JP2021098623A - 単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法 - Google Patents

単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否を簡便にかつ精度良く評価することが可能な、単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法を提供する。【解決手段】極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットから採取したウェーハ状試料又は縦割り試料の表面に対して、Cuデコレーション処理と、これに引き続くライトエッチング処理又はセコエッチング処理を施す。その後、前記表面を観察して、前記表面における顕在化された欠陥の有無と存在領域に基づいて、前記単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否を評価する。【選択図】図7

Description

本発明は、極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法に関する。
単結晶シリコンインゴットの代表的な製造方法として、チョクラルスキー法(CZ法)を挙げることができる。CZ法で育成された単結晶シリコンインゴットには、固液界面における温度勾配Gに対する引上げ速度Vの比V/Gに依存して、デバイス作製工程で問題となりうる種々のGrown−in欠陥が生じることが知られている。
図1を参照して、V/Gが大きい条件下では、単結晶シリコンインゴットは、COP(Crystal Originated Particle)が検出される結晶領域であるCOP発生領域11に支配される。このCOP発生領域11は、空孔(Vacancy)が優勢な領域であり、V領域とも称される。すなわち、COPは空孔の凝集体である微小ボイド欠陥である。COP発生領域11は、V/Gが大きい条件下では、インゴットの径方向の全域にわたって存在するが、V/Gが小さくなるにつれて、インゴットの中心軸付近に絞られてくる。
V/Gが小さい条件下では、単結晶シリコンインゴットは、転位クラスターが検出される結晶領域である転位クラスター領域15に支配される。この転位クラスター領域15は、格子間シリコン(Interstitial Silicon)が優勢な領域であり、I領域とも称される。すなわち、転位クラスターは、過剰な格子間シリコンの凝集体として形成される欠陥(転位ループ)である。
V領域とI領域との間は、COPが検出されず、転位クラスターも存在しない、一般的には欠陥がないとみなされる結晶領域であるが、V/Gが大きい方から順に、OSF領域12、酸素析出促進領域(Pv領域)13、及び酸素析出抑制領域(Pi領域)14に分類される。
OSF領域12は、結晶育成後に何の熱履歴も受けていないas−grown状態で酸化誘起積層欠陥(OSF:Oxidation induced Stacking Fault)の核を含み、1000℃以上の高温で熱酸化した場合にOSFが顕在化する領域である。COP発生領域11の形状に起因して、その外側に位置するOSF領域12は、インゴットをウェーハ状に加工した際にはウェーハ表面にリング状に分布する。ただし、一般的に、格子間酸素濃度が6×1017atoms/cm3以下といった極低酸素の単結晶シリコンインゴットの場合、OSF領域12は顕在化しない。
OSF領域12と転位クラスター領域15との間は、COPが検出されず、転位クラスターもOSFも存在しない、まさに無欠陥領域であり、P(Perfect)領域ともN(Neutral)領域とも称される。ただし、P領域(N領域)は、空孔が比較的多く、as−grown状態で酸素析出核が存在し、熱処理を施した際に酸素析出が起きやすい酸素析出促進領域13(Pv領域ともNv領域とも称される)と、格子間シリコンが比較的多く、as−grown状態で酸素析出核がほとんど存在せず、熱処理を施しても酸素析出が起きにくい酸素析出抑制領域14(Pi領域ともNi領域とも称される)とに分けられる。
さて、一般的に、単結晶シリコンインゴットから切り出した単結晶シリコンウェーハがCOP発生領域11を含む場合、この単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧特性は良好ではない。また、単結晶シリコンウェーハが転位クラスター領域15を含む場合、半導体デバイス製品でリーグ不良が発生する。そのため、酸化膜耐圧特性の観点及び半導体デバイス製品のリーク不良防止の観点から、P領域(N領域)のみを含む単結晶シリコンウェーハが望ましいことが知られている。
ここで、特許文献1には、単結晶シリコンのN領域を構成するNv領域とNi領域のうち、Nv領域の一部は、Cuデポジションにより検出される欠陥領域であるという知見と、単結晶シリコンウェーハの全面がN領域で構成されていたとしても、そのN領域の中にCuデポジションにより検出される欠陥領域が含まれる場合、酸化膜耐圧特性が劣化するという知見が示されている。特許文献1では、上記知見に基づき、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成する場合において、Cuデポジションにより検出される欠陥領域が存在しないN領域のみからなる単結晶シリコンインゴットが得られる条件で育成を行う方法が記載されている。
