JP2021105227A - 立毛人工皮革及び加飾ポリウレタン成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩基性染料で染色された立毛人工皮革において、変色しにくい立毛人工皮革を提供する。【解決手段】カチオン可染ポリエステル繊維である繊度0.9dtex以下の極細繊維からなる繊維構造体と、高分子弾性体とを含み、少なくとも一面の極細繊維が立毛された立毛人工皮革であって、少なくとも1種の塩基性染料で染色されており、JIS L 1096 8.37(抽出液のpH)のA法に規定された方法に拠って測定された、抽出液のpHが3.5〜6.5である立毛人工皮革。【選択図】図1

Description

本発明は、塩基性染料で染色された立毛人工皮革、及びその用途に関する。
立毛面を有する立毛人工皮革は、加飾成形体の樹脂成形体の表面を加飾する部材として用いられている。立毛人工皮革を用いた加飾成形体の製造方法としては、例えば、樹脂成形体を成形するための金型のキャビティ表面に立毛人工皮革を配置し、キャビティに樹脂又は樹脂原料を注入し、キャビティ内で樹脂又は樹脂原料を硬化させることにより樹脂成形体を成形する方法により製造される。また、別の製造方法としては、予め成形された樹脂成形体の表面に、立毛人工皮革を接着剤で貼りあわせる方法も挙げられる。
一般的な立毛人工皮革は、不織布等の繊維構造体と高分子弾性体とを含み、染料で染色されている。立毛人工皮革に含まれる繊維構造体を形成する繊維としては、耐熱性や成形性に優れる点からポリエステル繊維が好ましく用いられている。立毛人工皮革に含まれるポリエステル繊維を染色する染料としては、発色性に優れる点から分散染料が広く用いられていた。しかし、分散染料で染色された立毛人工皮革は、加飾成形を製造する際に付与される熱により分散染料が昇華して他の物品に移る昇華移行や、接着剤に含まれる有機溶剤により立毛人工皮革に含まれる分散染料が遊離して他の物品を汚染する問題があった。
上述のような問題を解決すべく、塩基性染料に対する染着座を分子中に有するカチオン可染ポリエステル繊維からなる不織布を含む立毛人工皮革であって、塩基性染料で染色された立毛人工皮革も知られている。例えば、下記特許文献1は、明度L*値≦50の表面を有し、カチオン可染ポリエステル繊維の不織布と不織布に付与された高分子弾性体とを含む繊維基材を含み、少なくとも1種の塩基性染料(カチオン染料)で染色された立毛人工皮革を開示する。引用文献1は、塩基性染料で染色された立毛人工皮革によれば、人工皮革に積層した樹脂層や、樹脂成形体等の他の部材と接触した状態にあっても、樹脂層や樹脂成形体が染料で汚染されにくい、濃色に着色された立毛人工皮革が得られることを開示する。
ところで、例えば、下記特許文献2は、pHが6.0〜6.95である、塩基性染料で染色されている塩基性染料可染型繊維と、セルロース繊維とポリウレタン繊維とを混用した消臭性布帛を開示する。そして、カチオン染料を用いて染色仕上げした布帛のpHを6.0〜6.95の範囲内に維持しておけば、製品での保管時に変色や黄変が極めて起き難いという効果や繰り返し洗濯による変褪色が小さいという効果があることが記載されている。
特開2018−48435号公報 特開2013−133562号公報
上述のように、立毛人工皮革は、加飾成形体の樹脂成形体の表面を加飾する部材として用いられている。塩基性染料で染色された立毛人工皮革を樹脂成形体の表面に一体化した加飾成形体を製造した場合、熱や圧力を掛けられた部分が変色することがあった。本発明は、塩基性染料で染色された立毛人工皮革において、変色しにくい立毛人工皮革を提供することを課題とする。
本件出願人らは、塩基性染料で染色された立毛人工皮革の、熱や圧力を掛けられた部分が変色する事例について分析したところ、アミン系化合物と接したり、塩基性ガスに接したりした場合に、立毛人工皮革が変色しやすくなるという知見を得た。そして、このような知見に基づいて、塩基性染料で染色された立毛人工皮革が変色することを抑制する手段を鋭意検討した結果、本発明に想到するに至った。
すなわち、本発明の一局面は、カチオン可染ポリエステル繊維である繊度0.9dtex以下の極細繊維からなる繊維構造体と、高分子弾性体とを含み、少なくとも一面の極細繊維が立毛された立毛人工皮革であって、少なくとも1種の塩基性染料で染色されており、JIS L 1096 8.37(抽出液のpH)のA法に規定された方法に拠って測定された、抽出液のpHが3.5〜6.5である立毛人工皮革である。このような立毛人工皮革によれば、アミン系化合物と接したり、塩基性ガスに接したりした場合の変色を抑制することができる。抽出液のpHが3.5未満の場合には、酸性度が高すぎるために使用者の肌に刺激を与える懸念や、立毛人工皮革を構成するカチオン可染ポリエステルやポリウレタン等の樹脂の劣化が促進されたりしやすくなる懸念がある。また、pHが6.5を超える場合には、塩基を中和して塩基性染料の構造変化を抑制する効果が小さくなる。
