JP2021114524A - エアギャップ形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアギャップを効率よく形成する方法を提供する。【解決手段】エアギャップ形成方法は、基板の凹部内を熱分解性ポリマーで埋め込む工程S11と、熱分解性ポリマー埋め込み工程後に熱分解性ポリマーの少なくとも一部を除去する工程S12と、熱分解性ポリマー上にシリコン含有溶液を塗布する工程S13と、基板を焼成して熱分解性ポリマーを分解しつつ、シリコン含有溶液を固化してエアギャップを形成する工程S14と、を含む。熱分解性ポリマーの少なくとも一部を除去する工程S12により、エアギャップの高さを調整する。【選択図】図1

Description

開示の実施形態は、エアギャップ形成方法に関する。
特許文献1は、エアギャップ形成用のシリカ系被膜形成材料をスピン塗布法によって塗布することで、基板の凹部を埋め込むことはなく、開口度の大きなエアギャップを形成する技術を開示する。
特開2011−181898号公報
本開示は、エアギャップを効率よく形成する技術を提供する。
本開示の一態様によるエアギャップ形成方法は、凹部を有する基板にエアギャップを形成するエアギャップ形成方法である。エアギャップ形成方法は、基板の凹部内を熱分解性ポリマーで埋め込む工程と、熱分解性ポリマー上にシリコン含有溶液を塗布する工程と、基板を焼成して熱分解性ポリマーを分解しつつ、シリコン含有溶液を固化してエアギャップを形成する工程と、を含む。
本開示によれば、エアギャップを効率よく形成できる。
図1は、実施形態に係るエアギャップ形成方法の一例を示すフローチャートである。 図2Aは、実施形態に係るエアギャップ形成方法でエアギャップを形成する際の基板の状態を示す図である。 図2Bは、実施形態に係るエアギャップ形成方法でエアギャップを形成する際の基板の状態を示す図である。 図2Cは、実施形態に係るエアギャップ形成方法でエアギャップを形成する際の基板の状態を示す図である。 図2Dは、実施形態に係るエアギャップ形成方法でエアギャップを形成する際の基板の状態を示す図である。 図2Eは、実施形態に係るエアギャップ形成方法でエアギャップを形成する際の基板の状態を示す図である。 図3は、実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す図である。 図4は、エアギャップを形成した実験結果を示す図である。
以下、図面を参照して本願の開示するエアギャップ形成方法の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、開示するエアギャップ形成方法が限定されるものではない。
ところで、近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化及び高性能化に伴って、素子間を結ぶ配線の間隔が狭小化している。このような配線の間隔の狭小化に伴って、寄生容量が生じることが知られており、寄生容量の低減化が求められている。寄生容量を低減する技術として、特許文献1には、配線間に意図的にエアギャップ(空隙)を形成する技術が提案されている。
しかし、特許文献1の技術は、シリカ系被膜形成材料をスピン塗布法によって基板の凹部を埋め込まないように塗布する必要があり、生産性よくエアギャップを形成できない。そこで、生産性よくエアギャップを形成することが期待されている。
(実施形態)
(エアギャップの形成方法)
実施形態に係るエアギャップ形成方法について説明する。図1は、実施形態に係るエアギャップ形成方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、図1のフローチャートに示された手順により、基板Wにエアギャップが形成される。以下では、図2A〜図2Eを参照しながら、図1のフローチャートに示された手順でエアギャップを形成する際の基板Wの状態を説明する。図2A〜図2Eは、実施形態に係るエアギャップ形成方法でエアギャップを形成する際の基板Wの状態を示す図である。
まず、処理対象の基板Wを準備する(ステップS10)。基板Wは、例えば図2Aに示されるような構造である。図2Aには、基板Wの断面図が示されている。基板Wは、例えば、半導体ウエハなどのシリコン基板とする。基板Wは、凹部11を有する。例えば、基板Wは、金属膜12が積層されており、金属膜12に凹部11が形成されている。
