JP6938876B2 - 生物処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有機性排水の好気性生物処理装置に関する。
好気性生物処理は安価であるため有機性廃水の処理法として多用されている。本方法では、被処理水への酸素の溶解が必要であり、通常は散気管による曝気が行われている。
散気管による曝気は溶解効率が5−20%程度と低い。また、散気管の設置される水深にかかる水圧以上の圧力で曝気することが必要であり、高圧で多量の空気を送風するため、ブロアの電力費が問題であった。通常は、好気性生物処理における電力費の2/3以上が酸素溶解のために使用されている。
深層曝気槽は、装置の必要面積を小さくでき、さらに酸素の溶解効率が高いことから敷地面積が小さい工場や都市部の生物処理装置として多用されてきた。しかし、水深が5m以上、例えば10m程度の生物処理用深層曝気槽は、最底部から曝気する場合、高圧ブロアが必要でブロアの効率が悪く、電力コストが高くなるという欠点がある。また、汎用の中圧ブロアを使って曝気槽の中間部から曝気し、旋回流によって槽全体を撹拌、混合する場合もある。しかし、この方法では全面曝気に比べて酸素の溶解効率が低く、より電力コストが高くなる。
高圧ブロアを使う方式では、高圧ブロアの効率が悪いため電力コストが高い。また、汎用ブロアの旋回流方式では酸素の溶解効率が低いため電力消費量が多い。
メンブレンエアレーションバイオリアクター(MABR)は、気泡の発生なしで酸素溶解できる。MABRでは、水深にかかる水圧よりも低い圧力の空気を通気すればよいため、ブロアの必要圧力が低く、また、酸素の溶解効率が高い。しかし、MABRは、気泡が発生しないため液の混合撹拌が困難であり、その結果、微生物と基質との接触が悪くなる為、処理効率が低下する。
これを改善するため、通常は間欠的(例えば10〜30分に1〜5分)に曝気して液を混合、撹拌して微生物と基質を接触させている。しかし、曝気するために大きなブロアが必要である。また、ブロアの撹拌効率が低いため、電力消費量が多くなる。
特開平11−162号公報
本発明は、低電力消費で反応槽に多量の酸素を溶解させることができ、また、排水と微生物の接触効率が良好である生物処理装置を提供することを目的とする。
本発明の生物処理装置は、反応槽と、該反応槽内に上下多段に設置された複数個の酸素透過膜モジュールと、該酸素透過膜モジュールに酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、を備え、酸素透過膜モジュールは、非多孔性の酸素透過膜を備えており、該膜は供給された酸素含有ガス中の酸素を槽内に透過させると共に、槽内において気泡を発生させないことを特徴とするものである。
本発明の一態様の生物処理装置では、前記酸素透過膜モジュールは、前記反応槽内に上下方向に2〜8段設置されている。
本発明の一態様の生物処理装置では、前記反応槽が6m以上の水深を有する。
本発明の一態様の生物処理装置では、前記酸素透過膜モジュールは、前記膜の少なくとも一部が、6m以上の水深となるように槽内に設置されている。
本発明の一態様の生物処理装置では、上下方向に配列された下段側の前記酸素透過膜モジュールから流出した酸素含有ガスを上段側の酸素透過膜モジュールに流入させるように構成されている生物処理装置であって、最下段の酸素透過膜モジュールにあっては、酸素含有ガスが上部に供給され、下部から流出する。
本発明の一態様の生物処理装置では、最下段よりも上側の前記酸素透過膜モジュールにあっては、下段側の酸素透過膜モジュールからの酸素含有ガスが該酸素透過膜モジュールの上部に供給されると共に、該酸素透過膜モジュールの下部から流出する。
本発明の一態様の生物処理装置では、上下方向に複数個配置された前記酸素透過膜モジュールに対し共通の配管からそれぞれ酸素含有ガスが供給され、各酸素含有ガスから流出したガスが共通の排気用配管を介して排出される。
