JP2021102219A - 鋼矢板圧延における形状不良の検知方法および鋼矢板の製造方法並びに鋼矢板圧延設備列 - Google Patents

鋼矢板圧延における形状不良の検知方法および鋼矢板の製造方法並びに鋼矢板圧延設備列 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、波やスリップ模様などの形状不良の発生を抑制できる鋼矢板の製造方法を提供する。【解決手段】素材を加熱し、孔型による圧延パスを複数回施して、所定形状の鋼矢板とする際、少なくとも一つの圧延機に、トルク計測装置を配設し、特定の圧延パスについて、素材の噛込み時から噛放し時の間で、孔型を構成する上ロールおよび下ロールのうちの少なくとも一方に発生する圧延トルクを連続的に測定し、当該圧延パスの圧延トルクの時間変化を求める。そして、圧延トルクの時間変化から、演算装置により、圧延トルクの振幅を算出し、当該圧延パスにおける形状不良の有無を判定する。形状不良の場合には、さらに圧延トルクの振動周期、上下ロールの圧延トルクの平均値を算出し、波またはスリップ模様等の形状不良の種類、その発生部位の判定を行い、判定に基づき、当該素材または次素材以降における当該圧延パスの圧延条件を修正または変更する。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼矢板の圧延に係り、とくに、鋼矢板圧延時に発生するスリップ模様、波等の形状不良の検出方法、および該形状不良の検出方法を利用し、形状不良の発生を防止できる鋼矢板の製造方法並びに鋼矢板圧延設備列に関する。
土木工事の土留め部材として用いられる鋼矢板には、ハット形鋼矢板、U形鋼矢板等があり、製品形状の一例として、図2に、(a)ハット形鋼矢板、(b)U形鋼矢板、の断面形状を示す。
鋼矢板は、通常、スラブやブルーム等を素材として、例えば、図3に示す圧延設備例2で製造される。素材を加熱装置3に装入し、所定の温度、例えば1300℃に加熱したのち、粗圧延機4、中間圧延機5、仕上圧延機6の順に搬送され、所定の断面形状まで圧延され、製品形状とされる。なお、粗圧延機4での圧延を粗圧延、中間圧延機5での圧延を中間圧延、仕上圧延機6での圧延を仕上圧延ともいう。これらの圧延機では、カリバと呼ばれる孔型が、上ロールと下ロールとに刻設された圧延ロールを備える。なお、以下では、上ロールと下ロールとをまとめて、上下ロールまたはロール組ともいう。
ハット形鋼矢板の粗圧延に用いられる粗圧延機4の孔型の一例を図4に示す。上ロール41と下ロール42とに対し、Box孔型71、K8孔型72及びK7孔型73の3つの孔型が刻設されている。この孔型を用いた粗圧延では、スラブを素材として、まず、Box孔型71でスラブの幅圧下が行われる。次いで、K8孔型72で、スラブのハット形への曲げ変形及び厚み圧下が行われる。さらに、K7孔型73で、厚み圧下が行われ、製品断面形状に近い形に造形される。K8孔型72及びK7孔型73では、それぞれ複数パスの圧延が行われる。
中間圧延に用いられる中間圧延機5においても、粗圧延機4と同様に、上下ロールに2〜4程度の孔型が刻設されている。ハット形鋼矢板の中間圧延に用いられる中間圧延機5の孔型の一例を図5に示す。図5では、上ロール51と下ロール52とに対し、K3孔型75及びK6孔型74の2つの孔型が刻設されている。また、図示しないもう1台の中間圧延機5には、K5孔型、K4孔型の2つの孔型が刻設されている。粗圧延された素材に対し、これらの孔型K6、K5、K4、K3の順に順次、圧延を行い、さらに製品断面形状に近い形に造形する。
仕上圧延に用いられる仕上圧延機6においても、同様に、上下ロールに1〜3程度の孔型が刻設されている。ハット形鋼矢板の仕上圧延に用いられる仕上圧延機6の孔型の一例を図6に示す。図6では、上ロール61と下ロール62とに対し、K2孔型76及びK1孔型77の2つの孔型が刻設されている。中間圧延された素材に対して、K2孔型76で最終的な厚み圧下を行い、ついでK1孔型77で継手部14の曲げ成形を行って、最終製品断面形状に造形している。
なお、中間圧延及び仕上圧延では、各孔型での圧延パス数は1パスが基本であり、同一孔型での圧延パス数は、多い場合でも2、3パス程度としている。
また、U形鋼矢板についても、ハット形鋼矢板と同様に、複数の圧延機によって、徐々に製品断面形状となるように孔型圧延を行って、製品を製造している。
このような鋼矢板の圧延においては、鋼矢板のウェブ部、フランジ部、継手部を同一のロールで圧延するため、その孔型形状や圧延条件によっては、断面内各部位の圧下バランスがうまく取れずに、最終製品形状になるまでの間に、断面内の一部で材料が座屈し波打つ、形状不良が発生する場合がある。この形状不良は、ウェブ部が波打つ場合を「ウェブ波」、フランジ部が波打つ場合を「フランジ波」、継手部ないし継手部近傍が波打つ場合を「継手部波」と称されている。
また、断面内各部位の圧下バランスや圧延速度が不適正な場合には、圧延ロール速度と材料の進行速度が一致せずに、圧延ロールと材料との間でスリップが発生する。これが、製品段階で圧延方向と直行する筋が多数現れる「スリップ模様」として残存する場合がある。
製品段階のハット形鋼矢板に生じた「ウェブ波」、「フランジ波」、「スリップ模様」の一例をそれぞれ模式的に、図7に示す。
このような波やスリップ模様が発生すると、その程度にもよるが、基本的には波発生部位、スリップ模様発生部位は製品とすることはできず、製品歩留りの低下を招いていた。
このような問題に対し、例えば、特許文献1には、「フランジを有する鋼矢板の製造方法」が記載されている。特許文献1に記載された技術は、被圧延材に粗圧延工程、中間圧延工程及び仕上げ圧延工程を行うフランジを有する鋼矢板の製造方法であって、粗圧延工程及び中間圧延工程における被圧延材の圧延は、連続する複数の孔型における連続パス圧延によって行われ、複数の孔型での圧延において、連続する2つの孔型では、後段の孔型におけるフランジ総圧下率に比べて、圧延中立線近傍でのフランジ圧下率が小さくなるような所定の条件にてフランジ対応部位のロール隙を構成し、圧延を行う鋼矢板の製造方法である。これにより、ハット形鋼矢板のフランジ波を防止することができるとしている。
また、特許文献2には、「ハット型鋼矢板の製造方法」が記載されている。特許文献2に記載された技術は、被圧延材に粗圧延工程、中間圧延工程及び仕上圧延工程を行うハット形鋼矢板の製造方法であって、中間圧延工程は被圧延材の断面全体を1又は複数の孔型による1又は複数パス圧延により行われ、中間圧延工程が行われる孔型のうち少なくとも1つの孔型における被圧延材の圧延は、2つのフランジ対応部の内面及び外面のうち少なくとも一方の面を潤滑して複数パス圧延によって行なわれる、鋼矢板の製造方法である。これにより、特に従来に比べフランジ幅が大きくフランジ厚の薄いハット形鋼矢板を製造する場合に、フランジ波の発生を抑制でき、製品寸法精度や圧延の安定性の向上が図れるとしている。
特開2019-038014号公報 特開2019-042806号公報
しかしながら、鋼矢板の圧延で発生する波やスリップ模様は、圧延条件の微妙な変化で発生するため、特許文献1、特許文献2に記載された各技術による対策のみでは不十分で、波やスリップ模様の発生を完全に防止できるまでに至っていないという問題があった。とくに、波やスリップ模様が発生した当該圧延パスの同定が難しく、製品段階になって初めて波やスリップ模様の発生が明らかになる場合も多い。そのような場合には、波やスリップ模様の発生が明らかになった時点で、すでに多くの素材の圧延が完了している、というケースも多い。また、波やスリップ模様の発生を防止するための圧延条件の修正は、波又はスリップ模様のそれぞれに応じて行う必要があるが、製品段階では、スリップ模様なのか波なのかを判定することが困難な場合もあった。
