JP7398129B2 - 電流測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一対の電極間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定する電流測定方法に関する。
従来、微細な先端部を有する電極を用いて、特定の分子や原子を測定または識別する方法が知られている。微細な電極を用いて特定の分子を識別する方法については、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の単分子識別方法では、電極間距離の短い電極対を用いて、電極間を通過する生体高分子を構成する単分子を、トンネル電流を測定することにより識別する。
国際公開2011/108540号
特許文献1に記載のように、生体高分子の識別を目的として電極間のトンネル電流を測定するためには、電極間の距離を精度良く調整する必要がある。このとき、一対の電極が生体高分子を含む液体試料中に配置される。
生体高分子を遊動させるための液体が電解質を含む場合、電極間に電圧を印加すると、液体内のイオンの移動および溶媒・溶質が構成する双極子の配置などによって電極表面付近に形成される電気二重層が、電極間電流の挙動に影響を与える。しかしながら、特許文献1では、液体試料に用いられる液体に含まれるイオンや双極子等の分子が電流に与えるこのような影響については考慮されていない。このため、液体試料に電解質を含む液体を使用した場合に、電極への操作や電流値の解析において誤操作や解析誤差の原因となり得る。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、電解質を含む液体試料に含まれる生体高分子のトンネル電流を、より正確に測定するための電流測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、一対の電極間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定する電流測定方法であって、a)電解質を含む液体中に前記電極を配置し、前記電極間に電圧を印加しつつ、前記電極の表面に形成される電気二重層を介して前記電極間を流れる電流を測定する工程を含む。
本願の第2発明は、第1発明の電流測定方法であって、b)前記電極間の距離を固定したまま、電極間電圧をかけていない状態から所定の電圧印加を行いつつ、前記電極間を流れる電流を測定する工程と、c)前記工程b)において測定した電流値について、前記電気二重層に起因する特徴量を算出する工程と、を含む。
本願の第3発明は、第2発明の電流測定方法であって、前記工程b)および前記工程c)は、前記工程a)の前に行われ、前記工程a)における測定タイミングは、前記特徴量に基づいて決定される。
本願の第4発明は、第2発明の電流測定方法であって、前記特徴量は、前記工程b)において測定した前記電流値の時定数である。
本願の第5発明は、第4発明の電流測定方法であって、前記工程c)において、複数の前記時定数を算出する。
本願の第6発明は、第4発明または第5発明の電流測定方法であって、前記工程b)および前記工程c)は、前記工程a)の前に行われ、前記工程a)における測定タイミングは、前記時定数に基づいて決定される。
本願の第7発明は、第5発明の電流測定方法であって、前記工程a)は、前記電極間に所定の電圧を印加しつつ、電極間距離を変更させるように操作を行って前記電極間の電流値を取得するキャリブレーション用電流測定工程であって、前記工程a)は、p1)前記時定数に基づいて算出された待機時間の間、待機する工程と、p2)前記電極間距離の変更に用いられる操作量の値と、前記電極間の電流値とを取得する工程と、p3)前記操作量を変更して前記電極間距離を変更する工程と、を複数回繰り返す。
本願の第8発明は、第7発明の電流測定方法であって、d)前記工程a)における、複数の前記操作量と複数の前記電流値との関係を関数近似した近似関数を算出する工程
をさらに有する。
本願の第9発明は、第7発明の電流測定方法であって、前記工程p1)における前記待機時間は、前記時定数を定数倍して算出される。
本願の第10発明は、第5発明の電流測定方法であって、前記工程b)および前記工程c)の後であって、e)前記電極間にトンネル電流が流れない電極間距離において、前記電極間に流れる基準電流の値を測定する工程と、f)目標とする電極間距離に対応するトンネル電流の値と、前記e)で測定した前記基準電流の値とを加算して、目標合計電流値を算出する工程と、をさらに含み、前記工程e)および前記工程f)は、前記工程a)の前に行われ、前記工程a)は、q1)前記時定数に基づいて算出された待機時間の間、待機する工程と、q2)前記電極間のベース電流を測定する工程と、q3)前記ベース電流の値が、前記工程f)で算出した前記目標合計電流値に近づく方向に前記電極間距離を操作する工程と、を複数回繰り返す。
本願の第11発明は、第5発明の電流測定方法であって、前記工程b)および前記工程c)の後であって、前記工程a)の前に、g)前記電極間にトンネル電流が流れない電極間距離において、前記電極間に流れる基準電流の値を測定する工程と、h)中間目標とする電極間距離に対応するトンネル電流の値と、前記工程g)で測定した前記基準電流の値とを加算して、中間目標合計電流値を算出する工程と、をさらに含み、前記工程a)は、r1)前記時定数に基づいて算出された待機時間の間、待機する工程と、r2)前記電極間のベース電流を測定する工程と、r3)前記ベース電流の値が、前記工程h)で算出した前記中間目標合計電流値に近づく方向に前記電極間距離を操作する工程と、を複数回繰り返し、前記工程a)の後に、i)中間目標とする電極間距離から最終目標とする電極間距離までの予め算出された操作量の操作を行うことにより、を前記最終目標と一致するように前記電極間距離を調整する工程をさらに含む。
本願の第1発明から第11発明によれば、電気二重層を考慮して電流を測定することができる。
特に、本願の第2発明から第11発明によれば、電気二重層等によって生じる過渡現象に起因する誤差が生じるのを抑制できる。
電極基板の上面図である。 電極基板の部分上面図である。 電極基板の部分上面図である。 電極基板の部分上面図である。 電極基板の押し曲げの様子を示した概略図である。 電極基板の押し曲げの様子を示した概略図である。 電極基板の押し曲げ時の様子を示した概略部分断面図である。 電極基板の押し曲げ時の様子を示した概略部分断面図である。 生体高分子のトンネル電流測定処理の流れを示したフローチャートである。 電解質を含む液体中に配置されたナノ電極間を流れる電流の挙動を模式的に示した図である。 NaCl水溶液中に配置されたナノ電極間に電圧を印加した場合の初期電流値の挙動を示した図である。 特徴量解析処理の流れを示したフローチャートである。 ナノ電極の校正処理の流れを示したフローチャートである。 押し上げ工程の具体的な流れを示したフローチャートである。 引き下げ工程の具体的な流れを示したフローチャートである。 ナノ電極の校正処理における印加電圧および電流値の経時変化の概略を示した図である。 校正処理における印加電圧と電流値の測定データの一例を示した図である。 校正処理における印加電圧と電流値の測定データの近似関数を示した図である。 電極間距離設定処理の流れを示したフローチャートである。 スモールギャップモードにおける電極間距離調整工程の流れを示したフローチャートである。 ラージギャップモードにおける電極間距離調整工程の流れを示したフローチャートである。 測定された電流値の経時変化の一例を示した図である。 ラージギャップモードの電極間距離調整工程においてナノ電極間の様子を示した概略図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、電極基板の厚み方向を上下方向とし、基板層に対して金属層側を上側、金属層に対して基板層側を下側として説明を行っている。しかしながら、電極基板の使用時の向きは必ずしも金属層側を鉛直上向きとしなくてもよい。
