JP2021124158A - 変速機及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動オイルポンプを備える変速機での電動モータの負荷減少に起因する油振発生を抑制する。【解決手段】変速機100は、インバータ4からの電流で制御される電動モータ3cにより駆動するEOP3bと、EOP3bの吐出油よりライン圧を生成するコントロールバルブユニット24と、インバータ4及びコントロールバルブユニット24を制御するコントローラ6と、を備える。コントローラ6は、電動モータ3cの目標回転速度と、電動モータ3cの目標回転トルクまたはEOP3bの目標油圧と、をインバータ4へ出力し、インバータ4は、電動モータ3cの目標回転速度及び実回転速度の偏差に基づき第1の電流指令値を算出するフィードバック制御と、目標回転トルクを第2の電流指令値に変換またはEOP3bの目標油圧を目標回転トルクに換算し換算した目標回転トルクを第2の電流指令値に変換するフィードフォワード制御と、の両方を行う。【選択図】図3
Description
本発明は、電動オイルポンプを備えた変速機に関する。
特許文献1には、ベルト無段変速機構と、エンジンによって常時駆動されてメカオイルポンプと、電動モータによって適宜駆動される電動オイルポンプと、を備える変速機が開示されている。当該変速機では、メカオイルポンプによる油の供給量が変速機内で必要な油量に対して不足しているときに電動オイルポンプを駆動させて油の供給をアシストする。
このような変速機では、変速機内で必要な油量が減ったことで電動オイルポンプから油を供給する必要がなくなったため電動モータを停止しようとする場面において、電動モータを停止させる前に油圧回路内の油圧が減少した場合、電動モータにかかる負荷が減少する。すると、電動モータの回転が吹き上がり、電動オイルポンプから油圧回路へ供給される油量が急増することで、油圧回路内のコントロールバルブでの調圧が間に合わなくなり、油振が発生する。この油振が油圧回路内を経てベルト無段変速機構のプーリシリンダ室にまで到達すると、変速比が変動し、車両が振動するおそれがある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、電動オイルポンプを備える変速機において、電動モータにかかる負荷の減少に起因する油振発生を抑制することを目的とする。
本発明のある態様によれば、インバータから供給される電流により回転が制御される電動機によって駆動する電動オイルポンプと、前記電動オイルポンプが吐出する油を調圧してライン圧を生成する油圧制御装置と、前記インバータおよび前記油圧制御装置を制御するコントロールユニットと、を備え、前記コントロールユニットは、前記電動機の目標回転速度と、前記ライン圧に基づく前記電動機の目標回転トルクまたは前記電動オイルポンプの目標油圧と、を前記インバータへ出力し、前記インバータは、前記目標回転速度と前記電動機の実回転速度との偏差に基づき第1の電流指令値を算出するフィードバック制御と、前記目標回転トルクを第2の電流指令値に変換する、または前記目標油圧を前記目標回転トルクに換算し換算して得られる前記目標回転トルクを前記第2の電流指令値に変換するフィードフォワード制御と、を行い、前記フィードバック制御と前記フィードフォワード制御の両方を行うことにより、前記インバータから前記電動機に供給される電流を前記第1の電流指令値及び前記第2の電流指令値に応じた電流に制御する、ことを特徴とする変速機、が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、インバータから供給される電流により回転が制御される電動機によって駆動する電動オイルポンプと、前記電動オイルポンプが吐出する油を調圧してライン圧を生成する油圧制御装置と、を備える変速機の制御方法であって、前記電動機の目標回転速度と、前記ライン圧に基づく前記電動機の目標回転トルクまたは前記電動オイルポンプの目標油圧と、を算出し、前記目標回転速度と前記電動機の実回転速度との偏差に基づき第1の電流指令値を算出するフィードバック制御と、前記目標回転トルクを第2の電流指令値に変換する、または前記目標油圧を前記目標回転トルクに換算し換算して得られる前記目標回転トルクを前記第2の電流指令値に変換するフィードフォワード制御と、を行い、前記フィードバック制御と前記フィードフォワード制御の両方を行うことにより、前記インバータから前記電動機に供給される電流を前記第1の電流指令値及び前記第2の電流指令値に応じた電流に制御する、ことを特徴とする変速機の制御方法が提供される。