次に、基板Wの凹部11内を熱分解性ポリマーで埋め込む(ステップS11)。熱分解性ポリマーとしては、例えば、ポリ尿素が挙げられる。例えば、図2Bに示すように、基板Wに、ポリ尿素膜13を成膜する。ポリ尿素の成膜手法の一例としては、イソシアネートとアミンとを用いて共重合により生成することができ、例えば真空雰囲気下で両原料を気体の状態で交互、もしくは同時に基板Wに供給する。ポリ尿素は、例えば、300℃程度に加熱することにより、一部が解重合してモノマーになり、冷却することで重合する。これにより、ポリ尿素膜13は、断面形状を変えることができ、凹部11内を埋めた状態に変えることができる。
次に、基板Wに成膜した熱分解性ポリマーの少なくとも一部を除去する(ステップS12)。例えば、図2Cに示すように、基板Wをエッチングバックしてポリ尿素膜13の少なくとも一部を除去する。ポリ尿素膜13の除去は、エッチングにより行ってもよく、また、基板Wを例えば300℃程度に加熱してポリ尿素を一部解重合させることにより行ってよい。熱分解性ポリマーの除去量を制御することにより、形成されるエアギャップの高さを調整できる。例えば、ポリ尿素膜13が薄くなるほど、形成されるエアギャップの高さを低く調整できる。
次に、基板Wの熱分解性ポリマー上にシリコン含有溶液を塗布する(ステップS13)。例えば、分子中に6〜8員の単環式飽和炭素環を含み沸点が160℃未満である第1の溶媒と、分子中に飽和炭素環又は部分飽和炭素環を含み沸点が160℃以上である第2の溶媒とを含む混合溶媒に、シランポリマーを溶解させた溶液(以下「シランポリマー溶液」ともいう。)を、基板Wに塗布して、図2Dに示すように、塗布膜14を形成する。
次に、基板Wを焼成して、熱分解性ポリマーを分解しつつシリコン含有溶液を固化してエアギャップを形成する(ステップS14)。加熱の条件は特に限定されず、シランポリマーからシリコン膜を形成するにあたって従来使用される条件を採用してよい。例えば、アモルファス状のシリコン膜を形成する場合、300〜600℃(好ましくは350〜500℃)にて30秒間〜300分間の条件にて塗布膜14を加熱してよい。例えば、基板Wを400℃にて15分間加熱する。これにより、基板Wでは、熱分解性ポリマーの分解と、シリコン含有溶液の塗布膜14の固化が同時進行する。図2Eに示すように、基板Wでは、焼成されることで塗布膜14が固化してアモルファスシリコン膜15に変換する。また、基板Wでは、ポリ尿素膜13がアモルファスシリコン膜15を透過して昇華して消失し、エアギャップ16が形成される。ここで、アモルファスシリコン膜15が厚い場合、ポリ尿素膜13が昇華する際に圧力によって、アモルファスシリコン膜15が破れる虞がある。そこで、基板Wの焼成では、基板Wを第1温度にした後、第1温度より高い第2温度で基板Wを焼成してもよい。例えば、基板Wを200℃にして一定時間保った後、基板Wを400℃で基板Wを焼成してもよい。エアギャップ16の空間の圧力が急激に高まることを抑制できるため、アモルファスシリコン膜15が破れることを抑制できる。
このように実施形態に係るエアギャップ形成方法は、熱分解性ポリマー上にシリコン含有溶液を均一に塗布した後、焼成することで、熱分解性ポリマーの分解と、シリコン含有溶液の塗布膜14の固化を同時進行でき、エアギャップ16を効率よく形成できる。
次に、実施形態に係るエアギャップ形成方法で使用する第1の溶媒、第2の溶媒、シランポリマー、混合溶媒およびシランポリマー溶液について説明する。
(第1の溶媒)
第1の溶媒は、分子中に6〜8員の単環式飽和炭素環を含み沸点が160℃未満である。第1の溶媒を用いることにより、広範な分子サイズのシランポリマーを用いてシランポリマー溶液を調製することが可能となる。なお、本明細書において、「沸点」は、大気圧下での沸点を意味する。
シランポリマーの溶解性、特に分子サイズの大きなシランポリマーを溶解させ得る観点から、第1の溶媒は、分子中に6〜8員の単環式飽和炭素環を1個含むことが好ましく、分子中に7員又は8員の単環式飽和炭素環を1個含むことがより好ましい。
