JP2021109914A - ポリフェニレンエーテルを含む硬化性組成物、ドライフィルム、プリプレグ、硬化物、積層板、および電子部品 - Google Patents

ポリフェニレンエーテルを含む硬化性組成物、ドライフィルム、プリプレグ、硬化物、積層板、および電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】低誘電特性を維持しつつ、種々の溶媒(毒性の高い有機溶媒以外の有機溶媒、例えばシクロヘキサノン)に可溶であり、硬化して得られた膜が優れた耐熱性や引張特性を有する硬化性組成物を提供する。【解決手段】少なくとも条件1を満たすフェノール類を含む原料フェノール類から得られ、コンフォメーションプロットで算出された傾きが0.6未満であるポリフェニレンエーテル、および架橋ポリスチレン系粒子を含硬化性組成物。(条件1)オルト位およびパラ位に水素原子を有する【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテルを含む硬化性組成物に関し、さらに当該硬化性組成物を用いたドライフィルム、プリプレグ、硬化物、積層板、および電子部品に関する。
第5世代通信システム(5G)に代表される大容量高速通信や自動車のADAS(先進運転システム)向けミリ波レーダー等などの普及により、通信機器の信号の高周波化が進んできた。
しかし、配線板材料としてエポキシ樹脂などを使用した場合、比誘電率(Dk)や誘電正接(Df)が十分に低くないために、周波数が高くなるほど誘電損失に由来する伝送損失の増大が起こり、信号の減衰や発熱などの問題が生じていた。そのため、低誘電特性にすぐれたポリフェニレンエーテルが使用されてきた。
また、非特許文献1には、ポリフェニレンエーテルの分子内にアリル基を導入させて、熱硬化性樹脂とすることで、耐熱性を向上させたポリフェニレンエーテルが提案されている。
J. Nunoshige, H. Akahoshi, Y. Shibasaki, M. Ueda, J. Polym. Sci. Part A: Polym. Chem. 2008, 46, 5278-3223.
しかしながら、ポリフェニレンエーテルは可溶な溶媒が限られており、非特許文献1の手法で得られたポリフェニレンエーテルも、クロロホルムやトルエン等の非常に毒性が高い溶媒にしか溶解しない。そのため、かかるポリフェニレンエーテルを含む樹脂ワニス(硬化性組成物)は、その取り扱いや、配線板用途のような塗膜化して硬化させる工程における溶媒暴露の管理が難しいという問題があった。
また、ポリフェニレンエーテルは熱可塑性樹脂であるために耐熱性の問題があり、配線板材料としては適さない場合があった。
さらに、電子部品用の絶縁膜用途においては、例えば、硬化膜としての取扱い性が低下したり、冷熱サイクル後にクラックが発生したりする等の問題を防止するために、硬化膜が引張特性に優れることが求められている。
そこで本発明の目的は、優れた低誘電特性を維持しつつ、種々の溶媒(毒性の高い有機溶媒以外の有機溶媒、例えばシクロヘキサノン)に可溶であり、硬化して得られた膜が優れた耐熱性や引張特性を有する硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、スチレン構造を含み、3次元の架橋構造を有する架橋ポリスチレン系粒子に着目し、上記目的の実現に向け鋭意検討した結果、分岐構造を有するポリフェニレンエーテル、および前記架橋ポリスチレン系粒子、を含む硬化性組成物を採用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明(1)は、
少なくとも条件1を満たすフェノール類を含む原料フェノール類から得られ、コンフォメーションプロットで算出された傾きが0.6未満であるポリフェニレンエーテル、および
架橋ポリスチレン系粒子を含む硬化性組成物である。
本発明(2)は、
前記ポリフェニレンエーテルが、さらに、不飽和炭素結合を含む官能基を有することを特徴とする、本発明(1)の硬化性組成物である。
本発明(3)は、
前記発明(1)又は(2)の硬化性組成物を基材に塗布または含侵して得られることを特徴とするドライフィルムまたはプリプレグである。
本発明(4)は、
前記発明(1)又は(2)の硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物である。
本発明(5)は、
前記発明(4)の硬化物を含むことを特徴とする積層板である。
本発明(6)は、
前記発明(4)の硬化物を有することを特徴とする電子部品である。
本発明によれば、優れた低誘電特性を維持しつつ、種々の溶媒(毒性の高い有機溶媒以外の有機溶媒、例えばシクロヘキサノン)に可溶であり、硬化して得られた膜が優れた耐熱性や引張強度を有する硬化性組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明のポリフェニレンエーテルを含む硬化性組成物について説明するが、本発明は以下には何ら限定されない。
説明した化合物に異性体が存在する場合、特に断らない限り、存在し得る全ての異性体が本発明において使用可能である。
本発明において、ポリフェニレンエーテル(PPE)の原料として用いられ、ポリフェニレンエーテルの構成単位になり得るフェノール類を総称して、「原料フェノール類」とする。
本発明において、原料フェノール類の説明を行う際に「オルト位」や「パラ位」等と表現した場合、特に断りがない限り、フェノール性水酸基の位置を基準(イプソ位)とする。
本発明において、単に「オルト位」等と表現した場合、「オルト位の少なくとも一方」等を示す。従って、特に矛盾が生じない限り、単に「オルト位」とした場合、オルト位のどちらか一方を示すと解釈してもよいし、オルト位の両方を示すと解釈してもよい。
本発明において、ポリフェニレンエーテルが有する一部または全ての官能基(例えば、水酸基)が変性されたポリフェニレンエーテルを、単に「ポリフェニレンエーテル」と表現する場合がある。従って、「ポリフェニレンエーテル」と表現された場合、特に矛盾が生じない限り、未変性のポリフェニレンエーテルおよび変性されたポリフェニレンエーテルの両方を含む。
本明細書において、原料フェノール類としては主に1価のフェノール類を開示しているが、本発明の効果を阻害しない範囲で、原料フェノール類として多価のフェノール類を使用してもよい。
本明細書において、「樹脂組成物」を「硬化性組成物」の意味で使用することがある。
本明細書において、数値範囲の上限値と下限値とが別々に記載されている場合、矛盾しない範囲で、各下限値と各上限値との全ての組み合わせが実質的に記載されているものとする。
<<<<硬化性組成物>>>>
本発明の硬化性組成物は、分岐構造を有するポリフェニレンエーテル、および架橋ポリスチレン系粒子、を含む。
また、本発明の硬化性組成物は、必要に応じて過酸化物、架橋型硬化剤等を含んでいてもよい。
さらに、本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分を含んでいてもよい。
以下、それぞれの成分について説明する。
<<<ポリフェニレンエーテル>>>
本発明の硬化性組成物を構成するポリフェニレンエーテルは、少なくとも条件1を満たすフェノール類を含む原料フェノール類から得られ、分岐構造を有するポリフェニレンエーテルである。このようなポリフェニレンエーテルを、所定ポリフェニレンエーテルとする。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