上記これらの態様によれば、インバータから電動機へ供給する電流を、電動機の負荷変動に応じて制御する。そのため、電動機を停止させる前に電動機にかかる負荷が減少する場合には、電動機にかかる負荷の減少に伴って、電動機に供給される電流が減少する。これによって、電動機の回転吹き上がりを抑制し、油振発生を抑制することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
まず、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る変速機が搭載される車両の構成について説明する。車両は、エンジン1と、変速機100と、駆動輪5と、を備える。変速機100は、変速機構(以下、「CVT」という。)2と、オイルポンプユニット3と、コントロールユニットとしてのコントローラ6と、を備える。
エンジン1は、ガソリン、軽油等を燃料とする内燃機関であり、走行用駆動源として機能する。エンジン1は、コントローラ6からの指令に基づいて、回転速度、回転トルク等が制御される。
CVT2は、トルクコンバータ21と、前後進切替機構22と、バリエータ23と、油圧制御装置としての油圧コントロールバルブユニット(以下、「バルブユニット」という。)24と、油を貯留するオイルパン25と、を備える。
トルクコンバータ21は、エンジン1と駆動輪5との間の動力伝達経路上に設けられる。トルクコンバータ21は、流体を介して動力を伝達する。また、トルクコンバータ21は、ロックアップクラッチ21aを有する。ロックアップクラッチ21aが締結されると、トルクコンバータ21の入力軸21bと出力軸21cとが直結し、入力軸21bと出力軸21cとが同速回転する。
前後進切替機構22は、トルクコンバータ21とバリエータ23との間の動力伝達経路上に配置される。前後進切替機構22は、ダブルピニオン遊星歯車組を主たる構成要素とし、そのサンギヤを、トルクコンバータ21を介してエンジン1に結合し、キャリアをプライマリプーリ23aに結合する。前後進切替機構22は更に、ダブルピニオン遊星歯車組のサンギヤ及びキャリア間を直結する前進クラッチ22a、及びリングギヤを固定する後進ブレーキ22bを備え、前進クラッチ22aの締結時にエンジン1からトルクコンバータ21を経由した入力回転をそのままプライマリプーリ23aに伝達し、後進ブレーキ22bの締結時にエンジン1からトルクコンバータ21を経由した入力回転を逆転減速してプライマリプーリ23aへ伝達する。前進クラッチ22a及び後進ブレーキ22bは、コントローラ6からの指令に基づき、オイルポンプユニット3の吐出圧を元圧としてバルブユニット24によって調圧された油によって制御される。
バリエータ23は、前後進切替機構22と駆動輪5との間の動力伝達経路上に配置され、車速やアクセルペダル開度等に応じて変速比を無段階に変更する。バリエータ23は、プライマリプーリ23aと、セカンダリプーリ23bと、両プーリ23a、23bに巻き掛けられた動力伝達要素としてのベルト23cと、を備える。プーリ圧によりプライマリプーリ23aの可動プーリとセカンダリプーリ23bの可動プーリとを軸方向に動かし、ベルト23cのプーリ接触半径を変化させることで、変速比を無段階に変更する。プライマリプーリ23aに作用するプーリ圧及びセカンダリプーリ23bに作用するプーリ圧は、オイルポンプユニット3の吐出圧を元圧としてバルブユニット24によって調圧される。
バリエータ23のセカンダリプーリ23bの出力軸には、図示しない終減速ギヤ機構を介してディファレンシャル7が接続される。ディファレンシャル7には、ドライブシャフト8を介して駆動輪5が接続される。
図1および図2を参照して、オイルポンプユニット3について説明する。図2に示すように、オイルポンプユニット3は、機械式オイルポンプ(以下、「MOP」という。)3aと、電動オイルポンプ(以下、「EOP」という。)3bと、電動モータ3cと、チェックバルブ3d,3eと、リリーフバルブ3fと、を備える。
