JP2020076605A - 電極調整方法および電極調整装置 - Google Patents

電極調整方法および電極調整装置 Download PDF

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正輝 谷口
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敬人 大城
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Abstract

【課題】微小な電極の先端部の形状を調整する技術を提供する。【解決手段】この電極調整方法は、一対の電極の先端形状を調整する方法であって、電極の先端部の先鋭化を行う先鋭化工程(S22,S24)と、先鋭化工程(S22,S24)の後において、先端部の先鋭度を確認する先鋭度確認工程(S26)とを有する。先鋭化工程(S22,S24)は、電極の先端部同士を接触させる工程と、接触位置から所定の接触距離近づける工程と、電極の先端部を離間させる工程とを含む。先端部同士を接触後に離間させて、先端部の先鋭化を行う。先鋭度確認工程は(S26)、先端部同士を接触させる工程と、電極間に流れる電流値を計測しつつ先端部同士を離間させ、計測した電流値が離散値をとるか否かを判断する工程とを含む。電極間の電流値が離散的となることを確認することにより、先端部が先鋭化されたことを確認できる。【選択図】図10

Description

本発明は、生体高分子の識別に用いられる電極を調整する方法および装置に関する。
従来、原子や分子を測定、観察または識別するために、微細な先端部を有するプローブ(探針)や電極が用いられている。例えば、従来の原子間力顕微鏡(AFM)や走査型トンネル顕微鏡(STM)などの走査型プローブ顕微鏡(SPM)には、先端の曲率半径が20nm以下の先鋭な探針が用いられる。
また、従来の微細な先端部を有する電極は、例えば、特定の分子や原子を測定または識別するために用いられる。微細な電極を用いて特定の分子を識別する方法については、例えば、特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の単分子識別方法では、電極間距離の短いナノギャップ電極を用いて、電極間を通過する生体高分子を構成する単分子を、トンネル電流を測定することにより識別する。
特開2015−64248号公報
特許文献1に記載のように、生体高分子の識別を目的として電極間のトンネル電流を測定する電極は、その先端部が微細に形成されており、かつ、電極間の距離を精度良く調整可能であることが好ましい。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、微小な電極の先端部の形状を調整する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、第1方向に間隔を空けて配置される基端部から互いに近づく方向に延びる一対の電極の先端形状を調整する電極調整方法であって、a)前記電極の先端部の先鋭化を行う工程と、b)工程a)の後において、前記先端部の先鋭度を確認する工程と、を有し、前記工程a)は、a1)前記電極の先端部同士が接触しない位置から前記基端部同士を接近させて前記先端部同士を接触させる工程と、a2)前記基端部同士を、前記工程a1)における接触位置から所定の接触距離近づける工程と、a3)前記基端部同士の間隔を大きくして、前記先端部同士を離間させる工程と、を含み、前記工程b)は、b1)前記先端部同士が接触しない位置から前記基端部同士の間隔を小さくして前記先端部同士を接触させる工程と、b2)前記電極間に電圧を印加して前記電極間に流れる電流値を計測しつつ、前記基端部同士の間隔を大きくして前記先端部同士を離間させ、計測した前記電流値が離散値をとるか否かを判断する工程と、を含む。
本願の第2発明は、第1発明の電極調整方法であって、前記工程b2)において、前記電流値が複数の離散値をとるとともに、前記複数の離散値のうち最も小さな電流値から算出される前記電極間のコンダクタンスが、前記電極の前記先端部の接触箇所において通電可能な金属原子が1個である場合のコンダクタンスに相当するか否かを判断する。
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の電極調整方法であって、前記工程a)を複数回行う。
本願の第4発明は、第3発明の電極調整方法であって、前記接触距離を第1接触距離として、前記工程a)を1回または複数回行った後、前記接触距離を前記第1接触距離よりも小さい第2接触距離として、前記工程a)を1回または複数回行う。
本願の第5発明は、第3発明または第4発明の電極調整方法であって、前記工程a3)における離間速度を第1離間速度として、前記工程a)を1回または複数回行った後、前記離間速度を前記第1離間速度よりも小さい第2離間速度として、前記工程a)を1回または複数回行う。
本願の第6発明は、第3発明ないし第5発明のいずれかの電極調整方法であって、前記工程b2)において、前記電流値が所定の基準電流値未満の範囲において、前記基端部同士の間隔を離間する速度を次第に大きくする。
本願の第7発明は、第6発明の電極調整方法であって、前記工程b2)において、前記電流値が所定の基準電流値以上の範囲において、前記基端部同士の間隔を離間する速度を次第に小さくする。
