JP2021090966A - 水処理システム及び水処理システムの改良方法 - Google Patents

水処理システム及び水処理システムの改良方法 Download PDF

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Abstract

【課題】システム全体の規模を大きくすることなく、低コストで汚泥の堆積防止が可能な、曝気装置を備える水処理システムを提供する。【解決手段】曝気槽の略全面に設けられた曝気装置を備える水処理システムであって、前記曝気装置は、曝気槽の幅方向の略全幅に曝気体を配した全幅曝気ユニットと、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとを組み合わせ、システム全体を大きくすることなく、曝気装置を設けた面の下にも水流が生じることで曝気槽底部を撹拌し、曝気槽底部への汚泥の堆積を防ぐ、水処理システムである。【選択図】図1

Description

本発明は、液体中に微細な気泡を分散させるための曝気装置を備える水処理システム及び曝気装置を配置する方法に関するものである。更に詳しくは、排水等を水処理するための曝気槽に用いる曝気装置を備える水処理システム及び水処理システムの改良方法に関するものである。
下水や汚水等の排水を処理する方法として、排水処理装置に曝気槽を設け、この曝気槽内に曝気装置を設置し、この曝気装置により空気を微細な気泡として排水中に分散する方法がある。曝気装置は、ブロワーにより供給された酸素等を微細な気泡に変えて曝気槽内に供給し、被処理水中の溶存酸素量を高めるものである。曝気装置には、全面曝気式、旋回流式などが知られている。
全面曝気式は、曝気槽全体に曝気されるため、曝気効率(処理効率)が高いという特徴があるが、曝気槽底部に汚泥が堆積しやすいという面がある。一方、旋回流式は、旋回流によって曝気槽底部の汚泥も撹拌されるため、全面曝気式と比べて曝気槽底部への汚泥の堆積という問題は少ないが、曝気効率が劣るという面がある。
例えば、特許文献1には、曝気効率の向上及び曝気槽底部の汚泥の撹拌を目的とした全面曝気式及び旋回流式の曝気装置を備える水処理システムが記載されている。
特許文献1には、水処理システムの具体例として、仕切り壁を設けた曝気槽内の一方側の中段に第1の曝気装置及び第1の制御装置を備え、更に曝気槽内の底部に第2の曝気装置及び第2の制御装置を備えることが記載されており、中段に設けられた第1の曝気装置が旋回流式、底部に設けられた第2の曝気装置が全面曝気式であることが記載されている。
また、特許文献1には、曝気装置を備えた既存の水処理システムに、更に曝気装置を加えて配置することで、曝気効率を上げることも記載されている。
特開平9−276891号公報
特許文献1に記載の水処理システムは、曝気槽内に設置高さの異なる複数の曝気装置を設け、更に曝気装置ごとに制御装置を付設し、制御するようになっているため、水処理システム全体として規模が大きく、設置コストや維持コストが掛かるものである。
そこで、本発明は、全面曝気式の曝気装置を備える水処理装置において、簡素な構造物で、曝気槽内の撹拌効率を向上することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、全面曝気式の曝気装置を備える水処理システムにおいて、曝気による下降流の一部が曝気装置の下側へ通過するように曝気装置を配置することにより、異なる高さに複数の曝気装置を設けることなく曝気装置の下側にまで流れが生じ、曝気槽内の撹拌効率が上がることを見出して本発明の水処理システムを完成させた。
また、既設の全面曝気式の曝気装置を備える水処理システムに対して、一部下降流が曝気装置の下側へ通過するように曝気装置を配置する方法を適用することにより、曝気装置の下側にまで流れが生じ、曝気槽内の撹拌効率を上げることが可能となることを見出して本発明の水処理システムの改良方法を完成させた。
具体的には、本発明は、以下の曝気装置を備える水処理システム及び水処理システムの改良方法である。
上記課題を解決するための本発明の水処理システムは、曝気槽の略全面に曝気装置を備える水処理システムであって、前記曝気装置は、曝気槽の幅方向の略全幅に曝気体を配した全幅曝気ユニットと、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとを組み合わせてなることを特徴とするものである。
本発明の水処理システムによれば、部分曝気ユニットが設置された領域に下降流が通過する下降流スペースが形成される。この下降流スペースによって、システム全体を大きくすることなく、かつ全面曝気式曝気装置の曝気効率を下げることなく、曝気装置を設けた面の下にも水流を発生することができる。この結果、曝気槽底部の撹拌が可能となり、曝気槽底部への汚泥の堆積を防ぐ効果を奏する。