図1に示すように、MOP3aは、エンジン1の回転が入力されエンジン1の動力の一部を利用して駆動される。MOP3aは、オイルパン25に貯留される油を吸い上げ、オイルポンプユニット3とCVT2とを繋ぐ図示しない油圧回路を介して、バルブユニット24に油を供給する。バルブユニット24に供給された油は、プライマリプーリ23a及びセカンダリプーリ23bの駆動や、前進クラッチ22a及び後進ブレーキ22bの駆動、CVT2の各要素の潤滑などに用いられる。エンジン1が停止している場合は、MOP3aは駆動されず、油はMOP3から吐出されない。MOP3の固有吐出量は、アイドリング状態で変速機100に十分な油量を供給できる程度に設定される。
EOP3bは、電動機としての電動モータ3cから回転動力が伝達されることで駆動する。電動モータ3cは、コントローラ6からの指令値に基づいてインバータ4により作り出された電流が供給されることによって、回転速度や回転トルクが制御されて駆動する。電動モータ3cによる回転動力によって駆動するEOP3bは、オイルパン25に貯留される油を吸い上げ、オイルポンプユニット3とCVT2とを繋ぐ図示しない油圧回路を介して、バルブユニット24に油を供給する。バルブユニット24に供給された油は、プライマリプーリ23a及びセカンダリプーリ23bの駆動や、前進クラッチ22a及び後進ブレーキ22bの駆動、CVT2の各要素の潤滑などに用いられる。EOP3bを駆動することで、MOP3が駆動されないエンジン1の停止中でも油をバルブユニット24に供給することができる。また、MOP3aから供給される油量が変速機100で必要な油量に対して不足しているときには、EOP3bを駆動することで不足分の油量をアシストすることができる。
図2に示すように、チェックバルブ3dは、MOP3aよりも下流側であってリリーフバルブ3fよりも上流側に設けられる。チェックバルブ3dは、MOP3aが吐出した油がMOP3a側へ逆流することを防ぐ。
図2に示すように、チェックバルブ3eは、EOP3bよりも下流側であってリリーフバルブ3fよりも上流側に設けられる。チェックバルブ3eは、EOP3aが吐出した油がEOP3a側へ逆流することを防ぐ。
図2に示すように、リリーフバルブ3fは、チェックバルブ3d,3eよりも下流側に設けられる。リリーフバルブ3fは、EOP3bが供給する油圧が設定値以上になると、油圧をリリーフする。
図1に戻り、コントローラ6について説明する。コントローラ6は、中央演算装置(CPU)、記憶装置(ROM及びRAM)および入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ6は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することで車両の各部の制御を行う。
コントローラ6には、エンジン1の回転速度Ne(=トルクコンバータ21の入力軸21bの回転速度(ポンプ回転速度))を検出する第1回転速度センサ51、トルクコンバータ21の出力軸21cの回転速度Nt(タービン回転速度)を検出する第2回転速度センサ52、プライマリプーリ23aの回転速度Np及び回転方向を検出する第3回転速度センサ53、セカンダリプーリ23bの回転速度Nsを検出する第4回転速度センサ54、車速を検出する車速センサ55、セレクトレンジ(前進(D)レンジ、後進(R)レンジ、ニュートラル(N)レンジ及びパーキング(P)レンジを切り替えるセレクトレバー又はセレクトスイッチの状態)を検出するインヒビタスイッチ56、アクセルペダル開度を検出するアクセル開度センサ57、ブレーキの踏力を検出する踏力センサ58、等からの信号が入力される。コントローラ6は、入力されるこれら信号に基づき、エンジン1、CVT2、電動モータ3c、インバータ4の各種動作を制御する。
ところで、油の供給をアシストするEOP3bを備える変速機100では、変速機100で必要となる油の量が車両の走行状態に応じて変化することに対応するために、EOP3bによる油の供給をフィードバック制御することがよく知られている。
