JP2019005757A - 生物活性炭処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】付着生物を剥離させることなく、かつ多量の酸素を供給することによって、高濃度の有機性排水を高負荷で処理することができる活性炭生物処理装置を提供する。
【解決手段】反応槽3内に酸素透過膜モジュール2a〜2cが多段に設置され、ブロアBからの酸素含有ガスが配管4,5,6を介して酸素透過膜モジュール2a〜2cに順次に流通され、配管11から排出される。反応槽3内に活性炭等の生物担体の流動床Fが形成される。
【選択図】図1
【解決手段】反応槽3内に酸素透過膜モジュール2a〜2cが多段に設置され、ブロアBからの酸素含有ガスが配管4,5,6を介して酸素透過膜モジュール2a〜2cに順次に流通され、配管11から排出される。反応槽3内に活性炭等の生物担体の流動床Fが形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機性排水を好気性生物処理する生物活性炭処理装置に関する。
好気性生物処理は安価であるため有機性廃水の処理法として多用されている。本方法では、被処理水への酸素の溶解が必要であり、通常は散気管による曝気が行われている。
散気管による曝気は溶解効率が5−20%程度と低い。また、散気管の設置される水深にかかる水圧以上の圧力で曝気することが必要であり、高圧で多量の空気を送風するため、ブロアの電力費が問題であった。通常は、好気性生物処理における電力費の2/3以上が酸素溶解のために使用されている。
深層曝気槽は、装置の必要面積を小さくでき、さらに酸素の溶解効率が高いことから敷地面積が小さい工場や都市部の生物処理装置として多用されてきた。しかし、水深が5m以上、例えば10m程度の生物処理用深層曝気槽は、最底部から曝気する場合、高圧ブロアが必要でブロアの効率が悪く、電力コストが高くなるという欠点がある。また、汎用の中圧ブロアを使って曝気槽の中間部から曝気し、旋回流によって槽全体を撹拌、混合する場合もある。しかし、この方法では全面曝気に比べて酸素の溶解効率が低く、より電力コストが高くなる。
メンブレンエアレーションバイオリアクター(MABR)は、気泡の発生なしで酸素溶解できる。MABRでは、水深にかかる水圧よりも低い圧力の空気を通気すればよいため、ブロアの必要圧力が低く、また、酸素の溶解効率が高い。
一方、電子部品製造工程排水の生物活性炭処理装置では、活性炭流動床に貧栄養細菌を付着増殖させ、プリエアレーションによって酸素を供給して生物処理を行っていた。また、浄水分野、高度処理などでは、活性炭のほかにアンスラサイトや微細砂粒子を担体に使い、固定床でプリエアレーションした原水を対象に処理していることに加え、活性炭やアンスラサイト、微細砂などを直接曝気することによって酸素を供給する方法も採用されている。
しかし、プリエアレーションでは溶存酸素濃度に8〜8.5mg/Lという限界があるため、これ以上の酸素を必要とする高濃度の原水は処理できない。処理水を返送して原水を希釈し、循環量を増やすことによって多量の酸素を供給しようとする試みもあるが、多大なポンプ動力が必要であるにもかかわらず、大きな効果が得られないため、原水TOC濃度10mg/L程度以下のごく薄い廃液にしか適用できない。
また、生物担体を直接曝気する方式では多量の酸素を供給することができるものの、付着している生物が曝気による激しい撹乱によって剥離してしまい、十分な生物量が保持できないことから、処理が不安定になる、処理効率が低いという問題点があった。そのため、処理効率はプリエアレーションよりもはるかに低く、10倍も大きな装置が必要とされていた。
特開昭64−90093号には、生物活性炭装置において、曝気手段として多孔性の中空糸膜を用いることが開示されており、曝気量を大幅に低減できる旨が記載されている。しかし、この方法でも微細な気泡として槽内に酸素を溶解させるため、深層となるほどブロア圧力が大きくなり、また、溶解効率も大きく低下する。
特開平11−333481号、特開平11−333487号には、ガス透過膜を生物の担体として用いた生物処理装置とその後段に好気性濾過床を備えた装置が開示されているが、好気性濾過床においては散気用ブロアを用いて散気しており、散気コストは多大となる。
