JPH10253318A - リニアエンコーダのクリーニング機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像記録装置における記録ヘッドの移動位置
を検出するためのタイミングフェンスのクリーニング機
構であって、クリーニング時にタイミングフェンスを磨
耗したり傷付けたりすることなく、タイミングフェンス
を良好な状態に保つ。 【解決手段】 キャリッジ６に可撓性を有する材質でな
り、タイミングフェンス１０上を平滑に摺動移動するフ
ィルム部材１６を取り付け、キャリッジ６の移動時にフ
ォトセンサ１５によってタイミングフェンス１０上の指
標を読み取り、位置検出信号の生成と共に、フィルム部
材１６によってタイミングフェンス１０上の埃等を拭き
取る。これにより、タイミングフェンス１０を磨耗した
り傷付けたりすることなく、タイミングフェンス１０を
クリーニングすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、記録ヘッドを走査
移動して記録を行う画像記録装置における記録ヘッドの
位置を検出するリニアエンコーダのクリーニング機構に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、この種の画像記録装置におい
ては、記録ヘッドの移動位置に応じて所定のタイミング
でインク噴射を行うために、記録ヘッドの移動量を検出
するリニアエンコーダが記録装置に備えられている。こ
のリニアエンコーダは、キャリッジの移動方向に張架さ
れ、その上に印刷等によって設けられた多数の指標を、
キャリッジの移動に伴ってフォトセンサ等によって読み
取り、キャリッジの位置検出を行い、記録タイミング信
号を生成する。このリニアエンコーダによって指標を読
み取る場合、長期の使用によってタイミングフェンスの
上に紙粉等の埃が堆積し、フォトセンサによる指標の読
み取りに誤動作を生じることがある。この誤動作をなく
すため、タイミングフェンスのクリーニング機構が従来
から提案されており、例えば、キャリッジの移動に伴っ
て回転するブラシによってタイミングフェンス表面を擦
って、表面に付着した塵や埃を取り除くようにしたもの
がある（例えば、特開昭５９−８９１８９号公報参
照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のタイミングフェンスのクリーニング機構に
よれば、ブラシによるキャリッジの移動に伴うタイミン
グフェンスの拭き取り時に静電気が発生することがあ
り、却って埃等を吸着することがある。また、ブラシに
よる長期の拭き取りによって、タイミングフェンスの表
面が磨耗したり、傷が付いたりするという問題があっ
た。

【０００４】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、クリーニング時にタイミングフ
ェンスを磨耗したり傷付けたりすることなく、タイミン
グフェンスを良好な状態に保つことができるタイミング
フェンスのクリーニング機構を提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１に記載の発明に係るタイミングフェンスのク
リーニング機構は、記録方向に移動しつつ記録媒体に記
録を行う記録ヘッドの移動を検出するためのリニアエン
コーダのクリーニング機構であって、記録ヘッドの移動
方向に平行に複数の指標が配され、同方向に長尺状に設
けられたタイミングフェンスと、タイミングフェンスの
指標を読み取り、記録ヘッドが搭載されたキャリッジの
位置検出信号を生成するフォトセンサと、可撓性を有す
る材質でなり、タイミングフェンスに対して平滑に摺動
移動するように設けられたクリーニング部材とを備えた
ものである。

【０００６】上記構成においては、可撓性を有するクリ
ーニング部材がタイミングフェンスに対して平滑に摺動
移動しながら、タイミングフェンスの表面上の埃等を拭
き取るので、拭き取り時にタイミングフェンスを磨耗し
たり傷付けたりすることなく、タイミングフェンスを良
好な状態に保つことができる。

【０００７】また、請求項２に記載の発明に係るタイミ
ングフェンスのクリーニング機構は、請求項１に記載の
リニアエンコーダのクリーニング機構であって、クリー
ニング部材がキャリッジに設けられているものである。

【０００８】上記構成においては、クリーニング部材が
キャリッジ移動に伴ってタイミングフェンスの表面上を
拭き取るので、クリーニング部材による拭き取り作業の
ために別個の駆動源が不要である。しかも、記録のため
の移動と同時にタイミングフェンスの拭き取りが行われ
るため、拭き取りのために特に時間を要することがな
い。

【０００９】また、請求項３に記載の発明に係るタイミ
ングフェンスのクリーニング機構は、請求項１又は請求
項２に記載のリニアエンコーダのクリーニング機構であ
って、クリーニング部材がフィルム部材又はフェルト部
材からなるものである。

