JP2021116623A - 止水構造及び建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】互いに入隅を形成する外装材の止水性を確保すると共に、外装材の加工工数を少なくできる止水構造及び建物を提供する。【解決手段】止水構造は、躯体(建物本体12)の一方の面(外壁面12X)に端面20Eが対向する第一外装材(笠木20)と、一方の面と交差する他方の面(外壁面12Y)に端面が対向する第二外装材(笠木30)と、第一外装材の端面及び側面で形成された角部に形成された切欠き20Fと、第二外装材の端面及び側面で形成された角部が切欠き20Fの内側又は切欠き20Fに面して配置された状態で、第二外装材と切欠き20Fとの間を上下方向に沿って止水する防水材G3と、を備えている。【選択図】図3

Description

本発明は、止水構造及び建物に関する。
下記特許文献1には、第1壁パネルと第2壁パネルとで入隅部が形成された入隅壁構造が記載されている。この入隅壁構造における入隅部には、第1壁パネルに形成された第1凹部と、第2壁パネルに形成された第2凹部とで、入隅溝が形成されている。また、この入隅溝には、シール材が充填されるシールリングポケットが形成されている。
特開2019−120102号公報
上記特許文献1に記載された入隅壁構造では、第1壁パネル及び第2壁パネルに、それぞれ第1凹部又は第2凹部を形成している。このため、例えば第1壁パネル及び第2壁パネルの何れか一方のみに凹部を形成する場合と比較して、加工工数が多くなる。
本発明は上記事実を考慮して、互いに入隅を形成する外装材の止水性を確保すると共に、外装材の加工工数を少なくできる止水構造及び建物を提供することを目的とする。
第1態様の止水構造は、躯体の一方の面に端面が対向する第一外装材と、前記一方の面と交差して出隅を形成する他方の面に端面が対向する第二外装材と、前記第一外装材の端面及び側面で形成された角部に上下方向に沿って形成された切欠きと、前記第二外装材の端面及び側面で形成された角部が前記切欠きの内側又は前記切欠きに面して配置された状態で、前記第二外装材と前記切欠きとの間に上下方向に沿って充填された防水材と、を備えている。
第1態様の止水構造においては、躯体の出隅を形成する一方の面及び他方の面に、それぞれ第一外装材の端面及び第二外装材の端面が対向して配置されている。そして、第一外装材の角部に上下方向に沿って形成された切欠きの内側に、又は切欠きに面して、第二外装材の角部が配置されている。
つまり、第一外装材及び第二外装材は、互いに入隅を形成する一方で、当該入隅部分において互いの角部が干渉する、または接触する位置に配置されている。しかしながら、第一外装材の角部に形成された切欠きによって、第一外装材と第二外装材とが互いに干渉または接触することが抑制されている。
さらに、第二外装材と第一外装材の切欠きとの間には、上下方向に沿って防水材が充填されている。これにより、第一外装材と第二外装材との間を上下方向に止水している。
以上の構成により、互いに入隅を形成する外装材同士の止水構造において、第一外装材のみに切欠きを設けることで、第一外装材及び第二外装材の間を止水することができる。すなわち、互いに入隅を形成する外装材の止水性を確保すると共に、第一外装材及び第二外装材の双方に切欠き等を形成する場合と比較して、外装材の加工工数を少なくできる。第二外装材には切欠きを設けなくてもよいので、専用品を用いる必要がない。つまり一般部材を用いることができる。
第2態様の止水構造は、前記躯体における前記一方の面と前記他方の面にはそれぞれ腰壁が固定され、前記第一外装材及び前記第二外装材は、前記腰壁を上端面から側面に亘って被覆する笠木である。
第2態様の止水構造においては、躯体の出隅を形成する一方の面と他方の面には、それぞれ腰壁が固定されている。そして、それぞれの腰壁は、上端面から側面に亘って、第一外装材及び第二外装材としての笠木によって被覆されている。これらの笠木は、腰壁の側面を被覆しているため、腰壁の側面より外側に張り出している。
本態様においては、腰壁の側面より外側に笠木が張り出しても、当該笠木同士の干渉または接触が抑制されている。このため、例えば腰壁の側面を躯体面と面一とすることにより、笠木が互いに干渉する位置に配置されても、支障が生じ難い。したがって、腰壁に挟まれた位置に躯体の出隅が露出しない構成とすることができる。これにより躯体と腰壁との納まりを簡略化でき、仕上げ材の施工性を向上できる。また、意匠性を向上できる。