本発明は、上記したような従来技術の問題を解決し、波やスリップ模様等の形状不良の発生を早期に検知できる、鋼矢板圧延における形状不良の検知方法、および該検知方法を利用して、波やスリップ模様の発生を容易に抑制することができる鋼矢板の製造方法並びに鋼矢板圧延設備列を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、鋼矢板圧延において波やスリップ模様等の形状不良の発生を早期に検知する方法について、鋭意検討した。その結果、圧延時に圧延ロールにかかる圧延トルクを計測することに思い至った。そして、得られた圧延トルクと波およびスリップ模様の発生との間に相関があることを、見出した。
まず、本発明者らが行った基礎的な実験結果について説明する。
本発明者らは、中間圧延機の上下のスピンドルに、ひずみゲージを貼付して、ハット形鋼矢板の圧延中(噛込み時から噛放し時まで)のひずみ値を測定した。そして、得られたひずみデータを送信機で無線送信し、これを受信機で受け取り、圧延トルクデータに換算し、中間圧延工程の各圧延パスにおける上および下ロールに発生する圧延トルクとした。
得られた圧延トルクチャートの一例を模式的に、図1に示す。図1(a)は、通常の例で、圧延トルクに振動が見られない例である。図1(b)は、圧延トルクに振動が見られる例である。このような圧延パスでは、断面内のどこかで、形状不良である「波」が発生している場合が非常に多いことを知見した。なお、図1(b)に示すような圧延トルクに振動が見られる例では、上ロールの圧延トルクの平均値と下ロールの圧延トルクの平均値との比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、で、「波」の発生部位が推定できることも見出している。また、図1(c)は、圧延トルクに細かい周期で振動が見られる例である。このような圧延パスでは、スリップ模様が発生している場合が多いこと、を知見している。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
[1]素材を加熱し、孔型による圧延パスを複数回施して、所定形状の鋼矢板とするに当たり、前記複数回の圧延パスの少なくとも特定の圧延パスにおいて前記素材の圧延中に、前記孔型を構成する上ロールおよび下ロールの少なくとも一方で発生する圧延トルクを連続的に測定し、前記圧延トルクの振幅を算出し、得られた前記圧延トルクの振幅の大きさから、当該圧延パスにおける形状不良の発生の有無を判定すること、を特徴とする鋼矢板圧延における形状不良の検出方法。
[2]前記得られた圧延トルクの振幅が一定値以上である場合を、当該圧延パスにおいて形状不良が発生したと判定し、一方、前記得られた圧延トルクの振幅が一定値未満である場合を、当該圧延パスにおいて形状不良が発生しなかったと判定すること、を特徴とする[1]に記載の鋼矢板圧延における形状不良の検出方法。
[3]前記得られた圧延トルクの振幅が一定値以上である場合には、さらに、前記圧延トルクの振動周期を算出し、得られた前記圧延トルクの振動周期が所定値未満である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した形状不良がスリップ模様であると判定し、得られた前記圧延トルクの振動周期が所定値以上である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した形状不良が波であると判定することを特徴とする[2]に記載の鋼矢板圧延における形状不良の検出方法。
[4]前記発生した形状不良が波であると判定した場合には、さらに、前記上ロールおよび前記下ロールの圧延トルクの平均値をそれぞれ算出し、前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲内である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した形状不良の発生部位がフランジであると判定し、
前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲超えである場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した形状不良の発生部位が上ロールの大径部と下ロールの小径部で圧延している部位であると判定し、前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲未満である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した形状不良の発生部位が下ロールの大径部と上ロールの小径部で圧延している部位であると判定することを特徴とする[3]に記載の鋼矢板圧延における形状不良の検出方法。
[5]前記鋼矢板が、ウェブ部とフランジ部と腕部と継手部とを有するハット形鋼矢板であるか、あるいはウェブ部とフランジ部と継手部とを有するU形鋼矢板であることを特徴とする[1」ないし[4]のいずれかに記載の鋼矢板圧延における形状不良の検出方法。
[6]前記圧延トルクの測定が、圧延ロールに発生するひずみの測定により行うか、あるいは圧延機の主機モータの電流値の測定により行うことを特徴とする[1]ないし[5]のいずれかに記載の形状不良の検出方法。
[7]素材を加熱し、孔型による圧延パスを複数回施して、所定形状の鋼矢板とする鋼矢板の製造方法であって、前記複数回の圧延パスの少なくとも特定の圧延パスにおいて前記素材の圧延中に、前記孔型を構成する上ロールおよび下ロールの少なくとも一方で発生する圧延トルクを連続的に測定し、前記圧延トルクの振幅を算出し、得られた該圧延トルクの振幅の大きさから、当該圧延パスにおける形状不良の発生の有無を判定し、前記判定の結果を表示することを特徴とする鋼矢板の製造方法。
[8]前記得られた圧延トルクの振幅の大きさが一定値以上である場合を、当該圧延パスにおいて形状不良が発生したと判定し、前記得られた圧延トルクの振幅の大きさが一定値未満である場合を、当該圧延パスにおいて形状不良が発生しなかったと判定することを特徴とする[7]に記載の鋼矢板の製造方法。
[9]前記判定が、当該圧延パスにおいて形状不良が発生したと判定した場合には、当該素材または次素材以降における当該圧延パスの圧延条件を修正または変更することを特徴とする[8]に記載の鋼矢板の製造方法。
[10]前記判定が、当該圧延パスにおいて形状不良が発生したと判定した場合には、さらに、前記圧延トルクの振動周期を算出し、得られた前記圧延トルクの振動周期が所定値未満である場合は、当該圧延パスにおける形状不良の発生がスリップ模様の発生であると判定し、前記当該素材または次素材以降における当該圧延パスの圧延条件を、次(A1)〜(C1)
(A1):当該圧延パスの圧延速度を低下させる、
(B1):当該圧延パスの材料の温度を上昇させるように、加熱条件を変更するか、あるいは抽出から当該パスまでの所要時間を短縮する、
(C1):当該圧延パスがタンデム圧延で上流側の圧延の場合に、圧延速度の調整でスタンド間張力を大きくする、
のうちの少なくとも一つの圧延条件に修正することを特徴とする[9]に記載の鋼矢板の製造方法。
[11]前記判定が、当該圧延パスにおいて形状不良が発生したと判定した場合には、さらに、前記圧延トルクの振動周期を算出し、得られた前記圧延トルクの振動周期が所定値以上である場合は、当該圧延パスにおける形状不良の発生が波の発生であると判定し、さらに、前記上ロールおよび前記下ロールの圧延トルクの平均値をそれぞれ算出し、前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲内である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した波の発生部位がフランジであると判定し、