<1.電極基板および電流測定装置の構成>
本発明の一実施形態に係る電極基板1と、電流測定装置9とについて、図1~図8を参照しつつ説明する。図1は、電極基板1の上面図である。図2~図4は、電極基板1の部分上面図である。図5および図6は、電流測定装置9を用いた電極基板1の押し曲げの様子を示した概略図である。図7および図8は、電極基板1の押し曲げの様子を示した概略部分断面図である。
この電極基板1および電流測定装置9は、生体高分子であるタンパク質を構成するアミノ酸、核酸(DNA,RNA)を構成するヌクレオチド、糖鎖を構成する単糖、その他の生体高分子を構成する単分子の配列や、各単分子を解析するために用いられる。具体的には、後述するナノ電極34間に電圧を印加した状態でナノ電極34間に生体高分子を通過させる。そして、この期間にナノ電極34と生体高分子との間に流れるトンネル電流を検知し、当該電流を解析することにより、生体高分子を構成する単分子の解析を行う。
図1に示すように、電極基板1は、略長方形の板状の基板である。図1~図4、図7および図8に示すように、電極基板1は、基板層20と、金属層30とを有する。以下では、電極基板1の長手方向を第1方向と称し、電極基板1の短手方向を第2方向と称する。第2方向は、第1方向と直交する。なお、「直交する」とは、「略直交する」を含むものとする。
本実施形態の基板層20は、絶縁材料により形成される。本実施形態の基板層20は、シリコン(Si)により形成された基板層の上にポリイミドにより形成された基板層が重なった2層構造である。なお、本実施形態の基板層20は2層構造であるが、本発明はこれに限られない。基板層20は1種類の材料により形成される1層のみから構成されてもよいし、3つ以上の層から構成されてもよい。また、基板層20は、絶縁性の材料により形成されていれば、ポリエチレンテレフタラート樹脂、セラミック、シリコーンゴムまたはアルミナなどの、シリコンおよびポリイミド以外の材料により形成されてもよい。
金属層30は、図1~図4に示すように、2つの接続用電極部31と、2つの接続用電極部31の間において第1方向に延びる配線部32と、配線部32の中央に配置された測定電極部33とを有する。
金属層30は、例えば、導体である金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、タングステン(W)等の金属により形成される。なお、金属層30は、複数の金属層を重ねて構成されてもよい。例えば、クロム(Cr)により形成された金属層の上に、上記の金、白金、銀、銅等の金属からなる金属層が重なる構造であってもよい。なお、その場合であっても、測定電極部33は、1層の金属層のみから構成されることが好ましい。金属層30の厚みは、例えば、50~300nmである。
基板層20および金属層30の最上面は、絶縁膜(図示せず)により覆われている。金属層30の表面を絶縁膜で覆うことにより、測定電極部33を液体中で用いる場合に、金属層30のうち測定電極部33以外の箇所において、金属層30を構成する金属と液体との間における電子のやりとりが生じるのを抑制できる。なお、本実施形態では、絶縁膜はTEOS酸化膜であるが、絶縁性の材料であれば、他の材料により形成されてもよい。なお、接続用電極部31の上面の少なくとも一部には、絶縁膜が形成されない。このため、接続用電極部31の上面の少なくとも一部は露出している。
2つの接続用電極部31は、第1方向に離れて配置されている。2つの配線部32はそれぞれ、各接続用電極部31から測定電極部33へ向かうにつれて次第にその幅が小さくなる。両側の配線部32の間には、配線部32よりも第2方向の幅が小さい測定電極部33が配置される。図4に示すように、測定電極部33は、1対のナノ電極34により構成される。一対のナノ電極34は、電極基板1に負荷(外力)がかかっていない状態では、図4に示すように、ナノ電極34の先端部同士が接触した状態となっている。
基板層20は、図1~図4に示すように、上面から下方へ凹む流路50を有する。流路50は、第1流路51、第2流路52および測定流路53を有する。第1流路51および第2流路52は、測定電極部33を挟んで第2方向に対向して配置される。測定流路53は、第2方向に延びる溝である。測定流路53は、第1流路51と第2流路52を第2方向に繋ぐ。
第1流路51および第2流路52は、格子状に繋がる複数の溝により構成される。このような形状により、第1流路51および第2流路52に生体高分子を含む液体が充填されると、各生体高分子がこれらの溝の延びる方向に沿って配置されやすくなる。したがって、第1流路51および第2流路52と測定流路53との境界部で生体高分子が詰まるのが抑制される。これにより、当該境界部において液体の流動性が低下するのが抑制されるとともに、測定流路53内において各生体高分子が測定流路53の延びる方向に沿って配置される。第1流路51および第2流路52の各溝は、幅が約1μmであり、深さが約2μmである。
測定流路53は、第2方向に沿って延びる。測定流路53は、ナノ電極34の先端部と上下に重なる位置に配置される。これにより、測定流路53内を第2方向に移動する生体分子が、ナノ電極34の間を通過しやすい。
測定流路53の深さは、第1流路51および第2流路52と同様に、約2μmである。測定流路53はナノ電極34付近においてその幅が狭くなっている。これにより、電流値測定時に、生体高分子が、測定流路53の延びる第2方向に沿う向きで、ナノ電極34間を通過しやすい。
次に、電流測定装置9について、図5および図6を参照しつつ説明する。図5および図6は、電流測定装置9において電流測定を行う際の様子を示した図である。図5は、電極基板1がセットされた電流測定装置9の初期状態における様子を示した側面図である。図6は、電極基板1の押し曲げ時における電流測定装置9の様子を示した側面図である。なお、図6では、電極基板1の変形を誇張して示している。
図6に概念的に示すように、電流測定装置9は、載置台91と、固定具92と、押し上げ具93と、昇降機構94と、電源95と、電流計96と、制御部90とを有する。
載置台91は、電極基板1を載置する平らな上面を有する。本実施形態の固定具92は、第1方向に対して略垂直に配置される4つの板状部材である。固定具92は、測定電極部33を挟んだ第1方向の2箇所において、電極基板1を上下から押えて固定する。
押し上げ具93は、半球状の上面を有する円柱状の部材である。押し上げ具93は、昇降機構94に接続されている。昇降機構94は、モータ941とピエゾアクチュエータ942とを有する。モータ941は、押し上げ具93をミリメートル単位で大きく上下に移動させる。ピエゾアクチュエータ942は、押し上げ具93をナノメートル単位で小さく上下に移動させる。昇降機構94は、モータ941とピエゾアクチュエータ942とを組み合わせることにより、大きな動きと細かな動きとの双方を実現している。なお、昇降機構94は、押し上げ高さを制御できる機構であれば、その他の動力を用いた機構であってもよい。
