次に、図面を参照して、本実施形態について説明する。本実施の形態では、外部電極がパッケージの側面の2方向に形成されたSONパッケージを例示するが、外部電極がパッケージの側面の4方向に形成されたQFNパッケージにも同様に適用することができる。
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態の半導体装置1の平面図、図2は半導体装置1の底面図、図3は半導体装置1の側面図、図4は図3の切断線IV−IVによる半導体装置1の断面図、図5は図4の断面図の一部を拡大した拡大断面図である。図1の平面図では、半導体装置1の内部の構造が明らかになるように、封止樹脂を省略した。
第1実施形態の半導体装置1は、配線層10と、配線層10の主面10aに搭載された半導体素子21と、配線層10に搭載された半導体素子21を覆って封止する封止樹脂20とを有している。配線層10は、所定の厚さを有して略平面状に延びた金属層によって構成され、半導体素子21の素子底面21bに形成された電極パッドと封止樹脂20の表面に形成された外部電極15とを接続する配線を形成している。半導体素子21は、略直方体状の形状を有し、素子底面21bに形成された複数の電極パッドが導電性接続層25を介して配線層10の主面10aに接続されている。封止樹脂20は、配線層10に搭載された半導体素子21を素子上面21aから覆って配線層10に沿って延びるやや平坦な直方体状のパッケージを形成し、封止樹脂20の第1側面20fから底面20dにかけて配線層10に接続する外部電極15が形成されている。
配線層10は、銅を主成分としてチタン又は窒化タンタルを含む金属層から構成され、厚さが10〜30μmの範囲にあってもよい。半導体素子21は、例えば、LSIなどの集積回路やディスクリート素子が含まれてもよい。封止樹脂20は、第1樹脂層20aに第2樹脂層20bが積層されて形成され、第1樹脂層20aと第2樹脂層20bとの間に樹脂界面20eが存在している。封止樹脂20は、電気絶縁性を有する樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などから構成されてもよい。外部電極15は、Ni層、Pd層、及びAu層を積層して形成され、厚さが1〜5μmの範囲にあってもよい。例えば、Ni層の厚さが3μm、Pd層の厚さが0.1μm、Au層の厚さが0.03μmであってもよい。
図5に示すように、半導体素子21は、素子底面21bに形成された電極パッド22が導電性接続層25を介して配線層10の主面10aに接続されている。電極パッド22は、素子底面21bを覆う絶縁膜23の開口部に形成されている。電極パッド22は、アルミニウムから構成された第1層22aと、Ti(チタン)層及びCu(銅)層が交互に堆積された第2層22bとが積層されて構成されてもよい。導電性接続層25は、電極パッド22から配線層10の主面10aに向かって、Ni層25a、はんだ層25b及びNi層25cから構成されている。配線層10は第1樹脂層20aの上面に、シード層26を介して形成されている。シード層26は、例えば厚さが280nmのTi層に厚さが600nmのCu層を積層してもよく、シード層26と配線層10とを併せた厚さは10〜30μmの範囲にあってもよい。
図3及び図4に見られるように、半導体装置1において、封止樹脂20には、配線層10が延びる方向に向かい、外周を囲む側面が形成されている。封止樹脂20の側面は、封止樹脂20の底面20dと交わる下方の第1側面20fと、封止樹脂20の上面20cと交わる上方の第2側面20gとを含んでいる。封止樹脂20の第1側面20fから底面20dにかけて外部電極15が形成され、外部電極15は第1柱状電極11の側面11b及び底面11c、第2柱状電極12の側面12b、及び配線層10の端部10cを覆っている。配線層10において、外部電極15に接する配線層10の端部10cの幅は、100〜450μmの範囲にあってもよい。
配線層10の端部10cに隣接する配線層10の裏面10bには、第1柱状電極11が形成されている。第1柱状電極11は、配線層10の端部10cに接続する配線の幅を一辺とする略正方形の頂面11aで配線層10の裏面10bに接続し、この頂面11aから延びる略直方体の形状を有してもよい。第1柱状電極11は、20〜50μmの範囲にある高さを有し、銅を主成分として構成されてもよい。
配線層10の端部10cに隣接する配線層10の主面10aには、第2柱状電極12が形成されている。第2柱状電極12は、配線層10の端部10cに接続する配線の幅を一辺とする略正方形の底面12aで配線層10の主面10aに接続し、この底面12aから延びる略直方体の形状を有してもよい。第2柱状電極12は、40〜100μmの高さを有し、銅を主成分として構成されてもよい。
封止樹脂20の第1側面20fは、封止樹脂20の底面20dから、第2柱状電極12が配線層10から延びる方向に、第2柱状電極12の頂面12cの高さから高さH1まで形成されている。封止樹脂20の第2側面20gは、前記方向に第2柱状電極12の頂面12cの高さから高さH1を超えて封止樹脂20の上面20cまで形成されている。高さH1は、20〜200μmの範囲にあってもよい。封止樹脂20の第2側面20gは、配線層10の延びる方向に第1側面20fから長さW1にわたって突出している。長さW1は、10〜50μmの範囲にあってもよい。
第1柱状電極11の側面11bは封止樹脂20の第1側面20f内にあって第1側面20fから露出し、底面11cは封止樹脂20の底面20d内にあって底面20dから露出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出する第1柱状電極11の側面11bと、封止樹脂20の底面20dから露出する第1柱状電極11の底面11cとは、封止樹脂20の第1側面20fと底面20dとが交わる稜線上で交わっている。第2柱状電極12の側面12bも、第1柱状電極11の側面11bと同様に、封止樹脂20の第1側面20f内にあって第1側面20fから露出している。
配線層10は、第1柱状電極11の頂面11aと第2柱状電極12の底面12aとに挟まれ、封止樹脂20の第1側面20f内にある第1柱状電極11の側面11bと第2柱状電極12の側面12bとから突出している。配線層10の端部10cが封止樹脂20の第1側面20fから突出する長さ、すなわち、封止樹脂20の第1側面20f内にある第1柱状電極11の側面11bと第2柱状電極12の側面12bとから配線層10の端部10cが突出する長さは、10〜20μmの範囲にあってもよい。
封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから露出した第1柱状電極11の側面11b及び底面11c、封止樹脂20の第1側面20fから突出した配線層10の端部10c、及び封止樹脂20の第1側面20fから露出した第2柱状電極12の側面12bを覆うように、外部電極15が形成されている。外部電極15は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dからそれぞれ突出し、封止樹脂20の第1側面20fから突出した配線層10の端部10cを覆う部分では大きく突出している。