本願の第8発明は、第1方向に間隔を空けて配置される基端部から互いに近づく方向に延びる一対の電極の先端形状を調整する電極調整装置であって、前記電極の前記基端部同士の間隔を変更する電極間隔変更部と、前記電極間に電圧を印加する電源と、前記電極間の電流値を計測する電流計と、前記電極間隔変更部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記電極の先端部を先鋭化する先鋭化工程と、1回または複数回の前記先鋭化工程の後において前記先端部の先鋭度を確認する確認工程とを実行し、前記制御部は、前記先鋭化工程において、前記電極間隔変更部により前記電極の先端部同士が接触しない位置から前記基端部同士を接近させて前記先端部同士を接触させ、前記基端部同士を接触位置から所定の接触距離近づけ、その後、前記基端部同士の間隔を大きくして前記先端部同士を離間させ、前記制御部は、前記確認工程において、前記電極間隔変更部により前記先端部同士が接触しない位置から前記基端部同士の間隔を小さくして前記先端部同士を接触させ、その後、前記電源から前記電極間に電圧を印加して前記電極間に流れる前記電流値を前記電流計で計測しつつ、前記電極間隔変更部により前記基端部同士の間隔を大きくして前記先端部同士を離間させ、前記電流値が離散値をとるか否かを判断する。
本願の第1発明から第8発明によれば、電極の先端部同士を接触させた後に離間させることにより、電極の先端部を先鋭化できる。その後、電極の離間時に電極間の電流値が離散的となることを確認することにより、先端部同士の接触原子数が数個以下となっていることを確認できる。すなわち、電極の先端部が先鋭化されたことを確認できる。
特に、本願の第2発明によれば、電極の先端部同士の接触原子数が1つとなっていることを確認できる。すなわち、電極の先端部が精度良く先鋭化されたことを確認できる。
特に、本願の第3発明によれば、先鋭化工程を複数回行うことにより、電極の先端部をより先鋭化できる。
特に、本願の第4発明および第5発明によれば、段階的に先鋭化を行うことにより、先鋭化を効率良く行うことができる。
第1実施形態に係る電極基板の上面図である。 第1実施形態に係る電極基板の部分上面図である。 第1実施形態に係る電極基板の部分上面図である。 第1実施形態に係る電極基板の部分上面図である。 第1実施形態に係る電極基板の部分断面図である。 第1実施形態に係る電極基板の金属線の基端部間の距離の調整を行う際の様子を示した図である。 第1実施形態に係る電極基板のナノ電極の基端部間の距離の調整を行う際の様子を示した図である。 第1実施形態に係る電極基板の押し曲げ時の様子を示した部分断面図である。 第1実施形態に係る電極基板を用いた計測処理の全体の流れを示したフローチャートである。 第1実施形態に係る電極の先鋭化処理の流れを示したフローチャートである。 第1実施形態に係る電極の先鋭化処理における第1先鋭化工程の流れを示したフローチャートである。 第1実施形態に係る電極の先鋭化処理における第2先鋭化工程の流れを示したフローチャートである。 第1実施形態に係る電極の先鋭化処理における先鋭度確認工程の流れを示したフローチャートである。 第1実施形態に係る電極の先鋭化処理における電極間の電流値の例を模式的に示した図である。 第1実施形態に係る電極の先鋭化処理における電極間の電流値の例の一部を模式的に示した図である。 第1実施形態に係る電極の先鋭化処理における電極の先端部の形状の変化を模式的に示した図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、電極基板の厚み方向を上下方向とし、基板層に対して金属層側を上側、金属層に対して基板層側を下側として説明を行っている。しかしながら、電極基板の使用時の向きは必ずしも金属層側を鉛直上向きとしなくてもよい。
<1.第1実施形態>
<1−1.電極基板の構成>
本発明の第1実施形態に係る電極基板1について、図1〜図5を参照しつつ説明する。図1は、電極基板1の上面図である。図2〜図4は、電極基板1の部分上面図である。図5は、電極基板1の部分断面図である。図1〜図5には、金属線を破断し、一対のナノ電極33となった後の電極基板1の様子が示されている。
図1に示すように、電極基板1は、略長方形の板状の基板である。この電極基板1は、生体高分子であるタンパク質を構成するアミノ酸、核酸(DNA,RNA)を構成するヌクレオチド、糖鎖を構成する単糖、その他の生体高分子を構成する単分子の配列や、各単分子を解析するために用いられる。具体的には、後述する一対のナノ電極33間に電圧を印加した状態でナノ電極33間に生体高分子を通過させる。そして、ナノ電極33と生体高分子との間に流れるトンネル電流を検知し、検知したトンネル電流を解析することにより、生体高分子を構成する単分子の解析を行う。
図1〜図5に示すように、電極基板1は、基板層20と、金属層30とを有する。以下では、電極基板1の長手方向を第1方向と称し、電極基板1の短手方向を第2方向と称する。第2方向は、第1方向と直交する。なお、「直交する」とは、「略直交する」を含むものとする。
本実施形態の基板層20は、絶縁材料により形成される。本実施形態の基板層20は、図5に示すように、シリコン(Si)により形成された第1基板層21の上にポリイミドにより形成された第2基板層22が重なった2層構造である。なお、本実施形態の基板層20は2層構造であるが、本発明はこれに限られない。基板層20は1種類の材料により形成される1層のみから構成されてもよいし、3つ以上の層から構成されてもよい。また、基板層20は、絶縁性の材料により形成されていれば、ポリエチレンテレフタラート樹脂、セラミック、シリコーンゴムまたはアルミナ等の、シリコンおよびポリイミド以外の材料により形成されてもよい。
