JP2021109806A5 - - Google Patents

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例えば、特許文献1では、エピタキシャル膜に発生するSF(スタッキングフルト)の原因は、基板結晶の結晶成長の過程において形成されたリンと酸素とが結合してできたクラスターであり、それらがエピタキシャル膜との界面において、SF(スタッキングフォルト)の発生の起点になると推定している。そして、結晶の冷却中の熱履歴との関係を調べることにより、SFの密度は結晶が570℃±70℃(500℃から640℃)の温度範囲を通過する滞在時間と相関を持ち、その滞在時間が200分以上の場合にエピタキシャルウェーハにおけるSF(スタッキングフォルト)が多くなるとしている。但し、特許文献1では、リンと酸素とが結合して生じたクラスターの存在は確認されていない。また、特許文献1にてリンと酸素とが結合して生じたクラスターをSFの原因に想定した理由は、570℃±70℃の温度範囲においてリン原子は拡散できないので、拡散の可能性がある酸素原子がリン原子の周りに集まることを推測したからである。
また、特許文献1では、リンドープにて抵抗率が0.7mΩcm以上0.9mΩcm以下の基板を用いたエピタキシャル膜において、SF(スタッキングフォルト)を0.1個/cm以下にするためには、基板結晶の結晶成長過程における500℃から640℃の温度範囲の間の滞在時間を200分以下にすることが必要であるとしている。しかしながら、リンドープにて、0.7mΩcm以上0.9mΩcm以下の場合は管理すべき結晶成長中の温度範囲が500℃から640℃であることは示されているが、抵抗率が上記範囲外の場合の管理すべき温度範囲は不明である。管理すべき温度範囲は、SiP析出物が発生して成長する温度区間に対応すると考えられるため、抵抗率(リン濃度)に依存して変化すると考えられるので、特許文献1の方法を適用するには、抵抗率毎に管理すべき温度範囲を実験により求める必要があり、多大の実験回数を要する。
そして、前記欠陥推定ステップでは、事前の実験で定められた検出すべきリンとシリコンの析出物のサイズの閾値を用いて、前記エピタキシャル成長後のシリコンウェーハにおける欠陥の密度を推定することが好ましい。エタキシャル成長の前段階において行われるプリベイクの条件によっては、アニールアウトされるSF(スタッキングフォルト)の大きさも変わるからである。
また、本発明に係るエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法では、上記欠陥の発生予測を行い、予測される欠陥の密度が規定の水準を満たさない場合、引き上げ速度の調整を行うことによって予測される欠陥の密度が規定の水準を満たす条件でリンをドープしたシリコン単結晶を製造し、前記シリコン単結晶を基板に用いてエピタキシャル膜を成長させて製造することが好ましい。実際の製造前に欠陥の密度の予測を行うことで歩留まりが向上する。さらにエタキシャル成長の前段階において行われるプリベイクの条件を調整することも考えられる。
図1は、CZ法による単結晶引き上げ装置の一例の概略図である。 図2は、結晶および結晶の直胴各位置における抵抗率を示すグラフである。 図3は、結晶の直胴の各位置における冷却カーブを示すグラフである。 図4は、結晶の直胴の各位置における冷却カーブを示すグラフである。 図5は、結晶および結晶における直胴の各位置での結晶を基板として用いた場合のエピタキシャル成長後のSF(スタッキングフォルト)の密度を示すグラフである。 図6は、結晶について計算したSiPの密度を示すグラフである。 図7は、結晶について計算したSiPの密度を示すグラフである。 図8は、結晶におけるエピタキシャル膜のSF(スタッキングフォルト)の密度と直胴位置との関係の実験結果と計算結果を比較したグラフである。 図9は、結晶におけるエピタキシャル膜のSF(スタッキングフォルト)の密度と直胴位置との関係の実験結果と計算結果を比較したグラフである。 図10は、欠陥の発生予測方法の手順を概略的に示すフローチャートである。
(1)リンドープにて0.9mΩcm以下の結晶においては、結晶の冷却過程の570℃±70℃(500℃から640℃)の温度区間の間でSiPが発生し成長する。
(2)エタキシャル成長の前段階において行われるプリベイクの加熱中において、SiPは溶解し、SFが結晶に残る。
(3)結晶成長における冷却過程において570℃±70℃(500℃から640℃)の温度区間の間の滞在時間が短い場合には、SiPのサイズが小さいので、発生するSFのサイズも小さく、プリベイクの過程において表層付近のSF(スタッキングフォルト)はアニールアウトされ、エピタキシャル成長を開始した時には表層にSFは残らない。
(4)一方、結晶成長における冷却過程において570℃±70℃(500℃から640℃)の温度区間の間の滞在時間が長い場合には、SiPのサイズが大きくなるので、発生するSF(スタッキングフォルト)のサイズも大きく、プリベイクの過程において表層付近のSF(スタッキングフォルト)はアニールアウトされない。そして、エピタキシャル成長を開始した時に表層に残ったSFは、エピタキシャル膜の中にSFとして伝搬する。
このような過程で低抵抗率基板におけるエキタシャル膜のSFが形成されると考えると、エタキシャル膜にSFとして伝搬する核となるSiP析出物の密度を予測することが重要である。そして、予測されるSiPのサイズ分布と、エピタキシャル膜のスタッキングフォルト密度との関係を求め、その関係から、エピタキシャル膜のスタッキングフォルトを推定する。
ここで、PVはリンと空孔との反応物、Ps+はプラスに荷電した置換位置のリン、eは電子、Pi-はマイナスに荷電した格子間のリンである。また、空孔との反応を示す式(1)においては、空孔とリンとの化合物は電気的にニュートラルであることを仮定している。そして、式(2)においては、格子間リンPは負にチャージしていると仮定したので、電荷の変化を考慮している。この仮定は、非特許文献2を参照した。
ri=2σΩ/f ・・・(29)
ΔG*=16πσΩ/(3f) ・・・(30)
初期サイズをR riとして、時間ステップ毎の半径の変化dRを式(36)により求
めて、半径をR=R+dRとして求めた。SiPによるリンの吸収フラックスを式(37
)に示す。
<実験>
評価に用いた結晶は、結晶および結晶の2本の結晶であり、直径は200mmである。図2は、結晶および結晶の直胴各位置における抵抗率を示すグラフである。図2に示されるように、結晶は、抵抗率が0.9mΩcmから0.7mΩcmに変化し、結晶は、抵抗率が0.75mΩcmから0.55mΩcmに変化する。結晶および結晶を用いることにより、広範囲の抵抗率における欠陥の発生を評価する。
図3は、結晶の直胴の各位置における冷却カーブを示すグラフであり、図4は、結晶
の直胴の各位置における冷却カーブを示すグラフである。
図5は、結晶および結晶における直胴の各位置での結晶を基板として用いた場合のエピタキシャル成長後のSF(スタッキングフォルト)の密度を示すグラフである。この実験結果と、上記説明した計算方法により求めたSiPとを比較する。
図6及び図7は、それぞれ結晶および結晶について上記説明した方法で計算したSiPの密度を示すグラフである。図6は、結晶の製造条件での計算によるSiPの半径が、それぞれ>4,>6,>8,>10,>12,>14,>16nmであるものの密度と直胴における位置との関係を表示している。図7は、結晶の製造条件での同じ計算結果を示している。
すると、表面にその一部を露出し、エピタキシャル膜にSFが引き継がれる密度は、半径rの粒子の密度がD(r)(個/cm)とすると、表面に現れる数は2rD(r)になる。また、SiPの半径が臨界半径criより小さければ、SiPの溶解後に発生したSFは水素ークにより消滅すると考えられる。そこで、半径rが臨界半径criより、大きなものが表面に露出する面積当たりの数を計算した。半径R以上の粒子が表面に現れる密度SF(R)(個/cm)は、以下の式(39)のように示される。
図8及び図9は、それぞれ結晶および結晶におけるエピタキシャル膜のSF(スタッキングフォルト)の密度と直胴位置との関係の実験結果と、閾値を8,10,12,14,16nmとした計算によるSF(スタッキングフォルト)密度と直胴位置との関係とを比較したものである。図8及び図9から、閾値を12nmとした計算によるSF(スタッキングフォルト)密度が実験結果と一致することが分かる。
そして、冷却完了時におけるリンとシリコンの析出物(SiP)のサイズおよび密度から、エピタキシャル成長後のシリコンウェーハにおける欠陥の密度を推定する(Step S5)。なお、この推定には、リンとシリコンの析出物(SiP)のサイズおよび密度と、エピタキシャル成長後のシリコンウェーハにおける欠陥の密度との関係について事前に実験を行い、検出すべきリンとシリコンの析出物(SiP)のサイズの閾値を定めておくことが好ましい。エタキシャル成長の前段階において行われるプリベイクの条件によっては、アニールアウトされるSF(スタッキングフォルト)の大きさも変わるからである。
予測される欠陥の密度が規定の水準を満たさない場合、エタキシャル成長の前段階に
おいて行われるプリベイクの条件を調整することも考えられる。

