JP2021119040A - 記録装置 - Google Patents

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菜穂 足達
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勝成 熊谷
健介 玉井
Kensuke Tamai
健介 玉井
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Tatsuya Ito
達也 伊藤
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Abstract

【課題】搬送過程で浮き上がった媒体が、複数の押さえ部材の間に入り込んで記録ヘッドに接触することを効果的に抑制できる記録装置を提供する。【解決手段】記録装置は、記録ヘッド25と、キャリッジ24と、支持部材とを備える。キャリッジ24には、第1方向の一例である走査方向Xにおいて記録ヘッド25を挟んだ両側に一対の押さえ機構81,82を備える。押さえ機構81,82は、走査方向Xと交差する第2方向の一例である搬送方向Yに間隔をあけて位置するとともに、記録ヘッド25の下面25Bよりも支持部材に近づく方向に突出する複数の押さえローラー83,84を備える。第1押さえ機構81を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構82を構成する複数の押さえローラー84とは、搬送方向Yにおける位置が互いにずれて位置する。【選択図】図5

Description

本発明は、搬送された媒体に記録する記録ヘッドがキャリッジに設けられた記録装置に関する。
特許文献1には、媒体を搬送する搬送部と、媒体を支持する支持部と、支持部に支持された媒体に記録する記録ヘッドと、記録ヘッドが設けられたキャリッジとを備える記録装置が開示されている。
この記録装置は、媒体の搬送方向と交差する走査方向に移動するキャリッジの底面に、用紙押さえ機構を備える。用紙押さえ機構は、キャリッジ底面に記録ヘッドを挟んだ両側に複数の押さえ部材を備える。複数の押さえ部材は、キャリッジの走査方向と平行な方向に間隔を開けて配列されている。複数の押さえ部材は、記録ヘッドのノズル面よりも支持部側に突出している。押さえ部材は、浮き上がった媒体をそれ以上浮き上がらないように押さえるので、媒体が記録ヘッドに接触することを回避できる。よって、浮き上がった媒体が記録ヘッドに接触して発生する媒体ジャムや、媒体が記録ヘッドのノズル面に接触してノズル面に付着しているインク等が転写されることによる汚れ等の不都合を防止している。
特許文献1に記載された記録装置では、記録ヘッドを挟む両側に複数個ずつ設けられた押さえ部材は、記録ヘッドを挟む両側で、媒体の搬送方向における位置が同じになっている。つまり、複数の押さえ部材は、記録ヘッドを挟む両側で、走査方向に互いに対向する位置にある。
特開平10−211748号公報
しかしながら、特許文献1の記録装置では、搬送中に浮き上がった媒体が押さえ部材の隙間に侵入したり、搬送方向に波を打つように湾曲した波状の媒体の山部が押さえ部材の隙間に入り込んだりし、媒体と記録ヘッドとが擦れるヘッド擦れが発生する、という課題がある。ヘッド擦れは、例えば、媒体のジャムや媒体のインク汚れの原因となる。
上記課題を解決する記録装置は、媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドを保持して、前記媒体の搬送方向と交差する方向である走査方向に往復移動するキャリッジと、前記媒体を支持する支持部材と、を備え、前記キャリッジは、第1方向において前記記録ヘッドを挟んだ両側に一対の押さえ機構を備え、前記押さえ機構は、前記第1方向と交差する第2方向に間隔をあけて位置するとともに、前記記録ヘッドの下面よりも前記支持部材に近づく方向に突出する複数の押さえ部材を備え、前記一対の前記押さえ機構のうち第1押さえ機構を構成する複数の前記押さえ部材と、第2押さえ機構を構成する複数の前記押さえ部材とは、前記第2方向における位置が互いにずれて位置する。
第1実施形態における記録装置の斜視図。 カバーを開けた状態にある記録装置を示す斜視図。 筐体を取り外した状態にある記録装置を示す斜視図。 キャリッジ及びその走査領域の周辺を示す側断面図。 キャリッジを示す底面図。 キャリッジの下部を示す側面図。 比較例のキャリッジの下部を示す側面図。 押さえローラーの媒体誘導作用を説明する部分側面図。 押さえローラーの媒体誘導作用を説明する部分側面図。 記録装置の電気的構成を示すブロック図。 第2実施形態における押さえローラーが退避位置にあるときのキャリッジの下部を示す側断面図。 押さえローラーが突出位置にあるときのキャリッジの下部を示す側断面図。 可動式の押さえ機構を示す模式側面図。 可動式の押さえ機構を示す模式斜視図。 レバー付きガイドレールを示す正面図。 押さえローラーが退避位置にあるときの押さえ機構を示す正面図。 押さえローラーが突出位置にあるときの押さえ機構を示す正面図。 記録装置におけるレーベル記録領域と変位領域とを示す模式平面図。 押さえ機構を切り替える切替動作を説明する模式底面図。 押さえ機構を切り替える切替動作を説明する模式背面図。 押さえ機構制御処理を含む記録制御を示すフローチャート。 変更例におけるキャリッジの下部を示す側面図。
(第1実施形態)
以下、記録装置の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1では、記録装置11が水平面上に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸は後述する記録ヘッドの走査方向と平行な仮想軸であり、Y軸は記録時の媒体の搬送方向と平行な仮想軸である。また、Z軸は鉛直方向と平行な仮想軸である。X軸と平行な方向であって、キャリッジ24が移動するときの往動方向と復動方向の両方を指して走査方向Xという。Y軸と平行な一方向が、記録ヘッドが媒体に記録する記録位置における媒体の搬送方向Yを指す。記録ヘッド25が媒体に記録するときの媒体の搬送方向を第1搬送方向Y1とし、第1搬送方向Y1と反対の方向を第2搬送方向Y2とする。なお、Y軸において記録装置11における後述する操作パネル15が配置される面側を前とし、前とは反対側を後ともいう。また、媒体Mが搬送される搬送経路は全域においてY軸と平行である訳ではなく、搬送経路上の媒体Mの位置に応じて搬送方向Y0は変化する。
<記録装置の構成>
図1に示す記録装置11は、シリアル記録方式のインクジェットプリンターである。図1に示すように、記録装置11は、装置本体12と、装置本体12の上部に開閉可能に設けられたカバー13とを備える。記録装置11は、全体として略直方体状をなしている。
記録装置11は、前面に操作パネル15を備える。操作パネル15は、記録装置11に対する各種の指示を与えるときに操作される操作ボタンなどを含む操作部と、各種メニューおよび記録装置11の動作状況などを表示する表示部(いずれも図示略)とを有する。また、装置本体12の前面には、電源ボタン16が設けられている。なお、表示部をタッチパネルで構成し、タッチパネルで操作される操作機能をもって操作部を構成することも可能である。
また、装置本体12の前部右側には、少なくとも1つ(本実施形態では6つ)の液体供給源17(図2参照)を収容する収容部18が設けられている。収容部18は、各液体供給源17と対応する少なくとも1つ(本実施形態では6つ)の窓部19を有する。窓部19は、透明もしくは半透明の樹脂製であり、ユーザーは窓部19を通じて液体供給源17に収容された液体の液面レベルを外部から視認可能である。
また、記録装置11の後部上側には、給送カバー20が開閉可能に設けられている。給送カバー20は後端を中心に回動することで開閉される。装置本体12において図1に示す閉位置にある給送カバー20の内側には、用紙等の記録媒体M(以下、単に「媒体M」ともいう。)を給送する給送部21が収容されている。給送部21は、媒体Mを載置するために使用される給送トレイ22(図2参照)を有する。給送カバー20を開位置にある状態では、給送トレイ22が露出するので、ユーザーは給送トレイ22に媒体Mを載置することが可能である。
装置本体12内には、給送トレイ22から給送された媒体Mに記録を行う記録部23が収容されている。記録部23は、例えば、シリアル記録方式である。シリアル記録方式の記録部23は、媒体Mの搬送方向Yと交差する方向である走査方向Xに往復移動するキャリッジ24と、キャリッジ24に保持された記録ヘッド25とを備える。記録ヘッド25が、搬送経路に沿って搬送される媒体Mと対向する面が、複数のノズル25Nが開口するノズル面25A(いずれも図5を参照)となっている。液体供給源17と記録部23とは液体供給チューブ(図示略)を通じて接続されており、液体供給源17から液体供給チューブを通じて記録ヘッド25へ液体が供給される。
記録ヘッド25は、キャリッジ24と共に移動しながら複数のノズルから媒体Mに向かって液体を吐出する。このキャリッジ24が1回移動して記録ヘッド25が1パス分の記録を行う記録動作と、媒体Mを次の記録位置まで搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、媒体Mに文字または画像が記録される。なお、記録部23は、ライン記録方式でもよい。ライン記録方式の記録部23は、最大幅の媒体の幅全域に一斉に液体を吐出可能な複数のノズルを有するラインヘッドよりなる記録ヘッド25を備える。一定速度で搬送される媒体Mに対して媒体Mの幅全域を吐出対象としてラインヘッドよりなる記録ヘッド25のノズルから液体を吐出するため、画像等の高速な記録が実現される。
また、記録装置11の前面下部には、排出カバー26が開閉可能に設けられている。排出カバー26は下端を中心に回動する。装置本体12において図1に示す閉位置にある排出カバー26の奥には、記録後の媒体Mを受けるために使用されるスタッカー27(図4参照)が収納されている。排出カバー26を開位置に開けた状態では、スタッカー27を搬送方向Yにスライドさせて媒体Mを受ける受け位置に延出させることが可能である。
記録装置11は、各種の制御を司る制御部100を備える。制御部100は、キャリッジ24および記録ヘッド25の制御や、媒体Mの搬送制御、操作パネル15の表示制御、電源制御などを司る。
次に、図2、図3を参照して記録装置11の内部の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、装置本体12内には、メインフレーム30が幅方向Xに延設されている。メインフレーム30は、キャリッジ24を案内する一対のガイドレール30A(図3も参照)を有する。一対のガイドレール30Aは、走査方向Xに沿って互いに平行に延びている。キャリッジ24は、一対のガイドレール30Aにより鉛直方向Zに2箇所で走査方向Xに移動可能に支持される。キャリッジ24は、一対のガイドレール30Aに案内されることで走査方向Xに往復移動する。メインフレーム30とキャリッジ24との間には、キャリッジ24を走査方向Xに移動させる移動機構31が設けられている。移動機構31は、例えばベルト駆動方式であり、キャリッジ24の駆動源であるキャリッジモーター32と、走査方向Xに沿って張られた無端状のタイミングベルト33とを備える。キャリッジ24はタイミングベルト33の一部に固定されている。キャリッジモーター32が正逆回転することでタイミングベルト33を介してキャリッジ24は走査方向Xに往復移動する。
また、メインフレーム30には、走査方向Xに沿って延びるリニアエンコーダー34が設けられている。リニアエンコーダー34は、走査方向Xに沿って延びるリニアスケールと、キャリッジ24に取着されたセンサー(図示略)とを備える。センサーはリニアスケールを検出し、キャリッジ24の移動量と比例する数のパルスを含むパルス信号を出力する。
収容部18には、その上部を開閉する供給カバー18Aが設けられている。本例では、液体供給源17は、液体が収容されるタンクである。ユーザーは、窓部19を通じて残量が少なくなった液体供給源17があると、カバー13および供給カバー18Aを開け、液体ボトルから液体供給源17の注入口(図示略)へ液体を注入する。なお、液体供給源17は、ユーザーが液体ボトルから液体を補充する液体補充方式のタンクに限らず、液体が収容される液体パック(例えばインクパック)または液体カートリッジ(例えばインクカートリッジ)でもよい。また、液体供給源17は、装置本体12に設けられるオフキャリッジタイプであるが、キャリッジ24に搭載されるオンキャリッジタイプでもよい。
図3に示すように、媒体Mが載置される給送トレイ22には、一対のエッジガイド22Aが設けられている。給送トレイ22に載置された媒体Mは、一対のエッジガイド22Aで挟むことで、幅方向Xに位置決めされる。給送部21は、駆動源として給送モーター35を備える。給送部21は、給送トレイ22に載置された媒体Mを搬送経路に沿って第1搬送方向Y1に給送する。第1搬送方向Y1は、媒体Mに記録するときの搬送方向である。なお、第1搬送方向Y1は、媒体Mの位置に応じて変化する。
図3に示すように、記録装置11は、給送部21から給送された媒体Mを搬送する搬送部40を備える。また、記録装置11は、搬送部40が搬送する媒体Mのうち記録部23と対向する部分を支持する支持部材50を備える。支持部材50は、幅方向Xに延びる長尺状の部材であり、最大幅の媒体Mの幅方向全域を支持可能な長さを有する。記録部23は、搬送された媒体Mのうち支持部材50に支持された部分に液体を吐出して記録する。
記録装置11は、記録部23と支持部材50との間のギャップを調整するギャップ調整機構37を備える。ギャップ調整機構37は、記録ヘッド25の高さ位置を変化させることによりギャップを調整する。制御部100は、ギャップ調整機構37を制御し、媒体Mの種類に応じたギャップに調整する。媒体Mが例えば用紙である場合、媒体Mの種類には、普通紙、写真紙、封筒、CDR(CD-Recordable)等のディスクなどがある。
ギャップ調整機構37は、キャリッジ24が昇降機構を有する第1方式でもよいし、キャリッジ24を支持するガイド軸(図示略)を昇降させる第2方式でもよい。第1方式のギャップ調整機構37では、キャリッジ24は、ガイドレール30Aに支持されたキャリッジ背面部と、キャリッジ背面部に対して鉛直方向に相対移動可能なキャリッジ本体とを備える。キャリッジ本体の下部に記録ヘッド25が設けられる。ギャップ調整機構37は、キャリッジ24の背面部に設けられた切替レバーをスライド操作してキャリッジ本体をキャリッジ背面部に対して昇降させることで、記録ヘッド25を昇降させる。キャリッジ24の移動経路上に装置本体側から突出したレバーに切替レバーを係合させることで、ギャップの切り替えは行われる。第2方式のギャップ調整機構37は、キャリッジ24を支持するガイド軸の両端部に設けられた偏心カムを備える。ギャップ調整機構37の駆動源がガイド軸を回転させることで、偏心カムを介してガイド軸は鉛直方向に昇降し、記録ヘッド25を昇降させる。