前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲超えである場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した波の発生部位が上ロールの大径部と下ロールの小径部で圧延している部位であると判定し、前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲未満である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した波の発生部位が下ロールの大径部と上ロールの小径部で圧延している部位であると判定し、前記当該素材または次素材以降における当該圧延パスの圧延条件を、次(A)〜(C)
(A):当該圧延パスの波発生部位の圧下を他の部位よりも相対的に小さくする圧下調整を行う、
(B):当該圧延パスの材料の温度を上昇させるように、加熱条件を変更するか、あるいは抽出から当該圧延パスまでの所要時間を短縮する、
(C):当該圧延パスがタンデム圧延されているときに、圧延速度の調整でスタンド間張力を大きくする、
のうちの少なくとも一つの圧延条件に修正することを特徴とする[9]に記載の鋼矢板の製造方法。
[12]前記鋼矢板が、ウェブ部とフランジ部と腕部と継手部とを有するハット形鋼矢板であるか、あるいはウェブ部とフランジ部と継手部とを有するU形鋼矢板であることを特徴とする[7]ないし[11]のいずれかに記載の鋼矢板の製造方法。
[13]前記圧延トルクの測定が、圧延ロールに発生するひずみの測定により行うか、あるいは圧延機の主機モータの電流値の測定により行うことを特徴とする[8]ないし[12]のいずれかに記載の鋼矢板の製造方法。
[14]加熱装置、粗圧延機、中間圧延機、仕上圧延機をこの順に配設してなる鋼矢板圧延設備列であって、前記粗圧延機、前記中間圧延機、前記仕上圧延機のうちの少なくとも一つの圧延機に配設されたトルク計測装置と、さらに、前記トルク計測装置で計測された圧延トルクデータから、圧延トルクの振幅、あるいはさらに圧延トルクの振動周期、平均値を算出する演算手段と、得られた前記圧延トルクの振幅、あるいはさらに振動周期、平均値とから各種形状不良の発生の有無を判定する判定手段と、を有する演算装置と、前記判定の結果を表示する表示装置と、を有することを特徴とする鋼矢板圧延設備列。
[15]前記演算装置がさらに、前記判定の結果に基づき前記加熱装置の加熱条件および前記各圧延機の圧延条件の修正、変更を指令する指令手段を有することを特徴とする[14]に記載の鋼矢板圧延設備列。
本発明によれば、鋼矢板の製造にあたり、波およびスリップ模様という形状不良の発生を、早期にかつ的確に把握することができ、産業上格段の効果を奏する。しかも、本発明によれば、形状不良の種類に対応した的確な圧延条件の修正を迅速に行って形状不良の発生を抑制し、製品歩留りの低下や生産性の低下等を防止できるという効果もある。
鋼矢板圧延時に発生する圧延トルクの時間変化を模式的に示す説明図である。 鋼矢板の断面形状の一例を示す断面図である。(a)はハット形鋼矢板、(b)はU形鋼矢板、である。 鋼矢板の圧延設備列の一例を模式的に示す説明図である。 ハット形鋼矢板製造に用いる粗圧延用孔型(断面)の一例を示す説明図である。 ハット形鋼矢板製造に用いる中間圧延用孔型(断面)の一例を示す説明図である。 ハット形鋼矢板製造に用いる仕上圧延用孔型(断面)の一例を示す説明図である。 ハット形鋼矢板に発生する形状不良の例を模式的に示す説明図である。(a)はウェブ波、(b)はフランジ波、(c)はスリップ模様、の例である。 本発明圧延設備列の中間圧延機の構成の一例を模式的に示す説明図である。 圧延トルクの時間変化における、圧延トルクの平均値、振動周期、振幅の定義を図示する説明図である。
本発明鋼矢板の製造方法では、例えば、図3に示すような圧延設備列2を用いて、素材を加熱装置3に装入し、所定の温度に加熱したのち、粗圧延機4、中間圧延機5、仕上圧延機6の順に搬送し、所定の断面形状まで圧延して、鋼矢板(製品)とする。
本発明で鋼矢板の圧延に好適に使用できる圧延設備列(鋼矢板圧延設備列)2は、加熱装置3、粗圧延機4、中間圧延機5、仕上圧延機6をこの順に配設してなる圧延設備例である。そして、粗圧延機4、中間圧延機5、仕上圧延機6のうちの少なくとも一つの圧延機に、トルク計測装置8を配設する。
一例として、図8に、トルク計測装置8を、中間圧延機5に設けた場合を示す。なお、トルク計測装置8は、粗圧延機4、仕上圧延機6に設けても同様の効果を示すことを確認している。図8には、演算装置9がトルク計測装置8に接続された状態で示されている。複数のトルク計測装置8が配設された場合には、必ずしも複数台のトルク計測装置8に対応して複数台の演算装置9を必要としない。1台の演算装置のみとしてもよい。
トルク計測装置8は、圧延機(ここでは中間圧延機5)にて素材を圧延する際に、上下ロール(ここでは、上ロール51及び下ロール52)の少なくとも一方で圧延トルクを計測できる、計測装置とする。なお、以下、上ロールの圧延トルクを第1圧延トルクといい、下ロールの圧延トルクを第2トルクともいう。図8に示すトルク計測装置8では、スピンドル56a、56bのひずみを測定し、測定したひずみをトルク値に換算することで圧延トルクを計測する。
なお、上記した各圧延機のロールは、スピンドルを介して主機モータに接続されており、主機モータの回転数を変更することで圧延速度を変更することができる。また、各圧延機には、上ロールの上下方向の位置を変えることで、当該圧延機での圧下条件を変更できる圧下調整機構58を備える。
図8に示すように、トルク計測装置8は、第1計測部81、第2計測部82および受信部83を有する。第1計測部81は、第1ひずみ測定手段811と第1送信手段812とを有し、上ロール51に接続するスピンドル56aに取り付けられた第1ひずみ測定手段(ひずみゲージ)811でスピンドル56aに発生するひずみを測定する。測定されたひずみデータは、第1送信手段812で受信部83に無線送信される。
第2計測部82は、第2ひずみ測定手段821と第2送信手段822とを有し、下ロール52に接続するスピンドル56bに取り付けられた第2ひずみ測定手段(ひずみゲージ)821でスピンドル56bに発生するひずみを測定する。測定されたひずみデータは、第2送信手段822で受信部83に無線送信される。
受信部83は、第1計測部81、第2計測部82から無線送信されたひずみデータを受信し、受信したひずみデータを圧延トルクデータに変換する。そして、変換した圧延トルクデータを演算装置9に伝達する。
なお、圧延ロールに発生するひずみ測定に代えて、主機モータの電流値測定によってもよい。その場合は、測定された電流値データを圧延トルクデータに変換する。
また、演算装置9は、演算手段と判定手段と、あるいはさらに指令手段を有する。演算手段では、伝達された圧延トルクデータに基づき、圧延トルクの振動に対して、その振幅を演算する。また、判定手段では、得られた振幅の大きさから形状不良の発生の有無を判定する。振幅の大きさが一定値(閾値)以上となる場合を、当該圧延パスで形状不良が発生していると判定し、振幅の大きさが一定値(閾値)未満である場合は、当該圧延パスで形状不良が発生していない、と判定する。
振幅の大きさが一定値(閾値)以上となる場合にはさらに、圧延トルクの振動に対して、演算手段で振動周期を演算する。判定手段では、得られた振動周期の値から、発生した形状不良の種類、すなわち、波であるか、スリップ模様であるかを、判定する。
なお、判定手段で下された判定の結果は、表示装置に表示される。