Claims (6)

  1. リンをドープしたシリコン単結晶を基板に用いてエピタキシャル膜を成長させて製造するエピタキシャルシリコンウェーハにおける欠陥の発生予測方法であって、
    前記シリコン単結晶を製造する引き上げ装置を含めた温度特性と引き上げ速度から前記シリコン単結晶の冷却カーブを計算する熱履歴計算ステップと、
    前記シリコン単結晶にドープしたリンの濃度から、前記冷却カーブの各温度過程における少なくとも格子間リンの濃度を計算する濃度計算ステップと、
    前記シリコン単結晶の冷却中の格子間リンの過飽和度から、冷却完了時におけるリンとシリコンの析出物のサイズおよび密度を計算する析出物計算ステップと、
    前記リンとシリコンの析出物のサイズおよび密度から、エピタキシャル成長後のシリコンウェーハにおける欠陥の密度を推定する欠陥推定ステップと、
    を含むエピタキシャルシリコンウェーハにおける欠陥の発生予測方法。
  2. 前記濃度計算ステップでは、前記格子間リンの濃度のみではなく、空孔、格子間シリコン、リンと空孔との反応物の濃度も併せて計算する、請求項1に記載のエピタキシャルシリコンウェーハにおける欠陥の発生予測方法。
  3. 前記欠陥推定ステップでは、事前の実験で定められた検出すべきリンとシリコンの析出物のサイズの閾値を用いて、前記エピタキシャル成長後のシリコンウェーハにおける欠陥の密度を推定する、請求項1または請求項2に記載のエピタキシャルシリコンウェーハにおける欠陥の発生予測方法。
  4. 前記リンとシリコンの析出物のサイズの閾値を12nmとする、請求項3に記載のエピタキシャルシリコンウェーハにおける欠陥の発生予測方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の欠陥の発生予測を行い、予測される欠陥の密度が規定の水準を満たさない場合、引き上げ速度の調整を行うことによって予測される欠陥の密度が規定の水準を満たす条件でリンをドープしたシリコン単結晶を製造し、前記シリコン単結晶を基板に用いてエピタキシャル膜を成長させて製造するエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
  6. さらにエタキシャル成長の前段階において行われるプリベイクの条件を調整する請求項5に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
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