本発明の生物処理装置は、上下多段に配置された複数個の酸素透過膜モジュールを備えているので、酸素は膜透過により水中に効率よく溶解する。本発明では、酸素含有ガスを水中に吹き込む場合に比べ、ブロア圧力を低くすることができる。
実施の形態に係る生物処理装置の縦断面図である。 (a)は酸素供給透過膜モジュールの側面図、(b)は酸素供給透過膜モジュールの斜視図である。 中空糸膜モジュールの斜視図である。 実施の形態に係る生物処理装置の縦断面図である。 中空糸膜の配列を説明する斜視図である。 中空糸膜の配列を説明する斜視図である。 中空糸膜モジュールの分解斜視図である。 中空糸膜モジュールの斜視図である。 (a)は中空糸膜モジュールにおける中空糸膜の配列を示す側面図、(b)はその平面図である。 中空糸膜モジュールの側面図である。 中空糸膜モジュールの側面図である。 酸素溶解効率を示すグラフである。 総括酸素移動係数を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の生物処理装置は、下水、紙パルプ、化学、食品、自動車製造工程等の有機性排水を処理するのに好適な好気性生物処理装置であり、深槽型の反応槽内に酸素透過膜モジュールを配置している。図1(a)〜(d)はそれぞれ本発明の一例に係る生物処理装置1A〜1Dを示す縦断面図である。各生物処理装置1A〜1Dは、反応槽3内に上下多段に配置された複数個の酸素透過膜モジュール2を備えている。この実施の形態では、酸素透過膜モジュール2は3段に設置されているが、酸素透過膜モジュール2は2〜8段に特に2〜4段に設置されることが好ましい。
反応槽3は好ましくは6m以上、例えば6〜100m特に10〜20mの水深を有する。酸素透過膜モジュール2の少なくとも一部、特に酸素透過膜モジュール2の上端が、6m以上、例えば10〜20mの水深となるように設置されていることが好ましい。また、複数個設けられている場合には、少なくとも一つの酸素透過膜モジュール2の上端が、6m以上、例えば10〜20mの水深となるように設置されていることが好ましい。
生物処理装置1A〜1Dにあっては、原水は反応槽3の上部に供給され、処理水が反応槽3の下部から取り出されてもよく、原水が反応槽3の下部に供給され、反応槽3の上部から処理水が取り出されてもよい。原水をディストリビュータによって反応槽3の下部に供給してもよく、このようにすると、プラグフローの上昇流が形成され易くなる。
酸素透過膜モジュール2は、非多孔質の酸素透過膜を備えており、膜を透過した酸素が反応槽3内の被処理水に溶解するので、反応槽3内において気泡が生じない。
図1(a)では、ブロアBからの空気等の酸素含有ガスは、配管4によって最下段の酸素透過膜モジュール2cの上部に供給され、酸素透過膜モジュール2cの下部から流出し、配管5を介して上から2段目の酸素透過膜モジュール2bの上部に供給され、酸素透過膜モジュール2bの下部から流出し、配管6を介して最上段の酸素透過膜モジュール2aの上部に供給される。酸素透過膜モジュール2bの下部から流出したガスは、配管7を介して排出される。
図1(b)の生物処理装置にあっては、ブロアBからの酸素含有ガスは、配管4によって最下段の酸素透過膜モジュール2cの上部に供給され、その下部から流出し、下から2段目の酸素透過膜モジュール2bの下部に供給され、その上部から流出し、次いで最上段の酸素透過膜モジュール2aの下部に供給され、その上部から配管7を介して排出される。
図1(c)の生物処理装置にあっては、ブロアBからの酸素含有ガスは、配管4によって最下段の酸素透過膜モジュール2cの下部に供給され、その上部から流出し、下から2段目の酸素透過膜モジュール2bの下部に供給され、その上部から流出し、次いで最上段の酸素透過膜モジュール2aの下部に供給され、その上部から配管7を介して排出される。
図1(d)の生物処理装置にあっては、酸素含有ガスは、各酸素透過膜モジュール2a〜2cに並列に流れる。即ち、ブロアBからの酸素含有ガスは、配管4によって各酸素透過膜モジュール2a,2b,2cの上部に供給され、各々の下部から流出し、配管7を介して排出される。