第1実施形態の半導体装置1は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから外部電極15が突出し、外部電極15は配線層10の端部10cを覆う部分でさらに突出している。したがって、はんだによる実装時の信頼性が向上し、実装した基板の上部からはんだ接合の状態を視覚的に確認することが可能になる。
第1実施形態の半導体装置1は、封止樹脂20の第1側面20fに突出した外部電極15の上方に封止樹脂20の上面20cが延長されて、第1側面20fから長さW1にわたって突出した第2側面20gが形成されている。したがって、半導体装置1が基板に実装された状態で、第2側面20gの直下にはんだが盛り上がったフィレットを形成することが可能になる。
第1実施形態の半導体装置1を製造する一連の工程について、図6〜9を用いて説明する。この製造方法の一連の工程は、第1実施形態の半導体装置1を例にとって説明するが、他の実施形態の半導体装置についても同様に適用することができる。
最初の図6(a)の工程では、支持基材30の上面に金属柱31が形成される。支持基材30には、ガラス基板やシリコン基板等を用いてもよい。ここでは、支持基材30として、シリコン基板を用いるものとする。シリコン基板の上面には、スパッタリング法により銅を主成分とする金属膜が形成され、フォトリソグラフィにより金属柱31が形成される。金属柱31は、後続する工程によって半導体装置1の第1柱状電極11に加工されるものであり、第1柱状電極11と称してもよい。
図6(b)の工程では、支持基材30の上面に形成された金属柱31を覆うように第1樹脂層20aが形成される。第1樹脂層20aは、半導体装置1の封止樹脂20を構成するものである。第1樹脂層20aは、電気絶縁性を有する樹脂、例えば、電気絶縁性を有する樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂から構成されてもよい。
図6(c)の工程では、第1樹脂層20aが上面から研削され、金属柱31の頂面が露出される。研削された第1樹脂層20aの上面は、後に形成する第2樹脂層20bとの樹脂界面20eとなる。研削には、砥石を用いてもよい。
図6(d)の工程では、支持基材30及び第1樹脂層20aの外周が、テラス状の形状にサークルカットされる。このようにテラス状にサークルカットすることにより、後に第2樹脂層20bによって第1樹脂層20aを覆うことが可能になる。
図7(a)の工程では、第1樹脂層20aの上面に配線層10が形成される。配線層10は、第1樹脂層20aの上面に露出する金属柱31の頂面に接続するように形成される。この工程では、第1樹脂層20aの上面にスパッタリング法により銅を主成分としてチタン又は窒化タンタルを含んでもよい金属膜が形成され、フォトリソグラフィにより配線層10が形成される。
図7(b)の工程では、配線層10の主面に第2柱状電極12が形成される。この工程では、配線層10の主面に法にメッキ法より銅を主成分とする金属膜が形成され、フォトリソグラフィによって第2柱状電極12が形成される。
本実施の形態では、金属柱31から形成される第1柱状電極11及び第2柱状電極12を分けて形成することで、高さが100μm以上の金属層を形成することができ、この金属層を形成する際に支持基材30が反ることを抑制することができる。これにより、第1柱状電極11及び第2柱状電極12と封止樹脂20との密着不良を抑制することができる。
第7(c)の工程では、配線層10に半導体素子21が搭載される。まず、配線層10の主面10aに導電性接続層25が形成される。導電性接続層25は、配線層10の主面にNi層、はんだ層及びNi層の順に積層されてもよい。導電性接続層25は、メッキ法及びフォトリソグラフィにより形成される。
半導体素子21は、電極パッド22にフラックスが塗布され、フリップチップボンダーを用いて、素子底面21bが配線層10に対向する状態で導電性接続層25に仮付けされる。その後、半導体素子21は、リフローにより導電性接続層25が溶融され、導電性接続層25が冷却されて固化することによって、導電性接続層25に接続される。
図7(d)の工程では、第1樹脂層20a、配線層10、第2柱状電極12及び半導体素子21を覆うように、第2樹脂層20bが形成される。第2樹脂層20bは、第1樹脂層20aとともに封止樹脂20を構成する。第1樹脂層20aと第2樹脂層20bとの間には、樹脂界面20eが形成される。第2樹脂層20bは、第1樹脂層20aと同様に、電気絶縁性を有する樹脂、例えば、電気絶縁性を有する樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂から構成されてもよい。
図8(a)の工程では、支持基材30、第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bを外周から所定距離まで研削するサークルカットが施される。このサークルカットによって、第2樹脂層20bによって覆われていた第1樹脂層20aは外周に露出するようになる。
図8(b)の工程では、支持基材30が上方になるように裏返しにされ、下方にある第2樹脂層20bに向けて支持基材30が研削されて除去され、さらに第1樹脂層20aも所定深さまで研削される。この研削によって、金属柱31が第1柱状電極11に形成され、第1柱状電極11の底面11cが第1樹脂層20aから露出するようになる。支持基材30を除去した後に、第2樹脂層20bの上面に図示しないダイシングテープを張り付ける。ダイシングの工程では支持基材30は裏返しにされ、第2樹脂層bの上面が図中の下方向になっている。
図8(c)の工程では、レーザ光を照射して隣接する半導体素子の間の封止樹脂20を所定幅で除去して個片化するダイシングを行う。このダイシングの工程で、第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bが第1樹脂層20a又は第2樹脂層20bから露出するようになり、配線層10の端部10cが第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bから突出するようになる。なお、この際、ダイシングテープをレーザ光によって完全に切断しない。これにより、半導体装置1を含む樹脂がダイシングされても、半導体装置1はダイシングテープによって繋がっているため、バラバラにならない。
図8(d)の工程では、前記露出した第1柱状電極11の側面11b及び底面11c、第2柱状電極12の側面12b、前記突出した配線層10の端部10cを覆う外部電極15が形成される。外部電極15は、めっき法によりNi層、Pd層、及びAu層の順に積層されて形成される。ダイシングテープは、外部電極15を形成する工程の後に除去してもよい。
図9は、第1実施形態の半導体装置1のレーザ光によるダイシングの工程を説明する断面図である。図9(a)はダイシング前の状態を示し、図8(b)に相当している。図9(b)はダイシング後の状態を示し、図8(c)に相当している。図9において、第1樹脂層20aが構成する封止樹脂20の上面20cには、図示しないダイシングテープが張り付けられている。なお、ダイシングの工程で半導体装置1は裏返しにされ、上面20cが図中の下方向になっている。
ダイシングは、レーザ光を照射することによって行う。照射するレーザ光の加工幅は、樹脂を除去する幅よりも小さいため、レーザ光を適切に走査して照射する。レーザ光源には、Nd:YAGレーザやその第2高調波(SHG)レーザを用いてもよい。例えば、前記SHGレーザを用い、加工幅を50μmに設定してもよい。