電源95は、一対の接続用電極部31間に電圧を印加する。電流計96は、測定電極部33のナノ電極34間に流れる電流の電流値を測定する。
制御部90は、昇降機構94、電源95および電流計96とそれぞれ電気的に接続し、各部を制御する。本実施形態の制御部90は、CPU等の演算処理部、RAM等のメモリ、およびハードディスクドライブ等の記憶部を備えたコンピュータにより構成されている。制御部90の機能は、記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて、演算処理部が動作することにより実現される。
電極基板1を電流測定装置9にセットする際には、まず、載置台91上に電極基板1を載置する。その後、電極基板1の測定電極部33付近に負荷のかからない状態で電極基板1を上下から4つの固定具92で固定する。このとき、測定電極部33の真下に押し上げ具93が位置するように、電極基板1を配置する。
そして、電流測定時には、まず、電源95により、接続用電極部31間に所定の電圧を印加するとともに、電流計96による電流値の測定を開始する。そして、昇降機構94を駆動させて押し上げ具93を押し上げて、ナノ電極34の先端部同士の距離(電極間距離)を調整する。
図7は、初期位置における電極基板1の部分断面図である。図8は、押し上げ時における電極基板1の部分断面図である。図4および図7に示すように、電極基板1が押し曲げられていない状態では、ナノ電極34の先端部同士は接触している。図8に示すように、押し上げ具93を押し上げると、電極基板1の測定電極部33付近が下面側から押し上げられる。すると、測定流路53を構成する基板層20の側壁が、図8中に実線矢印で示すように、互いに離れる方向へと移動する。これにより、ナノ電極34同士が、図8中に破線矢印で示すように、互いに離れる方向へと移動する。その結果、電極間距離が拡がる。このように、押し上げ具93によって電極基板1を押し上げることにより、電極間距離の調整を行う。
<2.生体高分子のトンネル電流測定処理>
次に、電極基板1および電流測定装置9を用いた生体高分子のトンネル電流測定処理の流れについて、図9を参照しつつ説明する。図9は、電解質を含む液体中に生体高分子が遊動する液体試料について、当該生体高分子のトンネル電流測定処理の流れを示したフローチャートである。本実施形態において、液体試料に含まれる生体高分子は、ヌクレオチドである。また、液体試料に含まれる電解質を含む液体は、水等の極性の大きな溶媒に溶質が溶解された、NaCl水溶液等の液体である。
図9に示すように、生体高分子のトンネル電流測定処理では、まず、液体試料中のイオンや双極子・有機双極子等の分子が測定電流に与える影響について、その特徴量を解析する(ステップS100)。ここで、ナノ電極34を電解質を含む液体中に配置した状態で、ナノ電極34間に電圧を印加した場合のナノ電極34間を流れる電流の挙動について説明する。
図10は、電解質を含む液体中に配置されたナノ電極34間に所定の電圧を印加した場合のナノ電極34間を流れる電流の挙動を模式的に示した図である。図11は、複数の濃度のNaCl溶液について、NaCl水溶液中に配置されたナノ電極34間に電圧を印加した場合の初期電流値の実験データを示した図である。
図10のように、ナノ電極34間に時間tにおいて電圧の印加が開始されると、ナノ電極34間には、図10中に実線で示すような電流が流れる。このとき、ナノ電極34間に流れる電流には、定常時のナノ電極34間の電流値であるベース電流Ibと、液体試料に含まれる電解質に起因する過渡電流とが含まれる。ベース電流Ibは、リーク電流や電流測定装置9の装置構成や環境に起因する基準電流Icと、ナノ電極34間を流れるトンネル電流It1とを含む。また、過渡電流の最大値をIoとする。
ナノ電極34が真空中に配置されている場合、ナノ電極34間には、上記の基準電流Icと、ナノ電極34間のトンネル電流It2とが流れる。この場合、ナノ電極34間には、図10中に二点鎖線で示すような電流が流れる。
これに対し、ナノ電極34が電解質を含む液体中に配置されている場合、ナノ電極34間に電圧を印加すると、ナノ電極34間に基準電流Icおよびトンネル電流It1が流れるとともに、ナノ電極34間において液体中のイオンや双極子・有機双極子等の分子の運動や移動が生じる。このイオンおよび分子の運動や移動により、一時的にナノ電極34間の電流値が大きくなる。この一時的な電流値の増加が過渡電流である。
また、イオンおよび分子の運動や移動が落ち着くと、液体中には、ナノ電極34の表面に沿って電気二重層が形成されている。この電気二重層を介してナノ電極34間に電流が流れる場合、電気二重層が介在しない場合と比べて、ナノ電極34間に流れるトンネル電流が大きくなる。このため、電解質を含む液体中におけるトンネル電流It1は、真空中におけるトンネル電流It2と比べて、電気二重層に起因するトンネル電流の増加分ΔIt大きくなる。
図11には、NaCl濃度が1mM、10mM、20mM、30mMおよび50mMのNaCl水溶液について、ナノ電極34間に電圧を印加した場合の初期電流値の挙動が示されている。図11に示すように、NaCl濃度が10mM以上の場合、電流値の過渡現象が顕著に表れている。また、電解質であるNaClの濃度が高くなるにつれて、電気二重層の形成にかかわるイオンや溶媒・溶質を構成する分子が多くなるために、過渡現象が落ち着いた後の電流値が大きくなる。
このように、ナノ電極34間に電圧を印加した際に、ナノ電極34が電解質を含む液体中に配置されていると、ナノ電極34間を流れる電流には、過渡現象が生じる。このため、ナノ電極34間に印加する電圧を変化させる場合、または、ナノ電極34の電極間距離を変化させる場合に、過渡現象を考慮せずに操作や電流値の解析を行うと、操作内容、取得データまたは解析内容等に誤差が生じる。
また、同じ電極基板1および電流測定装置9を用いた場合であっても、ナノ電極34間に介在する液体の電解質の種類や濃度に応じて、電気二重層に起因するトンネル電流の増加量が異なる。このため、測定する液体試料ごとにステップS100の特徴量解析処理を行う必要がある。ステップS100の具体的な流れについては、後述する。
ステップS100の特徴量解析処理が行われた後、続いて、ナノ電極34の校正処理(キャリブレーション)が行われる(ステップS200)。ステップS200の校正処理では、ナノ電極34の電極間距離dを変動させるための操作量であるピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpと、電流計96の検出したナノ電極34間の電流値Iとの関係を解析する。これにより、一対のナノ電極34に対する操作量である印加電圧Vpと電極間距離dとの関係が推定される。ステップS200の具体的な流れについては、後述する。
続いて、生体高分子のトンネル電流を測定するために、ナノ電極34の電極間距離dを所望の距離にセットする(ステップS300)。ステップS200の具体的な流れについては、後述する。
ナノ電極34の電極間距離dが所望の距離にセットされた後、ナノ電極34間を流れる電流値を測定し、生体高分子のトンネル電流を測定する(ステップS400)。このとき、必要に応じて、制御部90は、電極間距離dが所望の範囲内となるように、フィードバック制御を行ってもよい。
