JP2021107346A - 1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】1223ydを高選択率で得る、新規の製造方法の提供。【解決手段】1,3,3−トリクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを、非プロトン性溶媒中で脱フッ素脱塩素反応させて、1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンを得る、1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法に関する。
1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(CF2Cl−CF=CHCl。HCFO−1223yd。以下、1223ydとも記す。)は、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンや1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンに代わる、地球温暖化係数(GWP)の小さい化合物であり、例えば、洗浄剤、冷媒、熱媒体、発泡剤、溶剤等の各種用途に適用可能である。
なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。また、略称として、ハイフン(−)より後ろの数字およびアルファベット小文字部分だけ(例えば、「HCFO−1223yd」においては「1223yd」)を用いる場合がある。
なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。また、略称として、ハイフン(−)より後ろの数字およびアルファベット小文字部分だけ(例えば、「HCFO−1223yd」においては「1223yd」)を用いる場合がある。
1223ydは、例えば、特許文献1に記載されるように、1,3,3−トリクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(CF2ClCF2CHCl2。HCFC−224ca。以下、224caとも記す。)を脱フッ化水素反応させて1,3−トリクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(CF2ClCF=CCl2。CFO−1213ya。以下、1213yaとも記す。)を得、1213yaを水素と反応させて得られる。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、1223yd以外に、副生成物として、3−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンが生じ、1223ydの選択率は8.5%と低かった。
本発明は、上記課題に鑑みて、1223ydを高選択率で得る、新規な1223ydの製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できるのを見出した。
(1)1,3,3−トリクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを、非プロトン性溶媒中で脱フッ素脱塩素反応させて、1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンを得る、1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
(2)前記脱フッ素脱塩素反応をアルカリ土類金属および遷移金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の存在下で実施する、(1)に記載の製造方法。
(3)前記金属がマグネシウム、亜鉛、銅、およびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)前記非プロトン性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジグライム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびプロピオンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方法。
(5)さらに、活性化剤の存在下で前記脱フッ素脱塩素反応を実施する、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法。
(6)前記活性化剤が、塩化亜鉛、ジブロモエタン、および塩化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、(5)に記載の製造方法。
(1)1,3,3−トリクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを、非プロトン性溶媒中で脱フッ素脱塩素反応させて、1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンを得る、1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
(2)前記脱フッ素脱塩素反応をアルカリ土類金属および遷移金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の存在下で実施する、(1)に記載の製造方法。
(3)前記金属がマグネシウム、亜鉛、銅、およびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)前記非プロトン性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジグライム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびプロピオンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方法。
