JP6334115B2 - 生体分子シーケンシング装置、方法、及びプログラム - Google Patents

生体分子シーケンシング装置、方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、生体分子シーケンシング装置、方法、及びプログラムに関する。
従来、タンパク質を構成するアミノ酸の配列、核酸を構成するヌクレオチドの配列、糖鎖を構成する単糖の配列など、生体分子、特に生体高分子を構成する単分子の配列をシーケンシングにより決定することが行われている。例えば、酵素分解法によるHPLC(High performance liquid chromatography)法、質量分析、X線結晶構造解析、エドマン分解法等を用いて、タンパク質の配列を決定することが行われている。
また、電極間距離を1nm以下に固定したナノギャップ電極を用いて、1分子を流れるトンネル電流を測定することにより、単分子識別を行うシーケンシング技術が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
例えば、対象とする分子の任意の2つの内部エネルギーレベル間の任意のエネルギー差のうちの1つに対応するチャンネルによって分離されたナノ電極対の間のバイアス電圧をセンタリングするステップと、前記対象とする分子が前記チャンネル内にある間、変調波形により前記バイアス電圧を変調するステップとを含むポリマーをシーケンシングするための方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。この方法では、前記対象とする分子の電気信号特性が、前記ナノ電極間のトンネル電流から導出されて、その特徴的な電気信号が、前記対象とする分子を識別するために、化学的に既知の分子に関する信号の既知の値と比較される。また、この方法では、複数のナノ電極対を、更に確実に単一の分子か又は複数の分子を識別するために用いることができる。
特開2013−36865号公報 米国特許出願公開第2012/0322055号明細書 米国特許出願公開第2013/0001082号明細書 米国特許出願公開第2012/0193237号明細書 米国特許出願公開第2010/0025249号明細書 特開2005−257687号公報
しかしながら、従来のX線結晶構造解析では、大量の生成したタンパク質を結晶化することが必要であり、少量しか発現しない生体分子や、結晶化が困難な膜タンパク質等に対する解析を行うことができない。また、X線結晶構造解析では、真空装置及び放射性物質が必要なため、装置が高価で大掛かりなものとなってしまう。酵素分解法によるHPLC法、質量分析、X線結晶構造解析、エドマン分解法等の他の従来手法でも、ある程度の量の試料が必要であり、試料が少量の場合には、高精度に生体分子を構成する単分子を識別することができない。
ナノギャップ電極を生体分子が通過する際のトンネル電流を測定する手法では、簡便な装置で、かつ少量の試料でも解析が可能である。しかし、例えば生体分子がタンパク質の場合には、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸は、それぞれ分子の大きさが異なる。トンネル電流は、電極と分子との距離に影響を受けるため、大きさが異なる分子のトンネル電流を安定して測定することは困難であり、高精度に生体分子を構成する単分子を識別することができない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、生体分子を構成する単分子を、簡易な構成で、かつ高精度に識別することができる生体分子シーケンシング装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る生体分子シーケンシング装置は、少なくとも1種類以上の単分子が連結した生体分子が電極間を通過する際に、トンネル電流が流れるように配置された電極対と、前記生体分子が前記電極対の電極間を通過したときに生じるトンネル電流を、前記電極対の電極間距離が各々異なる複数の状態毎に測定する測定部と、複数種類の単分子の各々を所定の精度で識別可能な電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた少なくとも1種類の種類が既知の単分子の参照用物理量と、前記参照用物理量に対応した電極間距離の状態で前記測定部により測定されたトンネル電流から得られた検出物理量とに基づいて、前記生体分子を構成する少なくとも1種類の単分子の種類を識別する識別部と、を含んで構成されている。
本発明に係る生体分子シーケンシング装置によれば、電極対が、少なくとも1種類以上の単分子が連結した生体分子が電極間を通過する際に、トンネル電流が流れるように配置されている。そして、測定部が、生体分子が電極対の電極間を通過したときに生じるトンネル電流を、電極対の電極間距離が各々異なる複数の状態毎に測定する。さらに、識別部が、複数種類の単分子の各々を所定の精度で識別可能な電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた少なくとも1種類の種類が既知の単分子の参照用物理量と、参照用物理量に対応した電極間距離の状態で測定部により測定されたトンネル電流から得られた検出物理量とに基づいて、生体分子を構成する少なくとも1種類の単分子の種類を識別する。
このように、生体分子が電極対の電極間を通過したときに生じるトンネル電流を、電極間距離が各々異なる複数の状態で測定し、複数種類の単分子の各々を所定の精度で識別可能な電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた少なくとも1種類の種類が既知の単分子の参照用物理量を用いることで、生体分子を構成する単分子を、簡易な構成で、かつ高精度に識別することができる。
なお、本発明の対象となる生体分子には、生体高分子であるタンパク質、ペプチド、核酸、糖鎖等が含まれる。また、本発明の対象となる生体分子を構成する単分子には、タンパク質またはペプチドを構成するアミノ酸、核酸を構成するヌクレオチド、糖鎖を構成する単糖等が含まれる。
また、本発明に係る生体分子シーケンシング装置は、前記電極対の電極間距離を変更して、前記生体分子が電極間を通過するように制御する制御部を含んで構成することができる。これにより、1つの電極対で、電極間距離が各々異なる複数の状態におけるトンネル電流を測定することができる。
また、前記電極対を、電極間距離が各々異なる複数の電極対としてもよい。これにより、電極間距離が各々異なる複数の状態におけるトンネル電流を、一度に測定することができる。
また、前記識別部は、所定の電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた検出物理量に基づいて、種類を識別できなかった単分子の種類を、前記所定の電極間距離とは異なる電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた検出物理量に基づいて識別することができる。
検出物理量及び参照物理量としては、トンネル電流の電流値、コンダクタンス等の様々な値を用いることができる。電極対への印加電圧が一定であれば、トンネル電流の電流値とコンダクタンスは同等に扱うことができる。
