以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。
本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。本明細書で「YY1またはYY2」とは、「YY1」のみが存在する場合、または「YY2」のみが存在する場合に限定されず、「YY1」および「YY2」の両方が存在する場合も含む。これは、「または」で繋がれる要素が3つ以上の場合も同様である。本明細書で「ZZ1とZZ2とのうち少なくとも一方」とは、「ZZ1」および「ZZ2」の両方が前提として存在する場合に限定されず、「ZZ1」のみしか存在しない場合、または「ZZ2」のみしか存在しない場合も含む。「XX」、「YY1」、「YY2」、「ZZ1」、および「ZZ2」は、それぞれ、任意の要素(例えば任意の情報、機能、または構成)である。
本明細書で「所定条件が満たされた場合、ダンパを開く(または閉じる)」とは、所定条件が成立した瞬間にダンパを開く(または閉じる)場合に限定されず、所定条件が成立している間の任意のタイミングでダンパを開く(または閉じる)場合も含む。
また本明細書で「ダンパAを閉じ、ダンパBを開く」とは、ダンパAを閉じるタイミングとダンパBを開くタイミングとが同じである場合に限定されず、ダンパAを閉じた後にダンパBを開く場合や、ダンパBを開いた後にダンパAを閉じる場合なども含む。「ダンパA」および「ダンパB」は、例えば、後述する第1ダンパ71および第2ダンパ72のうち任意のダンパである。
(第1の実施形態)
[1.冷蔵庫の全体構成]
図1は、第1の実施形態の冷蔵庫1の構成例を示す正面図である。図2は、第1の実施形態の冷蔵庫1の構成例を示す断面図である。図2は、図1中に示された冷蔵庫1のF2−F2線に沿う断面図を示す。図1および図2に示すように、冷蔵庫1は、例えば、筐体10、複数の扉20、複数の棚30、複数の容器40、流路形成部品50、冷却ユニット60、および制御基板100を備えている。
筐体10は、上壁11、下壁12、左右の側壁13,14、および後壁15を有する。上壁11および下壁12は、略水平に広がっている。左右の側壁13,14は、下壁12の左右の端部から上方に起立し、上壁11の左右の端部に繋がっている。後壁15は、下壁12の後端部から上方に起立し、上壁11の後端部に繋がっている。
筐体10は、例えば、内箱10a、外箱10b、および断熱部10cを有する(図2参照)。内箱10aは、筐体10の内面を形成する部材である。外箱10bは、筐体10の外面を形成する部材である。外箱10bは、内箱10aよりも一回り大きく形成されており、内箱10aの外側に配置されている。内箱10aと外箱10bとの間には、発泡ウレタンのような発泡断熱材を含む断熱部10cが設けられている。
筐体10の内部には、複数の貯蔵室17と、第1冷却室18Aおよび第2冷却室18Bが設けられている。複数の貯蔵室17は、例えば、冷蔵室17A、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、および第2切り替え室17Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室17Aが配置され、冷蔵室17Aの下方に第1切り替え室17Dが配置され、第1切り替え室17Dの下方に製氷室17Bおよび小冷凍室17Cが配置され、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cの下方に第2切り替え室17Eが配置されている。ただし、貯蔵室17の配置は、上記例に限定されない。筐体10は、各貯蔵室17の前面側に、各貯蔵室17に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとは、例えばそれぞれ互いに独立して、冷蔵温度帯室と、冷凍温度帯室とに用途が切り替え可能である。冷蔵温度帯室とは、例えば、後述する設定温度帯の中心温度が−3℃から+7℃の間にある貯蔵室である。冷蔵温度帯室は、いわゆる冷蔵室、チルド室、または野菜室などである。さらに本実施形態では、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの各々は、冷蔵温度帯室として使用される場合、設定温度帯が切り替えられることで、冷蔵室、チルド室、および野菜室の間で用途が切り替え可能である。これについては詳しく後述する。一方で、冷凍温度帯室は、例えば、設定温度帯の中心温度が−10℃以下(例えば−18℃以下)である貯蔵室である。冷凍温度帯室は、いわゆる冷凍室である。
第1冷却室18Aは、冷蔵室17Aの背後に設けられた空間である。第1冷却室18Aは、後述する第1冷却器81および第1送風機82を収容している。一方で、第2冷却室18Bは、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの背後に設けられた空間である。第2冷却室18Bは、後述する第2冷却器83および第2送風機84を収容している。なお、第1冷却室18Aおよび第2冷却室18Bについては詳しく後述する。
筐体10は、第1仕切り部19A、第2仕切り部19Bおよび第3仕切り部19Cを有する。第1仕切り部19A、第2仕切り部19Bおよび第3仕切り部19Cは、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切り部19Aは、冷蔵室17Aと、第1切り替え室17Dとの間に位置し、冷蔵室17Aと、第1切り替え室17Dとの間を仕切っている。第2仕切り部19Bは、第1切り替え室17Dと、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cとの間に位置し、第1切り替え室17Dと、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cとの間を仕切っている。第3仕切り部19Cは、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cと、第2切り替え室17Eとの間に位置し、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cと、第2切り替え室17Eとの間を仕切っている。第1仕切り部19A、第2仕切り部19Bおよび第3仕切り部19Cの各々は、例えば発泡断熱材を含み、断熱性を有する。