金属層30は、図1〜図4に示すように、一対の接続用電極部31と、一対の配線部32と、一対のナノ電極33とを有する。一対の接続用電極部31は、第1方向に互いに離れた位置に配置される。一対の配線部32はそれぞれ、接続用電極部31から電極基板1の中央に向かって第1方向に延びる。一対のナノ電極33は、配線部32の接続用電極部31とは反対側の端部から電極基板1の中央に向かって第1方向に延びる。金属層30は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、タングステン(W)等の金属により形成される。
本実施形態では、図5に示すように、金属層30は、クロム(Cr)、白金(Pt)等により形成された第1金属層301と、上記の金、白金、銀、銅、タングステン等の金属からなる第2金属層302とにより構成される。接続用電極部31および配線部32は、第1金属層301と第2金属層302の両方により構成される。一方、ナノ電極33は第2金属層302のみから構成される。なお、この実施形態では、例えば、第1金属層301の厚みは約1〜10nm、第2金属層302の厚みは約50〜300nmである。
基板層20および金属層30の最上面は、絶縁膜(図示せず)により覆われている。金属層30の表面を絶縁膜で覆うことにより、ナノ電極33を液中で用いる場合に、金属層30のうちナノ電極33以外の箇所において、金属層30を構成する金属と液体との間における電子のやりとりが生じるのを抑制できる。なお、本実施形態では、絶縁膜はTEOS酸化膜であるが、絶縁性の材料であれば、他の材料により形成されてもよい。なお、接続用電極部31の上面の少なくとも一部には、絶縁膜が形成されない。このため、接続用電極部31の上面の少なくとも一部は露出している。
配線部32は、接続用電極部31からナノ電極33へ向かうにつれて次第にその幅が小さくなる。ただし、図2に示すように、ナノ電極33の近傍においては、配線部32の幅は略一定である。本実施形態では、配線部32の当該部位の幅は、約8μmである。また、ナノ電極33のごく近傍において、配線部32は、ナノ電極33へ向かって幅が次第に小さくなるテーパ状となっている。
ナノ電極33はそれぞれ、配線部32と繋がる基端部331から、略一定の幅で第1方向に延びる。本実施形態では、ナノ電極33の当該部位の幅は、約400nmである。また、ナノ電極33の先端部332付近では、その幅が次第に小さくなる。本実施形態の電極基板1は、繋がった金属線を破断することにより一対のナノ電極33を形成させるものである。なお、金属線の破断方法については、後述する。
破断前において、ナノ電極33となる金属線は、その中央部に向かうにつれて第2方向の幅が次第に狭くなる幅狭部333(図16参照)を有している。幅狭部333の最小幅は、例えば約80nmとされる。そして、金属線の両端部の第1方向の間隔を大きくすることにより、幅狭部333が破断し、2つのナノ電極33が形成される。このため、破断前の幅狭部333に相当する部分が、破断後の一対のナノ電極33の先端部332となる。図4および図5に示すように、破断後、すなわちナノ電極33形成後において、初期状態(電極基板1が曲げられていない自然な状態)では、一対のナノ電極33の先端部332同士が接触している。
基板層20は、上面から下方へ凹む流路50を有する。流路50は、第1流路51、第2流路52および計測流路53を有する。第1流路51および第2流路52は、ナノ電極33を挟んで第2方向に対向して配置される。計測流路53は、第2方向に延びる溝である。計測流路53は、第1流路51と第2流路52を第2方向に繋ぐ。
第1流路51および第2流路52は、格子状に繋がる複数の溝により構成される。このような形状により、第1流路51および第2流路52に生体高分子を含む液体が充填されると、各生体高分子が溝の延びる方向に沿って配置されやすくなる。したがって、第1流路51および第2流路52と計測流路53との境界部で生体高分子が詰まって液体の流動性が低下するのが抑制されるとともに、計測流路53内において各生体高分子が計測流路53の延びる方向に沿って配置される。第1流路51および第2流路52の各溝は、幅が約1μmであり、深さが約2μmである。
計測流路53は、第2方向に沿って延びる。ナノ電極33の先端部332は、計測流路53と上下に重なる位置に配置される。したがって、計測流路53内を第2方向に移動する生体分子の一部は、ナノ電極33の間を通過する。
計測流路53の深さは、第1流路51および第2流路52と同様、約2μmである。計測流路53は、第1流路51および第2流路52とそれぞれ繋がる2つの導入溝531と、2つの導入溝531を繋ぐ計測溝532とを有する。
導入溝531の幅は略一定であり、約800nmである。計測溝532は、それぞれの導入溝531からナノ電極33の直下に向かうにつれて、次第に幅が狭くなる。計測溝532は、ナノ電極33の直下において、最も幅が狭くなる。当該部位において、計測溝532の幅は約100nmである。計測流路53がナノ電極33に向かって幅が狭くなる計測溝532を有することにより、ナノ電極33の破断後の電流値計測時に、生体分子が、計測流路53の延びる第2方向に沿う向きで、2つのナノ電極33の間を通過しやすい。
計測溝532は、図5に示すように、上方に向かうにつれて第1方向の幅が徐々に大きくなるV字状の断面を有する。なお、計測溝532の断面形状はV字状に限られない。計測溝532の断面形状は、U字状などの他の形状であってもよい。
ここで、電極調整装置9を用いた電極基板1の押し曲げによるナノ電極33の基端部331同士の間隔の調整について説明する。図6および図7は、ナノ電極33の基端部331間の距離の調整を行う際の様子を示した図である。図6は、電極調整装置9にセットされた電極基板1の初期状態における様子を示した側面図である。図7は、電極調整装置9にセットされた電極基板1の押し曲げ時における様子を示した側面図である。図8は、押し曲げ時の様子を示した電極基板1の部分断面図である。