そして、指令手段では、上記した判定の結果に基づき、各圧延機での圧下条件や加熱装置での加熱条件等を変更する指令を、各圧延機や加熱装置に対し伝送する。なお、図8では、圧下調整機構58への指令を図示しているが、本発明ではこれに限定されるものではなく、各圧延機(ここでは、中間圧延機)の主機モータの速度変更や加熱装置の加熱条件の変更等を指令することもできる。なお、圧下調整機構58は、上ロール51の長手方向の両端を支持する部位に設けられ、シリンダー等の機構を用いて上ロール51の上下方向の位置を調整し、圧延機における圧下条件を調整する。また、圧下条件とは、圧延機での圧延時の上ロールと下ロールとの間の距離であるロール隙の条件であり、これにより圧下される被圧延材(素材)の圧下量が調整される。
次に、本発明鋼矢板の製造方法について説明する。
本発明では、上記した圧延設備列2を利用して、素材に孔型圧延を施し、所定形状の鋼矢板を製造する。
素材であるスラブを加熱装置3に装入し、所定の温度まで加熱したのち、粗圧延機4、中間圧延機5及び仕上圧延機6で、この順に圧延し、鋼矢板1、例えば、図2に示す断面形状のハット形鋼矢板1A、U形鋼矢板1B等を製造する。また、圧延設備列2では、複数本の素材を順次圧延することで、同一サイズとなる製品を連続して製造することができる。
圧延設備列2での圧延では、まず、粗圧延機4の各孔型にて、被圧延材(素材)の圧延(粗圧延)を複数回行うことで、被圧延材(素材)であるスラブの幅圧下、ハット形への曲げ変形及び厚み圧下を行う。
次いで、中間圧延機5の各孔型にて、粗圧延された素材(被圧延材)の圧延(中間圧延)が行われることで、素材(被圧延材)の厚み圧下が行われる。中間圧延では、中間圧延機5として通常、1台ないし2台の圧延機が設けられ、粗圧延された素材を圧延する。図3に示す鋼矢板圧延設備列2の例では、2台の中間圧延機5(2つのロール組)が設けられている。各ロール組には、それぞれ2つの孔型(図5に示すK6孔型74およびK3孔型75、および図示しないもう一方のロール組にはK5孔型およびK4孔型)が刻設され、そして、2つのロール組の圧延方向に並んだ2つの孔型で、タンデム圧延されることで素材(被圧延材)の圧延が行われる。
さらに、仕上圧延機6の各孔型にて、中間圧延された素材(被圧延材)の圧延(仕上圧延)が行われることで、素材(被圧延材)の最終的な厚み圧下および継手部14の曲げ成形が行われ、製品(ハット形鋼矢板1A)とされる。仕上圧延では、図6に示す、K2孔型76及びK1孔型77で圧延が行われる。K2孔型76では、最終的な厚み圧下が行われ、K1孔型77では、継手部14の曲げ成形が行われる。また、K2孔型76及びK1孔型77での圧延パス数は、基本的に1パスとする。
トルク計測装置8を、中間圧延機5に設けた場合には、中間圧延機5の各孔型で行われる圧延に際して、上ロールおよび下ロールに発生する圧延トルクを連続的に計測し、圧延トルクの時間変化を求めることができる。第1計測部81及び第2計測部82で測定されたひずみデータを、受信部83に無線送信し、受信部83のアンプを介してひずみ値をトルク値に変換し、圧延トルクデータとする。ひずみから圧延トルクへの変換(換算)は、例えば、一般的に知られている次(1)式
T=εEZp/(1+ν) ……(1)
(ここで、T:圧延トルク、ε:ひずみ、E:スピンドルのヤング率、ν:スピンドルのポアソン比、Zp:スピンドルの極断面係数)
を用いることができる。
なお、圧延時に圧延ロールに生じる圧延トルクの検出は、圧延ロールに発生するひずみの測定に代えて、圧延機の主機モータの電流値からも検出できる。
得られた圧延トルクデータ(圧延トルクの時間変化)は、演算装置9に伝達される。演算装置9の演算手段では、伝達された圧延トルクデータに基づき、圧延トルクの振動に対して、例えば、FFTアナライザ等の高速周波数解析装置等を用いて周波数解析を行い、まず、その振幅の大きさを算出する。演算装置9の判定手段では、得られた振幅の大きさから、当該圧延パスでの形状不良の発生の有無を判定する。振幅の大きさが一定値(閾値)以上となる場合を、当該圧延パスで形状不良が発生していると判定する。なお、振幅の大きさが一定値(閾値)未満である場合は、当該圧延パスで形状不良が発生していない、と判定する。
振幅の大きさが一定値(閾値)以上となり、形状不良が発生していると判断された場合には、さらに演算装置9の演算手段で、圧延トルクの振動に対して、周波数解析を行い、振動周期を算出する。周波数解析は、上下ロールの圧延トルクの和に対して行っても良く、また、片方のロールの圧延トルクに対して行っても良い。
得られた振動周期の値から、判定手段では、当該圧延パスで発生する形状不良の種類(波であるか、スリップ模様であるかの別)を、判定する。振動周期が所定値以上である場合には、当該圧延パスにおける形状不良の発生が波の発生であると判定し、また、振動周期が所定値未満である場合には、当該圧延パスにおける形状不良の発生がスリップ模様であると判定する。
これら判定の結果は、表示装置(図示せず)に表示される。
そして、この判定の結果に基づき、演算装置9の指令手段で、各圧延機での圧延条件や加熱装置での加熱条件等を変更する指令を、各圧延機や加熱装置に対し伝送することが好ましい。
上記した判定の結果で、波ないしスリップ模様が発生していると判定された場合、その解消のために、波やスリップ模様の形態に応じて、各圧延機での圧延条件や加熱装置での加熱条件等を変更する指令を、各圧延機や加熱装置に対し伝送する。
例えば「波の発生」と判定された場合には、当該素材または次素材以降における当該圧延パスの圧延条件を、次(A)〜(C)
(A)当該圧延パスの波発生部位の圧下を他の部位よりも相対的に小さくする圧下調整を行う、
(B)当該圧延パスの材料の温度を上昇させるように、加熱条件を変更するか、あるいは抽出から当該パスまでの所要時間を短縮する、
(C)当該圧延パスがタンデム圧延されているときに、圧延速度の調整でスタンド間張力を大きくする、
のうちの少なくとも一つの圧延条件に、修正あるいは変更する。
上記した(A)は、直接、厚み圧下条件を変更する方法である。例えば、ウェブ波は、ウェブの厚み圧下率が特にフランジの厚み圧下率に対し相対的に大きすぎる場合に発生する。そこで、当該圧延パスにおけるロール隙をΔS1だけ広げる。このとき、ウェブの厚み圧下量はΔS1分そのまま軽減されるが、フランジを圧延するロール部位は、上下ロールの隙間が斜めになっているため、この角度θ(フランジ角度:図2参照)を加味したΔS1・cosθ分しか軽減されない。したがって、このような圧下修正で、ウェブとフランジの厚み圧下率の差を相対的に小さくすることができ、結果としてウェブ波を防止できる。
また、フランジ波は、フランジの厚み圧下がウェブの厚み圧下率に対し相対的に大きすぎる場合に発生するので、当該圧延パスにおけるロール隙をΔS2だけ狭めることで、フランジとウェブの厚み圧下率の差を相対的に小さくし、フランジ波を防止することができる。
また、継手部近傍波は、継手部の厚み圧下率がウェブ、フランジ部の厚み圧下率より特に相対的に大きすぎる場合に発生する。通常、継手近傍部はウェブ、フランジよりも厚みが薄いので、当該圧延パスにおけるロール隙の変化による厚み圧下率の変化の影響を最も強く受ける。したがって、継手部近傍波と判断した場合は、当該圧延パスのロール隙をΔS3だけ広げる、という圧下調整ができる。
なお、上記したΔS1〜ΔS3の値は、当該圧延パスの目標ウェブ圧下量の10〜30%程度の値とするのが好適である。たとえば、その圧延パスでウェブの圧下を2.0mm行う孔型設計の場合、0.2〜0.6mm程度の値となる。また、ΔS3は通常、ΔS1よりも小さい値となる。
上記した説明では、波が発生している当該圧延パスの圧下修正について説明したが、圧下修正としては、その前の圧延パスで行って、当該圧延パスの入側の各部の厚みを変更させてもよい。
なお、ここで、波の発生部位の特定(判定)は、つぎのように行う。