図9(a)に示すように、対向する一組の第1柱状電極11は、互いの側面11bの間に幅G11の間隙を形成している。同様に、対向する一組の第2柱状電極12も、互いの側面12bの間に幅G11の間隙を形成している。幅G11は、50〜150μmの範囲にあってもよい。対向する配線層10の端部10cの間の間隙は、配線層10の端部10cが第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bから突出しているため、幅G11よりも狭くなっている。
まず、レーザ光を照射して、対向する第1柱状電極11及び第2柱状電極12によって形成される間隙の幅G11で第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bを除去する。配線層10の端部10cが対向する間隙が狭くなっているが、レーザ光の回折光によって配線層10の端部10cの直下の第2樹脂層20bも除去できることがある。レーザ光の照射によって、第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bに照射痕の凹凸が形成されることがある。
ダイシングの工程では、第1柱状電極11の側面11bの間の第1樹脂層20aを除去し、配線層10の端部10cの間と第2柱状電極12の側面12bの間との第2樹脂層20bを除去した後、さらに第2柱状電極12の頂面12cから高さH1に達するまでこの幅G11で第2樹脂層20bを取り除く。これによって、第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第1側面20fが形成される。ここで、ダイシングの工程では半導体装置1は裏返しにされ、図中の下方向が第2柱状電極12の頂面12cや高さH1の方向になっている。
次に、幅G11よりも狭い幅G12で、ダイシングした幅G11の部分の中央をダイシングし、封止樹脂20の上面20cまで第2樹脂層20bを除去する。これによって、第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第1側面20fから配線層10が延びる方向に長さW1にわたって突出した第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第2側面20gが形成される。
ダイシングにより形成された封止樹脂20の第1側面20fからは、第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bが露出している。第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bは封止樹脂20の第1側面20f内にあり、配線層10の端部10cは封止樹脂20の第1側面20fから突出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出した第1柱状電極11の側面11bと封止樹脂20の底面20dから露出した第1柱状電極11の底面11cとは、封止樹脂20の第1側面20fと底面20dとが交わる稜線上で交わっている。
このようなダイシング工程の後で、図8(d)の工程でめっき法により外部電極15が形成されて半導体装置1が最終的に完成する。半導体装置1において、外部電極15は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから突出している。外部電極15は、第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bに挟まれて突出する配線層10の端部10cを覆う部分がさらに突出している。
第1実施形態の半導体装置1は、レーザを照射してダイシングするため、断面に負担がかかることがない。したがって、積層された第1柱状電極11、配線層10及び第2柱状電極12の構造はダイシングの前後で維持され、これらの部材の間の接続も保証される。また、レーザの照射により第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bに照射痕の凹凸が形成される場合には、はんだによる実装の信頼性がさらに向上する。
〔第2実施形態〕
図10は第2実施形態の半導体装置2の側面図、図11は図10の切断線XI−XIによる半導体装置2の断面図である。第2実施形態の半導体装置2は、第1柱状電極11、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12を含む封止樹脂20の側部の構造を除いて第1実施形態の半導体装置1と同様の構造を有するので、第1実施形態の半導体装置1と共通する構成要素については同一の符号を付すことにする。
半導体装置2において、封止樹脂20には、配線層10が延びる方向に向かい、外周を囲む側面が形成されている。封止樹脂20の側面は、封止樹脂20の底面20dから上面20cまで延びる第1側面20fを含んでいる。封止樹脂20の第1側面20fから底面20dにかけては外部電極15が形成され、外部電極15は第1柱状電極11の側面11b及び底面11cと、第2柱状電極12の側面12bと、配線層10の端部10cとを覆っている。
配線層10の端部10cに隣接する配線層10の裏面10bには、第1柱状電極11が形成されている。第1柱状電極11は、配線層10の端部10cに接続する配線の幅を一辺とする略正方形の頂面11aで配線層10の裏面10bに接続し、この頂面11aから延びる略直方体の形状を有してもよい。
配線層10の端部10cに隣接する配線層10の主面10aには、第2柱状電極12が形成されている。第2柱状電極12は、配線層10の端部10cに接続する配線の幅を一辺とする略正方形の底面12aで配線層10の主面10aに接続し、この底面12aから延びる略直方体の形状を有してもよい。
第1柱状電極11の側面11bは封止樹脂20の第1側面20f内にあって第1側面20fから露出し、底面11cは封止樹脂20の底面20d内にあって底面20dから露出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出する第1柱状電極11の側面11bと、封止樹脂20の底面20dから露出する第1柱状電極11の底面11cとは、封止樹脂20の第1側面20fと底面20dとが交わる稜線上で交わっている。第2柱状電極12の側面12bも、第1柱状電極11の側面11bと同様に、封止樹脂20の第1側面20f内にあって第1側面20fから露出している。
配線層10は、第1柱状電極11の頂面11aと第2柱状電極12の底面12aとに挟まれ、封止樹脂20の第1側面20f内にある第1柱状電極11の側面11bと第2柱状電極12の側面12bとから突出している。
封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから露出した第1柱状電極11の側面11b及び底面11c、封止樹脂20の第1側面20fから突出した配線層10の端部10c、及び封止樹脂20の第1側面20fから露出した第2柱状電極12の側面12bを覆うように、外部電極15が形成されている。外部電極15は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dからそれぞれ突出し、封止樹脂20の第1側面20fから突出した配線層10の端部10cを覆う部分では大きく突出している。