(5)さらに、活性化剤の存在下で前記脱フッ素脱塩素反応を実施する、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法。
(6)前記活性化剤が、塩化亜鉛、ジブロモエタン、および塩化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、(5)に記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、高選択率で1223ydを得ることができる。
本発明における用語の意味は以下の通りである。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
1223ydは二重結合上の置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体が存在する。本明細書中では特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合には、Z体およびE体からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、より具体的には、Z体もしくはE体、または、Z体とE体の任意の割合の混合物を示す。
選択率は、反応で消費された原料のモル量に対する、生成物中の各成分の生成量(モル量)の割合(単位:%)を表す。
転化率は、反応に使用した原料(224ca)のモル量に対する、反応で消費された原料のモル量の割合(単位:%)を表す。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
1223ydは二重結合上の置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体が存在する。本明細書中では特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合には、Z体およびE体からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、より具体的には、Z体もしくはE体、または、Z体とE体の任意の割合の混合物を示す。
選択率は、反応で消費された原料のモル量に対する、生成物中の各成分の生成量(モル量)の割合(単位:%)を表す。
転化率は、反応に使用した原料(224ca)のモル量に対する、反応で消費された原料のモル量の割合(単位:%)を表す。
本発明の1223ydの製造方法(以下、「本製造方法」ともいう。)では、224caを原料として1223ydを得る方法である。
本発明者らは、224caを脱フッ素脱塩素反応させれば、1223ydを直接得ることができると考えた。後述する比較例に示すように、メタノール中で、224caを脱フッ素脱塩素反応させることにより1223ydが得られた。但し、副生成物として、1,3−ジクロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン(CF2ClCF2CH2Cl。HCFC−234cc。以下、234ccとも記す。)が生成するため、1223ydの選択率はせいぜい80%程度であった。
メタノールのようなプロトン性溶媒中で、224caを脱フッ素脱塩素反応させた場合に、234ccが生成する理由については、以下のように考えられる。
224caの脱フッ素脱塩素反応では、224caの3位の炭素原子に結合している塩素原子が引き抜かれ、これに続き、224caの2位の炭素原子に結合しているフッ素原子が引き抜かれて1223ydが生成する。
しかしながら、プロトン性溶媒中で224caを脱フッ素脱塩素反応させた場合、224caの3位の炭素原子に結合している塩素原子が引き抜かれた後、3位の炭素原子に水素原子が結合して234ccが生成する副反応を伴う。
224caの脱フッ素脱塩素反応では、224caの3位の炭素原子に結合している塩素原子が引き抜かれ、これに続き、224caの2位の炭素原子に結合しているフッ素原子が引き抜かれて1223ydが生成する。
しかしながら、プロトン性溶媒中で224caを脱フッ素脱塩素反応させた場合、224caの3位の炭素原子に結合している塩素原子が引き抜かれた後、3位の炭素原子に水素原子が結合して234ccが生成する副反応を伴う。
これに対し、本発明者らは、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)やジグライムのような非プロトン性溶媒中で、224caを脱フッ素脱塩素反応させると、234ccの生成が抑制され、1223ydの選択率が90%近くまで向上することを見出した。
非プロトン性溶媒中では、プロトン源が存在しないため、224caを脱フッ素脱塩素反応させた際に、224caの3位の炭素原子に結合している塩素原子が引き抜かれた後、3位の炭素原子に水素原子が結合する副反応が起こりにくく、1223ydの選択率が向上すると考えられる。
非プロトン性溶媒中では、プロトン源が存在しないため、224caを脱フッ素脱塩素反応させた際に、224caの3位の炭素原子に結合している塩素原子が引き抜かれた後、3位の炭素原子に水素原子が結合する副反応が起こりにくく、1223ydの選択率が向上すると考えられる。
本製造方法では、224caを原料として用いる。224caの製造方法としては、例えば、特許第5413451号に記載の方法が挙げられる。
本製造方法における、224caの脱フッ素脱塩素反応は、非プロトン性溶媒中で実施するため液相反応である。224caを液相反応で脱フッ素脱塩素反応させるとは、液体状態の224caを脱フッ素脱塩素反応させることをいう。
非プロトン性溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド;スルホラン等のスルホン;ジメチルエーテル(DME)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジグライム、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル;アセトニトリル等のニトリル;酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオンカーボネート等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン等が挙げられる。