また、本発明に係る生体分子シーケンシング方法は、少なくとも1種類以上の単分子が連結した生体分子が電極間を通過する際に、トンネル電流が流れるように配置された電極対の電極間を、前記生体分子が通過したときに生じるトンネル電流を、前記電極対の電極間距離が各々異なる複数の状態毎に測定し、複数種類の単分子の各々を所定の精度で識別可能な電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた少なくとも1種類の種類が既知の単分子の参照用物理量と、前記参照用物理量に対応した電極間距離の状態で前記測定部により測定されたトンネル電流から得られた検出物理量とに基づいて、前記生体分子を構成する少なくとも1種類の単分子の種類を識別する方法である。
また、本発明に係る生体分子シーケンシングプログラムは、コンピュータを、少なくとも1種類以上の単分子が連結した生体分子が電極間を通過する際に、トンネル電流が流れるように配置された電極対の電極間を、前記生体分子が通過したときに生じるトンネル電流を、前記電極対の電極間距離が各々異なる複数の状態毎に測定するように測定部を制御する測定制御部、及び複数種類の単分子の各々を所定の精度で識別可能な電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた少なくとも1種類の種類が既知の単分子の参照用物理量と、前記参照用物理量に対応した電極間距離の状態で前記測定部により測定されたトンネル電流から得られた検出物理量とに基づいて、前記生体分子を構成する少なくとも1種類の単分子の種類を識別する識別部として機能させるためのプログラムである。
本発明に係る生体分子シーケンシング装置、方法、及びプログラムによれば、生体分子が電極対の電極間を通過したときに生じるトンネル電流を、電極間距離が各々異なる複数の状態で測定し、複数種類の単分子の各々を所定の精度で識別可能な電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた少なくとも1種類の種類が既知の単分子の参照用物理量を用いることで、生体分子を構成する単分子を、簡易な構成で、かつ高精度に識別することができる。
第1の実施の形態に係る生体分子シーケンシング装置の構成を示す概略図である。 第1の実施の形態における制御部の機能的構成を示すブロック図である。 パルス毎の最大コンダクタンス及びパルス持続時間を説明するための図である。 最大コンダクタンスのヒストグラムの一例を示す図である。 パルス持続時間のヒストグラムの一例を示す図である。 測定点毎のコンダクタンスのヒストグラムの一例を示す図である。 電極間距離毎の各アミノ酸のコンダクタンスの一例を示す図である。 電極間距離毎の参照物理量の選択を説明するための図である。 前準備の手順を示す図である。 第1の実施の形態における生体分子シーケンシング処理を示すフローチャートである。 識別処理を示すフローチャートである。 アミノ酸の確率密度関数の計算を説明するための図である。 識別されたアミノ酸の種類を示す一文字表記の配置を説明するための図である。 電極間距離毎のアミノ酸の種類の識別を説明するための図である。 第2の実施の形態に係る生体分子シーケンシング装置の構成を示す概略図である。 第2の実施の形態における制御部の機能的構成を示すブロック図である。 第2の実施の形態における生体分子シーケンシング処理を示すフローチャートである。 修飾されたアミノ酸への適用を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。各実施の形態では、生体高分子であるタンパク質を適当な長さに分解したペプチドについて、ペプチドを構成する単分子であるアミノ酸の配列をシーケンシングする場合について説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、第1の実施の形態に係る生体分子シーケンシング装置10は、ナノギャップ電極対12、電極間距離変更部16、測定用電源18、電気泳動用電極対20、電気泳動用電源22、電流計24、及び制御部26を含んで構成されている。以下に、各構成について説明する。
ナノギャップ電極対12は、一部に絶縁膜14を設けた対向する2つの電極が、ペプチド50が電極間を通過する際に、トンネル電流が流れるような距離を隔てて配置されている。電極間距離が、ペプチド50を構成するアミノ酸(図1中に楕円で表記)の分子直径よりも長すぎると、ナノギャップ電極対12の電極間にトンネル電流が流れ難くなったり、2つ以上のアミノ酸が、同時にナノギャップ電極対12の間に入り込んだりする。反対に、電極間距離がアミノ酸の分子直径よりも短すぎると、ナノギャップ電極対12の電極間にペプチド50が入り込めなくなる。
電極間距離が、ペプチド50を構成するアミノ酸の分子直径よりも長すぎたり、短すぎたりすると、ペプチド50を構成する各アミノ酸1分子を介したトンネル電流を検出することが困難になる。よって、電極間距離は、ペプチド50を構成するアミノ酸の分子直径よりも少し短いか、等しいか、または、それよりも少し長い程度であることが好ましい。例えば、電極間距離は、アミノ酸の分子直径の0.5倍〜2倍の長さであり、1倍〜1.5倍の長さであることが好ましく、1倍〜1.2倍の長さであることがより好ましい。
ここで、アミノ酸の分子直径は、アミノ酸の種類により大きさが異なる。トンネル電流は、電極と測定対象の分子との間の距離の影響を受けるため、電極間距離を固定とした場合には、複数種類のアミノ酸の各々に起因したトンネル電流を精度良く測定できない場合がある。そこで、第1の実施の形態では、ナノギャップ電極対12の電極間距離が各々異なる複数の状態をとるように、電極間距離変更部16により電極間距離を変更する。
電極間距離変更部16は、後述する制御部26により制御されて、ナノギャップ電極対12の電極間距離を変更する。例えば、電極間距離変更部16は、てこの原理を利用して、力点、支点、及び作用点の幾何学的配置を調整することで、電極間距離を変更する構成とすることができる。より具体的には、ピエゾ素子によりナノギャップ電極対12の一部を押し上げることにより、作用点となる電極端部を移動させて、電極間距離を変更する構成とすることができる。この場合、ピエゾ素子の押し上げ距離と電極間距離との対応関係に基づいて、所望の電極間距離に設定することができる。例えば、ピエゾ素子を1μm押し上げることにより、電極間距離が0.1nm広がる構成の場合において、電極間距離を0.1nm広げたい場合には、ピエゾ素子を1μm押し上げるように、制御部26により制御すればよい。このように、ピエゾ素子を用いた構成では、ピエゾ素子の作動下限に応じて、例えば0.1pm単位での距離制御が可能となる。
アミノ酸の分子直径は当業者に公知であるため、本明細書に接した当業者であれば、電極間距離変更部16により、アミノ酸の分子直径に対応した複数の電極間距離を適宜選択することができる。
ナノギャップ電極対12の具体的な作製方法は特に限定されない。以下に、作製方法の一例を示す。
上述したナノギャップ電極対12は、公知のナノ加工機械的破断接合法(nanofabricated mechanically-controllable break junctions)を用いることによって作製することができる。このナノ加工機械的破断接合法は、ピコメーター以下の分解能にて、機械的安定性に優れた電極間距離を制御することができる優れた方法である。ナノ加工機械的破断接合法を用いた電極対の作製方法は、例えば、J. M. van Ruitenbeek, A. Alvarez, I. Pineyro, C. Grahmann, P. Joyez, M. H. Devoret, D. Esteve, C. Urbina, Rev. Sci. Instrum. 67. 108 (1996)またはM. Tsutsui, K. Shoji, M. Taniguchi, T. Kawai, Nano Lett. 8, 345 (2008)に記載されている。電極の材料としては、金などの任意の金属が挙げられる。