条件1を満たすフェノール類{例えば、後述するフェノール類(A)およびフェノール類(B)}は、オルト位に水素原子を有するため、フェノール類と酸化重合される際に、イプソ位、パラ位のみならず、オルト位においてもエーテル結合が形成され得るため、分岐鎖状の構造を形成することが可能となる。
このように、分岐構造を有するポリフェニレンエーテルを、分岐ポリフェニレンエーテルと表現する場合がある。
このように、所定ポリフェニレンエーテルは、その構造の一部が、少なくともイプソ位、オルト位、パラ位の3か所がエーテル結合されたベンゼン環により分岐することとなる。この所定ポリフェニレンエーテルは、例えば、骨格中に少なくとも式(i)で示されるような分岐構造を有するポリフェニレンエーテル化合物であると考えられる。
Figure 2021109914
式(i)中、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜15(好ましくは、炭素数1〜12)の炭化水素基である。
ここで、所定ポリフェニレンエーテルを構成する原料フェノール類は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、条件1を満たさないその他のフェノール類を含んでいてもよい。
このようなその他のフェノール類としては、例えば、後述するフェノール類(C)およびフェノール類(D)、パラ位に水素原子を有しないフェノール類が挙げられる。特に後述するフェノール類(C)およびフェノール類(D)は、酸化重合される際には、イプソ位およびパラ位においてエーテル結合が形成され、直鎖状に重合されていく。そのため、ポリフェニレンエーテルの高分子量化のためには、原料フェノール類として、フェノール類(C)およびフェノール類(D)をさらに含むことが好ましい。
また、所定ポリフェニレンエーテルは、不飽和炭素結合を含む官能基を有していてもよい。かかる官能基を有することにより、架橋性を付与する効果と優れた反応性により、硬化物の諸特性がより良好となる。
なお、本発明において「不飽和炭素結合」は、特に断らない限り、エチレン性またはアセチレン性の炭素間多重結合(二重結合または三重結合)を示す。
このような不飽和炭素結合を含む官能基としては、特に限定されないが、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)、アルキニル基(例えば、エチニル基)、または、(メタ)アクリルロイル基であることが好ましく、硬化性に優れる観点からビニル基、アリル基、(メタ)アクリルロイル基であることがより好ましく、低誘電特性に優れる観点からアリル基であることがさらに好ましい。これらの不飽和炭素結合を有する官能基は、炭素数を、例えば15以下、10以下、8以下、5以下、3以下等とすることができる。
このような不飽和炭素結合を含む官能基を所定ポリフェニレンエーテルに導入する方法としては、特に限定されないが、次の[方法1]または[方法2]が挙げられる。
[方法1]
方法1は、
原料フェノール類として、
少なくとも下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)を含ませる(形態1)、または、少なくとも下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)の混合物を含ませる(形態2)方法である。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件2)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
方法1によれば、原料フェノール類由来の不飽和炭素結合を含む官能基を有する所定ポリフェニレンエーテルを得ることができる。
[方法2]
方法2は、
分岐ポリフェニレンエーテルの末端水酸基を、不飽和炭素結合を含む官能基に変性させ、末端変性ポリフェニレンエーテルとする方法である。
方法2によれば、原料フェノール類が不飽和炭素結合を含む官能基を有しない場合でも、不飽和炭素結合を含む官能基が導入された所定ポリフェニレンエーテルを得ることができる。
[方法1]と[方法2]とは、同時に実施されてもよい。
<<方法1によって得られる所定ポリフェニレンエーテル>>
方法1によって得られる所定ポリフェニレンエーテルは、条件2を満たすフェノール類{例えば、フェノール類(A)およびフェノール類(C)のいずれか}を少なくともフェノール原料として用いているので、少なくとも不飽和炭素結合を含む炭化水素基による架橋性を有することとなる。所定ポリフェニレンエーテルがこのような不飽和炭素結合を含む炭化水素基を有する場合、該炭化水素基と反応し、かつエポキシ基等の反応性官能基を有する化合物を用いてエポキシ化等の変性を実施することも可能である。
すなわち、方法1によって得られる所定ポリフェニレンエーテルは、例えば、骨格中に少なくとも式(i)で示されるような分岐構造を有するポリフェニレンエーテルであり、かつ少なくとも一つの不飽和炭素結合を含む炭化水素基を官能基として有する化合物と考えられる。具体的には、上記式(i)中のR〜Rの少なくとも一つが、不飽和炭素結合を有する炭化水素基である化合物と考えられる。
特に、上記形態2において、工業的・経済的な観点から、フェノール類(B)が、o−クレゾール、2−フェニルフェノール、2−ドデシルフェノールおよびフェノールの少なくともいずれか1種であり、フェノール類(C)が、2−アリル−6−メチルフェノールであることが好ましい。
以下、フェノール類(A)〜(D)に関してより詳細に説明する。
フェノール類(A)は、上述のように、条件1および条件2のいずれも満たすフェノール類、即ち、オルト位およびパラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有するフェノール類であり、好ましくは下記式(1)で示されるフェノール類(a)である。
Figure 2021109914
式(1)中、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜15の炭化水素基である。ただし、R〜Rの少なくとも一つが、不飽和炭素結合を有する炭化水素基である。なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(1)で示されるフェノール類(a)としては、o−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール、o−アリルフェノール、m−アリルフェノール、3−ビニル−6−メチルフェノール、3−ビニル−6−エチルフェノール、3−ビニル−5−メチルフェノール、3−ビニル−5−エチルフェノール、3−アリル−6−メチルフェノール、3−アリル−6−エチルフェノール、3−アリル−5−メチルフェノール、3−アリル−5−エチルフェノール等が例示できる。式(1)で示されるフェノール類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
フェノール類(B)は、上述のように、条件1を満たし、条件2を満たさないフェノール類、即ち、オルト位およびパラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有しないフェノール類であり、好ましくは下記式(2)で示されるフェノール類(b)である。
Figure 2021109914
