以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。またコイン処理装置のコインとして硬貨を用いる両替機を例にして説明する。
図1は、両替機の斜視図である。本実施形態の両替機1は、例えばゲーム場や商店などに設置され、投入された貨幣と異なる金種の貨幣に交換する機器である。両替機には硬貨などのコインを処理するコイン処理装置と、紙幣を処理する紙幣処理装置が搭載されている。例えば、硬貨と紙幣の両方を処理する貨幣処理装置である両替機では紙幣を投入すると、投入した紙幣に等価の別金種の紙幣やコインが排出される。
両替機1は、箱形の筐体2と、筐体2の正面に開閉可能に取り付けられたドア3を備える。ドア3は、筐体2の上下に取り付けられた1対のヒンジ16によって、開閉可能に取り付けられている。
筐体2の下部には、両替機1が設置された場合に容易に転倒しないように、1対の転倒防止板4が取り付けられている。筐体2の底面に、略角部のそれぞれに突出して設けられた脚がある。転倒防止板4は筐体2の側面に沿って左右に2枚配置されている。筐体2の前後に配置された2本の脚に転倒防止板4がそれぞれ固定されている。転倒防止板4が、筐体2の上方から見た場合に、筐体2から突出して設けられているので、筐体が転倒し難くい構成となっている。
筐体2の側面に取手5が備わり、筐体2を移動させるときに取手5を把持して移動させることができる。また、筐体2の上部前方に監視カメラ15が配置されている。監視カメラ15は、両替機1を操作している者や、ドア3を開けて作業をしている者を撮像できるように、撮像方向が斜め下方に向けられている。また、操作している者以外にも、両替機1の前方近傍の所定範囲における画像も撮影できるように配置されている。
ドア3には、硬貨入金口6、硬貨払出口7、返却レバー8、紙幣入金口9、紙幣払出口10、カードリーダ11、タッチパネル式表示装置12、スピーカ13、ロック装置14が配置されている。
硬貨入金口6は、例えば、両替対象の500円硬貨が投入される。硬貨払出口7は、両替機1から払出された硬貨を受ける皿状の容器を備える。返却レバー8は、硬貨入金口6に投入された硬貨を返却するレバーである。返却レバー8を操作することで、硬貨入金口6に投入された硬貨が硬貨払出口7へ返却される。
紙幣入金口9は、両替対象の紙幣が投入される。紙幣払出口10からは両替紙幣が払い出される。
カードリーダ11は、非接触式のICカードを読み取る装置である。カードリーダ11にICカードをかざすことで、ICカードの情報を読み取ることが出来る。
タッチパネル式表示装置12は、ドア3の上部に位置し、操作する者が立位で目視でき、操作できるように配置されている。タッチパネル式表示装置12は、液晶表示パネル等の表示部および表示部に重ね合わされたタッチパネルを有する。タッチパネル式表示装置12は、文字記号を含む画像を表示できる表示手段である。また、触れる位置に応じた操作信号が出力される入力手段でもある。タッチパネル式表示装置12は、表示装置と入力装置の機能とを兼ね備える。
スピーカ13は、音声などの音を出力する。ロック装置14はドア3を施解錠する。監視カメラ15は、撮像方向が斜め下方に向けられているので、両替機1の前方近傍の所定範囲を撮影することができる。
図2は、両替機のドアを開けた状態の斜視図である。図2を用いて両替機1の内部構成について説明する。
筐体2の上方には、両替機1の全体の動作を制御する制御ユニット20が配置されている。制御ユニット20には、ユニット入力スイッチ21、ユニット表示装置22が備わり、データの入力及び文字記号などのデータの表示ができる。
制御ユニット20の下方に紙幣入出金ユニット31が配置されている。紙幣入出金ユニット31において上方に紙幣入金口9、紙幣払出口10が配置され、その下方に不図示の紙幣識別部、金種毎に紙幣を収納する紙幣収納部、紙幣を搬送する紙幣搬送部等が内蔵されている。紙幣入出金ユニット31は、紙幣入金口9に投入された紙幣の真偽および金種を紙幣識別部で識別し、10,000円、5,000円、1,000円紙幣を紙幣収納部に収納する。1,000円、5,000円紙幣を両替紙幣として紙幣払出口10に払い出す。