これに対して、通常、腰壁の側面より外側に張り出した笠木同士の干渉を避けるためには、腰壁を躯体の出隅から離れた位置に固定する。この場合、腰壁に挟まれた位置に躯体の出隅が露出して、躯体と腰壁との納まりが凹凸の多い複雑な形状となる。
第3態様の止水構造は、第1態様又は第2態様の止水構造において、前記防水材は、前記躯体と前記第一外装材との間、及び、前記躯体と前記第二外装材との間に連続して充填されている。
第3態様の止水構造においては、防水材が、躯体と第一外装材との間、及び、躯体と第二外装材との間にも充填されている。このため、第一外装材と第二外装材との間だけではなく、躯体と第一外装材との間、及び、躯体と第二外装材との間も止水できる。また、これらを止水する防水材は連続して充填されているため、止水性が高い。
第4態様の建物は、第1〜第3態様の何れか1態様に記載の止水構造を備えている。
第4態様の建物においては、躯体の出隅を形成する一方の面及び他方の面に、それぞれ第一外装材の端面及び第二外装材の端面が対向して配置されている。そして、第一外装材の角部に形成された切欠きの内側には、又は切欠きに面して、第二外装材の角部が配置されている。
つまり、第一外装材及び第二外装材は、互いに入隅を形成する一方で、当該入隅部分において互いの角部が干渉する、または接触する位置に配置されている。しかしながら、第一外装材の角部に形成された切欠きによって、第一外装材と第二外装材とが互いに干渉または接触することが抑制されている。
さらに、第二外装材と第一外装材の切欠きとの間には、上下方向に沿って防水材が設けられている。これにより、第一外装材と第二外装材との間を止水している。
以上の構成により、互いに入隅を形成する外装材同士の止水構造において、一方の外装材のみに切欠きを設けることで、それぞれの外装材の間を止水することができる。すなわち、互いに入隅を形成する外装材の止水性を確保すると共に、第一外装材及び第二外装材の双方に切欠き等を形成する場合と比較して、外装材の加工工数を少なくできる。
本態様の止水構造及び建物によると、互いに入隅を形成する外装材の止水性を確保すると共に、外装材の加工工数を少なくできる。
本発明の実施形態に係る止水構造が適用される建物の概略を示した平面図である。 本発明の実施形態に係る止水構造を示した平面図である。 図2AにおけるB−B線断面図である。 本発明の実施形態に係る止水構造における切欠き部を示した部分拡大平面図である。 本発明の実施形態に係る止水構造において上下方向の防水材を示した平面図である。 本発明の実施形態に係る止水構造におけるエンドプレートにリブを設けた変形例を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る止水構造において、一方の笠木に形成された切欠きと他方の笠木との位置関係を変更した変形例を示す部分拡大平面図である。 本発明の実施形態に係る止水構造と比較して切欠きの寸法を大きくした比較例を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る止水構造と比較して腰壁の位置を離間して配置した比較例を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態に係る止水構造及び建物について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
<建物>
(全体構成)
図1には、本発明の実施形態に係る止水構造が適用された建物10の一部分が示されている。建物10は、建物本体12及びバルコニー14、16を備えている。
(建物本体)
建物本体12は、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の任意の構造形式によって構築された建築物である。本実施形態における建物本体12は、一例として、鉄骨造の住宅である。なお、建物本体12は、本発明における躯体の一例である。
建物本体12は、構造部材としての鉄骨柱及び鉄骨梁、下地部材としての間柱、根太及びその他の金属部材(例えば後述する下地材12B等)、並びに、仕上げ材としての外壁材等を含んで構成されているが、本発明における「躯体」とは、これらを総称したものである。
(バルコニー)
バルコニー14は、建物本体12の利用者が建物本体12から出入り可能な屋外空間である。バルコニー14は、建物本体12から跳ね出したスラブ14A及びスラブ14Aに固定された腰壁14Bを備えて形成されている。腰壁14Bは、スラブ14Aにおける屋外空間と面する外周面に沿って設けられた躯体手すりである。