式(2)中、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜15の炭化水素基である。ただし、R〜Rは、不飽和炭素結合を有しない。なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(2)で示されるフェノール類(b)としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−tert−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、2−ドデシルフェノール、等が例示できる。式(2)で示されるフェノール類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
フェノール類(C)は、上述のように、条件1を満たさず、条件2を満たすフェノール類、即ち、パラ位に水素原子を有し、オルト位に水素原子を有せず、不飽和炭素結合を含む官能基を有するフェノール類であり、好ましくは下記式(3)で示されるフェノール類(c)である。
Figure 2021109914
式(3)中、RおよびR10は、炭素数1〜15の炭化水素基であり、RおよびRは、水素原子、または炭素数1〜15の炭化水素基である。ただし、R〜R10の少なくとも一つが、不飽和炭素結合を有する炭化水素基である。なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(3)で示されるフェノール類(c)としては、2−アリル−6−メチルフェノール、2−アリル−6−エチルフェノール、2−アリル−6−フェニルフェノール、2−アリル−6−スチリルフェノール、2,6−ジビニルフェノール、2,6−ジアリルフェノール、2,6−ジイソプロペニルフェノール、2,6−ジブテニルフェノール、2,6−ジイソブテニルフェノール、2,6−ジイソペンテニルフェノール、2−メチル−6−スチリルフェノール、2−ビニル−6−メチルフェノール、2−ビニル−6−エチルフェノール等が例示できる。式(3)で示されるフェノール類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
フェノール類(D)は、上述のように、パラ位に水素原子を有し、オルト位に水素原子を有せず、不飽和炭素結合を含む官能基を有しないフェノール類であり、好ましくは下記式(4)で示されるフェノール類(d)である。
Figure 2021109914
式(4)中、R11およびR14は、不飽和炭素結合を有しない炭素数1〜15の炭化水素基であり、R12およびR13は、水素原子、または不飽和炭素結合を有しない炭素数1〜15の炭化水素基である。なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(4)で示されるフェノール類(d)としては、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジトリルフェノール等が例示できる。式(4)で示されるフェノール類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
ここで、本発明において、炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基、アルケニル基である。不飽和炭素結合を有する炭化水素基としては、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。なお、これらの炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
<<方法2によって得られる所定ポリフェニレンエーテル>>
方法2によって得られる所定ポリフェニレンエーテルは、末端変性分岐ポリフェニレンエーテルである。
このような末端変性分岐ポリフェニレンエーテルは、分岐構造を有し、かつ末端水酸基が変性されているため、種々の溶媒に可溶でありつつも、低誘電特性を更に低減した硬化物が得られる。また、末端変性分岐ポリフェニレンエーテルは、不飽和炭素結合を末端の位置に配した結果、反応性が極めて良好となり、得られる硬化物の緒性能はより良好となる。
変性用化合物により末端水酸基を変性する場合、通常、末端水酸基と変性用化合物とでエーテル結合またはエステル結合を形成する。
ここで、変性用化合物としては、不飽和炭素結合を有する官能基を含み、触媒の存在下または非存在下で、フェノール性の水酸基と反応可能な限りにおいて特に限定されない。
変性用化合物の好適例としては、下記式(11)で示される有機化合物が挙げられる。
Figure 2021109914
式(11)中、R、R、Rは、各々独立して、水素または、炭素数1〜9の炭化水素基であり、Rは、炭素数1〜9の炭化水素基であり、Xは、F、Cl、Br、IまたはCN等のフェノール性水酸基と反応可能な基である。
また、別の観点では、変性用化合物の好適例としては、下記式(11−1)で示される有機化合物が挙げられる。
Figure 2021109914
式(11−1)中、Rは、ビニル基、アリル基、又は、(メタ)アクリルロイル基であり、Xは、F、Cl、Br、I等のフェノール性水酸基と反応可能な基である。
分岐ポリフェニレンエーテルの末端水酸基が変性されたことは、分岐ポリフェニレンエーテルと末端変性分岐ポリフェニレンエーテルとの水酸基価を比較することで確認することができる。なお、末端変性分岐ポリフェニレンエーテルは、一部が未変性の水酸基のままであってもよい。
変性に際しての反応温度、反応時間、触媒の有無および触媒の種類等については、適宜設計可能である。変性用化合物として2種類以上の化合物を使用してもよい。
以上説明したような所定ポリフェニレンエーテルは、硬化性組成物の成分として用いる場合、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
なお、所定ポリフェニレンエーテル合成時に用いられる原料フェノール類の合計に対する条件1を満たすフェノール類の割合は、1〜50mol%であることが好ましい。
また、上記条件2を満たすフェノール類を使用しなくてもよいが、使用する場合には、原料フェノール類の合計に対する条件2を満たすフェノール類の割合は、0.5〜99mol%であることが好ましく、1〜99mol%であることがより好ましい。
<<所定ポリフェニレンエーテルの含有量>>
本発明の硬化性組成物中、前述した所定ポリフェニレンエーテルの含有量は、典型的には、組成物の固形分全量基準で、5〜30質量%または10〜20質量%である。また、別の観点では、硬化性組成物中の所定ポリフェニレンエーテルの含有量は、組成物の固形分全量基準で、20〜60質量%である。
なお、硬化性組成物中の固形分とは、溶媒(特に有機溶媒)以外の組成物を構成する成分、またはその質量や体積を意味する。
<<所定ポリフェニレンエーテルの物性および性質>>
<分岐度>
所定ポリフェニレンエーテルの分岐構造(分岐の度合い)は、以下の分析手順に基づいて確認することができる。
(分析手順)
ポリフェニレンエーテルのクロロホルム溶液を、0.1、0.15、0.2、0.25mg/mLの間隔で調製後、0.5mL/minで送液しながら屈折率差と濃度のグラフを作成し、傾きから屈折率増分dn/dcを計算する。次に、下記装置運転条件にて、絶対分子量を測定する。RI検出器のクロマトグラムとMALS検出器のクロマトグラムを参考に、分子量と回転半径の対数グラフ(コンフォメーションプロット)から、最小二乗法による回帰直線を求め、その傾きを算出する。
(測定条件)
装置名 :HLC8320GPC
移動相 :クロロホルム
カラム :TOSOH TSKguardcolumnHHR−H
+TSKgelGMHHR−H(2本)
+TSKgelG2500HHR
流速 :0.6mL/min.