複数の貯蔵室17の開口は、複数の扉20によって開閉可能に閉じられる。複数の扉20は、例えば、冷蔵室17Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa,20Ab、製氷室17Bの開口を閉じる製氷室扉20B、小冷凍室17Cの開口を閉じる小冷凍室扉20C、第1切り替え室17Dの開口を閉じる第1切り替え室扉20D、および第2切り替え室17Eの開口を閉じる第2切り替え室扉20Eを含む。
複数の棚30は、冷蔵室17Aに設けられている。
複数の容器40、冷蔵室17Aに設けられたチルド室容器40A、製氷室17Bに設けられた製氷室容器(不図示)、小冷凍室17Cに設けられた小冷凍室容器40C、第1切り替え室17Dに設けられた第1切り替え室容器40Daおよび第2切り替え室容器40Db、および第2切り替え室17Eに設けられた第3切り替え室容器40Eaおよび第4切り替え室容器40Ebを含む。
流路形成部品50は、筐体10内に配置されている。流路形成部品50は、第1ダクト部品(第1冷却器カバー)51と、第2ダクト部品(第2冷却器カバー)52とを含む。
第1ダクト部品51は、筐体10の後壁15に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第1ダクト部品51は、例えば、冷蔵室17Aの下端部の後方から冷蔵室17Aの上端部の後方まで延びている。第1ダクト部品51と筐体10の後壁15との間には、第1冷却室18Aが形成されている。第1ダクト部品51は、冷気吹出口51aと、冷気戻り口51bとを有する。冷気吹出口51aは、冷蔵室17Aに開口している。第1冷却室18Aを流れる冷気(空気)は、冷気吹出口51aから冷蔵室17Aに吹き出される。冷気戻り口51bは、例えば冷蔵室17Aの下端部に開口している。冷蔵室17Aを通った冷気は、冷気戻り口51bから第1冷却室18Aに戻る。
第2ダクト部品52は、筐体10の後壁15に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第2ダクト部品52は、例えば、第1切り替え室17Dの後方から第2切り替え室17Eの後方まで延びている。第2ダクト部品52と筐体10の後壁15との間には、第2冷却室18Bが形成されている。第2ダクト部品52は、複数の冷気吹出口52aと、複数の冷気戻り口52b(図2参照)とを有する。複数の冷気吹出口52aは、第1切り替え室17Dに開口した第1冷気吹出口52aa、第2切り替え室17Eに開口した第2冷気吹出口52ab、および製氷室17Bまたは小冷凍室17Cに開口した第3冷気吹出口52acを含む。複数の冷気戻り口52bは、第1切り替え室17Dに開口した第1冷気戻り口52ba(図2参照)、第2切り替え室17Eに開口した第2冷気戻り口52bb(図2参照)、および製氷室17Bまたは小冷凍室17Cに開口した第3冷気戻り口52bc(図2参照)を含む。
第2冷却室18Bを流れる冷気(空気)は、後述する第1ダンパ71が開かれた場合、第1冷気吹出口52aaから第1切り替え室17Dに吹き出される。第1切り替え室17Dに吹き出された冷気は、第1冷気戻り口52baを通じて第2冷却室18Bに戻る。第2冷却室18Bを流れる冷気は、例えば、後述する第2ダンパ72が開かれた場合、第2冷気吹出口52abから第2切り替え室17Eに吹き出される。第2切り替え室17Eに吹き出された冷気は、第2冷気戻り口52bbを通じて第2冷却室18Bに戻る。第2冷却室18Bを流れる冷気は、後述する第3ダンパ73が開かれた場合、第3冷気吹出口52acから製氷室17Bおよび小冷凍室17Cに吹き出される。製氷室17Bおよび小冷凍室17Cに吹き出された冷気は、第3冷気戻り口52bcおよび不図示の冷気流路を通じて第2冷却室18Bに戻る。
第1切り替え室17D内の冷気および製氷室17B内の冷気は、後述する第1調整ダンパ211が開かれた場合、第1連通部210を介して、第1切り替え室17Dと製氷室17Bとの間を行き来することが可能となる。第1切り替え室17D内の冷気および小冷凍室17C内の冷気は、後述する第2調整ダンパ221が開かれた場合、第2連通部220を介して、第1切り替え室17Dと小冷凍室17Cとの間を行き来することが可能となる。
第2切り替え室17E内の冷気および製氷室17Bの冷気は、後述する第3調整ダンパ231が開かれた場合、第3連通部230を介して、第2切り替え室17Eと製氷室17Bとの間を行き来することが可能となる。第2切り替え室17E内の冷気および小冷凍室17C内の冷気は、後述する第4調整ダンパ241が開かれた場合、第4連通部240を介して、第2切り替え室Eと小冷凍室17Cとの間を行き来することが可能となる。
冷却ユニット60は、複数の貯蔵室17(冷蔵室17A、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17E)を冷却する。冷却ユニット60は、例えば、第1冷却モジュール61、第2冷却モジュール62、第1から第3のダンパ71,72,73、圧縮器75、および冷凍サイクル装置76(図3参照)を含む。
第1冷却モジュール61は、例えば、第1冷却器(第1蒸発器)81と、第1送風機82とを含む。第1冷却器81および第1送風機82は、第1冷却室18Aに配置されている。第1冷却器81は、後述する冷凍サイクル装置76により液冷媒が供給され、液冷媒の気化熱により第1冷却室18Aを流れる冷気を冷却する。第1送風機82が駆動されると、冷蔵室17Aの冷気が冷気戻り口51bから第1冷却室18Aに流入する。第1冷却室18Aに流入した冷気は、第1冷却器81によって冷却される。第1冷却器81によって冷却された冷気は、冷気吹出口51aから冷蔵室17Aに吹き出される。これにより、冷蔵室17Aを流れる冷気が冷蔵庫1内で循環され、冷蔵室17Aの冷却が行われる。
第2冷却モジュール62は、例えば、第2冷却器(第2蒸発器)83と、第2送風機84とを含む。第2冷却器83および第2送風機84は、第2冷却室18Bに配置されている。第2冷却器83は、後述する冷凍サイクル装置76により液冷媒が供給され、液冷媒の気化熱により第2冷却室18Bを流れる冷気を冷却する。第2送風機84が駆動されると、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、または第2切り替え室17Eの冷気が対応する第1から第3の冷気戻り口52ba,52bb,52bcから第2冷却室18Bに流入する。第2冷却室18Bに流入した空気は、第2冷却器83によって冷却される。第2冷却器83によって冷却された冷気は、第1から第3の冷気吹出口52aa,52aab,52acから製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、および第2切り替え室17Eに流入する。これにより、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、および第2切り替え室17Eを流れる冷気が冷蔵庫1内で循環され、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17D、および第2切り替え室17Eの冷却が行われる。