しかしながら、フィードバック制御のみでEOP3bによる油の供給を制御する場合、変速機100で必要な油量が減ったことでEOP3bから油を供給する必要がなくなったため電動モータ3cを停止しようとする場面において、電動モータ3cを停止させる前に油圧回路内の油圧が減少した場合には、電動モータ3cにかかる負荷が減少する。すると、電動モータ3cの回転が吹き上がり、EOP3bから油圧回路へ供給される油量が急増することで、バルブユニット24での調圧が間に合わなくなり、油振が発生する。この油振がCVT2のプーリ23a,23bにまで到達すると、変速比が変動し、車両が振動するおそれがある。
そこで、本実施形態では、EOP3bによる油の供給を制御するべく電動モータ3cを制御するにあたり、フィードバック制御によって回転速度を制御するのに加えて、フィードフォワード制御によって回転トルクを制御する。
図3は、EOP3bの制御に係る要部およびコントローラ6の制御機能ブロック図を示す図である。コントローラ6は、目標回転速度算出部61と、目標回転トルク算出部63と、を有する。インバータ4は、速度制御部62と、トルク制御部64と、電流制御部65と、を有する。
車両の走行状態によって、EOP3bによる油の供給のアシストが必要な場面となると、コントローラ6は、EOP3bから供給する必要がある油圧(以下、EOP3b目標油圧という。)と、EOP3bから供給する必要がある流量(以下、EOP3b目標流量という。)を算出して、目標回転速度算出部61に入力する。目標回転速度算出部61は、入力されるEOP3b目標油圧およびEOP3b目標流量に基づいて、EOP3bがEOP3b目標油圧およびEOP3b目標流量に相当する油を供給するために電動モータ3cを回転させるべき速度(以下、電動モータ3cの目標回転速度という。)を算出する。算出された電動モータ3cの目標回転速度は、速度制御部62に入力される。
速度制御部62は、目標回転速度算出部61から入力される電動モータ3cの目標回転速度と、電動モータ3cから入力される電動モータ3cの実回転速度との偏差に基づいたフィードバック制御により、電動モータ3cの実回転速度を電動モータ3cの目標回転速度に近づけるための第1の電流指令値を算出する。算出された第1の電流指令値は、電流制御部65に入力される(第1の電流指令値によるフィードバック制御)。
ところで、オイルポンプユニット3とCVT2とを繋ぐ油圧回路内の油圧は、バルブユニット24により車両の走行状態に応じて変動するため、EOP3bおよび電動モータ3cにかかる負荷も車両の走行状態に応じて変動する。当該負荷の変動を考慮して電動モータ3cの回転トルクを制御すれば、かかる負荷の変動に応じてEOP3bを駆動することができる。ここで、EOP3bがEOP3b目標油圧およびEOP3b目標流量に相当する油を供給するために電動モータ3cを回転させるべきトルク(以下、電動モータ3cの目標回転トルクという。)は、EOP3bの固有吐出量、EOP3bの回転速度、油圧回路内のライン圧に基づいて予め算出することができる。
そこで、コントローラ6の目標回転トルク算出部63は、目標回転速度算出部61および速度制御部62による上記制御と同じタイミングで、EOP3bの固有吐出量、EOP3bの回転速度、油圧回路内のライン圧に基づいて、電動モータ3cの目標回転トルクを算出する。算出された電動モータ3cの目標回転トルクは、トルク制御部64に入力される。
トルク制御部64は、算出された電動モータ3cの目標回転トルクに基づいてフィードフォワード制御により電動モータ3cの実回転トルクを電動モータ3cの目標回転トルクに制御するための第2の電流指令値を算出する。算出された第2の電流指令値は、電流制御部65に入力される(第2の電流指令値によるフィードフォワード制御)。
電流制御部65は、速度制御部62から入力される第1の電流指令値と、トルク制御部64から入力される第2の電流指令値とに基づいて、電動モータ3cへの出力電流が、第1の電流指令値及び第2の電流指令値に応じた電流となるように制御する。また、電流制御部65は、第1の電流指令値及び第2の電流指令値(出力電流の指令値)とインバータ4から実際に出力される出力電流の値(出力電流の実際値)との偏差に基づき、インバータ4から出力される電流が第1の電流指令値及び第2の電流指令値に応じた電流となるようフィードバック制御する。