検出器 :DAWN HELEOS(MALS検出器)
+Optilab rEX(RI検出器、波長254nm)
試料濃度 :0.5mg/mL
試料溶媒 :移動相と同じ。試料5mgを移動相10mLで溶解
注入量 :200μL
フィルター :0.45μm
STD試薬 :標準ポリスチレン Mw 37,900
STD濃度 :1.5mg/mL
STD溶媒 :移動相と同じ。試料15mgを移動相10mLで溶解
分析時間 :100min
絶対分子量が同じ樹脂において、高分子鎖の分岐が進行しているものほど重心から各セグメントまでの距離(回転半径)は小さくなる。そのため、GPC−MALSにより得られる絶対分子量と回転半径の対数プロットの傾きは、分岐の程度を示し、傾きが小さいほど分岐が進行していることを意味する。本発明においては、上記コンフォメーションプロットで算出された傾きが小さいほどポリフェニレンエーテルの分岐が多いことを示し、この傾きが大きいほどポリフェニレンエーテルの分岐が少ないことを示す。
本発明の硬化性組成物を構成する所定ポリフェニレンエーテルにおいて、上記傾きは、0.6未満であり、0.55以下、0.50以下、0.45以下、0.40以下、又は、0.35以下であることが好ましい。上記傾きがこの範囲である場合、ポリフェニレンエーテルが十分な分岐を有していると考えられる。なお、上記傾きの下限としては特に限定されないが、例えば、0.05以上、0.10以上、0.15以上、又は、0.20以上である。
なお、コンフォメーションプロットの傾きは、ポリフェニレンエーテルの合成の際の、温度、触媒量、攪拌速度、反応時間、酸素供給量、溶媒量を変更することで調整可能である。より具体的には、温度を高める、触媒量を増やす、攪拌速度を速める、反応時間を長くする、酸素供給量を増やす、及び/又は、溶媒量を少なくすることで、コンフォメーションプロットの傾きが低くなる(ポリフェニレンエーテルがより分岐し易くなる)傾向となる。
<所定ポリフェニレンエーテルの分子量>
本発明の硬化性組成物を構成する所定ポリフェニレンエーテルは、数平均分子量が2,000〜30,000であることが好ましく、5,000〜30,000であることがより好ましく、8,000〜30,000であることが更に好ましく、8,000〜25,000であることが特に好ましい。分子量をこのような範囲とすることで、溶媒への溶解性を維持しつつ、硬化性樹脂組成物の製膜性を向上させることができる。さらに、本発明の硬化性組成物を構成する所定ポリフェニレンエーテルは、多分散指数(PDI:重量平均分子量/数平均分子量)が、1.5〜20であることが好ましい。
本発明において、数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定を行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算したものである。
<所定ポリフェニレンエーテルの水酸基価>
本発明の硬化性組成物を構成する所定ポリフェニレンエーテルの水酸基価は、数平均分子量(Mn)が2,000〜30,000の範囲において、15.0以下であることが好ましく、より好ましくは2以上10以下、さらに好ましくは3以上8以下である。
なお、所定ポリフェニレンエーテルが方法2によって得られた所定ポリフェニレンエーテルである場合等、水酸基価が上記した数値より低いものとなる場合がある。
<所定ポリフェニレンエーテルの溶媒溶解性>
本発明の硬化性組成物を構成する所定ポリフェニレンエーテル1gは、25℃で、好ましくは100gのシクロヘキサノンに対して(より好ましくは、100gの、シクロヘキサノン、DMFおよびPMAに対して)可溶である。なお、ポリフェニレンエーテル1gが100gの溶媒(例えば、シクロヘキサノン)に対して可溶とは、ポリフェニレンエーテル1gと溶媒100gとを混合したときに、濁りおよび沈殿が目視で確認できないことを示す。この所定ポリフェニレンエーテルは、25℃で、100gのシクロヘキサノンに対して、1g以上可溶であることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物を構成する所定ポリフェニレンエーテルは、分岐構造を有することで種々の溶媒への溶解性、組成物中の成分(架橋ポリスチレン系粒子やその他の成分)同士の分散性や相溶性が向上する。このため組成物の各成分が均一に溶解または分散し、均一な硬化物を得ることが可能となる。この結果、この硬化物は機械的特性等が極めて優れている。特に、所定ポリフェニレンエーテルは、相互に架橋することができる。この結果、得られる硬化物の機械的特性や低熱膨張性等はより良好となる。
<<所定ポリフェニレンエーテルの製造方法>>
本発明の硬化性組成物を構成する所定ポリフェニレンエーテルは、原料フェノール類として特定のものを使用すること以外は、従来公知のポリフェニレンエーテルの合成方法(重合条件、触媒の有無および触媒の種類等)を適用して製造することが可能である。
次に、この所定ポリフェニレンエーテルの製造方法の一例について説明する。
所定ポリフェニレンエーテルは、例えば、特定のフェノール類、触媒および溶媒を含む重合溶液を調製すること(重合溶液調製工程)、少なくとも前記溶媒に酸素を通気させること(酸素供給工程)、酸素を含む前記重合溶液内で、フェノール類を酸化重合させること(重合工程)で製造可能である。
以下、重合溶液調製工程、酸素供給工程および重合工程について説明する。なお、各工程を連続的に実施してもよいし、ある工程の一部または全部と、別の工程の一部または全部と、を同時に実施してもよいし、ある工程を中断し、その間に別の工程を実施してもよい。例えば、重合溶液調製工程中や重合工程中に酸素供給工程を実施してもよい。また、本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、必要に応じてその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、重合工程により得られるポリフェニレンエーテルを抽出する工程(例えば、再沈殿、ろ過および乾燥を行う工程)、上述した変性工程等が挙げられる。
<重合溶液調製工程>
重合溶液調製工程は、後述する重合工程において重合されるフェノール類を含む各原料を混合し、重合溶液を調製する工程である。重合溶液の原料としては、原料フェノール類、触媒、溶媒が挙げられる。
(触媒)
触媒は特に限定されず、ポリフェニレンエーテルの酸化重合において使用される適宜の触媒とすればよい。
触媒としては、例えば、アミン化合物や、銅、マンガン、コバルト等の重金属化合物とテトラメチルエチレンジアミンなどのアミン化合物とからなる金属アミン化合物が挙げられ、特に、十分な分子量の共重合体を得るためには、アミン化合物に銅化合物を配位させた銅−アミン化合物を用いることが好ましい。触媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