ステップS400における生体高分子のトンネル電流の測定が行われた後、取得した電流データの解析を行う(ステップS500)。生体高分子を構成する単分子は、その種類によって特有のトンネル電流値をとる。このため、液体試料中を遊動しナノ電極34間を通過する生体高分子のトンネル電流の電流データを解析することにより、当該生体高分子における単分子の配列を推定することができる。
<3.特徴量解析処理>
次に、ステップS100の特徴量解析処理について、図12を参照しつつ説明する。図12は、特徴量解析処理の流れを示したフローチャートである。
特徴量解析処理では、まず、ナノ電極34を液体試料中に配置し、ナノ電極34の電極間距離dが0よりも大きくなるように配置する(ステップS110)。なお、電極間距離dが0でない、すなわち、一対のナノ電極34の先端部同士が接触していないことを確認するために、ナノ電極34間に電圧を印加して、ナノ電極34間を流れる電流の電流値Iが所定の電圧値よりも小さいことを確認してもよい。その場合、電流値Iの確認後、ナノ電極34への電圧の印加を停止し、しばらく待機する。
その後、ナノ電極34間の距離を固定したまま、ナノ電極34間に所定の電圧を印加する。そして、電圧の印加開始から所定の期間、ナノ電極34間の電流値Iを測定する(ステップS120)。このとき得られる電流値Iは、図11に示すような過渡応答性を有する。なお、ステップS120の電流測定工程中において、生体高分子がナノ電極34間を通過する場合がある。そのような場合には、得られた電流値Iには、生体高分子がナノ電極34間を通過した際に現れるシグナルが時々含まれる。
そして、得られた電流データの解析を行い、特徴量である時定数を算出する(ステップS130)。算出される時定数は、ナノ電極34間の印加電圧や電極間距離dの変化に基づいて生じた過渡現象が収束し、過渡現象によって生じた変化量が約36.2%まで減少するまでの時間を表す。なお、本発明で算出する特徴量は時定数に限られない。過渡現象の収束状態を表すパラメータであれば、その他のパラメータが特徴量として算出されても良い。
図10に示すようなナノ電極34間の電流値Iの過渡現象は、定常時のナノ電極34間の電流値であるベース電流Ibと、過渡電流成分の最大値Ioとを用いて、次の数式(1)のように示すことができる。なお、ベース電流Ibとは、上述の基準電流Icと、液体試料に含まれる電解質を含む液体を介してナノ電極34間を流れるトンネル電流値とが重畳したものである。
Figure 0007398129000001
数式(1)の右辺の第2項が過渡電流成分となる。ここで、τは、過渡電流成分の時定数である。ナノ電極34間の電流値Iがこのような数式(1)で近似できることから、ステップS110で得られた電流データを、数式(1)で近似することによって、過渡現象の時定数τを算出することが可能である。時定数τは、過渡現象の特徴量として、以降の校正処理、電極間距離設定処理および電流測定処理において用いられる。以降の各処理において、過渡現象を考慮して時定数τを用いた処理を行うことにより、各処理において過渡現象に起因した操作内容、取得データまたは解析内容等の誤差を抑制することができる。
ここで、現実の電流値データを解析すると、ナノ電極34間の電流値Iには、複数の過渡電流成分が重畳されていることがわかった。そこで、本実施形態では、ナノ電極34間の電流値Iについて、5種類の過渡電流成分が重畳しているものとして、次の数式(2)のように近似する。
Figure 0007398129000002
数式(2)の右辺の第2項は、n=1~5の5つの過渡電流成分の和となっている。5つの過渡電流成分はそれぞれ、n=1~5について、最大電流成分がInであり、時定数がτnである。すなわち、5つの過渡電流成分は、最大電流成分がそれぞれI1,I2,I3,I4,I5であり、時定数がτ1,τ2,τ3,τ4,τ5である。ここで、以下では、5つの時定数τ1~τ5は、時定数の値が小さいものから順にτ1,τ2,τ3,τ4,τ5とする。
なお、本実施形態では、算出する時定数の数が5つであるが、本発明はこれに限られない。算出する時定数の数は、1つ~4つであってもよいし、6つ以上であってもよい。ナノ電極34間の電流値Iには、上述の通り、複数の過渡電流成分が重畳している。このため、電流値Iに現れる複数の過渡電流成分の影響をより正確に排除するためには、3つ以上の過渡電流成分を考慮することが好ましい。また、算出する時定数の数が多すぎると、ナノ電極34間の電流値測定に影響が殆どない過渡電流成分の時定数まで算出したり、実際には生じていない過渡電流成分を算出したりすることとなりかねない。このため、算出する時定数の数は、3つ~6つであることが好ましい。
<4.電極対の校正処理>
次に、ステップS200のナノ電極34の校正処理について、図13を参照しつつ説明する。図13は、ナノ電極34の校正処理の流れを示したフローチャートである。
ナノ電極34の校正処理では、押し上げ具93による電極基板1の押し上げ量を変動させて電極間距離dを変動させ、その間のナノ電極34間に流れる電流の電流値Iを測定する。そして、押し上げ具93の操作量と電流値Iの関係から、当該操作量と電極間距離dとの関係を推定する。
本実施形態の校正処理では、押し上げ具93による電極基板1の押し上げと引き戻しとを繰り返して、ナノ電極34の電極間距離dを変動させ、その間のナノ電極34間に流れるトンネル電流の値を取得する。
校正処理において、まず、電極基板1を電流測定装置9に載置し、初期位置にセットする(ステップS210)。次に、制御部90は、カウント数nをn=1に設定する(ステップS220)。
そして、制御部90は、基準電流Icを測定する(ステップS230)。具体的には、押し上げ具93を押し上げて、ナノ電極34間にトンネル電流が流れない程度の十分に大きな電極間距離dを保ちつつ、ナノ電極34間を流れる電流の電流値を測定する。これにより、リーク電流や電流測定装置9の装置構成や環境に起因する基準電流Icを測定できる。
なお、基準電流Icの測定を行う場合、制御部90は、ナノ電極34間の距離が基準電流Icを測定可能な距離まで達した後、所定の初期待機時間t0が経過した後に基準電流Icの測定を行う。この初期待機時間t0は、ステップS100の特徴量解析処理で算出された5つの時定数τ1~τ5のうち、最も値の大きな時定数τ5に基づいて算出される。初期待機時間t0は、例えば、時定数τ5に所定の実数を乗じて算出される。
このように、基準電流Icの測定を行う測定タイミングは、特徴量である時定数τ5に基づいて決定される。これにより、基準電流Icを測定する際に、過渡現象の影響によって測定値に誤差が生じるのが抑制される。基準電流Icの測定後、制御部90は、押し上げ具93を所定の位置まで引き下げる。
押し上げ具93が所定の位置まで引き下げられた後、制御部90は、押し上げ具93による電極基板1の押し上げ工程を行う(ステップS240)。すなわち、制御部90は、ナノ電極34の電極間距離dが大きくなる方向へ操作を行う。
押し上げ工程の開始時における押し上げ具93の位置は、電流計96の測定した電流値が後述する第1閾値よりも大きくなる位置であれば、ナノ電極34の先端部同士が接触する位置であってもよいし、ナノ電極34の先端部同士が離間した位置であってもよい。
