JP2021105522A - 電流測定方法 - Google Patents

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Masateru Taniguchi
正輝 谷口
敬人 大城
Takahito Oshiro
敬人 大城
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Masakazu Sanada
雅和 真田
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聡 宮城
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Abstract

【課題】電極対の間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定するために、電極対を、適切な電極間距離に配置する技術を提供することを目的とする。【解決手段】電極対に電圧を印加して、電極対の間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定するこの電流測定方法は、工程a)〜工程d)を有する。工程a)では、目標とする電極間距離に相当するトンネル電流の値を算出する。工程b)では、電極の間にトンネル電流が流れない電極間距離において、電極間に流れる基準電流の値を測定する。工程c)では、工程a)で算出したトンネル電流の値と、工程b)で測定した基準電流の値とを加算して、目標合計電流値を算出する。工程d)では、電極間に流れるベース電流の値が、工程c)で算出した目標合計電流値と一致する目標位置に電極を配置する。【選択図】図14

Description

本発明は、電極対の間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定する電流測定方法に関する。
従来、微細な先端部を有する電極を用いて、特定の分子や原子を測定または識別する方法が知られている。微細な電極を用いて特定の分子を識別する方法については、例えば、特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の単分子識別方法では、電極間距離の短い電極対を用いて、電極間を通過する生体高分子を構成する単分子を、トンネル電流を測定することにより識別する。
特開2015−64248号公報
特許文献1に記載のように、生体高分子の識別を目的として電極間のトンネル電流を測定するためには、電極間の距離を精度良く調整する必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、電極対の間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定するために、電極対を、適切な電極間距離に配置する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、電極対に電圧を印加して、電極対の間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定する電流測定方法であって、a)目標とする電極間距離に相当するトンネル電流の値を算出する工程と、b)前記電極の間にトンネル電流が流れない電極間距離において、前記電極間に流れる基準電流の値を測定する工程と、c)前記工程a)で算出した前記トンネル電流の値と、前記工程b)で測定した前記基準電流の値とを加算して、目標合計電流値を算出する工程と、d)前記電極間に流れるベース電流の値が、前記工程c)で算出した前記目標合計電流値と一致する目標位置に前記電極を配置する工程と、を有する。
本願の第2発明は、第1発明の電流測定方法であって、e)前記工程d)の後に、前記目標位置において、前記生体高分子のトンネル電流を計測する工程をさらに有する。
本願の第3発明は、第2発明の電流測定方法であって、前記工程e)の実行中に、前記ベース電流の値が前記目標合計電流値を基準とした所定の範囲内でない場合に、前記工程e)の実行を中断し、前記工程b)ないし先記工程d)を再び行う。
本願の第4発明は、電極対に電圧を印加して、電極対の間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定する電流測定方法であって、A)中間目標とする電極間距離に対応するトンネル電流の値を算出する工程と、B)前記電極の間にトンネル電流が流れない電極間距離において、前記電極間に流れる基準電流の値を測定する工程と、C)前記工程A)で算出した前記トンネル電流の値と、前記工程B)で測定した前記基準電流の値とを加算して、中間目標合計電流値を算出する工程と、D)前記電極間に流れるベース電流の値が、前記工程C)で算出した前記中間目標合計電流値と一致する中間目標位置に前記電極を配置する工程と、E)中間目標とする電極間距離から、最終目標とする電極間距離までの操作量を算出する工程と、F)前記工程D)の後で、前記中間目標位置から前記工程E)で算出した前記操作量操作を行った最終目標位置に前記電極を配置する工程と、を有し、前記中間目標とする電極間距離は、前記最終目標とする電極間距離よりも小さい。
本願の第5発明は、第4発明の電流測定方法であって、