触媒の含有量は特に限定されないが、重合溶液中、原料フェノール類の合計に対し0.1〜0.6mol%等とすればよい。
このような触媒は、予め適宜の溶媒に溶解させてもよい。
(溶媒)
溶媒は特に限定されず、ポリフェニレンエーテルの酸化重合において使用される適宜の溶媒とすればよい。溶媒は、フェノール性化合物および触媒を溶解または分散可能なものを用いることが好ましい。
溶媒としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(CA)等が挙げられる。溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
なお、溶媒として、水や水と相溶可能な溶媒等を含んでいてもよい。
重合溶液中の溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調整すればよい。
(その他の原料)
重合溶液は、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の原料を含んでいてもよい。
<酸素供給工程>
酸素供給工程は、重合溶液中に酸素含有ガスを通気させる工程である。
酸素ガスの通気時間や使用する酸素含有ガス中の酸素濃度は、気圧や気温等に応じて適宜変更可能である。
<重合工程>
重合工程は、重合溶液中に酸素が供給された状況下、重合溶液中のフェノール類を酸化重合させる工程である。
具体的な重合の条件としては特に限定されないが、例えば、25〜100℃、2〜24時間の条件で攪拌すればよい。
以上説明したような工程を経る所定ポリフェニレンエーテルの製造に際しては、上述した方法1や方法2を参照することで、分岐ポリフェニレンエーテルに不飽和炭素結合を含む官能基を導入する具体的な方法を理解できる。即ち、原料フェノール類の種類を特定のものとするか、または、重合工程後に末端水酸基を変性する工程(変性工程)を更に設けること等で、不飽和炭素結合を含む官能基を有する所定ポリフェニレンエーテルを得ることができる。
<<<架橋ポリスチレン系粒子>>>
本発明の硬化性組成物を構成する架橋ポリスチレン系粒子は、スチレン構造を含むモノマーを3次元に架橋してなるポリスチレン系の粒子である。この架橋ポリスチレン系粒子は、一般的なポリスチレンと異なり、組成物中で溶解せず、粒子として分散される。そして、所定ポリフェニレンエーテルと、該架橋ポリスチレン系粒子とを併用した硬化性組成物によれば、低誘電特性を示し、さらに耐熱性や引張特性等にも優れる硬化膜が得られる。
本発明の硬化性組成物を構成する架橋ポリスチレン系粒子は、例えば、スチレン構造を有するモノマー(スチレン系モノマー)と多官能モノマーとを重合することによって架橋ポリスチレン系粒子を合成し、乾燥及び分級することで製造できる。
重合方法としては、特に限定されず、公知の方法で実施することができる。重合方法は、例えば、塊状重合、乳化重合、ソープフリー乳化重合、シード重合、懸濁重合などの方法が挙げられる。より具体的には、重合方法として懸濁重合を採用する場合、以下の方法によって実施することができる。
スチレン系モノマーと多官能性モノマー(架橋性モノマー)とを含む原料モノマーを水性媒体中にて重合開始剤の存在下で懸濁重合させて架橋ポリスチレン系粒子を含有する懸濁液を得る。懸濁重合は、水性媒体(水相)中に、原料モノマーと重合開始剤とを含む混合物(油相)の液滴を分散させて原料モノマーを重合させることによって行われる。
スチレン系モノマーとしては、特に限定されず、スチレンの他、メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、ブチルスチレン、プロピルスチレン、メトキシスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン誘導体を使用できる。スチレン系モノマーは、1種のみが使用されてもよいし、2種以上が使用されてもよい。
多官能性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどのアクリル系多官能性モノマー、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン又はこれらの誘導体などの芳香族ジビニル化合物などが挙げられる。多官能性モノマーは、1種のみが使用されてもよいし、2種以上が使用されてもよい。
原料モノマーは、スチレン系モノマー等と共重合可能なその他のモノマーを含んでいてもよい。
重合の際の添加成分や重合条件等については、特開2018−90833に記載されたものとすることができる。
本発明の硬化性組成物を構成する架橋ポリスチレン系粒子の平均粒径は、100μm以下、10μm以下、5μm以下、1μm以下等とすることができる。架橋ポリスチレン系粒子の平均粒径が小さいほど、硬化物の引張特性が優れると考えられる。平均粒径は、例えば、0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上等としてもよい。ここで平均粒径は、市販のレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて、レーザー回折・散乱法による粒度分布の測定値から、累積分布によるメディアン径(d50、体積基準)として求めることができる。
本発明の硬化性組成物を構成する架橋ポリスチレン系粒子の含有量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、5質量部以上、10質量部以上、または、20質量部以上としてもよく、300質量部以下、200質量部以下、150質量部以下、または、100質量部以下としてもよい。
本発明の硬化性組成物を構成する架橋ポリスチレン系粒子の形状は特に限定されないが、球状であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物を構成する架橋ポリスチレン系粒子は、公知の方法に基づき製造されたものとすることができる。架橋ポリスチレン系粒子は、例えば、特開2004−043557、特開2004−043557、特開2004−292624、特開2010−254991、特開2012−201825、WO2013/030977等に開示された方法に基づき製造されたものとすることができる。
また、本発明の硬化性組成物を構成する架橋ポリスチレン系粒子は、市販品を使用してもよい。市販品としては、積水化成社製のSBXシリーズ等が挙げられる。
<<<フィラー成分>>>
本発明の硬化性組成物は、架橋ポリスチレン系粒子以外に公知のフィラー成分を含むことで、さらに組成物の製膜性、硬化物の熱寸法安定性、熱伝導性、難燃性の付与、誘電率および誘電正接といった特性を調整することができる。