第1硬貨払出ユニット23と第2硬貨払出ユニット25の2つの硬貨払出ユニットが配置されている。第1硬貨払出ユニット23は、例えば100円硬貨を払出し、第2硬貨払出ユニット25は、例えば500円硬貨を払出す。第1硬貨払出ユニット23は一度の取扱量が多い100円硬貨を扱うので2台のコインホッパを備える。3台など複数台も良いが、その分大型化かしてしまう。第1硬貨払出ユニット23と第2硬貨払出ユニット25は、コインの一種である硬貨を払出すコイン払出ユニットとも言える。
第1硬貨払出ユニット23の上方には100円硬貨を貯留する第1硬貨貯留ユニット24が配置されている。第1硬貨払出ユニット23の下方には第1硬貨通路32が配置されている。第1硬貨通路32の下方には第1硬貨振分ユニット33が配置されている。第1硬貨振分ユニット33の下方には、第1硬貨回収通路34と第1硬貨排出開口部36が配置されている。第1硬貨回収通路34の下方には、第1硬貨回収袋35が配置されている。ドア3が閉められた状態で、第1硬貨排出開口部36はドア3に設けられた第1硬貨受け口37に接続される。
第1硬貨払出ユニット23は、第1硬貨貯留ユニット24に格納されている100円硬貨を、2台のコインホッパを用いて一枚ずつ分離して排出する。排出された硬貨は、不図示の硬貨払出センサで検知し、制御ユニット20の制御により計数する。第1硬貨払出ユニット23から排出された硬貨は第1硬貨通路32を介して第1硬貨振分ユニット33へ送られる。第1硬貨振分ユニット33は、硬貨を硬貨返却ユニット51か第1硬貨回収袋35のどちらか排出するように制御ユニット20の制御により振り分ける。硬貨返却ユニット51へ排出するように制御されれば、第1硬貨振分ユニット33から第1硬貨排出開口部36、第1硬貨受け口37を通り、硬貨返却ユニット51へ送られ、硬貨払出口7へ排出される。
第1硬貨貯留ユニット24の上方には、第1硬貨計数ユニット27が配置されている。第1硬貨計数ユニット27の上方には、第1硬貨投入ユニット28が配置されている。第1硬貨投入ユニット28に硬貨を投入すると、例えば100円硬貨を投入すると、その硬貨を第1硬貨計数ユニット27が一枚ずつ分離し、排出する。コイン投入ユニットについては、投入する硬貨を100円硬貨とする第1硬貨投入ユニット28を例にして説明するが、金種はこれに限るわけではない。
排出された硬貨は不図示のセンサにより計数される。排出された硬貨は、第1硬貨貯留ユニット24に収納される。第1硬貨計数ユニット27によって、硬貨を一枚ずつ計数しながら第1硬貨貯留ユニット24に収納することができる。第1硬貨貯留ユニット24に収納された硬貨は第1硬貨払出ユニット23によって一枚ずつ計数しながら排出されるので、第1硬貨貯留ユニット24に収納されている硬貨の枚数が制御ユニット20によって取得され、演算可能に把握できる。
第2硬貨払出ユニット25の上方には500円硬貨を貯留する第2硬貨貯留ユニット26が配置されている。第2硬貨払出ユニット25の下方には第2硬貨通路38が配置されている。第2硬貨通路38の下方には第2硬貨振分ユニット39が配置されている。第2硬貨振分ユニット39の下方には、第2硬貨回収通路40と第2硬貨排出開口部42が配置されている。第2硬貨回収通路40の下方には、第2硬貨回収袋41が配置されている。ドア3が閉められた状態で、第2硬貨排出開口部42はドア3に設けられた第2硬貨受け口43に接続される。