G)前記工程F)の後に、前記最終目標位置において、前記生体高分子のトンネル電流を計測する工程をさらに有する、電流測定方法。
本願の第1発明から第5発明によれば、電極対を、適切な電極間距離に配置することができる。
特に、本願の第2発明および第5発明によれば、適切な電極間距離を保った状態で、電極対の間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定することができる。
特に、本願の第4発明によれば、最終目標位置におけるベース電流の値が小さい場合であっても、電極対を、適切な電極間距離に配置することができる。
一実施形態に係る電極基板の上面図である。 一実施形態に係る電極基板の部分上面図である。 一実施形態に係る電極基板の部分上面図である。 一実施形態に係る電極基板の部分上面図である。 一実施形態に係る電極基板の金属線の基端部間の距離の調整を行う際の様子を示した図である。 一実施形態に係る電極基板の計測電極部の基端部間の距離の調整を行う際の様子を示した図である。 一実施形態に係る電極基板の押し曲げ時の様子を示した部分断面図である。 一実施形態に係る電極基板の押し曲げ時の様子を示した部分断面図である。 ナノ電極の校正処理の流れを示したフローチャートである。 校正処理における印加電圧およびナノ電極間の電流値の経時変化を示した図である。 校正処理における印加電圧と電流値の計測データの一例を示した図である。 校正処理における印加電圧と電流値の計測データの近似関数を示した図である。 電流測定処理の流れを示したフローチャートである。 スモールギャップモードにおける電流測定処理の流れを示したフローチャートである。 ラージギャップモードにおける電流測定処理の流れを示したフローチャートである。 電流測定処理において電流計の計測する電流値の一例を示した図である。 ラージギャップモードにおける電流計測処理において、ナノ電極間の様子を示した概略図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、電極基板の厚み方向を上下方向とし、基板層に対して金属層側を上側、金属層に対して基板層側を下側として説明を行っている。しかしながら、電極基板の使用時の向きは必ずしも金属層側を鉛直上向きとしなくてもよい。
<1.電極基板および電流計測装置の構成>
本発明の一実施形態に係る電極基板1と、電流計測装置9とについて、図1〜図8を参照しつつ説明する。図1は、電極基板1の上面図である。図2〜図4は、電極基板1の部分上面図である。図5および図6は、電流計測装置9を用いた電極基板1の押し曲げの様子を示した概略図である。図7および図8は、電極基板1の部分断面図である。
この電極基板1および電流計測装置9は、生体高分子であるタンパク質を構成するアミノ酸、核酸(DNA,RNA)を構成するヌクレオチド、糖鎖を構成する単糖、その他の生体高分子を構成する単分子の配列や、各単分子を解析するために用いられる。具体的には、後述するナノ電極34間に電圧を印加した状態でナノ電極34間に生体高分子を通過させる。そして、ナノ電極34と生体高分子との間に流れるトンネル電流を検知し、解析することにより、生体高分子を構成する単分子の解析を行う。
図1に示すように、電極基板1は、略長方形の板状の基板である。図1〜図4、図7および図8に示すように、電極基板1は、基板層20と、金属層30とを有する。以下では、電極基板1の長手方向を第1方向と称し、電極基板1の短手方向を第2方向と称する。第2方向は、第1方向と直交する。なお、「直交する」とは、「略直交する」を含むものとする。
本実施形態の基板層20は、絶縁材料により形成される。本実施形態の基板層20は、シリコン(Si)により形成された基板層の上にポリイミドにより形成された基板層が重なった2層構造である。なお、本実施形態の基板層20は2層構造であるが、本発明はこれに限られない。基板層20は1種類の材料により形成される1層のみから構成されてもよいし、3つ以上の層から構成されてもよい。また、基板層20は、絶縁性の材料により形成されていれば、ポリエチレンテレフタラート樹脂、セラミック、シリコーンゴムまたはアルミナなどの、シリコンおよびポリイミド以外の材料により形成されてもよい。
金属層30は、図1〜図4に示すように、2つの接続用電極部31と、2つの接続用電極部31の間において第1方向に延びる配線部32と、配線部32の中央に配置された計測電極部33とを有する。
金属層30は、例えば、導体である金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、タングステン(W)等の金属により形成される。なお、金属層30は、複数の金属層を重ねて構成されてもよい。例えば、クロム(Cr)により形成された金属層の上に、上記の金、白金、銀、銅等の金属からなる金属層が重なる構造であってもよい。なお、その場合であっても、計測電極部33は、1層の金属層のみから構成されることが好ましい。金属層30の厚みは、例えば、50〜300nmである。
基板層20および金属層30の最上面は、絶縁膜(図示せず)により覆われている。金属層30の表面を絶縁膜で覆うことにより、計測電極部33を液中で用いる場合に、金属層30のうち計測電極部33以外の箇所において、金属層30を構成する金属と液体との間における電子のやりとりが生じるのを抑制できる。なお、本実施形態では、絶縁膜はTEOS酸化膜であるが、絶縁性の材料であれば、他の材料により形成されてもよい。なお、接続用電極部31の上面の少なくとも一部には、絶縁膜が形成されない。このため、接続用電極部31の上面の少なくとも一部は露出している。