図3に二点鎖線で示すキャリッジ24は、記録が行われないときの待機位置であるホーム位置HPに位置する。ホーム位置HPは、支持部材50に対して幅方向Xの隣の位置に相当する。ホーム位置HPにあるキャリッジ24と対向する下方位置には、記録ヘッド25のメンテナンスを行うメンテナンス装置60が配置されている。メンテナンス装置60は、キャリッジ24がホーム位置HPにあるときの記録ヘッド25をキャッピングするキャップ61と、記録ヘッド25のノズル面25Aを払拭するワイパー62とを備える。記録ヘッド25がキャップ61によりキャッピングされることで、記録ヘッド25のノズル25N内のインク等の液体の増粘や乾燥が抑制される。ノズル25N内の液体が増粘したり、ノズル内の液体に気泡があったり、ノズルが紙粉等の異物により塞がれたりした場合、ノズルの目詰まりによってノズルから液体を正常に吐出できない吐出不良が発生する。
メンテナンス装置60は、この種の吐出不良を予防または解消するために、記録ヘッド25のノズル25Nをクリーニングする。メンテナンス装置60は、キャップ61と連通する吸引ポンプ63を備える。メンテナンス装置60は、キャップ61が記録ヘッド25のノズル面25Aにノズル25Nを囲む状態で接触するキャッピング状態の下で、吸引ポンプ63を駆動する。吸引ポンプ63が駆動されると、ノズル面25Aとキャップ61との間の閉空間に導入された負圧により、ノズル25Nから液体が強制的に吸引排出される。ノズル25Nから増粘した液体、気泡、紙粉等の異物が強制的に吸引排出されることで、ノズルは吐出不良から回復する。
また、記録部23は、媒体Mに記録する記録動作の途中に定期的または不定期にホーム位置HPに移動し、全てのノズル25Nからキャップ61に向かって記録とは関係のない液滴を吐出する空吐出(「フラッシング」ともいう。)を行うことで、記録中の吐出不良を予防する。クリーニングおよび空吐出によってノズルから排出された液体(廃液)は、吸引ポンプ63の駆動により廃液チューブ64を通じて廃液タンク65に送られる。廃液タンク65は、搬送部40よりも搬送方向Y0の下流の領域の上方に位置する。ユーザーが、カバー13を開けると、廃液タンク65は手前側に位置するので、ユーザーは記録装置11の前側から廃液タンク65の交換が可能となっている。
図4に示すように、搬送部40は、搬送方向Yに支持部材50を挟む両側のうち上流側の位置に配置された搬送ローラー対41と、下流側の位置に配置された排出ローラー対42とを備える。図5、図6に示すように、搬送ローラー対41は、1本の搬送駆動ローラー410と、搬送駆動ローラー410と当接する複数の従動ローラー43との対よりなる。排出ローラー対42は、複数の排出駆動ローラー420(図6参照)と、複数の従動ローラー44との対よりなる。従動ローラー44は、例えば、その外周に沿って複数の歯部を有するギザローラーである。
図3に示すように、記録装置11は、搬送部40の駆動源である搬送モーター71を備える。搬送モーター71の動力は動力伝達機構72を介して搬送ローラー対41を構成する搬送駆動ローラー410(図4参照)に伝達される。記録装置11には、搬送ローラー対41を構成する搬送駆動ローラーの回転を検出するロータリーエンコーダー74が設けられている。ロータリーエンコーダー74は、搬送駆動ローラー410の回転量に比例する数のパルスを含むパルス信号を制御部100(図1、図10を参照)に出力する。
図3に示すように、排出カバー26の奥方に収納されたスタッカー27は、図3に示す退避位置と、退避位置から搬送方向Yの下流へスライドした受け位置との間で移動する。スタッカー27の上方には記録後の媒体Mが排出される排出口75が開口している。スタッカー27は、電動モーターの動力で駆動される電動式でもよいし、ユーザーが手動でスライドさせる手動式でもよい。
本実施形態の記録装置11は、CDR等の記憶ディスク(以下、単に「ディスク」ともいう。)のレーベル面に記録するレーベル記録機能を有する。ディスクを媒体Mとし、ディスクのレーベル面に記録するレーベル記録を行うとき、ユーザーはディスクを板状の専用トレイ(図示略)にセットし、その専用トレイを受け位置にあるスタッカー27にセットする。レーベル記録時は、スタッカー27が受け位置から退避方向に移動することで、専用トレイが搬送ローラー対41および排出ローラー対42(図4参照)にニップされる。これにより、ディスクは記録部23による記録が可能な記録位置に搬送される。記録部23はディスクのレーベル面に画像等を記録する。
図3に示すように、支持部材50は、搬送ローラー対41から送り出された媒体Mを支持する。支持部材50は、記録ヘッド25の移動領域と対向する領域に配置されている。支持部材50は、記録ヘッド25のノズルから吐出された液体が着弾する記録領域の部分で媒体Mを支持する。支持部材50は、幅方向Xに最大幅の媒体Mが搬送される領域よりも少し長い領域に亘って延在している。
支持部材50は、幅方向Xに間隔をおいて配列され上方に突出する複数のリブ54を備える。各リブ54の幅方向Xにおける位置は、規定サイズの媒体Mを支持するときに、その媒体Mの幅方向Xの両端部を支持可能に、媒体Mの幅サイズに応じて設定されている。このため、規定サイズの媒体Mであれば、搬送過程で幅方向Xの両端部がリブ54によって支持される。
図4に示すように、搬送部40は、搬送方向Yに支持部材50を挟む両側のうち上流側に配置された搬送ローラー対41と、下流側に配置された排出ローラー対42とを備える。搬送ローラー対41は、1本の搬送駆動ローラー410と、搬送駆動ローラー410と当接する複数の従動ローラー43との対よりなる。排出ローラー対42は、複数の排出駆動ローラー420と、複数の従動ローラー44との対よりなる。従動ローラー44は、例えば、外周に複数の歯部を一定ピッチで有するギザローラーである。
図4に示すように、搬送部40は、記録ヘッド25の移動領域よりも搬送方向Y0の上流位置に、給送された媒体Mの裏面を支持する板状の媒体ガイド部材45と、媒体ガイド部材45の上方に配置される媒体ガイド機構46とを備える。図5に示すように、媒体ガイド機構46は、媒体Mを搬送経路に沿って誘導する回動可能なガイド部材47と、ガイド部材47の搬送方向Y1の下流端部に支持された複数の従動ローラー43と、従動ローラー43を搬送駆動ローラー410に当接する方向にガイド部材47を付勢する弾性部材48とを有する。給送部21(図3参照)により給送された媒体Mは、媒体ガイド部材45と、ガイド部材47との間の搬送路に沿って給送され、搬送ローラー対41にニップされる。さらに、搬送ローラー対41により記録ヘッド25と支持部材50との間の記録領域に搬送され、搬送領域で記録ヘッド25から吐出される液滴により記録される。搬送中の媒体Mの先端部が排出ローラー対42にニップされた後、媒体Mは、搬送ローラー対41と排出ローラー対42とにより2箇所でニップされた状態で搬送される。
の間に
図4に示すように、支持部材50は、搬送方向Yの上流端部に位置する第1支持部51と、第1支持部51よりも搬送方向Yの下流に位置するメインの第2支持部52と、第2支持部52よりも搬送方向Yの下流に位置する第3支持部53とを備える。第1支持部51は、搬送ローラー対41から送り出された直後の部分の媒体Mを支持する。第2支持部52は、記録ヘッド25の移動領域と対向する領域に配置されている。第2支持部52は、記録ヘッド25のノズル25N(図5参照)から吐出される液体が着弾する記録領域の部分で媒体Mを支持する。第1支持部51は、記録領域よりも搬送方向Yの上流に位置する領域の部分で媒体Mを支持する。第3支持部53は、媒体Mのうち記録が済んだ部分を支持する。第1支持部51、第2支持部52および第3支持部53は、幅方向Xに最大幅の媒体Mが搬送される領域よりも少し長い領域に亘って延在している。第1支持部51〜第3支持部53は、幅方向Xに間隔をおいた各位置から上方に突出する複数のリブ54をそれぞれ備える。支持部材50が有する複数のリブ54の上端面は、平坦な面よりなる支持面50Aとなっている。媒体Mは、支持面50Aに支持される。
図4に示すように、記録ヘッド25の移動領域と排出ローラー対42との間には、搬送中に浮き上がった媒体Mが接触すると回転する従動ローラー49が設けられている。従動ローラー49は、例えばギザローラーよりなる。
キャリッジ24は、搬送方向Yにおいて、搬送ローラー対41と排出ローラー対42との間に配置されている。キャリッジ24は、記録ヘッド25が支持部材50と対向する位置を走査方向Xに移動する。記録ヘッド25は、キャリッジ24と共に走査方向Xに移動し、その移動過程で媒体Mのうち支持部材50に支持された部分に液滴を吐出する。
<ギャップ調整機構>
また、図4に示すように、記録部23は、記録ヘッド25と支持部材50との間のギャップを調整するギャップ調整機構37を備える。ギャップ調整機構37は、ギャップを調整できれば駆動方式はどの方式でもよい。図4に示す例では、キャリッジ24は、メインフレーム30のガイドレール30Aに支持された背部と、背部に対してギャップを変更可能な方向(例えば、鉛直方向Z)に相対移動可能な状態で支持されたキャリッジ本体とを備える。キャリッジ本体は、幅方向Xに移動するスライド式のカム機構(図示略)を介して背部に対して鉛直方向Zに相対移動可能に支持されている。背部にはカム機構をスライドさせる切替えレバー(図示略)が設けられている。キャリッジ24が走査方向Xに移動して、切替レバーが走査領域内に位置する被係合部(図示略)に係合することで、幅方向Xの一方側または他方側へ操作される。この切替レバーの操作によって、カム機構がスライドしてキャリッジ本体が背部に対して昇降することで、記録ヘッド25と支持部材50の間のギャップが調整される。
ここで、ギャップは、記録ヘッド25のノズル25Nが開口するノズル面25A(いずれも図5参照)とリブ54との間のギャップをいう。ギャップの値によって、リブ54に支持された媒体Mとノズル面25Aとの距離が変化する。ギャップは記録精度に影響する。浮き上がり易い種類の媒体Mに記録するときはギャップを大きくし、媒体Mと記録ヘッド25との擦れを回避する。一方、浮き上がりにくくかつ高い記録精度が要求される種類の媒体Mに記録するときはギャップを小さくし、記録精度を高める。このように、ギャップは、媒体Mの種類に応じて適切な値に設定される。
本実施形態では、ギャップ調整機構37を切り替えるときは、制御部100がキャリッジ24にギャップを切り替える切替え動作を行わせる。記録装置11は、キャリッジ24の走査領域に対して突出する突出位置と走査領域から退避する退避位置との間を移動可能な被係合部を備える。キャリッジ24の切替レバーをキャリッジ24の移動により被係合部に押し当てることで切替レバーを操作する。この切替え操作によって、キャリッジ本体が背部に対して鉛直方向Zに相対移動することで、記録ヘッド25の高さ位置が切り替えられる。こうして、記録ヘッド25と支持部材50との間のギャップが、媒体種に応じた目標ギャップに調整される。
なお、ギャップ調整機構37は、キャリッジ本体を背部に対して鉛直方向Zに相対移動させる第1方式に限定されず、キャリッジ24がガイド軸に支持される構成の場合に適用される第2方式でもよい。第2方式は、ガイド軸を回転させることにより、ガイド軸の両端部に設けられた偏心カムを介してガイド軸を鉛直方向Zに変位させることで、ガイド軸に対するキャリッジ24の高さ位置を変更することで、ギャップを調整する方式である。
図4に示すように、本実施形態の記録ヘッド25は、ノズル面25Aから支持部材50に向かう突出方向Z1に突出する複数の押さえローラー83,84を備える媒体押さえ機構80を備える。媒体押さえ機構80は、複数の押さえローラー83を有する第1押さえ機構81と、複数の押さえローラー84を有する第2押さえ機構82とを含む。押さえローラー83,84は、搬送方向Yと平行な軸線を中心に回転可能な従動ローラーである。押さえローラー83,84は、歯付きローラーである。つまり、押さえローラー83,84は、ギザローラーよりなる。但し、押さえローラー83,84を構成するギザローラーは、従動ローラー44,49を構成するギザローラーと形状およびサイズが異なる。なお、押さえローラー83,84のサイズを従動ローラー44,49と同じにしたり、形状およびサイズを従動ローラー44,49と同じにして部品の共通化を図ったりしてもよい。
<キャリッジ底面の詳細な構成>
次に、図5を参照してキャリッジの底面について詳細な構成を説明する。
図5に示すように、キャリッジ24の底面24Aにおける中央部には、記録ヘッド25が固定されている。記録ヘッド25は、液体を吐出するノズル25Nを有し、ノズル25Nから媒体Mに向かって液体を吐出することで媒体Mに記録する構成である。記録ヘッド25は、ノズル25Nが開口するノズルプレート253を備える。記録ヘッド25の液体の吐出方向の端部に、ノズルプレート253が位置している。複数の押さえローラー83,84は、ノズルプレート253よりも液体の吐出方向に突出している。
キャリッジ24は、第1方向の一例である走査方向Xにおいて記録ヘッド25を挟んだ両側に一対の押さえ機構81,82を備える。本実施形態は、第1方向が走査方向Xである例である。一対の押さえ機構81,82は、第1方向と交差する第2方向に間隔をあけて位置するとともに、記録ヘッド25の下面25Bよりも支持部材50に近づく方向に突出する複数の押さえ部材の一例としての押さえローラー83,84を備える。
一対の押さえ機構81,82は、記録ヘッド25に対してホーム位置HP側に位置する第1押さえ機構81と、記録ヘッド25に対して反ホーム位置AH側に位置する第2押さえ機構82とである。第1押さえ機構81を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構82を構成する複数の押さえローラー84とは、第2方向の一例である搬送方向Yにおける位置が互いにずれて位置する。本実施形態では、第2方向が、搬送方向Yである例である。
キャリッジ24の底面24Aには、記録ヘッド25を所定方向に挟む両側に第1押さえ機構81と第2押さえ機構82とが設けられている。本実施形態は、所定方向が、走査方向Xの例である。すなわち、キャリッジ24の底面24Aには、記録ヘッド25を走査方向Xに挟む両側に第1押さえ機構81と第2押さえ機構82とが設けられている。なお、所定方向は、搬送方向Yでもよい。本例では、キャリッジ24の底面24Aの配置スペースの関係で、走査方向Xに記録ヘッド25を挟んだ両側のスペースを利用して第1押さえ機構81と第2押さえ機構82とを配置している。
第1押さえ機構81は、複数の押さえ部材の一例としての押さえローラー83を備える。第2押さえ機構82は、複数の押さえ部材の一例としての押さえローラー84を備える。つまり、第1押さえ機構81は、複数の押さえローラー83が一列に並んで配列されたローラー列よりなる。また、第2押さえ機構82は、複数の押さえローラー84が一列に並んで配列されたローラー列よりなる。第1押さえ機構81を構成する第1ローラー列と、第2押さえ機構82を構成する第2ローラー列とは、記録ヘッド25を挟んだ両側に互いの列方向が平行となる向きに配置されている。