6〜8員の単環式飽和炭素環は、シランポリマーの溶解性を阻害しない限りにおいて、置換基を有していてもよい。置換基は特に限定されず、例えば、炭素原子数1〜4のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜3、より好ましくは炭素原子数1又は2)が挙げられる。置換基の数は限定されず、複数の置換基を有する場合、それらは互いに同一でも異なってもよい。
第1の溶媒としては、例えば、シクロヘキサン(81℃)、シクロヘプタン(112℃)、シクロオクタン(151℃)、メチルシクロヘキサン(101℃)、エチルシクロヘキサン(132℃)、ジメチルシクロヘキサン(120〜130℃)、n−プロピルシクロヘキサン(157℃)、イソプロピルシクロヘキサン(155℃)、トリメチルシクロヘキサン(136〜145℃)、メチルエチルシクロヘキサン(148℃)が挙げられる(括弧内は沸点)。
中でも、広範な分子サイズのシランポリマーを溶解させ得る観点から、第1の溶媒は、好ましくは炭素原子数6〜8のシクロアルカン、より好ましくは炭素原子数7又は8のシクロアルカン、特に好ましくは炭素原子数8のシクロアルカンである。したがって特に好適な一実施形態において、第1の溶媒はシクロオクタンである。
第1の溶媒の沸点の下限は、後述する第2の溶媒との組み合わせにおいてシリコン膜の成膜性に優れることから、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、120℃以上、又は130℃以上である。
第1の溶媒としては、単環式飽和炭素環含む溶媒以外の溶媒を用いてよい。単環式飽和炭素環含む溶媒以外の溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼンを挙げることができる。トルエン、ベンゼンとしては、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロへキシルベンゼンなどの炭化水素系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系溶媒;さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。
(第2の溶媒)
第2の溶媒は、分子中に飽和炭素環又は部分飽和炭素環を含み沸点が160℃以上である。第1の溶媒と組み合わせて第2の溶媒を用いることにより、広範な分子サイズのシランポリマーからシリコン膜を成膜性よく形成することが可能となる。本明細書において、「部分飽和炭素環」とは、不飽和炭素環の二重結合のうち少なくとも1個の二重結合を除く任意の個数の二重結合を水素化により単結合に変換した炭素環をいう。
ここで、分子サイズの大きいシランポリマーからシリコン膜を形成する場合や、低濃度のシランポリマー溶液を用いてシリコン膜を形成する場合には、従来、基板の全面にシリコン膜を形成することは困難となる傾向にあった。これに対し、第1の溶媒と組み合わせて第2の溶媒を用いるシランポリマー溶液によれば、分子サイズの大きなシランポリマーを用いる場合や、低濃度のシランポリマー溶液を用いる場合にも、基板の全面にシリコン膜を形成することが可能である。
広範な分子サイズのシランポリマー、とりわけ、成膜が困難とされていた分子サイズの大きなシランポリマーからシリコン膜を成膜性よく形成し得る観点から、第2の溶媒は、分子中に8〜12員の飽和炭素環又は部分飽和炭素環を1個含むことが好ましい。飽和炭素環又は部分飽和炭素環は、多環式の飽和炭素環又は部分飽和炭素環であることが好ましく、二環式の飽和炭素環又は部分飽和炭素環であることがより好ましい。第2の溶媒が分子中に多環式の部分飽和炭素環を含む場合、多環を構成する少なくとも1つの環は飽和炭素環構造を有する(すなわち、不飽和度が0である)ことが好ましい。例えば、第2の溶媒が分子中に二環式の部分飽和炭素環を含む場合、二環の一方の環が飽和炭素環構造を有し他方の環が不飽和炭素環構造を有することが好ましい。中でも、第1の溶媒との組み合わせにおいて、第2の溶媒は、分子中に多環式飽和炭素環を含むことが好ましく、二環式飽和炭素環を含むことが特に好ましい。第2の溶媒において、飽和炭素環又は部分飽和炭素環は、シリコン膜の成膜性を阻害しない限りにおいて、置換基を有していてもよい。置換基は特に限定されず、例えば、炭素原子数1〜4のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜3、より好ましくは炭素原子数1又は2)が挙げられる。置換基の数は限定されず、複数の置換基を有する場合、それらは互いに同一でも異なってもよい。