図1(a),(b)のように、酸素含有ガスが最下段の酸素透過膜モジュール2cの上部に供給され、該酸素透過膜モジュール2cの下部から流出し、その後、上側の酸素透過膜モジュール2b,2aに順次流れるように構成した生物処理装置にあっては、酸素透過膜モジュール内の凝縮水が抜け易い。
図1(c)のように、酸素含有ガスが酸素透過膜モジュール2a〜2c内を上向きに流れるように構成した場合、酸素透過膜モジュール内の凝縮水が蒸発し易いものとなる。特に、酸素含有ガスとして乾燥度の高いガスを流すことにより、凝縮水が蒸発し易くなる。
図1(a)〜(c)のように、酸素含有ガスを最下段の酸素透過膜モジュール2cから順次に上段側の酸素透過膜モジュール2b,2aに流通させるようにした生物処理装置において、反応槽3内の被処理水の流れを上向流のプラグフローとすることにより、BOD濃度の高い原水側の被処理水ほど多くの酸素が供給されるので、負荷に応じた酸素供給量とすることができる。
図1(d)のように、各酸素透過膜モジュール2a〜2cに並列に酸素含有ガスを流通させる場合、酸素含有ガスの圧力損失が少なく、省エネルギーとなる。なお、図1(d)において、原水側に配置される酸素透過膜モジュールほど(例えば、被処理水を上向流とする場合、下段側の酸素透過膜モジュールほど)酸素含有ガス流通量を多くするようにすることにより、負荷に応じた酸素供給量とすることができる。
図1(a)〜(d)のいずれにおいても、被処理水の流れ方向において下流側の酸素透過膜モジュールほど、膜面積を小さくするか、又は膜の充填密度を低くするようにしてもよい。
酸素透過膜モジュール2の酸素透過膜は、中空糸膜、平膜、スパイラル膜のいずれでもよいが、中空糸膜が好ましい。膜の材質は通常MABRに使用される、シリコン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリウレタン等が使用できるが、シリコンが好適である。強度が高い、ノンポーラスポリマーでポーラス中空糸をコーティングしたコンポジット膜を用いてもよい。
中空糸膜は、好ましくは内径0.05〜4mm特に0.2〜1mm、厚み0.01〜0.2mm特に0.02〜0.1mmである。内径がこれより小さいと通気圧力損失が大きく、大きいと表面積が小さくなって酸素の溶解速度が低下する。厚みが上記範囲より小さいと物理的な強度が小さくなり、破断しやすくなる。逆に、厚みが上記範囲よりも大きいと、酸素透過抵抗が大きくなって酸素溶解効率が低下する。
中空糸膜の長さは0.5〜3m程度、特に1〜2m程度が好ましい。中空糸膜が長すぎると、生物膜が多量に付着した場合、破断したり、団子状に固まって表面積が小さくなり、酸素溶解効率が低下する、圧力損失が大きくなる等の問題が起こる。中空糸膜が過度に短いと、コストが高くなる。平膜、スパイラル膜の長さも同様の理由で0.5〜1.5mが好ましい。
図2は、酸素透過膜モジュール2の一例を示している。この酸素透過膜モジュール2は酸素透過膜として中空糸膜12を用いたものである。この実施の形態では、中空糸膜12は上下方向に配列されており、各中空糸膜12の上端は上部ヘッダー10に連なり、下端は下部ヘッダー11に連なっている。中空糸膜12の内部は、それぞれ上部ヘッダー10及び下部ヘッダー11内に連通している。各ヘッダー10,11は中空管状であり、略水平方向に平行に複数本配列されている。なお、平膜やスパイラル膜を用いる場合にも、上下方向に配列される。
各ヘッダー10の一端又は両端がマニホルド13に連結され、各ヘッダー11の一端又は両端がマニホルド14に連結されていることが好ましい。酸素透過膜モジュール2の上部に酸素含有ガスを供給し、酸素透過膜モジュール2の下部から排出する場合は、酸素含有ガスは上部ヘッダー10から中空糸膜12を通って下部ヘッダー11へ流れ、この間に酸素が中空糸膜12を透過して反応槽3内の水に溶解する。逆に、酸素透過膜モジュール2の下部に酸素含有ガスを供給し、上部から排出する場合は、下部ヘッダー11に酸素含有ガスが供給され、中空糸膜12を通って上部ヘッダー10から排出される。