また、塩基性染料は、共役系に活性水素を有する官能基を有しない塩基性染料分子を含むことが、とくに変色しにくい点から好ましい。後述するように、塩基性染料が発色団及び助色団を含む共役系に1級または2級アミノ基や水酸基などの活性水素を含む官能基や、アゾ基あるいは複素環のヘテロ原子等に結合した水素のような活性水素を有する構造を有する場合、アミン系化合物と接したり、塩基性ガスに接したりするような、塩基性雰囲気において、該官能基から活性水素が脱離して、塩基性染料の発色に寄与していた共役系が変化する。そのために、塩基性染料が変色する。そのために、共役系に活性水素を有する官能基を含まない塩基性染料分子で染色された立毛人工皮革である場合においては、変色を抑制する効果がとくに高くなる。このような共役系に活性水素を有する官能基を含まない塩基性染料分子としては、例えば、C.I.Basic Blue 3,C.I.Basic Red 29,C.I.Basic Yellow 21が挙げられる。
また、立毛人工皮革は、クエン酸,リンゴ酸,乳酸,酒石酸,マロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機酸を含有することが、抽出液のpHを3.5〜6.5になるように調整しやすい点から好ましい。
また、本発明の他の一局面は、ポリウレタン成形体の一面に、上記何れかの立毛人工皮革を一体化させてなる加飾ポリウレタン成形体である。ポリウレタン成形体は、ウレタン原料としてアミン系の鎖伸長剤を用いたり、アミン系触媒を用いたりすることが多い。また、ポリウレタン接着剤にもアミン系化合物が配合されていることが多い。そして、従来、加飾ポリウレタン成形体の製造の際に、塩基性染料で染色された立毛人工皮革はアミン系化合物と接触した場合には、立毛人工皮革は変色しやすかった。本発明に係る加飾ポリウレタン成形体は、製造の際に、アミン系化合物と接したり、塩基性ガスに接したりした場合であっても、変色しにくい。
本発明によれば、塩基性染料で染色された立毛人工皮革において、変色しにくい立毛人工皮革が得られる。
図1は、実施形態の立毛人工皮革1を含む加飾成形体10の模式断面図である。
はじめに、本発明に係る立毛人工皮革の一実施形態を詳しく説明する。
本実施形態の立毛人工皮革は、カチオン可染ポリエステル繊維である繊度0.9dtex以下の極細繊維からなる繊維構造体と、高分子弾性体とを含み、少なくとも一面の極細繊維が立毛されており、少なくとも1種の塩基性染料で染色されている。そして、立毛人工皮革は、JIS L 1096 8.37(抽出液のpH)のA法に規定された方法に拠って測定された、抽出液のpHが3.5〜6.5である。
カチオン可染ポリエステル繊維とは、ポリエステルに、塩基性染料による染色を可能にするためのスルホン酸基等のアニオン性官能基を導入することにより、塩基性染料による可染性を付与されたポリエステルの繊維である。詳しくは、例えば、下記式(I)で表される成分を1.5〜3モル%含み、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とを含む共重合モノマーを共重合させて得られるカチオン染料可染性ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
Figure 2021105227
[上記式(I)中、Rは水素、炭素数1〜10個のアルキル基又は2−ヒドロキシエチル基を表し、Xは金属イオン、4級ホスホニウムイオン又は4級アンモニウムイオンを表す。]
式(I)で表される化合物としては、5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩)や、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸,5−エチルトリブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの5−テトラアルキルホスホニウムスルホイソフタル酸や、5−テトラブチルアンモニウムスルホイソフタル酸,5−エチルトリブチルアンモニウムスルホイソフタル酸などの5−テトラアルキルアンモニウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。式(I)で表される化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、式(I)で表される化合物が、4級ホスホニウムイオン又は4級アンモニウムイオンであるXを含む化合物を含むことが、機械的特性及び高速紡糸性に優れるカチオン染料可染性ポリエステルが得られる点から好ましい。好ましくは式(I)で表される化合物、とくにはXが4級ホスホニウムイオン又は4級アンモニウムイオンである式(I)で表される化合物を1.5〜3モル%含み、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とを含む共重合モノマーを共重合させることにより得られるカチオン染料可染性ポリエステルが溶融紡糸性にも優れる点から好ましい。