2つの接続用電極部31は、第1方向に離れて配置されている。2つの配線部32はそれぞれ、各接続用電極部31から計測電極部33へ向かうにつれて次第にその幅が小さくなる。両側の配線部32の間には、配線部32よりも第2方向の幅が小さい計測電極部33が配置される。図4に示すように、計測電極部33は、1対のナノ電極34により構成される。一対のナノ電極34は、電極基板1に負荷(外力)がかかっていない状態では、図4に示すように、ナノ電極34の先端部同士が接触した状態となっている。
基板層20は、上面から下方へ凹む流路50を有する。流路50は、第1流路51、第2流路52および計測流路53を有する。第1流路51および第2流路52は、計測電極部33を挟んで第2方向に対向して配置される。計測流路53は、第2方向に延びる溝である。計測流路53は、第1流路51と第2流路52を第2方向に繋ぐ。
第1流路51および第2流路52は、格子状に繋がる複数の溝により構成される。このような形状により、第1流路51および第2流路52に生体高分子を含む液体が充填されると、各生体高分子が溝の延びる方向に沿って配置されやすくなる。したがって、第1流路51および第2流路52と計測流路53との境界部で生体高分子が詰まって液体の流動性が低下するのが抑制されるとともに、計測流路53内において各生体高分子が計測流路53の延びる方向に沿って配置される。第1流路51および第2流路52の各溝は、幅が約1μmであり、深さが約2μmである。
計測流路53は、第2方向に沿って延びる。計測流路53は、ナノ電極34の先端部と上下に重なる位置に配置される。これにより、計測流路53内を第2方向に移動する生体分子が、ナノ電極34の間を通過しやすい。
計測流路53の深さは、第1流路51および第2流路52と同様、約2μmである。計測流路53はナノ電極34付近においてその幅が狭くなっている。これにより、電流値計測時に、生体高分子が、計測流路53の延びる第2方向に沿う向きで、ナノ電極34間を通過しやすい。
次に、電流計測装置9について、図5および図6を参照しつつ説明する。図5および図6は、電流計測装置9において電流計測を行う際の様子を示した図である。図5は、電極基板1がセットされた電流計測装置9の初期状態における様子を示した側面図である。図6は、電極基板1の押し曲げ時における電流計測装置9の様子を示した側面図である。なお、図6では、電極基板1の変形を誇張して示している。
図6に概念的に示すように、電流計測装置9は、載置台91と、固定具92と、押し上げ具93と、昇降機構94と、電源95と、電流計96と、制御部90とを有する。
載置台91は、電極基板1を載置する平らな上面を有する。本実施形態の固定具92は、第1方向に対して略垂直に配置される4つの板状部材である。固定具92は、計測電極部33を挟んだ第1方向の2箇所において、電極基板1を上下から押えて固定する。
押し上げ具93は、半球状の上面を有する円柱状の部材である。押し上げ具93は、昇降機構94に接続されている。昇降機構94は、モータ941とピエゾアクチュエータ942とを有する。モータ941は、押し上げ具93をミリメートル単位で大きく上下に移動させる。ピエゾアクチュエータ942は、押し上げ具93をナノメートル単位で小さく上下に移動させる。昇降機構94は、モータ941とピエゾアクチュエータ942とを組み合わせることにより、大きな動きと細かな動きとの双方を実現している。なお、昇降機構94は、押し上げ高さを制御できる機構であれば、その他の動力を用いた機構であってもよい。
電源95は、一対の接続用電極部31間に電圧を印加する。電流計96は、計測電極部33のナノ電極34間に流れる電流の電流値を測定する。
制御部90は、昇降機構94、電源95および電流計96とそれぞれ電気的に接続し、各部を制御する。本実施形態の制御部90は、CPU等の演算処理部、RAM等のメモリ、およびハードディスクドライブ等の記憶部を備えたコンピュータにより構成されている。制御部の機能は、記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて、演算処理部が動作することにより実現される。
電極基板1を電流計測装置9にセットする際には、まず、載置台91上に電極基板1を載置する。その後、電極基板1の計測電極部33付近に負荷のかからない状態で電極基板1を上下から4つの固定具92で固定する。このとき、計測電極部33の真下に押し上げ具93が位置するように、電極基板1を配置する。
そして、電流計測時には、まず、電源95により、接続用電極部31間に所定の電圧を印加するとともに、電流計96による電流値の計測を開始する。そして、昇降機構94を駆動させて押し上げ具93を押し上げて、ナノ電極34の先端部同士の距離(電極間距離)を調整する。