図6および図7に概念的に示すように、電極調整装置9は、載置台91と、固定具92と、押し上げ具93と、電源94と、電流計95と、制御部90とを有する。
載置台91は、電極基板1を載置する平らな上面を有する。本実施形態の固定具92は、第1方向に対して略垂直に配置される4つの板状部材である。固定具92は、第1方向の2箇所において、電極基板1を上下から押さえて固定する。電極基板1は、固定具92による2つの固定箇所の中央にナノ電極33が位置するように、配置される。押し上げ具93は、半球状の上面を有する円柱状の部材である。押し上げ具93は、モータおよびピエゾ素子等を有する昇降機構(図示省略)に接続されている。電極基板1は、押し上げ具93の最も上方に突出した部分の真上にナノ電極33が位置するように、配置される。なお、昇降機構は、押し上げた高さを制御できる機構であれば、その他の動力を用いた機構であってもよい。
電極基板1の押し曲げ時(ナノ電極33の基端部331同士の間隔の調整時)と、ナノ電極33を用いた生体高分子のトンネル電流計測時とにおいて、電源94は、一対の接続用電極部31に対して電圧を印加する。そして、電流計95は、電源94により印加された電圧によって、ナノ電極33に流れる電流の電流値を計測する。
制御部90は、押し上げ具93、電源94および電流計95とそれぞれ電気的に接続し、各部を制御する。制御部90には、例えば、コンピュータが用いられる。
電極基板1を電極調整装置9にセットする際には、まず、載置台91上に電極基板1を載置する。その後、電極基板1に負荷のかからない状態で電極基板1を上下から4つの固定具92で固定する。このように電極基板1に負荷のかからない状態を初期状態と称する。
押し曲げ時には、図7に示すように、昇降機構により、押し上げ具93が上方へと移動する。これにより、電極基板1のナノ電極33付近が下面側から押し上げられる。
このように電極基板1が押し曲げられて変形すると、計測溝532を構成する基板層20の側壁が、図8中に実線矢印で示すように、互いに離れる方向へと移動する。これにより、ナノ電極33の2つの基端部331は、互いに離れる方向へと移動する。その結果、ナノ電極33の基端部331同士の間隔が拡がる。すなわち、押し上げ具93は、ナノ電極33の基端部331同士の間隔を変更する電極間隔変更部を構成する。なお、ナノ電極33を形成する場合には、例えば、電極基板1の押し上げを複数回繰り返すことによって、金属線の端部(後のナノ電極33の基端部331)同士の間隔を広げて金属線を引き伸ばし、金属線を破断させる。
押し曲げ時には、固定具92の間において、ナノ電極33付近を中心として電極基板1の上面が第1方向にも第2方向にも伸びる力が加わる。これにより、図8中に破線矢印で示すように、一対のナノ電極33の基端部331は、第1方向に互いに離れる。これにより、基端部331同士の間隔が大きくなる。なお、この電極基板1では、ナノ電極33の直下に第2方向に延びる溝である計測流路53が配置されるため、図8中に実線矢印で示すように、計測流路53の底面を中心として、計測流路53を構成する側壁が、第1方向へ大きく開く。このため、基端部331同士の間隔を大きく変更しやすい。
このような電極基板1の押し曲げを、電源94により接続用電極部31間に電圧を印加した状態で行う。このようにすると、電流計95で計測された電流値から、ナノ電極33同士が接触しているか否かを判断できる。なお、制御部90は、電流計95で計測された電流を、電流増幅器を用いて増幅してから取得してもよい。
<1−2.生体高分子のトンネル電流計測処理までの流れ>
次に、ナノ電極33の形成前の電極基板1を用いて、生体高分子のトンネルの計測処理を行うまでの処理の流れについて、図9を参照しつつ説明する。図9は、電極基板1を用いた計測処理の全体の流れを示したフローチャートである。
まず、ナノ電極33形成前の電極基板1を電極調整装置9にセットする(ステップS0)。本実施形態では、ステップS0の前に、電極基板1の流路50に、計測対象である生体高分子試料を含む液体が満たされている。そして、ステップS0の後のステップS1〜ステップS4の間、制御部90は、電源94により接続用電極部31間に一定の電圧を印加しつつ、電流計95による電流値の計測を行う。
そして、ナノ電極33を形成するため、配線部32間を繋ぐ金属線を破断させる、破断処理を実行する(ステップS1)。具体的には、制御部90が、押し上げ具93の押し上げおよび引き下げを複数回繰り返す。そして、電流計95から計測された電流値が所定の閾値以下となった場合、金属線が破断され、ナノ電極33が形成されたと判断できる。なお、予めナノ電極33が形成された電極基板1を用いてもよい。その場合は、ステップS1の破断処理を省略できる。
次に、ナノ電極33の先端部332の先鋭化処理を実行する(ステップS2)。ステップS2の先鋭化処理の詳細については、後述する。この先鋭化処理により、ナノ電極33の先端部332が先鋭化され、ナノ電極33間を流れる電流の電流値から、ナノ電極33間の距離や、ナノ電極33間を通過する生体高分子のトンネル電流値を正確に計測することができるようになる。
続いて、ナノ電極33間の距離をより正確に把握するために、校正処理を実行する(ステップS3)。具体的には、ナノ電極33同士が接触しない範囲で、押し上げ具93の押し上げおよび引き下げを複数回繰り返す。そして、押し上げ具93の操作量と、ナノ電極33間を流れる電流の電流値との関係から、押し上げ具93の操作量と、ナノ電極33間の距離との関係を算出する。これにより、ナノ電極33間の距離をより正確に調整可能となる。