ここで、テレフタル酸を主成分とするとは、共重合モノマーに含有されるジカルボン酸成分のうち50モル%以上がテレフタル酸であることを意味する。ジカルボン酸成分のうちテレフタル酸の含有割合は、75モル%以上であることが好ましい。また、塩基性染料による染色堅牢性を向上させ、高速紡糸性を向上させ、また、立毛人工皮革を成形用途に使う場合の賦形性を向上させるために、ガラス転移温度を低下させることを目的として、ジカルボン酸成分として、式(I)で表される化合物を除く、その他のジカルボン酸を含んでもよい。その他のジカルボン酸成分の具体例としては例えば、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロへキサンジカルボン酸や、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸等のその他のジカルボン酸又はその誘導体を含んでもよい。これらの中では、イソフタル酸、または、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とアジピン酸との組み合わせ、又はその誘導体を用いることが機械的特性と高速紡糸性に優れる点からとくに好ましい。
その他のジカルボン酸の共重合割合は、2〜12モル%、さらには3〜10モル%であることが好ましい。その他のジカルボン酸の共重合割合が2モル%未満の場合には、ガラス転移温度が充分に低下せず、繊維内部における非晶部位の配向度が高くなるために染色性が低下する傾向がある。一方、その他のジカルボン酸の共重合割合が12モル%を超える場合には、ガラス転移温度が低下しすぎて、繊維内部における非晶部位の配向度が低くなるために繊維強度が低下する傾向がある。なお、その他のジカルボン酸単位としてイソフタル酸単位を含有する場合には、イソフタル酸単位を1〜6モル%、さらには2〜5モル%含有することが機械的特性と高速紡糸性に優れる点から好ましい。また、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位とアジピン酸単位とを含有する場合には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位及びアジピン酸単位をそれぞれ1〜6モル%、さらには2〜5モル%含有することが機械的特性と高速紡糸性に優れるカチオン可染ポリエステルが得られる点から好ましい。
また、エチレングリコールを主成分とするとは、共重合モノマーに含有されるグリコール成分のうち50モル%以上がエチレングリコールであることを意味する。グリコール成分のうちエチレングリコールの含有割合は、75モル%以上、さらには90モル%以上であることが好ましい。また、その他の成分としては、例えば、ジエチレングリコールやポリエチレングリコール等が挙げられる。
また、カチオン可染ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲で、カーボンブラック等の着色剤、耐候剤、防黴剤等を必要に応じて、配合してもよい。
本実施形態におけるカチオン可染ポリエステル繊維の繊度は、0.9dtex以下であり、0.09〜0.9dtex、さらには0.1〜0.5dtexであることが、変色を抑制する効果が顕著になる点から好ましい。0.9dtex以下である極細繊維は、繊度の高い繊維に比べて表面積が大きいために、アミン系化合物や塩基性ガス等の変色を引き起こす化合物に接して変色が起こりやすくなるために、変色を抑制する効果が顕著になる。また、0.9dtexを超える場合には、外観や表面のタッチや外観の品位が低くなる。なお、繊度は、立毛人工皮革の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を3000倍で撮影し、繊維の断面をランダムに10個選んで断面積を測定し、その断面積の平均値を算出し、カチオン可染ポリエステル繊維の密度から換算して算出される。
繊維構造体としては、不織布,織物,編物等が特に限定なく用いられる。これらの中では、極細繊維を絡合させた不織布が好ましい。
本実施形態の立毛人工皮革には、繊維構造体にポリウレタン等の高分子弾性体が含浸付与されている。高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン,アクリロニトリルエラストマー,オレフィンエラストマー,ポリエステルエラストマー,ポリアミドエラストマー,アクリルエラストマー等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタンが好ましい。