また、キャリッジ24の底面24Aには、記録ヘッド25と第1押さえ機構81との間に第1センサー77と第2センサー78とが組み付けられている。
押さえローラー83,84は、記録ヘッド25の下面25Bよりも下方に突出している。押さえ機構81,82を構成する複数の押さえ部材は回転体であり、本実施形態では、回転体の一例として、押さえローラー83,84を採用している。特に、本例の押さえローラー83,84は、歯付きローラーである。つまり、押さえローラー83,84は、所謂ギザローラーである。
押さえローラー83,84は、搬送方向Yに間隔を開けて列をなす状態で複数が記録ヘッド25の下面25Bよりも支持部材50側へ突出する状態にある。押さえローラー83,84は、媒体Mが支持面50Aから浮き上がっても、その浮き上がった部分のそれ以上の上方への移動を規制し、その浮き上がり部分が記録ヘッド25に接触することを抑制する。
また、図5,図6に示すように、一対の押さえ機構81,82のうち第1押さえ機構81を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構82を構成する複数の押さえローラー84とは、第2方向としての搬送方向Yにおける位置が互いにずれて位置する。つまり、複数の押さえローラー83,84は、キャリッジ24の底面24Aに千鳥配置で設けられている。
押さえ機構81,82は、複数の押さえローラー83,84が、記録ヘッド25を挟んだ両側にそれぞれ搬送方向Yに一列に並ぶローラー列よりなる。第1押さえ機構81は、搬送方向Yに一定のピッチで配置された複数の押さえローラー83を有する。第2押さえ機構82は、搬送方向Yに一定のピッチで配置された複数の押さえローラー84を有する。そして、第1押さえ機構81を構成する4つの押さえローラー83と、4つの押さえローラー84とが搬送方向Yに位置がずれて配置されている。このように、一対の押さえ機構81,82は、走査方向Xに記録ヘッド25を挟む両側に設けられている。第1押さえ機構81を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構82を構成する複数の押さえローラー84とは、搬送方向Yにおける位置が互いにずれて位置する。
1つの押さえローラー83に着目すると、この押さえローラー83と記録ヘッド25を挟んで反対側の位置には搬送方向Yに同じ位置に他の押さえローラー84が存在しない。この押さえローラーの位置関係が、記録ヘッド25を挟む両側に配置された一対の押さえ機構81,82を構成する全ての押さえローラー83,84に対して成立している。このように、一対の押さえ機構81,82は、記録ヘッド25を挟んだ両側で、押さえローラー83と押さえローラー84は、搬送方向Yにおける位置が互いにずれている。
第1押さえ機構81は、複数の押さえローラー83が搬送方向Yに一定のピッチで配置されることにより構成される。第2押さえ機構82は、複数の押さえローラー84が搬送方向Yに一定のピッチで配置されることにより構成される。
第1押さえ機構81を構成する押さえローラー83の個数と、第2押さえ機構82を構成する押さえローラー84の個数は、同じ個数である。2つの押さえ機構81、82は、それぞれ4つの押さえローラー83、4つの押さえローラー84を有する。この個数は、4個に限定されず、3個でも5個でもよい。さらに2個でもよい。押さえローラー83,84の1列当たりの個数は、2個以上の複数個であることが好ましい。
キャリッジ24が走査方向Xに移動するときに、押さえローラー83,84は、浮き上がった媒体Mに接触したときに媒体Mとの摩擦力で回転可能な向きの回転軸85を有する。つまり、回転軸85は、その軸線方向が搬送方向Yと平行である。このため、キャリッジ24が走査方向Xに移動するときに、押さえローラー83,84は、浮き上がった媒体Mに接触したときに媒体Mとの摩擦力で回転する。なお、押さえ部材が回転体である場合、コロまたはボールでもよい。
図5に示すように、第1押さえ機構81のうち搬送方向Yに最も上流に位置する1個の押さえローラー83は、搬送方向Yにおいて記録ヘッド25よりも搬送方向Yの上流側に位置する。また、第2押さえ機構82のうち搬送方向Yに最も下流に位置する1個の押さえローラー84は、搬送方向Yにおいて記録ヘッド25よりも搬送方向Yの下流側に位置する。一対の押さえ機構81,82により、媒体Mにおける記録ヘッド25よりも搬送方向Yに上流側の位置と、記録ヘッド25よりも搬送方向Yに下流側の位置とを押さえることが可能になっている。このため、搬送中に浮き上がった媒体Mが、複数の押さえローラー83,84によって、記録ヘッド25に接触することが効果的に抑制可能である。
搬送中の媒体Mには、記録ヘッド25の下方に位置する部分が、浮き上がり易い搬送位置がある。すなわち、搬送ローラー対41と排出ローラー対42とのうち搬送ローラー対41のみに媒体Mがニップされているときは、媒体Mの先端部が浮き上がり易い。また、搬送ローラー対41と排出ローラー対42とのうち排出ローラー対42のみに媒体Mがニップされているときは、媒体Mの後端部が浮き上がりやすい。搬送ローラー対41と排出ローラー対42との両方に媒体Mがニップされている場合は、基本的に媒体Mは浮き上がりにくいが、記録ヘッド25と対向する部分で媒体Mが搬送方向Yに波打つように波状に湾曲している場合、波状の媒体Mの山部が部分的に浮き上がる場合がある。
さらに、媒体Mが封筒である場合、封筒のフラップは浮き上がり易い。これらの媒体Mの浮き上がった部分は、一対の押さえ機構81,82を構成する複数の押さえローラー83,84のうちの全部または一部によって押さえられるので、媒体Mの浮き上がった部分が記録ヘッド25と接触することがない。よって、記録ヘッド25のノズル面25Aに付着しているインク等の液体が、ヘッド擦れにより、媒体Mに転写されてインク等の液体によって媒体Mが汚れることを抑制できる。また、媒体Mの先端部が記録ヘッド25に接触することに起因して発生するジャムを抑制できる。
<記録ヘッドの詳細な構成>
図5に示すように、記録ヘッド25は、ヘッド本体251とヘッドプレート252とを有する。ヘッドプレート252は、ヘッド本体251の周縁部を覆う状態でキャリッジ24の底面24Aに固定されている。ヘッド本体251の一部およびヘッドプレート252は導電性である。ヘッドプレート252は金属製である。ヘッド本体251のうちノズル面25Aを有する板状の部材であるノズルプレート253は、半導体または金属よりなり、導電性を有する。本例のノズルプレート253は半導体であり、例えば、シリコンよりなる。ノズルプレート253は、その周縁を全周に亘って覆うヘッドプレート252と導通している。本例では、ヘッドプレート252は金属製のねじ79によりヘッド本体251の導電性の部分に固定されている。ヘッドプレート252は、ノズル面25Aの周縁部を覆う状態にある。このため、本実施形態では、キャリッジ24および記録ヘッド25のうちノズルプレート253のノズル面25Aを覆う部分が鉛直方向Zに一番低くに位置する。すなわち、記録ヘッド25の下面25Bは、ヘッドプレート252の下面である。以下、このヘッドプレート252のうちノズル面25Aの周縁部を覆う一番低い部分の下面を、記録ヘッド25の下面25Bともいう。この記録ヘッド25の下面25Bは、記録部23の最下面である。
一方、ヘッドプレートを有しない構成の記録ヘッド25や、ヘッドプレートがヘッド本体の側部に設けられるだけでノズル面25Aの周縁部を覆わない構成の記録ヘッド25では、ノズル面25Aが記録ヘッド25の最下面となる。このような構成の記録ヘッド25では、記録ヘッド25の下面25Bは、ノズル面25Aとなる。押さえローラー83,84が記録ヘッド25から突出する突出量は、上述の記録ヘッド25の下面25Bから突出する量(寸法)を指す。押さえローラー83,84が記録ヘッド25から下方に突出する突出量の基準となるヘッド下面は、上述の記録ヘッド25の下面25Bとなる。
この押さえローラー83,84が記録ヘッド25の下面25Bから下方へ突出していれば、記録中に浮き上がった媒体Mは記録ヘッド25に当たる前に押さえローラー83,84と接触することが可能である。つまり、記録中に浮き上がった媒体Mが、押さえローラー83,84と接触することで、ノズル面25Aに接触することが回避される。
押さえ部材は、複数の歯部を外周に一定ピッチで有する押さえローラー83,84である。押さえローラー83,84は外周先端部の両側面に、径方向に先端へ向かうほど搬送方向Yの厚みを小さくする斜面に形成された一対の誘い面87,88を有する。また、複数ずつの押さえローラー83,84の軸である回転軸85は、キャリッジ24に対して支持部材50との間隔を変化させる方向である鉛直方向Zに変位不能な固定軸式である。なお、固定軸式でも、回転軸85には多少のがたはある。
<押さえローラーの突出量>
図4、図6に示すように、押さえローラー83,84は、記録ヘッド25の下面25Bよりも突出している。押さえローラー83,84の突出量は、リブ54の支持面50A(図4参照)に至らない量である。つまり、押さえローラー83,84の突出量(突出寸法)は、記録ヘッド25の下面25Bと支持部材50の支持面50Aとの距離よりも短い。また、押さえローラー83,84の突出量(突出寸法)は、記録ヘッド25の下面25Bと支持部材50の支持面50Aとの距離から、記録装置11で使用される最大厚の媒体Mの厚さ寸法を差し引いた値よりも短い。本例では、最大厚の媒体Mは、CDR等のディスクであり、前記距離からディスクの厚さ寸法を差し引いた値よりも短い。このため、記録中に搬送される媒体Mがリブ54から浮き上がらない限り、媒体Mの表面と接触しない設定となっている。つまり、押さえローラー83,84の突出量は、ディスク以外の媒体Mである場合、どの厚さの媒体Mであっても支持面50Aから浮き上がらない限り、媒体Mと接触しない。但し、その隙間は短いので、ある程度の厚さを有する、例えば、写真紙などの媒体Mは、カールしにくいものの、接触する可能性はある。
つまり、突出量は、媒体Mが薄紙である場合、記録ヘッド25の下面25Bから、薄紙が支持面50Aから浮き上がっていないときのその表面までの距離よりも短い。すなわち、押さえローラー83,84の突出量は、媒体Mが薄紙である場合、押さえローラー83,84が、支持面50Aから浮き上がっていないときの薄紙の表面に接触しない量である。なお、薄紙とは、ここでは、例えば、0.1〜0.2mm厚の普通紙を指す。
<2つのセンサー>
図5に示すように、キャリッジ24の底面には、記録ヘッド25よりも搬送方向Yの上流の位置に2つのセンサー77,78が設けられている。2つのセンサー77,78は、非接触式のセンサーである。2つのセンサー77,78のうち第1センサー77は、キャリッジ24と共に媒体Mの幅方向Xに移動して媒体Mの有無を検出する媒体幅センサーである。媒体Mの幅方向Xとは、搬送方向Yと交差する方向を指し、本例では、走査方向Xと同じ方向である。第1センサー77は、媒体Mの幅方向Xの両側の側端を検出する。制御部100は、第1センサーからの検出信号に基づいて媒体Mの側端の位置および媒体Mの幅を取得する。制御部100は、例えば、縁なし印刷時に、媒体Mの側端の位置を基に液滴を吐出する領域のエンド位置を決める。また、制御部100は、第1センサー77の検出信号から媒体Mの幅寸法および幅方向Xの位置などの媒体Mの幅方向Xに関する各種の情報を取得する。
2つのセンサー77,78のうち第2センサー78は、赤外線センサーであり、媒体Mに記録するときの記録位置を決めるために基準部を読み取る。本例では、基準部は、はがきや封筒など郵送用の媒体Mに、赤色などの特定色で印刷された郵便番号枠である。本例では、第2センサー78は、郵送用の媒体Mに印刷された郵便番号枠を読み取る。制御部100は、第2センサー78からの検出信号に基づいて郵送用の媒体Mにおける郵便番号枠の位置を基準として記録位置を位置決めする。
2つのセンサー77,78は、記録ヘッドを介して電気的に接地されている。キャリッジ24にはその底面24Aよりも内側に四角板状のフレーム部材24Fが配置されている。フレーム部材24Fは、金属製であり、導電性を有する。フレーム部材24Fは、キャリッジ24の内部で接地されている。フレーム部材24Fは、例えば、中央部に四角形状の組付孔を有する。記録ヘッド25は組付孔に差し込まれた状態でフレーム部材24Fに組み付けられている。また、ヘッドプレート252をキャリッジ24の底面24Aに固定する複数のねじ79は、フレーム部材24Fに螺着されている。このため、ヘッドプレート252は、接地されている。さらに、2つのセンサー77,78は、フレーム部材24Fに接地された状態でキャリッジ24の底面24Aに組み付けられている。さらに、本例では、押さえローラー83,84の回転軸85が、金属製であり、導電性を有する。各押さえローラー83,84の回転軸85は、フレーム部材24Fに接地された状態で組み付けられている。各押さえローラー83,84は、それぞれの回転軸85がキャリッジ24側の凹部に回転可能に支持された状態で合成樹脂製のカバーによって押さえられ、ローラー83,84の一部がカバーの開口から露出する状態でその他の部分がカバーによって覆われている。
本例の押さえローラー83,84は、金属製であり、導電性である。押さえローラー83,84は回転軸85と固定されている。押さえローラー83,84はフレーム部材24Fに接地されている。このため、押さえローラー83,84が、静電気に帯電した媒体Mに接触しても、押さえローラー83,84は帯電することがない。例えば、押さえローラー83,84が帯電すると、媒体Mとの間で静電気による吸引力が働いて、媒体Mが押さえローラー83,84に引き寄せられた結果、媒体Mが浮き上がる可能性がある。しかし、本例の押さえローラー83,84は、接地されており帯電しないので、この種の媒体Mの浮き上がりを抑制可能である。
<気流の影響>
ところで、キャリッジ24が走査方向Xに移動するときには、キャリッジ24の周辺に気流が発生する。この気流は、記録ヘッド25のノズル25Nから吐出される液滴の飛翔経路に影響を与える。記録装置11で採用される印刷モードには、キャリッジ24の往動と復動の両方で液滴を吐出する両方向印刷を行う第1印刷モードと、キャリッジ24の往動または復動の一方のみで液滴を吐出する一方向印刷を行う第2印刷モードとがある。
図4、図5に示す押さえローラー83,84は、キャリッジ24の底面24Aから記録ヘッド25の下面25Bよりも下方に突出する突起物なので、キャリッジ24の下方を流れる気流に少なからず影響を与える。キャリッジ24の往動過程では、その移動方向(例えば、第1走査方向X1)の先頭側となる一方の第1押さえ機構81が、その移動方向の下流に位置する記録ヘッド25の下方の気流に影響を与え易い。キャリッジ24の復動過程では、その移動方向(例えば、第2走査方向X2)で先頭側となる他方の第2押さえ機構82が、その移動方向の下流に位置する記録ヘッド25の下方の気流に影響を与え易い。