なお、「Cuデポジション」とは、Cuデコレーション処理とも称される欠陥検出方法であり、評価サンプルの表面を硝酸銅等の水溶液で処理した後、熱処理を施して銅(Cu)をウェーハバルク内に拡散させた後、急冷によって評価サンプル表面の欠陥を顕在化させる処理である。一般的には、評価サンプルの表面にCuデコレーション処理と、これに引き続く選択エッチング処理(ライトエッチング処理又はセコエッチング処理)を施すことによって、V領域(COP発生領域)と、OSF領域(それが存在する場合には)と、I領域(転位クラスター領域)を顕在化させることができ、場合によっては、Pv領域(Nv領域)の一部も顕在化される。
また、特許文献2には、結晶中の格子間酸素濃度が10×1017atoms/cm3(ASTM’79)以下のチョクラルスキー法で製造した単結晶シリコンインゴットから採取した試料ウェーハに対してCuデコレーション法を施し、その後、ライト液による選択エッチングを行うことによって、OSF領域を検出することができることが記載されている。
特開2002−201093号公報 特開2001−81000号公報
本明細書において、以下、Cuデコレーション処理と、これに引き続く選択エッチング処理によって顕在化(すなわち視覚化)される欠陥を「Cu評価欠陥」と称する。特許文献1では、Cu評価欠陥を含む単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧特性は不良である旨が示されている。この知見に基づけば、ある条件下で育成した単結晶シリコンインゴットから切り出した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の間接的な評価手法として、Cu評価欠陥が存在する場合には酸化膜耐圧を不良と評価し、Cu評価欠陥が存在しなければ酸化膜耐圧を良と評価することが考えられる。
しかしながら、格子間酸素濃度が6×1017atoms/cm3以下といった極低酸素で窒素をドープした単結晶シリコンインゴットの場合、必ずしもCu評価欠陥の有無と酸化膜耐圧特性の良否とが対応しないことが判明した。具体的には、詳細は後述するように、Cu評価欠陥が存在しない場合に酸化膜耐圧が良好であることは当然ながら、Cu評価欠陥が存在する場合でも、その存在領域によっては、酸化膜耐圧が良好であることが判明した。よって、特許文献1に示される知見に基づく前段落に記載の評価手法では、極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否を精度よく評価することができない。
特許文献2は、10×1017atoms/cm3以下の低酸素結晶におけるCu評価欠陥に関する開示があるのみであり、極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットにおけるCu評価欠陥の有無と酸化膜耐圧特性の良否との対応関係について何ら示唆しない。
一方で、酸化膜耐圧特性を直接的に評価する手法として、GOI(Gate Oxide Integrity)検査がある。しかしながら、GOI検査は、ポリッシュト ウェーハに対してしか実施できない。単結晶シリコンインゴットに対して、当該インゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧特性を評価する手法としては、例えば三井金属社製MO441などの赤外散乱トモグラフ装置を用いて行うLSTD(Laser Scattering Topography Defect)検査がある。LSTD検査では、インゴットから採取したウェーハ状試料や縦割り試料におけるボイド欠陥(COP等)の密度をLSTD欠陥密度として測定することができ、その測定値と酸化膜耐圧特性とには相関があることが知られている。例えば、LSTD検査でウェーハ状試料の中心から径方向にボイド欠陥密度の測定を行い、全ての測定点において欠陥密度が検出下限以下であれば、酸化膜耐圧特性は良好である。また、縦割り試料の表面において、インゴットの中心軸に沿ってボイド欠陥密度の測定を行い、欠陥密度が検出下限以下となる結晶長位置から切り出したウェーハの酸化膜耐圧特性は良好である。しかしながら、LSTD検査は1サンプルの評価に30分程度時間がかかり、量産結晶の評価としては簡便でないという問題がある。
上記課題に鑑み、本発明は、極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否を簡便にかつ精度良く評価することが可能な、単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を進め、以下の知見を得た。すなわち、既述のとおり、格子間酸素濃度(ASTM F121−1979)が6×1017atoms/cm3以下といった極低酸素で、窒素をドープした単結晶シリコンインゴットの場合、Cu評価欠陥が存在しない場合に酸化膜耐圧が良好であることは当然ながら、Cu評価欠陥が存在する場合でも、その存在領域によっては、酸化膜耐圧が良好であることが判明した。具体的には、ウェーハ中心から所定の距離以下の中心領域内にのみCu評価欠陥が存在する場合には、酸化膜耐圧は良好であることが分かった。
上記知見に基づき完成した本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)6×1017atoms/cm3以下の酸素濃度及び1×1013atoms/cm3以上の窒素濃度を有する単結晶シリコンインゴットを用意する工程と、
前記単結晶シリコンインゴットから、当該単結晶シリコンインゴットの中心軸に垂直で、かつ、当該単結晶シリコンインゴットの直径を含む表面を有するウェーハ状試料を採取するか、又は、当該単結晶シリコンインゴットの中心軸及び直径を含む表面を有する縦割り試料を採取する工程と、