第1ダンパ71は、第1切り替え室17Dと第2冷却室18Bとの間に設けられている。第1ダンパ71は、例えば第1冷気吹出口52aaを開閉することで、第2冷却室18Bから第1切り替え室17Dへの冷気の供給を制御する。例えば、第1ダンパ71が開かれると、第1切り替え室17Dと第2冷却室18Bとが連通し、第2冷却室18Bから第1切り替え室17Dへ冷気が供給可能になる。一方で、第1ダンパ71が閉じられると、第1切り替え室17Dと第2冷却室18Bとの間が遮断され、第2冷却室18Bから第1切り替え室17Dへ冷気が供給されなくなる。
第2ダンパ72は、第2切り替え室17Eと第2冷却室18Bとの間に設けられている。第2ダンパ72は、例えば第2冷気吹出口52abを開閉することで、第2冷却室18Bから第2切り替え室17Eへの冷気の供給を制御する。例えば、第2ダンパ72が開かれると、第2切り替え室17Eと第2冷却室18Bとが連通し、第2冷却室18Bから第2切り替え室17Eへ冷気が供給可能になる。一方で、第2ダンパ72が閉じられると、第2切り替え室17Eと第2冷却室18Bとの間が遮断され、第2冷却室18Bから第2切り替え室17Eへ冷気が供給されなくなる。
第3ダンパ73は、製氷室17Bまたは小冷凍室17Cと、第2冷却室18Bとの間に設けられている。第3ダンパ73は、例えば第3冷気吹出口52acを開閉することで、第2冷却室18Bから製氷室17Bおよび小冷凍室17Cへの冷気の供給を制御する。例えば、第3ダンパ73が開かれると、製氷室17Bまたは小冷凍室17Cと第2冷却室18Bとが連通し、第2冷却室18Bから製氷室17Bまたは小冷凍室17Cへの冷気が供給可能になる。一方で、第3ダンパ73が閉じられると、製氷室17Bまたは小冷凍室17Cと、第2冷却室18Bとの間が遮断され、第2冷却室18Bから製氷室17Bまたは小冷凍室17Cへ冷気が供給されなくなる。
第1ダンパ71は、例えば、第1冷気吹出口52aaを覆う第1フラップ(図示せず)と、第1フラップを駆動する第1駆動機構(図示せず)とを有する。第1駆動機構は、例えばモータまたはソレノイドのような駆動源を含む。第1駆動機構は、例えば第1フラップを回動またはスライド移動させることで第1冷気吹出口52aaを開放する。
第2ダンパ72は、例えば、第2冷気吹出口52abを覆う第2フラップ(図示せず)と、第2フラップを駆動する第2駆動機構(図示せず)とを有する。第2駆動機構は、例えばモータまたはソレノイドのような駆動源を含む。第2駆動機構は、例えば第2フラップを回動またはスライド移動させることで第2冷気吹出口52abを開放する。
第3ダンパ73は、例えば、第3冷気吹出口52acを覆う第3フラップ(図示せず)と、第3フラップを駆動する第3駆動機構(図示せず)とを有する。第3駆動機構は、例えばモータまたはソレノイドのような駆動源を含む。第3駆動機構は、例えば第3フラップを回動またはスライド移動させることで第3冷気吹出口52acを開放する。
第1調整ダンパ211は、例えば、第1連通部210を覆うフラップ(図示せず)と、そのフラップを駆動する駆動機構(図示せず)とを有する。駆動機構は、例えばモータまたはソレノイドのような駆動源を含む。駆動機構は、例えばフラップを回動またはスライド移動させることで第1連通部210を開放する。第1調整ダンパ211は製氷室17B側に設けられてもよい。
第2調整ダンパ221は、例えば、第2連通部220を覆うフラップ(図示せず)と、そのフラップを駆動する駆動機構(図示せず)とを有する。駆動機構は、例えばモータまたはソレノイドのような駆動源を含む。駆動機構は、例えばフラップを回動またはスライド移動させることで第2連通部220を開放する。第2調整ダンパ221は、小冷凍室17C側に設けられてもよい。
第3調整ダンパ231は、例えば、第3連通部230を覆うフラップ(図示せず)と、そのフラップを駆動する駆動機構(図示せず)とを有する。駆動機構は、例えばモータまたはソレノイドのような駆動源を含む。駆動機構は、例えばフラップを回動またはスライド移動させることで第3連通部230を開放する。第3調整ダンパ231は、製氷室17B側に設けられてもよい。
第4調整ダンパ241は、例えば、第4連通部240を覆うフラップ(図示せず)と、そのフラップを駆動する駆動機構(図示せず)とを有する。駆動機構は、例えばモータまたはソレノイドのような駆動源を含む。駆動機構は、例えばフラップを回動またはスライド移動させることで第4連通部240を開放する。第4調整ダンパ241は、小冷凍室17C側に設けられてもよい。
圧縮器75(図2参照)は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられている。圧縮器75は、貯蔵室17の冷却に用いられるガス冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を後述する凝縮器91などを介して第1冷却器81および第2冷却器83に供給する。
制御基板100(図1参照)は、例えば、筐体10の上壁11に設けられている。本実施形態では、筐体10の上壁11の上面は、下方に向けて窪んだ凹部を有する。制御基板100は、凹部に配置されている。制御基板100は、例えばマイクロコンピュータやタイマなどにより構成される制御部100a(図4参照)を有する。制御部100aは、冷蔵庫1の全体を制御する。制御部100aについては詳しく後述する。
[2.冷凍サイクル装置]
図3は、冷凍サイクル装置76の構成を示す図である。冷凍サイクル装置76は、凝縮器91、ドライヤ92、三方弁93、キャピラリーチューブ94A,94B、サクションパイプ95A,95B、および逆止弁96を含む。これら構成要素は、冷媒の流れ順に、圧縮器75、凝縮器91、ドライヤ92、三方弁93、キャピラリーチューブ94A,94B、冷却器81,83、およびサクションパイプ95A,95Bの順に環状に接続されている。詳しく述べると、圧縮器75の高圧吐出口には、凝縮器91とドライヤ92とが順に接続されている。ドライヤ92の吐出側には、三方弁93が接続されている。三方弁93は、ドライヤ92が接続される1つの入口と、2つの出口とを有している。