本例では、走査方向Xに記録ヘッド25を挟んで両側に配置された第1押さえ機構81を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構82を構成する複数の押さえローラー84との1列当たりの数を同数とすることで、キャリッジ24の往動時と復動時とで押さえローラー83,84が気流に与える影響をほぼ同じにしている。また、押さえローラー83,84は、搬送方向Yと平行な向きの回転軸85を中心に回転可能であるうえ、先端が尖った形状なので、キャリッジ24の移動時に押さえローラー83,84の先端が気流の風を切るように移動し、気流に与える影響が少なく済む。また、気流を受ける方向が押さえローラー83,84の下端における接線方向と平行なので、気流の力を受けたときに押さえローラー83,84は回転することも可能であり、回転した場合、記録ヘッド25の下方の気流に与える影響が少なく抑制される。この結果、記録ヘッド25から吐出される液滴の飛翔経路への影響が少なく抑えられ、液滴が媒体Mに着弾する着弾位置のばらつきが小さく抑えられる。さらに、押さえローラー83,84間の隙間を埋めれば気流の影響を少なくできる。また、押さえローラー83,84の飛び出し量を少なくすれば気流の影響を少なくできる。
<実施例と比較例>
次に、図6、図7を参照して、本実施形態における押さえ機構81,82の機能を、比較例の押さえ機構と比較しながら説明する。図6は、本実施例の押さえ機構81,82をキャリッジ24に備える記録部23であり、図7は、比較例の押さえ機構121をキャリッジ124に備える記録部123である。比較例の記録部123は、走査方向Xに記録ヘッド25を挟んだ両側に複数個ずつの押さえローラー83,84を備えるが、押さえローラー83,84の位置関係が実施例と異なる。
図6に示すように、第1押さえ機構81を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構82を構成する複数の押さえローラー84とは、搬送方向Yに位置が半ピッチずつずれている。図6に示す側面から見たとき、複数の押さえローラー83のピッチ間の奥方に押さえローラー84が位置し、反対に、複数の押さえローラー84のピッチ間の手前に押さえローラー83が位置する。このため、図6に二点鎖線で示す薄紙などの媒体Mは、浮き上がると複数の押さえローラー83,84に接触することでそれ以上の浮き上がりが抑制される。つまり、キャリッジ24の底面24Aから突出する複数の押さえローラー83,84によって、媒体Mは、走査方向Xに記録ヘッド25を挟んで両側に位置する一対の押さえ機構81,82の間の領域で記録ヘッド25のノズル面25Aにそれ以上近づく移動が規制される。そのため、浮き上がった媒体Mがノズル面25Aと接触するヘッド擦れの発生が抑制される。
このとき、媒体Mの浮き上がった部分が、複数の押さえローラー83のピッチ間の隙間に入り込もうとしても、そのピッチ間において記録ヘッド25を挟んだ反対側に位置する押さえローラー84に接触し、それ以上の浮き上がりが抑制される。また、逆に、媒体Mの浮き上がった部分が、複数の押さえローラー84のピッチ間の隙間に入り込もうとしても、そのピッチ間において記録ヘッド25を挟んだ反対側に位置する押さえローラー83に接触し、それ以上の浮き上がりが抑制される。よって、媒体Mが搬送方向Yに波打つ波状に湾曲し、波状の媒体Mの山部が押さえローラー83のピッチ間に入り込もうとしても、記録ヘッド25を挟んで反対側に位置する押さえローラー84によりそれ以上の浮き上がりが抑制される。また、媒体Mが浮き上がってその先端又は後端が、押さえローラー83の隙間に入り込もうとしても、押さえローラー84に接触し、それ以上の浮き上がりが抑制される。
これに対して、図7に示す記録部123は、キャリッジ124の底面に走査方向Xに記録ヘッド25を挟んだ両側に一対の押さえ機構121,122を備える。しかし、第1押さえ機構121を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構122を構成する複数の押さえローラー84は、搬送方向Yの位置が互いに同じ位置にある。つまり、押さえローラー83と押さえローラー84は、走査方向Xに互いに対向する位置にある。
媒体Mの浮き上がった部分が、複数の押さえローラー83のピッチ間の隙間に入り込もうとすると、そのピッチ間において記録ヘッド25を挟んだ反対側には押さえローラー84が存在しないので、その浮き上がった部分は記録ヘッド25のノズル面25Aに接触する。また、逆に、媒体Mの浮き上がった部分が、複数の押さえローラー84のピッチ間の隙間に入り込もうとすると、そのピッチ間において記録ヘッド25を挟んだ反対側には押さえローラー83が存在しないので、その浮き上がった部分は記録ヘッド25のノズル面25Aに接触する。すなわち、媒体Mのヘッド擦れが発生する。
本実施形態の記録部23は、図6に示すように、記録ヘッド25を挟んで両側に位置する複数の押さえローラー83と複数の押さえローラー84とが、走査方向Xに対向しないように搬送方向Yに半ピッチずつ位置をずらして配置されている。このため、媒体Mとノズル面25Aとが接触するヘッド擦れの発生頻度を、比較例の記録部123に比べ低減することが可能である。
<押さえローラーの構成>
次に、図8、図9を参照して、押さえローラー83,84の詳細な構成を説明する。なお、押さえローラー83,84の構成は同じなので、以下では、押さえローラー83について説明する。
図8、図9に示すように、押さえローラー83は、その外周先端部に、先端が尖った複数の歯部86を周方向に一定ピッチで有している。押さえローラー83は、外周先端部の側面が、回転軸85に対して直交する仮想面に対して鋭角な角度で傾く、一対の誘い面87,88を有する。すなわち、押さえローラー83の外周先端部は、鋭角に尖っており、外周先端部の両側面は外周に向かうほど幅中心に近づく向きに傾いた斜面よりなる一対の誘い面87,88を有する。すなわち、押さえローラー83は、外周先端部の両側面に、第1誘い面87と第2誘い面88とを有する。
第1誘い面87は、第1搬送方向Y1に搬送される媒体Mを押さえローラー83の下方である搬送経路へ誘導する。図8に示すように、第1搬送方向Y1に搬送される媒体Mは、その先端が第1誘い面87に衝突したのち、第1誘い面87に沿って同図に二点鎖線で示すように下方へ誘導される。第1誘い面87によって、媒体Mが第1搬送方向Y1に搬送されるときの先端が押さえローラー83の側面に衝突してその搬送が妨げられることに起因するジャムを防止できる。
第2誘い面88は、第2搬送方向Y2に逆搬送される媒体Mを押さえローラー83の下方である搬送経路へ誘導する。図9に示すように、第2搬送方向Y2に搬送される媒体Mは、その先端が第2誘い面88に衝突したのち、第2誘い面88に沿って同図に二点鎖線で示すように下方へ誘導される。また、第2誘い面88によって、媒体Mが第2搬送方向Y2に向かって逆搬送されるときの後端が、押さえローラー83の側面に衝突してその搬送が妨げられることに起因するジャムを防止できる。
<プラテンギャップ/ペーパーギャップとの関係>
記録装置11で印刷に用いられる媒体Mの種類である媒体種には、普通紙、写真紙、封筒、ディスクなどがある。ここで、記録ヘッド25のノズル面25Aと、支持部材50の支持面50AとのギャップであるプラテンギャップPGは、媒体種に応じて設定される。
写真紙は、プラテンギャップが一番小さい(PG=PG1)。普通紙は、プラテンギャップが2番目に小さい(PG=PG2)。封筒は、プラテンギャップが3番目に小さい(PG=PG3)。CDRやDVD等のディスクは、プラテンギャップが4番目に小さい(PG=PG4)。つまり、ディスクはプラテンギャップが一番大きい。プラテンギャップPGは、例えば4段階に切り替えられ、PG1<PG2<PG3<PG4の関係にある。プラテンギャップの切替段数は、適宜変更でき、例えば、2段階、3段階および5段階以上でもよい。
ペーパーギャップは、記録ヘッド25のノズル面25Aと、支持面50Aに支持された媒体Mとの距離である。高い記録精度が要求される写真紙は、ペーパーギャップが一番小さい。ペーパーギャップが小さいほど高い記録精度が得られるためである。普通紙および封筒は、写真紙よりもペーパーギャップが大きい。ディスクは、普通紙および封筒よりもペーパーギャップが大きい。これらの媒体Mに対するペーパーギャップが大きい理由は、写真紙ほど高い記録精度が要求されないからである。また、薄紙については支持面50Aから浮き上がりやすくその浮き上がった部分が記録ヘッド25に接触することを抑える目的がある。また、封筒については封筒のフラップが浮き上がりやすくその浮き上がったフラップが記録ヘッド25に接触することを抑える目的がある。
そして、ペーパーギャップは、浮き上がりやすい媒体Mほど大きな値に設定される。すなわち、普通紙および封筒には、大きなペーパーギャップが設定される。そして、これらのペーパーギャップが得られるように媒体種ごとにギャップが設定される。本実施形態では、キャリッジ24の底面24Aに設けられた押さえ機構81,82が、浮き上がろうとする媒体Mのそれ以上の浮き上がりを押さえる。すなわち、キャリッジ24の底面24Aから記録ヘッド25のノズル面25Aよりも下方へ突出する押さえローラー83、84が、媒体Mの浮き上がりを押さえる。このため、媒体Mが記録ヘッド25と接触することが回避される。
本実施形態の記録装置11は、CDRやDVD等のディスクのレーベル面に記録するレーベル記録機能を備える。スタッカー27は、ディスクがセットされたトレイ(いずれも図示略)をスライド挿入可能に構成されている。スタッカー27の所定位置に搬送方向Y1の上流に向かってトレイを挿入することで、トレイは排出ローラー対42および搬送ローラー対41にニップされた状態で挿入される。このように媒体Mへの記録時と同様のローラー対41,42を使って搬送されることで、搬送中のトレイ上にセットされたディスクのレーベル面に記録ヘッド25により記録が施される。レーベル記録時は、ディスクが厚いこと、およびディスクがセットされたトレイが搬送されるため、ギャップは最大ギャップとされる。
<記録装置の電気的構成>
次に、図10を参照して、記録装置11の電気的構成について説明する。図10に示すように、記録装置11は制御部100を備える。制御部100は、記録装置11に対する記録制御を含む各種の制御を行う。制御部100は、自身が実行する全ての処理についてソフトウェア処理を行うものに限られない。たとえば、制御部100は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(たとえば特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、制御部100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサー、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはそれらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
図10に示すように、制御部100には、出力系として、給送モーター35、搬送モーター71、キャリッジモーター32、記録ヘッド25及びギャップ調整機構37が、電気的に接続されている。制御部100は、給送モーター35、搬送モーター71、キャリッジモーター32、記録ヘッド25及びギャップ調整機構37を制御する。また、制御部100には、入力系として、媒体検出器76、搬送系のエンコーダー74およびリニアエンコーダー34が電気的に接続されている。
媒体検出器76は、記録ヘッド25の記録位置よりも搬送方向Yの上流となる搬送経路上の所定位置で媒体Mの有無を検知し、その検知結果を検出信号として制御部100に出力する。制御部100は、媒体検出器76からの検出信号が媒体Mを検知しない非検知信号から媒体Mを検知する検知信号へ切り替わることをもって、媒体Mの先端を検知する。また、制御部100は、媒体検出器76からの検出信号が媒体Mを検知する検知信号から媒体Mを検知しない非検知信号へ切り替わることをもって、媒体Mの後端を検知する。
搬送系のエンコーダー74は、ロータリーエンコーダーにより構成される。エンコーダー74は、搬送ローラー対41の回転量に比例する数のパルスを含む検出信号を出力する。また、リニアエンコーダー34は、図示しないリニアスケールと、キャリッジ24に設けられた光学センサーとを備え、光学センサーがリニアスケールを光学的に読み取ることで、キャリッジ24の移動量に比例する数のパルスを含む検出信号を出力する。
図10に示すように、制御部100は、第1カウンター101、第2カウンター102および不揮発性メモリー103を有する。第1カウンター101は、給送部21により給送された媒体Mの先端が媒体検出器76により検知されたときの媒体Mの位置を原点位置とし、媒体Mの先端又は後端の位置に相当する値を計数する。制御部100は、媒体検出器76から媒体Mの先端又は後端を検知した旨の検知信号を入力すると、第1カウンター101をリセットする。第1カウンター101は、搬送駆動ローラー410の回転を検出するエンコーダー74から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数する。このため、第1カウンター101の計数値は、媒体Mの先端または後端が媒体検出器76に検知された位置を原点とする媒体Mの先端または後端の搬送位置を示す。制御部100は、第1カウンター101の計数値を基に搬送系のモーター35,71を制御し、媒体Mの給送、搬送および排出を制御する。
制御部100は、両面記録が指示された場合、まず、媒体Mの第1面Ma(図4参照)に記録するときに、搬送モーター71を正転駆動させることで、搬送ローラー対41および排出ローラー対42を正転駆動させ、媒体Mを第1搬送方向Y1に搬送する。この搬送中に記録ヘッド25を制御し、媒体Mの第1面Maに画像等を記録させる。制御部100は、媒体Mの第1面Maの記録を終えると、搬送モーター71を逆転駆動させることで、搬送ローラー対41および排出ローラー対42を逆転駆動させ、媒体Mを第2搬送方向Y2に逆搬送する。搬送経路を第2搬送方向Y2に逆搬送された媒体Mは、反転経路を通って反転された後、第2面Mb(図4参照)を記録面とする向きで第1搬送方向Y1に再給送される。そして、第1搬送方向Y1へ再給送された媒体Mの第2面Mbに記録部23による記録が行われる。両面記録がなされた媒体Mは、排出口75から排出され、スタッカー27に載置される。
第2カウンター102は、キャリッジ24の位置に相当する値を計数する。制御部100は、キャリッジ24が原点とするホーム位置HP側のエンド位置に当たったことを検知すると、第2カウンター102をリセットする。第2カウンター102は、リニアエンコーダー34から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数する。このため、第2カウンター102の計数値は、キャリッジ24の原点を基準とする走査方向Xの位置であるキャリッジ位置を示す。制御部100は、第2カウンター102の計数値を基にキャリッジモーター32を制御することにより、キャリッジ24の速度制御および位置制御を行う。