図3は、フレーム15内に配置された酸素透過膜モジュール2の一例を示す正面図である。このフレーム15は、4隅にそれぞれ立設された4本の柱15aと、各柱15aの上端同士の間に架設された上梁15bと、各柱15bの下部同士の間に架設された下梁15cと、各柱15aの下端面に取り付けられた底座プレート15dとを有する。酸素透過膜モジュール2のマニホルド13,14をフレーム15に保持させることにより、酸素透過膜モジュール2がフレーム15内に設置される。
このフレーム15を備えた酸素透過膜モジュール2は、反応槽3内に上下多段に設置することが容易である。即ち、下側の酸素透過膜モジュール2のフレーム15の上に、上側の酸素透過膜モジュール2の底座プレート15dを載せるようにして上側の酸素透過膜モジュール2を配置することができる。
本発明の一態様では、中空糸膜が上下方向に配列された中空糸膜モジュールを高さ1〜2m程度の高さの低い膜モジュールとし、これを2段以上、好ましくは4段以上に積層する。
このように中空糸膜の長さを短くし、高さを低くした中空糸膜モジュールを多段に積層することにより、低い圧力で酸素を溶解させることができる。
中空糸膜に送風する酸素含有ガスの圧力は、中空糸膜の圧力損失よりわずかに高い程度、例えば5〜20%程度高い圧力がコスト面から好適である。
中空糸膜に供給する圧力は水深と無関係に決めてよい。通常の散気装置は水深以上の圧力が必要であることから、本発明は反応槽の水深が深いほど有利である。
なお、上下方向のモジュールの配管接続によって、膜内の凝縮水や生物槽から膜内に溶解してくる炭酸ガスの影響が異なる。そのため、圧損、凝縮水、炭酸ガスを考慮した配管接続構造とすることが好ましい。
本発明では、図4のように、反応槽3内に上下方向の仕切り20を設置し、反応槽3内に下降流部21と上向流部22とを設け、下降流部21及び上向流部22内にそれぞれ酸素透過膜モジュールを設置してもよい。図4では、下降流部21及び上向流部22にそれぞれ酸素透過膜モジュール2a〜2c,2d〜2fを3段に設置しているが、設置段数はこれに限定されない。
ブロアBからの酸素含有ガスを配管4,4a,4bを介して下降流部21内の最上段の酸素透過膜モジュール2aから順次に酸素透過膜モジュール2b,2cに流通させ、酸素透過膜モジュール2cの流出ガスを配管4cを介して上向流部22内の最下段の酸素透過膜モジュール2dに供給する。そして、配管4d,4eを介して順次に酸素透過膜モジュール2e,2fに流通させ、最上段の酸素透過膜モジュール2fの流出ガスを配管7から排出する。原水は、下降流部21の上部に供給され、下降流部21内を下降し、仕切り20の下端を回り込んで上向流部22内を上昇し、上向流部22の上部から処理水が取り出される。
図4では、下降流部21及び上向流部22内の酸素透過膜モジュール2a〜2fを直列に接続し、1台のブロアBによって酸素含有ガスを酸素透過膜モジュール2a〜2fに流通させるようにしているが、下降流部21の酸素透過膜モジュール2a〜2cと上向流部22の酸素透過膜モジュール2d〜2fとに別々のブロアから酸素含有ガスを流通させるようにしてもよい。
図4では、仕切り20の下端を反応槽3の底面よりも上位とし、仕切り20の上端を反応槽3内の水面から上方に突出させているが、逆に、仕切り20の下端を反応槽3の底面に当接させ、仕切り20の上端を反応槽3の水面位よりも下位としてもよい。
この場合、原水は上向流部の下部に供給され、上向流部内を上昇した後、仕切りの上側を回り込んで下降流部内に流入し、下降流部内を下降して下降流部の下部から処理水が取り出される。
図示は省略するが、反応槽3内に複数の上向流部と下降流部とを設け、原水が下降流部→上向流部→下降流部→上向流部又は上向流部→下降流部→上向流部→下降流部のように流れるようにし、流路長を長くしてもよい。
本発明では、原水を上向流、または下向流で通水し、プラグフローとすることが好ましい。プラグフローの流れを利用して液と生物を接触させることにより、効率的な生物処理が可能となる。原水をディストリビュータを通して供給するとプラグフローが容易に形成される。