三方弁93の2つの出口のうち、一方の出口には第1キャピラリーチューブ94Aと第1冷却器81とが順に接続されている。第1冷却器81は、接続配管である第1サクションパイプ95Aを介して圧縮器75に接続されている。三方弁93の2つの出口のうち、他方の出口には、第2キャピラリーチューブ94Bと第2冷却器83とが順に接続されている。第2冷却器83は、接続配管である第2サクションパイプ95Bを介して圧縮器75に接続されている。第2冷却器83と圧縮器75との間には、第1冷却器81からの冷媒が第2冷却器83側に逆流しないための逆止弁96が設けられている。
次に、冷凍サイクル装置76の冷媒の流れを説明する。まず、冷凍サイクル装置76を循環する冷媒は、圧縮器75により圧縮されて、高温、高圧のガス冷媒となり、流路Aを流れる。このガス冷媒は、凝縮器91により放熱されて、中温、高圧の液冷媒となる。その後、ドライヤ92を通ることで汚れや水分などの不純物が取り除かれた液冷媒は、三方弁93により絞り制御されながら、第1キャピラリーチューブ94A(または第2キャピラリーチューブ94B)に入る。このとき、第1キャピラリーチューブ94A(または第2キャピラリーチューブ94B)内の中温、高圧の液冷媒は、第1サクションパイプ95A(または第2サクションパイプ95B)内の冷媒と熱交換されながら減圧される。そして、減圧された液冷媒は、第1冷却器81(または第2冷却器83)を通過しながら蒸発することで、第1冷却器81(または第2冷却器83)が冷却される。
その後、低温、低圧のガス冷媒は、第1サクションパイプ95A(または第2サクションパイプ95B)に流入する。第1サクションパイプ95A(または第2サクションパイプ95B)に流入した直後のガス冷媒の温度は、−10℃前後と低温である。このガス冷媒は、第1サクションパイプ95A(または第2サクションパイプ95B)を通る間に、第1キャピラリーチューブ94A(または第2キャピラリーチューブ94B)内の冷媒と熱交換されて、最終的には室温程度にまで昇温される。そして、このガス冷媒が、圧縮器75に再び吸入されて、冷媒の循環が完了する。
上記の冷凍サイクル装置76において、三方弁93は、制御部100aによって制御され、流路Bおよび流路Cのうち例えば一方または両方を選択する。流路Bは、冷媒を第1冷却器81に供給する流路である。流路Cは、冷媒を第2冷却器83に供給する流路である。これら2つの流路B,Cは、合流点Dにおいて合流する。冷媒は、合流点Dから矢印Eの方向に流れて圧縮器75へと戻る。本実施形態では、第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとのうち少なくとも一方が冷凍温度帯室として使用される場合、第2冷却器83には、冷凍温度帯室の冷却に適した量および温度の液冷媒が供給される。
[3.制御]
[3.1 制御に関する機能構成]
図4は、冷蔵庫1の機能構成の一部を示すブロック図である。制御部100aには、操作パネル部111、記憶部112、冷蔵室温度センサ113、第1切り替え室温度センサ114、第2切り替え室温度センサ115、第1ダンパ71、第2ダンパ72、第1送風機82、第2送風機84、圧縮器75、三方弁93、第1調整ダンパ211、第2調整ダンパ221、第3調整ダンパ231および第4調整ダンパ241が電気的に接続されている。
操作パネル部111は、例えばボタンやダイヤル、または静電容量式のタッチセンサなどにより実現され、冷蔵庫1の動作に関するユーザの操作を受け付ける。例えば、操作パネル部111は、扉20の庫外部に設けられる。例えば、操作パネル部111は、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eのそれぞれを冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室との間で切り替えるユーザの操作を受け付ける。
例えば、ユーザは、操作パネル部111を操作し、第1切り替え室17Dの動作モードを「冷蔵運転モード」に設定することで、第1切り替え室17Dを冷蔵温度帯室として使用することができる。例えば、第1切り替え室17Dが冷蔵温度帯室として使用される場合、操作パネル部111は、冷蔵温度帯室の動作モードとして「強冷蔵設定」、「中冷蔵設定」、および「弱冷蔵設定」のいずれかの選択を受け付け可能に構成されてもよい。「強冷蔵設定」の設定温度帯の中心温度は、「中冷蔵設定」の設定温度帯の中心温度よりも低い。「中冷蔵設定」の設定温度帯の中心温度は、「弱冷蔵設定」の設定温度帯の中心温度よりも低い。
例えば、ユーザは、操作パネル部111を操作し、第1切り替え室17Dの動作モードを「中冷蔵設定」または「強冷蔵設定」に設定することで、第1切り替え室17Dをいわゆる「冷蔵室」として使用することができる。一方で、ユーザは、操作パネル部111を操作し、第1切り替え室17Dの動作モードを「弱冷蔵設定」に設定することで、第1切り替え室17Dをいわゆる「野菜室」として使用することができる。なお、第1切り替え室17Dの動作モードが「強冷蔵設定」に設定されることで、第1切り替え室17Dはいわゆる「チルド室」として使用可能であってもよい。
一方で、ユーザは、操作パネル部111を操作し、第1切り替え室17Dの動作モードを「冷凍運転モード」に設定することで、第1切り替え室17Dを冷凍温度帯室(いわゆる「冷凍室」)として使用することができる。例えば、第1切り替え室17Dが冷凍温度帯室として使用される場合、操作パネル部111は、冷凍温度帯室の動作モードとして「強冷凍設定」、「中冷凍設定」、および「弱冷凍設定」のいずれかの選択を受け付け可能に構成されてもよい。「強冷凍設定」の設定温度帯の中心温度は、「中冷凍設定」の設定温度帯の中心温度よりも低い。「中冷凍モード」の設定温度帯の中心温度は、「弱冷凍設定」の設定温度帯の中心温度よりも低い。
同様に、操作パネル部111は、第2切り替え室17Eを冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室との間で切り替えるユーザの操作を受け付ける。なお、第2切り替え室17Eの動作モードの切り替えに関する内容は、第1切り替え室17Dの動作モードの切り替えに関する内容と同様である。このため、第2切り替え室17Eに関する説明は、上述した第1切り替え室17Dに関する説明において「第1切り替え室17D」を「第2切り替え室17E」と読み替えればよい。本実施形態の冷蔵庫1は、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの各々が、ユーザの好みによって冷蔵室、冷凍室、または野菜室などから選択された任意の貯蔵室に設定可能である。