そして、ナノ電極33間の距離を所定の間隔として、ナノ電極33間を通過する生体高分子のトンネル電流の計測処理を実行する(ステップS4)。
<1−3.先鋭化処理の流れ>
続いて、ナノ電極33の先鋭化処理の流れについて、図10〜図16を参照しつつ説明する。図10は、ナノ電極33の先鋭化処理の流れを示したフローチャートである。図11は、ナノ電極33の先鋭化処理における第1先鋭化工程の流れを示したフローチャートである。図12は、ナノ電極33の先鋭化処理における第2先鋭化工程の流れを示したフローチャートである。図13は、ナノ電極33の先鋭化処理における先鋭度確認工程の流れを示したフローチャートである。図14は、ナノ電極33の先鋭化処理におけるナノ電極33間の電流値の例を模式的に示した図である。図15は、図14に示す電流値の例の一部を示した図である。図16は、ナノ電極33の先鋭化処理におけるナノ電極33の先端部332の形状の変化を模式的に示した図である。図10に示す先鋭化処理においては、制御部90は、電源94による電圧の印加と、電流計95による電流値の計測とを、継続して行っている。
ナノ電極33間の間隔を十分大きくすると、ナノ電極33間にトンネル電流が流れない。このため、ナノ電極33間の間隔を十分大きくした場合に電流計95の計測する電流値(以下、「ベース電流値」と称する)は、電極調整装置9の構成や、試料を含む液体を介して流れるリーク電流に起因する。ナノ電極33間の間隔を小さくすると、ナノ電極33間にトンネル電流が流れる。この時、電流計95の計測する電流値は、ベース電流値に当該トンネル電流の電流値を加えたものとなる。
図10に示すように、ナノ電極33の先鋭化処理では、まず、制御部90が、押し上げ具93を動作させ、一対のナノ電極33同士を、互いに接触しない離間位置に配置する(ステップS21)。ここで、離間位置とは、電流計95の計測する電流値が、離間閾値以下となるナノ電極33の位置を意味する。離間閾値は、ベース電流値よりも大きい。また、離間閾値は、後述する接触閾値とベース電流値との中間値(平均値)よりも小さい。
次に、制御部90は、第1先鋭化工程を行う(ステップS22)。第1先鋭化工程と、後述する第2先鋭化工程とにおいては、ナノ電極33の先端部332の先鋭化が行われる。図11に示すように、第1先鋭化工程では、まず、制御部90は、押し上げ具93を引き下げ、ナノ電極33の先端部332同士が接触しない離間位置から基端部331同士を接近させる(第1接近工程、ステップS221)。
そして、制御部90は、第1接近工程を継続しつつ、ナノ電極33の先端部332同士が接触したか否かを判断する(ステップS222)。具体的には、制御部90は、電流計95の計測した電流値が所定の接触閾値以上となったか否かを判断する。電流計95の計測した電流値が接触閾値に達していないと判断した場合(ステップS222:No)、制御部90は、ステップS221の第1接近工程を継続する。
電流計95の計測した電流値が接触閾値以上となったと判断すると(ステップS222:Yes)、制御部90は、接触閾値に達した位置(「接触位置」と称する)から、ナノ電極33の基端部331同士の間隔をさらに所定の第1接触距離だけ接近させた後、ナノ電極33の接近を停止させる(ステップS223)。
続いて、制御部90は、押し上げ具93を押し上げ、ナノ電極33を離間位置まで離間させる(第1離間工程、ステップS224)。
ここで、第1先鋭化工程の第1離間工程(ステップS224)におけるナノ電極33の離間速度(ナノ電極33の基端部331同士の間隔が拡がる速度)を、第1離間速度とする。第1離間速度は、例えば、2000nm/secとされる。本実施形態では、ステップS221〜S223におけるナノ電極33の接近速度と、ステップS224における第1離間速度とは、同じ速度である。ただし、ステップS221〜S223におけるナノ電極33の接近速度は、ステップS224におけるナノ電極33の離間速度より速くてもよい。
図14に示すように、ステップS221では、まず、ナノ電極33間の距離が近づくことにより、ナノ電極33間を流れるトンネル電流が増加する。その後、ステップS221からステップS222にかけて、ナノ電極33の先端部332同士が接触することにより、ナノ電極33間を流れる電流値が急増する。そして、ステップS223において、電流値が接触閾値に達した接触位置からさらに第1接触距離の分だけナノ電極33同士を近づける。ナノ電極33の先端部332の金原子同士が、第1接触距離の分だけ押しつけ合うことにより、接触した箇所において2つのナノ電極33の先端部332の表面を構成する金原子の間に引きつけ合う力が生じる。
本実施形態では、第1接触距離が1.0nmである。このため、一方のナノ電極33の先端部332の金原子と、他方のナノ電極33の先端部332の金原子が約10原子層分接触して押しつけ合う。
その後、ステップS224においてナノ電極33同士を離間させることで、ナノ電極33の先端部332には、離間方向に引っ張られる力と、もう一方の他のナノ電極33方向に引きつけられる力とが働く。これにより、先端部332が第1方向に引き伸ばされ、先鋭化される。
図14に示すように、第1先鋭化工程(ステップS22)を繰り返すにつれて、接触位置から第1接触距離さらに近づけた位置でのピーク電流値(領域A)の値が次第に小さくなっている。これは、図16に示すように、ナノ電極33が次第に先鋭化しているために、接触位置から第1接触距離さらに近づけた位置におけるナノ電極33同士の接触金原子数が少なくなっていることを示している。なお、第2先鋭化工程(ステップS24)においても同様である。