なお、高分子弾性体は、本発明の効果を損なわない範囲で、カーボンブラック等の顔料や染料などの着色剤、凝固調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、防黴剤、浸透剤、消泡剤、滑剤、撥水剤、撥油剤、増粘剤、増量剤、硬化促進剤、発泡剤、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、無機微粒子、導電剤などをさらに含有してもよい。
高分子弾性体の含有割合としては、カチオン可染ポリエステル繊維との合計量に対して、0.1〜50質量%、さらには3〜40質量%、とくには5〜25質量%、ことには10〜15質量%であることが、充実感としなやかさ等のバランスに優れた立毛人工皮革が得られる点から好ましい。
そして、カチオン可染ポリエステル繊維の繊維構造体に高分子弾性体を含浸付与してなる繊維基材の少なくとも一面を、好ましくは120〜600番手、さらに好ましくは320〜600番手程度のサンドペーパーやエメリーペーパーを用いてバフィングして起毛処理を施すことにより、一面の極細繊維が立毛されたスエード調やヌバック調の立毛面が形成された繊維基材が得られる。
そして、立毛面が形成された繊維基材を塩基性染料で染色することにより、塩基性染料で染色された立毛人工皮革が得られる。塩基性染料としては、従来から知られている塩基性染料であればとくに限定なく用いられる。なお、塩基性染料は染料液中で溶解してカチオン性を示し、例えば4級アンモニウム基等を有する染料イオンとなってカチオン可染ポリエステル繊維のスルホン酸基等のアニオン性官能基にイオン結合する。このような塩基性染料は一般的には、塩素イオン等のアニオンと塩を形成している。
塩基性染料の具体例としては、C.I.Basic Blue 3,C.I. Basic Blue 6,C.I. Basic Blue 10,C.I. Basic Blue 12,C.I.Basic Blue75,C.I. Basic Blue 96等のオキサジン系青色塩基性染料;C.I.Basic Blue 54やC.I.Basic Blue 159等のアゾ系青色塩基性染料;C.I.Basic Yellow 21やC.I.Basic Yellow 12等のメチン系染料; C.I.Basic Blue 17等のフェノチアジン系塩基性染料;C.I.Basic Yellow 40等のクマリン系染料、C.I.Basic Yellow 28等のアゾメチン系染料; C.I.Basic Red 29やC.I.Basic Red 46等のアゾ系赤色染料; C.I.Basic Violet 11 等のキサンテン系染料が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、とくに、共役系に活性水素を有する官能基を有しない塩基性染料分子を含むことが、とくに変色しにくい点から好ましい。ここで、「共役系に活性水素を有する官能基を有しないカチオン染料」とは、カチオン染料のうち、発色団及び助色団を含む共役系に活性水素を有する構造を有さないカチオン染料を意味する。共役系に1級または2級アミノ基や水酸基などの活性水素を含む官能基や、アゾ基あるいは複素環のヘテロ原子等に結合した水素のような活性水素を含む構造を有する塩基性染料の場合、アミン系化合物と接したり、塩基性ガスに接したりするような塩基性雰囲気において、共役系から活性水素が脱離して、塩基性染料の発色に寄与していた共役系が変化する。そのために、塩基性染料が変色する。そのために、共役系に活性水素を有する官能基を有しない塩基性染料分子で染色された立毛人工皮革である場合においては、変色を抑制する効果がとくに高くなる。このような共役系に活性水素を有する官能基を有しない塩基性染料分子としては、例えば、C.I.Basic Blue 3,C.I.Basic Red 29,C.I.Basic Yellow 21などが挙げられる。
染色方法は特に限定されないが、例えば、液流染色機、ビーム染色機、ジッガーなどの染色機を用いて染色する方法が挙げられる。染色加工の条件としては、染色温度としては100〜135℃、さらには90〜120℃で染色することが環境負荷も低く、染色コストを低減できる点から好ましい。また、染色の際に、酢酸や芒硝のような染色助剤を用いてもよい。
染料液中の塩基性染料の濃度は目的とする色に応じて適宜調整されるが、例えば、立毛人工皮革の基材に対し、0.5〜20%owf、さらには、1.0〜15%owf、となるような範囲が挙げられる。