記憶部112は、例えば不揮発性の半導体メモリなどで実現され、冷蔵庫1の運転に必要な情報を記憶する。記憶部112には、例えば、各種動作モードにおける第1ダンパ71、第2ダンパ72、第1調整ダンパ211、第2調整ダンパ221、第3調整ダンパ231、第4調整ダンパ241、第1送風機82、第2送風機84、および圧縮器75の制御量および駆動タイミングなどが記憶されている。
冷蔵室温度センサ113は、冷蔵室17Aに設けられ、冷蔵室17Aの空気温度を検出する。第1切り替え室温度センサ114は、第1切り替え室17Dに設けられ、第1切り替え室17Dの空気温度を検出する。第2切り替え室温度センサ115は、第2切り替え室17Eに設けられ、第2切り替え室17Eの空気温度を検出する。
[3.2 冷蔵庫の温度管理]
次に、冷蔵庫1の温度管理について説明する。ここでは、第1切り替え室17Dに関する温度管理を代表として説明する。
制御部100aは、第1切り替え室17Dの温度(例えば、第1切り替え室温度センサ114により検出された温度)を監視し、第1切り替え室17Dの温度に基づいて、第1切り替え室17Dの冷却制御を行う。詳しく述べると、第1切り替え室17Dには、各動作モードに応じた設定温度帯が設定されている。制御部100aは、例えば、第1切り替え室17Dの温度が設定温度帯の上限値まで上昇した場合、第1切り替え室17Dの冷却を開始する。
一方で、制御部100aは、例えば、第1切り替え室17Dの温度が設定温度帯の下限値(冷却目標温度)まで低下した場合、第1切り替え室17Dの冷却を終了する(停止する)。制御部100aは、上記動作を繰り返すことで、第1切り替え室17Dの温度を設定温度帯内に維持する。なお、制御部100aは、上記制御に代えて/加えて、第1切り替え室17Dの前回の冷却終了時からの経過時間が予め設定された時間を超えた場合、第1切り替え室17Dの温度が設定温度帯の上限値に達することを待たずに第1切り替え室17Dの冷却を再開してもよい。
第2切り替え室17Eに関する基本運転は、第1切り替え室17Dに関する基本運転と同様である。このため、第2切り替え室17Eの基本運転に関する説明は、上述した第1切り替え室17Dの基本運転に関する説明において「第1切り替え室17D」を「第2切り替え室17E」と読み替え、「第1切り替え室17Dの温度(例えば、第1切り替え室温度センサ114により検出された温度)」を「第2切り替え室17Eの温度(例えば、第2切り替え室温度センサ115により検出された温度)」と読み替えればよい。
[3.3 設定温度帯]
次に、「設定温度帯」について説明する。「設定温度帯」は、冷蔵運転モードおよび冷凍運転モードのそれぞれにおいて、温度管理の対象となる貯蔵室17の空気温度が維持される温度範囲を意味する。「設定温度帯」とは、上限値と下限値とにより規定される温度範囲を意味する。
本実施形態では、上述したように、冷蔵温度帯室の動作モードとして「強冷蔵設定」、「中冷蔵設定」、および「弱冷蔵設定」が設けられている。「強冷蔵設定」の設定温度帯の上限値および下限値は、「中冷蔵設定」の設定温度帯の上限値および下限値よりもそれぞれ低い。「弱冷蔵設定」の設定温度帯の上限値および下限値は、「中冷蔵設定」の設定温度帯の上限値および下限値よりもそれぞれ高い。
制御部100aは、「強冷蔵設定」が選択されると、「中冷蔵設定」が選択される場合と比べて、圧縮器75の制御量(例えば運転周波数)を高く設定することと、第2送風機84の制御量(例えば回転数)を高く設定することとのうち少なくとも一方を行う。一方で、制御部100aは、「弱冷蔵設定」が選択されると、「中冷蔵設定」が選択される場合と比べて、圧縮器75の制御量(例えば運転周波数)を低く設定することと、第2送風機84の制御量(例えば回転数)を低く設定することとのうち少なくとも一方を行う。
これらは、冷凍温度帯室の動作モードである「強冷凍設定」、「中冷凍設定」、および「弱冷凍設定」についても同様である。なお、第1切り替え室17Dが「弱冷蔵設定」に設定され、第2切り替え室17Eが「強冷凍設定」に設定されるなど、圧縮器75の制御量および第2送風機84の制御量について相反する設定がされる場合は、予め設定されるルール(「冷蔵運転モード」を優先する、または「冷凍運転モード」を優先するなど)に従い、圧縮器75の制御量および第2送風機84の制御量が決定されてよい。
なお、冷蔵温度帯室の動作モードである「強冷蔵設定」、「中冷蔵設定」、および「弱冷蔵設定」における圧縮器75の制御量および第2送風機84の制御量は、互いに同じでもよい。また、冷凍温度帯室の動作モードである「強冷凍設定」、「中冷凍設定」、および「弱冷凍設定」における圧縮器75の制御量および第2送風機84の制御量は、互いに同じでもよい。また、冷蔵温度帯室の動作モードと、冷凍温度帯室の動作モードとにおいて、圧縮器75の制御量および第2送風機84の制御量は、互いに同じでもよい。
[3.4 制御モード]
次に、制御部100aが実行可能ないくつかの制御モードについて説明する。ここでは、「通常冷却制御」と、「特別冷却制御」について説明する。「特別冷却制御」は、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの温度制御により、隣接する製氷室17Bまたは小冷凍室17C(以下「隣接室」という。)の冷却時間を、隣接室の温度帯設定を変更することなく短縮可能な制御である。なお、本実施形態においては、製氷室17Bおよび小冷凍室17Cが隣接室となる。
[3.4.1 通常冷却制御]
まず、通常冷却制御について説明する。通常冷却制御では、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの各温度が、それぞれの設定温度帯の下限値の近傍にある場合には、第1ダンパ71、第2ダンパ72、第3ダンパ73が閉じられ、圧縮機75および第2送風機84の駆動も停止される。
これに対し、製氷室17B、小冷凍室17C、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの各温度のいずれかが設定温度帯の上限値に達した場合には、当該上限値に達した貯蔵室17に対応するダンパが開かれ、圧縮機75および第2送風機84が駆動される。これにより、第2冷却器83に液冷媒が供給され、第2冷却器83により冷却された冷気が第2送風機84によって送風されて当該貯蔵室17に流入する。これにより、温度が設定温度帯に達した貯蔵室17の冷却が行われる。