第2実施形態の半導体装置2においては、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから外部電極15が突出している。また、外部電極15は、配線層10の端部10cを覆う部分では大きく突出している。このような構造を有することによって、半導体装置2を基板にはんだ付けによって実装するときの信頼性が向上し、基板の上部からはんだ接合の状態を視覚的に確認することが可能になる。
図12は、第2実施形態の半導体装置2のレーザ光によるダイシングの工程を説明する断面図である。図7〜8には第1実施形態の半導体装置1を製造する一連の工程を示したが、第2実施形態の半導体装置2もこのような一連の工程によって製造される。図12は、図8(c)に示したダイシング後の状態に相当している。図12において、第1樹脂層20aが構成する封止樹脂20の上面20cには、図示しないダイシングテープが張り付けられている。なお、ダイシングの工程で半導体装置2は裏返しにされ、上面20cが図中の下方向になっている。
ダイシングは、レーザ光を照射することによって行う。照射するレーザ光の加工幅は、樹脂を除去する幅よりも小さいため、レーザ光を適切に走査して照射する。レーザ光源には、Nd:YAGレーザやその第2高調波(SHG)レーザを用いてもよい。
対向する一組の第1柱状電極11は、互いの側面11bの間に幅G2の間隙を形成している。同様に、対向する一組の第2柱状電極12は、互いの側面12bの間に幅G2の間隙を形成している。幅G2は、50〜150μmの範囲にあってもよい。対向する配線層10の端部10cの間の間隙は、配線層10の端部10cが第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bから突出しているため、幅G2よりも狭くなっている。
この工程では、レーザ光を照射して、対向する第1柱状電極11及び第2柱状電極12によって形成される間隙の幅G2で第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bを除去する。配線層10の端部10cが対向する間隙が狭くなっているが、レーザ光の回折光によって配線層10の端部10cの直下の第2樹脂層20bも除去できることがある。レーザ光の照射によって、第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bに照射痕の凹凸が形成されることがある。
ダイシングの工程では、第1柱状電極11の側面11bの間の第1樹脂層20aを除去し、配線層10の端部10cの間と第2柱状電極12の側面12bの間との第2樹脂層20bを除去した後、さらに封止樹脂の上面20cに達するまでこの幅G2で第2樹脂層20bを取り除く。これによって、第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第1側面20fが形成される。ここで、ダイシングの工程では半導体装置2は裏返しにされ、図中の下方向が半導体装置2の素子上面21aの方向になっている。
ダイシングにより形成された封止樹脂20の第1側面20fからは、第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bが露出している。第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bは封止樹脂20の第1側面20f内にあり、配線層10の端部10cは封止樹脂20の第1側面20fから突出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出した第1柱状電極11の側面11bと封止樹脂20の底面20dから露出した第1柱状電極11の底面11cとは、封止樹脂20の第1側面20fと底面20dとが交わる稜線上で交わっている。
このようなダイシング工程の後で、図8(d)の工程でめっき法により外部電極15が形成されて半導体装置2が最終的に完成する。半導体装置2において、外部電極15は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから突出している。外部電極15は、第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bに挟まれて突出する配線層10の端部10cを覆う部分がさらに突出している。
第2実施形態の半導体装置2は、レーザを照射してダイシングするため、断面に負担がかかることがない。したがって、積層された第1柱状電極11、配線層10及び第2柱状電極12の構造はダイシングの前後で維持され、これらの部材の間の接続も保証される。また、レーザの照射により第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bに照射痕の凹凸が形成される場合には、はんだによる実装の信頼性がさらに向上する。さらに、第2実施形態の半導体装置2は、ダイシングの工程で一定の幅G2で封止樹脂20を除去すれば足りるので、ダイシングの工程が容易である。
〔第3実施形態〕
図13は第3実施形態の半導体装置3の側面図、図14は図13の切断線XIV−XIVによる半導体装置3の断面図である。第3実施形態の半導体装置3は、第1柱状電極11、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12を含む封止樹脂20の側部の構造を除いて第1実施形態の半導体装置1と同様の構造を有するので、第1実施形態の半導体装置1と共通する構成要素については同一の符号を付すことにする。
半導体装置3において、封止樹脂20には、配線層10が延びる方向に向かい、外周を囲む側面が形成されている。封止樹脂20の側面は、封止樹脂20の底面20dと交わる下方の第1側面20fと、封止樹脂20の上面20cと交わる上方の第2側面20gとを含んでいる。封止樹脂20の第1側面20fから底面20dにかけては外部電極15が形成され、外部電極15は第1柱状電極11の側面11b及び底面11cと、第2柱状電極12の側面12bと、配線層10の端部10cとを覆っている。
配線層10の端部10cに隣接する配線層10の裏面10bには、第1柱状電極11が形成されている。第1柱状電極11は、配線層10の端部10cに接続する配線の幅を一辺とする略正方形の頂面11aで配線層10の裏面10bに接続し、この頂面11aから延びる略直方体の形状を有してもよい。
配線層10の端部10cに隣接する配線層10の主面10aには、第2柱状電極12が形成されている。第2柱状電極12は、配線層10の端部10cに接続する配線の幅を一辺とする略正方形の底面12aで配線層10の主面10aに接続し、この底面12aから延びる略直方体の形状を有してもよい。
封止樹脂20の第1側面20fは、封止樹脂20の底面20dから、第2柱状電極12が配線層10から延びる方向に、第2柱状電極12の頂面12cの高さまで形成されている。封止樹脂20の第2側面20gは、前記方向に第2柱状電極12の頂面12cの高さを超えて封止樹脂20の上面20cまで形成されている。封止樹脂20の第2側面20gは、配線層10の延びる方向に第1側面20fから長さW3にわたって突出している。長さW3は、10〜50μmの範囲にあってもよい。