前記ウェーハ状試料の表面又は前記縦割り試料の表面に対して、Cuデコレーション処理と、これに引き続くライトエッチング処理又はセコエッチング処理を施す工程と、
その後、前記表面を観察して、前記表面における顕在化された欠陥の有無と存在領域に基づいて、前記単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否を評価する工程と、
を有することを特徴とする単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法。
(2)前記ウェーハ状試料の表面に前記顕在化された欠陥が存在しない場合と、前記ウェーハ状試料の表面の中心から所定の距離r1以下の中心領域内にのみ前記顕在化された欠陥が存在する場合に、当該ウェーハ状試料の酸化膜耐圧を良と評価し、
前記ウェーハ状試料の表面の前記中心領域の外側にまで前記顕在化された欠陥が存在する場合に、当該ウェーハ状試料の酸化膜耐圧を不良と評価する、
上記(1)に記載の単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法。
(3)前記縦割り試料の表面における、前記単結晶シリコンインゴットの中心軸から直径方向にみて、前記顕在化された欠陥が存在しない第1の結晶長位置と、前記中心軸から直径方向に所定の距離r2以下の範囲内にのみ前記顕在化された欠陥が存在する第2の結晶長位置に関して、これら第1及び第2の結晶長位置から採取した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧を良と評価し、
前記縦割り試料の表面における、前記単結晶シリコンインゴットの中心軸から直径方向にみて、前記中心軸から直径方向に所定の距離r2以下の範囲の外側にまで前記顕在化された欠陥が存在する第3の結晶長位置に関して、当該第3の結晶長位置から採取した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧を不良と評価する、
上記(1)に記載の単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法。
(4)引上げ条件のうち引上げ速度のみを変更しながら1本の予備試験用単結晶シリコンインゴットを製造する工程と、
前記予備試験用単結晶シリコンインゴットから、当該予備試験用単結晶シリコンインゴットの中心軸及び直径を含む表面を有する予備試験用縦割り試料を採取する工程と、
前記予備試験用縦割り試料の表面に対して、Cuデコレーション処理と、これに引き続くライトエッチング処理又はセコエッチング処理を施す工程と、
その後、前記予備試験用縦割り試料の表面を観察して、当該表面における顕在化された欠陥の存在領域を把握する工程と、
前記予備試験用縦割り試料の表面における、前記単結晶シリコンインゴットの中心軸に沿って、LSTD検査によって欠陥密度を測定する工程と、
前記欠陥密度の測定値が検出下限以下となる結晶長位置における、前記顕在化された欠陥の存在領域に基づいて、前記距離r1又は前記距離r2を決定する工程と、
を有する、上記(2)又は(3)に記載の単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法。
本発明の単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法によれば、極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否を簡便にかつ精度良く評価することができる。
固液界面における温度勾配Gに対する引上げ速度Vの比V/Gと、単結晶シリコンインゴット中の結晶領域との関係を示す模式図である。 (A)は、実験例1において、引上げ速度を変えながら単結晶シリコンインゴットを成長させた際の、結晶長と引上げ速度との関係を示すグラフであり、(B)は、当該単結晶シリコンインゴットの酸素濃度及び窒素濃度を示すグラフである。 実験例1において、結晶長150mmの位置から採取した単結晶シリコンウェーハの試験結果を示すものであり、(A)は、LSTD検査により測定された欠陥密度のグラフであり、(B)は、Cuデコレーション処理/ライトエッチング処理後のウェーハ表面の写真であり、(C)は、酸化膜耐圧試験の結果を示す耐圧マップである。 実験例1において、結晶長280mmの位置から採取した単結晶シリコンウェーハの試験結果を示すものであり、(A)は、LSTD検査により測定された欠陥密度のグラフであり、(B)は、Cuデコレーション処理/ライトエッチング処理後のウェーハ表面の写真であり、(C)は、酸化膜耐圧試験の結果を示す耐圧マップである。 実験例1において、結晶長430mmの位置から採取した単結晶シリコンウェーハの試験結果を示すものであり、(A)は、LSTD検査により測定された欠陥密度のグラフであり、(B)は、Cuデコレーション処理/ライトエッチング処理後のウェーハ表面の写真であり、(C)は、酸化膜耐圧試験の結果を示す耐圧マップである。 実験例1において、結晶長600mmの位置から採取した単結晶シリコンウェーハの試験結果を示すものであり、(A)は、LSTD検査により測定された欠陥密度のグラフであり、(B)は、Cuデコレーション処理/ライトエッチング処理後のウェーハ表面の写真であり、(C)は、酸化膜耐圧試験の結果を示す耐圧マップである。 実験例2において、引上げ速度を変えながら単結晶シリコンインゴットを成長させた際の、結晶長と引上げ速度との関係を示すグラフであり、当該グラフ中には、種々の結晶長の位置から採取した縦割り試料の表面にCuデコレーション処理/ライトエッチング処理を施した後の前記表面の写真と、各縦割り試料の表面におけるインゴット中心軸に沿ってLSTD検査により測定した欠陥密度を示す。