第2の溶媒としては、例えば、デカヒドロナフタレン(デカリン)(193℃)、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン)(207℃)、メチルデカヒドロナフタレン(210℃)、ジメチルデカヒドロナフタレン(224℃)、エチルデカヒドロナフタレン(226℃)、イソプロピルデカヒドロナフタレン(241℃)が挙げられる(括弧内は沸点)。
中でも、第1の溶媒との組み合わせにおいて、広範な分子サイズのシランポリマーから特に成膜性よくシリコン膜を形成し得る観点から、第2の溶媒は、好ましくは炭素原子数8〜12のビシクロアルカン、より好ましくは炭素原子数10〜12のビシクロアルカン、特に好ましくは炭素原子数10のビシクロアルカンである。したがって特に好適な一実施形態において、第2の溶媒はデカヒドロナフタレンである。
第1の溶媒との組み合わせにおいて広範な分子サイズのシランポリマーから成膜性よくシリコン膜を形成し得る観点から、第2の溶媒の沸点は、第1の溶媒の沸点より20℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましく、40℃以上高いことがさらに好ましい。第2の溶媒の沸点の上限は、第1の溶媒との組み合わせにおいて混合溶媒を調製し得る限り特に限定されないが、通常、250℃以下、240℃以下などとし得る。
広範な分子サイズのシランポリマーから特に成膜性よくシリコン膜を形成し得る観点から、混合溶媒において、第1の溶媒の体積を1としたとき、第2の溶媒の体積は、好ましくは2以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.7以下、又は0.5以下である。特に、第1の溶媒の体積を1としたとき、第2の溶媒の体積が0.5以下である混合溶媒を用いると、重量平均分子量(Mw)が100,000を超えるような分子サイズが非常に大きいシランポリマーを用いる場合であっても、成膜性よくシリコン膜を形成することが可能となる。
混合溶媒中に第2の溶媒が少量でも入っていれば、混合溶媒を用いる利点を享受し得る。例えば、混合溶媒において、第1の溶媒の体積を1としたとき、第2の溶媒の体積は0.001以上であってよく、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、0.02以上、又は0.03以上である。本明細書において、第1の溶媒と第2の溶媒の体積比は、室温下における第1の溶媒の体積と第2の溶媒の体積を基準として算出した値である。
(シランポリマー)
シランポリマーは、加熱によってシリコン膜を形成できる限り特に限定されず、例えば、光重合性のシラン化合物に光照射して得られた従来公知の方法により製造したシランポリマー(好ましくはポリジヒドロシラン)を用いてよい。
光重合性のシラン化合物としては、例えば、鎖状シラン化合物、環状シラン化合物、かご状シラン化合物が挙げられる。中でも、光重合性に優れるため、環状シラン化合物が好ましい。環状シラン化合物としては、例えば、シクロトリシラン、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシラン、ネオペンタシラン、トリシラン等の1個の環状シラン構造を有する環状シラン化合物;1,1’−ビシクロブタシラン、1,1’−ビシクロペンタシラン、1,1’−ビシクロヘキサシラン、1,1’−ビシクロヘプタシラン、スピロ[2,2]ペンタシラン、スピロ[3,3]ヘプタシラン、スピロ[4,4]ノナシラン等の2個の環状シラン構造を有する環状シラン化合物;これら環状シラン化合物において、水素原子の一部又は全部がシリル基やハロゲン原子に置換したシラン化合物等が挙げられる。
特に、高純度にて合成し易い観点から、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシランが好ましく、シクロヘキサシランがより好ましい。したがって一実施形態において、エアギャップ形成方法は、シクロヘキサシランに光照射してシランポリマーを調製する工程を含んでもよい。