例えば、以下に示す手順によってナノギャップ電極対12を作製することができる。
まず、ナノスケールの金の接合を、電子線描画装置(日本電子社製、カタログ番号:JSM6500F)を用いて、公知の電子ビームリソグラフィー及びリフトオフ技術によって、ポリイミドでコーティングされた可撓性の金属基板上にパターン成形する。次いで、この接合の下にあるポリイミドを、反応性イオンエッチング装置(サムコ社製、カタログ番号:10NR)を用いて、公知のエッチング法(反応性イオンエッチング法など)に基づくエッチングによって取り除く。
そして、基板を折り曲げることによって、3点にて折り曲げられた構造のナノスケールの金のブリッジを作製する。この場合、ピエゾアクチュエータ(CEDRAT社製、カタログ番号:APA150M)を用いて基板の折曲げを精密に操作することによって、電極対の電極間距離をピコメーター以下の分解能にて制御することができる。
次いで、作製したこのブリッジを引っ張り、ブリッジの一部を破断させる。さらにブリッジを引っ張り、破断によって生じたギャップの大きさ(電極間距離)が目的のアミノ酸分子の長さ(約1nm)になるように設定する。この場合、自己破断技術を利用してブリッジの引っ張りを調節することによって電極対の電極間距離を正確に制御することができる(M. Tsutsui, K. Shoji, M. Taniguchi, T. Kawai, Nano Lett. 8, 345 (2008)、及びM. Tsutsui. M. Taniguchi, T. Kawai, Appl. Phys. Lett. 93, 163115 (2008)参照)。
具体的には、データ集録ボード(ナショナルインスツルメンツ社製、カタログ番号:NIPCIe-6321)を用いて、レジスタンスフィードバック法(M. Tsutsui, K. Shoji, M. Taniguchi, T. Kawai, Nano Lett. 8, 345 (2008)、及びM. Tsutsui, M. Taniguchi, T. Kawai, Appl. Phys. Lett. 93, 163115 (2008)参照)によって、プログラミングされた接合の引き延ばし速度の下で、10kΩの直列の抵抗を用いて、0.1VのDCバイアス電圧(V)をこのブリッジに印加して、金のナノ接合を引っ張り、ブリッジを破断させる。そして、ブリッジをさらに引っ張り、破断によって生じたギャップの大きさ(電極間距離)が、目的の長さになるように設定する。このようにして、ナノギャップ電極対12を形成する。
測定用電源18は、ナノギャップ電極対12に対して電圧を印加する。測定用電源18によってナノギャップ電極対12に印加する電圧の大きさは特に限定されず、例えば、0.25V〜0.75Vとすることができる。測定用電源18の具体的な構成は特に限定されず、適宜、公知の電源装置を用いることが可能である。
電気泳動用電極対20は、ペプチド50の移動方向(図1中のブロック矢印A)に電界を形成するように配置される。電気泳動用電極対20の電極間に電界が形成されると、ペプチド50が電気泳動により、電界方向に移動する。すなわち、ペプチド50がナノギャップ電極対12の電極間を通過するように移動する。
電気泳動用電源22は、電気泳動用電極対20に対して電圧を印加する。電気泳動用電源22によって電気泳動用電極対20に印加する電圧の大きさは特に限定されず、ナノギャップ電極対12の電極間をペプチド50が通過する速さを制御することができる電圧を適宜設定することができる。また、電気泳動用電源22は、電気泳動用電極対20の電極間に形成する電界の方向を切り替えるように、電気泳動用電極対20に対して電圧を印加する。これにより、電気泳動用電極対20の電極間を移動するペプチド50の移動方向を切り替えることができる。電気泳動用電源22の具体的な構成は特に限定されず、適宜、公知の電源装置を用いることが可能である。
電流計24は、測定用電源18により電圧が印加されたナノギャップ電極対12の電極間をペプチド50が通過した際に生じるトンネル電流を測定する。上述のように、ナノギャップ電極対12の電極間距離は、電極間距離変更部16により変更可能である。電流計24は、電極間距離が各々異なる状態毎に、トンネル電流を測定する。電流計24の具体的な構成は特に限定されず、適宜、周知の電流測定装置を用いればよい。
制御部26は、生体分子シーケンシング装置10の各構成を制御すると共に、測定されたトンネル電流に基づいて、ペプチド50を構成するアミノ酸の種類を識別する。
制御部26は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及び後述する生体分子シーケンシングプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータで構成することができる。このコンピュータで構成される制御部26は、機能的には、図2に示すように、電極間距離制御部30、測定制御部32、及び識別部34を含んだ構成で表すことができる。以下、各部について詳述する。
電極間距離制御部30は、ナノギャップ電極対12の電極間距離dがd1の状態で、ペプチド50を、ナノギャップ電極対12の電極間を複数回往復して通過させるため、電気泳動用電極対20の電極間の電界方向が切り替わるように、電気泳動用電源22による電圧の印加を制御する。また、ペプチド50が所定回数電極間を往復し終わったら、ナノギャップ電極対12の電極間距離dがd2(d2≠d1)となるように、電極間距離変更部16を制御し、再びペプチド50が、ナノギャップ電極対12の電極間を往復して複数回通過するように、電気泳動用電源22による電圧の印加を制御する。電極間距離制御部30は、この制御を、複数の電極間距離d(d=d1、d2、d3、・・・)について行う。例えば、d1=1.0nm、d2=0.7nm、d3=0.5nmとすることができる。
測定制御部32は、電極間距離dが各々異なる状態毎に、トンネル電流を測定するように電流計24を制御する。トンネル電流の測定時間は限定されないが、例えば、10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、1時間とすることができる。測定時間は、ペプチド50の長さに応じて適宜設定すればよい。また、測定制御部32は、電流計24で測定されたトンネル電流の電流値を取得し、取得した電流値からコンダクタンスを計算し、コンダクタンス−時間プロファイルを作成する。コンダクタンスは、トンネル電流を測定した際にナノギャップ電極対12に印可されていた電圧Vで、トンネル電流の電流値を除することにより、計算することができる。コンダクタンスを用いることにより、ナノギャップ電極対12間に印加する電圧値が測定毎に異なる場合でも、統一された基準のプロファイルを得ることができる。なお、測定毎にナノギャップ電極対12間に印加する電圧値を一定とした場合には、トンネル電流の電流値とコンダクタンスとは、同等に扱うことができる。