非プロトン性溶媒は1種または2種以上を用いることができる。
非プロトン性溶媒としては、反応性を高める観点から、アミド、スルホキシド、エーテル、ニトリル、エステル、ケトンが好ましく、入手性の観点から、DMF、DMSO、ジグライム、アセトニトリル、THF、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオンカーボネートがより好ましく、脱フッ素脱塩素反応後に溶媒回収が容易である点からは、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、THFがさらに好ましく、反応性をより高める観点からは、DMF、アセトニトリル、DMSOがさらに好ましい。
非プロトン性溶媒は1種または2種以上を用いることができる。
非プロトン性溶媒としては、反応性を高める観点から、アミド、スルホキシド、エーテル、ニトリル、エステル、ケトンが好ましく、入手性の観点から、DMF、DMSO、ジグライム、アセトニトリル、THF、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオンカーボネートがより好ましく、脱フッ素脱塩素反応後に溶媒回収が容易である点からは、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、THFがさらに好ましく、反応性をより高める観点からは、DMF、アセトニトリル、DMSOがさらに好ましい。
本製造方法において、非プロトン性溶媒1L中における224caの含有量は、0.01〜10molが好ましく、0.3〜5molがより好ましい。
本製造方法における脱フッ素脱塩素反応の好適態様の1つとしては、アルカリ土類金属および遷移金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属(以下、これらを総称して「金属」ともいう。)の存在下にて224caを脱フッ素脱塩素反応させる態様が挙げられる。
アルカリ土類金属の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等が挙げられる。
遷移金属の具体例としては、亜鉛、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのうち、反応性の点から、マグネシウム、亜鉛、銅、ニッケルが好ましく、マグネシウム、亜鉛がより好ましい。
なお、上記金属は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
遷移金属の具体例としては、亜鉛、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのうち、反応性の点から、マグネシウム、亜鉛、銅、ニッケルが好ましく、マグネシウム、亜鉛がより好ましい。
なお、上記金属は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記金属の使用量は、反応収率および1223ydの選択率の点から、224caの1当量に対して、0.01当量〜10当量が好ましく、0.1当量〜5当量がより好ましく、0.3当量〜3当量がさらに好ましい。
本製造方法における反応温度(特に、金属の存在下での反応温度)は、反応活性および1223ydの選択率の点から、0〜250℃が好ましく、30〜200℃がより好ましく、50〜170℃がさらに好ましい。
本製造方法における反応圧力は、反応活性および耐圧反応器の入手性の点から、0〜30MPaGが好ましく、0〜10MPaGがより好ましい。
本製造方法における反応時間(特に、金属の存在下での反応時間)は、バッチ式の場合には0.1〜100時間が好ましく、1〜30時間がより好ましい。連続式の場合には、0.01〜50時間が好ましく、0.1〜20時間がより好ましい。なお、連続式の場合の反応時間は、反応器内での原料の滞留時間を意味する。
上記金属の存在下、224caの脱フッ素脱塩素反応を実施する方法としては、例えば、非プロトン性溶媒中に粉末状態の上記金属を分散させる方法が挙げられる。
本製造方法における脱フッ素脱塩素反応のさらに好適態様の1つとしては、活性化剤の存在下にて、224caを脱フッ素脱塩素反応させる態様が挙げられる。この態様においては、活性化剤と共に上記金属を併用するのが好ましい。つまり、上記金属および活性化剤の存在下にて、224caを脱フッ素脱塩素反応させる態様が好ましい。また、上記金属と活性化剤とを事前に混合することにより活性化した金属を得ることもできる。活性化した金属を用いることで、上記金属および活性化剤を併用した際と同様の効果を得ることができる。
活性化剤は、224caの脱フッ素脱塩素反応を活性化させるものであればよく、例えば、脱フッ素脱塩素反応に用いる金属の塩化物(例えば、亜鉛使用時は塩化亜鉛、マグネシウム使用時は塩化マグネシウム)、1,2−ジブロモエタン、塩化水素が挙げられる。
なお、上記活性化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性化剤の使用量は、反応収率および1223ydの選択率、および経済性の点から、224caの1当量に対して、0.001当量〜10当量が好ましく、0.01当量〜2当量がより好ましく、0.01当量〜1.5当量がさらに好ましい。
なお、上記活性化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性化剤の使用量は、反応収率および1223ydの選択率、および経済性の点から、224caの1当量に対して、0.001当量〜10当量が好ましく、0.01当量〜2当量がより好ましく、0.01当量〜1.5当量がさらに好ましい。
本製造方法にて得られた生成物中には、目的物である1223yd以外に、不純物が含まれ得る。
不純物の具体例としては、未反応の224ca、234ccが挙げられる。
不純物の具体例としては、未反応の224ca、234ccが挙げられる。
