字結果画像確認UI203を操作表示部52の画面に表示させる。
[第2の判定方法によるメンテナンス実施要否判定処理]
次に、図12を参照して、本実施形態のインクジェット記録装置1による第2の判定方法に基づくメンテナンス実施要否判定処理について説明する。図12は、インクジェット記録装置1による第2の判定方法に基づくメンテナンス実施要否判定処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
図12に示す例では、ジョブリスト画面204を介してユーザーによって予め選択されたジョブにおいて、ヘッドユニット24のノズル244の画像形成領域における吐出不良が検出された場合に、インクジェット記録装置1によってメンテナンス実施要否判定が行われる例を示す。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。印刷枚数や印刷時間等に基づいて定まる所定の自動メンテナンスの実施タイミング毎に、本発明のメンテナンス実施要否判定処理が行われてもよい。
まず、制御部100は、メンテナンス実施要否判定処理の対象となっているジョブの実施前に行われた、ノズルチェック部105によるヘッドユニット24のノズル244のチェックにおいて、吐出不良が検出されたか否かを判定する(ステップS21)。
ステップS21で、吐出不良が検出されたと判定された場合(ステップS21がYES判定の場合)、制御部100は、表示制御部110に、吐出不良発生通知UI201(図8参照)を表示させる(ステップS22)。次いで、制御部100は、吐出不良発生通知UI201を介して、ユーザーによってメンテナンス実施要否一次判定の実施が指示されたか否かを判定する(ステップS23)。つまり、吐出不良発生通知UI201において、ユーザーによって「はい」ボタンB1が押下されたか否かを判定する。
ステップS23で、メンテナンス実施要否一次判定の実施が指示されたと判定された場合(ステップS23がYES判定の場合)、制御部100は、表示制御部110に、一次判定結果通知UI202(図9参照)を表示させる(ステップS24)。次いで、制御部100は、一次判定結果通知UI202を介して、ユーザーによって印字結果シミュレーションの実施が指示されたか否かを判定する(ステップS25)。つまり、一次判定結果通知UI202において、ユーザーによって「はい」ボタンB11が押下されたか否かを判定する。
ステップS25で、印字結果シミュレーションの実施が指示されたと判定された場合(ステップS25がYES判定の場合)、制御部100の制御に基づいて、印字結果画像生成部108が印字結果画像を生成する(ステップS26)。これにより、ノズルチェック部105によって取得された、ノズル244の吐出不良等の情報を含むノズル状態情報を反映した、次に印字される予定の画像(印字結果画像)が生成される。
次いで、制御部100は、表示制御部110に、印字結果画像確認UI203(図10参照)を操作表示部52の画面に表示させる(ステップS27)。次いで、制御部100は、印字結果画像確認UI203を介して、ユーザーによってメンテナンスの実施が指示されたか否かを判定する(ステップS28)。つまり、印字結果画像確認UI203において、ユーザーによって「はい」ボタンB26が押下されたか否かを判定する。
ステップS28で、メンテナンスの実施が指示されたと判定された場合(ステップS28がYES判定の場合)、制御部100の制御に基づいて、メンテナンス部60によるヘッドユニット24のメンテナンスが行われる(ステップS29)。
ステップS29の処理後、又は、ステップS28がNO判定の場合、制御部100の制御に基づいて、ジョブに基づく印字が実行される(ステップS30)。次いで、制御部100は、表示制御部110に、ジョブリスト画面204を操作表示部52の画面に表示させる(ステップS31)。次いで、制御部100は、ジョブリスト画面204を介して、ユーザーによって、メンテナンス実施要否判定の対象とするジョブが選択されたか否かを判定する(ステップS32)。
ステップS32で、ジョブは選択されていないと判定された場合(ステップS32がNO判定の場合)、制御部100は、ステップS32の判定を繰り返す。一方、ステップS32で、ジョブは選択されたと判定された場合(ステップS32がYES判定の場合)、制御部100は、選択されたジョブの実施タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS33)。