なお、第1ダンパ71、第2ダンパ72、第3ダンパ73が閉じられた状態で、圧縮機75および第2送風機84を駆動させてもよい。これにより、第2冷却器83に液冷媒が供給され、第2冷却器83の冷熱が熱伝導によって隣接する貯蔵室17に伝達される。このように、第2冷却器83に隣接する貯蔵室17が第2冷却器83の冷熱によって直接的に冷却されてもよい。例えば本実施形態の冷蔵庫1では、製氷室17B、小冷凍室17Cおよび第2切り替え室17Eを第2冷却器83の冷熱の熱伝導により直接的に冷却することができる。なお、この場合、制御部100aは、第2送風機84を停止させた状態で圧縮機75を駆動させてもよい。
[3.4.2 特別冷却制御]
次に、特別冷却制御について説明する。上述のとおり、特別冷却制御は、隣接室の冷却時間を、隣接室の温度帯設定を変更することなく短縮可能な制御モードである。具体的には、特別冷却制御は、所定の条件下で調整ダンパを開き、切り替え室17Dの冷気を隣接室に供給することによって隣接室の冷却を促進する制御モードである。なお、特別冷却制御の実施中においても、各貯蔵室17の温度制御は、基本的には通常冷却制御に則って行われる。そのため、言い換えれば、特別冷却制御は、通常冷却制御の実施中において、調整ダンパの開閉を制御する処理であるということができる。以下、特別冷却制御の詳細について説明する。
図5は、特別冷却制御の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示す一連の処理は、通常冷却制御と同じスレッドで実行されてもよいし、通常冷却制御とは異なるスレッドで実行されてもよい。また、本フローチャートに示す一連の処理が通常冷却制御と同じスレッドで実行される場合、一連の処理は、通常冷却制御内の所定のタイミングで実行されてもよいし、所定のイベントをトリガにして通常冷却制御に割り込む割り込み処理として実行されてもよい。
本フローチャートでは、まず、制御部100aが現在の制御モードが通常冷却制御又は特別冷却制御のどちらであるかを判定する(ステップS101)。例えば、操作パネル部111には制御モードを通常冷却制御と特別冷却制御とのいずれかに設定する操作の入力を受け付ける設定画面が表示され、ユーザによって選択されたいずれかの制御モードが設定値として記憶部112に記録される。この場合、制御部100aは記憶部112に記録されている当該設定値を参照することにより、現在の制御モードを識別することができる。
ステップS101において、現在の制御モードが特別冷却制御であると判定した場合(ステップS101:特別冷却制御)、制御部100aは第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eに設定されている設定温度帯の設定値を取得する(ステップS102)。なお、制御モードの設定値と同様に、設定温度帯の設定値もユーザによる設定操作の入力に応じて記憶部112に記録されるものとする。制御部100aは、取得した設定温度帯の設定値に基づいて、第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとのうち少なくとも一方の設定温度帯が冷凍温度帯であるか否かを判定する(ステップS103)。
ステップS103において、第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとの両方の設定温度帯が冷凍温度帯でないと判定した場合(ステップS103−NO)、制御部100aは後述する調整ダンパの制御を行うことなくステップS101に処理を戻す。一方、ステップS103において、第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとのうち少なくとも一方の設定温度帯が冷凍温度帯であると判定した場合(ステップS103−YES)、制御部100aは、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室の設定温度帯に基づいて、第1調整ダンパ211、第2調整ダンパ221、第3調整ダンパ231、第4調整ダンパ241のうち制御すべき対象の調整ダンパ(以下「対象ダンパ」という。)を決定する(ステップS104)。制御部100aは、対象ダンパとして決定した調整ダンパを開き(ステップS105)、ステップS101に処理を戻す。
一方、ステップS101において、現在の制御モードが通常冷却制御であると判定した場合(ステップS101:通常冷却制御)、制御部100aは第1調整ダンパ211、第2調整ダンパ221、第3調整ダンパ231および第4調整ダンパ241の全てを閉じ(ステップS106)、ステップS101に処理を戻す。
具体的には、制御部100aは設定温度帯が冷凍温度帯に設定されている切り替え室17に対応する調整ダンパを対象ダンパとして決定する。例えば本実施形態の冷蔵庫1において、第1切り替え室17Dの設定温度帯が冷凍温度帯である場合、制御部100aは第1調整ダンパ211および第2調整ダンパ221を対象ダンパとして決定する。同様に、第2切り替え室17Eの設定温度帯が冷凍温度帯である場合、制御部100aは第3調整ダンパ231および第4調整ダンパ241を対象ダンパとして決定する。
なお、制御部100aは、ステップS105において対象ダンパを開いた後、隣接室の温度が設定温度帯の所定の温度に到達した場合に、ステップS105で開いた調整ダンパを閉じるように構成されてもよい。例えば、制御部100aは、隣接室の温度が設定温度帯の下限値に到達した場合に対象ダンパを閉じてもよい。
このように構成された第1の実施形態の冷蔵庫1によれば、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの設定温度帯に応じて調整ダンパの開閉を制御することにより、第1切り替え室17Dまたは第2切り替え室17Eの冷気を隣接室に供給することが可能となる。これにより、隣接室の温度帯の設定を変更することなく隣接室の冷却時間を短縮することが可能となる。例えば、第1の実施形態の冷蔵庫1によれば、製氷室17Bの設定温度帯を変更することなく、製氷に要する時間を短縮することができる。
<変形例>
制御部100aは、冷凍温度帯の動作モードに応じて対象ダンパを決定してもよい。例えば、制御部100aは、冷凍温度帯室の動作モードとして「強冷凍設定」または「中冷凍設定」が設定されている切り替え室17に対応する調整ダンパを対象ダンパとして決定してもよい。このような構成によれば、調整ダンパを開くタイミングをより細かく制御することができるため、特別冷却制御の利便性を向上させることができる。