【００１０】上記構成においては、フィルム部材又はフ
ェルト部材からなるクリーニング部材によってタイミン
グフェンスの拭き取りが行われるので、拭き取り時にタ
イミングフェンスを磨耗したり傷つけたりすることがな
い。

【００１１】また、請求項４に記載の発明に係るタイミ
ングフェンスのクリーニング機構は、請求項１乃至請求
項３のいずれかに記載のリニアエンコーダのクリーニン
グ機構であって、クリーニング部材が耐磨耗性のコーテ
ィングが施されたフィルム部材からなるものである。

【００１２】上記構成においては、クリーニング部材を
耐磨耗性のコーティングが施されたフィルム部材とした
ので、タイミングフェンスの磨耗を防止することができ
ることに加え、クリーニング部材自体の磨耗も防止する
ことができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態に係
るリニアエンコーダのクリーニング機構について図面を
参照して説明する。図１は本発明の一実施形態に係るリ
ニアエンコーダのクリーニング機構を備えたインクジェ
ットプリンタの要部構成を示す概略斜視図である。イン
クジェットプリンタ１は、装置本体フレームに回転可能
に軸支され、記録媒体としての記録用紙Ｐを搬送するた
めの円筒形状の搬送ローラ２及びその押さえローラ２ａ
と、排出ローラ３及びその押さえローラ３ａとを有す
る。搬送ローラ２は、給紙カセット又は手差し給紙部か
ら供給された記録媒体としての記録用紙Ｐを記録ヘッド
５に対面させながら搬送するものであり、紙送り装置の
一部を構成している。記録ヘッド５はカラー記録を行う
ため、シアン，マゼンタ，イエロー，ブラックの４色の
インクを吐出する４つのヘッドからなるものである。な
お、記録用紙Ｐは、装置本体フレームの図示しない用紙
供給口から供給され、搬送ローラ２の回転により矢印Ａ
方向に給送され、図示しない用紙排出口から排出される
ように構成されている。

【００１４】記録ヘッド５は走査移動されるキャリッジ
６に搭載され、このキャリッジ６は、用紙の給送方向Ａ
に直交する搬送ローラ２の軸線に平行な矢印Ｂ方向に伸
びるキャリッジ軸８に移動可能に設けられている。この
キャリッジ６には、インクジェット式の記録ヘッド５の
他、該記録ヘッド５に供給するためのインクを収容した
カートリッジ７ａ乃至７ｄがそれぞれ着脱可能に搭載さ
れる。また、キャリッジ６は前部をキャリッジ軸８に支
持されると共に、プーリ９ａ，９ｂ間に張架されたベル
ト９の一部に連結されており、不図示のキャリッジ駆動
モータの駆動力でもってベルト９が駆動され、これによ
って、キャリッジ６が駆動され、これに搭載された記録
ヘッド５は、搬送ローラ２と排出ローラ３との間に渡さ
れた記録用紙Ｐを幅方向に走査移動しながら記録用紙Ｐ
上に画像を記録する。キャリッジ駆動モータとしては、
ステップモータ又はＤＣモータが使用される。

【００１５】さらに、キャリッジ軸８と平行に記録ヘッ
ド５の移動位置を検出するための複数の指標が配された
長尺状のタイミングフェンス１０が張設されている。こ
のタイミングフェンス１０は、一方の側部が装置本体フ
レームに支持され、他方の側部が、バネ１１を介して装
置本体フレームに支持されていて、バネ１１により適度
な張り具合に保たれる。タイミングフェンス１０は透明
なＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）等のプラスチ
ックフィルムより形成され、その下面に黒色インクによ
り位置検出用のスリット状の指標が印刷されている。キ
ャリッジ６側には、タイミングフェンス１０を挟むよう
に透過型のフォトセンサ１５が設けられている。このフ
ォトセンサ１５は一方側の発光素子からタイミングフェ
ンス１０に対して光を照射し、その透過光を他方側の受
光素子で受光することによって、タイミングフェンス１
０上の指標を読み取り、記録ヘッド５及びキャリッジ６
の位置検出信号を生成する。これらタイミングフェンス
１０及びフォトセンサ１５によってリニアエンコーダが
構成される。