不揮発性メモリー103は、図21にフローチャートで示されるプログラムを含む各種のプログラムPRを記憶する。また、不揮発性メモリー103には、媒体種とギャップとの対応関係を示す参照データが記憶されている。ここで、媒体種には、普通紙、写真紙、封筒、ディスク等がある。参照データには、媒体種に応じてギャップ調整機構37が調整するギャップの値が設定されている。記録ヘッド25のノズル面25Aと媒体Mの表面との間隔であるペーパーギャップは、記録の位置ずれを抑えるためには小さい方が好ましい。よって、高画質が求められる写真紙は、ギャップが小さな値に設定される。また、カールし易い薄紙を含む普通紙やフラップが浮き上がり易い封筒は、ギャップが大きな値に設定される。ディスクは最も厚いので、最大のギャップが設定される。制御部100は、不揮発性メモリー103に現在のギャップを記憶させる。
制御部100は、記録データPDを受信すると、その記録データPDに含まれる媒体種情報を取得する。制御部100は、取得した媒体種情報で特定される媒体種を基に参照データを参照して、設定すべき目標ギャップを取得する。
本実施形態では、ギャップ調整機構37を切り替えるときは、制御部100はキャリッジモーター32を制御し、キャリッジ24にギャップを切り替える切替え動作を行わせる。制御部100は、レバーをキャリッジ24の走査経路上に突出させ、キャリッジ24の切替レバー98Aを被係合部112に押し当てることで切替レバー98Aを操作する。この切替え操作によって、キャリッジ本体が背面部に対して鉛直方向Zに相対移動し、記録ヘッド25の高さ位置が切り替えられる。こうして、記録ヘッド25のノズル面25Aと支持部材50の支持面50Aとの間のギャップが目標ギャップに調整される。
なお、ギャップ調整機構37は、キャリッジ24を支持するガイド軸を回転させることにより、ガイド軸の両端部に設けられた偏心カムを介してガイド軸を鉛直方向Zに変位させる第2方式でもよい。このギャップ調整機構の駆動源は、専用の電動モーターを使用してもよいし、記録装置11に既存の搬送モーター71等のモーターを流用してもよい。既存のモーターを流用する場合、不図示のクラッチを切り替えてモーターの動力をガイド軸に伝達してガイド軸を回転させればよい。クラッチの切替えは、キャリッジ24に行わせてもよい。また、専用の電動モーターを駆動源とする場合、電動モーターを駆動させてガイド軸を回転させる。ガイド軸の回転により偏心カムを介してキャリッジ24がガイド軸に対して鉛直方向に相対移動する。こうして、記録ヘッド25の高さ位置が切り替えられ、記録ヘッド25のノズル面25Aと支持部材50のリブ54との間のギャップが目標ギャップに調整される。
なお、キャリッジ24がホーム位置HPに移動する過程で、押さえ機構81,82を構成する押さえローラー83,84は、退避位置にあるキャップ61およびワイパー62と接触しない。キャリッジ24がクリーニングをするときのホーム位置HPにあるとき、押さえ機構81,82を構成する複数の押さえローラー83,84は、上昇位置にあるキャップ61およびワイパー62と接触しないようにクリーニング時のキャリッジ24の移動範囲が設定されている。
次に、記録装置11の作用について説明する。
媒体Mに両面記録が行われる場合を例にして説明する。媒体Mは、搬送経路に沿って第1搬送方向Y1に搬送され、媒体Mの第1面Maに記録部23により記録が行われる。第1面Maへの記録が終わると、同じ搬送経路を通って第2搬送方向Y2に逆搬送される。逆搬送された媒体Mは、記録ヘッド25よりも搬送方向Yの上流側に位置する反転経路を通って反転した後、第1面Maと反対側の面である第2面Mbを記録ヘッド25と対向する向きとした状態で再搬送される。
キャリッジ24の高さ位置は、ギャップ調整機構37により媒体種に応じて調整される。この結果、媒体種に応じたギャップに調整される。媒体種が、例えば、普通紙である場合、写真紙よりも大きなギャップに調整される。普通紙が、仮に湾曲して浮き上がっても、その浮き上がった部分が、記録ヘッド25の下面25Bよりも下方に位置する押さえローラー83,84に押さえられ、それ以上の上方への移動が規制される。このため、浮き上がった媒体Mがノズル面25Aに接触することが抑制される。また、キャリッジ24が走査方向Xに移動する過程で媒体Mに接触した押さえローラー83,84は、媒体Mとの摩擦力で回転するので、媒体と押さえローラー83,84との摩擦力が軽減される。例えば、押さえ部材と媒体Mとの間の大きな摩擦力は、媒体Mのジャムの原因ともなりうるが、摩擦力が小さいので、この種の媒体ジャムも低減できる。そして、浮き上がった媒体Mのノズル面25Aへの接触が回避されることから、普通紙がノズル面25Aに接触することで起こりうる、媒体Mのインク汚れ、媒体ジャム、記録ヘッド25の故障等の発生を抑制できる。
また、媒体種が、例えば、写真紙である場合、写真紙は剛性が高く浮き上がりにくい。このため、写真紙は押さえローラー83,84と接触しにくい。仮に、写真紙が湾曲して浮き上がっても、その浮き上がった部分と接触した押さえローラー83,84が回転することで、媒体Mの被記録面に傷が付きにくい。例えば、押さえ部材が、本例の押さえローラー83,84のような回転体ではない構成では、キャリッジ24と共に走査方向Xに移動する押さえ部材が、媒体Mの被記録面に傷を付ける可能性がある。傷が付いた媒体Mに記録されると、その記録面に傷跡が残り、画像品質が低下する。これに対して、本実施形態の記録部23は、押さえ部材が、押さえローラー83,84よりなる回転体なので、押さえローラー83,84が回転することで、媒体Mの表面(被記録面)に傷が付きにくい。特に、押さえローラー83,84は、歯付きローラー(ギザローラー)なので、写真紙の被記録面は一層傷付きにくい。よって、高い画像品質の記録物を提供できる。
図8に示すように、第1搬送方向Y1に搬送される媒体Mは、浮き上がってその先端が第1誘い面87に衝突すると、第1誘い面87に沿って同図に二点鎖線で示すように下方へ誘導される。第1誘い面87によって、媒体Mが第1搬送方向Y1に搬送されるときの先端が押さえローラー83の側面に衝突し、そのスムーズな搬送が妨げられることに起因する媒体ジャムや、衝突した媒体Mの先端が上方へ移動してしまいノズル面25Aと接触することが回避される。
また、媒体Mの第1面Maへの記録が終わると、媒体Mは第2搬送方向Y2に逆搬送される。図9に示すように、第2搬送方向Y2に搬送される媒体Mは、その先端が第2誘い面88に衝突したのち、第2誘い面88に沿って同図に二点鎖線で示すように下方へ誘導される。この結果、第2搬送方向Y2への逆搬送がスムーズに行われる。よって、第2搬送方向Y2に逆搬送される媒体Mの後端が、押さえローラー83,84の側面に衝突してそのスムーズな搬送が妨げられることに起因する媒体ジャムや、衝突した媒体Mの後端が上方へ移動してしまいノズル面25Aと接触することが回避される。
図4、図5に示す押さえローラー83,84は、キャリッジ24の底面24Aから記録ヘッド25の下面25Bよりも下方に突出する突起物なので、キャリッジ24の下方を流れる気流に少なからず影響を与える。本実施形態では、
走査方向Xに記録ヘッド25を挟んで両側に配置された第1押さえ機構81を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構82を構成する複数の押さえローラー84との1列当たりの数を同数とすることで、キャリッジ24の往動時と復動時とで押さえローラー83,84が気流に与える影響をほぼ同じにしている。また、押さえローラー83,84は、キャリッジ24と共に媒体Mに対して走査方向Xに移動するときに媒体M上を転動するうえ、外周先端が尖った歯部86を有する歯付きローラーなので、キャリッジの移動時に押さえローラー83,84の先端部が風を切るように移動し、気流に与える影響が少なく済む。この結果、記録ヘッド25から吐出される液滴の飛翔経路への影響が少なく抑えられ、液滴が媒体Mに着弾する着弾位置のばらつきが小さく抑えられる。
本例の押さえローラー83,84は、金属製であり、それらの回転軸85がフレーム部材24Fに接地されている。このため、押さえローラー83,84が、静電気に帯電した媒体Mに接触しても、押さえローラー83,84は帯電することがない。例えば、押さえローラー83,84が帯電すると、媒体Mとの間で静電気による吸引力が働いて、媒体Mが押さえローラー83,84に引き寄せられた結果、媒体Mが浮き上がる可能性がある。しかし、本例の押さえローラー83,84は、接地されており帯電しないので、この種の媒体Mの浮き上がりを抑制できる。
上記実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)記録装置11は、記録ヘッド25と、キャリッジ24と、支持部材50とを備える。キャリッジ24には、第1方向の一例である走査方向Xにおいて記録ヘッド25を挟んだ両側に一対の押さえ機構81,82を備える。押さえ機構81,82は、第1方向と交差する第2方向に間隔をあけて位置するとともに、記録ヘッド25の下面25Bよりも支持部材50に近づく方向に突出する複数の押さえローラー83,84を備える。第1押さえ機構81を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構82を構成する複数の押さえローラー84とは、第2方向における位置が互いにずれて位置する。よって、搬送過程で浮き上がった媒M体は、第1方向に記録ヘッドを挟んで両側に複数ずつ位置しかつ第2方向に位置がずれて配置された押さえローラー83,84により押さえられ易くなる。よって、搬送過程で浮き上がった媒体Mが、第2方向に並ぶ複数の押さえローラー83,84の間に入り込んで記録ヘッド25に接触することを効果的に抑制できる。このため、媒体Mが記録ヘッド25に接触することを効果的に回避できる。例えば、媒体Mが記録ヘッド25に接触することに起因する不都合を抑制できる。不都合には、媒体Mのジャム、媒体Mの汚れ、記録ヘッド25の損傷のうち少なくとも1つがある。
(2)第1方向は、走査方向Xであり、一対の押さえ機構81,82は、走査方向Xに記録ヘッド25を挟む両側に設けられる。第1押さえ機構81を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構82を構成する複数の押さえローラー84とは、搬送方向Yにおける位置が互いにずれて位置する。よって、搬送された媒体Mが浮き上がろうとしても、媒体Mは押さえローラー83,84により記録ヘッド25から離れる方向へ押さえられるので、媒体Mが記録ヘッド25またはキャリッジ24に接触することを回避できる。
(3)記録ヘッド25は、液体を吐出するノズル25Nを有し、ノズル25Nから媒体Mに向かって液体を吐出することで媒体Mに記録する構成である。記録ヘッド25は、ノズル25Nが開口するノズルプレート253を備える。記録ヘッド25の液体の吐出方向の端部に、ノズルプレート253が位置する。複数の押さえローラー83,84は、ノズルプレート253よりも液体の吐出方向に突出する。よって、媒体Mが記録ヘッド25のノズルプレート253に当たることを回避できる。つまり、媒体Mが記録ヘッド25に当たることを回避できる。
(4)押さえ部材は、複数の歯部86を外周に一定ピッチで有する押さえローラー83,84である。押さえローラー83,84は外周先端部の両側面に、径方向に先端へ向かうほど搬送方向Yの厚みを小さくする斜面に形成された一対の誘い面87,88を有する。よって、媒体Mが第1搬送方向Y1に搬送されるときも、第1搬送方向Y1とは反対の方向である第2搬送方向Y2に搬送されるときも共に、媒体Mの先端を押さえローラー83,84の先端へ誘うことができる。よって、媒体Mの先端が浮き上がって押さえローラー83,84に接触しても、媒体Mの先端が押さえローラー83,84の先端へ誘導されることで、媒体Mのジャムが発生しにくい。
(5)押さえローラー83,84の軸である回転軸85は、キャリッジ24に対して支持部材50との間隔を変化させる方向に変位不能な固定軸式である。よって、押さえローラー83,84は固定軸式なので、押さえローラー83,84がキャリッジ24に対して支持部材50との間隔を変化させる方向に変位可能な可動式の構成に比べ、構成が簡単で済む。例えば、押さえローラー83,84を非固定軸式とした場合、媒体Mからの反力で押さえローラー83,84が逃げるため、媒体Mが傷付きにくいものの、押さえローラー83,84が逃げ過ぎると媒体Mがノズル面25Aに接触してしまう場合がある。これに対して、固定軸式であれば、押さえローラー83,84によって、媒体Mがノズル面25Aに接触することを確実に抑制できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態における押さえローラー83,84が突出位置と退避位置とに変位可能に構成されている。押さえローラー83,84を変位させる変位機構91を備えた点以外は、第1実施形態の構成と同様であるので、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図11、図12に示すように、本実施形態のキャリッジ24は、媒体押さえ機構90を備える。媒体押さえ機構90は、一対の押さえ機構81,82と、一対の押さえ機構81,82を変位させる変位機構91とを備える。変位機構91によって、一対の押さえ機構81,82は、図11に示す退避位置と、図12に示す突出位置との間を変位可能である。なお、一対の押さえ機構81,82は、前記第1実施形態と同様に、第1押さえ機構81と第2押さえ機構82である。第1押さえ機構81は、複数の押さえ部材の一例としての押さえローラー83を備える。第2押さえ機構82は、複数の押さえ部材の一例としての押さえローラー84を備える。
キャリッジ24の底面24Aには、複数の押さえローラー83,84を格納可能な複数の格納孔24Bが開口している。一対の押さえ機構81,82は、第1押さえ機構81と第2押さえ機構82とを備える。変位機構91は外部からの操作力で駆動され、一対の押さえ機構81,82を、図11に示す退避位置と、図12に示す突出位置との間で変位させる。
<変位機構>
次に、図13〜図17を参照して、変位機構91の構成の一例を説明する。
図13に示すように、変位機構91は、押さえローラー83,84を保持するとともに鉛直方向Zに変位可能に設けられた保持部92と、保持部92を昇降させる昇降機構93とを備える。保持部92は、キャリッジ24の底面24Aに開口する格納孔24Bに沿って昇降可能に取り付けられてもよい。保持部92は、図13に示すように、押さえローラー83,84を保持するハウジング94を搬送方向Yに複数並べて連結部94Aで連結した構成でもよい。この場合、ハウジング94が、格納孔24Bを昇降する。また、1つの保持部92が搬送方向Y0に延びる長尺状のハウジング94で、複数の押さえローラー83,84を回転可能に共通に支持する回転軸85を保持する構成でもよい。また、回転軸85は、複数の押さえローラー83,84に共通の1本でもよいし、押さえローラー83,84の個々に1本ずつ設けられてもよい。