まず、本発明を完成に導いた実験例について説明する。
(実験例1:ウェーハ状試料による実験)
図2(A)に示すように、引上げ速度Vのみを経時的に変更しながら、CZ法にて、直径200mmの単結晶シリコンインゴットを育成した。引上げ速度V以外の育成条件は固定したため、温度勾配Gは一定である。図2(A)に示すように、育成初期では引上げ速度を大きくしてV/Gが大きい条件とし、徐々に引上げ速度を小さくしてV/Gが小さい条件とした。図2(B)は、本実験例で育成した単結晶シリコンインゴットの格子間酸素濃度Oi及び窒素濃度の測定値であり、酸素濃度は、結晶長の全体にわたって6×1017atoms/cm3以下であり、窒素濃度は、結晶長の全体にわたって1×1013atoms/cm3以上である。
図2(A)の破線で示す位置(結晶長=150mm、280mm、430mm、600mmの位置)から単結晶シリコンウェーハを切り出して、as−grown状態のまま、以下の3つの検査に供した。切り出したウェーハは、単結晶シリコンインゴットの中心軸に垂直で、かつ、当該単結晶シリコンインゴットの直径を含む表面を有するウェーハ状試料である。
[LSTD検査]
各ウェーハ状試料の表面の中心から径方向に沿って、三井金属社製MO441を用いてLSTD検査を行って、ボイド欠陥密度(LSTD密度)を測定した。結晶長=150mm、280mm、430mm、600mmの位置から採取したウェーハ状試料についての結果を、それぞれ図3(A)、図4(A)、図5(A)、図6(A)に示す。なお、MO441では、欠陥サイズ20nm以上、かつ2×105個cm-3以上のボイド欠陥を検出することができる。言い換えると、欠陥サイズ20nm未満、あるいは2×105個cm-3未満の欠陥を検出することはできない。
[Cuデコレーション処理/ライトエッチング処理]
各ウェーハ状試料の表面に対してCuデコレーション処理と、これに引き続く選択エッチング処理を行った。具体的には、ウェーハ状試料を、濃度が0.4mol/Lの硝酸銅(II)水溶液に5分間浸漬させ、その後、ウェーハ状試料を熱処理炉に投入し、大気(空気)雰囲気下で、雰囲気温度750℃でウェーハを5分間恒温保持する熱処理に供し、その後1℃/sの冷却速度で急冷した。その後、ウェーハ状試料をライト(Wright)液に8分間浸漬させた。その後、暗室内の蛍光灯下でウェーハ状試料の表面を撮影した。結晶長=150mm、280mm、430mm、600mmの位置から採取したウェーハ状試料についての写真(ウェーハ中心角で90°の部分写真)を、それぞれ図3(B)、図4(B)、図5(B)、図6(B)に示す。
[酸化膜耐圧試験(GOI検査)]
各ウェーハ状試料に対して、以下の条件下で、TZDB(Time Zero Dielectric Break down)測定を行った。
・酸化膜の厚さ:25nm
・電極面積:20mm2
・電解強度:8MV/cm及び10.5MV/cm
・電解印加時間:5分間
結晶長=150mm、280mm、430mm、600mmの位置から採取したウェーハ状試料についての耐圧マップを、それぞれ図3(C)、図4(C)、図5(C)、図6(C)に示す。なお、マップ中の表示は以下のとおりである
・白色セル:10.5MV/cmの電解印加時にも絶縁状態が維持された測定部位
・ハッチ付きセル:10.5MV/cmの電解印加時には絶縁破壊が起きたが、8MV/cmの電解印加時には絶縁状態が維持された測定部位
・黒色セル:8MV/cmの電解印加時に絶縁破壊が起きた測定部位
[実験結果の考察]
図3(A)〜(C)を参照して、結晶長=150mmの位置から採取したウェーハ状試料の結果を説明する。結晶長=150mmでは、引上げ速度が高速であり、ウェーハ状試料のほぼ全面がV領域(COP発生領域)となっているものと推測される。それを裏付けるように、図3(A)は、ウェーハ中心から径方向のほぼ全域にわたり、ボイド欠陥密度が検出下限値を超えていることを示している。そして、図3(C)に示すように、8MV/cmの電解印加時に絶縁破壊が起きる部位が多数存在し、酸化膜耐圧特性は不良であった。このとき、図3(B)に示すように、ウェーハ状試料のほぼ全域にわたり、Cu評価欠陥(白く見える箇所)が存在する。
図4(A)〜(C)を参照して、結晶長=280mmの位置から採取したウェーハ状試料の結果を説明する。結晶長=280mmでは、引上げ速度が比較的高速であり、ウェーハ状試料の中央部分はV領域(COP発生領域)であり、その周囲はPv領域となっているものと推測される。それを裏付けるように、図4(A)は、ウェーハ中心から35mm程度まではボイド欠陥密度が検出下限値を超えており、それ以降はボイド欠陥密度が検出下限値以下になっていることを示している。そして、図4(C)に示すように、8MV/cmの電解印加時に絶縁破壊が起きる部位がウェーハ状試料の中心付近に多少存在し、酸化膜耐圧特性はやはり不良であった。このとき、図4(B)に示すように、Cu評価欠陥は、ウェーハ状試料のほぼ全域にわたって存在している。