本実施形態においては、塩基性染料により染色された立毛人工皮革を、アニオン系界面活性剤を含有する湯浴中で洗浄処理することにより、結合力の低い塩基性染料を除去することが好ましい。このような洗浄処理により、高分子弾性体に吸収された塩基性染料が充分に除去されて、染色された立毛人工皮革から塩基性染料が他の部材に移行しにくくなる。アニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、日成化成(株)製のソルジンR,センカ(株)製のセンカノールA−900,明成化学工業(株)製のメイサノールKHM等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤を含有する湯浴中での洗浄処理は、50〜100℃、さらには60〜80℃の湯浴で行うことが好ましい。また、湯浴の槽としては、染色処理を行った染色機を用いることが、製造工程が簡略化できる点から好ましい。
洗浄時間としては、得られる染色された立毛人工皮革のJIS法(JIS L 0846)による水堅牢度の綿汚染の判定が4−5級以上になるような時間であることが好ましく、具体的には、10〜30分間、さらには、15〜20分間程度であることが好ましい。また、この洗浄を1回以上、好ましくは2回以上繰り返してもよい。このように染色及び洗浄処理された立毛人工皮革は乾燥される。
立毛人工皮革には、必要に応じて、各種仕上げ処理が施される。仕上げ処理としては、柔軟化処理、毛ブラシによるブラッシング処理、防汚処理、撥水化処理、滑剤処理、柔軟剤処理、酸化防止剤処理、紫外線吸収剤処理、蛍光剤処理、難燃剤処理等が挙げられる。
そして、本実施形態の立毛人工皮革は、JIS L 1096 8.37(抽出液のpH)のA法に規定された方法に拠って測定された、抽出液のpHが3.5〜6.5になるように調整されている。立毛人工皮革は、高分子弾性体に含まれる添加剤や、仕上げ処理に用いられる各種薬剤、アニオン系界面活性剤による洗浄により、塩基性を帯びやすい。本実施形態の立毛人工皮革においては、立毛人工皮革の抽出液のpHが3.5〜6.5になるように調整されている。このような立毛人工皮革によれば、アミン系化合物と接したり、塩基性ガスに接したりした場合の変色を顕著に抑制することができる。
抽出液のpHを3.5〜6.5になるように立毛人工皮革を調整する方法は特に限定されないが、例えば、クエン酸,リンゴ酸,乳酸,酒石酸,マロン酸のような有機酸の水溶液に、pH未調整の塩基性染料で染色された立毛人工皮革を浸漬し、乾燥することにより、立毛人工皮革を酸性〜弱酸性に処理する方法が挙げられる。
塩基性染料で染色されたpH未調整の立毛人工皮革のpHは、6.5を超える。このようなpH6.5を超えるpH未調整の立毛人工皮革を抽出液のpHを3.5〜6.5になるように立毛人工皮革を調整することにより、立毛人工皮革中の酸性成分が塩基を中和し、アミン系化合物と接したり、塩基性ガスに接したりした場合の塩基と塩基性染料との反応を防ぎ、変色を顕著に抑制することができる。
有機酸の水溶液に浸漬して乾燥することによって、塩基性染料で染色された立毛人工皮革のpHを調整する場合、pH調整後の立毛人工皮革に含まれる有機酸の含有割合は、例えば、200〜8000ppm、さらには、500〜5000ppm、であることが好ましい。
このようにして調整された立毛人工皮革の抽出液のpHは、3.5〜6.5であり、好ましくは、4.0〜6.0である。抽出液のpHが3.5未満の場合には、酸性度が高すぎて使用者の肌へ刺激を与えたり、立毛人工皮革を構成するカチオン可染ポリエステルやポリウレタン等の樹脂の劣化が促進されやすくなったりする。また、pHが6.5を超える場合には、塩基を中和することにより塩基性染料の構造変化を抑制する効果が小さくなる。
上述したような本実施形態の塩基性染料で染色された立毛人工皮革は、従来知られた立毛人工皮革の各用途に好ましく用いられるが、これらの中でも、とくには、加飾成形体の表皮材として用いられる用途、具体的には、成形体の一面に、本実施形態の立毛人工皮革を直接一体化させてなる加飾成形体の用途に特に好ましく用いられる。また、このような用途において、とくには、ポリウレタン成形体の一面に立毛人工皮革を直接一体化させてなる加飾成形体の製造においては、製造時に立毛人工皮革がアミン系化合物と接したり、塩基性ガスに接したりしやすく、その場合には、塩基性染料で染色された立毛人工皮革が変色しやすかった。本実施形態の塩基性染料で染色された立毛人工皮革を用いることにより、このような変色を低減することができる。
図1は、本実施形態の立毛人工皮革1を含む加飾成形体10の模式断面図である。加飾成形体10は、成形体2の一面に本実施形態の立毛人工皮革1が直接一体化されている。なお、直接一体化とは、射出成形を用いたインモールド成形において、射出成形機に搭載された金型のキャビティ表面に立毛人工皮革の断片を配し、金型を密閉して、密閉された金型内に流動状態の樹脂又は樹脂原料を注入し、金型内で、成形体を硬化させることにより、成形体の一面を覆うように立毛人工皮革が配された加飾成形体であることを意味し、成形体の表面に接着剤による接着層を介して立毛人工皮革を接着する形態と区別される。