第1柱状電極11の側面11bは封止樹脂20の第1側面20f内にあって第1側面20fから露出し、底面11cは封止樹脂20の底面20d内にあって底面20dから露出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出する第1柱状電極11の側面11bと、封止樹脂20の底面20dから露出する第1柱状電極11の底面11cとは、封止樹脂20の第1側面20fと底面20dとが交わる稜線上で交わっている。第2柱状電極12の側面12bも、第1柱状電極11の側面11bと同様に、封止樹脂20の第1側面20f内にあって第1側面20fから露出している。
配線層10は、第1柱状電極11の頂面11aと第2柱状電極12の底面12aとに挟まれ、封止樹脂20の第1側面20f内にある第1柱状電極11の側面11bと第2柱状電極12の側面12bとから突出している。
封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから露出した第1柱状電極11の側面11b及び底面11c、封止樹脂20の第1側面20fから突出した配線層10の端部10c、及び封止樹脂20の第1側面20fから露出した第2柱状電極12の側面12bを覆うように、外部電極15が形成されている。外部電極15は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dからそれぞれ突出し、封止樹脂20の第1側面20fから突出した配線層10の端部10cを覆う部分では大きく突出している。
第3実施形態の半導体装置3においては、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから外部電極15が突出している。また、外部電極15は、配線層10の端部10cを覆う部分では大きく突出している。このような構造を有することによって、半導体装置3を基板にはんだ付けによって実装するときの信頼性が向上し、基板の上部からはんだ接合の状態を視覚的に確認することが可能になる。
第3実施形態の半導体装置3は、封止樹脂20の第1側面20fに突出した外部電極15の上方に封止樹脂20の上面20cが延長されて、第1側面20fから長さW3にわたって突出した第2側面20gが形成されている。したがって、半導体装置3が基板に実装された状態で、第2側面20gの直下にはんだが盛り上がったフィレットを形成することが可能になる。
図15は、第3実施形態の半導体装置3のレーザ光によるダイシングの工程を説明する断面図である。図7〜8には第1実施形態の半導体装置1を製造する一連の工程を示したが、第3実施形態の半導体装置3もこのような一連の工程によって製造される。図15は、図8(c)に示したダイシング後の状態に相当している。図15において、第1樹脂層20aが構成する封止樹脂20の上面20cには、図示しないダイシングテープが張り付けられている。なお、ダイシングの工程で半導体装置3は裏返しにされ、上面20cが図中の下方向になっている。
ダイシングは、レーザ光を照射することによって行う。照射するレーザ光の加工幅は、樹脂を除去する幅よりも小さいため、レーザ光を適切に走査して照射する。レーザ光源には、Nd:YAGレーザやその第2高調波(SHG)レーザを用いてもよい。
対向する一組の第1柱状電極11は、互いの側面11bの間に幅G31の間隙を形成している。同様に、対向する一組の第2柱状電極12は、互いの側面12bの間に幅G31の間隙を形成している。幅G31は、50〜100μmの範囲にあってもよい。対向する配線層10の端部10cの間の間隙は、配線層10の端部10cが第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bから突出しているため、幅G31よりも狭くなっている。
まず、レーザ光を照射して、対向する第1柱状電極11及び第2柱状電極12によって形成される間隙の幅G31で第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bを除去する。配線層10の端部10cが対向する間隙が狭くなっているが、レーザ光の回折光によって配線層10の端部10cの直下の第2樹脂層20bも除去できることがある。レーザ光の照射によって、第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bに照射痕の凹凸が形成されることがある。
ダイシングの工程では、第1柱状電極11の側面11bの間の第1樹脂層20aを除去した後、配線層10の端部10cの間と第2柱状電極12の側面12bの間の第2樹脂層20bを除去し、第2柱状電極12の頂面12cの高さに達するまで幅G31で第2樹脂層20bを取り除く。これによって、第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第1側面20fが形成される。ここで、ダイシングの工程では半導体装置3は裏返しされ、図中の下方向が第2柱状電極12の頂面12cの方向になっている。
次に、幅G31よりも狭い幅G32で、ダイシングした幅G31の部分の中央をダイシングし、封止樹脂20の上面20cまで第2樹脂層20bを除去する。これによって、第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第1側面20fから配線層10が延びる方向に長さW3にわたって突出した第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第2側面20gが形成される。
ダイシングにより形成された封止樹脂20の第1側面20fからは、第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bが露出している。第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bは封止樹脂20の第1側面20f内にあり、配線層10の端部10cは封止樹脂20の第1側面20fから突出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出した第1柱状電極11の側面11bと封止樹脂20の底面20dから露出した第1柱状電極11の底面11cとは、封止樹脂20の第1側面20fと底面20dとが交わる稜線上で交わっている。
このようなダイシング工程の後で、図8(d)の工程でめっき法により外部電極15が形成されて半導体装置3が最終的に完成する。半導体装置3において、外部電極15は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから突出している。外部電極15は、第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bに挟まれて突出する配線層10の端部10cを覆う部分がさらに突出している。
第3実施形態の半導体装置3は、レーザを照射してダイシングするため、断面に負担がかかることがない。したがって、積層された第1柱状電極11、配線層10及び第2柱状電極12の構造はダイシングの前後で維持され、これらの部材の間の接続も保証される。また、レーザの照射により第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bに照射痕の凹凸が形成される場合には、はんだによる実装の信頼性がさらに向上する。