第2硬貨払出ユニット25は、第2硬貨貯留ユニット26に格納されている500円硬貨を、1台のコインホッパを用いて一枚ずつ分離して排出する。排出された硬貨は、不図示の硬貨払出センサで検知し、制御ユニット20の制御により計数する。第2硬貨払出ユニット25から排出された硬貨は第2硬貨通路38を介して第2硬貨振分ユニット39へ送られる。第2硬貨振分ユニット39は、硬貨を硬貨返却ユニット51か第2硬貨回収袋41のどちらか排出するように制御ユニット20の制御により振り分ける。硬貨返却ユニット51へ排出するように制御されれば、第2硬貨振分ユニット39から第2硬貨排出開口部42、第2硬貨受け口43を通り、硬貨返却ユニット51へ送られ、硬貨払出口7へ排出される。
筐体2の下方には、電源ユニット52が配置され、制御ユニット20及び制御ユニット20で制御される各種装置、ユニットに電源を供給する。
ドア3の裏面側において、上部にはタッチパネル式表示装置12、スピーカ13が固定されている。その下側には、紙幣入金口9と紙幣払出口10に対応する位置に紙幣入出開口44が設けられている。また、ドア3の裏面側には、カードリーダ11の制御部、ロック装置14が取り付けられている。
硬貨入金口6に接続された硬貨入金通路45が設けられ、投入された硬貨を硬貨識別ユニット46へ案内する。硬貨識別ユニット46では、投入された硬貨の真偽および金種を判別し、硬貨入金振分ユニット48へ送る。硬貨入金振分ユニット48では、硬貨識別ユニット46が、100円正貨と識別した硬貨を第1硬貨ドア金庫49排出し、500円正貨と識別した硬貨を第2硬貨ドア金庫50へ排出する。また、硬貨識別ユニット46が偽貨または100円、500円以外の正貨と識別した場合は、投入された硬貨を硬貨返却通路47へ送る。硬貨返却通路47に送られた硬貨は硬貨返却ユニット51へ送られ、硬貨払出口7へ排出される。
第1硬貨ドア金庫49は硬貨入金口6から投入された100円硬貨を、第2硬貨ドア金庫50は硬貨入金口6から投入された500円硬貨を、それぞれ収納する。
硬貨返却ユニット51は、硬貨払出口7へ接続されている。また、硬貨返却ユニット51は、第1硬貨受け口37、第2硬貨受け口43が設けられている。第1硬貨受け口37、第2硬貨受け口43に入った硬貨を硬貨払出口7へ排出する。
第2硬貨貯留ユニット26の上方には、第2硬貨計数ユニット29が配置されている。第2硬貨計数ユニット29の上方には、第2硬貨投入ユニット30が配置されている。第2硬貨投入ユニット30に硬貨を投入すると、例えば500円硬貨を投入すると、その硬貨を第2硬貨計数ユニット29が一枚ずつ分離し、排出する。排出された硬貨は不図示のセンサにより計数される。排出された硬貨は、第2硬貨貯留ユニット26に収納される。第2硬貨計数ユニット29によって、硬貨を一枚ずつ計数しながら第2硬貨貯留ユニット26に収納することができる。第2硬貨貯留ユニット26に収納された硬貨は第2硬貨払出ユニット25によって一枚ずつ計数しながら排出されるので、第2硬貨貯留ユニット26に収納されている硬貨の枚数が制御ユニット20によって取得され、演算可能に把握できる。
第1硬貨貯留ユニット24の扉には第1ロック53、第2硬貨貯留ユニット26の扉には第2ロック54が設置されている。これに合う鍵を用いなければ、メンテナンス用の扉を開けることはできない。この中には、硬貨が収納されているので、誰にでも扉を開けさせるわけにはいかない。ドア3を開けることのできる者が誰でも、第1硬貨貯留ユニット24あるいは第2硬貨貯留ユニット26を開けることができると、硬貨を自由に取ることができてしまい、セキュリティ上好ましくない。
ロック装置14は、ドア3を開けることが許可されている者が、すなわち、ICカードを持つ者が、ICカードをカードリーダ11にかざすことで、ロック装置14を解錠する。そして、ドア3を開けることができる。ロック装置14は、例えば電磁式ロックであり、駆動装置によって施錠、解錠を行うことができる。ICカードの紛失時などは、システム上で直ぐにICカードの効力を無効にできる。また、錠部分がドア3内部に配置されるので、外部からアクセスしにくく、破壊されにくい。また、紙幣入出金ユニット31にも不図示のロックシステムが備わる。鍵によってロックシステムを解錠し、内部に収納されている紙幣にアクセスが可能となる。通常の運用では、ICカードの認証によって連動するロック装置14と、ドア3を開けたときに操作する第1ロック53、第2ロック54あるいは紙幣入出金ユニット31のロックシステムとの2重のロックを用いている。これら2重のロックによって両替機1の内部あるいは収納している貨幣への不正アクセスから守ることができる。