図13に示すように、変位機構91は、保持部92を押さえ方向に付勢する弾性部材95を備えてもよい。図13に示す例では、変位機構91は、ハウジング94を付勢する弾性部材95を備える。
昇降機構93は、保持部92の搬送方向Y0の両側に突出する一対のガイドピン96,97と、一方のガイドピン96が係入されている第1レール部材98と、他方のガイドピン97が係入されている第2レール部材99とを備える。図13、図14に示すように、第1レール部材98には、切替レバー98Aが突設されている。
次に、図13を参照して、変位機構91の動作を説明する。
図13に示すように、複数の押さえローラー83,84を保持する保持部92を備え、保持部92を鉛直方向Zに変位させることで、複数の押さえローラー83,84を退避位置と突出位置との間で変位させる構成である。図13は、押さえローラー83,84を個々にハウジング94で保持する構成の例である。なお、図13では、押さえローラー84は、奥方に隠れて位置する。
押さえローラー83,84は、記録ヘッド25のノズル面25Aと交差する方向である鉛直方向Zに、記録ヘッド25よりも突出する突出位置と、記録ヘッド25よりも突出しない退避位置とに変位可能な状態でキャリッジ24に設けられている。押さえローラー83,84を、退避位置から突出位置へ向かう方向に付勢する弾性部材95を備える。押さえローラー83,84は、突出位置にあるとき弾性部材95の付勢力に抗して退避位置へ向かう方向に変位可能に設けられている。変位機構91は、押さえローラー83,84を、記録ヘッド25よりも支持部材50に近づく方向である突出方向Z1に突出させる突出位置と、突出位置よりも突出方向Z1と反対方向の位置である退避位置とに変位させる。
図13に示すように、キャリッジ24内には、変位機構91が組み付けられている。変位機構91は、2列の押さえ機構81,82をそれぞれ保持する一対の保持部92と、一対の保持部92を昇降させる昇降機構93とを備える。
図13に示すように、一対のガイドピン96,97は、第1レール部材98と第2レール部材99とにそれぞれ支持されている。第1レール部材98は、搬送方向Yの上流に向かって突出する切替レバー98Aを有する。
図14は、1つの押さえローラー83と変位機構91とを示す。図14に示すように、押さえローラー83の回転軸85は、その軸線方向が搬送方向Yと平行となる向きでハウジング94に支持されている。図14に示すハウジング94は、保持部92のうち最も搬送方向の上流に位置するものを示しており、このハウジング94の搬送方向Yの上流側の面からは搬送方向Yの上流に向かってガイドピン96が突出している。なお、保持部92のガイドピン96とは反対側の他方も、ほぼ同様の構成であり、搬送方向Yの下流の面からは搬送方向Yの下流に向かってガイドピン97が突出している。ガイドピン96は、第1レール部材98のレール溝98Bに係入されている。ガイドピン97は、第2レール部材99のレール溝(図示略)に係入されている。また、各ハウジング94の上部には、ハウジング94を下方へ付勢する弾性部材95が装着されている。弾性部材95は、上端が不図示の規制部材により支持された状態でハウジング94を下方に付勢し、ハウジング94に支持された押さえローラー83を退避位置から突出位置に向かう方向に付勢している。
図15に示すように、第1レール部材98は、保持部92と対向する面に凹設されたレール溝98Bを有する。レール溝98Bは、鉛直方向Zに高さの異なる位置に水平に延びるように凹設された第1レール溝部981および第2レール溝部982と、第1レール溝部981と第2レール溝部982との間を斜状の経路で連結する連結レール溝部983とを有する。連結レール溝部983は、鉛直方向Zと幅方向Xとの位置が連続的に変化する。すなわち、連結レール溝部983は、−X方向に向かうほど+Z方向に上がる斜状の経路となっている。
図16に示すように、ガイドピン96が第1レール溝部981に係入されているとき、保持部92は上昇位置にあり、保持部92に保持された押さえ機構81,82は記録ヘッド25のノズル面25Aよりも上方に位置する退避位置にある。この押さえローラー83が退避位置にあるとき、弾性部材95はその上端部がキャリッジ24内の規制面24Cに当接する状態で保持部92が上昇位置に位置することにより圧縮状態にある。また、図17に示すように、ガイドピン96が第2レール溝部982に係入されているとき、保持部92は下降位置にあり、保持部92に保持された押さえ機構81,82を構成する押さえローラー83,84は、記録ヘッド25のノズル面25Aよりも下方に突出する突出位置に位置する。この突出位置にある押さえローラー83,84は、弾性部材95の付勢力に抗して退避方向への変位が可能な状態で保持されている。
切替レバー98Aが操作され、第1レール部材98がキャリッジ24に対して幅方向Xにスライドすることにより、押さえ機構81,82を保持する保持部92が昇降する。切替レバー98Aは、キャリッジ24が移動して、本体側から走査領域内に突出した被係合部112(図18参照)に係合することで操作される。キャリッジ24の移動により切替レバー98Aが被係合部112と係合することで一方向に操作されると、押さえローラー83,84は退避位置から突出位置へ移動する。また、キャリッジ24の移動により切替レバー98Aが被係合部112と係合することで他方向に操作されると、押さえローラー83,84は突出位置から退避位置へ退避する。退避位置にある押さえローラー83,84は、キャリッジ24が操作位置から離れても、そのまま退避位置に保持される。
図18は、キャリッジ24の移動領域を示す。図18に示す記録領域PAは、キャリッジ24が最大幅の媒体Mを移動するときに記録ヘッド25が移動する記録領域PAである。ディスクのレーベル面に記録を行うときにキャリッジ24と共に記録ヘッド25が移動する領域がディスク記録領域DLAである。ディスク記録領域DLAよりも反ホーム位置AH側の領域が、変位領域DAとなっている。変位領域DAは、変位機構91を切り替える操作をキャリッジ24が行うときの記録ヘッド25の移動領域である。変位領域DAは、レーベル記録のときにキャリッジ24が侵入しない領域である。変位領域DAは、ディスク記録領域DLAとは、重ならない独立した領域である。
変位領域DAには、被係合部112が配置されている。被係合部112は、アクチュエーター111により駆動され、被係合部112がキャリッジ24の走査領域内に突出する図18に示す操作位置と、キャリッジ24の走査領域から退避する退避位置とに移動可能に設けられている。被係合部112は、専用のアクチュエーターまたは既存の電動モーターの動力を流用して駆動される。図18に示す例では、搬送モーター71の動力を利用して被係合部112は、退避位置と操作位置との間を移動する。なお、制御部100が制御する専用のアクチュエーターによって、被係合部112を退避位置と操作位置との間で移動させてもよい。専用のアクチュエーター111としては、専用の電動モーターや電磁ソレノイド等が挙げられる。
図19に示すように、被係合部112はキャリッジ24の走査領域内に突出す係合位置と、キャリッジの走査領域から退避する退避位置との間を移動可能である。本例では、搬送モーター71の動力を利用し、搬送モーター71が逆転駆動するときの動力が不図示のクラッチを介して伝達されて被係合部112が移動する構成となっている。なお、被係合部をソレノイド等の専用のアクチュエーターにより駆動させてもよい。
図19に示すように、切替レバー98Aが操作位置に突出する状態で、キャリッジ24を第1走査方向X1に移動させると、変位機構91の切替レバー98Aが第1走査方向X1と反対方向となる第1操作方向に操作される。この第1操作方向への切替レバー98Aの操作により、一対の押さえ機構81,82が退避位置から突出位置へ変位する。つまり、この第1操作方向への切替レバー98Aの操作により、押さえ機構81,82が、図16に示す退避位置から図17に示す突出位置へ変位する。
一方、図19に示すように、被係合部112が操作位置に突出する状態で、キャリッジ24を反ホーム位置AH寄りの位置から第2走査方向X2に移動させると、変位機構91の切替レバー98Aが第2走査方向X2と反対方向となる第2操作方向に操作される。この第2操作方向への切替レバー98Aの操作により、一対の押さえ機構81,82が突出位置から退避位置へ変位する。つまり、この第2操作方向への切替レバー98Aの操作により、押さえ機構81,82が、図17に示す突出位置から図16に示す退避位置へ変位する。
なお、切替レバー98Aを被係合部112と係合させることなく、走査方向Xに切替レバー98Aと反対側の位置へ移動させるときには、制御部100が、搬送モーターまたは専用のアクチュエーターを駆動させて、被係合部112を退避位置へ一旦退避させる。被係合部112が切替レバー98Aと反対側の位置へ移動すると、制御部100が、搬送モーターまたは専用のアクチュエーターを駆動させてレバーを走査位置へ戻す。
図20に示すように、記録ヘッド25のノズル面25Aと、支持部材50の支持面50Aとのギャップに応じてキャリッジ24は鉛直方向Zの位置を変化させる。記録装置11は、変位機構91を制御する制御部100を備える。制御部100には複数の記録モードが設定され、制御部100は、記録モードに応じて変位機構91を制御する。キャリッジ24が最大ギャップGmaxのときの位置である図20に示す最高位置にあるとき、切替レバー98Aは被係合部112と係合可能である。キャリッジ24が最大ギャップ以外の他のギャップGn(n=1,2,3)のときの位置にあるときは、切替レバー98Aは最高位置よりも低い図20に二点鎖線で示すようなギャップGnに応じた高さ位置にある。この高さ位置にあるとき切替レバー98Aは被係合部112と係合不能である。
また、ギャップに応じてキャリッジ24の高さ位置が変化するのに応じて、押さえ機構81,82を構成する各押さえローラー83,84はキャリッジ24と共に高さ位置を変化させる。複数の記録モードには、媒体Mと記録ヘッド25との擦れを回避する擦れ回避モードが含まれる。制御部100は、擦れ回避モードであるとき、変位機構91を制御して押さえローラー83,84を突出位置に配置する。記録ヘッド25は、液体を吐出することで媒体Mに記録する液体吐出ヘッドである。記録ヘッド25と支持部材50とのギャップを調整するギャップ調整機構37を備える。擦れ回避モードでは、擦れ回避モードでないときとギャップは同じ値に設定される。
次に、第2実施形態の記録装置11の作用を説明する。
制御部100は、記録データPDを含む記録指示を受信すると、プログラムPRを実行し、媒体Mに画像等を記録する記録制御を行う。すなわち、制御部100は、図21にフローチャートで示されるプログラムを実行する。
まずステップS11では、制御部100は、記録データPDを取得する。
ステップS12では、制御部100は、記録モードを取得する。制御部100は、記録データPDに含まれる情報を基に記録モードを取得する。記録モードには、高精細記録モードと、高速記録モードと、レーベル記録モードなどがある、また、機能モードとして擦れ回避モードや静かモードなどがある。記録モードおよび機能モードは、例えば、ユーザーが、記録装置11またはホスト装置の操作部を操作することで設定される。
ステップS13では、制御部100は、記録モードに応じたギャップに調整する。高精細記録モードであれば、最小の第1ギャップに調整する。高速記録モードであれば、中間の第2ギャップに調整する。レーベル記録モードであれば、最大の第3ギャップに調整する。また、記録データPDには媒体種情報が含まれる。制御部100は、媒体種情報に基づき媒体種を取得する。媒体種には、普通紙、写真紙、封筒、ディスク等がある。媒体種に応じて媒体厚が決まる。媒体Mと記録ヘッド25との間のペーパーギャップが、記録モードに応じた規定値になるようにギャップ(プラテンギャップ)が調整される。制御部100は、ギャップ調整機構37を駆動し、記録モードと媒体種などの情報に基づいて決まるギャップに調整する。写真紙に画像を高精細に記録するときは、最小のギャップに調整される。普通紙に高速記録モードで記録するときは、第2ギャップに調整される。封筒に高速記録モードで記録するときは、第3ギャップに調整される。さらに、ディスクに記録するときは、最大の第4ギャップに調整される。
ステップS14では、制御部100は、高精細記録モードであるか否かを判定する。高精細記録モードであればステップS15に進み、高精細記録モードでなければステップS16に進む。
ステップS15では、制御部100は、押さえローラー83,84を退避させる。現在、押さえローラー83,84が退避位置になければ、制御部100は、キャリッジ24を変位領域DAまで移動させるとともにキャリッジ24に切替レバー98Aを操作させるレバー操作動作を行わせ、その背面の切替レバー98Aを第1方向に操作する。このレバー操作によって変位機構91が切り替られ、押さえローラー83,84が退避位置に退避する。
ステップS16では、制御部100は、擦れ回避モードであるか否かを判定する。擦れ回避モードであればステップS17に進み、擦れ回避モードでなければステップS15に進む。擦れ回避モードでなければ、ステップS15で、押さえローラー83,84を退避位置に退避させる。つまり、高精細記録モード以外の記録モードでも、擦れ回避モードが選択されていなければ、押さえローラー83,84を退避させる。また、高精細記録モード以外の記録モードであるとき、擦れ回避モードが選択されていれば、ステップS17に進む。
ステップS17では、制御部100は、押さえローラー83,84を突出位置に突出させる。現在、押さえローラー83,84が突出位置になければ、制御部100は、キャリッジ24を変位領域DAまで移動させるとともにキャリッジ24にレバー操作動作を行わせ、その背面の切替レバー98Aを第2方向に操作する。このレバー操作によって、変位機構91が切り替えられ、押さえローラー83,84が突出位置に突出する。
ステップS18では、制御部100は、記録動作を行う。すなわち、制御部100は、給送部21を制御して媒体Mを給送するとともに搬送部40を制御して媒体Mを記録開始位置まで搬送する。続いて、制御部100は、搬送部40および記録部23を制御する。キャリッジ24が走査方向Xに移動する過程で記録ヘッド25が液体を吐出して媒体Mに1走査分の記録を施す記録動作と、搬送部40が媒体Mを次の記録位置まで搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、媒体Mに記録データPDに基づく画像を記録する。
このように、本実施形態では、写真紙に画像を記録する高精細記録モードでは、押さえローラー83,84が記録ヘッド25の下面25Bよりも上方に位置する退避位置に退避する。よって、押さえローラー83,84が突出位置にあることが原因で、写真紙に押さえローラー83,84が接触して、写真紙の被記録面に傷が付くことが回避される。この結果、写真紙に高品質な画像が記録される。