〔第4実施形態〕
図16は第4実施形態の半導体装置4の側面図、図17は図16の切断線XVII−XVIIによる半導体装置4の断面図である。第4実施形態の半導体装置4は、第1柱状電極11、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12を含む封止樹脂20の側部の構造を除いて第1実施形態の半導体装置1と同様の構造を有するので、第1実施形態の半導体装置1と共通する構成要素については同一の符号を付すことにする。
半導体装置4において、封止樹脂20には、配線層10が延びる方向に向かい、外周を囲む側面が形成されている。封止樹脂20の側面は、封止樹脂20の底面20dと交わる下方の第1側面20fと、封止樹脂20の上面20cと交わる上方の第2側面20gと、第1側面20f及び第2側面20gから窪んだ第1側面20fと第2側面20gとの間の第3側面20hとを含んでいる。封止樹脂20の第1側面20fから第3側面20h及び底面20dとのそれぞれの段差面にかけて外部電極15が形成され、外部電極15は第1柱状電極11の側面11b及び底面11cと、第2柱状電極12の側面12b及び頂面12cの一部と、配線層10の端部10cとを覆っている。
配線層10の端部10cに隣接する配線層10の裏面10bには、第1柱状電極11が形成されている。第1柱状電極11は、配線層10の端部10cに接続する配線の幅を一辺とする略正方形の頂面11aで配線層10の裏面10bに接続し、この頂面11aから延びる略直方体の形状を有してもよい。
配線層10の端部10cに隣接する配線層10の主面10aには、第2柱状電極12が形成されている。第2柱状電極12は、配線層10の端部10cに接続する配線の幅を一辺とする略正方形の底面12aで配線層10の主面10aに接続し、この底面12aから延びる略直方体の形状を有してもよい。
封止樹脂20の第1側面20fは、封止樹脂20の底面20dから、第2柱状電極12が配線層10から延びる方向に、第2柱状電極12の頂面12cの高さまで形成されている。封止樹脂20の第3側面20hは、前記方向に第2柱状電極12の頂面12cの高さを超えて前記頂面12cの高さから高さH4まで形成されている。封止樹脂20の第2側面20gは、前記方向に前記高さH4を超えて封止樹脂20の上面20cまで形成されている。封止樹脂20の第2側面20gは配線層10の延びる方向に第1側面20fから長さW41にわたって突出し、第3側面20hは前記方向に第1側面20fから長さW42にわたって窪んでいる。長さW41は10〜50μmの範囲にあってもよく、長さW42は10〜130μmの範囲にあってもよい。
第1柱状電極11の側面11bは封止樹脂20の第1側面20f内にあって第1側面20fから露出し、底面11cは封止樹脂20の底面20d内にあって底面20dから露出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出する第1柱状電極11の側面11bと、封止樹脂20の底面20dから露出する第1柱状電極11の底面11cとは、封止樹脂20の第1側面20fと底面20dとが交わる稜線上で交わっている。
第2柱状電極12の側面12bは封止樹脂20の第1側面20f内にあって封止樹脂の20の第1側面20fから露出し、頂面12cは第1側面20fと第3側面20hとの間の段差面内にあって前記段差面から露出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出する第2柱状電極12の側面12bと、封止樹脂20の前記段差面から露出する第2柱状電極12の頂面12cとは、封止樹脂20の第1側面20fと前記段差面とが交わる稜線上で交わっている。
配線層10は、第1柱状電極11の頂面11aと第2柱状電極12の底面12aとに挟まれ、封止樹脂20の第1側面20f内にある第1柱状電極11の側面11bと第2柱状電極12の側面12bとから突出している。
封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから露出した第1柱状電極11の側面11b及び底面11c、封止樹脂20の第1側面20fから突出した配線層10の端部10c、及び封止樹脂20の第1側面20f及び前記段差面から露出した第2柱状電極12の側面12bを覆うように、外部電極15が形成されている。外部電極15は、封止樹脂20の前記段差面、第1側面20f及び底面20dからそれぞれ突出し、封止樹脂20の第1側面20fから突出した配線層10の端部10cを覆う部分では大きく突出している。
第4実施形態の半導体装置4においては、封止樹脂20の前記段差面、第1側面20f及び底面20dから外部電極15が突出している。また、外部電極15は、配線層10の端部10cを覆う部分では大きく突出している。このような構造を有することによって、半導体装置4を基板にはんだ付けによって実装するときの信頼性が向上し、基板の上部からはんだ接合の状態を視覚的に確認することが可能になる。第4実施形態の半導体装置4では、前記段差面に外部電極15を形成することによって、はんだ付けによって実装するときの信頼性をさらに向上させることができる。
第4実施形態の半導体装置4は、封止樹脂20の第1側面20fに突出した外部電極15の上方に封止樹脂20の上面20cが延長されて、第1側面20fから長さW3にわたって突出した第2側面20gが形成されている。したがって、半導体装置4が基板に実装された状態で、第2側面20gの直下にはんだが盛り上がったフィレットを形成することが可能になる。
図18は、第4実施形態の半導体装置4のレーザ光によるダイシングの工程を説明する断面図である。図7〜8には第1実施形態の半導体装置1を製造する一連の工程を示したが、第4実施形態の半導体装置4もこのような一連の工程によって製造される。図18は、図8(c)に示したダイシング後の状態に相当している。図18において、第1樹脂層20aが構成する封止樹脂20の上面20cには、図示しないダイシングテープが張り付けられている。なお、ダイシングの工程で半導体装置4は裏返しにされ、上面20cが図中の下方向になっている。
ダイシングは、レーザ光を照射することによって行う。照射するレーザ光の加工幅は、樹脂を除去する幅よりも小さいため、レーザ光を適切に走査して照射する。レーザ光源には、Nd:YAGレーザやその第2高調波(SHG)レーザを用いてもよい。
対向する一組の第1柱状電極11は、互いの側面11bの間に幅G41の間隙を形成している。同様に、対向する一組の第2柱状電極12は、互いの側面12bの間に幅G41の間隙を形成している。幅G41は、50〜150μmの範囲にあってもよい。対向する配線層10の端部10cの間の間隙は、配線層10の端部10cが第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bから突出しているため、幅G41よりも狭くなっている。
まず、レーザ光を照射して、対向する第1柱状電極11及び第2柱状電極12によって形成される間隙の幅G41で第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bを除去する。配線層10の端部10cが対向する間隙が狭くなっているが、レーザ光の回折光によって配線層10の端部10cの直下の第2樹脂層20bも除去できることがある。レーザ光の照射によって、第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bに照射痕の凹凸が形成されることがある。