ステップS22の第1先鋭化工程が終了すると、制御部90は、第1先鋭化工程が所定の回数終了したか否かを判断する(ステップS23)。図14の例では、ステップS22の第1先鋭化工程が3回行われる。この場合、ステップS23において、3回目の第1先鋭化工程が終了したか否かを判断する。第1先鋭化工程が所定の回数終了していないと判断すると(ステップS23:No)、制御部90は、ステップS22に戻り、再び第1先鋭化工程を行う。一方、第1先鋭化工程が所定の回数終了したと判断すると(ステップS23:Yes)、制御部90は、第2先鋭化工程を行う(ステップS24)。
図12に示すように、第2先鋭化工程では、まず、制御部90は、押し上げ具93を引き下げ、直前の第1離間工程(ステップS224)で配置された離間位置から基端部331同士を接近させる(第2接近工程、ステップS241)。
そして、制御部90は、第2接近工程を継続しつつ、ナノ電極33の先端部332同士が接触したか否かを判断する(ステップS242)。具体的には、制御部90は、電流計95の計測した電流値が所定の接触閾値以上となったか否かを判断する。電流計95の計測した電流値が接触閾値に達していないと判断した場合(ステップS242:No)、制御部90は、ステップS241の第2接近工程を継続する。
電流計95の計測した電流値が接触閾値以上となったと判断すると(ステップS242:Yes)、制御部90は、接触位置から、ナノ電極33の基端部331同士の間隔をさらに所定の第2接触距離だけ接近させた後、ナノ電極33の接近を停止させる(ステップS243)。
続いて、制御部90は、押し上げ具93を押し上げ、ナノ電極33を離間位置まで離間させる(第2離間工程、ステップS244)。
ここで、第2先鋭化工程の第2離間工程(ステップS244)におけるナノ電極33の離間速度を、第2離間速度とする。第2離間速度は、例えば、500nm/secとされる。また、ステップS241〜S243におけるナノ電極33の接近速度と、ステップS244における第2離間速度とは、同じ速度である。ただし、ステップS241〜S243におけるナノ電極33の接近速度は、ステップS244におけるナノ電極33の離間速度より速くてもよい。
また、本実施形態では、第2接触距離が0.8nmである。このため、一方のナノ電極33の先端部332の金原子と、他方のナノ電極33の先端部332の金原子が約8原子層分接触して押しつけ合う。
その後、ステップS244においてナノ電極33同士を離間させることで、ナノ電極33の先端部332には、離間方向に引っ張られる力と、もう一方の他のナノ電極33方向に引きつけられる力とが働く。これにより、先端部332が第1方向に引き伸ばされ、先鋭化される。
本実施形態では、上記のように、接触距離を第1接触距離(1.0nm)として先鋭化工程(第1先鋭化工程、ステップS22)を複数回行った後に、接触距離を第1接触距離よりも小さい第2接触距離(0.8nm)として先鋭化工程(第2先鋭化工程、ステップS24)を複数回行う。すなわち、先端からの距離が第1接触距離の範囲内でナノ電極33の先鋭化を行った後に、さらに先端からの距離が小さい第2接触距離の範囲内でナノ電極33の先鋭化を行う。このように、接触距離の観点において段階的にナノ電極33の先鋭化を行うことにより、先鋭化をより効率良く行うことができる。
なお、本実施形態において第1接触距離での先鋭化工程と、第2接触距離での先鋭化工程とは3回ずつ行った。すなわち、同じ接触距離での先鋭化工程をそれぞれ3回ずつ行った。しかしながら、本発明はこれに限られない。異なる接触距離での先鋭化工程はそれぞれ1回、2回、あるいは4回以上であってもよい。また、先鋭化工程の回数は接触距離ごとに異なっていてもよい。また、本実施形態では、接触距離の変更は1回であった。しかしながら、接触距離の変更はなくてもよいし、2回以上あってもよい。
また、本実施形態では、上記のように、離間速度を第1離間速度(2000nm/sec)として先鋭化工程(第1先鋭化工程、ステップS22)を複数回行った後に、離間速度を第1離間速度よりも小さい第2離間速度(500nm/sec)として先鋭化工程(第2先鋭化工程、ステップS24)を複数回行う。すなわち、比較的速い速度でナノ電極33の接触および離間を行った後に、さらに比較的遅い速度でナノ電極33の接触および離間を行う。
先鋭化工程(ステップS22,S24)において、ナノ電極33の先鋭化のために特に重要なのはナノ電極33の離間速度である。ナノ電極33の先端部332同士が引き離される際に、先端部332の表面の金原子同士が引きつけ合う力によって先端部332が第1方向に引き伸ばされる。このとき、離間速度が小さいほど、引き伸ばされた状態で金原子の再構成が行われる時間が長くなるため、先端部332を先鋭化しやすい。しかしながら、離間速度を小さくすると、先鋭化工程に時間がかかるという問題が生じる。そこで、上記の通り、離間速度の観点において段階的にナノ電極33の先鋭化を行う。これにより、ナノ電極33の先鋭化を効率良く行うことができる。
ステップS24の第2先鋭化工程が終了すると、制御部90は、第2先鋭化工程が所定の回数終了したか否かを判断する(ステップS25)。図14の例では、ステップS22の第2先鋭化工程が3回行われる。この場合、ステップS25において、3回目の第2先鋭化工程が終了したか否かを判断する。第2先鋭化工程が所定の回数終了していないと判断すると(ステップS25:No)、制御部90は、ステップS24に戻り、再び第2先鋭化工程を行う。一方、第2先鋭化工程が所定の回数終了したと判断すると(ステップS25:Yes)、制御部90は、先鋭度確認工程を行う(ステップS26)。