「波」が発生していると判定された場合には、さらに上ロールおよび下ロールの圧延トルクの平均値をそれぞれ算出し、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)を、予め決定しておいた所定範囲と比較して、発生位置を特定する。
「波が発生」することは、断面内で圧下の強い部位の圧延トルクが他の部位よりも大きくなるなど、当該圧延パスにおける断面内各部位での圧下バランスが均一になっていない状態となっているためと考えられる。なお、ここでは、ハット形鋼矢板を図5に示すように、上ロールの大径部および下ロールの小径部で継手近傍部を圧延し、上ロールの小径部および下ロールの大径部でウェブを圧延している場合で説明する。(鋼矢板を上下逆向きに圧延している場合は、上ロールと下ロールの関係が入れ替わる。)
圧延トルクの振動周期が所定値以上の場合で、かつ上ロールの圧延トルクの平均値と下ロールの圧延トルクの平均値との比、(上ロールトルク平均値)/(下ロールトルク平均値)、が所定の範囲内である場合は、フランジ波が発生していると、判定する。ここで、所定の範囲は、予め当該孔型でフランジ波が発生した際の圧延トルクデータを詳細に解析して決定することが好ましい。
また、圧延トルクの振動周期が所定値以上の場合で、かつ上ロールの圧延トルクの平均値と下ロールの圧延トルクの平均値との比、(上ロールトルク平均値)/(下ロールトルク平均値)、が所定の範囲超えである場合は、上ロールの大径部と下ロールの小径部で圧延している部位、図5に示す孔型では継手部近傍で、波が生じていると判定する。
また、圧延トルクの振動周期が一定値以上の場合で、かつ上ロールの圧延トルクの平均値と下ロールの圧延トルクの平均値との比、(上ロールトルク平均値)/(下ロールトルク平均値)、が所定の範囲未満の場合は、下ロールの大径部と上ロールの小径部で圧延している部位で、図5に示す孔型ではウェブで、波が生じていると判定する。
また、上記した(B)は、当該圧延パスの素材(被圧延材)の温度を変更する方法である。当該圧延パスにおける被圧延材(素材)の温度(材料温度)を上昇(変更)させることにより、断面内のメタルフロー特性を向上させ、各種形態の波の発生を防止する。素材(被圧延材)の温度上昇のためには、例えば基準の加熱温度より20℃高く設定するなど、加熱温度を上昇させること、あるいは、圧延速度を増加させて圧延所要時間を短縮し、当該圧延パスにおける被圧延材の温度の低下を防止すること、などの方法が考えられる。
また、上記した(C)は、タンデム圧延におけるスタンド間張力を変更する(大きくする)方法である。タンデム圧延におけるスタンド間張力を大きくすることで、圧延方向への各部位の延伸を促進し、波の発生を防止する。
スタンド間張力を大きくするためには、例えば、圧延下流側に配置された圧延機のロール回転速度が、圧延上流側の圧延機のロール回転速度よりも相対的に、大きくなるように調整すること、が考えられる。この調整は、例えば、圧延下流側に配置された圧延機の圧延速度を、基準の圧延速度よりも5〜10%上昇するように調整する、としてもよい。なお、このような調整は、波が発生したと判定された当該圧延パス中に実施することもできる。
また、上記した判定で、例えば「スリップ模様の発生」と判定した場合には、当該素材または次素材以降における当該圧延パスの圧延条件を、次の(A1)〜(C1)
(A1)当該圧延パスの圧延速度を低下させる、
(B1)当該圧延パスの被圧延材(素材)の温度を上昇させるように、加熱条件を変更するか、あるいは、抽出から当該パスまでの所要時間を短縮する、
(C1)当該圧延パスがタンデム圧延で上流側の圧延の場合に、圧延速度の調整でスタンド間張力を大きくする、
のうちの少なくとも一つの圧延条件に、修正あるいは変更する。
スリップ模様は、圧延される鋼矢板断面内のある部分の圧下率が局所的に小さすぎるために、圧延ロールで被圧延材(素材)を圧延方向に押し出す力が不足することで発生する。
上記した(A1)は、当該圧延パスの圧延速度を低下させる方法である。当該圧延パスの圧延速度を低下させて、圧延される鋼矢板表面と圧延ロール表面との摩擦を固着摩擦に近づけることで摩擦力を向上させ、また圧延時の振動の周期を長周期化させて、結果としてスリップ模様の発生を防止する。具体的には、スリップ模様の発生と判定した場合には、基準の圧延速度に対し、当該圧延パスの圧延速度をあらかじめ決めておいた圧延速度(例えば、基準の80%の圧延速度)に変更する。この変更は、当該被圧延材(素材)の当該圧延パスの圧延途中でも、次被圧延材(素材)の同一圧延パスに対しても行うことができる。
また、上記した(B1)は、当該圧延パスにおける素材(被圧延材)の温度を変更する方法である。上記した波の発生を抑止する場合と同様で、素材(被圧延材)の温度(材料温度)を上昇(変更)させることにより、断面内のメタルフロー特性と被圧延材(素材)の延性を向上させて、スリップ模様の発生を防止する。
また、上記した(C1)は、タンデム圧延におけるスタンド間張力を変更する(大きくする)方法である。タンデム圧延におけるスタンド間張力を大きくすることで、圧延方向への各部位の延伸を促進し、スリップ模様の発生を防止する。この方法は、タンデム圧延の上流側でスリップが発生している場合に有効である。具体的には、圧延下流側の圧延機のロール回転速度を、圧延上流側の圧延機のロール回転速度よりも相対的に大きくすることで、被圧延材(素材)を圧延上流側の圧延機の出側から引っ張る。これにより、圧延上流側の圧延機で被圧延材(素材)を圧延方向に押し出す力を補い、スリップ模様の発生を防止する。なお、具体例としては、圧延下流側の圧延機の圧延速度を、基準の圧延速度よりも5〜10%上昇させることが好ましい。
次に、本発明における発生する形状不良の検知方法について説明する。
本発明では、素材を加熱し、孔型による圧延パスを複数回施して、所定形状の鋼矢板とするに当たり、複数回の圧延パスの少なくとも特定の圧延パスにおいて素材の圧延中に(噛込み時から噛放し時の間で)、孔型を構成する上ロールおよび下ロールの少なくとも一方で発生する圧延トルクを連続的に測定し、圧延トルクの時間変化を求める。
得られた圧延トルクの時間変化から、圧延トルクの振動に対し、圧延トルクの振幅の大きさを算出する。そして、得られた圧延トルクの振幅の大きさから、当該圧延パスにおける形状不良の発生の有無を検知する。
形状不良の発生がない通常の圧延の場合には、図1(a)のように、圧延トルクの時間変化はほとんどない。形状不良が発生する場合には、図1(b)、(c)のように、圧延トルクが時間とともに大きく変動する。得られた圧延トルクの時間変化(圧延トルクチャート)における、圧延トルクの平均値、振動周期、振幅の定義を模式的に図9に示す。
圧延トルクの時間変化(圧延トルクチャート)から、例えば、FFTアナライザ等の高速周波数解析装置等を用いて周波数解析を行い、圧延トルクの振動に対し、その振幅の大きさを算出する。
本発明では、得られた圧延トルクの振幅の大きさが一定値(閾値)以上となる場合には、当該圧延パス時に、形状不良が発生している、と判定する。この一定値(閾値)としては、例えば、0.15×(圧延トルクの平均値)が例示できる。すなわち、得られた圧延トルクの振幅を圧延トルクの平均値で除した値が、0.15以上であれば、各種の波もしくはスリップ模様である形状不良が発生していると判定する。なお、当該圧延パスの平均的な圧延トルク値が既知の場合は、振幅の絶対値で判定してもよい。
本発明では、形状不良が発生していると判定された場合には、さらに圧延トルクの時間変化から圧延トルクの振動周期を、予め決定しておいた所定値と比較して、形状不良の種類を特定する。圧延トルクの振動周期が所定値以上である場合を「波の発生」と判定し、圧延トルクの振動周期が所定値未満の場合を「スリップ模様の発生」と判定する。なお、この振動周期の所定値は、予めスリップや波の発生の有無と圧延トルクの振動データを詳細に解析して決定することが好ましく、結果として、圧延速度等の圧延条件にもよるが、例えば0.2sが例示できる。すなわち、圧延トルクの振動周期が0.2s未満の場合には「スリップ模様」が、一方、0.2s以上の場合には「波」が発生したと判定する。