カードリーダ11、ロック装置14は、制御ユニット20に接続され、制御される。制御ユニット20すなわち制御手段の制御により、ICカードをカードリーダ11によって読み取り、認証し、解錠できる権限のあることを認識できれば、ロック装置14を解錠する制御を行う。ICカードの固有番号と、そのICカードの権限を予め制御ユニット20に記憶し、ICカードを読み取ったときにデータを比較し、一致すれば正規の権限があると認識し、ロック装置14を制御する。
第1硬貨貯留ユニット24あるいは第2硬貨貯留ユニット26の扉を開けようとする者は、ロック装置14と第1ロック53または第2ロック54などのロックを解錠しなければならい。2種類の異なる種類の鍵が必要となり、不正に開けにくい。また、第1ロック53、第2ロック54、紙幣入出金ユニット31のロックの鍵を異なものにすれば、全てを解錠するのに時間がかかる。このように、全てのロックを解錠するのに、あるいはそのいくつかのロックを解錠するのに、複数箇所の作業が必要となり、その作業に時間がかかる。その間に警備員などを手配するなど対応を実施することも可能であり、また、監視カメラ15による撮影時間も長くなり、不正者を長時間撮影できるので、人物を特定しやすくなる。
このように、第1ロックシステムとして電気、電子的なロックと、第2ロックシステムとしてメカ的な鍵を用いたロックとを使用している。電子的ロックとメカ的なロックの種類の異なる2種類のロックを用いて、不正をしにくくしている。また、外部のロック、すなわちドア3のロックシステムは、内部に配置したロックシステムよりも、解錠しにくいロックを用いる。外部のロックを解錠しにくくして、内部を守る。また、一度開けてしまえば、作業性を良くするために、複雑なロックシステムは好ましくない。また、ドア3内には、他の装置などもあり、それらに対しても、破壊や盗難などから防ぐ必要があり、安全を考えなければならない。そのため、外部に使用するロックを、内部に使用するロックより解錠しにくく、破壊されにくいものを用いるのが好ましい。この様に、不正を低減乃至防止できるので、不正の抑止にもなる。
図3は、両替機の側方から見た場合の主要部の断面図である。
第1硬貨貯留ユニット24の上方には、第1硬貨計数ユニット27が配置されている。第1硬貨計数ユニット27の上方には、第1硬貨投入ユニット28が配置されている。第1硬貨投入ユニット28の下部には第1硬貨計数ユニット27に連通している開口部がある。第1硬貨投入ユニット28に硬貨を投入すると、その硬貨はその開口部を通り第1硬貨計数ユニット27に渡される。第1硬貨計数ユニット27が一枚ずつ硬貨を分離し、硬貨落口60から第1硬貨貯留ユニット24に排出される。硬貨落口60から落とされた硬貨は、スライダー部64の斜面を滑り、第1硬貨貯留ユニット24内に貯まる。第1硬貨貯留ユニット24内では、硬貨を第1硬貨払出ユニット23に案内するために、第1硬貨払出ユニット23方向に向かって第1斜面65、第2斜面66を含む傾斜部を設けてある。硬貨は、この傾斜部を伝って、第1硬貨払出ユニット23の貯留容器61に入る。貯留容器61の最下部に硬貨を一枚ずつ分離する分離部62が配置されている。また、ホッパ本体63には、分離部62を駆動するモータ、モータの駆動回路、硬貨を計数するセンサが配置されている。分離部62によって一枚ずつ分離された硬貨は、第1硬貨通路32へ排出される。第1硬貨通路32へ排出された硬貨は、前述の通り、第1硬貨回収袋35または硬貨払出口7へ排出される。第2硬貨投入ユニット30、第2硬貨計数ユニット29、第2硬貨貯留ユニット26、第2硬貨払出ユニット25の内部についても、これと同様の構成となっているので説明は省略する。