次に、図6(A)〜(C)を参照して、結晶長=600mmの位置から採取したウェーハ状試料の結果を説明する。結晶長=600mmでは、引上げ速度が低速であり、ウェーハ状試料の全面がPv領域又はPi領域で構成されているものと推測される。それを裏付けるように、図6(A)は、ウェーハ中心から径方向の全域にわたり、ボイド欠陥密度が検出下限値以下になっていることを示している。そして、図6(C)に示すように、ウェーハ試料表面の全ての部位で、8MV/cmの電解印加時にも10.5MV/cmの電解印加時にも絶縁状態が維持されており、酸化膜耐圧特性は良好であった。このとき、図6(B)に示すように、Cu評価欠陥はほぼ存在しなかった。
次に、図5(A)〜(C)を参照して、結晶長=430mmの位置から採取したウェーハ状試料の結果を説明する。この結果が、極低酸素・窒素ドープ結晶に特有のものである。結晶長=430mmでは、引上げ速度が比較的低速であり、ウェーハ状試料の全面がPv領域又はPi領域で構成されているものと推測される。それを裏付けるように、図5(A)は、ウェーハ中心から径方向の全域にわたり、ボイド欠陥密度が検出下限値以下になっていることを示している。そして、図5(C)に示すように、ウェーハ試料表面の全ての部位で、8MV/cmの電解印加時にも10.5MV/cmの電解印加時にも絶縁状態が維持されており、酸化膜耐圧特性は良好であった。しかしながら、図5(B)に示すように、ウェーハ状試料の中心領域(ウェーハ半径Rとして、中心から0.6R程度の範囲内)にはCu評価欠陥が存在していた。
そのため、Cu評価欠陥が存在する場合に、酸化膜耐圧特性は必ず不良であると評価してしまうと、図5(A)〜(C)のように、実際には酸化膜耐圧特性が良好である場合にも、不良との評価をすることになってしまう。そのため、引上げ速度V以外の育成条件(つまり温度勾配G)が本実験例1と同じである育成条件下では、Cu評価欠陥が存在しない場合に加えて、Cu評価欠陥がウェーハ中心から0.6R以下の中心領域内にのみ存在する場合も、酸化膜耐圧特性が良好であると評価することができ、Cu評価欠陥が中心領域の外側にまで存在する場合は、酸化膜耐圧特性が不良であると評価することができる。
この図5のように、LSTD検査により測定されるボイド欠陥密度及び実際の酸化膜耐圧測定の結果と、Cu評価欠陥の有無とが対応しない状況は、格子間酸素濃度が6×1017atoms/cm3以下といった極低酸素で窒素をドープした単結晶シリコンインゴットの場合に特有のものであることを、本発明者は確認した。この点について、以下に説明する。
窒素ドープなしで酸素濃度が9×1017atoms/cm3以下の低酸素又は極低酸素の結晶の場合、LSTD検査によりボイド欠陥密度が検出下限を超える領域とCu評価欠陥が検出される領域とは一致していた。そのため、Cu評価欠陥がある場合には酸化膜耐圧特性が不良であり、ない場合には良好であると判断して差し支えない。これは、特許文献1に記載の知見と整合する結果である。
また、窒素ドープなしで酸素濃度が10〜12×1017atoms/cm3の高酸素結晶の場合と、窒素ドープありで酸素濃度が7〜9×1017atoms/cm3の低酸素結晶の場合は、Cu評価欠陥としてボイド欠陥を検出することができず、転位クラスターのみが検出されることが分かった。よって、このような場合には、Cu評価欠陥の有無や存在領域に基づいて酸化膜耐圧の良否を評価することはできない。
以上の結果から、極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否は、Cu評価欠陥の有無とその存在領域に基づいて評価できることが理解できる。
なお、本実験例では、図3(B)、図4(B)、及び図5(B)に示すように、Cu評価欠陥がウェーハ面内にディスク状に分布する場合について示した。しかし、Cu評価欠陥がリング状に分布する場合や、Cu評価欠陥がディスク状と、その周囲のリング状の両方分布する場合もあり得る。これらの場合でも、実験例1と同様に、Cu評価欠陥の有無とその存在領域に基づいて評価できる。
(実験例2:縦割り試料による実験)
図7に示すように、引上げ速度Vのみを経時的に変更しながら、CZ法にて、直径200mmの単結晶シリコンインゴットを育成した。引上げ速度V以外の育成条件は固定したため、温度勾配Gは一定である。図7に示すように、育成初期では引上げ速度を大きくしてV/Gが大きい条件とし、徐々に引上げ速度を小さくしてV/Gを小さくし、その後また引上げ速度を大きくした。本実験例で育成した単結晶シリコンインゴットの格子間酸素濃度Oiは、結晶長の全体にわたって6×1017atoms/cm3以下であり、窒素濃度は、結晶長の全体にわたって1×1014atoms/cm3以上である。
図7の破線で示す結晶長位置でインゴットを分割して、複数のブロックを得た。各ブロックから、インゴットの中心軸及び直径を含む表面を有する縦割り試料を採取した。そのうち、結晶長が150〜310mmの範囲の縦割り試料A、結晶長が310〜520mmの範囲の縦割り試料B、結晶長が720〜930mmの範囲の縦割り試料C、結晶長が930〜1140mmの範囲の縦割り試料Dの4つの縦割り試料を、as−grown状態のまま、以下の2つの検査に供した。
[LSTD検査]
各縦割り試料の表面におけるインゴットの中心軸に沿って、三井金属社製MO441を用いてLSTD検査を行って、ボイド欠陥密度(LSTD密度)を測定した。得られた測定値を図7のグラフ中にプロットした。
[Cuデコレーション処理/ライトエッチング処理]
各縦割り試料の表面に対して、実験例1と同じ条件で、Cuデコレーション処理と、これに引き続く選択エッチング処理を行った。その後、暗室内の蛍光灯下で縦割り試料の表面を撮影した。各縦割り試料についての写真を、それぞれの結晶長の範囲と対応させて、図7の下に示す。
[実験結果の考察]