通常の好気性生物処理では、曝気するため、上向流、もしくは下向流のプラグフローを形成することはできなかった。しかし、MABRにおいては気泡が発生しないため、上下の液の乱れがなく、上向流、または下向流のプラグフローが容易に形成される。
反応槽3内の被処理水のLVは、原水のBOD濃度によらず、4m/hr以上例えば4〜40m/hrが好ましく、8m/hr以上になれば十分な基質と微生物の混合が行われる。
上記実施の形態では、図2,3のように、中空糸膜12を上下方向とし、原水(被処理水)が中空糸膜12に沿って上下方向に流れるものとしているが、少なくとも一部の酸素透過膜モジュールとして、図5のように水平なX方向に配列された中空糸膜12aと、これと直交する水平なY方向に配列された中空糸膜12bとを有する酸素透過膜モジュールを用いてもよい。この場合、中空糸膜12a,12bの上面側にスラッジ等が堆積することを防止するために、原水は上向流にて通水されることが好ましい。
図6は、かかるX,Y方向の中空糸膜12(12a,12b)を備えた酸素透過膜モジュールの一例を示す斜視図である。この酸素透過膜モジュール30Aは、Y方向に延在する平行な1対のヘッダー31,31と、これと直交するX方向に延在する1対のヘッダー32,32と、中空糸膜12とを有する。X方向の中空糸膜12aはヘッダー31,31間に架設され、Y方向の中空糸膜12bはヘッダー32,32間に架設されている。中空糸膜12a内はヘッダー31内に連通し、中空糸膜12b内はヘッダー32内に連通している。
ヘッダー31,32の端部同士が連結されることにより、ヘッダー31,32は方形枠状となっているが、ヘッダー31,32の両端内部にはエンドプラグ等の閉塞部材(図示略)が設けられており、ヘッダー31,32内は遮断されている。酸素含有ガスは一方のヘッダー31に供給され、中空糸膜12aを通り、他方のヘッダー31に流入する。また、酸素含有ガスは一方のヘッダー32に供給され、中空糸膜12bを通り、他方のヘッダー32に流入する。
図6では、中空糸膜12a,12bは図5の通り単に重なっているだけであるが、図7(a),(b)のように、X方向の中空糸膜12aとY方向の中空糸膜12bとを平織り状に編組みしてもよい。
図6では、酸素透過膜モジュール30Aは直交2方向に延在する中空糸膜12a,12bを備えているが、図8のように、一方向にのみ平行に延在する中空糸膜12を1対のヘッダー33,33間に架設し、ヘッダー33,33の両端同士を棒状連結部材34で連結して方形枠状とした酸素透過膜モジュール30を用いてもよい。
この場合、複数枚の酸素透過膜モジュール30を中空糸膜12の方向が交互に逆になるように重ね合わせて反応槽内に配置する。図8では、奇数段目(最上段及び上から3段目)の酸素透過膜モジュール30は、中空糸膜12がY方向に延在し、偶数段目(2段目)の酸素透過膜モジュール30は、中空糸膜12がX方向に延在している。図8では、酸素透過膜モジュール30が3段だけ示されているが、2段又は4段以上設置されてもよい。また、図8では酸素透過膜モジュール30が相互に離隔しているが、実際には図示よりも相互に接近して、例えば重ね合わせるようにして配置される。
図9,10のように、複数枚の酸素透過膜モジュール30をフレーム15内に配置してユニットとしてもよい。図9では、1つのフレーム15内に、中空糸膜をX方向とした酸素透過膜モジュール30(以下、酸素透過膜モジュール30Xという。)と、中空糸膜をY方向とした酸素透過膜モジュール30(以下、酸素透過膜モジュール30Yという。)とを交互に多段に配列している。
図10では、酸素透過膜モジュール30Xをフレーム15内に配置したユニットと、酸素透過膜モジュール30Yをフレーム15内に配置したユニットとを上下に積み上げるように配置している。図10では、ユニットが2段のみ示されているが3段以上設けられてもよい。
なお、これらの中空糸膜は、図5〜図8では1本ずつとなっているが、数本〜100本程度の束にしても良い。