更に、本発明の水処理システムの一形態としては、前記部分曝気ユニットは、曝気槽の幅方向中心側に偏在して配した複数の曝気体からなり、前記曝気装置は、前記全幅曝気ユニットと前記部分曝気ユニットとを交互に配置することを特徴とするものである。
この特徴によれば、曝気槽内に一定間隔で下降流スペースが設けられることになるため、曝気槽底部において良好な撹拌状態が形成される。
また、上記課題を解決するための本発明の水処理システムの改良方法は、曝気槽の略全面に曝気装置を備える既設の水処理システムの改良方法であって、曝気槽の幅方向の略全幅に曝気体を配した全幅曝気ユニットから曝気体を取り外し、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとすることを特徴とするものである。
また、上記課題を解決するための本発明の水処理システムの改良方法は、曝気槽の略全面に曝気装置を備える既設の水処理システムの改良方法であって、曝気槽の幅方向の略全幅に曝気体を配した全幅曝気ユニットにおいて、一部の曝気体への送気を停止して、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとすることを特徴とするものである。
これらの本発明の水処理システムの改良方法によれば、既設の全面曝気式曝気装置に対して、他の付設設備を設けることなく、かつ曝気効率を下げることなく、曝気装置を設けた面の下にも水流が生じるような曝気装置の配置が可能となる。この結果、曝気槽底部の撹拌を可能とし、曝気槽底部への汚泥の堆積を防ぐ効果を奏する。
本発明の水処理システムによれば、曝気装置を設けた面に曝気による下降流が通過する下降流スペースが形成されることで、システム全体を大きくすることなく、かつ全面曝気式曝気装置の曝気効率を下げることなく、曝気装置を設けた面の下にも水流が生じる。この結果、曝気槽底部の撹拌を可能とし、曝気槽底部への汚泥の堆積を防ぐ効果を奏する。
また、本発明の水処理システムの改良方法によれば、既設の全面曝気式曝気装置に対して、他の付設設備を設けることなく、かつ曝気効率を下げることなく、曝気装置を設けた面の下にも水流が生じるような曝気装置の配置が可能となる。この結果、曝気槽底部の撹拌を可能とし、曝気槽底部への汚泥の堆積を防ぐ効果を奏する。
本発明の第1の実施形態の水処理システムの構成を示す概略説明図である。(a)本発明の第1の実施形態の水処理システムの全体概略斜視図である。(b)本発明の第1の実施形態の水処理システムの平面図である。(c)本発明の第1の実施形態の水処理システムの側面図である。(図1b中のI−I矢視図) 本発明の第2の実施形態の水処理システムの構成を示す概略説明図である。(a)本発明の第2の実施形態の水処理システムの平面図である。(b)本発明の第2の実施形態の水処理システムの側面図である。(図2a中のII−II矢視図) 本発明の第3の実施形態の水処理システムの構成を示す概略説明図である。(a)本発明の第3の実施形態の水処理システムの平面図である。(b)本発明の第3の実施形態の水処理システムの側面図である。(図3a中のIII−III矢視図) 底部流速シミュレーションの結果を示した図である。(a)本発明の第2の実施形態の水処理システムにおける結果を示した図である。(b)従来の全面曝気式の水処理システムにおける結果を示した図である。 本発明の第2の実施形態の水処理システムと、全面曝気式の曝気装置を備えた従来の水処理システムにおける底部平均流速の比較したグラフである。
本発明の水処理システムは、液体中に微細な気泡を分散させるための曝気装置を有する排水処理装置等に利用するものである。好ましくは、排水等を活性汚泥により生物学的水処理するための曝気槽に用いる曝気装置を備える水処理システムに利用される。
本発明の水処理システムは、曝気槽の略全面に曝気装置を備える水処理システムであって、前記曝気装置は、曝気槽の幅方向の略全幅に曝気体を配した全幅曝気ユニットと、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとを組み合わせてなることを特徴とする。
以下、本発明の実施形態を、添付画面を参照して詳細に説明する。なお、この実施形態は、本発明を限定するものではない。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態の水処理システムの構成を示す概略説明図である。(a)本発明の第1の実施形態の水処理システムの全体概略斜視図である。(b)本発明の第1の実施形態の水処理システムの平面図である。(c)本発明の第1の実施形態の水処理システムの側面図である。(図1b中のI−I矢視図)