試料Aの写真を参照すると、Cu評価欠陥(白く見える箇所)が存在するが、これは、引上げ速度が高速であることから、V領域であるものと考えられる。実際、試料Aの表面ではボイド欠陥密度が検出下限値を超えている。
試料B及び試料Cの写真を参照すると、試料Bの右側のCu評価欠陥と試料Cの左側のCu評価欠陥は、引上げ速度が低速であることから、転位クラスター領域であるものと考えられる。
ここで、試料Bの写真の左端にも顕在化された欠陥領域(Cu評価欠陥)が存在する。一方で、この結晶長位置におけるインゴット中心軸上では、ボイド欠陥密度が検出下限値以下になっているため、この結晶長位置から採取した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧は良好である。同様のことは、試料Dの左側の部位にも当てはまる。
そのため、インゴットの中心軸から直径方向にみて、Cu評価欠陥が存在する結晶長位置から採取した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧を必ず不良であると評価してしまうと、試料Bの写真の左端や試料Dの写真の左側の、実際には酸化膜耐圧特性が良好な部位も、不良との評価をすることになってしまう。そのため、引上げ速度V以外の育成条件が(つまり温度勾配G)が本実験例2と同じである育成条件下では、縦割り試料の表面におけるインゴットの中心軸から直径方向にみて、Cu評価欠陥が存在しない第1の結晶長位置に加えて、Cu評価欠陥が中心軸から0.5R(R:インゴット半径)以下の範囲内にのみ存在する第2の結晶長位置に関しても、これら第1及び第2の結晶長位置から採取した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧を良と評価する必要がある。これに対して、Cu評価欠陥が中心軸から0.5R以下の範囲の外側にまで存在する第3の結晶長位置に関しては、当該第3の結晶長位置から採取した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧を不良と評価する必要がある。
なお、図7のように、LSTD検査によりボイド欠陥密度が検出下限値以下になる結晶長の範囲とCu評価欠陥がない結晶長の範囲とが対応しない状況は、極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットの場合に特有のものであることを、本発明者は確認した。
(単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法)
以上の実験例1及び実験例2から得られた知見に基づいて、本発明の一実施形態による単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法を説明する。
[極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴット]
本実施形態の評価方法の対象は、6×1017atoms/cm3以下の酸素濃度及び1×1013atoms/cm3以上の窒素濃度を有する単結晶シリコンインゴットから切り出した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧である。上記実験例1及び実験例2で説明したように、極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットの場合に、Cu評価欠陥の存在領域に基づいて酸化膜耐圧の良否を評価できるからである。よって、本実施形態では、まず、6×1017atoms/cm3以下の酸素濃度及び1×1013atoms/cm3以上の窒素濃度を有する単結晶シリコンインゴットを用意する。酸素濃度の下限は特に限定されないが、(M)CZ法での実現性の観点から、酸素濃度は0.5×1017atoms/cm3以上であることが好ましい。窒素濃度の上限は特に限定されないが、窒化物の析出を防止して、単結晶の成長を確実に行う観点から、窒素濃度は1×1015atoms/cm3以下であることが好ましい。なお、窒素濃度を測定する方法として、二次イオン質量分析法(SIMS法)やフーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)等が挙げられる。また、シリコン融液に添加された窒素がシリコン単結晶の育成時にシリコン単結晶に取り込まれる偏析現象に基づいて、窒素の添加量と偏析係数から計算により求めることも可能である。
[試料の作製]
次に、実験例1で行ったように、単結晶シリコンインゴットから、当該単結晶シリコンインゴットの中心軸に垂直で、かつ、当該単結晶シリコンインゴットの直径を含む表面を有するウェーハ状試料を採取する。または、実験例2で行ったように、単結晶シリコンインゴットから、当該単結晶シリコンインゴットの中心軸及び直径を含む表面を有する縦割り試料を採取する。
[Cuデコレーション処理]
次に、ウェーハ状試料の表面又は縦割り試料の表面に対して、Cuデコレーション処理を施す。具体的には、ウェーハ状試料又は縦割り試料を、硝酸銅(II)水溶液に浸漬させ、その後、熱処理に供し、その後急冷する。硝酸銅(II)水溶液の濃度は特に限定されないが、0.1〜0.5mol/Lの範囲が好ましい。0.1mol/L以上であれば、検出感度を十分に確保することができ、0.5mol/L超えの場合、検出感度が飽和する。浸漬時間も特に限定されないが、1〜5分の範囲が好ましい。1分以上であれば、硝酸銅(II)水溶液を確実に試料の表面に均一に付着させることができ、5分超えの場合、浸漬時間による影響が飽和する。ウェーハの恒温熱処理時の雰囲気温度は、700〜800℃の範囲が好ましい。700℃以上であれば、ウェーハバルク内へのCu原子の拡散速度を十分に得ることができ、800℃超えの場合、拡散速度が飽和するからである。当該温度での保持時間(熱処理時間)は、5〜30分の範囲が好ましい。5分以上であれば、ウェーハバルク内へのCu原子の拡散が十分となり、30分超えの場合、不必要に保持時間を設けることになる。熱処理の雰囲気は特に限定されないが、熱処理炉の簡便性から空気とすることが好ましい。