図13に示すように、先鋭度確認工程では、まず、制御部90は、押し上げ具93を引き下げ、直前の第2離間工程(ステップS244)で配置された離間位置から基端部331同士を接近させる(第3接近工程、ステップS261)。
そして、制御部90は、第3接近工程を継続しつつ、ナノ電極33の先端部332同士が接触したか否かを判断する(ステップS262)。具体的には、制御部90は、電流計95の計測した電流値が所定の接触閾値以上となったか否かを判断する。電流計95の計測した電流値が接触閾値に達していないと判断した場合(ステップS262:No)、制御部90は、ステップS261の第3接近工程を継続する。
電流計95の計測した電流値が接触閾値以上となったと判断すると(ステップS262:Yes)、制御部90は、接触位置から、ナノ電極33の基端部331同士の間隔をさらに所定の第3接触距離だけ接近させた後、ナノ電極33の接近を停止させる(ステップS263)。本実施形態では、第3接触距離が0.6nmである。このため、一方のナノ電極33の先端部332の金原子と、他方のナノ電極33の先端部332の金原子が約6原子層分接触して押しつけ合う。
続いて、制御部90は、押し上げ具93を押し上げ、ナノ電極33を離間位置まで離間させる(第3離間工程、ステップS264)。第3離間工程における離間速度については、後述する。
上述したステップS222,S242,S262においては、ナノ電極33の先端部332同士が接触したか否かを判断するためにナノ電極33間の電流値を計測し、当該計測値を制御に用いている。このため、先端部332同士の接触を判断する方法が他にある場合、必ずしもナノ電極33間の電流値を計測する必要は無い。しかしながら、第3離間工程(ステップS264)は、ナノ電極33同士の位置の変化に伴うナノ電極33間の電流値の変化を確認することを目的としている。このため、第3離間工程(ステップS264)においては、ナノ電極33間の電流値の計測をすることは必須である。
続いて、制御部90は、第3離間工程(ステップS264)において計測した電流値が、離散値をとるか否かを判断する(離散電流値確認工程、ステップS265)。ここで、図15は、図14に示す電流値のうち、先鋭度確認工程(ステップS26)の部分のみを示した図である。ナノ電極33の先端部332の先鋭度が十分高く、ナノ電極33の接触時の通電可能な金原子の数が数個以下である場合、図15の領域Bに示すように、電流値は離散的な値をとる。一方、先端部332の先鋭度が十分に高くない場合や、接触距離が大きく、通電可能な金原子の数が多い場合には、電流値はナノ電極33が離れるにつれて小さくなる連続的な値をとる。このため、離散電流値確認工程(ステップS265)において、電流値が離散的な値をとるか否かを判断することによって、先端部332の先鋭度が十分に高いか否かを判断できる。
本実施形態の離散電流値確認工程(ステップS265)では、さらに、制御部90が、電流値が複数の離散値をとるとともに、当該複数の離散値のうち最も小さな電流値(図15の例では領域Cの電流値)から算出されるナノ電極33間のコンダクタンスGが、ナノ電極33の先端部332の接触箇所において通電可能な金原子が1個である場合のコンダクタンスGo(基準コンダクタンスGo)に相当するか否かを判断する。これにより、離散電流値確認工程(ステップS264)において、ナノ電極33の先端部332の最先端部が金原子1個となるまで先鋭化されているか否かを判断できる。なお、基準コンダクタンスGoは、前もって概算値が算出され、制御部90内に記憶されている。
ここで、第3離間工程(ステップS264)におけるナノ電極33の離間速度について説明する。第3離間工程において、ナノ電極33の離間速度は、次第に小さくなった後に、次第に大きくなる。具体的には、ナノ電極33間の電流値が所定の基準電流値以上の範囲において、基端部331同士が離間する速度を次第に小さくする。その後、ナノ電極33間の電流値が所定の基準電流値未満の範囲において、基端部331同士が離間する速度を次第に大きくする。
本実施形態では、制御部90は、ナノ電極33間の電流値から算出されるナノ電極33のコンダクタンスGの大きさによって離間速度を変更する。より具体的にはコンダクタンスGと、基準コンダクタンスGoとの比G/Goの大きさによって離間速度を変更する。
例えば、G/Goが20以上の範囲では100nm/sec、G/Goが20未満10以上の範囲では離間速度を900nm/secとし、G/Goが10未満8以上の範囲では離間速度を500nm/secとし、G/Goが8未満6以上の範囲では離間速度を200nm/secとする。このように、第3離間工程(ステップS263)の初期段階では、ナノ電極33同士の間隔が大きくなり電流値が小さくなるにつれて、離間速度を次第に小さくする。これにより、G/Goが8以上の範囲においてナノ電極33の離間にかかる時間を短縮しつつ、ナノ電極33の最終的な先鋭化に関わるG/Goが8未満6以上の範囲では離間速度を小さくして、ナノ電極33の先鋭度を向上させることができる。
その後、G/Goが6未満3以上の範囲では離間速度を700nm/secとし、G/Goが3未満1以下の範囲では離間速度を900nm/secとし、G/Goが1未満の範囲では離間速度を1000nm/secとする。このように、第3離間工程(S263)の後半において、電流値が離散値をとる範囲においては、ナノ電極33同士の間隔が大きくなり電流値が小さくなるにつれて、離間速度を次第に大きくする。これにより、ナノ電極33間に試料である生体分子やその他のコンタミ成分等が架橋している場合であっても、ナノ電極33の動作の加速によって、当該架橋分子をナノ電極33から引き離すことができる。