図1に示すように、本実施形態の水処理システム10は、例えば活性汚泥を用いた水処理施設の曝気槽2内に曝気装置1aが設置され、曝気装置1aは曝気槽2内の処理水W(処理対象水と活性汚泥との混合液)に浸漬するとともに、ブロワーBに接続された複数の曝気体3からなる曝気ユニットAUを有し、これらの曝気ユニットAUにブロワーBから空気が供給されることにより、曝気ユニットAUから処理水W中に気泡を発生させて曝気を行う。
曝気装置1aの曝気ユニットAUは、曝気槽2内で曝気槽2の幅方向(図1bの上下方向;以下、単に「幅方向」という)の略全幅に曝気体3を並設した全幅曝気ユニット4と、幅方向の部分的に曝気体3を配した部分曝気ユニット5aからなるものである。この全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5aは、曝気槽2の長さ方向(図1bの左右方向;以下、単に「長さ方向」という)に沿って、それぞれ複数並設置されている。
(曝気槽)
曝気槽2は、略直方体状の槽に上部ハンチHu及び下部ハンチHsを有しており、外部には曝気装置1aに酸素を含む空気を供給するブロワーBを備えている。また、曝気槽2内部には、曝気槽2の底部の略全面に曝気装置1aが設けられている。曝気槽2の深さ方向における曝気装置1aの位置は、特に制限されないが、通常、曝気槽2の底部近傍に設置される。ブロワーBの吐出圧力の制約や既設施設とのバランスを考慮して、曝気装置1aを比較的高い位置に設置してもよい。
(曝気ユニット)
曝気ユニットAUは、曝気槽2の幅方向に配設した複数の曝気体3と、曝気体3上で幅方向に延在し曝気体3の内部同士を気密に連通させる空気供給管であるヘッダ管7とを有している。また、ブロワーBからの空気は、送気管8を通じてヘッダ管7に供給されている。
図1a及び図1bに示されるように、曝気ユニットAUは、曝気体3が幅方向の全幅に対して配置され、長さ方向の中心軸CLに対して線対称かつ等間隔に並設される全幅曝気ユニット4と、曝気体3が幅方向片側に偏在して並設される部分曝気ユニット5a、部分曝気ユニット5aと曝気体3の偏在方向を逆にした部分曝気ユニット5a’とがある。この全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5aを曝気槽2の長さ方向に沿って並設する。なお、第1の実施形態では、全幅曝気ユニットの配置は、中心軸CLに対して線対称かつ等間隔に並設しているが、全幅曝気ユニットの配置は、略全幅に配置されていればよい。例えば、中心軸CLに対して線対称でなくてもよく、また、等間隔に並設しなくてもよい。
この構成により、曝気装置1aの配置平面に、曝気が行われない下降流スペース6が形成される。図1cに示すように、曝気の際に、曝気による上昇流が水面まで到達し、下降流となって曝気装置1aまで戻って来た際に、この下降流スペース6を通じて、曝気装置1aの下側にも水流が生じ、曝気槽2の底部の撹拌が可能となる。
全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5aの数の比率は、特に制限されず、全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5aの数を同数としてもよいし、異数としてもよい。曝気量を確保するという観点から、部分曝気ユニット5aの数より全幅曝気ユニット4の数を多く設置することが好ましい。
また、全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5aの配置は、特に制限されず、交互に配列してもよいし、ランダムに配列してもよい。
部分曝気ユニットにおける曝気体の位置は、特に制限されず、例えば、曝気槽2の幅方向の片側に偏在してもよいし、幅方向中心側に偏在してもよいし、幅方向の両方の外側に偏在してもよい。
なお、第1の実施形態における部分曝気ユニット5a、5a’は、ヘッダ管7の長さが全幅曝気ユニット4よりも短くすることにより、下降流スペース6を形成する構成であるが、部分曝気ユニットは、全幅曝気ユニットの一部の曝気体3の散気孔を塞ぐことにより構成してもよい。
また、本発明の本質は、曝気槽の略全面に配置した曝気装置の一部の領域において曝気を止め、下降流スペースを形成することである。全幅曝気ユニットおよび部分曝気ユニットが一体として構成されていてもよい。例えば、曝気槽の長さ方向に延伸した曝気体を用いて、所定の間隔で散気孔を塞ぐことにより下降流スペースを形成してもよい。