生成物に不純物が含まれる場合、得られた生成物から、1223ydを分離する処理を実施してもよい。より具体的には、得られた生成物を蒸留して、1223ydを主成分とする留分を得る処理を実施してもよい。なお、ここで「1223ydを主成分」とは、留分中で1223ydの質量が最も多いことを意味し、留分全質量に対して1223ydの含有量が、90質量%以上が好ましく、95質量%がより好ましい。
上述したように、目的物である1223ydと原料である224caとの沸点の差が40〜50℃と大きいため、蒸留によって1223ydと224caとを容易に分離できる。
なお、未反応の224caは、再度原料として再利用できる。その際、生成物から1223ydを分離した後の粗液をそのまま使用してもよいし、粗液から未反応の224caを精製して用いてもよい。
上述したように、目的物である1223ydと原料である224caとの沸点の差が40〜50℃と大きいため、蒸留によって1223ydと224caとを容易に分離できる。
なお、未反応の224caは、再度原料として再利用できる。その際、生成物から1223ydを分離した後の粗液をそのまま使用してもよいし、粗液から未反応の224caを精製して用いてもよい。
蒸留操作では、充填塔または棚段塔などの蒸留装置できる。なお、複数の不純物から目的化合物である1223ydを効率よく精製、回収するために、例えば、多段蒸留が好ましい。多段蒸留を用いる場合は、その理論段数は20段以上が好ましい。
蒸留操作の際の温度(例えば、蒸留釜の温度)としては、エネルギーコストの点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。なお、蒸留操作の際の温度は、1223yd(Z)の沸点である58℃以上が好ましい。
蒸留操作の際の温度(例えば、蒸留釜の温度)としては、エネルギーコストの点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。なお、蒸留操作の際の温度は、1223yd(Z)の沸点である58℃以上が好ましい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、例1〜7が実施例、例8が比較例、例9が参考例である。
(ガスクロマトグラフの条件)
以下の各種化合物の製造において、得られた生成物の組成分析はガスクロマトグラフ(GC)を用いて行った。カラムはDB−1301(長さ60m×内径250μm×厚み1μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いた。
以下の各種化合物の製造において、得られた生成物の組成分析はガスクロマトグラフ(GC)を用いて行った。カラムはDB−1301(長さ60m×内径250μm×厚み1μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いた。
(製造例:224caの製造)
下記反応式にしたがって、次の手順で224caを製造した。
CHCl3 + トリフルオロエチレン(TFE) → 224ca
下記反応式にしたがって、次の手順で224caを製造した。
CHCl3 + トリフルオロエチレン(TFE) → 224ca
まず、500mLステンレス製オートクレーブに、無水塩化アルミニウム(25g、0.19mol)、CHCl3(500g、4.19mol)および224ca(100g、0.45mol)を入れて、反応液を撹拌しながら減圧脱気した後、TFEをオートクレーブ内が0.05MPaとなるまで供給し、オートクレーブ内を80℃に昇温した。その後、オートクレーブ内の圧力を0.8MPaで維持しながら、TFEをさらに供給した。オートクレーブに供給されたTFEは総量で0.17kg(1.65mol)であった。
さらに反応液を1時間撹拌した後、室温まで冷却して、反応液をガスクロマトグラフで分析したところ、CHCl3の転化率は33%であり、224caの選択率は84%であった。反応後の反応液を濾別し得られた粗液に、モレキュラーシーブ4Aを102g加え一晩撹拌して、脱水した。撹拌後の粗液を濾別し、得られた粗生成物を蒸留精製することにより224ca(230g、1.05mol)を製造した。
(例1)
10℃に冷却した還流管を上部に接続した30ccのガラス製フラスコに、DMF(関東化学製)を9.44g、亜鉛粉末(D50;6〜9μm、有機合成用:富士フィルム和光純薬株式会社製)1.57g、塩化亜鉛(純正化学製)を1.36g、224caを4.39g、および磁気回転子を仕込んだ。
10℃に冷却した還流管を上部に接続した30ccのガラス製フラスコに、DMF(関東化学製)を9.44g、亜鉛粉末(D50;6〜9μm、有機合成用:富士フィルム和光純薬株式会社製)1.57g、塩化亜鉛(純正化学製)を1.36g、224caを4.39g、および磁気回転子を仕込んだ。
次いでフラスコをオイルバスに設置し、反応温度である130℃まで昇温させた。昇温は約30分で行い、昇温中および反応中は、マグネチックスターラーによって磁気回転子を300rpmで回転させた。130℃で5.5時間保持後、オイルバスの温度を下げ、室温まで冷却した。室温まで下がった後に、反応液をGCにて分析を行った。GC分析により、反応液の組成を分析し、転化率および選択率を算出した。結果を反応条件と合わせて、表1に示す。
(例2)
DMFの代わりにジグライム(純正化学製)を9.37gに変更した以外は、例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
DMFの代わりにジグライム(純正化学製)を9.37gに変更した以外は、例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
(例3)
DMFの代わりにN−メチルピロリドン(NMP、純正化学製)10.30gに変更した以外は、例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
DMFの代わりにN−メチルピロリドン(NMP、純正化学製)10.30gに変更した以外は、例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
(例4)
塩化亜鉛を1,2−ジブロモエタン(純正化学製)0.11gに変更した以外は、例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