また、高速記録モードかつ擦れ回避モードのときは、押さえローラー83,84が突出位置に配置される。キャリッジ24の底面24Aから突出した押さえローラー83,84が媒体Mの浮き上がりを押さえるので、媒体Mが記録ヘッド25のノズル面25Aに接触することが回避される。この結果、媒体Mが記録ヘッド25のノズル面25Aに接触することに起因する、ジャム、媒体Mの汚れ、記録ヘッド25の損傷などのうちいずれか1つの不具合の発生を回避できる。
また、本実施形態の擦れ回避モードでは、擦れ回避モード以外の記録モード時のギャップと同じギャップが設定される。ここで、擦れ回避モード以外の記録モードとは、高精細記録モードおよび高速記録モードを含む。例えば、押さえローラーを備えない従来の記録装置では、擦れ回避モードのときは、擦れ回避モード以外の記録モード時のギャップよりも大きなギャップが設定される。これにより、搬送中に浮き上がった媒体Mが記録ヘッド25のノズル面25Aに擦れる頻度が低下する。しかし、ギャップが大きくなることで、記録ヘッド25から吐出される液滴が媒体Mの表面に着弾するまでの飛翔距離が長くなり、これが原因で記録位置精度が低下する。
これに対して、本実施形態では、擦れ回避モードにおいて、擦れ回避モード以外の記録モードで設定されるギャップと同じ小さいままのギャップが設定される。このため、キャリッジ24の底面24Aから突出した押さえローラー83,84によって媒体Mの浮き上がりを抑制できるうえ、媒体Mに高い品質の画像を記録できる。なお、擦れ回避モードがない機種の記録装置11において、高精細記録モード以外の記録モードにおいて、常に、押さえローラー83,84を突出させ、高精細記録モード時に押さえローラー83,84を退避させてもよい。
以上、詳述したように第2実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(6)押さえローラー83,84は、記録ヘッド25のノズル面25Aと交差する方向に記録ヘッド25よりも突出する突出位置と、記録ヘッド25よりも突出しない退避位置とに変位可能な状態でキャリッジ24に設けられる。押さえローラー83,84を、退避位置から突出位置へ向かう方向に付勢する弾性部材95を備える。押さえローラー83,84は、突出位置にあるとき弾性部材95の付勢力に抗して退避位置へ向かう方向に変位可能に設けられている。よって、剛性が低く浮き上がり易い媒体Mが押さえローラー83,84に当たるときは、媒体Mのそれ以上の浮き上がりを抑制できる。また、剛性の高い媒体Mが押さえローラー83,84に当たると、押さえローラー83,84は突出位置から退避位置に向かう方向に弾性部材95の付勢力に抗して変位するので、押さえローラー83,84が固定軸式の構成に比べ、媒体Mの表面が傷付きにくい。
(7)押さえローラー83,84を、記録ヘッド25よりも支持部材50に近づく方向である突出方向Z1に突出させる突出位置と、突出位置よりも突出方向Z1と反対方向の位置である退避位置とに変位させる変位機構91を備える。よって、媒体Mを押さえる必要がないときは、押さえローラー83,84を記録ヘッド25よりも下方に突出しない退避位置に変位させ、媒体Mを押さえる必要があるときは、押さえローラー83,84を記録ヘッド25よりも下方に突出する突出位置に変位させる。媒体Mを押さえる必要がないときとは、媒体Mが浮き上がりにくい種類の媒体Mである場合が挙げられ、媒体Mを押さえる必要があるときとは、媒体Mが浮き上がりやすい種類の媒体Mである場合が挙げられる。
(8)記録装置11は、変位機構91を制御する制御部100を備える。制御部100には複数の記録モードが設定される。制御部100は、記録モードに応じて変位機構91を制御する。よって、記録モードに応じて押さえローラー83,84を突出位置に配置するか、退避位置に配置するかを切り替えることができる。よって、媒体Mが浮き上がりやすい記録モードのときは押さえローラー83,84を突出位置に配置してその浮き上がりを抑制でき、媒体Mが浮き上がりにくい記録モードのときは押さえローラー83,84を退避位置に配置して押さえローラー83,84が媒体Mに当たることに起因する不都合を抑制できる。ここで、不都合には、媒体Mに傷が付くこと、押さえローラー83,84が記録済みの部分の媒体Mに接触したときに記録面を傷付けること、押さえローラー83,84が記録済みの部分の媒体Mに接触したときに転写されたインクにより押さえローラー83,84が汚れること、押さえローラー83,84の汚れが媒体Mに移ることなどが挙げられる。
(9)複数の記録モードには、媒体Mと記録ヘッド25との擦れを回避する擦れ回避モードが含まれる。制御部100は、擦れ回避モードであるとき、変位機構91を制御して押さえローラー83,84を突出位置に配置する。よって、ユーザーが擦れ回避モードを選択した場合、押さえローラー83,84が突出位置に変位する。媒体Mは突出位置にある押さえローラー83,84に押さえられるので、媒体Mと記録ヘッド25との擦れを回避できる。
(10)記録ヘッド25は、液体を吐出することで媒体Mに記録する液体吐出ヘッドである。記録ヘッド25と支持部材とのギャップを調整するギャップ調整機構を備える。擦れ回避モードでは、擦れ回避モードが設定されていないときとギャップは同じ値に設定される。よって、擦れ回避モードでは、擦れ回避モードが設定されていないときとギャップは変えずに、押さえローラー83,84が突出位置に配置されることで、媒体Mと記録ヘッド25との擦れを回避できる。ところで、ギャップを大きくすると、媒体Mと記録ヘッド25との擦れを回避しやすくなる。しかし、ギャップを大きくすると、記録ヘッド25と媒体Mとが離れるので、記録ヘッド25が吐出した液体が媒体Mに着弾するときの着弾位置(記録位置)の位置精度が低下する。これは記録品質の低下に繋がる。これに対して、よって、擦れ回避モードであるときのギャップは、擦れ回避モードでないときと同じ値なので、記録品質を低下させることなく、媒体Mと記録ヘッド25との擦れを回避できる。
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
・図22に示すように、第1実施形態において、押さえローラー83,84を回転軸85に替え、棒ばね110により回転可能に支持してもよい。つまり、押さえローラー83,84の軸は、棒ばね110で構成されることから、媒体Mからの反力によってキャリッジ24に対して支持部材50との間隔を変化させる方向に変位可能な非固定軸式である。棒ばね110が自然状態にあるとき、押さえローラー83,84は、記録ヘッド25よりも突出する突出位置に配置される。押さえローラー83,84は、媒体Mからの反力で棒ばね110の復元力(付勢力)に抗して突出方向Z1と反対の方向に向かって変位することで退避が可能である。この構成によれば、普通紙等の剛性の低い媒体Mに対しては押さえローラー83,84によって媒体Mの浮き上がりを抑え、媒体Mが記録ヘッド25に接触することを防止できる。また、写真紙等の剛性の高い媒体Mに対しては媒体Mから受ける力で、押さえローラー83,84は棒ばね110の復元力に抗して支持面50Aから離れる方向に変位できるので、例えば、写真紙が傷付きにくい。また、第2実施形態のような変位機構91が不要なので、構成が簡単で済む。
・キャリッジ24の底面24Aに、押さえローラー83,84と記録ヘッド25を挟んだ反対側の位置に凸部を設けてもよい。この構成によれば、記録ヘッド25を挟んだ両側で記録ヘッド25の中心線に対して線対称な位置に押さえローラー83,84および凸部よりなる突出部が配置されるので、押さえローラー83,84および凸部を含む突起物がキャリッジ24の移動時に発生する気流に与える影響をキャリッジ24の往動時と復動時とで揃えられ易くなる。よって、キャリッジ24の往動時と復動時とで気流に与える影響度の差を一層小さく抑えることができる。この結果、気流に起因する記録品質の低下を抑制できる。
・前記第2実施形態では、押さえローラー83,84の突出量を1段階としたが、押さえローラー83,84の突出量を複数段階に変化させてもよい。例えば、第2実施形態の変位機構91において、切替レバー98Aが操作されるレバー操作位置を複数用意するとともに、レール部材98のレール溝部の高さを2段階から3段階以上の複数段階に設定する。キャリッジ24の複数段階のレバー操作動作によって、押さえローラー83,84の突出量を調整する。例えば、カールしやすく浮き上がりやすい媒体種については、押さえローラー83,84の突出量を大きくする。媒体Mの浮き上がり易さの程度に応じて押さえローラー83,84の突出量を調整してもよい。
・第1方向が搬送方向Yであり、第2方向が走査方向Xである例で構成してもよい。すなわち、キャリッジ24は、第1方向の一例である搬送方向Yにおいて記録ヘッド25を挟んだ両側に一対の押さえ機構81,82を備えてもよい。この場合、一対の押さえ機構81,82は、第1方向と交差する第2方向に間隔をあけて位置するとともに、記録ヘッド25の下面25Bよりも支持部材50に近づく方向である突出方向に突出する複数の押さえ部材の一例としての押さえローラー83,84を備えてもよい。押さえローラー83,84は、キャリッジ24が走査方向Xに移動する過程で媒体Mと接触すると、媒体Mとの摩擦によって回転する。第1押さえ機構81を構成する複数の押さえローラー83と、第2押さえ機構82を構成する複数の押さえローラー84とは、第2方向の一例である走査方向Xにおける位置が互いにずれて位置してもよい。例えば、一対の押さえ機構81,82を構成する押さえローラー83,84は千鳥配置されてもよい。この構成によれば、媒体Mの浮き上がった側端部、または走査方向Xに波打つ波状の媒体Mの山部が押さえローラーの間に入り込もうとしても、一対の押さえ機構81,82を構成する押さえローラー83,84が押さえるので、媒体Mがノズル面25Aに接触する頻度を効果的に低減できる。このような一対の押さえ機構81,82と、前記第1実施形態または第2実施形態の一対の押さえ機構81,82とを共に備えたキャリッジ24であってもよい。
・押さえ機構81,82を構成する押さえローラー83,84等の押さえ部材の第2方向の間隔は、等間隔に限らず、不等間隔でもよい。
・押さえ機構は、走査方向Xに記録ヘッド25を挟んで一対設けられれば足り、これら一対の押さえ機構81,82の他に、走査方向Xに記録ヘッド25を挟んだ両側のうちの少なくとも一方に、他の押さえ機構を備えてもよい。すなわち、一対の押さえ機構81,82を含む3つ以上の押さえ機構を備える構成でもよい。
・押さえローラー83,84は、歯付きローラーに限定されず、歯部86を有しないローラーでもよい。
・第2誘い面88はなくてもよい。例えば、搬送経路とは別に逆搬送経路を設ける記録装置においては第2誘い面88はなくてもよい。例えば、第1誘い面87のみ有する押さえローラー83,84でもよい。
・押さえ部材は、回転体でなくてもよい。媒体Mが当たる面が凸曲面となった押さえ部材でもよい。この場合、押さえ部材は、キャリッジ24の底面24Aに固定されてもよいし、キャリッジ24に対して突出位置と退避位置とに出退可能に設けられてもよい。
・前記第2実施形態において、押さえ機構81,82を、キャリッジ24に対して、媒体種に応じた3段階以上の複数段階に変位させてもよい。
・前記第2実施形態において、変位機構91を無くし、キャリッジ24の底面から突出する押さえローラー83,84が弾性部材95により退避方向に向かって変位可能に付勢されているだけの構成でもよい。
・押さえ部材は、歯付きローラーに限定されず、歯部を有しないローラーでもよい。例えば、先端を鋭角に尖らせたローラーでもよい。
・押さえ部材は、ローラーに限定されない。押さえ部材は、ボールやコロでもよい。押さえ部材は、回転可能であればよい。回転可能であれば、媒体Mが接触したときの摩擦抵抗を小さくすることができる。
・押さえ部材は、回転不能な部材でもよい。押さえ部材は、例えば、円板状でその一部が記録ヘッド25よりも支持部材50に近づく方向に突出する突起物でもよい。
・押さえ部材をキャリッジに設けたが、記録ヘッドに設けてもよい。
・押さえローラーは、退避位置では、キャリッジ24の底面24Aに埋没する位置まで退避する必要はなく、記録ヘッド25の下面25Bよりも上方へ退避していればよい。また、押さえローラー83,84は、突出位置よりも退避していれば、退避位置において、記録ヘッド25の下面25Bよりも下方に突出してもよい。
・複数の押さえローラー83と複数の押さえローラー84との少なくとも一方を、共通の回転軸85に固定してもよい。
・ギャップ調整機構37を駆動させる第1駆動源は、搬送モーター71に限らず、搬送系のモーターであれば、他のモーターでもよい。例えば、給送モーター35でもよい。
・ギャップ調整機構37を駆動させる第1駆動源は、搬送系のモーターに限定されない。例えば、記録ヘッド25のメンテナンスを行うメンテナンス装置を駆動させるモーターでもよい。
・記録ヘッド25と支持部材50とが対向する方向は、鉛直方向Zに限定されない。水平方向でもよいし、水平方向と鉛直方向との中間の方向である斜め方向であってもよい。
・搬送部40は、ローラー搬送方式に替え、ベルト搬送方式でもよい。
・記録装置11は、用紙等の媒体に印刷する記録装置に限定されず、布に印刷する捺染装置でもよい。
・記録装置11は、記録部23が走査方向Xに往復移動するシリアルプリンターに限定されず、記録部23が主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル式プリンターでもよい。
・記録装置11は、読取ユニットを搭載する複合機でもよい。
・媒体Mは、用紙に限らず、可撓性のプラスチックフィルムや、布、不織布などであってもよいし、ラミネートでもよい。
・記録装置は、印刷用のプリンターに限定されない。例えば、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体を吐出し、媒体の一例である基板に電気配線パターン、又は、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)及び面発光などの各種の方式のディスプレイの画素を製造するものでもよい。
・記録装置11は、インクジェット方式に限定されず、ワイヤインパクト式の記録装置、熱転写式の記録装置であってもよい。記録ヘッドと支持部材との間にギャップが存在する記録装置であれば、記録方式は特に限定されない。
前記実施形態および変更例から把握される技術思想を、その作用効果と共に以下に記載する。