図7は、初期位置における電極基板1の部分断面図である。図8は、押し上げ時における電極基板1の部分断面図である。図4および図7に示すように、電極基板1が押し曲げられていない状態では、ナノ電極34の先端部同士は接触している。図8に示すように、押し上げ具93を押し上げると、電極基板1の計測電極部33付近が下面側から押し上げられる。すると、計測流路53を構成する基板層20の側壁が、図8中に実線矢印で示すように、互いに離れる方向へと移動する。これにより、ナノ電極34同士が、図8中に破線矢印で示すように、互いに離れる方向へと移動する。その結果、電極間距離が拡がる。このように、押し上げ具93によって電極基板1を押し上げることにより、電極間距離の調整を行う。
<2.電極対の校正処理>
次に、電極対である1対のナノ電極34の校正処理について、図9を参照しつつ説明する。図9は、ナノ電極34の校正処理の流れを示したフローチャートである。
ナノ電極34の校正処理では、押し上げ具93による電極基板1の押し上げと引き戻しとを繰り返して、ナノ電極34の電極間距離dを変動させ、その間のナノ電極34間に流れるトンネル電流の値を取得する。
校正処理において、まず、電極基板1を電流計測装置9に載置し、初期位置にセットする(ステップS101)。次に、制御部90は、カウント数nをn=1に設定する(ステップS102)。
そして、制御部90は、基準電流Ibを計測する(ステップS103)。具体的には、押し上げ具93を押し上げて、ナノ電極34間にトンネル電流が流れない程度の十分に大きな電極間距離を保ちつつ、ナノ電極34間を流れる電流の電流値を計測する。これにより、リーク電流や電流計測装置9の装置構成や環境に起因する基準電流Ibを計測できる。基準電流Ibの計測後、制御部90は、押し上げ具93を初期位置に戻す。
押し上げ具93が初期位置に戻った後、制御部90は、押し上げ具93による電極基板1の押し上げ工程を行う(ステップS104)。すなわち、制御部90は、ナノ電極34の電極間距離dが大きくなる方向へ操作を行う。なお、このステップS104における押し上げ工程と、後述するステップS106における引き下げ工程とにおいて、押し上げ具93の押し上げおよび引き下げは、ピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpを増減させることによって行う。このため、押し上げおよび引き下げを行うための操作量は、ピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpの電圧値となる。印加電圧Vpの電圧値が大きくなると、押し上げ具93による押し上げ量が大きくなり、電極間距離dが大きくなる。一方、印加電圧Vpの電圧値が小さくなると、押し上げ具93による押し上げ量が小さくなり、電極間距離dが小さくなる。
ステップS104が開始されると、制御部90は、押し上げ具93による押し上げ中、電流計96の計測した電流値が所定の第1閾値以下となったか否かを判断する(ステップS105)。
押し上げ工程の開始直後は、ナノ電極34同士が接触している。このため、比較的大きな電流がナノ電極34間に流れる。このため、押し上げ開始直後においては、ステップS105において、制御部90は、電流計96の計測した電流値が第1閾値よりも大きいと判断する。この場合、ステップS104を引き続き行いながら、再びステップS105へ戻る。
その後、ナノ電極34の先端同士が離れると、ナノ電極34間には、僅かなトンネル電流が流れる。そして、ナノ電極34の電極間距離dが大きくなるにつれて、ナノ電極34間に流れるトンネル電流は小さくなる。トンネル電流が次第に小さくなり、ステップS105において電流計96の計測した電流値が第1閾値以下になったと判断すると、制御部90は、押し上げ具93による押し上げを停止し、ステップS106へと進む。
そして、制御部90は、押し上げ具93の引き下げ工程を行う(ステップS106)。すなわち、制御部90は、ナノ電極34の電極間距離dが小さくなる方向へ操作を行う。制御部90は、押し上げ具93の引き下げ中、電流計96の計測した電流値が所定の第2閾値以上となったか否かを判断する(ステップS107)。
ステップS106において押し上げ具93の引き下げが開始されると、ナノ電極34の電極間距離dは次第に小さくなる。すなわち、ナノ電極34間に流れるトンネル電流が次第に大きくなる。押し上げ具93の引き下げ開始直後においては、ステップS107において、制御部90は、電流計96の計測した電流値が第2閾値よりも小さいと判断する。この場合、ステップS106を引き続き行いながら、再びステップS107へ戻る。
その後、ナノ電極34の電極間距離dが次第に小さくなり、トンネル電流が次第に大きくなり、ステップS107において電流計96の計測した電流値が第2閾値以上になったと判断すると、制御部90は、押し上げ具93の引き戻しを停止し、ステップS108へと進む。
このように、ステップS104の押し上げ工程と、ステップS106の引き下げ工程とにおいて、ナノ電極34間に所定の電圧を印加しつつ、電極間距離dを変更させるように操作を行い、ナノ電極34間の電流値Iを取得する。
本実施形態では、第1閾値は0.01nAであり、第2閾値は2.00nAである。第1閾値は、基準電流Ibよりも大きい値に設定する。また、第2閾値は、第1閾値よりも大きく、かつ、ナノ電極34同士が接触した際に流れる電流値よりも小さい値に設定する。
続いて、制御部90は、カウント数nが所定の繰り返し回数Nに達したか否かを判断する(ステップS108)。カウント数nが繰り返し回数Nに達していない場合、制御部90は、ステップS109へと進み、カウント数nをインクリメントする。その後、ステップS104へと戻り、再び押し上げ具93の押し上げを開始する。