フィラー成分は、例えば、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;タルク、マイカなどの粘土鉱物;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどのフェロブスカイト型結晶構造を有するフィラー;窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を使用できる。
有機フィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレンの共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂フィラー;シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)等の炭化水素系樹脂フィラー等を使用できる。
<<シリカ>>
上述した無機フィラーの中でも、シリカは組成物の製膜性を向上させ、硬化物に難燃性を付与することができ、さらに、低誘電正接化や低熱膨張化を高いレベルで実現することができる。
シリカの平均粒径は、好ましくは0.02〜10μm、より好ましくは0.02〜3μmである。ここで平均粒径は、市販のレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて、レーザー回折・散乱法による粒度分布の測定値から、累積分布によるメディアン径(d50、体積基準)として求めることができる。
異なる平均粒径のシリカを併用することも可能である。シリカの高充填化を図る観点から、例えば平均粒径1μm以上のシリカとともに、平均粒径1μm未満のナノオーダーの微小のシリカを併用してもよい。
シリカはカップリング剤により表面処理が施されていてもよい。表面をシランカップリング剤で処理することで、ポリフェニレンエーテルとの分散性を向上させることができる。また有機溶媒との親和性も向上させることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤などを用いることができる。エポキシシランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどを用いることができる。メルカプトシランカップリング剤としては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどを用いることができる。ビニルシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシランなどを用いることができる。
シランカップリング剤の使用量は、例えば、シリカ100質量部に対して0.1〜5質量部、0.5〜3質量部としてもよい。
シリカ等のフィラー成分の含有量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して50〜400質量部または100〜400質量部としてもよい。あるいは、シリカ等のフィラー成分の含有量は、組成物の固形分全量基準で、10〜30質量%としてもよい。
また、別の観点では、シリカ等のフィラー成分の配合量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して100〜700質量部または200〜600質量部としてもよい。あるいは、シリカ等のフィラー成分の含有量は、組成物の固形分全量基準で、10〜90質量%としてもよい。
<<<過酸化物>>>
本発明の硬化性組成物は、所定ポリフェニレンエーテルが不飽和炭素結合を有する場合、過酸化物を含むことが好ましい。
過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ブテン、アセチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチレンパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、等があげられる。過酸化物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
過酸化物としては、これらの中でも、取り扱いの容易さと反応性の観点から、1分間半減期温度が130℃から180℃のものが望ましい。このような過酸化物は、反応開始温度が比較的に高いため、乾燥時など硬化が必要でない時点での硬化を促進し難く、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の保存性を貶めず、また、揮発性が低いため乾燥時や保存時に揮発せず、安定性が良好である。
過酸化物の添加量は、過酸化物の総量で、硬化性組成物の固形分100質量部に対し、0.01〜20質量部とするのが好ましく、0.05〜10質量部とするのがより好ましく、0.1〜10質量部とするのが特に好ましい。過酸化物の総量をこの範囲とすることで、低温での効果を十分なものとしつつ、塗膜化した際の膜質の劣化を防止することができる。
また、必要に応じてアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物やジクミル、2,3−ジフェニルブタン等のラジカル開始剤を含有してもよい。
<<<架橋型硬化剤>>>
本発明の硬化性組成物は、所定ポリフェニレンエーテルが不飽和炭素結合を有する場合、架橋型硬化剤を含むことが好ましい。
架橋型硬化剤としては、ポリフェニレンエーテルとの相溶性が良好なものが用いられるが、ジビニルベンゼンやジビニルナフタレンやジビニルビフェニルなどの多官能ビニル化合物;フェノールとビニルベンジルクロライドの反応から合成されるビニルベンジルエーテル系化合物;スチレンモノマー,フェノールとアリルクロライドの反応から合成されるアリルエーテル系化合物;さらにトリアルケニルイソシアヌレートなどが良好である。架橋型硬化剤としては、ポリフェニレンエーテルとの相溶性が特に良好なトリアルケニルイソシアヌレートが好ましく、なかでも具体的にはトリアリルイソシアヌレート(以下、TAIC(登録商標))やトリアリルシアヌレート(以下TAC)が好ましい。これらは、低誘電特性を示し、かつ耐熱性を高めることができる。特にTAIC(登録商標)は、ポリフェニレンエーテルとの相溶性に優れるので好ましい。