特許4907992号には、気体分離膜表面に生物膜を形成させて水処理を行うMABRにおいて、非多孔性の気体分離膜を用いることが開示されているが、気体分離膜を固定担体として用いるものであり、低濃度排水の処理においては、通常の生物活性炭処理に比較して処理速度が遅いといった課題がある。
本発明は、活性炭に付着した生物を剥離させることなく、かつ多量の酸素を供給することによって、高濃度の有機性排水を高負荷で処理することができる生物活性炭処理装置を提供することを目的とする。
本発明の生物活性炭処理装置は、内部に生物担体の流動床が形成される、有機性排水の生物処理装置であって、反応槽と、該反応槽内の下部に原水を供給する原水供給手段と、該反応槽内に設置された酸素透過膜モジュールと、該酸素透過膜モジュールに酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、該反応槽の上部から処理水を取り出す処理水取出手段と、を備え、酸素透過膜モジュールは、非多孔性の酸素透過膜を備えていることを特徴とする。
本発明では、酸素透過膜は、供給された酸素含有ガス中の酸素を槽内に透過させると共に、槽内において気泡を発生させないものであることが好ましい。
本発明の一態様の生物活性炭処理装置では、前記酸素供給手段は、ブロアを備えており、該ブロアの圧力は前記反応槽の水深により生じる水圧よりも小さい。
本発明の一態様の生物活性炭処理装置では、前記生物担体は活性炭である。
本発明では、活性炭等の生物担体の流動床に非多孔性の酸素透過膜(酸素溶解膜)を設置することで、供給酸素量が多くなるため、対象とする原水の有機性排水濃度に上限が無い。
また、生物担体を流動床で運転するため、激しい撹乱にさらされることがない。したがって、多量の生物を安定して維持できるため、負荷を高くとることができる。
また、本発明では酸素溶解膜を使用するため、プリエアレーション、直接曝気と比較すると、酸素の溶解動力が小さい。
これらのことから、本発明によると、低濃度から高濃度までの有機性排水を高負荷で、かつ安価に処理することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の生物活性炭処理装置は、下水、紙パルプ、化学、食品、自動車製造工程等の有機性排水を処理するのに好適な好気性生物処理装置であり、反応槽内に酸素透過膜モジュールを配置している。図1(a)は本発明の一例に係る生物活性炭処理装置1Aを示す縦断面図,図1(b)はそのノズルの斜視図である。この生物活性炭処理装置1Aは、反応槽3内に上下多段に配置された複数個の酸素透過膜モジュール2を備えている。この実施の形態では、酸素透過膜モジュール2は3段に設置されているが、酸素透過膜モジュール2は2〜8段、特に2〜4段に設置されることが好ましい。
原水は、配管4及び複数のノズル5によって反応槽3の底部に供給され、活性炭の流動床Fを形成する。流動床Fを通り抜けた処理水は、トラフ6を越流し、流出口7から流出する。
酸素透過膜モジュール2は、非多孔質の酸素透過膜を備えており、膜を透過した酸素が反応槽3内の被処理水に溶解するので、反応槽3内において気泡が生じない。
図1では、ブロアBからの空気等の酸素含有ガスは、配管8によって最下段の酸素透過膜モジュール2cの上部に供給され、酸素透過膜モジュール2cの下部から流出し、配管9を介して上から2段目の酸素透過膜モジュール2bの上部に供給され、酸素透過膜モジュール2bの下部から流出し、配管10を介して最上段の酸素透過膜モジュール2aの上部に供給される。酸素透過膜モジュール2bの下部から流出したガスは、配管11を介して排出される。
酸素透過膜モジュール2は、活性炭流動床Fの上下方向の略全域にわたって存在することが好ましい。また、酸素透過膜モジュール2は、反応槽3の平面視において、反応槽3内の全域に、偏なく配置されていることが好ましい。
図1では、複数のノズル5から原水を反応槽3内の底部に流出させているが、図2のように、反応槽3内の底部にパンチングメタル等の透水板12を配置し、該透水板12の上側に粗い砂利等の大径粒子層13と、その上側の細かい砂利等の小径粒子層14とを形成してもよい。原水は、配管4からノズル16によって透水板12の下側の受入室15に流出し、透水板12、大径粒子層13及び小径粒子層14を通過し、反応槽3内に活性炭の流動床Fを形成する。なお、パンチングメタルなどの透水板はなくても良い。