一方、カウント数nが繰り返し回数Nに達している場合、制御部90は、ステップS110へと進む。
このように、ステップS104の押し上げ工程と、ステップS106の引き下げ工程とをN回繰り返し行うことにより、後述する近似関数をより正確に求めることができる。
ここで、図10は、ナノ電極34の校正処理におけるピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpおよびナノ電極34間の電流値の経時変化の概略を示した図である。図10において、1段目はピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vp、2段目はナノ電極34の電極間距離d、3段目は電流計96の検出したナノ電極34間の電流値Iの経時変化を比例軸で示したもの、4段目は、電流計96の検出したナノ電極34間の電流値の経時変化を対数軸で示したものである。
上記の通り、本実施形態のステップS104およびステップS106において、押し上げ具93の押し上げまたは引き下げを行うための操作量は、ピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpである。本実施形態のピエゾアクチュエータ942は、印加電圧Vpと押し上げ量とが略比例する。さらに、押し上げ量と、電極間距離dとが略比例する。したがって、印加電圧Vpの電圧値の変化量と、電極間距離dの変化量とは略比例する。ここで、電極間距離dと印加電圧Vpとの関係は、比例係数をαとすると、以下の式で表される。
Figure 2021105522
ステップS104では、図10に示すように、印加電圧Vpを一定の割合で増加させる。このため、電極間距離dは略一定の割合で増加する。また、図10に示すように、ステップS106では、印加電圧Vpを一定の割合で減少させる。このため、ステップS106では、電極間距離dは略一定の割合で減少する。
一方、電極間距離dと、電極間を流れるトンネル電流Itとは、以下のような関係を有する。
Figure 2021105522
なお、Kは定数である。βは、既知の定数である。一方、電流計96の計測する電流値Iは、基準電流Ibと、トンネル電流Itとを加算したものであるから、電流値Iは、以下の式で表される。
Figure 2021105522
このため、図10に示すように、ステップS104において、押し上げ具93を次第に押し上げていくと、電流値Iは指数関数的に小さくなる。そして、ステップS106において、押し上げ具93を次第に引き戻していくと、電流値Iは指数関数的に大きくなる。
ステップS108からステップS110へと進むと、制御部90は、N回繰り返し行ったステップS104およびステップS106における押し上げ具93に対する操作量と電流計96の計測した電流値Iとの関係を近似した近似関数を算出する(ステップS110)。
図11は、校正処理における印加電圧Vpと電流値Iの計測データの一例を示した図である。図12は、図11の例の計測データの近似関数を示した図である。図11中、黒いデータ点は、押し上げ工程(ステップS104)における計測データを示し、白いデータ点は、引き下げ工程(ステップS106)における計測データを示したものである。ステップS104〜ステップS107では、所定の時間間隔(例えば50msec)ごとに、印加電圧Vpと計測した電流値Iとを記憶する。
図11に示すように、ステップS104およびステップS106における印加電圧Vpと電流値Iとは、印加電圧Vpが大きくなるにつれて、電流値Iが指数関数的に小さくなる。ステップS110では、この関係を用いて以下のような近似式を算出し、定数A,B,Cを算出する。
Figure 2021105522
このようにすれば、次のように各値が求まる。
Figure 2021105522
Figure 2021105522
Figure 2021105522
以上より、電極間距離dと印加電圧Vpとの比例係数αが以下の通り求められる。この比例係数αが、電極基板1ごとに求められる固有値である。
Figure 2021105522
算出された比例係数αを、数式(1)に代入して、操作量である印加電圧Vpと電極間距離dとの関係を推定した推定関数が算出される(ステップS111)。この比例係数αおよび推定関数を用いて、後述する電流測定処理を行う。
このような電極対の校正処理により、一対の電極(ナノ電極34)に対する操作量(印加電圧Vp)と電極間電流値(電流値I)との関係が求められる。なお、上記の校正処理は、ナノ電極34を純水や、純水に塩を加えた溶液中に配置して行われることが好ましい。このようにすれば、実際の生体高分子の電流測定処理における環境と近いため、電流測定処理において、より高精度にナノ電極34の位置決めを行うことができる。
なお、本実施形態では、ステップS110の近似関数算出工程が、ステップS104の押し上げ工程における近似関数を算出する工程と、ステップS106の引き下げ工程における近似関数を算出する工程とを含む。すなわち、制御部90は、押し上げ工程における計測データの近似式と、引き下げ工程における計測データの近似式とを別々に算出する。また、ステップS111の推定関数算出工程が、ステップS104の押し上げ工程における推定関数を算出する工程と、ステップS106の引き下げ工程における推定関数を算出する工程とを含む。すなわち、制御部90は、押し上げ工程における推定関数と、引き下げ工程における推定関数とを別々に算出する。