制御部100aは、切り替え室17の設定温度帯に加え、隣接室の温度に基づいて対象ダンパを決定してもよい。例えば、制御部100aは、第1切り替え室17Dの設定温度帯が冷凍温度帯であって、製氷室17B(または小冷凍室17C)の温度が所定の上限値以上である場合に第1調整ダンパ211(または第2調整ダンパ221)を対象ダンパとして決定してもよい。同様に、制御部100aは、第2切り替え室17Eの設定温度帯が冷凍温度帯であって、製氷室17B(または小冷凍室17C)の温度が所定の上限値以上である場合に第3調整ダンパ231(または第4調整ダンパ241)を対象ダンパとして決定してもよい。このような構成によれば、隣接室の冷却が必要な場合にのみ調整ダンパが開かれるため、切り替え室17と隣接室との間の不要な温度干渉を抑制することができる。また、このような構成によれば、調整ダンパが駆動する頻度を下げることができるため、調整ダンパの消耗を抑制することが可能となる。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態の冷蔵庫1bの構成例を示す正面図である。図7は、第2の実施形態の冷蔵庫1bの構成例を示す断面図である。図7は、図6中に示された冷蔵庫1bのF2−F2線に沿う断面図を示す。図6および図7に示すように、冷蔵庫1bは第1連通部210、第2連通部220、第3連通部230、第4連通部240、第1調整ダンパ211、第2調整ダンパ221、第3調整ダンパ231、第4調整ダンパ241を備えない点で第1の実施形態の冷蔵庫1と異なる。また、冷蔵庫1bは、筐体10に代えて筐体10dを備える点、真空ポンプ261、開閉部262aおよび262bをさらに備える点で第1の実施形態の冷蔵庫1と異なる。冷蔵庫1bの他の構成は第1の実施形態の冷蔵庫1と同様である。図6および図7において、第1の実施形態における冷蔵庫1と同様の構成については、図1および図2と同じ符号を付すことにより、それらの説明を省略する。
筐体10dは、第2仕切り部19Bおよび第3仕切り部19Cに代えて第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eを備える点で第1の実施形態における筐体10と異なる。第2仕切り部19Bおよび第3仕切り部19Cが内部に断熱材を有したのに対し、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eは、その内部が中空に構成される。第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eには、内部に空気を送り込むための、または内部から空気を引き抜くための空気口が設けられており、それぞれの空気口には真空ポンプ261の吸気口が接続される。
真空ポンプ261は、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部の空気を引き抜くことにより、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部を減圧する。真空ポンプ261の運転制御により、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部の圧力は大気圧から真空圧までの範囲に調整可能である。このため、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eは、真空圧による容器の収縮変形に耐え得るように構成されている。
なお、真空ポンプ261は、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部の空気を引き抜くことが可能であれば、冷蔵庫1bに対してどのような位置に設置されてもよい。例えば真空ポンプ261は筐体10dの内側に設置されてもよいし、筐体10dの外側に設置されてもよい。ここで、筐体10dの内側とは、筐体10dと扉20とによって構成される空間を意味し、筐体10dの外側とは、冷蔵庫1の外壁をなす側を意味するものとする。
図7は、真空ポンプ261が、冷蔵室17Aの底部の奥側に設置された例を示す。このように、真空ポンプ261の吸気口と第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの空気口とが離れた位置にある場合、吸気口と各空気口とは真空圧による収縮変形に耐え得る送気管Lによって接続される。
また、この場合、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部から引き抜かれた空気が冷蔵室17Aの冷却を阻害することを防止するため、冷蔵庫1には真空ポンプ261によって引き抜かれた空気を筐体10dの外部に放出する排気路が設けられるとよい。
開閉部262aは、電気的な駆動制御により第2仕切り部19Dの空気口を開閉可能な駆動機構である。同様に、開閉部262bは、電気的な駆動制御により第3仕切り部19Eの空気口を開閉可能な駆動機構である。以下、特に区別する必要がない場合、開閉部262a及び262bを開閉部262と記載する。
開閉部262は、空気口を閉じた際に、筐体10dの内部に対して空気が流入することを防止することができるものであればどのような駆動機構であってもよい。例えば、開閉部262は、PMV(Pulse Motor Valve)等の電磁弁を用いて構成されてもよいし、スライド可能なフラップにより筐体10dの内部を密閉可能なダンパを用いて構成されてもよい。
図8は、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eによる、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eと、隣接室との間の熱伝導性の変化を示す図である。図8(A)は第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部の圧力が大気圧に調整されている場合における熱伝導性を示し、図8(B)は第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部の圧力が真空圧に調整されている場合における熱伝導性を示す。図8(A)に示すように、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部の圧力が大気圧に調整されている場合、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部の空間が熱伝導媒体としての空気でみたされた状態となるため熱伝導が可能となる。一方、図8(B)に示すように、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部の圧力が真空圧に調整されている場合、第2仕切り部19Dおよび第3仕切り部19Eの内部の空間には熱伝導媒体が存在しない状態となるため、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eと、隣接室との間の熱伝導を遮断することができる(断熱)。