また、測定制御部32は、電流計24で測定されたトンネル電流を、電流増幅器を用いて一旦増幅してから取得するようにしてもよい。電流増幅器を用いることによって、微弱なトンネル電流の値を増幅することができるため、トンネル電流を高感度に測定することが可能となる。電流増幅器としては、例えば、市販の可変高速電流アンプ(Femto社製、カタログ番号:DHPCA−100)を用いることができる。
識別部34は、測定制御部32により作成されたコンダクタンス−時間プロファイルから得られる検出物理量と、参照物理量テーブル36に格納された、種類が既知のアミノ酸についての参照物理量とを比較することにより、ペプチド50を構成するアミノ酸の種類を識別する。本実施の形態では、検出物理量は、測定制御部32により作成されたコンダクタンス−時間プロファイルの測定点毎のコンダクタンスである。
ここで、参照物理量テーブル36に格納された参照物理量について説明する。第1の実施の形態では、参照物理量は、種類が既知のアミノ酸から測定した、アミノ酸の種類毎、かつ電極間距離d毎の相対コンダクタンスを用いる。相対コンダクタンスは、以下の手順により予め算出しておく。
まず、生体分子シーケンシング装置10において、電極間距離制御部30により電極間距離変更部16を制御して、電極間距離dをd1(例えば、d1=1.0nm)に設定する。そして、種類が既知のアミノ酸20種類のうち、1種類のアミノ酸を溶解した溶液中にナノギャップ電極対12を配置し、電気泳動用電源22により電気泳動用電極対20に対して電圧を印可すると共に、測定用電源18によりナノギャップ電極対12に対して電圧を印可する。これにより、アミノ酸が電極間を通過する。そして、電極間をアミノ酸が通過する際に生じたトンネル電流の電流値を、電流計24により所定時間(例えば、50分)測定し、測定制御部32により、測定された電流値を取得し、コンダクタンス−時間プロファイルを作成する。ナノギャップ電極対12の電極間に印加する電圧は、特に限定されず、例えば、0.25V〜0.75Vとすることができる。
次に、識別部34は、測定制御部32により作成されたコンダクタンス−時間プロファイルから複数のパルスを検出すると共に、検出した複数のパルスの各々における最大コンダクタンスi及びパルス持続時間tを検出する。検出するパルスの数は特に限定されないが、多ければ多いほど、精度の高い参照用物理量を算出することができる。なお、検出されるパルスの数を多くするためには、例えば、トンネル電流を測定する時間を長くして、1つの電極間距離の状態におけるアミノ酸の往復回数を多くすればよい。
最大コンダクタンスi及びパルス持続時間tの検出方法について、より具体的に説明する。まず、コンダクタンス−時間プロファイルから複数のパルスを検出する方法を説明するために、トンネル電流が生じるメカニズムについて説明する。
ペプチド50がナノギャップ電極対12の電極間に進入すると、まず、ペプチド50を構成する何れかのアミノ酸(以下、1番目のアミノ酸と呼ぶ)が電極間に捕捉される。1番目のアミノ酸が電極間に捕捉されたときに、1番目のアミノ酸に起因するトンネル電流が電極間に生じる。
その後、1番目のアミノ酸が電極間を完全に通過した後に、別のアミノ酸が電極間に捕捉される(以下、2番目のアミノ酸と呼ぶ)。2番目のアミノ酸が電極間に捕捉されたときに、2番目のアミノ酸に起因するトンネル電流が電極間に生じる。なお、2番目のアミノ酸は、1番目のアミノ酸に隣接しているアミノ酸である場合もあるし、1番目のアミノ酸に隣接していないアミノ酸である場合もある。
以上のようにして、ペプチド50を構成するアミノ酸に起因するトンネル電流がナノギャップ電極対12の電極間に生じる。そして、アミノ酸が電極間を通過すると(ペプチド50を構成する最後のアミノ酸が電極間から解離すると)、電極間に生じていたトンネル電流が消失する。
従って、識別部34は、コンダクタンス−時間プロファイルにおけるトンネル電流の電流値に対応したコンダクタンスが基底レベル以上の領域で、コンダクタンスの立ち上がり時点、及び立ち下り時点を特定することにより、コンダクタンス−時間プロファイルからパルスを検出することができる。基底レベルは、予め定めておいてもよいし、コンダクタンス−時間プロファイルをオシロスコープ等で確認して設定してもよい。
また、識別部34は、検出したパルス毎に、パルスを検出するために特定した立ち上がり時点と立ち下り時点との間の時間をパルス持続時間tとして検出すると共に、パルス持続時間t内の各測定点でのコンダクタンスの最大値を、最大コンダクタンスiとして検出する。
図3に、測定制御部32で作成したコンダクタンス−時間プロファイル、並びにコンダクタンス−時間プロファイルの一部拡大図において、識別部34で検出したパルス、最大コンダクタンスi、及びパルス持続時間tの一例を示す。
ここでは、1種類のアミノ酸に起因するパルスを検出しているが、各パルスから検出される最大コンダクタンスi及びパルス持続時間tの値にはばらつきが生じる。トンネル電流におけるパルスは、電極間におけるアミノ酸の運動に基づく電極とアミノ酸との距離の変化に起因して出現する。すなわち、アミノ酸と電極との距離が短くなれば、トンネル電流が生じ易くなるため、トンネル電流の電流値が増加する(コンダクタンスが増加する)。一方、アミノ酸と電極との距離が長くなれば、トンネル電流が生じ難くなるため、トンネル電流の電流値が減少する(コンダクタンスが減少する)。このように、コンダクタンスに増減が生じるため、各パルスの最大コンダクタンスi及びパルス持続時間tにばらつきが生じる。
そこで、各パルスの最大コンダクタンスi及びパルス持続時間tの各々について、統計分析を行って最頻値を算出する。例えば、最大コンダクタンスiの値と、その値を有するパルスの数との関係を示すヒストグラムを生成する。例えば、図4に示すようなヒストグラムを生成することができる。なお、図4では、複数種類のアミノ酸についてのヒストグラムを重畳して表している。そして、生成したヒストグラムを所定の関数にフィッティングし、フィッティングした関数のピーク値を求めることによって、最頻値を算出することができる。この最大コンダクタンスiについての最頻値を、ピークコンダクタンスIとする。
パルス持続時間tについても同様に、例えば図5に示すような、パルス持続時間tの値と、その値を有するパルスの数との関係を示すヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムを所定の関数にフィッティングし、フィッティングした関数のピーク値を求めることによって、最頻値を算出することができる。このパルス持続時間tについての最頻値を、ピークパルス持続時間tとする。
フィッティングに用いる関数としては、ガウス関数またはポアソン関数を挙げることが可能であるが、ガウス関数であることが好ましい。ガウス関数を用いることによって、データ処理速度を速くすることができるという利点が得られる。
最頻値を算出するための統計分析に用いるパルスの数は、特に限定されず、例えば500個〜1000個である。この程度の数を統計分析に用いれば、統計的に有意な最頻値を算出することができる。このような最頻値は各アミノ酸にとって固有の値であるため、この最頻値をアミノ酸の種類を識別するための指標として使用することができる。
次に、算出したピークコンダクタンスI、及びベースラインのコンダクタンスIを用いて、下記(1)式により、アミノ酸1分子のコンダクタンスを算出する。
アミノ酸1分子のコンダクタンス=(I−I) (1)