さらに本発明では、圧延トルクの振動周期が所定値以上(0.2s以上)となり、「波」が発生していると判定された場合には、さらに上下ロールの圧延トルクの平均値を求め、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)を、予め決定しておいた所定範囲と比較して、発生位置を特定する。
「波が発生」することは、断面内で圧下の強い部位の圧延トルクが他の部位よりも大きくなるなど、当該圧延パスにおける断面内各部位での圧下バランスが均一になっていない状態となっているためと考えられる。なお、ここでは、ハット形鋼矢板を図5に示すように、上ロールの大径部および下ロールの小径部で継手近傍部を圧延し、上ロールの小径部および下ロールの大径部でウェブを圧延している場合で説明する。(鋼矢板を上下逆向きに圧延している場合は、上ロールと下ロールの関係が入れ替わる。)
圧延トルクの振動周期が所定値以上の場合で、かつ上ロールの圧延トルクの平均値と下ロールの圧延トルクの平均値との比、(上ロール圧延トルク平均値)/(下ロール圧延トルク平均値)、が所定の範囲内である場合は、フランジ波が発生していると、判定する。ここで、所定の範囲は、予め当該孔型でフランジ波が発生した際の圧延トルクデータを詳細に解析して決定することが好ましく、結果として、上ロールの圧延トルクの平均値と下ロールの圧延トルクの平均値との比、の所定の範囲としては、0.67〜1.5の範囲とすること好ましい。
また、圧延トルクの振動周期が所定値以上の場合で、かつ上ロールの圧延トルクの平均値と下ロールの圧延トルクの平均値との比、(上ロールトルク平均値)/(下ロールトルク平均値)、が所定の範囲超えである場合は、上ロールの大径部と下ロールの小径部で圧延している部位、図5に示す孔型では継手部近傍で、波が生じていると判定する。所定の範囲を、0.67〜1.5の範囲とすると、所定の範囲超えは1.5超えとなる。
また、圧延トルクの振動周期が一定値以上の場合で、かつ上ロールの圧延トルクの平均値と下ロールの圧延トルクの平均値との比、(上ロールトルク平均値)/(下ロールトルク平均値)、が所定の範囲未満の場合は、下ロールの大径部と上ロールの小径部で圧延している部位、図5に示す孔型ではウェブで、波が生じていると判定する。所定の範囲を、0.67〜1.5の範囲とすると、所定の範囲未満は0.67未満となる。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
(実施例1)
素材(スラブ)を、図3に示す圧延設備列2を用いて、孔型圧延し、図2(a)に示すハット形鋼矢板(製品)を製造した。なお、圧延設備例2の2台の中間圧延機5にはそれぞれ、図8に示すように、トルク計測装置8を配設した。なお、トルク計測装置8には演算装置9を接続した。
素材(鋼種:SYW295)を加熱装置3に装入し、1300℃に加熱したのち、粗圧延機4、中間圧延機5、仕上圧延機6の順に搬送し、所定の断面形状まで圧延して、25Hのハット形鋼矢板(製品)とした。なお、中間圧延では、1パス目(順方向圧延)に2台目の中間圧延機のK6孔型74(図5参照)で圧延し(1台目の図示しないK5孔型では圧延なし)、逆方向圧延となる2パス目に、2台目の中間圧延機のK6孔型74(図5参照)と1台目の中間圧延機のK5孔型(図示なし)でタンデム圧延し、さらに3パス目(順方向圧延)には1台目の中間圧延機のK4孔型(図示せず)と2台目の中間圧延機のK3孔型75(図5参照)でタンデム圧延した。
そして、上記した中間圧延の圧延パスのうち、3パス目のK4孔型における圧延パスについて、トルク計測装置8を用いて、上ロールおよび下ロールに発生する圧延トルクをそれぞれ連続的に測定した。得られた圧延トルクの時間変化から、演算装置9の演算手段を用いて、上下ロールの圧延トルクの和を求め、得られた圧延トルクの和について周波数解析し、圧延トルクの振幅の大きさを算出した。また、得られた圧延トルクの和について周波数解析し、圧延トルクの振動周期も算出した。また、上下ロールの圧延トルクの平均値もそれぞれ算出した。得られた圧延トルクの振幅の大きさから、当該圧延パスにおける形状不良の発生の有無を判定した。
まず、素材3本を連続して圧延した(圧延No.1〜No.3)。
上記した圧延パス(K4孔型)において、得られた圧延トルクの振幅が、圧延トルクの平均値の0.15倍以上である場合、すなわち、(圧延トルクの振幅)/(圧延トルクの平均値)が0.15以上である場合を、当該圧延パスで形状不良が発生したと判定した。なお、得られた圧延トルクの振幅が、圧延トルクの平均値の0.15倍未満である場合、すなわち、(圧延トルクの和の振幅)/(圧延トルクの平均値)が0.15未満である場合を、当該圧延パスで形状不良が発生しなかったと判定した。
Figure 2021102219
この3本の圧延ではいずれも、表1に示すように、K4孔型での圧延パスで、(圧延トルクの振幅)/(圧延トルクの平均値)が0.15以上であり、K4孔型での圧延パスで形状不良が発生したと判定した。
ついで、得られた圧延トルクの振動周期から、発生する形状不良の種類を判定した。得られた圧延トルクの振動周期が0.2s未満である場合をスリップ模様の発生と、0.2s以上である場合を波の発生と判定した。K4孔型での圧延パスで得られた圧延トルクの振動周期を表1に示す。表1から、この3本の圧延(圧延No.1〜No.3)におけるK4孔型での圧延パスではいずれも、圧延トルクの振動周期は0.2s未満であり、K4孔型での圧延パスで発生した形状不良はスリップ模様と判定した。
ついで、上記した判定に基づき、4本目の圧延(圧延No.4)では、上記した圧延No.1〜No.3の圧延条件に対し、K4孔型での圧延パスおよびK3孔型での圧延パスにおいて、圧延速度を20%低下して圧延を行う指令を演算装置9を介して、中間圧延機5に伝送し、圧延を行った。また、5本目の圧延(圧延No.5)では、上記した圧延No.1〜No.3の圧延条件に対し、タンデム圧延の下流側の孔型(K3孔型)でのロール回転速度を10%速くなるように設定して、タンデム圧延におけるスタンド間張力を大きくする圧延を行う指令を演算装置9を介して、中間圧延機5に伝送し、圧延を行った。6本目の圧延(圧延No.6)では、上記した圧延No.1〜No.3の圧延条件に対し、加熱抽出温度を20℃高くして圧延した。
そして、上記した圧延No.4〜No.6において、圧延No.1〜No.3と同様に、中間圧延のK4孔型における圧延パスについて、トルク計測装置8を用いて、上ロールおよび下ロールに発生する圧延トルクをそれぞれ連続的に測定した。得られた圧延トルクの時間変化から、演算装置9の演算手段を用いて、上下ロールの圧延トルクの和を求め、得られた圧延トルクの和について周波数解析し、圧延トルクの振幅の大きさを算出した。また、上下ロールの圧延トルクの平均値もそれぞれ算出した。
得られた圧延トルクの振幅の大きさから、当該圧延パスにおける形状不良の発生の有無を判定した。
K4孔型での圧延パスにおいて、得られた圧延トルクの和について、(圧延トルクの振幅/圧延トルクの平均値)を求め、表1に併記した。この圧延No.4〜No.6では、K4孔型での圧延パスにおける、(圧延トルクの振幅/圧延トルクの平均値)は0.15未満であり、K4孔型での圧延パスで形状不良の発生は認められない、と判定した。なお、判定の結果は、表示装置(図示せず)に表示した。
このように、圧延トルクの測定結果を利用した判定に対応して、圧延条件を修正または変更すれば、発生していた鋼矢板の形状不良(スリップ模様)を容易に防止できることが確認できた。