なお、スラブ14Aの下方には建物本体12の内部空間を形成してもよい。すなわち、スラブ14Aは建物本体12の天井スラブを兼用してもよい。また、バルコニー14の上方には、図示しない庇を形成してもよい。本明細書におけるバルコニー14は、ルーフトップバルコニー、ベランダ、ポーチ、テラス等、様々な概念を含んだものであり、屋外空間において風雨に晒される可能性のある場所全般を示すものとする。
バルコニー16は、スラブ16A及びスラブ16Aに固定された腰壁16Bを備えて形成されている。バルコニー16、スラブ16A及び腰壁16Bの構成は、バルコニー14、スラブ14A及び腰壁14Bと同様であり説明は省略する。
(建物本体の出隅)
図1において囲み線Pで示したように、建物10には、出隅E1が形成されている。出隅E1は、X方向に沿う基準線X1と、Y方向に沿う基準線Y1と、の交差点に形成されている。具体的には、出隅E1は、建物本体12において、基準線X1上の外壁面12Xと、基準線Y1上の外壁面12Yとが交わる部分に形成される角である。なお、X方向及びY方向は互いに略直交する方向である。
(腰壁の入隅)
出隅E1において、外壁面12Xには腰壁14Bの端面が固定されている。腰壁14Bの側面は、基準線Y1上に配置されている。すなわち、腰壁14Bの側面(後述する仕上げ材14BBの表面)は、建物本体12の外壁面12Yと面一とされている。
同様に、出隅E1において、外壁面12Yには腰壁16Bの端面が固定されている。腰壁16Bの側面は、基準線X1上に配置されている。すなわち、腰壁16Bの側面(後述する仕上げ材16BBの表面)は、建物本体12の外壁面12Xと面一とされている。
以上の構成により、腰壁14B及び腰壁16Bは、建物本体の出隅E1において、互いに交差して配置され、入隅E2を形成している。
<止水構造>
腰壁14Bには、図1において破線で示す笠木20が固定されている。また、腰壁16Bには、笠木30が固定されている。腰壁14B及び腰壁16Bが互いに入隅E2を構成するため、腰壁14Bに沿って配置された笠木20、及び、腰壁16Bに沿って配置された笠木30も、互いに入隅E3を構成する。
本実施形態に係る止水構造は、入隅E3において、これらの笠木20と笠木30との間を止水する構造である。なお、笠木20及び笠木30は、それぞれ本発明における第一外装材及び第二外装材の一例である。
(腰壁)
図2A及び図2Bに示すように、腰壁14Bは、下地材14BA及び仕上げ材14BBを備えている。下地材14BAは例えば鉄骨製の骨格部材であり、スラブ14A(図1参照)を形成する下地材(不図示)に固定されている。仕上げ材14BBは、例えば窯業系サイディングで形成された外壁仕上材であり、乾式又は湿式の任意の工法によって下地材14BAに固定されている。
下地材14BAは、固定金物18を介して、建物本体12の下地材12Bに固定されている。なお、詳細の説明は省略するが、固定金物18は、下地材14BAに固定される金具18Aと、下地材12Bに固定される受金具18Bとに分けて形成されている。
これらの金具18A及び受金具18Bは、互いに相対移動できないように接合されている。また、固定金物18は、下地材14BA及び下地材12Bの双方に固定される1つの金物としてもよい。これらの構成により、建物本体12と腰壁14Bとを剛接合とすることができる。
なお、これらの金具18A及び受金具18Bは、互いに所定の寸法以内の範囲で相対移動可能に連結してもよい。これにより、例えば地震時や強風時に、建物本体12と腰壁14Bとの変位に差異が生じても、建物本体12と腰壁14Bとの間で応力が伝達されることを抑制できる。
同様に、腰壁16Bは、下地材16BA及び仕上げ材16BBを備えて形成されている。下地材16BA及び仕上げ材16BBの構成は、下地材14BA及び仕上げ材14BBの構成と同様であり説明を省略する。また、下地材16BAも、固定金物18を介して、建物本体12の下地材12Bに固定されている。
(笠木)
図2Bに示すように、笠木20は、上面部22及び側面部24、26を備えている。上面部22は腰壁14Bの上面を覆うように、略横方向に沿って延設された部分である。側面部24、26は、それぞれ上面部22の両端から下向きに延出された部分であり、腰壁14Bの側面(仕上げ材14BBの表面)の一部を覆っている。なお、この「一部」とは腰壁14Bの上端部を指す。以下の説明においては、側面部24において腰壁14Bと反対側の表面を側面24Eと称す。
笠木20はアルミを押出成型することで形成された成型品である。笠木20は、腰壁14Bの下地材14BAに対して、図示しない取付金物(ジョイント金物、受金物)等を介して固定される。