ここで、ベースラインのコンダクタンスIは、例えば図6に示すように、測定点毎のコンダクタンスのヒストグラムを生成し、ヒストグラムに現れるピークのうち、最もコンダクタンスが低いピークに対応したコンダクタンスの値をベースラインのコンダクタンスIとすることができる。
上記のように、アミノ酸1分子のコンダクタンスを算出する処理を、電極間距離dをd1、d2、d3、・・・と変更し、電極間距離d毎に行う。さらに、20種類のアミノ酸の全てについて、電極間距離d毎に、アミノ酸1分子のコンダクタンスを算出する。
次に、電極間距離d毎に、20種類のアミノ酸1分子のコンダクタンスの最大値で、アミノ酸それぞれの1分子のコンダクタンスを除することにより、各アミノ酸1分子の相対コンダクタンスGを算出する。
ここで、図7に、一部のアミノ酸について、電極間距離d毎の相対コンダクタンスGを示す。図7の例では、電極間距離dは、d1=1.0nm、d2=0.7nm、及びd3=0.4nmである。図7に示すように、電極間距離dが0.4nmの場合には、His、Thr、Tyr、及びTrpの相対コンダクタンスGが近似している。同様に、電極間距離dが0.7nmの場合には、CysとPro、及びTyrとTrpとの相対コンダクタンスGが近似している。同様に、電極間距離dが1.0nmの場合には、Cys、Pro、及びPheの相対コンダクタンスGが近似している。このような近似した相対コンダクタンスGを、アミノ酸の種類を識別するための指標として用いた場合には、識別精度が低下する恐れがある。
そこで、電極間距離が各々異なる複数の状態で測定されたトンネル電流から算出した相対コンダクタンスGのうち、アミノ酸の種類を所定の精度で識別可能な相対コンダクタンスGを、電極間距離毎に選択する。
アミノ酸の種類を所定の精度で識別可能な相対コンダクタンスか否かは、例えば、以下の手順により判定することができる。
図8上段の図に示すように、電極間距離dがd1の状態で測定されたトンネル電流から算出した相対コンダクタンスG及びピークパルス持続時間tの値を、t−G空間にマッピングし、クラスター解析により、マッピングされた各点のクラス分けを行う。クラスター解析には従来既知の手法を用いることができる。そして、各クラスに含まれる各点が全て分離可能で、かつ各クラスに含まれる各点の少なくとも1つがノイズ領域(図8中斜線部分)外に存在する場合には、そのクラスに属する点が示す相対コンダクタンスGは、アミノ酸の種類を所定の精度で識別可能な相対コンダクタンスであると判定する。各クラスに含まれる各点が全て分離可能な場合とは、例えば、各点間の距離が全て予め定めた閾値以上である場合をいう。
図8上段の図では、クラス0にクラス分けされたK、R、E、及びDの各アミノ酸に対応する点、並びにクラス1にクラス分けされたW、Y、F、及びHの各アミノ酸に対応する点は全て分離可能であることを示す。また、クラス0に含まれる各点の少なくとも1つ、及びクラス1に含まれる各点の少なくとも1つは、ノイズ領域外に存在する。従って、クラス0及びクラス1に含まれる各点が示す相対コンダクタンスGは、各点に対応するアミノ酸の種類を所定の精度で識別可能であると判定できる。そこで、クラス0及びクラス1に含まれる各点に対応するアミノ酸の種類、各点が示す相対コンダクタンスG、及び電極間距離d(図8上段の図の例ではd=d1)を対応付けて、参照物理量テーブル36に格納する。
図8上段の図では、クラス0及びクラス1以外のクラスに含まれる各点は、全てが分離可能ではないか、またはクラスに含まれる各点の全てがノイズ領域に存在していることを示す。そこで、図8中段の図に示すように、所定の精度で識別可能であると判定されなかったアミノ酸について、電極間距離dがd2の状態で測定されたトンネル電流から算出した相対コンダクタンスG及びピークパルス持続時間tの値を、t−G空間にマッピングし、マッピングされた各点のクラス分けを行う。図8中段の図では、クラス2にクラス分けされたP、C、L、及びNの各アミノ酸に対応する点は全て分離可能であることを示す。また、クラス2に含まれる各点の少なくとも1つはノイズ領域外に存在する。従って、クラス2に含まれる各点が示す相対コンダクタンスGは、各点に対応するアミノ酸の種類を所定の精度で識別可能であると判定できる。そこで、クラス2に含まれる各点に対応するアミノ酸の種類、各点が示す相対コンダクタンスG、及び電極間距離d(図8中段の図の例ではd=d2)を対応付けて、参照物理量テーブル36に格納する。
図8中段の図では、クラス2以外のクラスに含まれる各点は、全てが分離可能ではないか、またはクラスに含まれる各点の全てがノイズ領域に存在していることを示す。そこで、さらに、図8下段の図に示すように、所定の精度で識別可能であると判定されなかったアミノ酸について、電極間距離dがd3の状態で測定されたトンネル電流から算出した相対コンダクタンスG及びピークパルス持続時間tの値を、t−G空間にマッピングし、マッピングされた各点のクラス分けを行う。図8下段の図では、クラス3にクラス分けされたM、I、T、S、A、及びVの各アミノ酸に対応する点、並びにクラス4にクラス分けされたG及びQの各アミノ酸に対応する点は全て分離可能であることを示す。また、クラス3に含まれる各点の少なくとも1つ、及びクラス4に含まれる各点の少なくとも1つはノイズ領域外に存在する。従って、クラス3及びクラス4に含まれる各点が示す相対コンダクタンスGは、各点に対応するアミノ酸の種類を所定の精度で識別可能であると判定できる。そこで、クラス3及びクラス4に含まれる各点に対応するアミノ酸の種類、各点が示す相対コンダクタンスG、及び電極間距離d(図8下段の図の例ではd=d3)を対応付けて、参照物理量テーブル36に格納する。
従って、上記の例では、クラス0及びクラス1に属するアミノ酸は、電極間距離dがd1の状態で測定されたトンネル電流から算出した相対コンダクタンスGを参照物理量として用いる。また、クラス2に属するアミノ酸は、電極間距離dがd2の状態で測定されたトンネル電流から算出した相対コンダクタンスGを参照物理量として用いる。また、クラス3及びクラス4に属するアミノ酸は、電極間距離dがd2の状態で測定されたトンネル電流から算出した相対コンダクタンスGを参照物理量として用いる。
上記のように、電極間距離が各々異なる複数の状態で測定されたトンネル電流から算出された相対コンダクタンスGのうち、アミノ酸の種類を所定の精度で識別可能な相対コンダクタンスGが、電極間距離毎に選択されて、参照物理量テーブル36に格納される。
識別部34は、識別対象のペプチド50から測定されたトンネル電流の電流値に基づいて作成されたコンダクタンス−時間プロファイルの各測定点のコンダクタンス(検出物理量)と、上述のように算出して、参照物理量テーブル36に格納された、種類が既知のアミノ酸についての相対コンダクタンスG(参照物理量)とを比較することにより、アミノ酸の種類を識別し、ペプチド50を構成するアミノ酸の配列を決定する。詳細な識別手法については、後述する。
次に、第1の実施の形態に係る生体分子シーケンシング装置10の作用について説明する。
まず、図9(A)に示すように、サンプル供給源からサンプルを採取し、タンパク質の抽出及び生成を行う。次に、図9(B)に示すように、抽出及び生成したタンパク質に変性材(水素結合阻害剤)を添加し、三次構造から一次構造に変性させる。次に、図9(C)に示すように、一次構造に変性されたタンパク質を、酵素による選択的短鎖化により、ペプチドに分解する。