[選択エッチング処理]
引き続き、ウェーハ状試料の表面又は縦割り試料の表面に対して、ライトエッチング処理又はセコエッチング処理による選択エッチングを施す。ライト液は、HF、HNO3、Cr23、Cu(NO32、CH3COOH及びH2Oを含有するエッチング液であり、例えば、HF=60cm3、HNO3=30cm3、Cr23=30cm3(5mol/リットル)、Cu(NO32=2.2g、CH3COOH=60cm3、H2O=60cm3の組成のエッチング液を用いることができる。セコ液は、HF、K2Cr27及びH2Oを含有するエッチング液であり、例えば、HF=100cm3、K2Cr27=50g(0.15mol/リットル)の組成のエッチング液を用いることができる。エッチング液の安定性の観点からは、ライトエッチングを行うことが好ましい。
エッチング処理の方法は特に限定されないが、ウェーハ状試料又は縦割り試料を上記エッチング液に浸漬させる方法を好適に用いることができる。また、エッチング処理の時間は特に限定されないが、2〜30分の範囲が好ましい。2分以上であれば、エッチング量を十分に確保してCu評価欠陥を十分に顕在化させることができ、30分超えの場合、選択エッチング効果が飽和する。
[試料の観察]
その後、ウェーハ状試料の表面又は縦割り試料の表面の表面を目視により観察して、当該表面における顕在化された欠陥(Cu評価欠陥)の有無と存在領域に基づいて、単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否を評価する。
第1の具体的な評価方法として、実験例1のように、ウェーハ状試料の結果を用いる方法が挙げられる。すなわち、ウェーハ状試料の表面にCu評価欠陥が存在しない場合と、ウェーハ状試料の表面の中心から所定の距離r1以下の中心領域内にのみCu評価欠陥が存在する場合に、当該ウェーハ状試料の酸化膜耐圧を良と評価し、ウェーハ状試料の表面の中心領域の外側にまでCu評価欠陥が存在する場合に、当該ウェーハ状試料の酸化膜耐圧を不良と評価することができる。
また、図2(A)を参照して、結晶長430mmの位置から採取した単結晶シリコンウェーハについては、その表面にCu評価欠陥が中心領域内にのみ存在するため、酸化膜耐圧は良好と評価され、結晶長600mm位置から採取した単結晶シリコンウェーハについては、その表面にCu評価欠陥が存在しないため、やはり酸化膜耐圧は良好と評価される。そして、その間の結晶長では、引上げ速度が漸減しているのみである。このような場合、結晶長が430〜600mmの範囲から採取した単結晶シリコンウェーハについては、結晶長430mmの結果と結晶長600mmの結果に基づいて、酸化膜耐圧が良好であると評価できる。すなわち、本発明の方法によって、あるブロックの両端から採取した2枚の試料状ウェーハの酸化膜耐圧が良好であると評価された場合、かつ、そのブロックを育成中の引上げ速度が一定又は単調に(すなわち漸減又は漸増に)変化している場合には、そのブロックから採取される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧は全て良好と評価できる。
第2の具体的な評価方法として、実験例2のように、縦割り試料の結果を用いる方法が挙げられる。すなわち、縦割り試料の表面における、単結晶シリコンインゴットの中心軸から直径方向にみて、Cu評価欠陥が存在しない第1の結晶長位置と、中心軸から直径方向に所定の距離r2以下の範囲内にのみCu評価欠陥が存在する第2の結晶長位置に関して、これら第1及び第2の結晶長位置から採取した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧を良と評価することができる。一方、縦割り試料の表面における、単結晶シリコンインゴットの中心軸から直径方向にみて、中心軸から直径方向に所定の距離r2以下の範囲の外側にまでCu評価欠陥が存在する第3の結晶長位置に関しては、当該第3の結晶長位置から採取した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧を不良と評価することができる。
なお、上記第1の評価方法における「距離r1」は、実験例1では0.6R(ただし、R:ウェーハ半径)であり、上記第2の評価方法における「距離r2」は、実験例2では0.5R(ただし、R:インゴット半径)であった。しかし、この距離r1及び距離r2は、引上げ速度V以外の育成条件、特に温度勾配Gに依存して変わり得るものである。ただし、温度勾配Gは、単結晶引き上げ装置の炉内の高温部分(ホット・ゾーン)の構造により定まるため、ある育成条件下では一定と見なすことができる。