曝気装置1aを平面視した際の下降流スペース6の位置は、特に制限されず、ランダムに配置されても、規則的に配置されてもよい。良好な下降流を形成するという観点から、下降流スペースは規則的に配置されることが好ましく、曝気槽2の幅方向の両側に規則的に配置されることがより好ましい。なお、「規則的」とは、曝気槽2の長さ方向に対して、繰り返し構造を有するものを意味する。
また、下降流スペース6の大きさは、特に制限されないが、曝気槽の幅方向の長さに対する下降流スペースの幅方向の長さが、好ましくは2/3以下であり、より好ましくは1/3以下である。なお、「下降流スペースの幅方向の長さ」とは、図1(b)の両方向矢印Pに示すように、曝気装置のない領域の幅方向の長さを示し、一つの部分曝気ユニットにおいて下降流スペースが複数ある場合(例えば図3の「部分曝気ユニット5b)には、その合計とする。また、曝気槽の長さ方向に下降流スペースが複数存在する場合には、上記「曝気槽の幅方向の長さに対する下降流スペースの幅方向の長さ」は、その平均値で表す。
また、曝気槽の長さ方向のおける曝気装置全体の長さに対する一又は複数の下降流スペースの長さの合計は、好ましくは1/3以下である。なお、この曝気槽の長さ方向における「下降流スペースの長さ」は、図1(b)の両方向矢印Qに示すように、曝気装置のない領域の長さを示す。
(曝気体)
本発明の曝気体3は、空気を通過する微細な散気孔を有するメンブレンが巻かれた管状部材からなる曝気管であり、「メンブレンパイプ式超微細気泡式散気管」とも呼ばれるものである。曝気体3は、多孔質の合成樹脂又はセラミックからなる散気筒や多数のスリットを設けたフレキシブルチューブのような管状部材からなる曝気管であってもよい。また、曝気体3は、角型、丸型などの板状部材からなる曝気板であってもよい。
〔第2の実施形態〕
図2は、本発明の第2の実施形態の水処理システムを示す概略説明図である。図2(a)は、本発明の第2の実施形態の水処理システムの平面図であり、図2(b)は、本発明の第2の実施形態の水処理システムの側面図である。(図2a中のII−II矢視図)
第2の実施形態の曝気装置1bでは、第1の実施形態の部分曝気ユニット5aに代えて、曝気体3が幅方向中心側に偏在して並設される部分曝気ユニット5bとしたものである。曝気装置1bは、全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5bを曝気槽2の長さ方向に対して交互に延在するように配置されている。
図2aに示されるように、全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5bにより形成される下降流スペース6が規則的に曝気装置1bの配置面に設けられることになる。この曝気装置1bによれば、曝気装置1bの配置面の下側に一定間隔で水流が発生することになり、定常的に曝気槽2底部の撹拌が可能となる。
〔第3の実施形態〕
図3は、本発明の第3の実施形態の水処理システムを示す概略説明図である。図3(a)は、本発明の第3の実施形態の水処理システムの平面図であり、図3(b)は、本発明の第3の実施形態の水処理システムの側面図である。(図3a中のIII−III矢視図)
第3の実施形態の曝気装置1cでは、第2の実施形態の全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5bに加えて、曝気体3が幅方向曝気槽壁面の両側に偏在して並設される部分曝気ユニット5cを備えるものである。曝気装置1cは、全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5b、5cを曝気槽2の長さ方向に対して延在するように配置されている。なお、図3aでは、全幅曝気ユニット4、部分曝気ユニット5b、全幅曝気ユニット4、部分曝気ユニット5c、全幅曝気ユニット4となるように配置している。
図3aに示されるように、全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5b、5cにより形成される下降流スペース6が曝気槽2の長さ方向中心軸CL側と曝気槽2の壁面の両側に設けられることになる。この曝気装置1cによれば、曝気槽2の長さ方向中心軸CL側からの下降流及び壁面側からの下降流が曝気装置1cの下側に誘導され、曝気槽2底部の撹拌を可能とする。
[水処理システムの改良方法]