酸素透過膜モジュール2への酸素含有ガスの流通形態の別例について図3〜5を参照して次に説明する。
図3の生物処理装置にあっては、ブロアBからの酸素含有ガスは、配管8によって最下段の酸素透過膜モジュール2cの上部に供給され、その下部から流出し、下から2段目の酸素透過膜モジュール2bの下部に供給され、その上部から流出し、次いで最上段の酸素透過膜モジュール2aの下部に供給され、その上部から配管11を介して排出される。
図4の生物処理装置にあっては、ブロアBからの酸素含有ガスは、配管8によって最下段の酸素透過膜モジュール2cの下部に供給され、その上部から流出し、下から2段目の酸素透過膜モジュール2bの下部に供給され、その上部から流出し、次いで最上段の酸素透過膜モジュール2aの下部に供給され、その上部から配管11を介して排出される。
図5の生物処理装置にあっては、酸素含有ガスは、各酸素透過膜モジュール2a〜2cに並列に流れる。即ち、ブロアBからの酸素含有ガスは、配管8によって各酸素透過膜モジュール2a,2b,2cの上部に供給され、各々の下部から流出し、配管11を介して排出される。
なお、図1〜3のように、酸素含有ガスが最下段の酸素透過膜モジュール2cの上部に供給され、該酸素透過膜モジュール2cの下部から流出し、その後、上側の酸素透過膜モジュール2b,2aに順次流れるように構成した生物処理装置にあっては、酸素透過膜モジュール2c内の凝縮水が抜け易い。
図4のように、酸素含有ガスが酸素透過膜モジュール2a〜2c内を上向きに流れるように構成した場合、酸素透過膜モジュール内の凝縮水が蒸発し易いものとなる。特に、酸素含有ガスとして乾燥度の高いガスを流すことにより、凝縮水が蒸発し易くなる。
図1〜4のように、酸素含有ガスを最下段の酸素透過膜モジュール2cから順次に上段側の酸素透過膜モジュール2b,2aに流通させるようにした生物処理装置では、反応槽3内の被処理水の流れが上向流であるので、BOD濃度の高い原水側の被処理水ほど多くの酸素が供給されるため、負荷に応じた酸素供給量とすることができる。
図5のように、各酸素透過膜モジュール2a〜2cに並列に酸素含有ガスを流通させる場合、酸素含有ガスの圧力損失が少なく、省エネルギーとなる。なお、図5において、下段側の酸素透過膜モジュールほど酸素含有ガス流通量を多くするようにすることにより、負荷に応じた酸素供給量とすることができる。
図1〜5のいずれにおいても、上段側の酸素透過膜モジュールほど、膜面積を小さくするか、又は膜の充填密度を低くするようにしてもよい。
なお、図3〜5においても、図2のように透水板12、大径粒子層13及び小径粒子層14を有した底部構造としてもよい。
酸素透過膜モジュール2の酸素透過膜は、中空糸膜、平膜、スパイラル膜のいずれでもよいが、中空糸膜が好ましい。膜の材質は通常MABRに使用される、シリコン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリウレタン等が使用できるが、シリコンが好適である。強度が高い、ノンポーラスポリマーでポーラス中空糸をコーティングしたコンポジット膜を用いてもよい。
中空糸膜は、好ましくは内径0.05〜4mm特に0.2〜1mm、厚み0.01〜0.2mm特に0.02〜0.1mmである。内径がこれより小さいと通気圧力損失が大きく、大きいと表面積が小さくなって酸素の溶解速度が低下する。厚みが上記範囲より小さいと物理的な強度が小さくなり、破断しやすくなる。逆に、厚みが上記範囲よりも大きいと、酸素透過抵抗が大きくなって酸素溶解効率が低下する。
中空糸膜の長さは0.5〜3m程度、特に1〜2m程度が好ましい。中空糸膜が長すぎると、生物膜が多量に付着した場合、破断したり、団子状に固まって表面積が小さくなり、酸素溶解効率が低下する、圧力損失が大きくなる等の問題が起こる。中空糸膜が過度に短いと、コストが高くなる。平膜、スパイラル膜の長さも同様の理由で0.5〜1.5mが好ましい。
膜の必要面積は、処理に必要な酸素量を供給できる十分量である。たとえば、原水がCODcr50mg/L、滞留時間30分の場合、シリコン製の100μm厚の中空糸膜であれば流動している活性炭部分の容積1m3あたり240m2以上が必要である。
膜の面積は、槽容積当たり300m2以上、1000m2/m3以下が好ましい。膜面積が大きいと、酸素供給量多くなり、高負荷が可能となるが、膜コストがアップする。単位容積当たりの膜面積が大きすぎると、膜が団子状態になり、効率が低下する。膜は流れ方向に設置することが好ましい。例えば、水深10mの槽では、長さ2mの膜を上下に4段に設置することが好ましい。