【００１６】また、キャリッジ６には、タイミングフェ
ンス１０の指標が印刷されていない側の上面を平滑に摺
動移動可能にフィルム部材（クリーニング部材）１６が
設けられている。このフィルム部材１６は、可撓性を有
しており、キャリッジ６の移動時にタイミングフェンス
１０に付着した埃、塵等を拭き取るものである。本実施
形態においては、キャリッジ６に設けられたフィルム部
材１６がリニアエンコーダのクリーニング機構を構成し
ている。

【００１７】次に、上記フィルム部材１６の構成及び作
用について図２，図３を参照して説明する。図２はフィ
ルム部材１６のキャリッジ６への取り付け構成を示す側
面図、図３はフィルム部材１６によるタイミングフェン
ス１０の拭き取りの様子を示す図である。フィルム部材
１６はタイミングフェンス１０上に位置するキャリッジ
６の側面部に設けられ、そのキャリッジ６への貼り付け
は両面テープ１６ａ等によって行われる。フィルム部材
１６は、拭き取り時のタイミングフェンス１０の磨耗を
考慮して、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）等の
可撓性を有する材質を用い、フィルム部材１６の厚さは
１６μｍ程度が望ましい。また、フィルム部材１６の大
きさは、幅がタイミングフェンス１０の幅と同等、又は
やや大きい程度に設定され、長さは、タイミングフェン
ス１０に対して少量の撓みをもって接する程度に設定さ
れる。

【００１８】また、フィルム部材１６にフッ素コーティ
ング等の耐磨耗性のコーティングを施してもよい。この
場合、タイミングフェンス１０との摩擦によるフィルム
部材１６の磨耗を軽減することができる。また、フィル
ム部材１６をフェルト等の材質で構成してもよく、この
場合も、その大きさは、上述のＰＥＴで構成する場合と
同等に設定される。フィルム部材１６をフェルトで構成
した場合、タイミングフェンス１０上の埃、塵等がフィ
ルム部材１６に吸着されやすくなる。

【００１９】フィルム部材１６によるタイミングフェン
ス１０の拭き取り動作について説明すると、図３に示す
ように、記録動作のためのキャリッジ６の移動に伴っ
て、フィルム部材１６はタイミングフェンス１０上を摺
動しながら平滑に往復移動する。この往復移動の際、フ
ィルム部材１６は、撓んだ状態でタイミングフェンス１
０に接して、タイミングフェンス１０を磨耗したり傷付
けない程度の圧力でもってタイミングフェンス１０上の
埃、塵等を拭き取る。

【００２０】このように、本実施形態のリニアエンコー
ダのクリーニング機構によれば、可撓性を有するフィル
ム部材１６がタイミングフェンス１０に対して平滑に摺
動移動しながら、タイミングフェンス１０の表面上の埃
等を拭き取るので、拭き取り時にタイミングフェンス１
０を磨耗したり傷付けたりすることなく、タイミングフ
ェンス１０を良好な状態に保つことができる。

【００２１】ここで、インクジェットプリンタ１の制御
系の構成について図４を参照して説明しておく。図４は
インクジェットプリンタ１の制御系の構成を示すブロッ
ク図である。インクジェットプリンタ１は、ホストコン
ピュータ等から画像データを受信するための入出力イン
タフェイス２０と、この入出力インタフェイス２０及び
上記のフォトセンサ１５からの信号に基づいてキャリッ
ジ駆動モータ２１、搬送ローラ用モータ２２、及び記録
ヘッド５を駆動制御するＣＰＵ２３とを有している。

【００２２】上記の制御系において、ＣＰＵ２３が、入
出力インタフェイス２０を介して画像データを受信する
と、キャリッジ駆動モータ２１を駆動して記録ヘッド５
を画像の形成位置まで移動させる。このとき、ＣＰＵ２
３は、キャリッジ駆動モータ２１を一定方向に駆動しな
がら、フォトセンサ１５によって検出されたタイミング
フェンス１０上の指標数を計数して記録ヘッド５の行方
向位置を逐次検出すると共に、指標の位置に基づいて記
録タイミング信号を生成し、記録ヘッド５を駆動してイ
ンクを噴射し、画像を記録する。