例えば、第1硬貨投入ユニット28には2,000枚の100円硬貨が、第2硬貨投入ユニット30には500枚の500円硬貨が投入される。それぞれ約9.6kg、3.5kgの重さとなる。重い硬貨を、高い位置まで持ち上げ、投入することになるので、投入口は取り扱いやすいものであることが好ましい。投入された硬貨が、途中で詰まらないように第1硬貨計数ユニット27あるいは第2硬貨計数ユニット29に案内する必要がある。
図4は、コインホッパの動作を説明する図である。コインホッパ70は、硬貨を1枚ずつ分離し、一枚ずつ払出し、払出した硬貨の枚数を計数することができる。第1硬貨払出ユニット23にはコインホッパが2台装着されている。コインホッパは貯留容器61に収納されている硬貨を分離部62で一枚ずつ分離して排出する装置である。この装置の動作について説明する。また、第1硬貨払出ユニット23の他に、第2硬貨払出ユニット25に1台、第1硬貨計数ユニット27に2台、第2硬貨計数ユニット29に1台のコインホッパが用いられ、硬貨を一枚ずつ排出しながら、排出される硬貨を検出し、硬貨の枚数を計数できるようにしている。
コインホッパ70の主要部としてホッパ本体63、分離部62、貯留容器61を備えている。図4では、貯留容器61やカバー等を外し、硬貨71の移動が分かる様にした状態の図であり、ホッパ本体63の上方から見た図である。
ホッパ本体63の上面には貯留容器61の最下部を含む部分と分離部を接続するための枠72が備わっている。ホッパ本体63の上面には、硬貨71を一枚ずつ保持する保持開口74が五つ設けられたディスク73と、分離された硬貨71を排出口77に一枚ずつ分けて移動させるホイール76が配置されている。硬貨71は、ディスク73とホイール76の動作に伴いホッパ本体63の上面の保持ベース75上を摺動する。排出口77に移動させたら硬貨71は、計数センサ78によって検出され、制御ユニット20によって計数される。硬貨71はディスク73側からホイール76側に、破線で示された矢印79で示された移動方向に移動する。固定されたピンに硬貨71を当接させ、移動方向に案内する。
貯留容器61の下部にある硬貨71は、ディスク73を反時計回りに回転させることで、1枚ずつ保持開口74に入り、保持ベース75上を摺動する。不図示のピンにより、硬貨71は、破線で示された矢印79で示された移動方向に移動させられ、ディスク73と連動して逆方向に回転するホイール76のアームに拾われて排出口77へ導かれる。ホイール76には5本のアームがあり、ディスク73の保持開口74と連動して回転する。ディスク73、ホイール76は、ホッパ本体63に設けられたモータによって駆動される。動作は制御ユニット20によって制御される。貯留容器61内にばら積みされた硬貨71を一枚ずつ分離し、計数しながら排出することができる。
図5は、両替機の第1硬貨投入ユニットの斜視図である。図6は、両替機の第1硬貨投入ユニットの蓋部分を外した状態の斜視図である。図7は、両替機の第1硬貨投入ユニットの蓋部分の裏面側からの斜視図である。図5〜図7を用いて両替機の第1硬貨投入ユニット28について説明する。また、第2硬貨投入ユニット30は、第1硬貨投入ユニット28より横幅が狭いが、第1硬貨投入ユニット28と同様の構成を備えているので説明を省略する。
両替機1に設けられた第1硬貨投入ユニット28は下部に第1硬貨計数ユニットに連通する開口を備える箱状の容器である。