(実施例2)
実施例1と同様に、素材(スラブ)を、図3に示す圧延設備列2を用いて、圧延し、鋼矢板(製品)を製造した。なお、圧延設備例2の2台の中間圧延機5にはそれぞれ、図8に示すように、トルク計測装置8を配設した。なお、トルク計測装置8には演算装置9を接続した。
素材(鋼種:SYW390)を加熱装置3に装入し、1300℃に加熱したのち、粗圧延機4、中間圧延機5、仕上圧延機6の順に搬送し、所定の断面形状まで圧延して、25Hのハット形鋼矢板(製品)とした。
なお、中間圧延では、実施例1と同様に、1パス目(順方向圧延)に2台目の中間圧延機5のK6孔型74(図5参照)で圧延し(1台目の中間圧延機5のK5孔型(図示せず)では圧延なし)、逆方向圧延となる2パス目に、2台目の中間圧延機5のK6孔型74(図5参照)と1台目の中間圧延機のK5孔型(図示せず)でタンデム圧延し、さらに3パス目(順方向圧延)には1台目の中間圧延機5のK4孔型(図示せず)と2台目の中間圧延機5のK3孔型75(図5参照)でタンデム圧延した。
そして、実施例1と同様に、上記した中間圧延の圧延パスのうち、2パス目のK5孔型における圧延パスについて、トルク計測装置8を用いて、上ロールおよび下ロールに発生する圧延トルクをそれぞれ連続的に測定した。得られた圧延トルクの時間変化から、演算装置9の演算手段を用いて、上下ロールの圧延トルクの和を求め、得られた圧延トルクの和について周波数解析し、圧延トルクの振幅の大きさ、および、圧延トルクの振動周期も算出した。また、上下ロールの圧延トルクの平均値もそれぞれ算出した。得られた圧延トルクの振幅の大きさから、当該圧延パスにおける形状不良の発生の有無を判定した。
まず、素材3本を連続して圧延した(圧延No.11〜No.13)。得られた上下ロールの圧延トルクの和を算出し、得られた圧延トルクの和について圧延トルクの振幅の大きさと平均値とから、(圧延トルクの振幅/圧延トルクの平均値)を求め、当該圧延パスにおける(圧延トルクの振幅/圧延トルクの平均値)が0.15以上である場合を、当該圧延パスで形状不良が発生した、と判定した。
Figure 2021102219
この圧延No.11〜No.13ではいずれも、表2に示すように、K5孔型での圧延パスで、(圧延トルクの振幅/圧延トルクの平均値)が0.15以上であり、K5孔型での圧延パスで形状不良が発生したと判定した。
ついで、得られた圧延トルクの和について圧延トルクの振動周期を算出し、発生する形状不良の種類を判定した。得られた圧延トルクの振動周期が0.2s未満である場合をスリップ模様の発生と、0.2s以上である場合を波の発生と、判定した。K5孔型での圧延パスで得られた圧延トルクの振動周期を表2に示す。表2から、この圧延No.11〜No.13におけるK5孔型での圧延パスではいずれも、圧延トルクの振動周期は0.2s以上であり、K5孔型での圧延パスで発生した形状不良は、波であると判定した。
つぎに、得られた上ロールの圧延トルクの平均値と下ロールの圧延トルクの平均値との比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、を求め、表2に併記した。表2から、圧延No.11〜No.13の(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)はいずれも、0.67未満となっており、波はウェブに発生している(ウェブ波発生)と判定した。
ついで、上記した判定に基づき、4本目の圧延(圧延No.14)では、上記した圧延No.11〜No.13の圧延条件に対し、K5孔型での圧延パスにおいて、圧延No.11〜No.13までの圧下量:2.0mmから0.4mm少なくするべく、ロール隔を0.4mm広げて圧延を行う指令を、演算装置9を介して、中間圧延機5に伝送し、圧延を行った。また、圧延No.15では、上記した圧延No.11〜No.13の圧延条件から、タンデム圧延の下流側の孔型(K5孔型)でのロール回転速度を10%速くなるように設定して、タンデム圧延におけるスタンド間張力を大きくする圧延を行う指令を演算装置9を介して、中間圧延機5に伝送し、圧延を行った。また、6本目の圧延(圧延No.16)では、上記した圧延No.11〜No.13の圧延条件に対し、加熱抽出温度を20℃高くして圧延した。
そして、4〜6本の圧延(圧延No.14〜No.16)において、圧延No.11〜No.13と同様に、上記した中間圧延のうち、2パス目のK5孔型における圧延パスについて、トルク計測装置8を用いて、上ロールおよび下ロールに発生する圧延トルクをそれぞれ連続的に測定した。演算装置9の演算手段を用いて、得られた圧延トルクの時間変化から、上下ロールの圧延トルクの和を求め、得られた圧延トルクの和について周波数解析し、圧延トルクの振幅の大きさ、および、上下ロールの圧延トルクの平均値をそれぞれ算出した。得られた圧延トルクの振幅の大きさから、当該圧延パスにおける形状不良の発生の有無を判定した。
得られた圧延トルクの振幅と平均値とから、(圧延トルクの振幅/圧延トルクの平均値)を求め、表2に併記した。この圧延No.14〜No.16では、K5孔型での圧延パスにおける、(圧延トルクの振幅/圧延トルクの平均値)はいずれも0.15未満であり、K5孔型での圧延パスで形状不良の発生は認められない、と判定した。
このように、圧延トルクの測定結果を利用した判定に対応して、圧延条件を修正または変更すれば、発生していた鋼矢板の形状不良(ウェブ波)を容易に防止できることが確認できた。
なお、上記した実施例では、形状不良の判定に基づき、ハット形鋼矢板の中間圧延について圧延制御を行い、形状不良を解消できることを示したが、粗圧延や粗圧延でも同様の判定とこれに基づく圧延制御を行うことが可能であることは言うまでもない。また、U形鋼矢板でも同様の制御が可能である。
1 鋼矢板
1A ハット形鋼矢板
1B U形鋼矢板
2 圧延設備列(鋼矢板圧延設備列)
3 加熱装置
4 粗圧延機
5 中間圧延機
6 仕上圧延機
8 トルク計測装置
9 演算装置
11 ウェブ部
12 フランジ部
13 腕部
14 継手部
41 上ロール(上粗ロール)
42 下ロール(下粗ロール)
51 上ロール(上中間ロール)
52 下ロール(下中間ロール)
56 スピンドル
56a 上スピンドル
56b 下スピンドル
58 圧下調整機構
61 上ロール(上仕上ロール)
62 下ロール(下仕上ロール)
71、72、73、74、75、76、77 孔型
81 第1計測部
82 第2計測部
83 受信部
811 第1ひずみ測定手段
812 第1送信手段
821 第2ひずみ測定手段
822 第2送信手段

Claims (15)

  1. 素材を加熱し、孔型による圧延パスを複数回施して、所定形状の鋼矢板とするに当たり、
    前記複数回の圧延パスの少なくとも特定の圧延パスにおいて前記素材の圧延中に、前記孔型を構成する上ロールおよび下ロールの少なくとも一方で発生する圧延トルクを連続的に測定し、
    前記圧延トルクの振幅を算出し、
    得られた前記圧延トルクの振幅の大きさから、当該圧延パスにおける形状不良の発生の有無を判定すること、を特徴とする鋼矢板圧延における形状不良の検出方法。
  2. 前記得られた圧延トルクの振幅が一定値以上である場合を、当該圧延パスにおいて形状不良が発生したと判定し、一方、前記得られた圧延トルクの振幅が一定値未満である場合を、当該圧延パスにおいて形状不良が発生しなかったと判定すること、を特徴とする請求項1に記載の鋼矢板圧延における形状不良の検出方法。
  3. 前記得られた圧延トルクの振幅が一定値以上である場合には、さらに、前記圧延トルクの振動周期を算出し、
    得られた前記圧延トルクの振動周期が所定値未満である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した形状不良がスリップ模様であると判定し、