記録装置は、媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドを保持して、前記媒体の搬送方向と交差する方向である走査方向に往復移動するキャリッジと、前記媒体を支持する支持部材と、を備え、前記キャリッジは、第1方向において前記記録ヘッドを挟んだ両側に一対の押さえ機構を備え、前記押さえ機構は、前記第1方向と交差する第2方向に間隔をあけて位置するとともに、前記記録ヘッドの下面よりも前記支持部材に近づく方向に突出する複数の押さえ部材を備え、前記一対の前記押さえ機構のうち第1押さえ機構を構成する複数の前記押さえ部材と、第2押さえ機構を構成する複数の前記押さえ部材とは、前記第2方向における位置が互いにずれて位置する。
この構成によれば、搬送過程で浮き上がった媒体は、第1方向に記録ヘッドを挟んで両側に複数ずつ位置しかつ第2方向の位置がずれて配置された複数の押さえ部材に押さえられ易くなる。浮き上がった媒体が、第2方向に間隔をあけて位置する複数の押さえ部材の間に入り込んで記録ヘッドに接触することを抑制できる。例えば、媒体が記録ヘッドに接触することに起因する不都合を抑制できる。不都合には、媒体のジャム、媒体の汚れ、記録ヘッドの損傷のうち少なくとも1つがある。
上記記録装置において、前記第1方向は前記走査方向であり、一対の前記押さえ機構は、前記走査方向に前記記録ヘッドを挟む両側に設けられ、前記第1押さえ機構を構成する複数の前記押さえ部材と、前記第2押さえ機構を構成する複数の前記押さえ部材とは、前記搬送方向における位置が互いにずれて位置してもよい。
この構成によれば、搬送された媒体が浮き上がろうとしても、媒体は押さえ部材により記録ヘッドから離れる方向へ押さえられるので、媒体が記録ヘッドまたはキャリッジに接触することを回避できる。
上記記録装置において、前記記録ヘッドは、液体を吐出するノズルを有し、前記ノズルから前記媒体に向かって液体を吐出することで前記媒体に記録する構成であり、前記記録ヘッドは、前記ノズルが開口するノズルプレートを備え、前記記録ヘッドの前記液体の吐出方向の端部に、前記ノズルプレートが位置し、前記複数の押さえ部材は、前記ノズルプレートよりも前記液体の吐出方向に突出してもよい。
この構成によれば、媒体が記録ヘッドのノズルプレートに当たることを回避できる。つまり、媒体が記録ヘッドに当たることを回避できる。
上記記録装置において、前記押さえ部材は、複数の歯部を外周に一定ピッチで有する押さえローラーであり、前記押さえローラーは外周先端部の両側面に、径方向に先端へ向かうほど前記搬送方向の厚みを小さくする斜面に形成された一対の誘い面を有してもよい。
この構成によれば、媒体が第1搬送方向に搬送されるときも、第1搬送方向とは反対の方向である第2搬送方向に搬送されるときも共に、媒体の先端を誘い面によって押さえローラーの先端へ誘うことができる。よって、媒体の先端が浮き上がって押さえローラーに接触しても、媒体の先端が押さえローラーの先端へ誘導されることで、媒体のジャムが発生しにくい。
上記記録装置において、前記押さえ部材は、押さえローラーであり、前記押さえローラーは、前記記録ヘッドのノズル面と交差する方向に当該記録ヘッドよりも突出する突出位置と、前記記録ヘッドよりも突出しない退避位置とに変位可能な状態で前記キャリッジに設けられ、前記押さえローラーを、前記退避位置から前記突出位置へ向かう方向に付勢する弾性部材を備え、前記押さえローラーは、前記突出位置にあるとき前記弾性部材の付勢力に抗して前記退避位置へ向かう方向に変位可能に設けられてもよい。
この構成によれば、剛性の低い浮き上がり易い媒体が押さえローラーに当たるときは、媒体の浮き上がりを抑制できる。また、剛性の高い媒体が押さえローラーに当たると、押さえローラーは突出位置から退避位置に向かう方向に変位するので、押さえローラーが固定軸式の構成に比べ、媒体の表面が傷付きにくい。
上記記録装置において、前記押さえ部材は、押さえローラーであり、前記押さえローラーの軸は、前記キャリッジに対して前記支持部材との間隔を変化させる方向に変位不能な固定軸式であってもよい。
この構成によれば、押さえローラーは固定軸式なので、押さえローラーがキャリッジに対して支持部材との間隔を変化させる方向に変位可能な可動式の構成に比べ、構成が簡単で済む。
上記記録装置において、前記押さえ部材は、押さえローラーであり、前記押さえローラーの軸は、前記媒体からの反力によって前記キャリッジに対して前記支持部材との間隔を変化させる方向に変位可能な非固定軸式であってもよい。
この構成によれば、剛性の低い媒体が押さえローラーに当たることで、媒体の浮き上がりを抑制できる。また、剛性の高い媒体が押さえローラーに当たると、押さえローラーは媒体からの反力によってキャリッジに対して支持部材との間隔を変化させる方向に変位することで、媒体の表面が傷付きにくい。
上記記録装置では、前記押さえ部材を、前記記録ヘッドよりも前記支持部材に近づく方向である突出方向に突出させる突出位置と、前記突出位置よりも前記突出方向と反対方向の位置である退避位置とに変位させる変位機構を備えてもよい。
この構成によれば、媒体を押さえる必要がないときは、押さえ部材を記録ヘッドよりも下方に突出しない退避位置に変位させ、媒体を押さえる必要があるときは、押さえ部材を前記記録ヘッドよりも下方に突出する突出位置に変位させる。媒体を押さえる必要がないときとは、媒体が浮き上がりにくい種類の媒体である場合が挙げられ、媒体を押さえる必要があるときとは、媒体が浮き上がりやすい種類の媒体である場合が挙げられる。
上記記録装置は、前記変位機構を制御する制御部を備え、前記制御部には複数の記録モードが設定され、前記制御部は、前記記録モードに応じて前記変位機構を制御してもよい。
この構成によれば、記録モードに応じて押さえ部材を突出位置に配置するか、退避位置に配置するかを切り替えることができる。よって、媒体が浮き上がりやすい記録モードのときは押さえ部材を突出位置に配置してその浮き上がりを抑制でき、媒体が浮き上がりにくい記録モードのときは押さえ部材を退避位置に配置して押さえ部材が媒体に当たることに起因する不都合を抑制できる。ここで、不都合には、媒体に傷が付くこと、押さえ部材が記録済みの部分の媒体に接触したときに記録面を傷付けること、押さえ部材が記録済みの部分の媒体に接触したときに転写されたインクにより押さえ部材が汚れること、押さえ部材の汚れが媒体に移ることなどが挙げられる。
上記記録装置において、複数の前記記録モードには、前記媒体と前記記録ヘッドとの擦れを回避する擦れ回避モードが含まれ、前記制御部は、前記擦れ回避モードであるとき、前記変位機構を制御して前記押さえ部材を前記突出位置に配置してもよい。
この構成によれば、ユーザーが擦れ回避モードを選択した場合、押さえ部材が突出位置に変位する。媒体は突出位置にある押さえ部材に押さえられるので、媒体と記録ヘッドとの擦れを回避できる。
上記記録装置において、前記記録ヘッドは、液体を吐出することで前記媒体に記録する液体吐出ヘッドであり、前記記録ヘッドと前記支持部材とのギャップを調整するギャップ調整機構を備え、前記擦れ回避モードでは、当該擦れ回避モードが設定されていないときと前記ギャップは同じ値に設定されてもよい。
この構成によれば、擦れ回避モードでは、擦れ回避モードが設定されていないときとギャップは変えずに、押さえ部材が突出位置に配置されることで、媒体と記録ヘッドとの擦れを回避できる。ところで、ギャップを大きくすると、媒体と記録ヘッドとの擦れを回避しやすくなる。しかし、ギャップを大きくすると、記録ヘッドと媒体とが離れるので、記録ヘッドが吐出した液体が媒体に着弾するときの着弾位置(記録位置)の位置精度が低下する。これは記録品質の低下に繋がる。これに対して、この構成によれば、擦れ回避モードであるときのギャップは、擦れ回避モードが設定されていないときと同じ値なので、記録品質を低下させることなく、媒体と記録ヘッドとの擦れを回避できる。
11…記録装置、12…装置本体、13…カバー、15…操作パネル、16…電源ボタン、17…液体供給源、18…収容部、18A…供給カバー、19…窓部、20…給送カバー、21…給送部、22…給送トレイ、22A…エッジガイド、23…記録部、24…キャリッジ、24A…底面、24B…格納孔、24F…フレーム部材、25…記録ヘッド、25A…ノズル面、25B…下面、25N…ノズル、251…ヘッド本体、252…ヘッドプレート、253…ノズルプレート、26…排出カバー、27…スタッカー、30…メインフレーム、30A…ガイドレール、31…移動機構、32…キャリッジモーター、33…タイミングベルト、34…リニアエンコーダー、35…給送モーター、37…ギャップ調整機構、40…搬送部、41…搬送ローラー対、410…搬送駆動ローラー、42…排出ローラー対、420…排出駆動ローラー、43…従動ローラー、45…媒体ガイド部材、46…媒体ガイド機構、47…ガイド部材、48…弾性部材、50…支持部材、51…第1支持部、52…第2支持部、53…第3支持部、54…リブ、60…メンテナンス装置、61…キャップ、62…ワイパー、63…吸引ポンプ、64…廃液チューブ、65…廃液ボックス、71…搬送モーター、72…動力伝達機構、73…タイミングベルト、74…ロータリーエンコーダー、75…排出口、76…媒体検出器、80…媒体押さえ機構、81…第1押さえ機構、82…第2押さえ機構、83…押さえ部材の一例としての押さえローラー、84…押さえ部材の一例としての押さえローラー、85…軸の一例としての回転軸、86…歯部、87…誘い面の一例である第1誘い面、88…誘い面の一例である第2誘い面、90…媒体押さえ機構、91…変位機構、92…保持部、93…昇降機構、94…ハウジング、95…弾性部材、96,97…ガイドピン、98…第1レール部材、99…第2レール部材、100…制御部、110…弾性部材の一例としての棒ばね、M…媒体、HP…ホーム位置、AH…反ホーム位置、X1…第1走査方向、X2…第2走査方向、X…第1方向の一例としての幅方向(走査方向)、Y…第2方向の一例としての搬送方向、Y1…第1搬送方向、Y2…第2搬送方向、Z…鉛直方向、Z1…突出方向、Gn…ギャップ、Gmax…最大ギャップ。

Claims (11)

  1. 媒体に記録を行う記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドを保持して、前記媒体の搬送方向と交差する方向である走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記媒体を支持する支持部材と、を備え、
    前記キャリッジは、第1方向において前記記録ヘッドを挟んだ両側に一対の押さえ機構を備え、
    前記押さえ機構は、前記第1方向と交差する第2方向に間隔をあけて位置するとともに、前記記録ヘッドの下面よりも前記支持部材に近づく方向に突出する複数の押さえ部材を備え、
    前記一対の前記押さえ機構のうち第1押さえ機構を構成する複数の前記押さえ部材と、第2押さえ機構を構成する複数の前記押さえ部材とは、前記第2方向における位置が互いにずれて位置する、ことを特徴とする記録装置。
  2. 前記第1方向は、前記走査方向であり、
    一対の前記押さえ機構は、前記走査方向に前記記録ヘッドを挟む両側に設けられ、
    前記第1押さえ機構を構成する複数の前記押さえ部材と、前記第2押さえ機構を構成する複数の前記押さえ部材とは、前記搬送方向における位置が互いにずれて位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記記録ヘッドは、液体を吐出するノズルを有し、前記ノズルから前記媒体に向かって液体を吐出することで前記媒体に記録する構成であり、
    前記記録ヘッドは、前記ノズルが開口するノズルプレートを備え、
    前記記録ヘッドの前記液体の吐出方向の端部に、前記ノズルプレートが位置し、
    前記複数の押さえ部材は、前記ノズルプレートよりも前記液体の吐出方向に突出する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記押さえ部材は、複数の歯部を外周に一定ピッチで有する押さえローラーであり、
    前記押さえローラーは外周先端部の両側面に、径方向に先端へ向かうほど前記搬送方向の厚みを小さくする斜面に形成された一対の誘い面を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の記録装置。
  5. 前記押さえ部材は、押さえローラーであり、
    前記押さえローラーは、前記記録ヘッドのノズル面と交差する方向に当該記録ヘッドよりも突出する突出位置と、前記記録ヘッドよりも突出しない退避位置とに変位可能な状態で前記キャリッジに設けられ、
    前記押さえローラーを、前記退避位置から前記突出位置へ向かう方向に付勢する弾性部材を備え、
    前記押さえローラーは、前記突出位置にあるとき前記弾性部材の付勢力に抗して前記退避位置へ向かう方向に変位可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の記録装置。
  6. 前記押さえ部材は、押さえローラーであり、
    前記押さえローラーの軸は、前記キャリッジに対して前記支持部材との間隔を変化させる方向に変位不能な固定軸式である、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の記録装置。
  7. 前記押さえ部材は、押さえローラーであり、
    前記押さえローラーの軸は、前記媒体からの反力によって前記キャリッジに対して前記支持部材との間隔を変化させる方向に変位可能な非固定軸式である、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の記録装置。
  8. 前記押さえ部材を、前記記録ヘッドよりも前記支持部材に近づく方向である突出方向に突出させる突出位置と、前記突出位置よりも前記突出方向と反対方向の位置である退避位置とに変位させる変位機構を備える、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の記録装置。
  9. 前記変位機構を制御する制御部を備え、
    前記制御部には複数の記録モードが設定され、
    前記制御部は、前記記録モードに応じて前記変位機構を制御する、ことを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
  10. 複数の前記記録モードには、前記媒体と前記記録ヘッドとの擦れを回避する擦れ回避モードが含まれ、
    前記制御部は、前記擦れ回避モードであるとき、前記変位機構を制御して前記押さえ部材を前記突出位置に配置する、ことを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
  11. 前記記録ヘッドは、液体を吐出することで前記媒体に記録する液体吐出ヘッドであり、
    前記記録ヘッドと前記支持部材とのギャップを調整するギャップ調整機構を備え、
    前記擦れ回避モードでは、当該擦れ回避モードが設定されていないときと前記ギャップは同じ値に設定される、ことを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
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