なお、このステップS240における押し上げ工程と、後述するステップS250における引き下げ工程とにおいて、押し上げ具93の押し上げおよび引き下げは、ピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpを増減させることによって行う。このため、押し上げおよび引き下げを行うための操作量は、ピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpの電圧値となる。印加電圧Vpの電圧値が大きくなると、押し上げ具93による押し上げ量が大きくなり、電極間距離dが大きくなる。一方、印加電圧Vpの電圧値が小さくなると、押し上げ具93による押し上げ量が小さくなり、電極間距離dが小さくなる。
ステップS240の押し上げ工程は、電流計96の測定した電流値が所定の第1閾値以下となるまで行われる。図14は、ステップS240の押し上げ工程の具体的な流れを示したフローチャートである。
図14に示すように、ステップS240では、制御部90は、まず、所定の待機時間の間、待機を行う(ステップS241)。これにより、ステップS241の待機工程の直前において行われた電極間距離dの変更に伴う過渡現象の影響が十分小さくなるのを待つ。これにより、その後のステップS242における電流測定時に、測定した電流値に過渡現象に起因する誤差が生じるのを抑制できる。
なお、1回目のステップS241における待機時間は、例えば、ステップS230の基準電流Icの測定時と同じ初期待機時間t0である。2回目以降のステップS241における待機時間は、所定の第1待機時間t1である。この第1待機時間t1は、ステップS100の特徴量解析処理で算出された5つの時定数τ1~τ5のうち、最も値の小さな時定数τ1に基づいて算出される。第1待機時間t1は、例えば、時定数τ1に所定の実数を乗じて算出される。なお、第1待機時間t1は、他の時定数τ2~τ5に基づいて算出されてもよい。
このように、1回目のステップS241における待機時間は、2回目のステップS241における待機時間よりも長いことが好ましい。これは、1回目のステップS241開始前における電極間距離dの変更量が、2回目以降のステップS241開始前における電極間距離dの変更量よりも大きいためである。なお、1回目のステップS241における待機時間は、ステップS230の基準電流Icの測定時と同じ初期待機時間t0には限られず、2回目のステップS241における待機時間である第1待機時間t1以上であれば、他の方法により算出された待機時間であってもよい。
次に、制御部90が、その時点でのピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpの電圧値と、電流計96の測定した電流値とを記憶する(ステップS242)。すなわち、制御部90が、電極間距離dの変更に用いられる操作量の値と、ナノ電極34の電流値とを取得する。
続いて、制御部90は、印加電圧Vpを所定量増加させ、電極間距離dを増加させる(ステップS243)。すなわち、制御部90は、電極間距離dの変更に用いられる操作量を変更して電極間距離dを変更する。
電極間距離dの変更後、制御部90は、電流計96の測定した電流値が所定の第1閾値以下となったか否かを判断する(ステップS244)。電流計96の測定した電流値が第1閾値よりも大きい場合(ステップS244:No)、制御部90は、ステップS241に戻り、待機と、電流値の測定と、電極間距離dの増加とを繰り返す。一方、電流計96の測定した電流値が第1閾値以下となった場合(ステップS244:Yes)、制御部90は、ステップS240の押し上げ工程を終了する。
ステップS240の押し上げ工程が終了すると、続いて、制御部90は、押し上げ具93の引き下げ工程を行う(ステップS50)。すなわち、制御部90は、ナノ電極34の電極間距離dが小さくなる方向へ操作を行う。
ステップS250の引き下げ工程は、電流計96の測定した電流値が所定の第2閾値以上となるまで行われる。図15は、ステップS250の引き下げ工程の具体的な流れを示したフローチャートである。
図15に示すように、ステップS250では、制御部90は、まず、所定の第1待機時間t1の間、待機を行う(ステップS251)。この第1待機時間t1は、2回目以降のステップS241における待機時間と同じである。
次に、制御部90が、その時点でのピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpの電圧値と、電流計96の測定した電流値とを記憶する(ステップS252)。すなわち、制御部90が、電極間距離dの変更に用いられる操作量の値と、ナノ電極34間の電流値Iとを取得する。
続いて、制御部90は、印加電圧Vpを所定量減少させ、電極間距離dを減少させる(ステップS253)。すなわち、制御部90は、電極間距離dの変更に用いられる操作量を変更して電極間距離dを変更する。
電極間距離dの変更後、制御部90は、電流計96の測定した電流値が所定の第2閾値以上となったか否かを判断する(ステップS254)。電流計96の測定した電流値が第2閾値未満である場合(ステップS254:No)、制御部90は、ステップS251に戻り、待機と、電流値の測定と、電極間距離dの減少とを繰り返す。一方、電流計96の測定した電流値が第2閾値以上となった場合(ステップS254:Yes)、制御部90は、ステップS250の引き下げ工程を終了する。
続いて、制御部90は、カウント数nが所定の繰り返し回数Nに達したか否かを判断する(ステップS260)。カウント数nが繰り返し回数Nに達していない場合(ステップS260:No)、制御部90は、ステップS270へと進み、カウント数nをインクリメントする。その後、ステップS240へと戻り、再び押し上げ具93の押し上げ工程および引き下げ工程を実行する。一方、カウント数nが繰り返し回数Nに達している場合(ステップS260:Yes)、制御部90は、ステップS280へと進む。
このように、ステップS240の押し上げ工程と、ステップS250の引き下げ工程とにおいて、ナノ電極34間に所定の電圧を印加しつつ、電極間距離dを変更させるように操作を行い、ナノ電極34間の電流値Iを取得する。このとき、ステップS240の押し上げ工程と、ステップS250の引き下げ工程とを複数回繰り返し行うことにより、後述する近似関数をより正確に求めることができる。
ここで、図16は、ナノ電極34の校正処理におけるピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpおよびナノ電極34間の電流値の経時変化の概略を示した図である。図16において、1段目はピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vp、2段目はナノ電極34の電極間距離d、3段目は電流計96の検出したナノ電極34間の電流値Iの経時変化を比例軸で示したもの、4段目は、電流計96の検出したナノ電極34間の電流値の経時変化を対数軸で示したものである。なお、図16は、各値の関係性を理解しやすくするために、ステップS241およびステップS251における待機工程を省略して示している。
図16の3段目および4段目に示すように、本実施形態では、第1閾値は0.01nAであり、第2閾値は2.00nAである。第1閾値は、基準電流Icよりも大きい値に設定する。また、第2閾値は、第1閾値よりも大きく、かつ、ナノ電極34同士が接触した際に流れる電流値よりも小さい値に設定する。