光照射は、従来公知の任意の条件にて実施することができる。例えば、照射波長は300〜420nm、照射時間は0.1秒間〜600分間の範囲とし得る。
(シランポリマー溶液)
シランポリマー溶液は、上記第1の溶媒と第2の溶媒とを含む混合溶媒にシランポリマーを溶解させて調製することができる。この混合溶媒は、広範な分子サイズのシランポリマーを用いてシランポリマー溶液を調製することができる。
シランポリマー溶液のシランポリマーの濃度(以下、単に「溶液濃度」ともいう。)は、シランポリマーの分子サイズにもよるが、例えば、30体積%以下の範囲において調整することができる。薄いシリコン膜を形成する観点から、該溶液濃度は、好ましくは20体積%以下、より好ましくは10体積%以下、さらに好ましくは5体積%以下である。従来、溶液濃度が低くなると、基板Wの全面にシリコン膜を形成することが困難になる傾向にあった。これに対し、本実施形態のシランポリマー溶液は、溶液濃度が低い場合にも、基板Wの全面にシリコン膜を形成することが可能である。また、本実施形態のシランポリマー溶液は、分子サイズの大きなシランポリマー(上述のとおり、低濃度でもシリコン膜を形成し得る)を利用し得るという利点も相俟って、極めて薄いシリコン膜を基板Wの全面に形成することができる。本実施形態のシランポリマー溶液は、成膜性の悪化なしに、溶液濃度を、4体積%以下、3体積%以下、又は2体積%以下にまで低くすることができる。本実施形態のシランポリマー溶液は、溶液濃度の下限は特に限定されないが、シリコン膜の成膜性の観点から、通常、0.1体積%以上、0.3体積%以上、0.5体積%以上などとし得る。本明細書において、シランポリマー溶液のシランポリマーの濃度は、室温下における混合溶媒の体積とシランポリマーの体積を基準として算出した値である。
本実施形態のシランポリマー溶液は、温和な環境下(好ましくは室温、大気圧下)において、混合溶媒にシランポリマーを混合し、撹拌することで、容易に所定濃度に調製できる。
シランポリマー溶液は、シリコン膜の成膜性を阻害しない限りにおいて、他の成分を含んでもよい。斯かる他の成分としては、例えば、ドーパント、表面張力調節剤等が挙げられる。ドーパントしては、n型、p型のシリコン膜を形成するにあたって従来使用される公知のドーパントを使用してよい。表面張力調節剤としては、フッ素系、シリコーン系等の従来公知の表面張力調節剤を使用してよい。
(シランポリマー溶液の塗布)
シランポリマー溶液を基板Wに塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スプレー法、インクジェット法等が挙げられる。中でも、基板Wにシリコン膜を成膜性よく形成し得る観点から、スピンコート法によりシランポリマー溶液を塗布することが好ましい。
(塗布装置の装置構成)
スピンコート法によりシリコン含有溶液を塗布する塗布装置の一例について、図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る塗布装置50の概略構成を示す図である。
塗布装置50は、チャンバ51と、ステージ52と、回転機構53と、ノズル54と、カップ56とを備える。
チャンバ51は、ステージ52、回転機構53、ノズル54およびカップ56を収容する。なお、チャンバ51の天井部には、図示しないFFU(Fan Filter Unit)が設けられる。FFUは、チャンバ51内にダウンフローを形成する。
ステージ52は、チャンバ51の略中央に設けられる。ステージ52は、たとえばポーラスチャックであり、基板Wを水平に吸着保持する。回転機構53は、ステージ52を鉛直軸まわりに回転させる。これにより、ステージ52に保持された基板Wが、水平方向に回転する。なお、基板Wは、凹部11が形成された面を上方に向けた状態でステージ52に保持される。
ノズル54は、バルブや流量調節部等を含む供給機器群541を介してシリコン含有溶液を供給する溶液供給源542に接続されている。ノズル54は、溶液供給源542から供給されるシリコン含有溶液を基板Wに吐出する。
カップ56は、ステージ52に保持された基板Wの周囲を取り囲むように配置され、ステージ52の回転によって基板Wの外方に飛散するシリコン含有溶液を受け止める。カップ56の底部には、排液口561が形成されており、カップ56によって受け止められたシリコン含有溶液は、かかる排液口561から塗布装置50の外部へ排出される。また、カップ56の底部には、図示しないFFUから供給されるダウンフローガスを塗布装置50の外部へ排出する排気口562が形成される。