第1硬貨投入ユニット28は、正面から見た場合に左右に箱側部80、奥側に箱背面部、上方に箱上部81、正面に扉82が配置された下方に開口のある箱状の容器である。すなわち、第1硬貨投入ユニット28の一方の面である正面には扉82が配置され、その左右、奥、上部がそれぞれ板で覆われた箱状の形態をしている。扉82の下部にはヒンジ83が配置され、扉82が開閉可能に取り付けられている。扉82にはロック部84が備わり、鍵85を回動させることで施錠及び解錠ができる。扉82の上部には不図示の開閉センサの被検知部88が、扉82から突出して設けられ、被検知部88の先端側は折り曲げられ、曲げ部を形成している。扉82の上部は手前に折り返すように曲げられた蓋取手87が設けられている。この蓋取手87を把持して手間に引くことで、ヒンジ83に固定されている扉82を開けることができる。ヒンジ83の回転軸の軸方向が扉82の下方の一辺に沿って配置されている。扉82はヒンジ83の回転方向に回動する。すなわち、第1硬貨投入ユニット28には、硬貨を投入する開口である投入口が設けられていて、その投入口に設けた扉82を背面から正面方向に移動可能にし、開けた状態と閉じた状態にする構成となっている。硬貨は、第1硬貨投入ユニット28の外部から、扉82を開けて、投入口から第1硬貨投入ユニット28の内部へ投入することになる。硬貨の投入時には、扉82の裏面が、投入される硬貨を内部へ案内することになる。
扉82には、第1硬貨投入ユニット28に収納される硬貨の収納上限ライン86が記されている。また第1硬貨投入ユニット28の内部にも同様に収納上限ライン86が記されている。この収納上限ライン86を超えて硬貨を収納した場合に、扉82が正常に閉まらない等の不具合が生じる可能性が発生する。扉82を閉めてから、計数が開始される。動作中に扉82を開けていると、硬貨が飛び出す恐れもあり、紛失等の問題が生じる。
第1硬貨投入ユニット28の内部には箱側部80に沿って内壁が配置されている。第1硬貨投入ユニット28の正面から見て左側の箱側部80の内側に第1内壁部92が離間して設けられ、箱側部80と第1内壁部92によって第1凹部93を形成している。すなわち、外側の壁と内側の壁を設け、それによって間に凹部を設ける。また、右側の箱側部80の内側に第2内壁部94が離間して設けられ、箱側部80と第2内壁部94によって第2凹部95を形成している。すなわち、外側の壁と内側の壁を設け、それによって間に凹部を設ける。箱側部80の正面側の上部には当接部91が設けられ、扉82を閉めるときに当接させることができる。当接部91は箱側部80の端部を折り曲げて形成している。
第1硬貨投入ユニット28の下部は開口している。第1硬貨投入ユニット28の開口に対向して、第1硬貨計数ユニット27に配置されコインホッパの硬貨の貯留容器の開口部が配置される。第1硬貨投入ユニット28の内壁に案内され、投入された硬貨がコインホッパの貯留容器に導かれる。第1硬貨投入ユニット28に投入された硬貨を、第1硬貨計数ユニット27で計数しながら排出することができる。
一度に多くの硬貨を投入できるように、第1硬貨計数ユニット27の背面側に外側に突出した斜面部90が設けられている。また、斜面部90がコインホッパの貯留容器へ硬貨を導けるようにもしている。また、投入された硬貨を高速に計数する為、コインホッパを2台用いる。コインホッパ間の隙間に硬貨が落下しないように、何れかのコインホッパに投入した硬貨が入るように、中央に分離突起89が設けられている。
扉82の左右の側端部が裏面側に曲げられ、第1蓋折り曲げ部96と第2蓋折り曲げ部97を形成している。すなわち扉82の両端部が曲げられ、曲げ部を形成している。第1蓋折り曲げ部96は第1凹部93に挿入され、第2蓋折り曲げ部97は第2凹部95に挿入されている。また、第1蓋折り曲げ部96及び第2蓋折り曲げ部97の先端には、当接突起103が設けられ、当接部91の裏面側に当接する。扉82が開けられたときに、所定の位置に停止させることができる。硬貨を投入し、硬貨が内部に入り易いように傾斜させている。傾斜角度は当接突起103の幅に基づき調整ができ、水平方向に対して1〜30度程度傾斜させることが好ましい。扉82を閉める方向に動かすことで、水平方向に対して扉82のなす角度が大きくなり、すなわち、扉82の角度が急になり、扉82上に置かれた硬貨は第1硬貨投入ユニット28の内部にある貯留容器の方向に滑り落ち、あるいは転がり落ちる。