上記の通り、本実施形態のステップS240およびステップS250において、押し上げ具93の押し上げまたは引き下げを行うための操作量は、ピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpである。本実施形態のピエゾアクチュエータ942は、印加電圧Vpと押し上げ量とが略比例する。さらに、押し上げ量と、電極間距離dとが略比例する。したがって、印加電圧Vpの電圧値の変化量と、電極間距離dの変化量とは略比例する。ここで、電極間距離dと印加電圧Vpとの関係は、比例係数をαとすると、以下の数式(3)で表される。
Figure 0007398129000003
ステップS240では、図16に示すように、印加電圧Vpを次第に増加させる。具体的には、ステップS243を実行するごとに、印加電圧Vpを所定量増加させる。このため、電極間距離dも印加電圧Vpの増加に従って増加する。また、図16に示すように、ステップS250では、印加電圧Vpを次第に減少させる。具体的には、ステップS253を実行するごとに、印加電圧Vpを所定量減少させる。このため、ステップS250では、電極間距離dは略一定の割合で減少する。
一方、電極間距離dと、電極間を流れるトンネル電流Itとは、以下の数式(4)のような関係を有する。なお、Kは定数である。βは、既知の定数である。
Figure 0007398129000004
一方、電流計96の測定する電流値Iは、基準電流Icと、トンネル電流Itとを加算したものであるから、電流値Iは、以下の数式(5)で表される。
Figure 0007398129000005
このため、図16に示すように、ステップS240において、押し上げ具93を次第に押し上げていくと、電流値Iは指数関数的に小さくなる。そして、ステップS250において、押し上げ具93を次第に引き戻していくと、電流値Iは指数関数的に大きくなる。
ステップS260からステップS280へと進むと、制御部90は、N回繰り返し行ったステップS240およびステップS250における押し上げ具93に対する操作量と電流計96の測定した電流値Iとの関係を近似した近似関数を算出する(ステップS280)。
図17は、校正処理における印加電圧Vpと電流値Iの測定データの一例を示した図である。図18は、図17の例の測定データの近似関数を示した図である。なお、図17および図18はいずれも、横軸が実数軸、縦軸が対数軸の片対数グラフである。図17中、黒いデータ点は、押し上げ工程(ステップS240)における測定データを示し、白いデータ点は、引き下げ工程(ステップS250)における測定データを示したものである。ステップS240~ステップS250では、所定の時間間隔(例えば50msec)ごとに、印加電圧Vpと測定した電流値Iとを記憶する。
図17に示すように、ステップS240およびステップS250における印加電圧Vpと電流値Iとは、印加電圧Vpが大きくなるにつれて、電流値Iが指数関数的に小さくなる。ステップS280では、この関係を用いて以下の数式(6)のような近似式を算出し、定数A,B,Cを算出する。
Figure 0007398129000006
このようにすれば、次の数式(7)~(9)のように各値が求まる。
Figure 0007398129000007
Figure 0007398129000008
Figure 0007398129000009
以上より、電極間距離dと印加電圧Vpとの比例係数αが以下の数式(10)の通り求められる。この比例係数αが、電極基板1ごとに求められる固有値である。
Figure 0007398129000010
算出された比例係数αを、数式(3)に代入して、操作量である印加電圧Vpと電極間距離dとの関係を推定した推定関数が算出される(ステップS290)。この比例係数αおよび推定関数を用いて、後述する電流測定処理を行う。
このような校正処理(ステップS200)により、一対のナノ電極34に対する操作量(印加電圧Vp)と電極間電流値(電流値I)との関係が求められる。なお、上記の校正処理は、測定対象とする液体試料そのもの、または、当該液体試料の液体成分である電解質を含む液体内で行われる。このため、電気二重層等の過渡現象を考慮して、ステップS241およびステップS251の待機工程を実行する。これにより、過渡現象に起因する電流値の誤差を抑制することができる。
なお、本実施形態では、ステップS280の近似関数算出工程において、ステップS240の押し上げ工程における測定データの近似関数と、ステップS250の引き下げ工程における測定データの近似関数とを別々に算出する。そして、ステップS290の推定関数算出工程においても、押し上げ具93の押し上げ時における推定関数と、押し上げ具93の引き下げ時における推定関数とを別々に算出する。
ピエゾアクチュエータ942の印加電圧Vpと移動量とについてのヒステリシスなどに起因して、押し上げ工程と引き下げ工程とでは、印加電圧Vpと電流値Iとの関係にもヒステリシスが現れる。このため、本実施形態のように、押し上げ工程における近似関数および推定関数と、引き下げ工程における近似関数および推定関数とを別々に算出することが好ましい。
<5.電極間距離設定処理>
続いて、電極基板1を用いた生体高分子の電流測定処理を行うための、電極間距離dの設定処理について、図19~図21を参照しつつ説明する。図19は、ステップS300の電極間距離設定処理の流れを示したフローチャートである。図20は、スモールギャップモードにおける電極間距離調整工程の流れを示したフローチャートである。図21は、ラージギャップモードにおける電極間距離調整工程の流れを示したフローチャートである。
生体高分子のトンネル電流を測定する場合、適切な電極間距離で測定を行うことが重要である。また、測定対象とする生体高分子ごとに、適切な電極間距離が異なる。この電流測定処理は、測定対象である生体高分子を含む液体試料中で行われる。図19に示すように、測定処理において、まず、制御部90に、外部から目標とする電極間距離である目標電極間距離が入力される(ステップS310)。なお、目標電極間距離は、予め入力されていてもよい。
次に、制御部90は、ステップS310で入力された目標電極間距離が、所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS320)。この閾値は、電極間距離が当該閾値となる場合のナノ電極34間のトンネル電流値が、ベース電流Ibに含まれる雑音成分よりも大きい値となるように設定される。
なお、ステップS320において、目標とする所望の電極間距離に相当する目標トンネル電流値Iuが、所定の閾値以上であるか否かを判断してもよい。その場合、目標トンネル電流値Iuは、例えば、前述した数式(4)を用いて算出される。
ステップS320において、目標電極間距離が閾値以下であると判断すると(ステップS320:Yes)、制御部90は、ステップS330のスモールギャップモードにおける電極間距離調整工程へと進む。一方、目標電極間距離が閾値よりも大きいと判断すると(ステップS320:No)、制御部90は、ステップS340のラージギャップモードにおける電極間距離調整工程へと進む。なお、ステップS330およびステップS340では、引き続きナノ電極34に所定の電圧を印加して、ナノ電極34間の電流を測定する。
続いて、図20を参照しつつ、スモールギャップモードにおける電極間距離調整工程の流れについて説明する。まず、ナノ電極34間にトンネル電流が流れないように電極間距離を十分大きくした状態で、基準電流Icの測定を行う(ステップS331)。基準電流Icの測定後は、押し上げ具93を、ナノ電極34の先端部同士が接触する位置に戻す。