ダイシングの工程では、第1柱状電極11の側面11bの間の第1樹脂層20aを除去した後、配線層10の端部10cの間と第2柱状電極12の側面12bの間との第2樹脂層20bを除去し、さらに第2柱状電極12の頂面12cの高さに達するまでこの幅G41で第2樹脂層20bを取り除く。これによって、第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第1側面20fが形成される。ここで、ダイシングの工程では半導体装置4が裏返され、図中の下方向が第2柱状電極12の頂面12cの方向になっている。
次に、幅G41よりも広い幅G42で、ダイシングした幅G41が中央になるように幅を広げてダイシングし、第2柱状電極12の頂面12cの高さから高さH4に達するまで第2樹脂層20bを除去する。これによって、第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第1側面20fから配線層10が延びる方向に長さW42にわたって窪んだ第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第3側面20hが形成される。
最後に、幅G42よりも狭い幅G43で、ダイシングした幅G42の部分の中央をダイシングし、封止樹脂20の上面20cまで第2樹脂層20bを除去する。これによって、第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第1側面20fから配線層10が延びる方向に長さW41にわたって突出した第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第2側面20gが形成される。
ダイシングにより形成された封止樹脂20の第1側面20fからは、第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bが露出している。第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bは封止樹脂20の第1側面20f内にあり、配線層10の端部10cは封止樹脂20の第1側面20fから突出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出した第1柱状電極11の側面11bと封止樹脂20の底面20dから露出した第1柱状電極11の底面11cとは、封止樹脂20の第1側面20fと底面20dとが交わる稜線上で交わっている。
また、第2柱状電極12の頂面12cは第1側面20fと第3側面20hとの間の段差面内にあって前記段差面から露出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出する第2柱状電極12の側面12bと、封止樹脂20の前記段差面から露出する第2柱状電極12の頂面12cとは、封止樹脂20の第1側面20fと前記段差面とが交わる稜線上で交わっている。
このようなダイシング工程の後で、図8(d)の工程でめっき法により外部電極15が形成されて半導体装置4が最終的に完成する。半導体装置4において、外部電極15は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから突出している。外部電極15は、第1柱状電極11の側面11b及び第2柱状電極12の側面12bに挟まれて突出する配線層10の端部10cを覆う部分がさらに突出している。
第4実施形態の半導体装置4は、レーザを照射してダイシングするため、断面に負担がかかることがない。したがって、積層された第1柱状電極11、配線層10及び第2柱状電極12の構造はダイシングの前後で維持され、これらの部材の間の接続も保証される。また、レーザの照射により第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bに照射痕の凹凸が形成される場合には、はんだによる実装の信頼性がさらに向上する。
第4の実施の形態の半導体装置4においては、第2柱状電極12の頂面12cが封止樹脂20の前記段差面から露出しているため、はんだによる実装の信頼性が向上する。また、封止樹脂20の第1側面20fから露出する第2柱状電極12の頂面12cは第1側面20fより窪んだ第3側面20hに接しているため、第2柱状電極12の頂面12cとこの頂面12cに接する封止樹脂20の第2樹脂層20bとの間の応力が緩和され、亀裂等の発生を防止することができる。
〔第5実施形態〕
図19は第5実施形態の半導体装置5の側面図、図20は図19の切断線XX−XXによる半導体装置5の断面図である。第5実施形態の半導体装置5は、第1柱状電極11、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12を含む封止樹脂20の側部の構造を除いて第1実施形態の半導体装置1と同様の構造を有するので、第1実施形態の半導体装置1と共通する構成要素については同一の符号を付すことにする。
半導体装置5において、封止樹脂20には、配線層10が延びる方向に向かい、外周を囲む側面が形成されている。封止樹脂20の側面は、封止樹脂20の底面20dと交わる下方の第1側面20fと、封止樹脂20の上面20cと交わる上方の第2側面20gと、第1側面20f及び第2側面20gとの間の第4側面20kとを含んでいる。封止樹脂20の第1側面20fから底面20dにかけて外部電極15が形成され、外部電極15は第1柱状電極11の側面11b及び底面11c、及び配線層10の端部10cを覆っている。
配線層10の端部10cに隣接する配線層10の裏面10bには、第1柱状電極11が形成されている。第1柱状電極11は、配線層10の端部10cに接続する配線の幅を一辺とする略正方形の頂面11aで配線層10の裏面10bに接続し、この頂面11aから延びる略直方体の形状を有してもよい。
配線層10の端部10cに隣接する配線層10の主面10aには、第2柱状電極12が形成されている。第2柱状電極12は、配線層10の端部10cに接続する配線の幅を一辺とする略正方形の底面12aで配線層10の主面10aに接続し、この底面12aから延びる略直方体の形状を有してもよい。
封止樹脂20の第1側面20fは、封止樹脂20の底面20dから配線層10の裏面10bに達するまで形成されている。封止樹脂20の第4側面20kは、第2柱状電極12が配線層10から延びる方向に、配線層10の裏面10bを超えて、第2柱状電極12の頂面12cの高さから高さH5まで形成されている。高さH5は、20〜200μmの範囲にあってもよい。封止樹脂20の第4側面20kは、配線層10の延びる方向に第1側面20fから長さW52にわたって突出している。封止樹脂20の第4側面20kは、配線層10の延びる方向に、配線層10の端部10cの先端を超えることはない。長さW52は、封止樹脂20の第4側面20kが、配線層10の延びる方向に、第2柱状電極12の側面12bを十分に被覆できるような厚さから配線層10の先端に達するまでの範囲にあってもよく、0〜20μmの範囲にあってもよい。