次に、上記のように得られたペプチド50を溶液に溶解させる。溶液は、特に限定されないが、参照物理量を求める際に、アミノ酸を溶解した溶液と同一のものを用いることができる、例えば、超純水を用いることができる。超純水は、例えば、ミリポア社のMilli-Q Integral 3 (装置名)(Milli-Q Integral 3/5/10/15 (カタログ番号))を用いることによって作製することができる。溶液中のペプチド50の濃度は、特に限定されないが、例えば、0.01〜1.0μMとすることができる。
ペプチド50を溶解した溶液中にナノギャップ電極対12を配置し、測定用電源18により、ナノギャップ電極対12に電圧を印加すると共に、電気泳動用電源22により、電気泳動用電極対20に電圧を印加する。そして、制御部26を構成するコンピュータのCPUが、ROMに格納された生体分子シーケンシングプログラムを読み出して実行することにより、生体分子シーケンシング装置10により、図10に示す生体分子シーケンシング処理が行われる。生体分子シーケンシング装置10により行われる生体分子シーケンシング処理は、本発明に係る生体分子シーケンシング方法の一例である。
図10に示す生体分子シーケンシング処理のステップS10で、電極間距離制御部30が、変数iを1に設定する。次に、ステップS12で、電極間距離制御部30が、電極間距離dがdiになるように、電極間距離変更部16を制御する。電気泳動用電極対20の電極間に電圧が印加されているため、電極間距離dがdiに設定されたナノギャップ電極対12の電極間をペプチド50が通過する。
次に、ステップS14で、測定制御部32が、電流計24を制御し、電極間距離dがdiの状態において、ナノギャップ電極対12の電極間をペプチド50が通過する際に生じたトンネル電流の電流値の測定を開始する。測定制御部32は、測定された電流値を取得し、各測定点の測定時間と対応付けて、所定の記憶領域に記憶する。
次に、ステップS16で、電極間距離制御部30が、電極間距離dがdiの状態で、ペプチド50がナノギャップ電極対12の電極間を所定回数往復したかを判定する。この判定は、電気泳動用電源22による電圧印加方向の切り替え回数により判定することができる。まだ所定回数往復していない場合には、本ステップの判定を繰り返す。所定回数往復した場合には、ステップS18へ移行し、測定制御部32が、電極間距離dがdiの状態におけるトンネル電流の測定を終了し、取得した電流値及び測定時間から、例えば図3上図に示すようなコンダクタンス−時間プロファイルを作成し、電極間距離diと対応付けて、所定の記憶領域に記憶する。
次に、ステップS20で、電極間距離制御部30が、予め定めた複数の電極間距離diの全てについてトンネル電流を測定する処理が終了したか否かを判定する。未処理の電極間距離diが存在する場合には、ステップS22へ移行し、電極間距離制御部30が、変数iを1インクリメントして、ステップS12に戻る。全ての電極間距離diについて、トンネル電流を測定する処理が終了した場合には、ステップS24へ移行し、図11に示す識別処理を実行する。
図11に示す識別処理のステップS240で、識別部34が、変数iに1を設定する。次に、ステップS242で、識別部34が、所定の記憶領域に記憶された電極間距離dがdiの状態におけるコンダクタンス−時間プロファイルを取得する。
次に、ステップS244で、測定制御部32により作成されたコンダクタンス−時間プロファイルに基づいて、識別部34が、各測定点のコンダクタンスの値と、その値を有する測定点の数との関係を示すヒストグラムを生成する。そして、識別部34は、生成したヒストグラムを所定の関数にフィッティングし、ヒストグラムのピークを検出する。例えば、図12に示すように、識別部34は、ヒストグラムに表れる複数のピークを検出し、各ピークのピーク値を算出する。そして、識別部34は、算出したピーク値と、参照物理量テーブル36に格納された各アミノ酸の相対コンダクタンスGであって、電極間距離diと対応付けられている相対コンダクタンスGとを比較して、ペプチド50に含まれる複数のアミノ酸の種類を特定する。
次に、ステップ246で、識別部34が、参照物理量テーブル36に相対コンダクタンスGが格納されている各アミノ酸に対応した確率密度関数を算出する。例えば、下記(2)式に示すガウス関数を用いて、確率密度関数を算出することができる。
ここで、μは各アミノ酸の相対コンダクタンスG、及びσは標準偏差である。
次に、ステップS248で、識別部34が、コンダクタンス−時間プロファイルの測定点毎のコンダクタンスの値、及び上記ステップS246で算出した各アミノ酸の確率密度関数を用いて、測定点毎のコンダクタンスの値が、各アミノ酸を示している確率を求め、求めた確率が最大となるアミノ酸の種類を、その測定点にアサインする。
次に、ステップS250で、識別部34が、コンダクタンス−時間プロファイルにおいて、アサインされたアミノ酸の種類が変化する変化点を検出し、コンダクタンス−時間プロファイルを、検出した変化点毎の区間に分割する。すなわち、各区間は、同一のアミノ酸がアサインされた測定点が継続している区間となる。識別部34は、区間毎に、各アミノ酸のアサインがどの程度確からしいかを、Q値によって判定する。Q値は、例えば下記(3)式とすることができる。
Q=−10log10P (3)
ここで、Pは、その区間の各測定点にアサインしたアミノ酸のエラー確率である。アサインしたアミノ酸の確率値P(=1−P)は、アサインしたアミノ酸の確率の各区間における時間積分値S1と、それ以外のアミノ酸の確率の各区間における時間積分値S2とを用いて、P=S1/(S1+S2)とすることができる。この場合、例えばQ値が6以上であれば、その区間にアサインされたアミノ酸の確率値Pは、75%以上の精度を持つ。
本実施の形態では、電極間距離di毎に識別可能なアミノ酸の種類が異なり、各区間のコンダクタンスが示すアミノ酸の種類が、必ずしも現在の電極間距離diで識別可能なアミノ酸の種類に該当するとは限らない。そこで、識別部34は、アミノ酸のアサインが、所定の精度(Q値が予め定めた閾値以上)を有していない場合には、その区間に含まれる各測定点に対していずれかのアミノ酸の種類をアサインすることなく、「不明」と判定する。
次に、ステップS252で、識別部34が、区間毎にアサインされたアミノ酸の通過時間(区間の時間長)と、アミノ酸の種類毎に予め定めた通過時間パラメータとを比較して、各区間にアサインされたアミノ酸の種類が適切か否かを判定する。
ここで、通過時間パラメータは、例えば、以下のように予め定めておくことができる。種類が既知のアミノ酸1分子を、ナノギャップ電極対12の電極間を通過させた際のトンネル電流を測定し、コンダクタンス−時間プロファイルを作成する。そして、コンダクタンスの値の変動から、アミノ酸の通過時間を計測する。トンネル電流の測定は、アミノ酸の通過方向を転換させて複数回行う。そして、測定毎に計測した通過時間を平均して、その平均値を含む所定範囲の値を、そのアミノ酸についての通過時間パラメータとする。
識別部34は、区間の時間長が、その区間にアサインされたアミノ酸の種類の通過時間パラメータに含まれる場合には、その区間にアサインされたアミノ酸の種類は適切であると判定する。区間の時間長が通過時間パラメータに含まれない場合には、その区間に含まれる各測定点に対していずれかのアミノ酸の種類をアサインすることなく、「不明」と判定する。