インバータ4は、第1の電流指令値及び第2の電流指令値に応じた電流を作り出し、当該電流を電動モータ3cに供給する。当該電流が供給された電動モータ3cは、電動モータ3cの目標回転速度および電動モータ3cの目標回転トルクにて駆動する。電動モータ3cが目標回転速度および目標回転トルクにて駆動して回転動力をEOP3bに伝達させることで、EOP3bは、EOP3b目標油圧およびEOP3b目標流量に相当する油を油圧回路(バルブユニット24)へ供給する。当該制御は、EOP3bおよび電動モータ3cにかかる負荷の変動(油圧回路内の油圧の変動)に応じて順次実行される。
上記ではコントローラ6が目標回転速度算出部61及び目標回転トルク算出部63を有する構成について説明したが、目標回転トルク算出部63は、コントローラ6に代わってインバータ4が有する構成であってもよい。当該構成の場合には、目標回転トルク算出部63には、コントローラ6が算出したEOP3b目標油圧が入力される。目標回転トルク算出部63は、入力されたEOP3b目標油圧を電動モータ3cの目標回転トルクに換算し、換算して得られる電動モータ3cの目標回転トルクをトルク制御部64に入力する。トルク制御部64以降の制御内容は、コントローラ6が目標回転トルク算出部63を有する構成での制御内容と同様であるため、説明を割愛する。
上記で説明した制御を実施することによる作用効果について、比較例と対比させて以下に説明する。
図4は、比較例のEOP3bの制御ブロック図である。図3に示したブロック図と共通の構成には、同じ参照符号を付してある。図4に示すように、比較例のEOP3bの制御では、フィードバック制御のみが行われ、本実施形態(図3)のようなフィードフォワード制御は行われない。すなわち、電流制御部65は、速度制御部62から入力される第1の電流指令値のみに基づいて、インバータ4から出力される電流をフィードバック制御する。図4に示すフィードバック制御は、上記以外は図3に示すフィードバック制御と同様であるため、説明を割愛する。
図5Aは、図4に示す比較例のEOP3bの制御を実施した場合における油圧変化のタイムチャートである。破線はEOP3b目標油圧を示し、実線はEOP3bから供給する実油圧を示す。図5Bは、図4に示す比較例のEOP3bの制御を実施した場合における油量変化のタイムチャートである。破線はEOP3b目標流量を示し、実線はEOP3bから供給する実流量を示す。図5Bの時刻t1〜t7は、図5Aの時刻t1〜t7に対応する。
図5A,図5Bの時刻t1以降、車両の走行状態によって、EOP3bによる油の供給のアシストが必要な場面となる。ここで、コントローラ6が図4に示す制御を実施することで、EOP3bは油を供給する。図5Aの時刻t2において、EOP3bの実油圧はEOP3b目標油圧に到達し、図5Bの時刻t4において、EOP3bの実流量はEOP3b目標流量に到達する。
図5A,図5Bの時刻t5以降、車両の走行状態によって変速機100内で必要な油量が減ったことでEOP3bから油を供給する必要がなくなったため、コントローラ6が電動モータ3cを停止しようとする場面となる。この場面において、電動モータ3cを停止させる前に油圧回路内の油圧が減少した場合、電動モータ3cにかかる負荷が減少する。すると、電動モータ3cの回転が吹き上がるため、EOP3bから油圧回路へ供給される油量、すなわちEOP3bの実流量が急増する(図5B 時刻t5〜t6参照)。一方、バルブユニット24は、時刻t5以降、油圧回路内の油圧を下げる方向に稼働しているため、EOP3bの実流量が急増して油圧回路の油量が急増すると調圧が間に合わなくなる。そのため、油圧回路内に油振が発生する(図5A 時刻t6〜t7参照)。油振が油圧回路内を経てCVT2のプーリ23a,23bにまで到達すると、変速比が変動し、車両が振動するおそれがある。
これに対して、本実施形態にかかるEOP3bの制御を実施中に、図5A,図5Bと同様の場面となった場合について、図6A,図6Bを参照して説明する。
図6Aは、図3に示す本実施形態のEOP3bの制御を実施した場合における油圧変化のタイムチャートである。破線はEOP3b目標油圧を示し、実線はEOP3bから供給する実油圧を示す。図6Bは、図3に示す本実施形態のEOP3bの制御を実施した場合における油量変化のタイムチャートである。破線はEOP3b目標流量を示し、実線はEOP3bから供給する実流量を示す。また、一点鎖線は、比較例の制御を実施した場合の実流量(すなわち図5Bの実線)を示す。図6A,図6Bの時刻t11〜13、t15〜t17は、図5A,図5Bの時刻t1〜t3、t5〜t7に対応する。