ピエゾアクチュエータ942の印加電圧Vpと移動量とについてのヒステリシスなどに起因して、押し上げ工程と引き下げ工程とでは、印加電圧Vpと電流値Iとの関係にもヒステリシスが現れる。このため、押し上げ工程における近似関数および推定関数と、引き下げ工程における近似関数および推定関数とを別々に算出することが好ましい。
<3.生体高分子の電流測定処理>
続いて、電極基板1を用いた生体高分子の電流測定処理について、図13〜図15を参照しつつ説明する。図13は、電極基板1を用いた電流測定処理の流れを示したフローチャートである。図14は、スモールギャップモードにおける電流測定処理の流れを示したフローチャートである。図15は、ラージギャップモードにおける電流測定処理の流れを示したフローチャートである。
生体高分子のトンネル電流を測定する場合、適切な電極間距離で測定を行うことが重要である。また、計測対象とする生体高分子ごとに、適切な電極間距離が異なる。この電流測定処理は、計測対象である生体高分子を含む溶液中で行われる。図13に示すように、測定処理において、まず、制御部90に、外部から目標とする電極間距離が入力される(ステップS201)。
次に、制御部90は、ステップS201で入力された目標電極間距離が、所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS202)。この閾値は、電極間距離が当該閾値となる場合のナノ電極34間のトンネル電流値が、後述するベース電流Ioに含まれる雑音成分よりも大きい値となるように設定される。
なお、ステップS202において、目標とする所望の電極間距離に相当する目標トンネル電流値Iuが、所定の閾値以上であるか否かを判断してもよい。その場合、目標トンネル電流値Iuは、例えば、前述した数式(2)を用いて算出される。
ステップS202において、目標電極間距離が閾値以下であると判断すると、制御部90は、ステップS300のスモールギャップモードにおける電流計測処理へと進む。一方、目標電極間距離が閾値よりも大きいと判断すると、制御部90は、ステップS400のラージギャップモードにおける電流計測処理へと進む。なお、ステップS300およびステップS400では、ナノ電極34に所定の電圧を印加して、ナノ電極34の間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定する。
続いて、図14を参照しつつ、スモールギャップモードにおける電流計測処理の流れについて説明する。まず、ナノ電極34間にトンネル電流が流れないように電極間距離を十分大きくした状態で、基準電流Ibの計測を行う(ステップS301)。基準電流Ibの計測後は、押し上げ具93を初期位置に戻す。
基準電流Ibは、ステップS301において電流計96の計測した電流値Iからベース電流Ioを抽出することにより計測される。図16は、計測された電流値Iの経時変化の一例を示した図である。図16に示すように、生体高分子を含む液体中で電流値Iの計測をする場合、電流値Iは、ナノ電極34間に生体高分子が存在していない場合に計測されるベース電流Ioの成分と、ナノ電極34間に生体高分子が通過した場合に計測されるサンプル電流Isの成分とを含む。サンプル電流Isは、生体高分子とナノ電極34との間に流れるトンネル電流である。
図16に示すように、サンプル電流Isは、ベース電流Ioよりも大きな電流値を有する。このため、ベース電流Ioとサンプル電流Isとを分離して計測が可能である。なお、ステップS301におけるサンプル電流Isは、所望の電極間距離における計測値ではないため、生体高分子の電流測定に用いることはできない。
ステップS301において、制御部90は、計測した電流値Iから、ベース電流Io成分を抽出し、当該成分から、ナノ電極34間にトンネル電流が流れない状態におけるベース電流Ioの電流値である基準電流Ibを算出する。
次に、制御部90は、目標とする電極間距離dに相当するトンネル電流の値である、目標合計電流値Iaを算出する(ステップS302)。具体的には、まず、数式(2)の電極間距離dに目標電極間距離を代入して、目標トンネル電流値Iuを算出する。目標トンネル電流値Iuは、目標とする電極間距離dに相当するトンネル電流の値である。そして、基準電流Ibに目標トンネル電流値Iuを加算して、目標合計電流値Iaを算出する。
その後、制御部90は、押し上げ具93による電極基板1の押し上げを行い、計測した電流値Iのベース電流Ioが目標合計電流値Iaと一致する目標位置に、ナノ電極34を配置する(ステップS303)。これにより、ナノ電極34間の距離を、ナノ電極34間に目標トンネル電流値のトンネル電流が流れる距離にすることができる。すなわち、ナノ電極34間の距離を、所望の電極間距離とすることができる。
そして、制御部90は、この目標位置において、生体高分子のトンネル電流を計測する電流計測工程を開始する(ステップS304)。このとき、上述の通り、ベース電流Ioは、目標合計電流値Iaとなっている。電流値Iは、当該ベース電流Ioの成分と、サンプル電流Isの成分とを含む。これにより、所望の電極間距離を保った状態で、サンプル電流Isを計測できる。