中空糸膜を水平かつ網目状又は格子状に配置することにより、下部から上昇する被処理水は、網目又は格子を通過するときに撹拌、混合されて、中空糸膜に付着した微生物と接触する。被処理水が上昇するにつれ、また網目又は格子を通過するたびに被処理水は微生物と接触し、生物処理が進行する。また、上部から下降する場合も同様である。
中空糸膜を縦方向にのみ配置した場合、中空糸が大きな束になって水が優先的に通過する水の通り道ができたり、ショートパスが起こり易い。
中空糸膜を水平に、かつ網目状に配置することにより、増殖した微生物のスライムによって中空糸膜が塊になることが防止され、接触効率が高くなる。
本発明では、被処理水が横向きに流れる反応槽をさらに設けてもよい。この場合は、被処理水の流れをプラグフローとするために、反応槽を細長くして、縦、横の長さ比を20:1以上とすることが好ましい。この場合の被処理水の横向きの線速度は上向流、下向流場合と同様、4m/hr以上が好ましい。
このように被処理水を横向きに流す場合、少なくとも一部の酸素透過膜モジュールとして、図11のように、上下方向の中空糸膜12cと水平方向の中空糸膜12dとを格子状に配列したものを用い、原水が格子を貫く水平方向に流れるように構成してもよい。格子状の代りに網目状の中空糸膜モジュールを用いてもよい。
次に、本発明で用いる酸素含有ガス、ブロア等の好適例について説明する。
<酸素含有ガス>
酸素含有ガスは空気、酸素富化空気、純酸素等、酸素を含む気体であればよい。通気する気体はフィルターを通過させて微細粒子を除去することが望ましい。
通気量は生物反応に必要な酸素量の等量から2倍程度が望ましい。これよりも少ないと酸素不足で処理水中にBODやアンモニアが残存し、多いと通気量が不必要に多くなることに加えて圧力損失が高くなるため、経済性が損なわれる。
通気圧力は所定の通気量で生ずる中空糸の圧力損失よりもわずかに高い程度が望ましい。
<ブロア>
ブロアは、吐出風圧が水深からくる水圧以下のもので十分である。但し、配管等の圧損以上であることは必要である。通常、配管抵抗は1〜2kPa程度である。
5mの水深の場合、通常は0.55MPa程度までの出力の汎用ブロアが用いられ、それ以上の水深では高圧ブロアが用いられてきている。
本発明では、5m以上の水深であっても0.5MPa以下の圧力の汎用ブロアを用いることができ、0.1MPa以下の低圧ブロアを用いることが好ましい。
酸素含有ガスの供給圧は、中空糸膜の圧力損失より高く、水深圧力よりも低いこと、さらに膜が水圧でつぶれないこと、が条件となる。平膜、スパイラル膜は膜の圧損が水圧と比較すると無視できるため、極めて低い圧力、5kPa程度以上、水圧以下、望ましくは20kPa以下である。
中空糸膜の場合、内径と長さによって圧力損失は変化する。通気する空気量は膜1mあたり20mL〜100mL/dayであるから、膜長さが2倍になると空気量は2倍になり、膜径が2倍になっても空気量は2倍にしかならない。したがって、膜の圧力損失は膜長さに正比例し、直径に反比例する。
圧力損失の値は、内径50μm、長さ2mの中空糸で3〜20kPa程度である。
本発明者の実験によると、通気圧力を11〜140kPa、通気量を240〜460mL/min変化させた結果、酸素溶解速度はほとんど変化しないことが認められた。
本発明では、酸素溶解効率を30〜100%特に40〜60%となるようにすることが好ましい。
図12は、中空糸膜の膜面積1.5m、12g−O/m/dayの供給力を持つ中空糸膜モジュールを用い、70mL/minで、11〜140mBarで空気を供給することで、60%の溶解効率で運転した場合の酸素溶解効率の一例を示すグラフである。図12の1/11〜1/31の間のカーブは、中空糸膜への生物膜の付着によって酸素が消費されることに起因する。酸素溶解効率のばらつきは、生物膜による消費やBOD(COD)負荷量の変動によって生じる。