図2Aに示すように、笠木20の端面20Eには、エンドプレート28が固定されている。エンドプレート28は、アルミまたはステンレスの平板を後述するように折り曲げ加工して形成された折板である。エンドプレート28は、笠木20に対して図示しないジョイント金物等を介して固定されている。
笠木30は、上面部32及び側面部34、36を備えている。上面部32は腰壁16Bの上面を覆うように、略横方向に沿って延設された部分である。側面部34、36は、それぞれ上面部32の両端から下向きに延出された部分であり、腰壁16Bの側面(仕上げ材16BBの表面)の一部を覆っている。なお、この「一部」とは腰壁16Bの上端部を指す。以下の説明においては、側面部34において腰壁16Bと反対側の表面を側面34Eと称す。
笠木30の腰壁16Bに対する固定方法は、笠木20の腰壁14Bに対する固定方法と同様であり説明を省略する。
また、笠木30の端面30Eには、エンドプレート38が固定されている。エンドプレート38は、アルミまたはステンレスの平板である。エンドプレート38は、笠木30に対して図示しないジョイント金物等を介して固定されている。
(止水構造)
笠木20が腰壁14Bに固定された状態で、笠木20の側面24Eは、基準線Y1(すなわち、腰壁14Bにおける仕上げ材14BBの表面及び建物本体12の外壁面12Y)より、寸法L1だけ外側(腰壁16B側)に配置されている。
また、笠木20に固定されたエンドプレート28は、建物本体12の外壁面12Xと離間して配置されている。この離間距離は寸法L2とされている。
同様に、笠木30が腰壁16Bに固定された状態で、笠木30の側面34Eは、基準線X1(すなわち、腰壁16Bにおける仕上げ材16BBの表面及び建物本体12の外壁面12X)より、寸法L3だけ外側(腰壁14B側)に配置されている。
笠木30に固定されたエンドプレート38は、建物本体12の外壁面12Yと離間して配置されている。この離間距離は寸法L4とされている。
なお、本実施形態においては、寸法L1と寸法L3は略等しい値である。また、寸法L2と寸法L4は略等しい値である。さらに、寸法L1及び寸法L3は、寸法L2及び寸法L4より大きい。
図2Cに示すように、笠木20の端面20E及び側面24Eで形成された角部には、切欠き20Fが形成されている。切欠き20Fは、端面20E及び側面24Eで形成された角部を切り落として形成された空間(凹部)である。この切欠き20Fの内側には、笠木30の端面30E及び側面34Eで形成された角部が配置されている。すなわち、切欠き20Fによって、笠木20と笠木30との干渉が抑制されている。
図2Aには、笠木20と建物本体12との間、笠木30と建物本体12との間、及び、笠木20と笠木30との間に施工された防水材Gが示されている。防水材Gは、例えば変成シリコーン系シール材によって形成されている。ここで、防水材Gの構成を説明するために、図3には、笠木20と建物本体12との間を横方向にシールする防水材と、笠木30と建物本体12との間を横方向にシールする防水材と、を省略した状態が示してある。
すなわち、図3には、笠木20と建物本体12との間の間を上下方向にシールする防水材G1と、笠木30と建物本体12との間の間を上下方向にシールする防水材G2と、笠木20と笠木30との間の間を上下方向にシールする防水材G3と、が示されている。
なお、これらの防水材G1、G2、G3と、笠木20と建物本体12との間を横方向にシールする防水材と、笠木30と建物本体12との間を横方向にシールする防水材と、は連続して充填され、一体的に形成されている。
笠木20にはエンドプレート28が固定されているため、防水材G1は、建物本体12の外壁面12X及びエンドプレート28に接着された2面接着のシール構造を形成している。同様に、笠木30にはエンドプレート38が固定されているため、防水材G2は、建物本体12の外壁面12Y及びエンドプレート38に接着された2面接着のシール構造を形成している。
また、エンドプレート28は、切欠き20Fによる笠木20の欠損部分に沿って、平板を折り曲げて配置されている。このため、防水材G3は、少なくとも笠木30の側面34E及びエンドプレート28に接着されたシール構造を形成する。なお、二点鎖線で示した防水材G4のように、防水材は、笠木30の側面34E及びエンドプレート28だけでなく、エンドプレート38にも接着できる。