ステップS304によるサンプル電流Isの計測中、制御部90は、計測終了条件となったか否かを判断する(ステップS305)。計測終了条件は、例えば、予め設定した期間の終了であってもよいし、外部からの終了指令であってもよい。
ステップS305において、計測終了条件になっていないと判断すると、制御部90は、ステップS306へと進む。そして、ステップS304で計測したベース電流Ioが所定の範囲内であるか否かを判断する(ステップS306)。ステップS306において判断が行われる所定の範囲は、目標合計電流値Iaを基準として設定される。例えば、ベース電流Ioが、目標合計電流値Iaから±0.0005nAの範囲内であるか否かを基準とする。
ステップS306において、ベース電流Ioが所定の範囲内であると判断すると、制御部90は、ステップS304へと戻り、引き続き電流計測工程を行う。一方、ステップS306において、ベース電流Ioが所定の範囲内でないと判断すると、制御部90は、ステップS301へと戻り、電極位置をセットし直す。これにより、電流計測工程中に電極間距離が変化してしまった場合に、電極位置をセットし直し、所望の電極間距離での電流計測を行うことができる。
ステップS305において、制御部90は、計測終了条件になったと判断すると、制御部90は、電流計測処理を終了する。スモールギャップモードにおける電流計測処理は、以上の流れによって行われる。
続いて、図15を参照しつつ、ステップS400のラージギャップモードにおける電流計測処理の流れについて説明する。電流計測時における電極間距離が比較的大きい場合、当該電極間距離におけるトンネル電流の値は比較的小さくなる。当該トンネル電流の値が、基準電流Ibのノイズ成分に比べて小さいと、基準電流Ibと目標合計電流値Iaとの差がわかりにくくなる。このため、スモールギャップモードと同じ方法で電極位置を設定しようとしても、所望の電極間距離となる電極位置に正確にセットするのが困難である。そこで、以下に説明するラージギャップモードにより電極位置をセットすることにより、所望の電極間距離となるように電極位置をセットできる。
図17は、ステップS400のラージギャップモードにおける電流計測処理において、ナノ電極34間の様子を示した概略図である。図17に示すように、まず、ナノ電極34間にトンネル電流が流れないように電極間距離を十分大きくした状態で、基準電流Ibの計測を行う(ステップS401)。基準電流Ibの計測後は、押し上げ具93を初期位置に戻す。基準電流Ibの計測は、スモールギャップモードのステップS301と同様に行う。
次に、制御部90は、目標合計電流値Iaおよび移動操作量ΔVpを算出する(ステップS402)。具体的には、まず、中間目標位置とする中間電極間距離d1に対応するトンネル電流値である中間トンネル電流値Ivを算出する。中間目標位置とする中間電極間距離d1は、最終目標位置とする目標電極間距離d2よりも小さい電極間距離である。中間トンネル電流値Ivは、数式(2)の電極間距離dに、中間電極間距離d1を代入することにより算出される。そして、この中間トンネル電流値Ivと、ステップS401で計測した基準電流Ibとを加算して、中間目標合計電流値Iaを算出する。なお、中間トンネル電流値Ivが、基準電流Ibのノイズ成分よりも十分大きな電流値となるように、中間電極間距離d1を設定する。
一方、移動操作量ΔVpは、中間目標位置である中間電極間距離d1から最終目標位置である目標電極間距離d2まで移動させるために必要な操作量である。この移動操作量ΔVpは、具体的には、中間電極間距離d1から目標電極間距離d2まで移動するためのピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpの変化量である。この移動操作量ΔVpは、ステップS101〜S111の校正処理によって求められた推定関数に基づいて求められる。すなわち、数式(1)と、校正処理で求められた電極間距離dと印加電圧Vpとの比例係数αとを用いて、以下の関係から求められる。
Figure 2021105522
続いて、制御部90は、押し上げ具93による電極基板1の押し上げを行い、計測した電流値Iのベース電流Ioが目標合計電流値Iaと一致する中間目標位置に、ナノ電極34を配置する(ステップS403)。これにより、ナノ電極34間の電極間距離dを、中間電極間距離d1とすることができる。
その後、制御部90は、印加電圧Vpを、中間電極間距離d1における印加電圧VpにステップS402で算出した移動操作量ΔVpを加算した電圧値に変化させる。すなわち、ステップS402で算出した移動操作量ΔVpの分、操作を行う。これにより、制御部90は、押し上げ具93による電極基板1のさらなる押し上げを行い、ナノ電極34間の電極間距離を、最終目標位置における目標電極間距離d2にセットする(ステップS404)。
そして、制御部90は、最終目標位置において、生体高分子のトンネル電流を計測する電流計測工程を開始する(ステップS405)。電流値Iは、ベース電流Ioにサンプル電流Isが加わったものとなる。このように、所望の電極間距離を保った状態で、サンプル電流Isを計測できる。
ステップS405によるサンプル電流の計測中、制御部90は、計測終了条件となったか否かを判断する(ステップS406)。ステップS406において、計測終了条件になっていないと判断すると、制御部90は、ステップS407へと進む。