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の実施形態では、電極基板の有する金属層が、外部から電力が入力される接続用電極を一対のみ有したが、本発明はこれに限られない。1つの電極基板が、外部から電力が入力される電極を複数対有していてもよい。例えば、第1流路と第2流路との間に電気泳動用の電圧を印加してもよい。
また、上記の実施形態では、ナノ電極の破断処理、先鋭化処理および校正処理と、ナノ電極を用いた生体高分子のトンネル電流計測処理とを連続して行ったが、本発明はこれに限られない。各処理はそれぞれ別々に行われてもよい。
また、上記の実施形態では、電極基板の流路に生体高分子試料を含む液体が満たされた状態で先鋭化処理を行ったが、本発明はこれに限られない。試料を含まない水等の液体が流路内に満たされた状態で先鋭化処理を行ってもよい。
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1 電極基板
9 電極調整装置
33 ナノ電極
90 制御部
93 押し上げ具
94 電源
95 電流計
331 基端部
332 先端部

Claims (8)

  1. 第1方向に間隔を空けて配置される基端部から互いに近づく方向に延びる一対の電極の先端形状を調整する電極調整方法であって、
    a)前記電極の先端部の先鋭化を行う工程と、
    b)工程a)の後において、前記先端部の先鋭度を確認する工程と、
    を有し、
    前記工程a)は、
    a1)前記電極の先端部同士が接触しない位置から前記基端部同士を接近させて前記先端部同士を接触させる工程と、
    a2)前記基端部同士を、前記工程a1)における接触位置から所定の接触距離近づける工程と、
    a3)前記基端部同士の間隔を大きくして、前記先端部同士を離間させる工程と、
    を含み、
    前記工程b)は、
    b1)前記先端部同士が接触しない位置から前記基端部同士の間隔を小さくして前記先端部同士を接触させる工程と、
    b2)前記電極間に電圧を印加して前記電極間に流れる電流値を計測しつつ、前記基端部同士の間隔を大きくして前記先端部同士を離間させ、計測した前記電流値が離散値をとるか否かを判断する工程と、
    を含む、電極調整方法。
  2. 請求項1に記載の電極調整方法であって、
    前記工程b2)において、
    前記電流値が複数の離散値をとるとともに、前記複数の離散値のうち最も小さな電流値から算出される前記電極間のコンダクタンスが、前記電極の前記先端部の接触箇所において通電可能な金属原子が1個である場合のコンダクタンスに相当するか否かを判断する、電極調整方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電極調整方法であって、
    前記工程a)を複数回行う、電極調整方法。
  4. 請求項3に記載の電極調整方法であって、
    前記接触距離を第1接触距離として、前記工程a)を1回または複数回行った後、
    前記接触距離を前記第1接触距離よりも小さい第2接触距離として、前記工程a)を1回または複数回行う、電極調整方法。
  5. 請求項3または請求項4に記載の電極調整方法であって、
    前記工程a3)における離間速度を第1離間速度として、前記工程a)を1回または複数回行った後、
    前記離間速度を前記第1離間速度よりも小さい第2離間速度として、前記工程a)を1回または複数回行う、電極調整方法。
  6. 請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の電極調整方法であって、
    前記工程b2)において、前記電流値が所定の基準電流値未満の範囲において、前記基端部同士の間隔を離間する速度を次第に大きくする、電極調整方法。
  7. 請求項6に記載の電極調整方法であって、
    前記工程b2)において、前記電流値が所定の基準電流値以上の範囲において、前記基端部同士の間隔を離間する速度を次第に小さくする、電極調整方法。
  8. 第1方向に間隔を空けて配置される基端部から互いに近づく方向に延びる一対の電極の先端形状を調整する電極調整装置であって、
    前記電極の前記基端部同士の間隔を変更する電極間隔変更部と、
    前記電極間に電圧を印加する電源と、
    前記電極間の電流値を計測する電流計と、
    前記電極間隔変更部を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記電極の先端部を先鋭化する先鋭化工程と、1回または複数回の前記先鋭化工程の後において前記先端部の先鋭度を確認する確認工程とを実行し、
    前記制御部は、前記先鋭化工程において、前記電極間隔変更部により前記電極の先端部同士が接触しない位置から前記基端部同士を接近させて前記先端部同士を接触させ、前記基端部同士を接触位置から所定の接触距離近づけ、その後、前記基端部同士の間隔を大きくして前記先端部同士を離間させ、
    前記制御部は、前記確認工程において、前記電極間隔変更部により前記先端部同士が接触しない位置から前記基端部同士の間隔を小さくして前記先端部同士を接触させ、その後、前記電源から前記電極間に電圧を印加して前記電極間に流れる前記電流値を前記電流計で計測しつつ、前記電極間隔変更部により前記基端部同士の間隔を大きくして前記先端部同士を離間させ、前記電流値が離散値をとるか否かを判断する、電極調整装置。
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