また、架橋型硬化剤としては、(メタ)アクリレート化合物(メタクリレート化合物およびアクリレート化合物)を用いてもよい。特に、3〜5官能の(メタ)アクリレート化合物を使用するのが好ましい。3〜5官能のメタクリレート化合物としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート等を用いることができ、一方、3〜5官能のアクリレート化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート等を用いることができる。これらの架橋型硬化剤剤を用いると耐熱性を高めることができる。架橋型硬化剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明の所定ポリフェニレンエーテルを含む硬化性組成物は不飽和炭素結合を有する炭化水素基を含む場合、特に架橋型硬化剤と硬化させることにより誘電特性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明の硬化性組成物中、所定ポリフェニレンエーテルと架橋型硬化剤(例えば、トリアルケニルイソシアヌレート)との配合比率は、固形分比(所定ポリフェニレンエーテル:架橋型硬化剤)として、20:80〜90:10とすることが好ましく、30:70〜90:10とすることがより好ましい。このような範囲とすることで、低誘電特性と耐熱性に優れる硬化物が得られる。
硬化性組成物中の溶媒の含有量は特に限定されず、硬化性組成物の用途に応じて適宜調整可能である。
<<溶媒>>
硬化性組成物は、通常、ポリフェニレンエーテルが溶媒(溶剤)に溶解した状態で提供または使用される。本発明のポリフェニレンエーテルは、従来のポリフェニレンエーテルに比べて溶媒に対する溶解性が高いため、硬化性組成物の用途に応じて、使用する溶媒の選択肢を幅広いものとすることができる。
本発明の硬化性組成物に使用可能な溶媒の一例としては、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン等の従来使用可能な溶媒の他、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(CA)、メチルエチルケトン、酢酸エチル、等の比較的安全性の高い溶媒等が挙げられる。なお、溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)であってもよい。溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
なお、硬化性組成物中の溶媒の含有量は特に限定されず、硬化性組成物の用途に応じて適宜調整可能である。
<<<その他の成分>>>
その他の成分としては、公知の成分、例えば、難燃性向上剤(リン系化合物等)、セルロースナノファイバー、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノ−ルノボラック樹脂、エラストマー、分散剤、熱硬化触媒、密着性付与剤等の成分を含んでもよい。これらは、1種のみが使用されてもよいし、2種以上が使用されてもよい。
<<<<ドライフィルム、プリプレグ>>>>
本発明のドライフィルムまたはプリプレグは、上述した硬化性組成物を基材に塗布又は含浸して得られるものである。
ここで基材とは、銅箔等の金属箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のフィルム、ガラスクロス、アラミド繊維等の繊維が挙げられる。
ドライフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に硬化性組成物を塗布乾燥させ、必要に応じてポリプロピレンフィルムを積層することにより得られる。
プリプレグは、例えば、ガラスクロスに硬化性組成物を含浸乾燥させることにより得られる。
<<<<硬化物>>>>
本発明の硬化物は、上述した硬化性組成物を硬化することで得られる。
硬化性組成物から硬化物を得るための方法は、特に限定されるものではなく、硬化性組成物の組成に応じて適宜変更可能である。一例として、基材上に硬化性組成物の塗工(例えば、アプリケーター等による塗工)を行う工程を実施した後、必要に応じて硬化性組成物を乾燥させる乾燥工程を実施し、加熱(例えば、イナートガスオーブン、ホットプレート、真空オーブン、真空プレス機等による加熱)によりポリフェニレンエーテルを熱架橋させる熱硬化工程を実施すればよい。なお、各工程における実施の条件(例えば、塗工厚、乾燥温度および時間、加熱温度および時間等)は、硬化性組成物の組成や用途等に応じて適宜変更すればよい。
<<<<積層板>>>>
本発明においては、上述のプリプレグを用いて積層板を作製することができる。
例えば、本発明のプリプレグを一枚または複数枚重ね、さらにその上下の両面または片面に銅箔等の金属箔を重ねて、その積層体を加熱加圧成形することにより、積層一体化された両面に金属箔または片面に金属箔を有する積層板を作製することができる。
<<<<電子部品>>>>
上述した硬化物は、優れた誘電特性や耐熱性を有するため、電子部品用等に使用可能である。
本発明のかかる硬化物を有する電子部品としては、特に限定されないが、好ましくは、第5世代通信システム(5G)に代表される大容量高速通信や自動車のADAS(先進運転システム)向けミリ波レーダー等が挙げられる。
次に、実施例および比較例により、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらには何ら限定されない。
<<<樹脂組成物の作製>>>
以下に各樹脂組成物(実施例1〜6、および比較例1〜2の組成物)の作製手順を説明する。
<<PPEの合成>>
<分岐型PPE>
3Lの二つ口ナスフラスコに、ジ−μ−ヒドロキソ−ビス[(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリド(Cu/TMEDA)2.6gと、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)3.18mL を加えて十分に溶解させ酸素を供給した。原料フェノール類である2,6−ジメチルフェノール100gと2−アリルフェノールと12.2gとをトルエン1.5Lに溶解させ原料溶液を調製した。この原料溶液をフラスコに滴下し、攪拌しながら40℃で6時間反応させた。反応終了後、メタノール20L:濃塩酸22mLの混合液で再沈殿させてろ過にて取り出し、80℃で24時間乾燥させ分岐型PPEを得た。
分岐型PPEの数平均分子量は15,000、重量平均分子量は55,000であった。
分岐型PPEの末端水酸基の水酸基価は5(水酸基量:0.33mmol/g)であった。
分岐型PPEのコンフォメーションプロットの傾きは0.33であった。
<非分岐PPE>
原料フェノール類として2−アリル−6−メチルフェノール4.5g、2,6−ジメチ
ルフェノール33g、溶媒としてトルエン0.23Lを用いた以外は分岐型PPEと同様の手順で合成した。コンフォメーションプロットの傾きは0.61であった。
非分岐PPEの数平均分子量は19,000、重量平均分子量は38,000であった。