図6A,図6Bの時刻t11以降、車両の走行状態によってEOP3bによる油の供給のアシストが必要な場面となる。ここで、コントローラ6及びインバータ4が図3に示す制御を行うことで、インバータ4は、電動モータ3cの目標回転速度に加えて電動モータ3cの目標回転トルクに応じた指令値に基づいた電流を作り出し、当該電流を電動モータ3cに供給する。そのため、電動モータ3cは、電動モータ3cにかかる負荷に応じた電流によって駆動する。電動モータ3cが駆動することによって、EOP3bは油を供給する。図6Aの時刻t12以降、EOP3bの実油圧はEOP3b目標油圧に到達し、図6Bの時刻t14において、EOP3bの実流量はEOP3b目標流量に到達する。
図6A,図6Bの時刻t15以降、図5A,図5Bの時刻t5以降と同様にコントローラ6が電動モータ3cを停止しようとする場面において、電動モータ3cを停止させる前に油圧回路内の油圧が減少した場合には、電動モータ3cにかかる負荷の減少に伴って、電動モータ3cに供給される電流も減少する。そのため、図6Bに示すように、時刻t15以降、EOP3bの実流量を、減少するEOP3b目標流量に追従させて減少させることができる。よって、一点鎖線で示す比較例の様に、電動モータ3cの回転が吹き上がって油圧回路内の油量が急増して油振が発生することを防ぐことができる。すなわち、本実施形態によれば、電動モータ3cを停止しようとする場面において電動モータ3cを停止させる前に油圧回路内の油圧が減少した場合でも、油振の発生を抑制することができる。
また、電動モータ3cは、電動モータ3cにかかる負荷が増加する場面でも、当該負荷に応じた電流によって制御される。そのため、本実施形態によれば、油圧を増加させながら流量が増加する場面では、実流量を素早く目標流量に到達させることができる。図6Bを参照すれば、油圧を増加させながら流量が増加する場面(時刻t13以降)において、実流量は時刻t14の時点で目標流量に到達する。一方、比較例の場合では、実流量が目標流量に到達するのは。時刻t14よりも遅い時刻t4である。このように、本実施形態によれば、油圧を増加させながら流量が増加する場面での流量の応答性(EOP3bの実流量がEOP3b目標流量に到達するまでの早さ)を向上させることができる。
続いて、これまで説明した実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態では、変速機100は、インバータ4から供給される電流により回転が制御される電動モータ3cによって駆動する電動オイルポンプ3bと、電動オイルポンプ3bが吐出する油を調圧してライン圧を生成するコントロールバルブユニット24と、インバータ4およびコントロールバルブユニット24を制御するコントローラ6と、を備える。また、コントローラ6は、電動モータ3cの目標回転速度と、ライン圧に基づく電動モータ3cの目標回転トルクまたはEOP3bの目標油圧と、をインバータ4へ出力し、インバータ4は、電動モータ3cの目標回転速度と電動モータ3cの実回転速度との偏差に基づき第1の電流指令値を算出するフィードバック制御と、目標回転トルクを第2の電流指令値に変換する、またはEOP3bの目標油圧を目標回転トルクに換算し換算して得られる目標回転トルクを第2の電流指令値に変換するフィードフォワード制御と、の両方を行うことにより、インバータ4から電動モータ3cに供給される電流を第1の電流指令値及び第2の電流指令値に応じた電流に制御する。
この構成によれば、電動モータ3cには、電動モータ3cにかかる負荷の変動に応じた電流が供給される。そのため、電動モータ3cを停止させる前に電動モータ3cにかかる負荷が減少する場合には、電動モータ3cにかかる負荷の減少に伴って、電動モータ3cに供給される電流も減少する。そのため、電動モータ3cの回転が吹き上がらず、油振の発生を抑制することができる(請求項1、2に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