次に、ステップS254で、上記ステップS248〜S252におけるアサイン及び判定結果に基づいて、コンダクタンス−時間プロファイルにおける各区間に対応して、例えば図13に示すように、アサインしたアミノ酸の種類を示す1文字表記を、その区間に対する識別結果として配置する。アミノ酸の種類を識別できなかった場合には、その区間に対応するアミノ酸の種類が不明であることを示す文字(例えば「X」、以下「不明文字X」という)を配置する。なお、図13において、「B」はベースラインを示す。
次に、ステップS256で、識別部34が、重複読取配列を除去する。例えば、KREDというアミノ酸配列のペプチドの場合、KREDが正しい読取だが、1分子の運動がRで反転した場合、KRKREDというように、重複配列を読み出す可能性がある。そこで、重複配列部分を有する識別結果をミスリードと判定して、識別結果を「不明」とする。すなわち、上記ステップS254で配置した文字を、不明文字Xに置き換える。
具体的には、識別部34は、上記ステップS254で配置した文字配列を、ベースラインを示す「B」の部分で分断した部分配列毎に、上記(3)式と同様のQ値を算出する。ここでは、Pは、ある部分配列のエラー確率である。ある部分配列の確率値P(=1−P)は、その部分配列と同一の識別結果となっている部分配列の個数S1と、それ以外の識別結果となっている部分配列の個数S2とを用いて、P=S1/(S1+S2)とすることができる。例えば、分断された全ての部分配列において、部分配列1(XXXAXXXX)が5回、部分配列2(XXXLXXXX)が1回出現している場合には、部分配列1のQ値は7.78となる。このQ値が予め定めた閾値以上であれば、部分配列1は適切であると判定する。一方、部分配列2については、ミスリードであると判定する。
次に、ステップS258で、識別部34は、断片配列をアセンブルする。具体的には、リシーケンシング(配列既知)の場合、参照配列に上記ステップS254までの処理で識別(リード)した配列を張り付けて、一定Depth(一つのアミノ酸当たりのリードが重なった数)以上となった段階で終了する。de no voでの配列識別の場合、一致配列毎にContigを作製し,このContigを配列の重複部をもとに張り合わせる。
次に、ステップS260で、識別部34が、全ての電極間距離diに対応する相対コンダクタンスを用いてアミノ酸の種類を識別する処理を終了したか否かを判定する。未処理の電極間距離diが存在する場合には、ステップS260へ移行して、変数iを1インクリメントして、ステップS242へ戻る。これにより、図14に示すように、電極間距離diで識別可能なアミノ酸の相対コンダクタンスを用いて、各区間に対応するアミノ酸の種類が順次識別される。全ての電極間距離diについて処理が終了した場合には、ペプチド50を構成するアミノ酸の種類を識別した識別結果を出力して、図10に示す生体分子シーケンシング処理にリターンし、生体分子シーケンシング処理を終了する。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る生体分子シーケンシング装置によれば、生体分子がナノギャップ電極間を通過する際に生じたトンネル電流を、電極間距離が各々異なる複数の状態で測定し、電極間距離に応じて所定の精度で識別可能なアミノ酸の物理量を参照物理量として用いることで、生体分子を構成する単分子を、簡易な構成で、かつ高精度に識別することができる。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態に係る生体分子シーケンシング装置10と同一の部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図15に示すように、第2の実施の形態に係る生体分子シーケンシング装置210は、ナノギャップ電極対12A、12B、12C、測定用電源18、電気泳動用電極対20、電気泳動用電源22、電流計24、及び制御部226を含んで構成されている。
ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々の構成は、第1の実施の形態におけるナノギャップ電極対12と同様である。ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々は、各電極間の中心が同一軸上に並ぶように、絶縁膜14を介して積層されている。すなわち、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々の電極間により、ペプチド50が通過する一つの通路を形成している。ナノギャップ電極対12Aの電極間距離はd1、ナノギャップ電極対12Bの電極間距離はd2、ナノギャップ電極対12Cの電極間距離はd3で各々異なる。図15の例では、d1>d2>d3である。例えば、d1=1.0nm、d2=0.7nm、d3=0.5nmとすることができる。
制御部226は、図16に示すように、電気泳動制御部231、測定制御部232、及び識別部34を備えた構成で表すことができる。
電気泳動制御部231は、ペプチド50を、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々の電極間により形成された一つの通路を複数回往復して通過させるため、電気泳動用電極対20の電極間の電界方向が切り替わるように、電気泳動用電源22による電圧の印加を制御する。
測定制御部232は、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々の電極間で生じたトンネル電流を、各々測定するように電流計24を制御すると共に、電流計24で測定された電極間距離毎のトンネル電流の電流値を取得してコンダクタンスを計算し、電極間距離毎のコンダクタンス−時間プロファイルを作成する。
次に、第2の実施の形態の生体分子シーケンシング装置210の作用について説明する。
第1の実施の形態と同様に、ペプチド50を溶解した溶液を用意し、溶液中にナノギャップ電極対12A、12B、12Cを配置し、測定用電源18により、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々に電圧を印加すると共に、電気泳動用電源22により、電気泳動用電極対20に電圧を印加する。これにより、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々の電極間により形成された一つの通路をペプチド50が通過する。
そして、制御部226を構成するコンピュータのCPUが、ROMに格納された生体分子シーケンシングプログラムを読み出して実行することにより、生体分子シーケンシング装置210により、図17に示す生体分子シーケンシング処理が行われる。生体分子シーケンシング装置210により行われる生体分子シーケンシング処理は、本発明に係る生体分子シーケンシング方法の一例である。
図17に示す生体分子シーケンシング処理のステップS214で、測定制御部232が、電流計24を制御し、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々の電極間により形成された一つの通路を、ペプチド50が通過する際に、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々の電極間に生じたトンネル電流の電流値の測定を開始する。測定制御部232は、測定された電流値を取得し、各測定点の測定時間、及びナノギャップ電極対12A、12B、12Cのいずれで測定された電流値かを示す情報(例えば、電極間距離を示すd1、d2、d3)と対応付けて、所定の記憶領域に記憶する。