シリコン含有溶液を塗布する際、塗布装置50のステージ52には、基板Wが載置される。塗布装置50は、回転機構53を駆動させてステージ52を鉛直軸まわりに回して基板Wを回転させる。そして、塗布装置50は、シリコン含有溶液を溶液供給源542から供給し、ノズル54からシリコン含有溶液を回転している基板Wに供給する。塗布装置50は、シリコン含有溶液の塗布中、基板Wの回転速度を段階的に変化させる。例えば、塗布装置50は、ステージ52を第1の回転速度で回転させながらシリコン含有溶液を基板Wに滴下する。第1の回転速度は、例えば、500〜1000rpmとする。回転時間は、例えば、1〜3秒間の範囲とする。そして、塗布装置50は、第1の回転速度よりも低い第2の回転速度でステージ52を回転させながら滴下したシリコン含有溶液を基板W上で拡散させる。第2の回転速度は、例えば、300〜800rpmとする。回転時間は、例えば、10〜20秒間の範囲とする。そして、塗布装置50は、第2の回転速度よりも速い第3の回転速度でステージ52を回転させながらシリコン含有溶液を振り切る。第3の回転速度は、例えば、2400〜5100rpmとする。回転時間は、例えば、20〜60秒間の範囲とする。これにより、基板Wに、均一性よくシリコン含有溶液の塗布膜14を形成できる。
なお、スピンコート法による塗布の条件は、上記に限定されず、シランポリマーの分子サイズや溶液濃度、所望するシリコン膜の厚さを考慮して、適宜決定してよい。
また、シランポリマー溶液の塗布量は、シランポリマーの分子サイズや溶液濃度、基板Wの寸法及び構造、所望するシリコン膜の厚さ等を考慮して、適宜決定してよい。また、後述のようにシランポリマー溶液の塗布を2回以上行う場合、各塗布量は同じでも異なってもよい。
また、基板Wへのシランポリマー溶液の塗布は、1回のみ行ってもよく、2回以上行ってもよい。例えば、低濃度のシランポリマー溶液を用いて薄いシリコン膜を基板Wの全面に形成することができる。したがって、低濃度のシランポリマー溶液を基板Wに2回以上塗布して所期の厚さのシリコン膜を形成することも可能である。
次に、実施形態に係るエアギャップ形成方法によりエアギャップを形成した実験の結果について説明する。実験では、凹部11の間隔を40〜300nmとした複数の基板Wを用意した。そして、実施形態に係るエアギャップ形成方法により、それぞれ基板Wにエアギャップを形成した。基板Wは、熱酸化(Th−Ox)処理したシリコン基板、または、熱酸化(Th−Ox)処理したシリコン基板上に1.5nmのアモルファスシリコンを成膜した基板とした。図4は、エアギャップを形成した実験結果を示す図である。図4には、凹部11の間隔が40〜300nmの各基板Wに対して、エアギャップを形成した際の変化が示されている。「As Depo」は、基板Wの凹部11内をポリ尿素膜13で埋め込んだ状態を示している。ポリ尿素膜13は、厚さ120nm分成膜した。「EB」は、基板Wに成膜したポリ尿素膜13の少なくとも一部を除去した状態を示している。例えば、基板Wを290℃に10分間加熱してポリ尿素膜13をエッチングバックした。この基板Wの熱分解性ポリマー上にシリコン含有溶液を塗布し、400℃で基板Wを焼成してエアギャップ16を形成した。「400℃」は、400℃で基板Wを焼成した状態を示している。なお、基板Wを焼成する工程は、基板Wを第1温度にした後、第1温度より高い第2温度で基板Wを焼成してもよい。例えば、基板Wを200℃にして一定時間保った後、基板Wを400℃で基板Wを焼成してもよい。
図4に示すように、エアギャップ16は、凹部11の間隔を40〜300nmの何れの場合においても、安定した形状で形成できている。このように、実施形態に係るエアギャップ形成方法によれば、凹部11の間隔に関わらず、エアギャップ16を効率よく形成できる。
[効果]
このように、実施形態に係るエアギャップ形成方法は、基板Wの凹部11内を熱分解性ポリマーで埋め込む工程(ステップS11)と、熱分解性ポリマー上にシリコン含有溶液を塗布する工程(ステップS13)と、基板Wを焼成して熱分解性ポリマーを分解しつつ、シリコン含有溶液を固化してエアギャップ16を形成する工程(ステップS14)と、を含む。これにより、エアギャップ形成方法は、エアギャップ16を効率よく形成できる。