そこで、ある育成条件下において予め実験例2のような引上げ速度を変更した試験を行って、図7に相当する情報を得ておけば、その育成条件下での距離r1及び距離r2を事前に求めることができる。具体的には、まず、引上げ条件のうち引上げ速度のみを変更しながら1本の予備試験用単結晶シリコンインゴットを製造する。その後、予備試験用単結晶シリコンインゴットから、当該予備試験用単結晶シリコンインゴットの中心軸及び直径を含む表面を有する予備試験用縦割り試料を採取する。その後、予備試験用縦割り試料の表面に対して、Cuデコレーション処理と、これに引き続くライトエッチング処理又はセコエッチング処理を施す。その後、予備試験用縦割り試料の表面を観察して、当該表面におけるCu評価欠陥の存在領域を把握する。それと並行して、予備試験用縦割り試料の表面における、単結晶シリコンインゴットの中心軸に沿って、LSTD検査によって欠陥密度を測定しておく。そして、欠陥密度の測定値が検出下限以下となる結晶長位置における、Cu評価欠陥の存在領域に基づいて、前記距離r1又は前記距離r2を決定することができる。
以上説明した本実施形態の単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法によれば、極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否を簡便にかつ精度良く評価することができる。
本発明の単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法によれば、極低酸素・窒素ドープ単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否を簡便にかつ精度良く評価することができる。
11 COP発生領域(V領域)
12 OSF領域
13 酸素析出促進領域(Pv領域)
14 酸素析出抑制領域(Pi領域)
15 転位クラスター領域(I領域)

Claims (4)

  1. 6×1017atoms/cm3以下の酸素濃度及び1×1013atoms/cm3以上の窒素濃度を有する単結晶シリコンインゴットを用意する工程と、
    前記単結晶シリコンインゴットから、当該単結晶シリコンインゴットの中心軸に垂直で、かつ、当該単結晶シリコンインゴットの直径を含む表面を有するウェーハ状試料を採取するか、又は、当該単結晶シリコンインゴットの中心軸及び直径を含む表面を有する縦割り試料を採取する工程と、
    前記ウェーハ状試料の表面又は前記縦割り試料の表面に対して、Cuデコレーション処理と、これに引き続くライトエッチング処理又はセコエッチング処理を施す工程と、
    その後、前記表面を観察して、前記表面における顕在化された欠陥の有無と存在領域に基づいて、前記単結晶シリコンインゴットから切り出される単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の良否を評価する工程と、
    を有することを特徴とする単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法。
  2. 前記ウェーハ状試料の表面に前記顕在化された欠陥が存在しない場合と、前記ウェーハ状試料の表面の中心から所定の距離r1以下の中心領域内にのみ前記顕在化された欠陥が存在する場合に、当該ウェーハ状試料の酸化膜耐圧を良と評価し、
    前記ウェーハ状試料の表面の前記中心領域の外側にまで前記顕在化された欠陥が存在する場合に、当該ウェーハ状試料の酸化膜耐圧を不良と評価する、
    請求項1に記載の単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法。
  3. 前記縦割り試料の表面における、前記単結晶シリコンインゴットの中心軸から直径方向にみて、前記顕在化された欠陥が存在しない第1の結晶長位置と、前記中心軸から直径方向に所定の距離r2以下の範囲内にのみ前記顕在化された欠陥が存在する第2の結晶長位置に関して、これら第1及び第2の結晶長位置から採取した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧を良と評価し、
    前記縦割り試料の表面における、前記単結晶シリコンインゴットの中心軸から直径方向にみて、前記中心軸から直径方向に所定の距離r2以下の範囲の外側にまで前記顕在化された欠陥が存在する第3の結晶長位置に関して、当該第3の結晶長位置から採取した単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧を不良と評価する、
    請求項1に記載の単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法。
  4. 引上げ条件のうち引上げ速度のみを変更しながら1本の予備試験用単結晶シリコンインゴットを製造する工程と、
    前記予備試験用単結晶シリコンインゴットから、当該予備試験用単結晶シリコンインゴットの中心軸及び直径を含む表面を有する予備試験用縦割り試料を採取する工程と、
    前記予備試験用縦割り試料の表面に対して、Cuデコレーション処理と、これに引き続くライトエッチング処理又はセコエッチング処理を施す工程と、
    その後、前記予備試験用縦割り試料の表面を観察して、当該表面における顕在化された欠陥の存在領域を把握する工程と、
    前記予備試験用縦割り試料の表面における、前記単結晶シリコンインゴットの中心軸に沿って、LSTD検査によって欠陥密度を測定する工程と、
    前記欠陥密度の測定値が検出下限以下となる結晶長位置における、前記顕在化された欠陥の存在領域に基づいて、前記距離r1又は前記距離r2を決定する工程と、
    を有する、請求項2又は3に記載の単結晶シリコンウェーハの酸化膜耐圧の評価方法。
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