【００２３】上記の処理を繰り返して１行分の画像を形
成し終わると、搬送ローラ用モータ２２を駆動させて記
録用紙Ｐを１行分搬送する。そして、次行の画像データ
に基づき上記と同様にして画像形成処理を実行し、再び
記録用紙Ｐを搬送する。この処理を繰り返して画像デー
タの終端を検出すると一連の処理を終了する。この一連
の処理により記録用紙Ｐの所望位置に所望の画像を形成
することができる。

【００２４】なお、本発明は上記の実施形態の構成に限
られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形
態では、フィルム部材１６は、キャリッジ６の側面部に
設けられるものとしているが、例えば、フォトセンサ１
５の側面部に設けるようにしてもよい。また、上記の実
施形態では、フィルム部材１６をキャリッジ６の一側面
に設けたが、フォトセンサ１５を挟んで両側に設ける構
成であれば、キャリッジ６の移動範囲全域にわたってタ
イミングフェンス１０をクリーニングできる。さらに上
記実施形態では、リニアエンコーダのクリーニング機構
がインクジェットプリンタに適用された形態を示してい
るが、必ずしもこれに限定されず、サーマルプリンタ等
の他の形式のプリンタに適用することも可能である。

【００２５】

【発明の効果】以上のように請求項１に記載の発明に係
るリニアエンコーダのクリーニング機構によれば、クリ
ーニング部材がタイミングフェンス上を平滑に摺動移動
してその表面上の埃等を拭き取るので、拭き取り時にタ
イミングフェンスを磨耗したり傷付けたりすることな
く、タイミングフェンスを良好な状態に保つことができ
る。従って、記録ヘッドの位置の検出に誤動作がなくな
り、適正な記録動作を行うことができる。

【００２６】また、請求項２に記載の発明に係るリニア
エンコーダのクリーニング機構によれば、クリーニング
部材による拭き取り作業のために独自の駆動源が不要で
ある。しかも、記録のための移動と同時にタイミングフ
ェンスの拭き取りが行われるため、拭き取りのために特
に時間を要することがない。

【００２７】また、請求項３に記載の発明に係るリニア
エンコーダのクリーニング機構によれば、フィルム部材
又はフェルト部材からなるクリーニング部材によってタ
イミングフェンスの拭き取りが行われるので、拭き取り
時にタイミングフェンスを磨耗したり傷付けたりするこ
とがない。

【００２８】また、請求項４に記載の発明に係るリニア
エンコーダのクリーニング機構によれば、クリーニング
部材を耐磨耗性のコーティングが施されたフィルム部材
としたので、タイミングフェンスの磨耗を防止すること
ができることに加え、クリーニング部材自体の磨耗も防
止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係るリニアエンコーダの
クリーニング機構を備えたインクジェットプリンタの要
部構成を示す概略斜視図である。

【図２】フィルム部材のキャリッジへの取り付けを示す
側面図である。

【図３】フィルム部材によるタイミングフェンスの拭き
取りの様子を示す斜視図である。

【図４】インクジェットプリンタの制御系の構成を示す
ブロック図である。

【符号の説明】

５ 記録ヘッド ６ キャリッジ １０ タイミングフェンス １５ フォトセンサ １６ フィルム部材（クリーニング部材）

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録方向に移動しつつ記録媒体に記録を
   行う記録ヘッドの移動を検出するためのリニアエンコー
   ダのクリーニング機構において、 前記記録ヘッドの移動方向に平行に複数の指標が配さ
   れ、同方向に長尺状に設けられたタイミングフェンス
   と、 前記タイミングフェンスの指標を読み取り、前記記録ヘ
   ッドが搭載されたキャリッジの位置検出信号を生成する
   フォトセンサと、 可撓性を有する材質でなり、前記タイミングフェンスに
   対して平滑に摺動移動するように設けられたクリーニン
   グ部材とを備えたことを特徴とするリニアエンコーダの
   クリーニング機構。
2. 【請求項２】 前記クリーニング部材は、前記キャリッ
   ジに設けられていることを特徴とする請求項１に記載の
   リニアエンコーダのクリーニング機構。
3. 【請求項３】 前記クリーニング部材は、フィルム部材
   又はフェルト部材からなることを特徴とする請求項１又
   は請求項２に記載のリニアエンコーダのクリーニング機
   構。
4. 【請求項４】 前記クリーニング部材は、耐磨耗性のコ
   ーティングが施されたフィルム部材からなることを特徴
   とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載のリニア
   エンコーダのクリーニング機構。