また、実施形態に係るエアギャップ形成方法は、熱分解性ポリマーで埋め込む工程(ステップS11)の後に、熱分解性ポリマーの少なくとも一部を除去する工程(ステップS12)をさらに含む。シリコン含有溶液を塗布する工程(ステップS13)は、少なくとも一部を除去された熱分解性ポリマー上にシリコン含有溶液を塗布する。これにより、エアギャップ形成方法は、熱分解性ポリマーの除去量を制御することにより、形成されるエアギャップ16の高さを調整できる。
また、熱分解性ポリマーは、ポリ尿素である。ポリ尿素は、例えば、300℃程度の加熱と冷却をすることで断面形状を変えることができるため、凹部11内に容易に埋め込むことができる。
また、基板Wを焼成する焼成温度は、350〜600℃である。基板Wを350〜600℃で焼成することで、熱分解性ポリマーの分解と、シリコン含有溶液の塗布膜14の固化を同時に進行できる。
また、シリコン含有溶液は、分子中に6〜8員の単環式飽和炭素環を含み沸点が160℃未満である第1の溶媒と、分子中に飽和炭素環又は部分飽和炭素環を含み沸点が160℃以上である第2の溶媒とを含む混合溶媒に、シランポリマーを溶解させた溶液である。このようなシリコン含有溶液を用いることにより、分子サイズの大きなシランポリマーからシリコン膜を成膜性よく形成できる。
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
例えば、上記の実施形態では、基板Wをシリコン基板とする場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。基板Wは、例えば、シリコン基板;ガラス基板;ITOなどの透明電極;金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、チタン、アルミニウム、タングステン等の金属基板;プラスチック基板;及びこれらの複合材料からなる基板が挙げられる。
11 凹部
12 金属膜
13 ポリ尿素膜
14 塗布膜
15 アモルファスシリコン膜
16 エアギャップ
50 塗布装置
51 チャンバ
52 ステージ
53 回転機構
54 ノズル
56 カップ
W 基板

Claims (7)

  1. 凹部を有する基板にエアギャップを形成するエアギャップ形成方法であって、
    前記基板の前記凹部内を熱分解性ポリマーで埋め込む工程と、
    前記熱分解性ポリマー上にシリコン含有溶液を塗布する工程と、
    前記基板を焼成して前記熱分解性ポリマーを分解しつつ、前記シリコン含有溶液を固化してエアギャップを形成する工程と、
    を含む、エアギャップ形成方法。
  2. 前記熱分解性ポリマーで埋め込む工程の後に、前記熱分解性ポリマーの少なくとも一部を除去する工程をさらに含み、
    前記シリコン含有溶液を塗布する工程は、少なくとも一部を除去された前記熱分解性ポリマー上に前記シリコン含有溶液を塗布する
    請求項1に記載のエアギャップ形成方法。
  3. 前記熱分解性ポリマーは、ポリ尿素である
    請求項1又は2に記載のエアギャップ形成方法。
  4. 前記基板を焼成する焼成温度は、350〜600℃である
    請求項1〜3の何れか1つに記載のエアギャップ形成方法。
  5. 前記エアギャップを形成する工程は、前記基板を第1温度にした後、前記第1温度より高い第2温度で前記基板を焼成する
    請求項1〜4の何れか1つに記載のエアギャップ形成方法。
  6. 前記熱分解性ポリマーの少なくとも一部を除去する工程での前記熱分解性ポリマーの除去量を制御することにより、形成されるエアギャップの高さを調整する
    請求項2に記載のエアギャップ形成方法。
  7. 前記シリコン含有溶液は、分子中に6〜8員の単環式飽和炭素環を含み沸点が160℃未満である第1の溶媒と、分子中に飽和炭素環又は部分飽和炭素環を含み沸点が160℃以上である第2の溶媒とを含む混合溶媒に、シランポリマーを溶解させた溶液である
    請求項1〜6の何れか1つに記載のエアギャップ形成方法。
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