扉82の裏面側には、硬貨を内部に案内する案内部が配置されている。この案内部は、扉82の表面から突出して設けられた凸部である。扉82と一体に形成されていても、別体を固定しても良い。
例えば、扉82の裏面側に固定されている扉内壁部98である。扉内壁部98の両端部が折り曲げられ、その折り曲げられた曲げ部同士の間に第1凸部99および第2凸部100が形成されている。これにより、第1蓋折り曲げ部96と第1凸部99の間には第1溝部101が、第2蓋折り曲げ部97と第2凸部100の間には第2溝部102が形成される。第1溝部101と第2溝部102の幅は、投入する硬貨の直径より狭く構成される。また、第1溝部101と第2溝部102の幅は、扉82を閉めたときに上方側が下方側に比べ狭く、下方に向かい漸次広がっている。扉82を閉めたときに、扉82の扉内壁部98の表面は鉛直方向に平行になり、下方は鉛直方向となる。このとき、第1溝部101と第2溝部102の幅は、下方を広くしているので閉めたときに、溝に硬貨が詰まらないようになる。また、扉内壁部98により、扉82の強度が増し、更に第1蓋折り曲げ部96と第2蓋折り曲げ部97によって強度が増している。硬貨を多量に支持することがあり、かなりの重量になる。そのため、強度を増し、硬貨の重さで撓むことによる不具合が生じないように構成されている。
折り曲げ部を形成したことで、硬貨を傾けて立て、転がして落とすことができる。しかし折り曲げ部が無くとも、そして効果は落ちるが、扉内壁部98の厚みによって、第1溝部101または第2溝部102が形成される。この幅が硬貨より狭ければ、硬貨が覆い被さっても隙間が生じ、摩擦力が低減でき、滑り落ちやすくなる。滑り落ちれば、最下位置で壁部の縁に当接し、弾かれるので、その場に留まり挟まることを防止できる。
また、第1溝部101および第2溝部102の幅は、投入される硬貨の直径よりも狭く、厚みよりも広く構成されている。また、扉82を閉めたときに、第1内壁部92と第1凸部99の間隔および第2内壁部94と第2凸部100の間隔は、投入される硬貨の直径より狭く、厚みよりも広く構成されている。扉82を閉めたときにでも、扉82の傾きで、硬貨が第1溝部101または第2溝部102を転がり落ち、挟まらないように、すなわち通過可能にできる。第1溝部101および第2溝部102の幅をこのようにすることで、扉82の裏面側に硬貨の表または裏面が接することを防止できる。
扉82を閉める場合は、水平方向に対して扉82のなす角度が大きくなり、最終的には90度の角度をなす場合を例にしたが、投入された硬貨が内部に滑り落ちれば良い。例えば60度以上の角度のように急であるのが好ましいが、例えば、45度以上であれば滑り落ちる。
第1硬貨投入ユニット28について説明したが、第2硬貨投入ユニット30も同様に構成されている。
第1硬貨投入ユニット28、第2硬貨投入ユニット30に投入された硬貨が、扉82を閉めたときに途中で詰まらないようにして、第1硬貨計数ユニット27あるいは第2硬貨計数ユニット29へ案内する必要がある。特に、扉82、箱側部80、第1内壁部92、第2内壁部94の縁や角では、投入された硬貨が挟まれたり、重なったりして開閉に問題が生じることを防止しなければならない。そのために、第1凸部99、第2凸部100を形成し、詰まりの防止をしている。