100 変速機
3b 電動オイルポンプ
3c 電動モータ(電動機)
4 インバータ
6 コントローラ(コントロールユニット)
24 油圧コントロールバルブユニット(油圧制御装置)
3b 電動オイルポンプ
3c 電動モータ(電動機)
4 インバータ
6 コントローラ(コントロールユニット)
24 油圧コントロールバルブユニット(油圧制御装置)
Claims (2)
- インバータから供給される電流により回転が制御される電動機によって駆動する電動オイルポンプと、
前記電動オイルポンプが吐出する油を調圧してライン圧を生成する油圧制御装置と、
前記インバータおよび前記油圧制御装置を制御するコントロールユニットと、
を備え、
前記コントロールユニットは、
前記電動機の目標回転速度と、前記ライン圧に基づく前記電動機の目標回転トルクまたは前記電動オイルポンプの目標油圧と、を前記インバータへ出力し、
前記インバータは、
前記目標回転速度と前記電動機の実回転速度との偏差に基づき第1の電流指令値を算出するフィードバック制御と、
前記目標回転トルクを第2の電流指令値に変換する、または前記目標油圧を前記目標回転トルクに換算し換算して得られる前記目標回転トルクを前記第2の電流指令値に変換するフィードフォワード制御と、を行い、
前記フィードバック制御と前記フィードフォワード制御の両方を行うことにより、前記インバータから前記電動機に供給される電流を前記第1の電流指令値及び前記第2の電流指令値に応じた電流に制御する、
ことを特徴とする変速機。 - インバータから供給される電流により回転が制御される電動機によって駆動する電動オイルポンプと、
前記電動オイルポンプが吐出する油を調圧してライン圧を生成する油圧制御装置と、
を備える変速機の制御方法であって、
前記電動機の目標回転速度と、前記ライン圧に基づく前記電動機の目標回転トルクまたは前記電動オイルポンプの目標油圧と、を算出し、
前記目標回転速度と前記電動機の実回転速度との偏差に基づき第1の電流指令値を算出するフィードバック制御と、
前記目標回転トルクを第2の電流指令値に変換する、または前記目標油圧を前記目標回転トルクに換算し換算して得られる前記目標回転トルクを前記第2の電流指令値に変換するフィードフォワード制御と、を行い、
前記フィードバック制御と前記フィードフォワード制御の両方を行うことにより、前記インバータから前記電動機に供給される電流を前記第1の電流指令値及び前記第2の電流指令値に応じた電流に制御する、
ことを特徴とする変速機の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020017195A JP2021124158A (ja) | 2020-02-04 | 2020-02-04 | 変速機及びその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020017195A JP2021124158A (ja) | 2020-02-04 | 2020-02-04 | 変速機及びその制御方法 |
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JP2021124158A true JP2021124158A (ja) | 2021-08-30 |
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ID=77459365
Family Applications (1)
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JP2020017195A Pending JP2021124158A (ja) | 2020-02-04 | 2020-02-04 | 変速機及びその制御方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2021124158A (ja) |
-
2020
- 2020-02-04 JP JP2020017195A patent/JP2021124158A/ja active Pending
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