基準電流Icは、ステップS331において電流計96の測定した電流値Iからベース電流Ibを抽出することにより測定される。図22は、測定された電流値Iの経時変化の一例を示した図である。図22に示すように、生体高分子を含む液体中で電流値Iの測定をする場合、電流値Iは、ナノ電極34間に生体高分子が存在していない場合に測定されるベース電流Ibの成分と、ナノ電極34間に生体高分子が通過した場合に測定されるサンプル電流Isの成分とを含む。サンプル電流Isは、生体高分子とナノ電極34との間に流れるトンネル電流である。
図22に示すように、サンプル電流Isは、ベース電流Ibよりも大きな電流値を有する。このため、計測した電流値Iを、ベース電流Ibの成分とサンプル電流Isの成分とに分離することが可能である。なお、ステップS331におけるサンプル電流Isは、所望の電極間距離における測定値ではないため、実験データとして用いることはできない。
ステップS331において、制御部90は、測定した電流値Iから、ベース電流Ib成分を抽出し、当該成分から、ナノ電極34間にトンネル電流が流れない状態におけるベース電流Ibの電流値である基準電流Icを算出する。
次に、制御部90は、目標合計電流値Iaを算出する(ステップS332)。目標合計電流値Iaは、目標とする電極間距離dに相当する、ナノ電極34間のトンネル電流の値である。具体的には、まず、数式(4)の電極間距離dに目標電極間距離を代入して、目標トンネル電流値Iuを算出する。目標トンネル電流値Iuは、目標とする電極間距離dに相当するトンネル電流の値である。そして、基準電流Icに目標トンネル電流値Iuを加算して、目標合計電流値Iaを算出する。
その後、制御部90は、押し上げ具93を動作させて、測定した電流値Iのベース電流Ibが目標合計電流値Iaと一致する目標位置に、ナノ電極34を配置するために、ステップS333~S335を行う。
まず、制御部90は、現在のベース電流Ibが目標合計電流値Iaに近づくように、押し上げ具93を操作し、電極間距離dを変更する(ステップS333)。本実施形態では、1回のステップS333で変更可能なピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpの変化量の上限値が決められている。このため、1回のステップS333における電極間距離dの最大変更量が決められている。
次に、制御部90は、所定の第2待機時間t2の間、待機を行う(ステップS334)。これにより、ステップS333の電極間距離dの変更に伴う過渡現象の影響が十分小さくなるのを待つ。その結果、その後のステップS335における電流測定時に、測定した電流値に過渡現象に起因する誤差が生じるのを抑制できる。
ステップS334における待機時間である第2待機時間t2は、ステップS100の特徴量解析処理で算出された5つの時定数τ1~τ5のうち、最も小さな時定数τ1、2番目に小さな時定数τ2、および3番目に小さな時定数τ3に基づいて算出される。第2待機時間t2は、例えば、時定数τ1、時定数τ2および時定数τ3の平均値に所定の実数を乗じて算出される。
その後、制御部90は、電流計96に電流値Iを測定させる(ステップS335)。
そして、制御部90は、ステップS335において測定した電流値Iのベース電流Ibが、所定の電流値範囲内に含まれるか否かを判断する(ステップS336)。ステップS336において判断が行われる所定の範囲は、目標合計電流値Iaを基準として設定される。例えば、ベース電流Ibが、目標合計電流値Iaから±0.0005nAの範囲内であるか否かを基準とする。
ステップS336において、ベース電流Ibが所定の範囲内に達していないと判断すると(ステップS336:No)、制御部90は、ステップS333へと戻り、引き続き電極間距離dの調整を行う。
一方、ステップS336において、ベース電流Ibが所定の範囲内に達していると判断すると(ステップS336:Yes)、制御部90は、ステップS300の電極間調整処理を完了する。
続いて、図21を参照しつつ、ステップS340のラージギャップモードにおける電極間距離調整工程の流れについて説明する。電流測定時における電極間距離が比較的大きい場合、当該電極間距離におけるトンネル電流の値は比較的小さくなる。当該トンネル電流の値が、基準電流Icのノイズ成分に比べて小さいと、基準電流Icと目標合計電流値Iaとの差がわかりにくくなる。このため、スモールギャップモードと同じ方法で電極位置を設定しようとしても、所望の電極間距離となる電極位置に正確にセットするのが困難である。そこで、以下に説明するラージギャップモードにより電極位置をセットすることにより、所望の電極間距離となるように電極位置をセットする。
図23は、ステップS340のラージギャップモードの電極間距離調整工程において、ナノ電極34間の様子を示した概略図である。図23に示すように、まず、ナノ電極34間にトンネル電流が流れないように電極間距離を十分大きくした状態で、基準電流Icの測定を行う(ステップS341)。基準電流Icの測定後は、押し上げ具93を、ナノ電極34の先端部同士が接触する位置に戻す。基準電流Icの測定は、スモールギャップモードのステップS331と同様に行う。
次に、制御部90は、中間目標合計電流値Idおよび移動操作量ΔVpを算出する(ステップS342)。具体的には、まず、中間トンネル電流値Ivを算出する。中間トンネル電流値Ivは、中間目標位置とする中間電極間距離d1に対応するトンネル電流値である。中間目標位置とする中間電極間距離d1は、最終目標位置とする目標電極間距離d2よりも小さい電極間距離である。中間トンネル電流値Ivは、数式(4)の電極間距離dに、中間電極間距離d1を代入することにより算出される。そして、この中間トンネル電流値Ivと、ステップS341で測定した基準電流Icとを加算して、中間目標合計電流値Idを算出する。なお、中間トンネル電流値Ivが、基準電流Icのノイズ成分よりも十分大きな電流値となるように、中間電極間距離d1を設定する。
一方、移動操作量ΔVpは、中間目標位置である中間電極間距離d1から最終目標位置である目標電極間距離d2まで移動させるために必要な操作量である。この移動操作量ΔVpは、具体的には、中間電極間距離d1から目標電極間距離d2まで移動するためのピエゾアクチュエータ942への印加電圧Vpの変化量である。この移動操作量ΔVpは、ステップS101~S111の校正処理によって求められた推定関数に基づいて求められる。すなわち、数式(3)と、校正処理で求められた電極間距離dと印加電圧Vpとの比例係数αとを用いて、以下の数式(11)の関係から求められる。
Figure 0007398129000011
続いて、制御部90は、押し上げ具93を動作させて、測定した電流値Iのベース電流Ibが中間目標合計電流値Idと一致する中間目標位置に、ナノ電極34を配置するために、ステップS343~S345を行う。これにより、ナノ電極34間の電極間距離dを、中間電極間距離d1とすることができる。
まず、制御部90は、現在のベース電流Ibが中間目標合計電流値Idに近づくように、押し上げ具93を操作し、電極間距離dを変更する(ステップS343)。ステップS343は、スモールギャップモードのステップS243と同様に行う。
次に、制御部90は、所定の第2待機時間t2の間、待機を行う(ステップS344)。これにより、ステップS333の電極間距離dの変更に伴う過渡現象の影響が十分小さくなるのを待つ。これにより、その後のステップS335における電流測定時に、測定した電流値に過渡現象に起因する誤差が生じるのを抑制できる。ステップS343における待機時間は、例えば、スモールギャップモードのステップS333における待機時間と同じ第2待機時間t2である。