非分岐PPEの末端水酸基の水酸基価は1(水酸基量:0.07mmol/g)であった。
非分岐PPEのコンフォメーションプロットの傾きは0.61であった。
<PPEの溶媒溶解性>
各PPEの溶媒溶解性を確認した。この溶媒溶解性の評価は、前述した通りである。
分岐型PPEは、シクロヘキサノンに可溶であった。
非分岐PPEは、シクロヘキサノンに可溶ではなく、クロロホルムには可溶であった。
<<樹脂組成物の調製>>
以下のようにして、各実施例及び各比較例に係る樹脂組成物を得た。
<実施例1>
分岐PPE11.93質量部と、架橋型硬化剤としてTAIC(三菱ケミカル株式会社製)13.25質量部、密着性付与剤として、タフテックH1051(旭化成社製)6.2質量部、シクロヘキサノン100質量部を加え、攪拌した。得られたPPEを含む溶液に、架橋ポリスチレン系粒子(積水化成社製:商品名「SBX」、粒径:0.8μm、形状:真球状、比重:1.06)1.33質量部と、フィラー成分として球状シリカ(アドマテックス株式会社製:商品名「SC2500−SVJ」)58.4質量部、を添加してこれを混合した後、三本ロールミルで分散させた。
最後に、過酸化物であるα,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン(日本油脂株式会社製:商品名「パーブチルP」)を0.53質量部配合し、マグネチックスターラーにて攪拌した。
以上のようにして、実施例1の樹脂組成物を得た。
<実施例2−9、比較例1−2>
表1に示すように、使用するPPE、フィラー成分および各成分の含有量を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2−9及び比較例1−2に係る樹脂組成物を得た。
各樹脂組成物の有機溶媒については、シクロヘキサノンに可溶な分岐PPEを使用する場合にはシクロヘキサノンを使用し、シクロヘキサノンに可溶ではない非分岐PPEを使用する場合にはクロロホルムを使用した。
<<評価>>
各実施例及び各比較例に係る樹脂組成物について、以下の評価を行った。
<硬化膜の作製>
厚さ18μm銅箔のシャイン面に、得られた各樹脂組成物を、硬化物の厚みが50μmになるようにアプリケーターで塗布する。
次に、熱風式循環式乾燥炉で90℃30分乾燥させる。
その後、イナートオーブンを用いて窒素を完全に充満させて200℃まで昇温後、60分硬化させる。
その後、銅箔をエッチングし硬化物(硬化膜)を得る。
<環境対応>
溶媒としてシクロヘキサノンが用いられた樹脂組成物を「〇」、溶媒としてクロロホルムが用いられた樹脂組成物を「×」とした。上述の通り、非分岐PPEはシクロヘキサノンに溶解しないが、分岐型PPEはシクロヘキサノンに可溶である。
<誘電特性>
誘電特性である比誘電率Dkおよび誘電正接Dfは、以下の方法に従って測定した。
作製した硬化膜を長さ80mm、幅45mm、厚み50μmに切断したものを試験片として、SPDR(Split Post Dielectric Resonator)共振器法により測定した。測定器には、キーサイトテクノロジー合同会社製のベクトル型ネットワークアナライザE5071C、SPDR共振器、計算プログラムはQWED社製のものを用いた。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。
(評価基準)
Dfが0.0015未満のものを「◎」、Dfが0.0015以上0.002未満のものを「○」、Dfが0.002以上のものを「×」とした。
<耐熱性>
耐熱性の指標としてTMA測定によるガラス転移温度(Tg)を測定した。ガラス転移温度(Tg)は、以下の方法に従って測定されたものである。
測定装置として日立ハイテクサイエンス社製の「TMA/SS120」を用い、試験片:長さ1cm、幅0.3cm、厚み50μm、昇温速度:5℃/分、測定温度範囲:30〜250℃の条件で測定を行った。
(評価基準)
Tgが205℃以上のものを◎、Tgが190℃以上205℃未満のものを○、Tgが190℃未満のものを×とした。
<架橋密度>
架橋密度(n)は、硬化膜を長さ1cm、幅0.3cm、厚み50μmに切り出し、以下の測定装置、測定条件により動的粘弾性試験を行い、E’(貯蔵弾性率)、E”(損失弾性率)を得、以下の式を用いて求めた。
測定装置:日立ハイテクサイエンス社製
形式:DMA7100
測定条件:測定温度:20〜300℃
昇温速度:5℃/分
周波数:1、10Hz
変形モード:引っ張り・正弦波モード

計算式:n(mol/cc)=E’min/(3ΦRT×1000)
式中、nは架橋密度、E’minは貯蔵弾性率E’の最小値、Φはフロント係数(Φ≒1)、Rは気体定数8.31(J/mol・K)、TはE’minの絶対温度を表わす。
(評価基準)
架橋密度が20mol/cc以上のものを「◎」、10mol/cc以上20mol/cc未満のものを「○」、10mol/cc未満のものを「×」と評価した。
<破断伸びおよび引張強度>
硬化膜を長さ8cm、幅0.5cm、厚み50μmに切り出し、引張破断伸びおよび引張強度を下記条件にて測定した。
[測定条件]
試験機:引張試験機EZ−SX(株式会社島津製作所製)
チャック間距離:50mm
試験速度:1mm/min
伸び計算:(引張移動量/チャック間距離)×100
引張破断伸びが1%以上のものを「◎」、0.5以上1%未満のものを「○」、0.5%未満のものを「×」と評価した。
引張強度が45MPa以上のものを「◎」、30MPa以上45MPa未満のものを「○」、30MPa未満のものを「×」と評価した。
Figure 2021109914

Claims (6)

  1. 少なくとも条件1を満たすフェノール類を含む原料フェノール類から得られ、コンフォメーションプロットで算出された傾きが0.6未満であるポリフェニレンエーテル、および
    架橋ポリスチレン系粒子を含むことを特徴とする、硬化性組成物。
    (条件1)
    オルト位およびパラ位に水素原子を有する
  2. 前記ポリフェニレンエーテルが、さらに、不飽和炭素結合を含む官能基を有することを特徴とする、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の硬化性組成物を基材に塗布または含侵して得られることを特徴とするドライフィルムまたはプリプレグ。
  4. 請求項1又は2に記載の硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  5. 請求項4に記載の硬化物を含むことを特徴とする積層板。
  6. 請求項4に記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。

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