封止樹脂20の第2側面20gは、前記方向に第2柱状電極12の頂面12cの高さから高さH5を超えて封止樹脂20の上面20cまで形成されている。封止樹脂20の第2側面20gは、配線層10の延びる方向に第1側面20fから長さW51にわたって突出している。長さW51は、30〜50μmの範囲にあってもよい。
第1柱状電極11の側面11bは封止樹脂20の第1側面20f内にあって第1側面20fから露出し、底面11cは封止樹脂20の底面20d内にあって底面20dから露出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出する第1柱状電極11の側面11bと、封止樹脂20の底面20dから露出する第1柱状電極11の底面11cとは、封止樹脂20の第1側面20fと底面20dとが交わる稜線上で交わっている。第2柱状電極12の側面12bは、封止樹脂20の第4側面20kから長さW52の深さにあり、封止樹脂20によって覆われている。第2柱状電極12の側面12bは、封止樹脂の第1側面20fを延長した面内にあってもよい。
配線層10は、第1柱状電極11の頂面11aと第2柱状電極12の底面12aとに挟まれ、封止樹脂20の第1側面20f内にある第1柱状電極11の側面11bと封止樹脂20の第4側面20kとに挟まれて突出している。配線層10の端部10cが、封止樹脂20の第1側面20fから突出する長さ、すなわち、第1柱状電極11の側面11bから突出する長さは、前記長さW52と同様であり、0〜20μmの範囲にあってもよい。
封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから露出した第1柱状電極11の側面11b及び底面11c、及び封止樹脂20の第1側面20fから突出した配線層10の端部10cを覆うように、外部電極15が形成されている。外部電極15は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dからそれぞれ突出し、封止樹脂20の第1側面20fから突出した配線層10の端部10cを覆う部分では大きく突出している。
第5実施形態の半導体装置5は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから外部電極15が突出し、外部電極15は配線層10の端部10cを覆う部分でさらに突出している。したがって、はんだによる実装時の信頼性が向上し、実装した基板の上部からはんだ接合の状態を視覚的に確認することが可能になる。
第5実施形態の半導体装置5は、封止樹脂20の第1側面20fに突出した外部電極15の上方に封止樹脂20の上面20cが延長されて、第1側面20fから長さW51にわたって突出した第2側面20gが形成されている。したがって、半導体装置5が基板に実装された状態で、第2側面20gの直下にはんだが盛り上がったフィレットを形成することが可能になる。
図21は、第5実施形態の半導体装置5のレーザ光によるダイシングの工程を説明する断面図である。図7〜8には第1実施形態の半導体装置1を製造する一連の工程を示したが、第5実施形態の半導体装置5もこのような一連の工程によって製造される。図21は、図8(c)に示したダイシング後の状態に相当している。図21において、第1樹脂層20aが構成する封止樹脂20の上面20cには、図示しないダイシングテープが張り付けられている。なお、ダイシングの工程で半導体装置5は裏返しにされ、上面20cが図中の下方向になっている。
ダイシングは、レーザ光を照射することによって行う。照射するレーザ光の加工幅は、樹脂を除去する幅よりも小さいため、レーザ光を適切に走査して照射する。レーザ光源には、Nd:YAGレーザやその第2高調波(SHG)レーザを用いてもよい。
対向する一組の第1柱状電極11は、互いの側面11bの間に幅G51の間隙を形成している。幅G51は、50〜150μmの範囲にあってもよい。封止樹脂20の対向する一組の第4側面20kは、幅G52の間隙を形成している。幅G52は、50〜70μmの範囲にあってもよい。対向する配線層10の端部10cの間の間隙は、配線層10の端部10cが第1柱状電極11の側面11bから突出しているため、幅G51よりも狭くなっている。配線層10の端部10cの間の間隙は、第4側面20kの間の幅G52と同じでも、これより狭くてもよい。
まず、レーザ光を照射して、対向する第1柱状電極11及び第2柱状電極12によって形成される間隙の幅G51で第1樹脂層20a及び第2樹脂層20bを除去する。これによって、第1樹脂層20aが構成する封止樹脂20の第1側面20fが形成される。ここで、ダイシングの工程では半導体装置5は裏返しにされ、図中の下方向が配線層10の主面10aの方向になっている。レーザ光の照射によって、第1柱状電極11の側面11bに照射痕の凹凸が形成されることがある。
次に、幅G51よりも狭い幅G52で、ダイシングした幅G51の中央をダイシングし
、配線層10の端部10cの間と第2柱状電極12の側面12bの間の第2樹脂層20bを除去し、第2柱状電極12の頂面12cの高さから高さH5に達するまで幅G52で第2樹脂層20bを除去する。これによって、第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第4側面20kが形成される。レーザ光の照射によって、配線層10の端部10cに照射痕の凹凸が形成されることがある。
最後に、幅G51よりも狭い幅G52で、ダイシングした幅G52の中央をダイシングし、封止樹脂20の上面20cまで第2樹脂層20bを除去する。これによって、第1樹脂層20aが構成する封止樹脂20の第1側面20fから配線層10が延びる方向に長さW51にわたって突出した第2樹脂層20bが構成する封止樹脂20の第2側面20gが形成される。
ダイシングにより形成された封止樹脂20の第1側面20fからは、第1柱状電極11の側面11b、及び配線層10の端部10cが露出している。第1柱状電極11の側面11bは封止樹脂20の第1側面20f内にあり、配線層10の端部10cは封止樹脂20の第1側面20fから突出している。封止樹脂20の第1側面20fから露出した第1柱状電極11の側面11bと封止樹脂20の底面20dから露出した第1柱状電極11の底面11cとは、封止樹脂20の第1側面20fと底面20dとが交わる稜線上で交わっている。第2柱状電極12の側面12bは、封止樹脂20の第4側面20kから長さW52の深さにあり、第4側面20kに覆われている。
このようなダイシング工程の後で、図8(d)の工程でめっき法により外部電極15が形成されて半導体装置5が最終的に完成する。半導体装置5において、外部電極15は、封止樹脂20の第1側面20f及び底面20dから突出している。外部電極15は、第1柱状電極11の側面11b及び封止樹脂20の第4側面20kに挟まれて突出する配線層10の端部10cを覆う部分がさらに突出している。
第5実施形態の半導体装置5は、レーザを照射してダイシングするため、断面に負担がかかることがない。したがって、積層された第1柱状電極11、配線層10及び第2柱状電極12の構造はダイシングの前後で維持され、これらの部材の間の接続も保証される。また、レーザの照射により第1柱状電極11の側面11b、配線層10の端部10c及び第2柱状電極12の側面12bに照射痕の凹凸が形成される場合には、はんだによる実装の信頼性がさらに向上する。