中空糸膜の入口の酸素濃度が20%(空気中)で、出口の酸素濃度が10%(膜を透過することで減少)であれば、酸素溶解効率は50%となる。風量を上げると、十分な量の酸素が供給されるため溶解効率は下がる。逆に風量を下げると、入口部分で酸素が透過し尽くし、溶解効率は100%に近づく。
本発明の生物処理装置の諸元を設定する場合、水深とブロア圧力を決めた後に、溶解効率を決定し、それに見合う膜面積を決定し、風量を決定するのが好ましい。膜面積と風量の決定は逆でもよい。
なお、kLa(総括酸素移動係数)は、一般的には高いほうが好ましいが、酸素透過膜を用いる場合では、圧力を上げても、膜の性能以上にはならない。そのため、風量を変化させて溶解量を制御したり、膜面積を増やしたりする必要がある。
図13の上側のグラフは、水深60cmの水槽(略同長さの中空糸膜を縦に配置)に中空糸膜モジュールを設置し、酸素の供給圧力を変化させた際のkLaを示し、図13の下側のグラフは、水深5mの水槽に、60cmの中空糸膜を縦に配置した中空糸膜モジュールを設置し、酸素供給圧力を変化させた際のkLaを示す。
いずれも、水深より低い圧力でも酸素が透過していることから、水圧以下の圧力で供給するブロアが使用できる。
また、水深によって、kLaがほとんど変化しない。
なお、図13中の■を結ぶ直線は、散気板を用いた際の理論線であり、kLaが風量と圧力に依存することを示す。そのため、水深圧以上の圧力をかけないと、散気管から槽内へ気泡は出てこない。
5m以上の水深を有する深層曝気の場合には、通常の気泡を発生させる散気装置では高圧ブロアを用いる必要があったが、その際の圧損(空気漏れ等)の影響で、水深の浅い場合に比較して、より一層要求される圧力/水圧の傾きは大きくなる。
したがって、非多孔性の酸素透過膜を用いることで、10〜20m、それ以上の深層曝気であっても、低圧ブロアや汎用ブロアを用いることで、槽内に十分な酸素を供給することが可能である。
1A〜1E 生物処理装置
2,30,30A 酸素透過膜モジュール
10,11,31,32,33 ヘッダー
12,12a〜12d 中空糸膜
13,14 マニホルド
15 フレーム
20 仕切り
21 下降流部
22 上向流部
34 連結部材

Claims (5)

  1. 反応槽と、
    該反応槽内に上下多段に設置された複数個の酸素透過膜モジュールと、
    該酸素透過膜モジュールに酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、
    を備え、
    酸素透過膜モジュールは、非多孔性の酸素透過膜を備えており、該膜は供給された酸素含有ガス中の酸素を槽内に透過させると共に、槽内において気泡を発生させない生物処理装置であり、
    上下方向に配列された下段側の前記酸素透過膜モジュールから流出した酸素含有ガスを上段側の酸素透過膜モジュールに流入させるように構成されている生物処理装置であって、
    最下段の酸素透過膜モジュールにあっては、酸素含有ガスが上部に供給され、下部から流出することを特徴とする生物処理装置。
  2. 前記酸素透過膜モジュールは、前記反応槽内に上下方向に2〜8段設置されていることを特徴とする請求項1に記載の生物処理装置。
  3. 前記反応槽が6m以上の水深を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の生物処理装置。
  4. 前記酸素透過膜モジュールは、前記膜の少なくとも一部が、6m以上の水深となるように槽内に設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生物処理装置。
  5. 最下段よりも上側の前記酸素透過膜モジュールにあっては、下段側の酸素透過膜モジュールからの酸素含有ガスが該酸素透過膜モジュールの上部に供給されると共に、該酸素透過膜モジュールの下部から流出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生物処理装置。
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