次に、ステップS16で、電気泳動制御部231が、ペプチド50が、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々の電極間により形成された一つの通路を、所定回数往復したかを判定する。まだ所定回数往復していない場合には、本ステップの判定を繰り返す。所定回数往復した場合には、ステップS218へ移行し、測定制御部232が、トンネル電流の測定を終了し、取得した電流値及び測定時間から、図3上図に示すようなコンダクタンス−時間プロファイルを、電極間距離毎に作成し、所定の記憶領域に記憶する。
次に、ステップS24で、図11に示す識別処理を実行する。識別処理は、第1の実施の形態における識別処理と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、第2の実施の形態に係る生体分子シーケンシング装置によれば、第1の実施の形態と同様に、生体分子を構成する単分子を、簡易な構成で、かつ高精度に識別することができる。また、電極間距離が各々異なる複数の状態毎のトンネル電流を一度に測定することができるため、第1の実施の形態に係る生体分子シーケンシング装置に比べ、トンネル電流の測定時間を短縮することができる。
なお、第2の実施の形態では、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々を、各電極間の中心が同一軸上に並ぶように積層する構成について説明したが、これに限定されない。例えば、同一平面上に、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々を配置してもよい。この場合、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々に対応して電気泳動用電極を設けるなどして、ペプチド50が、ナノギャップ電極対12A、12B、12Cの各々の電極間を順次通過するように制御すればよい。
また、上記各実施の形態では、ペプチドを構成する20種類のアミノ酸の種類を識別する場合について説明したが、修飾されたアミノ酸を含む20種類以上のアミノ酸を識別するようにしてもよい。修飾されたアミノ酸は、分子直径が大きくなる。そのため、その分子直径に応じた電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から算出した相対コンダクタンス及びピークパルス持続時間をt−G空間にマッピングした点は、他のアミノ酸に対応した点との識別が容易で、図19に概略的に示すように、明確にクラス分けされ、アミノ酸の種類を識別可能な指標を得ることができる。従って、修飾されたアミノ酸についても、化学修飾等の前処理を行うことなく、簡易な構成で、かつ高精度に識別することができる。このような修飾されたアミノ酸は、タンパク質の活性または不活性状態を制御するもので、疾病診断の重要なターゲットである。
また、上記各実施の形態では、生体分子として、生体高分子であるペプチド(タンパク質)、生体高分子を構成する単分子としてアミノ酸を例に説明したが、これに限定されない。例えば、核酸を構成するヌクレオチドの種類を識別する場合、糖鎖を構成する単糖の種類を識別する場合にも適用可能である。
本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施の形態として説明したが、外部の記憶装置や記録媒体等に格納されたプログラムを随時読み込んで、またインターネットを介してダウンロードして実行するようにしてもよい。また、当該プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。
10、210 生体分子シーケンシング装置
12、12A、12B、12C ナノギャップ電極対
16 電極間距離変更部
24 電流計
26 制御部
30 電極間距離制御部
32、232 測定制御部
34 識別部
36 参照物理量テーブル
50 ペプチド

Claims (5)

  1. 少なくとも1種類以上の単分子が連結した生体分子が電極間を通過する際に、トンネル電流が流れるように配置され、電極間距離が各々異なる複数の電極対と、
    前記生体分子が前記電極対の電極間を通過したときに生じるトンネル電流を、前記電極対の電極間距離が各々異なる複数の状態毎に測定する測定部と、
    複数種類の単分子の各々を所定の精度で識別可能な電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた少なくとも1種類の種類が既知の単分子の参照用物理量と、前記参照用物理量に対応した電極間距離の状態で前記測定部により測定されたトンネル電流から得られた検出物理量とに基づいて、前記生体分子を構成する少なくとも1種類の単分子の種類を識別する識別部と、
    を含む生体分子シーケンシング装置。
  2. 前記電極対の電極間距離を変更して、前記生体分子が電極間を通過するように制御する制御部を含む請求項1記載の生体分子シーケンシング装置。
  3. 前記識別部は、所定の電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた検出物理量に基づいて、種類を識別できなかった単分子の種類を、前記所定の電極間距離とは異なる電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた検出物理量に基づいて識別する請求項1又は2記載の生体分子シーケンシング装置。
  4. 少なくとも1種類以上の単分子が連結した生体分子が電極間を通過する際に、トンネル電流が流れるように配置され、電極間距離が各々異なる複数の電極対の電極間を、前記生体分子が通過したときに生じるトンネル電流を、前記電極対の電極間距離が各々異なる複数の状態毎に測定し、
    複数種類の単分子の各々を所定の精度で識別可能な電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた少なくとも1種類の種類が既知の単分子の参照用物理量と、前記参照用物理量に対応した電極間距離の状態で定されたトンネル電流から得られた検出物理量とに基づいて、前記生体分子を構成する少なくとも1種類の単分子の種類を識別する
    生体分子シーケンシング方法。
  5. コンピュータを、
    少なくとも1種類以上の単分子が連結した生体分子が電極間を通過する際に、トンネル電流が流れるように配置され、電極間距離が各々異なる複数の電極対の電極間を、前記生体分子が通過したときに生じるトンネル電流を、前記電極対の電極間距離が各々異なる複数の状態毎に測定するように測定部を制御する測定制御部、及び
    複数種類の単分子の各々を所定の精度で識別可能な電極間距離の状態で測定されたトンネル電流から得られた少なくとも1種類の種類が既知の単分子の参照用物理量と、前記参照用物理量に対応した電極間距離の状態で前記測定部により測定されたトンネル電流から得られた検出物理量とに基づいて、前記生体分子を構成する少なくとも1種類の単分子の種類を識別する識別部
    として機能させるための生体分子シーケンシングプログラム。
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