本発明の水処理システムの改良方法は、曝気槽の略全面に曝気装置を備える既設の水処理システムにおいて、曝気槽の幅方向の略全面に曝気体を配した既設の全幅曝気ユニットのうちの一部を、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとなるようにして、曝気装置の配置面において曝気による下降流が通過する下降流スペースが形成されるようにすればよい。
具体的には、曝気体が幅方向に均等配置された既設の曝気装置において、上記下降流スペースが形成されるように、曝気体の一部を取り外したり、一部の曝気を停止したりするようにすればよい。
この水処理システムの改良方法により、全面曝気式の曝気装置を備えた既設の水処理システムにおいて、新たな付設装置を設けることなく、かつ既設の曝気装置の全てを交換する必要がなく、曝気槽底部の十分な撹拌が可能な曝気装置を備えた水処理システムとすることができる。
<曝気装置の底部流速シミュレーション>
本発明の水処理システムについて底部流速シミュレーションを行った。曝気ユニットAUの配置は、上記第2の実施形態に倣い、曝気ユニットAUを構成する曝気体3を10本としてシミュレーションを行った。その結果を図4aに示す。
なお、図4bは、曝気体を均等配置した従来の全面曝気式の曝気装置における底部流速シミュレーションの結果である。このシミュレーションにおいて、図4a及び図4bの曝気体の数は同一としている。
シミュレーションはANSYS社の汎用流体シミュレーション用ソフト「フルーエント」を用いて行った。図4で示した計算結果は曝気槽幅が5.5m、槽長が8.6m、槽水深が5.0m、曝気装置設置水深が4.0mに対して実施した結果であるが、あくまでも一例であり、槽形状、曝気装置設置水深、曝気装置レイアウト等を限定するものではない。
図4aから、本発明の水処理システムでは、曝気槽2底部において、曝気槽2の壁面側にある下降流スペース6の下側から曝気槽2の長さ方向中心軸CLに向かって一定方向の流れが形成されていることがわかる。一方、図4bから、従来の曝気装置においては曝気槽2底部の流れは一定の方向にはなっていないことがわかる。
図5には、本発明の第2の実施形態の水処理システムと、全面曝気式の曝気装置を備えた従来の水処理システムにおける底部平均流速の比較したグラフを示した。
底部流速の平均値を比較すると、本発明の曝気装置における底部平均流速は、従来の全面曝気式の曝気装置における底部平均流速よりも2.2倍速くなった。
図4、5の結果から、複数の曝気体からなる曝気ユニットを備える全面曝気式の曝気装置において、曝気による下降流が通過する下降流スペースを設けることにより、曝気槽の底部に十分な速さの一定方向の流れが生じ、曝気槽内の効果的な撹拌が可能となる。
本発明の水処理システムは、下水処理場等の有機性汚泥や、食品工場や医薬品工場等の有機性排水の好気性微生物処理槽及びその処理方法に使用することができる。
本発明の水処理システムの改良方法は、既設の曝気装置を利用して本発明の水処理システムを導入することができる方法を提供することができる。
1a、1b、1c 曝気装置、2 曝気槽、3 曝気体、4 全幅曝気ユニット、5a、5a’、5b、5c 部分曝気ユニット、6 下降流スペース、7 ヘッダ管、8 送気管、10 水処理システム、AU 曝気ユニット、Hu 上部ハンチ、Hs 下部ハンチ、B ブロワー、W 処理水

Claims (4)

  1. 曝気槽の略全面に曝気装置を備える水処理システムであって、前記曝気装置は、曝気槽の幅方向の略全幅に曝気体を配した全幅曝気ユニットと、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとを組み合わせてなることを特徴とする、水処理システム。
  2. 前記部分曝気ユニットは、曝気槽の幅方向中心側に偏在して配した複数の曝気体からなり、前記曝気装置は、前記全幅曝気ユニットと前記部分曝気ユニットとを交互に配置することを特徴とする、請求項1に記載の水処理システム。
  3. 曝気槽の略全面に曝気装置を備える既設の水処理システムの改良方法であって、曝気槽の幅方向の略全幅に曝気体を配した全幅曝気ユニットから曝気体を取り外し、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとすることを特徴とする、水処理システムの改良方法。
  4. 曝気槽の略全面に曝気装置を備える既設の水処理システムの改良方法であって、曝気槽の幅方向の略全幅に曝気体を配した全幅曝気ユニットにおいて、一部の曝気体への送気を停止して、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとすることを特徴とする、水処理システムの改良方法。
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