酸素透過膜モジュールの構造の一例について図6〜11を参照して次に説明する。
図6の酸素透過膜モジュール20は酸素透過膜として中空糸膜17を用いたものである。この実施の形態では、中空糸膜17は上下方向に配列されており、各中空糸膜17の上端は上部ヘッダー18に連なり、下端は下部ヘッダー19に連なっている。中空糸膜17の内部は、それぞれ上部ヘッダー18及び下部ヘッダー19内に連通している。各ヘッダー18,19は中空管状であり、略水平方向に平行に複数本配列されている。なお、平膜やスパイラル膜を用いる場合にも、上下方向に配列される。
各ヘッダー18の一端又は両端がマニホルド18Aに連結され、各ヘッダー19の一端又は両端がマニホルド19Aに連結されていることが好ましい。酸素透過膜モジュール20の上部に酸素含有ガスを供給し、酸素透過膜モジュール20の下部から排出する場合は、酸素含有ガスは上部ヘッダー18から中空糸膜17を通って下部ヘッダー19へ流れ、この間に酸素が中空糸膜17を透過して反応槽3内の水に溶解する。逆に、酸素透過膜モジュール20の下部に酸素含有ガスを供給し、上部から排出する場合は、下部ヘッダー19に酸素含有ガスが供給され、中空糸膜17を通って上部ヘッダー18から排出される。
図7は、フレーム22内に配置された酸素透過膜モジュール20の一例を示す正面図である。このフレーム22は、4隅にそれぞれ立設された4本の柱22aと、各柱22aの上端同士の間に架設された上梁22bと、各柱22bの下部同士の間に架設された下梁22cと、各柱22aの下端面に取り付けられた底座プレート22dとを有する。酸素透過膜モジュール20のマニホルド13,14をフレーム22に保持させることにより、酸素透過膜モジュール20がフレーム22内に設置される。
このフレーム22を備えた酸素透過膜モジュール20は、反応槽3内に上下多段に設置することが容易である。即ち、下側の酸素透過膜モジュール20のフレーム22の上に、上側の酸素透過膜モジュール20の底座プレート22dを載せるようにして上側の酸素透過膜モジュール20を配置することができる。
本発明の一態様では、中空糸膜が上下方向に配列された中空糸膜モジュールを高さ1〜2m程度の高さの低い膜モジュールとし、これを2段以上、好ましくは4段以上に積層する。
このように中空糸膜の長さを短くし、高さを低くした中空糸膜モジュールを多段に積層することにより、低い圧力で酸素を溶解させることができる。
中空糸膜に送風する酸素含有ガスの圧力は、中空糸膜の圧力損失よりわずかに高い程度、例えば5〜20%程度高い圧力がコスト面から好適である。
中空糸膜に供給する圧力は水深と無関係に決めてよい。通常の散気装置は水深以上の圧力が必要であることから、本発明は反応槽の水深が深いほど有利である。
なお、上下方向のモジュールの配管接続によって、膜内の凝縮水や生物槽から膜内に溶解してくる炭酸ガスの影響が異なる。そのため、圧損、凝縮水、炭酸ガスを考慮した配管接続構造とすることが好ましい。
上記実施の形態では、図6,7のように、中空糸膜17を上下方向とし、原水(被処理水)が中空糸膜17に沿って上下方向に流れるものとしているが、少なくとも一部の酸素透過膜モジュールとして、図8のように水平なX方向の中空糸膜17bと、上下方向(Z方向)の中空糸膜17aとを有する酸素透過膜モジュールを用いてもよい。なお、図9のように、中空糸膜17a、17bを平織状に編組してもよい。
図10は、かかるX,Z方向の中空糸膜17(17a,17b)を備えた酸素透過膜モジュールの一例を示す斜視図である。この酸素透過膜モジュール30は、Z方向に延在する平行な1対のヘッダー31,31と、これと直交するX方向に延在する1対のヘッダー32,32と、中空糸膜17とを有する。X方向の中空糸膜17はヘッダー31,31間に架設され、Z方向の中空糸膜17はヘッダー32,32間に架設されている。
ヘッダー31,32の端部同士が連結されることにより、ヘッダー31,32は方形枠状となっている。この酸素透過膜モジュール30の一態様では、ヘッダー31,32の両端内部にエンドプラグ等の閉塞部材(図示略)が設けられており、ヘッダー31,32内は遮断されている。酸素含有ガスは一方のヘッダー31に供給され、中空糸膜17を通り、他方のヘッダー31に流入する。また、酸素含有ガスは一方のヘッダー32に供給され、中空糸膜17を通り、他方のヘッダー32に流入する。