ステップS33で、選択されたジョブの実施タイミングは到来していないと判定された場合(ステップS33がNO判定の場合)、制御部100は、ステップS33の判定を繰り返す。一方、ステップS33で、選択されたジョブの実施タイミングが到来したと判定された場合(ステップS33がYES判定の場合)、制御部100は、ステップS21の判定を行う。
そして、ステップS21で、吐出不良は検出されていないと判定された場合(ステップS21がNO判定の場合)、制御部100は、ステップS30の処理を行う。すなわち、ジョブに基づく印字をヘッドユニット24に実行させる。
なお、ステップS32で選択されたと判定されたジョブが、ジョブリスト画面204において、「印字結果シミュレーション」ボタンB42が押下されたジョブであった場合、制御部100は、ステップS26の処理を行う。すなわち、印字結果画像生成部108に印字結果画像を生成させる。
ステップS23で、メンテナンス実施要否一次判定の実施は指示されていないと判定された場合(ステップS23がNO判定の場合)、又は、ステップS25で、印字結果シミュレーションの実施は指示されていないと判定された場合(ステップS25がNO判定の場合)、制御部100は、ユーザーによって押下されたのは「いいえボタン」であるか否かを判定する(ステップS34)。メンテナンス実施要否一次判定の実施に関する「いいえボタン」は、吐出不良発生通知UI201(図8参照)の「いいえ」ボタンB2である。印字結果シミュレーションの実施に関する「いいえボタン」は、一次判定結果通知UI(図9参照)の「いいえ」ボタンB12である。
ステップS34で、ユーザーによって押下されたのは「いいえボタン」であると判定された場合、制御部100は、ステップS30の処理を行う。すなわち、ヘッドユニット24による印字を実行させる。一方、ステップS34で、ユーザーによって押下されたのは「いいえボタン」ではないと判定された場合、すなわち、押下されたのは「キャンセルボタン」であると判定された場合(ステップS34がNO判定の場合)、制御部100は、ステップS31の処理を行う。すなわち、ジョブリスト画面204を操作表示部52の画面に表示させる。
上述した実施形態では、品質判定部109が、ノズル状態情報と、インクジェットヘッド242によって印字予定の記録データと、に基づいて、記録媒体の一例である用紙Shに記録される画像の印字品質を判定する。また、メンテナンス実施要否判定部107が、品質判定部109による判定結果に基づいて、メンテナンス部60により自動で行われるメンテナンスの、その時点での実施の要否を判定する。つまり、本実施形態では、予め定められた自動メンテナンスの実施タイミングが到来した場合であっても、メンテナンス実施要否判定部107によってメンテナンスの実施は必要ないと判定された場合には、メンテナンスは実施されない。それゆえ、本実施形態によれば、印字画像の品質を維持するためのインクジェットヘッドのメンテナンスを、インクジェット記録装置1の生産性を維持可能な、より適切なタイミングで実施させることができる。
また、上述した実施形態では、メンテナンス実施要否判定部107は、印字予定の記録データにより示される印字画像形成領域に対してインクを吐出するノズル244において、吐出不良が発生しているか否かの情報に基づいて、メンテナンス部60によるメンテナンスの実施の要否を一次判定する。つまり、本実施形態では、ノズル244に吐出不良が発生している場合であっても、該ノズル244による吐出が行われる領域が、印字画像形成領域以外の領域である場合には、メンテナンス実施要否判定部107の一次判定において、メンテナンスの実施は不要であると判定される。それゆえ、本実施形態によれば、不要なメンテナンスが実施されることを防げるため、インクジェット記録装置1の生産性を維持することが可能となる。
また、上述した実施形態では、品質判定部109は、メンテナンス実施要否判定部107による一次判定において、メンテナンス部60によるメンテナンスの実施が必要であると判定された場合に、用紙Shに記録される画像の印字品質を判定する。そして、メンテナンス実施要否判定部107は、品質判定部109による判定結果に基づいて、メンテナンス部60によるメンテナンスの実施の要否を二次判定する。つまり、本実施形態では、ノズル244に吐出不良が発生している場合であっても、該吐出不良が印字品質に与える影響が少ない場合には、メンテナンス実施要否判定部107によって、メンテナンスの実施は不要であると判定される。それゆえ、本実施形態によれば、不要なメンテナンスが実施されることを防げるため、インクジェット記録装置1の生産性を維持することが可能となる。