そして、制御部90は、ステップS405の電流計測工程の開始から所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS407)。例えば、電流計測工程の開始から5分を当該所定時間とする。ステップS407において、所定時間が経過していないと判断すると、制御部90は、ステップS405へと戻り、引き続き電流計測工程を行う。一方、ステップS407において、所定時間が経過したと判断すると、制御部90は、ステップS401へと戻り、電極位置をセットし直す。このように、所定時間ごとに電極位置をセットし直すことにより、所望の電極間距離での電流計測を行うことができる。
ステップS406において、計測終了条件になったと判断すると、制御部90は、電流計測処理を終了する。ラージギャップモードにおける電流計測処理は、以上の流れによって行われる。
本実施形態では、スモールギャップモードのステップS303における目標位置へのセット、および、ラージギャップモードのステップS403における中間目標位置へのセットにおいて、計測した電流値Iが目標合計電流値と一致するように電極間距離を設定した。しかしながら、本発明はこれに限られない。
例えば、ステップS303およびステップS403において、2段階の工程を経て、所望の目標位置または中間目標位置へとセットしても良い。その場合、第1段階として、校正処理において求められた比例係数αおよび推定関数に基づいて所定の電極間距離にセットする。その後、第2段階として、計測した電流値Iの変動量から電極間距離を推定しつつ、所望の目標位置または中間目標位置へとセットしてもよい。第1段階においては、電流値Iをモニタリングする必要が無いため、迅速に第1段階を行うことができる。すなわち、ステップS303およびステップS403にかかる時間を短縮できる。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の実施形態では、電極基板の有する金属層が外部から電力が入力される接続用電極間を一対のみ有したが、本発明はこれに限られない。1つの電極基板が、外部から電力が入力される電極を複数対有していてもよい。例えば、第1流路と第2流路との間に電気泳動用の電圧を印加してもよい。
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1 電極基板
9 電流計測装置
34 ナノ電極
90 制御部
93 押し上げ具
94 昇降機構
941 モータ
942 ピエゾアクチュエータ

Claims (5)

  1. 電極対に電圧を印加して、電極対の間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定する電流測定方法であって、
    a)目標とする電極間距離に相当するトンネル電流の値を算出する工程と、
    b)前記電極の間にトンネル電流が流れない電極間距離において、前記電極間に流れる基準電流の値を測定する工程と、
    c)前記工程a)で算出した前記トンネル電流の値と、前記工程b)で測定した前記基準電流の値とを加算して、目標合計電流値を算出する工程と、
    d)前記電極間に流れるベース電流の値が、前記工程c)で算出した前記目標合計電流値と一致する目標位置に前記電極を配置する工程と、
    を有する、電流測定方法。
  2. 請求項1に記載の電流測定方法であって、
    e)前記工程d)の後に、前記目標位置において、前記生体高分子のトンネル電流を計測する工程
    をさらに有する、電流測定方法。
  3. 請求項2に記載の電流測定方法であって、
    前記工程e)の実行中に、前記ベース電流の値が前記目標合計電流値を基準とした所定の範囲内でない場合に、前記工程e)の実行を中断し、前記工程b)ないし先記工程d)を再び行う、電流測定方法。
  4. 電極対に電圧を印加して、電極対の間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定する電流測定方法であって、
    A)中間目標とする電極間距離に対応するトンネル電流の値を算出する工程と、
    B)前記電極の間にトンネル電流が流れない電極間距離において、前記電極間に流れる基準電流の値を測定する工程と、
    C)前記工程A)で算出した前記トンネル電流の値と、前記工程B)で測定した前記基準電流の値とを加算して、中間目標合計電流値を算出する工程と、
    D)前記電極間に流れるベース電流の値が、前記工程C)で算出した前記中間目標合計電流値と一致する中間目標位置に前記電極を配置する工程と、
    E)中間目標とする電極間距離から、最終目標とする電極間距離までの操作量を算出する工程と、
    F)前記工程D)の後で、前記中間目標位置から前記工程E)で算出した前記操作量操作を行った最終目標位置に前記電極を配置する工程と、
    を有し、
    前記中間目標とする電極間距離は、前記最終目標とする電極間距離よりも小さい、電流測定方法。
  5. 請求項4に記載の電流測定方法であって、
    G)前記工程F)の後に、前記最終目標位置において、前記生体高分子のトンネル電流を計測する工程
    をさらに有する、電流測定方法。

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