図3等に示すように、笠木30の側面34Eと切欠き20Fに配置されたエンドプレート28との離間距離は、寸法L5とされている。寸法L5は、例えば防水材を施工するコーキングガンの先端を切欠き20Fに挿入可能な寸法以上とされる。また、笠木30に沿う方向から入隅E3(図1参照)を視認した際に、切欠き20Fが目立たない程度の寸法以下とされる。具体的には、概ね10mm以上20mm以下とすることが好ましい。切欠き20Fの寸法は、これらの寸法L1〜L5に応じて、適宜決定される。
なお、寸法L5を20mmより大きく形成した場合、笠木30の側面34Eとエンドプレート28との距離が大きくなり、これらの双方に防水材を接着することが難しい。また、図6に示すように、防水材がエンドプレート28側に流れることを抑制するために、コーキングガンを笠木20に沿う方向へ寝かせて施工する必要がある。このためコーキングガンによる防水材の施工性を考慮して、寸法L5を所望の寸法よりさらに大きくする必要がある可能性がある。
<作用及び効果>
本発明の実施形態に係る止水構造においては、図2Aに示すように、建物本体12の出隅E1を形成する一方の面(外壁面12X)及び他方の面(外壁面12Y)に、それぞれ第一外装材としての笠木20の端面20E、及び、第二外装材としての笠木30の端面30Eが対向して配置されている。そして、笠木20の角部に形成された切欠き20Fの内側には(図2C参照)、又は切欠き20Fに面して(図5参照)、笠木30の角部が配置されている。
つまり、笠木20及び笠木30は、互いに入隅E3を形成する一方で、当該入隅部分において互いの角部が干渉する位置に配置されている。しかしながら、笠木20の角部に形成された切欠き20Fによって、笠木20と笠木30とが互いに干渉することが抑制されている。
さらに、笠木30と笠木20の切欠き20Fとの間には、図3に示すように、上下方向に沿って防水材G3が設けられている。これにより、笠木30と笠木20との間を止水している。
以上の構成により、互いに入隅E3を形成する外装材同士(笠木20及び笠木30)の止水構造において、一方の外装材(笠木20)のみに切欠き20Fを設けることで、それぞれの外装材の間を止水することができる。すなわち、互いに入隅を形成する外装材の止水性を確保すると共に、笠木20及び笠木30の双方に切欠き等を形成する場合と比較して、加工工数を少なくできる。笠木30には切欠きを設けなくてもよいので、専用品を用いる必要がない。つまり一般部材を用いることができる。
また、本実施形態に係る止水構造においては、図1に示すように、建物本体12の出隅E1を形成する一方の面(外壁面12X)と他方の面(外壁面12Y)には、それぞれ腰壁14B、16Bが固定されている。そして、それぞれの腰壁14B、16Bは、上端面から側面に亘って、それぞれ笠木20、30によって被覆されている。つまりこれらの笠木20、30は、腰壁14B、16Bの側面を被覆している(図2B参照)ため、腰壁14B、16Bの側面より外側に張り出している。
本態様においては、腰壁14B、16Bの側面より外側に笠木20、30が張り出しても、当該笠木20、30同士の干渉が抑制されている。このため、腰壁14B、16Bの側面をそれぞれ建物本体12の外壁面12Y、12Xと面一として、腰壁14B、16Bに挟まれた位置に建物本体12の出隅E1が露出しない構成とすることができる。これにより、建物本体12と腰壁14B、16Bとの納まりを簡略化でき、仕上げ材14BB、16BBの施工性を向上できる。また、意匠性を向上できる。
これに対して、通常、腰壁の側面より外側に張り出した笠木同士の干渉を避けるためには、図7の比較例に示すように、腰壁140B、160Bを建物本体120の出隅E10から離れた位置に固定する。この場合、腰壁140B、160Bに挟まれた位置に建物本体120の出隅E10が露出して、建物本体120と腰壁140B、160Bとの納まりが凹凸の多い複雑な形状となる。
また、本実施形態に係る止水構造においては、防水材G1、G2、G3と、笠木20と建物本体12との間を横方向にシールする防水材と、笠木30と建物本体12との間を横方向にシールする防水材と、は連続して充填され、一体的に形成されている。
このため、笠木20と笠木30との間だけではなく、建物本体12と笠木20との間、及び、建物本体12と笠木30との間も止水できる。また、これらを止水する防水材Gは連続して充填されているため、止水性が高い。
また、本実施形態に係る止水構造においては、笠木20、30は押出成型によって形成されている。このうち、笠木20の角には図2Aに示すように切欠き20Eが形成される一方、笠木30の角には切欠きを形成しなくてもよい。このためエンドプレート38を折り曲げ加工する必要がない。これにより、笠木30及びエンドプレート38の加工工程を削減できる。笠木30は、押出成形品を所望の寸法に切り出すだけで使用することができる。エンドプレート38は、仕様を共通化できる。