また、上述した実施形態では、品質判定部109は、印字画像形成領域に対してインクを吐出するノズル244において吐出不良が発生している場合であっても、インクの色が、用紙Shに記録される画像の印字品質に及ぼす影響が低い色である場合には、印字品質に問題はないと判定する。それゆえ、本実施形態によれば、不要なメンテナンスが実施されることを防げるため、インクジェット記録装置1の生産性を維持することが可能となる。
また、上述した実施形態では、品質判定部109は、ノズル状態情報と、画像補正部106による画像補正が行われた印字予定の記録データと、に基づいて、用紙Shに記録される画像の印字品質を判定する。それゆえ、本実施形態によれば、ノズル244に吐出不良が発生している場合であっても、画像補正によって該吐出不良が目立たなくなる場合には、メンテナンス実施要否判定部107によって、メンテナンスの実施は不要であると判定される。それゆえ、本実施形態によれば、不要なメンテナンスが実施されることを防げるため、インクジェット記録装置1の生産性を維持することが可能となる。
また、上述した実施形態では、印字結果画像生成部108が、ノズル状態情報と、インクジェットヘッド242によって印字予定の記録データと、に基づいて、用紙Shに記録される画像である印字結果画像を生成する。そして、品質判定部109は、印字結果画像生成部108で生成された印字結果画像に基づいて、用紙Shに記録される画像の印字品質を判定する。つまり、本実施形態では、インクジェットヘッド242のノズル状態情報を反映させた印字結果画像に基づいて、品質判定部109によって印字品質が判定される。それゆえ、本実施形態によれば、メンテナンス実施要否判定部107は、メンテナンス部60によるメンテナンスの実施の要否を適切に判定できるため、インクジェット記録装置1の生産性の不要は低下を防止することができる。
また、上述した実施形態では、メンテナンス実施要否判定部107は、操作表示部52の入力部を介してユーザーにより入力された、操作表示部52に表示された印字結果画像の印字品質の判定結果に基づいて、メンテナンス部60によるメンテナンスの実施の要否を二次判定する。それゆえ、本実施形態によれば、ユーザーによる印字結果画像の確認結果に基づいて、メンテナンスの実施の要否が判定されるため、メンテナンスを、ユーザーにとってより適切なタイミングで実施することが可能となる。
また、上述した実施形態では、表示制御部110は、メンテナンス部60によるメンテナンスの実施の要否の一次判定、及び/又は、メンテナンスの実施の要否の二次判定を行う対象とするジョブをユーザーに選択させるジョブリスト画面204を操作表示部52に表示する。つまり、本実施形態によれば、メンテナンスの実施要否の判定を行う対象となるジョブをユーザーが選択できるため、例えば、印字枚数の少ないジョブが連続している場合等に、メンテナンスが頻繁に実施されてしまう状況の発生を防ぐことができる。それゆえ、インクジェット記録装置1の生産性を維持することが可能となる。
さらに、上述した実施形態では、印字結果画像生成部108は、用紙Shの種類とインクの種類との組み合わせにより定まる用紙Shへのインクの浸透特性の情報を用いて、印字結果画像を生成する。したがって、本実施形態によれば、品質判定部109による印字品質の判定に用いられる印字結果画像が、インクの滲みを反映させたものとなるため、品質判定部109は、次に印字される画像の品質をより適切に判定することができる。それゆえ、本実施形態によれば、メンテナンス実施要否判定部107は、メンテナンス部60によるメンテナンスの実施の要否を適切に判定できるため、メンテナンスを、インクジェット記録装置1の生産性を維持可能な、より適切なタイミングで実施させることができる。
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
また、上述した実施の形態例では、記録媒体として用紙を用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、記録媒体としては、例えば、布帛等のその他各種の記録媒体を適用できるものである。
また、例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために装置(インクジェット記録装置)の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、図6において実線で示す制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線又は情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。