その後、制御部90は、電流計96に電流値Iを測定させる(ステップS345)。
そして、制御部90は、ステップS345において測定した電流値Iのベース電流Ibが、所定の電流値範囲内に含まれるか否かを判断する(ステップS346)。ステップS336において判断が行われる所定の範囲は、中間目標合計電流値Idを基準として設定される。例えば、ベース電流Ibが、中間目標合計電流値Idから±0.0005nAの範囲内であるか否かを基準とする。
ステップS346において、ベース電流Ibが所定の範囲内に達していないと判断すると(ステップS346:No)、制御部90は、ステップS343へと戻り、引き続き電極間距離dの調整を行う。
一方、ステップS346において、ベース電流Ibが所定の範囲内に達していると判断すると(ステップS346:Yes)、制御部90は、ステップS347に進む。そして、ステップS342で算出した移動操作量ΔVpの分、押し上げ具93による電極基板の押し上げを行う(ステップS347)。具体的には、制御部90は、印加電圧Vpを、中間電極間距離d1における印加電圧Vpに移動操作量ΔVpを加算した電圧値に変化させる。これにより、制御部90はナノ電極34間の電極間距離dを、最終目標位置における目標電極間距離d2にセットする。
続いて、制御部90は、所定の第3待機時間t3の間、待機を行う(ステップS348)。これにより、ステップS347における電極間距離dの変更に伴う過渡現象の影響が十分小さくなるのを待つ。その結果、この後に続くステップS400の生体高分子のトンネル電流測定処理時に、測定した電流値に過渡現象に起因する誤差が生じるのを抑制できる。制御部90は、ステップS349の後、ステップS300の電極間調整処理を完了する。
ステップS348における待機時間である第3待機時間t3は、ステップS100の特徴量解析処理で算出された5つの時定数τ1~τ5のうち、最も小さな時定数τ1と、2番目に小さな時定数τ2とに基づいて算出される。第3待機時間t3は、例えば時定数τ1および平均値に所定の実数を乗じて算出される。
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の実施形態では、電極基板の有する金属層が外部から電力が入力される接続用電極間を一対のみ有したが、本発明はこれに限られない。1つの電極基板が、外部から電力が入力される電極を複数対有していてもよい。例えば、第1流路と第2流路との間に電気泳動用の電圧を印加してもよい。
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1 電極基板
9 電流測定装置
34 ナノ電極
50 流路
90 制御部
93 押し上げ具
94 昇降機構
95 電源
96 電流計
942 ピエゾアクチュエータ

Claims (10)

  1. 一対の電極間を通過する生体高分子のトンネル電流を測定する電流測定方法であって、
    a)電解質を含む液体中に前記電極を配置し、前記電極間に電圧を印加しつつ、前記電極の表面に形成される電気二重層を介して前記電極間を流れる電流を測定する工程と、
    b)前記電極間の距離を固定したまま、電極間電圧をかけていない状態から所定の電圧印加を行いつつ、前記電極間を流れる電流を測定する工程と、
    c)前記工程b)において測定した電流値について、前記電気二重層に起因する特徴量を算出する工程と、
    を含む、電流測定方法。
  2. 請求項に記載の電流測定方法であって、
    前記工程b)および前記工程c)は、前記工程a)の前に行われ、
    前記工程a)における測定タイミングは、前記特徴量に基づいて決定される、電流測定方法。
  3. 請求項に記載の電流測定方法であって、
    前記特徴量は、前記工程b)において測定した前記電流値の時定数である、電流測定方法。
  4. 請求項に記載の電流測定方法であって、
    前記工程c)において、複数の前記時定数を算出する、電流測定方法。
  5. 請求項またはに記載の電流測定方法であって、
    前記工程b)および前記工程c)は、前記工程a)の前に行われ、
    前記工程a)における測定タイミングは、前記時定数に基づいて決定される、電流測定方法。
  6. 請求項に記載の電流測定方法であって、
    前記工程a)は、前記電極間に所定の電圧を印加しつつ、電極間距離を変更させるように操作を行って前記電極間の電流値を取得するキャリブレーション用電流測定工程であって、
    前記工程a)は、
    p1)前記時定数に基づいて算出された待機時間の間、待機する工程と、
    p2)前記電極間距離の変更に用いられる操作量の値と、前記電極間の電流値とを取得する工程と、
    p3)前記操作量を変更して前記電極間距離を変更する工程と、
    を複数回繰り返す、電流測定方法。
  7. 請求項に記載の電流測定方法であって、
    d)前記工程a)における、複数の前記操作量と複数の前記電流値との関係を関数近似した近似関数を算出する工程
    をさらに有する、電流測定方法。
  8. 請求項に記載の電流測定方法であって、
    前記工程p1)における前記待機時間は、前記時定数を定数倍して算出される、電流測定方法。
  9. 請求項に記載の電流測定方法であって、
    前記工程b)および前記工程c)の後であって、
    e)前記電極間にトンネル電流が流れない電極間距離において、前記電極間に流れる基準電流の値を測定する工程と、
    f)目標とする電極間距離に対応するトンネル電流の値と、前記e)で測定した前記基準電流の値とを加算して、目標合計電流値を算出する工程と、
    をさらに含み、
    前記工程e)および前記工程f)は、前記工程a)の前に行われ、
    前記工程a)は、
    q1)前記時定数に基づいて算出された待機時間の間、待機する工程と、
    q2)前記電極間のベース電流を測定する工程と、
    q3)前記ベース電流の値が、前記工程f)で算出した前記目標合計電流値に近づく方向に前記電極間距離を操作する工程と、
    を複数回繰り返す、電流測定方法。
  10. 請求項に記載の電流測定方法であって、
    前記工程b)および前記工程c)の後であって、前記工程a)の前に、
    g)前記電極間にトンネル電流が流れない電極間距離において、前記電極間に流れる基準電流の値を測定する工程と、
    h)中間目標とする電極間距離に対応するトンネル電流の値と、前記工程g)で測定した前記基準電流の値とを加算して、中間目標合計電流値を算出する工程と、
    をさらに含み、
    前記工程a)は、
    r1)前記時定数に基づいて算出された待機時間の間、待機する工程と、
    r2)前記電極間のベース電流を測定する工程と、
    r3)前記ベース電流の値が、前記工程h)で算出した前記中間目標合計電流値に近づく方向に前記電極間距離を操作する工程と、
    を複数回繰り返し、
    前記工程a)の後に、
    i)中間目標とする電極間距離から最終目標とする電極間距離までの予め算出された操作量の操作を行うことにより、前記電極間距離を前記最終目標と一致させるように前記電極間距離を調整する工程
    をさらに含む、電流測定方法。
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