図9は、第2の実施形態の冷蔵庫1bの機能構成の一部を示すブロック図である。第2の実施形態の冷蔵庫1bにおいて、制御基板100は、例えばマイクロコンピュータやタイマなどにより構成される制御部100bを有する。制御部100bには、操作パネル部111、記憶部112、冷蔵室温度センサ113、第1切り替え室温度センサ114、第2切り替え室温度センサ115、第1ダンパ71、第2ダンパ72、第1送風機82、第2送風機84、圧縮器75、三方弁93、真空ポンプ261および開閉部262が電気的に接続されている。
第1の実施形態における制御部100aが調整ダンパの開閉により特別冷却制御を実現したのに対し、制御部100bは真空ポンプ261および開閉部262の制御により特別冷却制御を実現する。なお、制御部100bは、制御部100aと同様に通常冷却制御と特別冷却制御の切り替えを行うことが可能であり、制御部100aと同様の通常冷却制御を実行可能である。
図10は、第2の実施形態における特別冷却制御の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示す一連の処理は、通常冷却制御と同じスレッドで実行されてもよいし、通常冷却制御とは異なるスレッドで実行されてもよい。また、本フローチャートに示す一連の処理が通常冷却制御と同じスレッドで実行される場合、一連の処理は、通常冷却制御内の所定のタイミングで実行されてもよいし、所定のイベントをトリガにして通常冷却制御に割り込む割り込み処理として実行されてもよい。また、本フローチャートにおいて、第1の実施形態における特別冷却制御と同様の処理については、図5と同じ符号を付すことにより、それらの説明を省略する。
ステップS103において、第1切り替え室17Dと第2切り替え室17Eとのうち少なくとも一方の設定温度帯が冷凍温度帯であると判定した場合(ステップS103−YES)、制御部100bは、制御すべき対象の開閉部262(以下「対象開閉部」という。)を決定する(ステップS201)。制御部100bは、対象開閉部として決定した開閉部262を開き(ステップS202)、ステップS101に処理を戻す。
具体的には、制御部100bは設定温度帯が冷凍温度帯である切り替え室17と隣接室との間の仕切り部19の開閉部262を対象開閉部として決定する。例えば本実施形態の冷蔵庫1bにおいて、第1切り替え室17Dの設定温度帯が冷凍温度帯である場合、制御部100bは第2仕切り部19Dの開閉部262aを対象開閉部として決定する。同様に、第2切り替え室17Eの設定温度帯が冷凍温度帯である場合、制御部100bは第3仕切り部19Eの開閉部262bを対象開閉部として決定する。
例えば第2仕切り部19Dの開閉部262aが対象開閉部として決定された場合、開閉部262aが開かれることにより、第2仕切り部19Dの内部に空気が流入し、第2仕切り部19Dの内部の圧力が大気圧に遷移する。その結果、第1切り替え室17Dと隣接室との間での熱伝導が可能となり、第1切り替え室17Dの冷熱が隣接室に供給される。これにより、隣接室の冷却が促進される。
一方、ステップS101において、現在の制御モードが通常冷却制御であると判定した場合(ステップS101:通常冷却制御)、制御部100bは全ての開閉部262を開く(ステップS203)とともに、真空ポンプ261の運転を開始する(ステップS204)。制御部100bは、真空ポンプ261の運転を開始すると、第2仕切り部19D及び第3仕切り部19Eの内部の圧力が真空圧に到達したか否かを判定する(ステップS205)。例えば、第2仕切り部19D及び第3仕切り部19Eの内部の圧力は、圧力計によって測定されてもよいし、真空ポンプ261の吸気量に基づく換算によって測定されてもよい。
ステップS205において、第2仕切り部19D及び第3仕切り部19Eの内部の圧力が真空圧に到達していないと判定した場合(ステップS205−NO)、制御部100bは第2仕切り部19D及び第3仕切り部19Eの内部の圧力が真空圧に到達するまでステップS205を繰り返し実行する。一方、ステップS205において、第2仕切り部19D及び第3仕切り部19Eの内部の圧力が真空圧に到達したと判定した場合(ステップS205−YES)、制御部100bは全ての開閉部262を閉じ(ステップS206)、ステップS101に処理を戻す。これにより、第2仕切り部19D及び第3仕切り部19Eの内部の圧力が真空圧に維持されるため、通常冷却制御の実施中において、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eと、隣接室との間の熱伝導を遮断することができる。
なお、制御部100bは、ステップS202において対象開閉部を開いた後、隣接室の温度が設定温度帯の所定温度に到達した場合に、ステップS202で開いた対象開閉部を閉じるように構成されてもよい。例えば、制御部100bは、隣接室の温度が設定温度帯の下限値に到達した場合に対象開閉部を閉じるように構成されてもよい。また、この場合、制御部100bは、真空ポンプ261を運転させ、第2仕切り部19D及び第3仕切り部19Eの内部の圧力を真空圧に調整した上で対象開閉部を閉じるように構成されてもよい。
このように構成された第2の実施形態の冷蔵庫1bによれば、第1切り替え室17Dおよび第2切り替え室17Eの設定温度帯に応じて第2仕切り部19D及び第3仕切り部19Eの内部の圧力を真空圧に制御することにより、第1切り替え室17Dまたは第2切り替え室17Eの冷熱を隣接室に供給することが可能となる。これにより、第1の実施形態の冷蔵庫1と同様に、隣接室の温度帯の設定を変更することなく隣接室の冷却時間を短縮することが可能となる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第1温度帯室と前記第1温度帯室よりも低温の第2温度帯室とに用途が切り替え可能な切り替え室と、前記切り替え室に隣接する隣接室と、前記切り替え室および前記隣接室の温度を制御する制御部と、を持ち、前記制御部による前記切り替え室の温度制御により、前記隣接室の温度が所定の温度帯に到達するまでの時間を調整可能であることにより、温度帯の設定を変更することなく貯蔵室の冷却時間をより短縮することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。