また、本実施形態の立毛人工皮革を用いた加飾成形体としては、とくには、リム(Reaction Injection Molding)成形を用いて製造された、ポリウレタン成形体の一面に立毛人工皮革を直接一体化させてなる加飾ポリウレタン成形体がとくに好ましい。
リム成形は、反応射出成形とも称され、密閉された金型内にポリウレタン原料を射出し、金型内に注入されたポリウレタン原料を急速に反応させて硬化させることにより、ポリウレタン成形体を成形する方法である。詳しくは、射出成形機に搭載された、リム成形用金型のキャビティ形成面に立毛人工皮革を配置して型締めする工程と、型締めされて形成されたキャビティにポリウレタン原料を注入して加熱することにより、ポリウレタン原料を反応させて硬化させることにより、ポリウレタン成形体の一面に立毛人工皮革を直接一体化させる工程と、を含む加飾ポリウレタン成形体の製造方法である。
リム成形を用いた加飾ポリウレタン成形体の製造においては、キャビティ形成面に配された立毛人工皮革にポリウレタン原料に含有されたアミン系の化合物や原料に由来する塩基性ガスに接触することが多い。そのために、従来、塩基性染料で染色された立毛人工皮革をリム成形を用いた加飾成形に用いた場合には、変色しやすかった。上述したような塩基性染料で染色された立毛人工皮革を用いることにより、リム成形を用いてポリウレタン成形体の一面に立毛人工皮革を直接一体化させた加飾成形体を製造する場合においても、変色が抑制される。このような加飾ポリウレタン成形体は、例えば、ポリウレタン成形体をソール部とする靴の主要部の製造に好ましく用いられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例により何ら限定されるものではない。
はじめに、本実施例で用いた評価方法をまとめて説明する。
(立毛人工皮革の抽出液のpH)
JIS L 1096(2010) 8.37(抽出液のpH)のA法に規定された方法に従って、立毛人工皮革の抽出液のpHを測定した。具体的には、立毛人工皮革から5.0g±0.1gの試験片を採取し、約10mm×10mmの断片にした。一方、ガラス栓付きの200mLフラスコに50mLの蒸留水を入れ、2分間静かに煮沸した後、フラスコを熱源から遠ざけ、上記の断片試料をフラスコに入れ、フラスコに栓をして30分間放置した。この間ときどき栓を緩めてフラスコを振とうした。そして、30分後抽出液を25℃±2℃に調節し、JIS Z8805に規定する pH測定器で抽出液のpHを測定した。試験は、2個の試験片について行い、その平均値を算出し、小数点以下1けたに丸めた。
(加飾成形による変色性評価)
加飾成形前の立毛人工皮革と加飾成形後の立毛人工皮革との色差ΔEcmcを求めた。具体的には、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製:U−3010)を用いて、加飾成形をする前後の立毛人工皮革の立毛面のΔEcmcを測定した。なお、値は、試験片から平均的な位置を万遍なく選択して測定された3点の平均値である。
(外観)
立毛人工皮革を縦30cm×横20cmに切りだしたサンプルを調製した。そして、当業者3名により以下の基準で外観を判定した。
A:立毛面が均一できめ細かいスエード調の立毛感を有する
B:立毛面が粗く、スエード調の外観に乏しい
[実施例1]
海成分の熱可塑性樹脂としてエチレン変性ポリビニルアルコール(PVA)、島成分の熱可塑性樹脂としてスルホイソフタル酸のテトラブチルホスホニウム塩で変性されたポリエチレンテレフタレート(CD‐PET)を含み、海成分と島成分との質量比が海成分/島成分=25/75である、海島型複合繊維を三次元絡合させた不織布を製造した。なお、CD‐PETは、スルホイソフタル酸のテトラブチルホスホニウム塩単位1.7モル%,1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位5モル%,アジピン酸単位5モル%含有する、ガラス転移温度62℃の変性PETであった。
そして、海島型複合繊維を三次元絡合させた不織布に、ポリウレタンのエマルジョンを含浸させ、150℃の乾燥炉で乾燥することによりポリウレタンを付与した。なお、ポリウレタンのエマルジョンは、ポリカーボネート/エーテル系ポリウレタンを主体とするポリウレタンの固形分濃度30%のエマルジョンであった。そして、ポリウレタンを付与された海島型複合繊維を三次元絡合させた不織布を95℃の熱水中に20分間浸漬することにより海島型複合繊維に含まれる海成分を抽出除去し、120℃の乾燥炉で乾燥した。このようにして、ポリウレタンを含浸付与された、繊度0.2dtexのCD‐PETの繊維の不織布を含む繊維基材の原反を得た。得られた繊維基材の原反は、CD‐PETの繊維/ポリウレタンの質量比が88/12であった。そして、得られた繊維基材の原反をスライスして2分割し、スライス面を600番手のサンドペーパーでバフィングして立毛面を形成した。このようにして、立毛面が形成された厚さ1mmの立毛繊維基材を得た。