第1硬貨投入ユニット28、第2硬貨投入ユニット30は、両替機1の上部に配置されている。第1硬貨投入ユニット28、第2硬貨投入ユニット30が配置されている高さは、タッチパネル式表示装置12の配置されている高さに大凡等しくしている。タッチパネル式表示装置12は利用者が立位で目視、操作し易い位置なので、上下の中央が地上から110〜160cm程度になることが好まし。高い位置に配置された扉82まで、重い両替準備金を持ち上げ、投入することになる。そのため、扉82の強度を強くし、投入しやすく、また投入した両替準備金が途中で引っ掛かるなどの問題が生じない様にし、投入後に不具合があればメンテナンスし易くする必要がある。上部に配置するのは、両替準備金の補充が、両替機1の運用上の上流処理になるからである。投入する位置を格納する位置よりも高い位置にし、格納する位置を払出す位置よりも高い位置にすることで下から上にコインを搬送する機構を省くことが可能になり、この様な構成が好まし面がある。また、ここでは、タッチパネル式表示装置12と同等の位置に第1硬貨投入ユニット28、第2硬貨投入ユニット30が配置されている例を説明した。投入口の高さが、入力や表示装置以下であることが好まし。
図8は、硬貨を投入する場合の硬貨の動作を説明する第1の例の図である。扉82の裏面側に、第1凸部99および第2凸部100を備える扉内壁部98が配置されている。これにより、第1溝部101あるいは第2溝部102では、投入された硬貨71は第1凸部99または第2凸部100に表あるいは裏面を支えられ、硬貨71の側面あるいはエッジと扉82の裏面が接する状態となる。このような場合には、硬貨71は傾斜した扉82を転がりながら移動し、扉82に留まらずに第1硬貨計数ユニット27あるいは第2硬貨計数ユニット29へ案内される。
扉内壁部98の第1凸部99と第2凸部100の間では、第1凸部99または第2凸部100にもたれ掛った硬貨71は、硬貨71の側面あるいはエッジと扉内壁部98の表面が接する状態となる。このような場合には、硬貨71は傾斜した扉内壁部98を転がりながら移動し、扉内壁部98に留まらずに第1硬貨計数ユニット27へ案内される。また、硬貨71の表あるいは裏面が扉内壁部98の表面と接する場合は、扉82の閉じることで傾斜角度が増すので、そのまま第1硬貨計数ユニット27へ滑り落ちる。
第1凸部99または第2凸部100が仮に無かった場合に、破線で示された硬貨108のように、扉82の裏面と第2蓋折り曲げ部97で形成される角の部分に硬貨が存在できる。この様な場合に、第1内壁部92あるいは第2内壁部94と扉82の裏面の間に硬貨が挟まり、扉82が閉まらなくなる恐れが生じる。第1凸部99あるいは第2凸部100を配置することで、角では硬貨が立ち上がり、転がるので、扉82に留まらずに挟まることを防止できる。
図9は、硬貨を投入する場合の硬貨の動作を説明する第2の例の図である。扉82の裏面側に、第3凸部104および第4凸部105を備える扉内壁部98が配置されている。図8では、扉内壁部98の端部が折り曲げられた構成であったが、図9では、その代りに断面が半楕円形の柱状の凸部が扉内壁部98に設けられている。第3凸部104と第1蓋折り曲げ部96、第4凸部105と第2蓋折り曲げ部97の間にはそれぞれ第1溝部101、第2溝部102が構成されている。凸部の形状が変わるが、投入された硬貨を立てて転がし、角に留まることを防止し、硬貨が挟まることを防止している。形状が変わっても同様の効果がある。
図10は、硬貨を投入する場合の硬貨の動作を説明する第3の例の図である。扉82の裏面側に、第5凸部106および第6凸部107が配置されている。第5凸部106と第1蓋折り曲げ部96の間には第1溝部101、第6凸部107と第2蓋折り曲げ部97の間には第2溝部102が形成される。第5凸部106および第6凸部107が扉82に固定されている。投入された硬貨が角に留まることを防止し、硬貨が挟まることを防止している。扉82の裏面にリブ状の凸部を固定あるいは一体形成することでも同様の効果が期待できる。
図11は、硬貨を投入する場合の硬貨の動作を説明する第4の例の図である。扉82の端部を折り曲げて凹部を設けて第1溝部101、第2溝部102が構成されている。このように、第1蓋折り曲げ部96に沿って第1溝部101、第2蓋折り曲げ部97に沿って第2溝部102を設けることもできる。この様にしても同様の効果が期待できる。