また、笠木20の端面には折板のエンドプレート28が固定されている。これにより、図3に示すように、当該エンドプレート28を防水材G3の接着面として用いることができる。
<その他の実施形態>
本実施形態においては、上記で説明したように、防水材G1及び防水材G2を2面接着としているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば図4に示すように、エンドプレート28、38に、それぞれ笠木20、30の延設方向に沿って突出するリブ28E、38Eを形成し、これを目地底として防水材G1、G2、G3を充填してもよい。これにより、防水材が施工し易く、防水材の欠損が生じにくい。
また、本実施形態においては、図2Cに示すように、基準線Y1とエンドプレート38との離間寸法L4が、基準線Y1と笠木20の側面24Eとの寸法L1より小さく形成されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
例えば図5に示すように、基準線Y1とエンドプレート38との離間寸法L4を、基準線Y1と笠木20の側面24Eとの寸法L1と等しく形成してもよい。この場合、少なくとも基準線X1とエンドプレート28との離間寸法L2が、基準線X1と笠木30の側面34Eとの寸法L3より小さければ、防水材G5のように、エンドプレート38とエンドプレート28との間をシールできる。
なお、本発明における「第二外装材の端面及び側面で形成された角部が切欠きに面して配置された状態」とは、上記で説明したように、笠木30の端面に固定されたエンドプレート38及び笠木30の側面34Eで形成された角部が、切欠き20Fに面して配置された状態のことを含む。
また、本実施形態においては、笠木20、30をアルミの押出成型品としたが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば笠木20、30は樹脂の押出成形品や木材としてもよい。また、笠木20、30にはエンドプレート28、38を設けているが、本発明の実施形態はこれに限らない。笠木20、30を無垢材(金属、樹脂、木材等各種材料を含む)で形成することにより、例えばエンドプレート28、38を適宜省略することもできる。
また、本実施形態においては、躯体手すりとしての腰壁14B、16Bに固定された笠木20及び笠木30を、第1外装材及び第2外装材として説明しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
例えば第1外装材及び第2外装材としては、ガラス手すりや縦格子手すりの笠木を採用することもできる。また、第1外装材及び第2外装材は、笠木に限定されるものではなく、躯体手すり、塀、パラペット等としてもよい。これらの躯体手すり、塀、パラペットは、コンクリート製のものを含む。以上説明したように、本発明は様々な態様で実施することができる。
12 建物本体(躯体)
12X 外壁面(一方の面)
12Y 外壁面(他方の面)
14B 腰壁
16B 腰壁
20 笠木(第一外装材)
20E 端面
20F 切欠き
28 エンドプレート
30 笠木(第二外装材)
38 エンドプレート
30E 端面
G3 防水材

Claims (4)

  1. 躯体の一方の面に端面が対向する第一外装材と、
    前記一方の面と交差する他方の面に端面が対向する第二外装材と、
    前記第一外装材の端面及び側面で形成された角部に上下方向に沿って形成された切欠きと、
    前記第二外装材の端面及び側面で形成された角部が前記切欠きの内側又は前記切欠きに面して配置された状態で、前記第二外装材と前記切欠きとの間に上下方向に沿って充填された防水材と、
    を備えた止水構造。
  2. 前記躯体における前記一方の面と前記他方の面にはそれぞれ腰壁が固定され、
    前記第一外装材及び前記第二外装材は、前記腰壁を上端面から側面に亘って被覆する笠木である、
    請求項1に記載の止水構造。
  3. 前記防水材は、前記躯体と前記第一外装材との間、及び、前記躯体と前記第二外装材との間に連続して充填されている、
    請求項1又は請求項2に記載の止水構造。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の止水構造を備えた建物。
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