そして、塩基性染料として、オキサジン系青色塩基性染料であるC.I.Basic Blue 3を含むNichilon Blue 7G (日成化成(株)製) 2%owf、染色助剤として90%酢酸1g/Lを含有する120℃の染料液を貯留した染色浴中に、立毛繊維基材を、浴比1:30の割合で30分間浸漬して、濃青色に染色した。なお、C.I.Basic Blue 3は、共役系に活性水素を有する官能基を含まない塩基性染料分子である。そして、同一染色浴で、アニオン系界面活性剤としてソルジンR 2g/Lを含有する湯浴を用いて70℃でソーピングする工程を2回繰り返した。そして、ソーピング後、乾燥することにより、染色されたスエード調の立毛面を有する立毛人工皮革を得た。
ソーピング後に染色浴に常温水を張りクエン酸を見掛け0.2%濃度で投入し染色生地を20分間程度走行させた後、生地を取り出し拡布し乾燥することにより酸性化された立毛人工皮革を得た。
このようにして、繊度0.2dtexのカチオン可染ポリエステル繊維の絡合不織布を含む、塩基性染料で染色された濃青色の立毛人工皮革を得た。
そして、得られた立毛人工皮革を用いて、次のようにして、加飾ポリウレタン成形体を製造した。ポリオキシエチレン系ポリエーテルポリオール(水酸基価28mgKOH/g、1300mPa・s)に、アミン系触媒(ジメチルアミノエタノール) 0.5質量%、整泡剤(Evonik社Tegostab B8736LF2)1.0質量%、発泡剤(モノエタノールアミン炭酸塩)5.0質量%を配合した高分子ポリオール組成物を準備した。また、ポリオール変性ジフェニルメタンジイソシアネート(NCO率26.7%、140mP・s(25℃))を有機イソシアネートとして準備した。そして、RIM成形機である高圧発泡機に搭載された140℃に加熱された金型のキャビティ内に、立毛人工皮革をその立毛面がキャビティ表面に対向するように配置した。そして、高分子ポリオール組成物と有機イソシアネートとをそれぞれ、50℃に加熱した状態でNCO Indexが1.05になる比率で、金型のキャビティ内に射出した。そして、140℃で5分間保持することにより、発泡及び硬化させたポリウレタン成形体を成形した。そして、冷却し、金型を開くことにより、ポリウレタン成形体の一面に、立毛人工皮革を直接一体化させてなる加飾ポリウレタン成形体を製造した。
そして、得られた立毛人工皮革または加飾ポリウレタン成形体を上述のようにして評価した。結果を下記表1に示す。
Figure 2021105227
[実施例2]
実施例1において、クエン酸含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例3〜4]
実施例1において、クエン酸に代えて、表1に示すようにリンゴ酸または酒石酸に変更した以外は、実施例1と同様にして立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、立毛繊維基材の染色工程を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表1に示す。
(染色工程)
塩基性染料として、アゾ系赤色染料であるC.I.Basic Red 46を含むNichilon Red-GRL(日成化成(株)製) 2%owf、染色助剤として90%酢酸1g/Lを含有する120℃の染料液を貯留した染色浴中に、立毛繊維基材を、浴比1:30の割合で30分間浸漬して、濃赤色に染色した。なお、C.I.Basic Red 46は、共役系に活性水素を有する官能基を含まない塩基性染料分子である。そして、同一染色浴で、アニオン系界面活性剤としてソルジンR 2g/Lを含有する湯浴を用いて70℃でソーピングする工程を2回繰り返した。
[実施例6]
実施例1において、立毛繊維基材の染色工程を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表1に示す。
(染色工程)
塩基性染料として、メチン系黄色染料であるC.I.Basic Yellow 21を含むNichilon Yellow7GL(日成化成(株)製) 2%owf、染色助剤として90%酢酸1g/Lを含有する120℃の染料液を貯留した染色浴中に、立毛繊維基材を、浴比1:30の割合で30分間浸漬して、黄色に染色した。なお、C.I.Basic Yellow 21は、共役系に活性水素を有する官能基を含まない塩基性染料分子である。そして、同一染色浴で、アニオン系界面活性剤としてソルジンR 2g/Lを含有する湯浴を用いて70℃でソーピングする工程を2回繰り返した。
[実施例7]