塩化亜鉛を1,2−ジブロモエタン(純正化学製)0.11gに変更した以外は、例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
(例5)
亜鉛粉末の代わりにマグネシウム(純正化学製、20−50メッシュ)を0.58gに変更した以外は、例4と同様に実施した。結果を表1に示す。
亜鉛粉末の代わりにマグネシウム(純正化学製、20−50メッシュ)を0.58gに変更した以外は、例4と同様に実施した。結果を表1に示す。
(例6)
0.2Lのオートクレーブ(以下A/Cと略す)にTHF(純正化学製)を44.46g、亜鉛粉末(D50;6〜9μm、有機合成用:富士フィルム和光純薬株式会社製)7.85g、塩化亜鉛(純正化学製)を6.81g、224caを21.94g仕込んで、密閉にした。次いでA/Cをオイルバスに設置し反応温度である130℃まで昇温させた。昇温は約30分で行い、昇温中および反応中は撹拌翼を300rpmで回転させた。なお、撹拌翼は2枚パドル翼を用いた。130℃で5.5時間保持後、オイルバスの温度を下げ、室温まで冷却した。なお、反応中はパージはせずに密閉状態で反応させた。室温まで下がった後に、反応液を差込管からハイプレッシャーシリンジにサンプリングし、GCにて分析を行った。結果を表1に示す。
0.2Lのオートクレーブ(以下A/Cと略す)にTHF(純正化学製)を44.46g、亜鉛粉末(D50;6〜9μm、有機合成用:富士フィルム和光純薬株式会社製)7.85g、塩化亜鉛(純正化学製)を6.81g、224caを21.94g仕込んで、密閉にした。次いでA/Cをオイルバスに設置し反応温度である130℃まで昇温させた。昇温は約30分で行い、昇温中および反応中は撹拌翼を300rpmで回転させた。なお、撹拌翼は2枚パドル翼を用いた。130℃で5.5時間保持後、オイルバスの温度を下げ、室温まで冷却した。なお、反応中はパージはせずに密閉状態で反応させた。室温まで下がった後に、反応液を差込管からハイプレッシャーシリンジにサンプリングし、GCにて分析を行った。結果を表1に示す。
(例7)
THFの代わりに酢酸エチル(純正化学製)45.1gに変更した以外は、例6と同様に実施した。結果を表1に示す。
THFの代わりに酢酸エチル(純正化学製)45.1gに変更した以外は、例6と同様に実施した。結果を表1に示す。
(例8)
THFの代わりにメタノール(純正化学製)39.6gに変更した以外は、例6と同様に実施した。結果を表1に示す。
THFの代わりにメタノール(純正化学製)39.6gに変更した以外は、例6と同様に実施した。結果を表1に示す。
プロトン性溶媒であるメタノールを使用した例8に比べて、非プロトン性溶媒であるDMF、ジグライム、NMP、THF、酢酸エチルを使用した例1〜7は、234ccの副生が少なく、1223ydの選択率が高かった。
(例9)
例1と同様の操作で得た反応粗液を用いて、蒸留精製を行った。反応液中の固体をろ過し、ろ液を合成ゼオライト(モレキュラーシーブ4A)で脱水した。脱水後の水分量は、10ppmであった。脱水した溶液を理論段数30段の蒸留塔の塔底部に供給し、常圧バッチ蒸留による蒸留を行い、蒸留塔の塔頂から1223ydを98%含む留出液を得た。
例1と同様の操作で得た反応粗液を用いて、蒸留精製を行った。反応液中の固体をろ過し、ろ液を合成ゼオライト(モレキュラーシーブ4A)で脱水した。脱水後の水分量は、10ppmであった。脱水した溶液を理論段数30段の蒸留塔の塔底部に供給し、常圧バッチ蒸留による蒸留を行い、蒸留塔の塔頂から1223ydを98%含む留出液を得た。
Claims (6)
- 1,3,3−トリクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを、非プロトン性溶媒中で脱フッ素脱塩素反応させて、1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンを得る、1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
- 前記脱フッ素脱塩素反応をアルカリ土類金属および遷移金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の存在下で実施する、請求項1に記載の製造方法。
- 前記金属がマグネシウム、亜鉛、銅、およびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記非プロトン性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジグライム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびプロピオンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- さらに、活性化剤の存在下で前記脱フッ素脱塩素反応を実施する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記活性化剤が、塩化亜鉛、ジブロモエタン、および塩化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項5に記載の製造方法。
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JP2019238797A JP2021107346A (ja) | 2019-12-27 | 2019-12-27 | 1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022255397A1 (ja) * | 2021-06-04 | 2022-12-08 | Agc株式会社 | 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法 |
-
2019
- 2019-12-27 JP JP2019238797A patent/JP2021107346A/ja active Pending
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