    得られた前記圧延トルクの振動周期が所定値以上である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した形状不良が波であると判定することを特徴とする請求項2に記載の鋼矢板圧延における形状不良の検出方法。
  4. 前記発生した形状不良が波であると判定した場合には、さらに、前記上ロールおよび前記下ロールの圧延トルクの平均値をそれぞれ算出し、
    前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲内である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した形状不良の発生部位がフランジであると判定し、
    前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲超えである場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した形状不良の発生部位が上ロールの大径部と下ロールの小径部で圧延している部位であると判定し、
    前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲未満である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した形状不良の発生部位が下ロールの大径部と上ロールの小径部で圧延している部位であると判定することを特徴とする請求項3に記載の鋼矢板圧延における形状不良の検出方法。
  5. 前記鋼矢板が、ウェブ部とフランジ部と腕部と継手部とを有するハット形鋼矢板であるか、あるいはウェブ部とフランジ部と継手部とを有するU形鋼矢板であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の鋼矢板圧延における形状不良の検出方法。
  6. 前記圧延トルクの測定が、圧延ロールに発生するひずみの測定により行うか、あるいは圧延機の主機モータの電流値の測定により行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の形状不良の検出方法。
  7. 素材を加熱し、孔型による圧延パスを複数回施して、所定形状の鋼矢板とする鋼矢板の製造方法であって、
    前記複数回の圧延パスの少なくとも特定の圧延パスにおいて前記素材の圧延中に、前記孔型を構成する上ロールおよび下ロールの少なくとも一方で発生する圧延トルクを連続的に測定し、
    前記圧延トルクの振幅を算出し、
    得られた該圧延トルクの振幅の大きさから、当該圧延パスにおける形状不良の発生の有無を判定し、
    前記判定の結果を表示することを特徴とする鋼矢板の製造方法。
  8. 前記得られた圧延トルクの振幅の大きさが一定値以上である場合を、当該圧延パスにおいて形状不良が発生したと判定し、
    前記得られた圧延トルクの振幅の大きさが一定値未満である場合を、当該圧延パスにおいて形状不良が発生しなかったと判定することを特徴とする請求項7に記載の鋼矢板の製造方法。
  9. 前記判定が、当該圧延パスにおいて形状不良が発生したと判定した場合には、当該素材または次素材以降における当該圧延パスの圧延条件を修正または変更することを特徴とする請求項8に記載の鋼矢板の製造方法。
  10. 前記判定が、当該圧延パスにおいて形状不良が発生したと判定した場合には、さらに、前記圧延トルクの振動周期を算出し、
    得られた前記圧延トルクの振動周期が所定値未満である場合は、当該圧延パスにおける形状不良の発生がスリップ模様の発生であると判定し、
    前記当該素材または次素材以降における当該圧延パスの圧延条件を、下記(A1)〜(C1)のうちの少なくとも一つの圧延条件に修正することを特徴とする請求項9に記載の鋼矢板の製造方法。

    (A1):当該圧延パスの圧延速度を低下させる。
    (B1):当該圧延パスの材料の温度を上昇させるように、加熱条件を変更するか、あるいは抽出から当該パスまでの所要時間を短縮する。
    (C1):当該圧延パスがタンデム圧延で上流側の圧延の場合に、圧延速度の調整でスタンド間張力を大きくする。
  11. 前記判定が、当該圧延パスにおいて形状不良が発生したと判定した場合には、さらに、前記圧延トルクの振動周期を算出し、
    得られた前記圧延トルクの振動周期が所定値以上である場合は、当該圧延パスにおける形状不良の発生が波の発生であると判定し、
    さらに、前記上ロールおよび前記下ロールの圧延トルクの平均値をそれぞれ算出し、
    前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲内である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した波の発生部位がフランジであると判定し、
    前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲超えである場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した波の発生部位が上ロールの大径部と下ロールの小径部で圧延している部位であると判定し、
    前記上ロールの圧延トルクの平均値と前記下ロールの圧延トルクの平均値の比、(上ロールの圧延トルクの平均値)/(下ロールの圧延トルクの平均値)、が所定の範囲未満である場合は、前記当該圧延パスにおいて発生した波の発生部位が下ロールの大径部と上ロールの小径部で圧延している部位であると判定し、
    前記当該素材または次素材以降における当該圧延パスの圧延条件を、下記(A)〜(C)のうちの少なくとも一つの圧延条件に修正することを特徴とする請求項9に記載の鋼矢板の製造方法。

    (A):当該圧延パスの波発生部位の圧下を他の部位よりも相対的に小さくする圧下調整を行う。
    (B):当該圧延パスの材料の温度を上昇させるように、加熱条件を変更するか、あるいは抽出から当該圧延パスまでの所要時間を短縮する。
    (C):当該圧延パスがタンデム圧延されているときに、圧延速度の調整でスタンド間張力を大きくする。
  12. 前記鋼矢板が、ウェブ部とフランジ部と腕部と継手部とを有するハット形鋼矢板であるか、あるいはウェブ部とフランジ部と継手部とを有するU形鋼矢板であることを特徴とする請求項7ないし11のいずれかに記載の鋼矢板の製造方法。
  13. 前記圧延トルクの測定が、圧延ロールに発生するひずみの測定により行うか、あるいは圧延機の主機モータの電流値の測定により行うことを特徴とする請求項8ないし12のいずれかに記載の鋼矢板の製造方法。
  14. 加熱装置、粗圧延機、中間圧延機、仕上圧延機をこの順に配設してなる鋼矢板圧延設備列であって、
    前記粗圧延機、前記中間圧延機、前記仕上圧延機のうちの少なくとも一つの圧延機に配設されたトルク計測装置と、
    さらに、前記トルク計測装置で計測された圧延トルクデータから、圧延トルクの振幅、あるいはさらに圧延トルクの振動周期、平均値を算出する演算手段と、得られた前記圧延トルクの振幅、あるいはさらに振動周期、平均値とから各種形状不良の発生の有無を判定する判定手段と、を有する演算装置と、
    前記判定の結果を表示する表示装置と、を有することを特徴とする鋼矢板圧延設備列。
  15. 前記演算装置がさらに、前記判定の結果に基づき前記加熱装置の加熱条件および前記各圧延機の圧延条件の修正、変更を指令する指令手段を有することを特徴とする請求項14に記載の鋼矢板圧延設備列。
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