実施例1において、立毛繊維基材の染色工程を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表1に示す。
(染色工程)
塩基性染料として、クマリン系黄色染料であるC.I.Basic Yellow 40を含むNichilon Flavine 10GFF(日成化成(株)製) 2%owf、染色助剤として90%酢酸1g/Lを含有する120℃の染料液を貯留した染色浴中に、立毛繊維基材を、浴比1:30の割合で30分間浸漬して、黄色に染色した。なお、C.I.Basic Yellow 40は、共役系に活性水素を有する官能基を含まない塩基性染料分子である。そして、同一染色浴で、アニオン系界面活性剤としてソルジンR 2g/Lを含有する湯浴を用いて70℃でソーピングする工程を2回繰り返した。
[実施例8]
実施例1において、立毛繊維基材の染色工程を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表1に示す。
(染色工程)
塩基性染料として、キサンテン系紫色染料であるC.I.Basic Violet 11を含むNichilon Pink CP(日成化成(株)製) 2%owf、染色助剤として90%酢酸1g/Lを含有する120℃の染料液を貯留した染色浴中に、立毛繊維基材を、浴比1:30の割合で30分間浸漬して、ピンク色に染色した。なお、C.I.Basic Violet 11は、共役系に活性水素を有する官能基を含まない塩基性染料分子である。そして、同一染色浴で、アニオン系界面活性剤としてソルジンR 2g/Lを含有する湯浴を用いて70℃でソーピングする工程を2回繰り返した。
[実施例9]
実施例1において、立毛繊維基材の染色工程を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表1に示す。
(染色工程)
塩基性染料として、オキサジン系青色塩基性染料であるC.I.Basic Blue75を含むNichilon Blue350(日成化成(株)製) 2%owf、染色助剤として90%酢酸1g/Lを含有する120℃の染料液を貯留した染色浴中に、立毛繊維基材を、浴比1:30の割合で30分間浸漬して、濃青色に染色した。なお、C.I.Basic Blue75は、共役系に活性水素を有する官能基を有する塩基性染料分子である。そして、同一染色浴で、アニオン系界面活性剤としてソルジンR 2g/Lを含有する湯浴を用いて70℃でソーピングする工程を2回繰り返した。
[比較例1〜6]
酸処理工程を省略した以外は、それぞれ、実施例1,5,6,7,8及び9と同様にして立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例7]
比較例6において、繊度0.2dtexのカチオン可染ポリエステル繊維の代わりに、繊度1.5dtexのカチオン可染ポリエステル繊維を形成した以外は、比較例6と同様にして立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表1に示す。
表1を参照すれば、抽出液のpHが3.5〜6.5の範囲である実施例1〜7の立毛人工皮革は、何れもΔEcmcが小さく、変色しにくかった。なお、共役系に活性水素を有する官能基を有する塩基性染料分子を含む染料で染色した実施例9は、やや変色が大きかった。一方、抽出液のpHが6.5を超える比較例1〜6の立毛人工皮革は、何れもΔEcmcが大きく、顕著に変色した。なお、繊度1.5dtexのカチオン可染ポリエステル繊維を用いた比較例7で得られた立毛人工皮革は、ΔEcmcが小さく、変色しなかった。しかし、繊度1.5dtexの繊維で構成されており、外観品位が悪かった。
1 立毛人工皮革
2 成形体
10 加飾成形体

Claims (4)

  1. カチオン可染ポリエステル繊維である繊度0.9dtex以下の極細繊維からなる繊維構造体と、高分子弾性体とを含み、少なくとも一面の前記極細繊維が立毛された立毛人工皮革であって、
    少なくとも1種の塩基性染料で染色されており、
    JIS L 1096 8.37(抽出液のpH)のA法に規定された方法に拠って測定された、抽出液のpHが3.5〜6.5であることを特徴とする立毛人工皮革。
  2. 前記塩基性染料は、共役系に活性水素を有する官能基を有しない塩基性染料分子を含む請求項1に記載の立毛人工皮革。
  3. クエン酸,リンゴ酸,乳酸,酒石酸,マロン酸などからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機酸を含有する請求項1または2に記載の立毛人工皮革。
  4. ポリウレタン成形体の一面に、請求項1〜3の何れか1項に記載の立毛人工皮革を一体化させてなることを特徴とする加飾ポリウレタン成形体。
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