この酸素透過膜モジュール30の別の一態様では、一方の一本のヘッダー31と一方の一本のヘッダー32とが連通している。また、他方の一本のヘッダー31と他方の一本のヘッダー32とが連通している。該一方のヘッダー31,32と、該他方のヘッダー31,32の連結部分の内部にはエンドプラグ等の閉塞部材(図示略)が設けられており、該一方のヘッダー31,32と、該他方のヘッダー31,32内は遮断されている。酸素含有ガスは該一方のヘッダー31,32に供給され、中空糸膜17を通り、該他方のヘッダー31,32に流入する。
なお、これらの中空糸膜は、図6〜図10では1本ずつとなっているが、数本〜100本程度の束にしても良い。
なお、本発明では、反応槽内の下部に曝気装置を設置してもよい。
次に、本発明で用いる生物担体、酸素含有ガス、その他処理条件の好適例について説明する。
<生物担体>
生物担体としては、活性炭が好適である。
生物担体としては、活性炭が好適である。
活性炭の充填量は反応槽の容積の40〜60%程度、特に50%程度が好ましい。この充填量は、多いほうが生物量多く活性高いが、多すぎると流出するおそれがある。従って、充填量50%程度で20〜50%程度活性炭相が膨張するLVで通水するのが良い。通水LVは0.5mm活性炭で7〜15m/hr程度である。なお、活性炭以外のゲル状、多孔質材、非多孔質材等も同様の条件で使用できる。例えば、ポリビニルアルコールゲル、ポリアクリルアミドゲル、ポリウレタンフォーム、アルギン酸カルシウムゲル、ゼオライト、プラスチック等も用いることができる。ただし、担体として活性炭を用いると、活性炭の吸着作用と生物分解作用による相互作用により、広範囲な汚濁物質の除去を行うことが可能である。
活性炭の平均粒径は0.2〜3mm程度が好ましい。平均粒径が大きいと高LVとすることが可能であり、循環量を増やせるため高負荷が可能となる。しかし、表面積が小さくなるため、生物量が少なくなる。平均粒径が小さいと、低LVで流動できるため、ポンプ動力が安価となる。かつ、表面積が大きいため、付着生物量が増える。
最適粒径は廃水の濃度によって決定され、TOC:50mg/Lであれば0.2〜0.4mm程度、TOC:10mg/Lであれば0.6〜1.2mm程度が好ましい。
活性炭の展開率は、20〜50%程度が好ましい。展開率が20%よりも低いと、目詰まり、短絡のおそれがある。展開率が50%よりも高いと、流出のおそれがあると共に、ポンプ動力コストが高くなる。
通常の生物活性炭では、活性炭流動床の膨張率は10〜20%程度であるがこの場合、活性炭の流動状態が不均一で上下左右に流動する。結果として同時に設置した膜が活性炭によってこすられ、すり減って消耗することになる。これを防止するため、本発明では、活性炭は十分に流動させることが必要で、膨張率は20%以上とするのが望ましい。このため、活性炭の粒径は通常の生物活性炭よりも小さいほうが好ましい。なお、活性炭は、やしがら炭、石炭、木炭等なんでも良い。形状は球状炭が好ましいが、通常の粒状炭や破砕炭でも良い。
<酸素含有ガス>
酸素含有ガスは空気、酸素富化空気、純酸素等、酸素を含む気体であればよい。通気する気体はフィルターを通過させて微細粒子を除去することが望ましい。
酸素含有ガスは空気、酸素富化空気、純酸素等、酸素を含む気体であればよい。通気する気体はフィルターを通過させて微細粒子を除去することが望ましい。
通気量は生物反応に必要な酸素量の等量から2倍程度が望ましい。これよりも少ないと酸素不足で処理水中にBODやアンモニアが残存し、多いと通気量が不必要に多くなることに加えて圧力損失が高くなるため、経済性が損なわれる。
通気圧力は所定の通気量で生ずる中空糸の圧力損失よりもわずかに高い程度が望ましい。
<被処理水の流速>
被処理水の流速はLV10m/hr以上とし、処理水を循環せず、ワンパスで処理するのが好ましい。
被処理水の流速はLV10m/hr以上とし、処理水を循環せず、ワンパスで処理するのが好ましい。
LVを高くすると、それに比例して酸素溶解速度が向上する。LV50m/hrでは10m/hrの2倍ほど酸素が溶解する。LVが高い場合は、粒径が大きい活性炭を使い、展開率をあまり大きくしないようにするのが好ましい。生物量、酸素溶解速度から、最適LV範囲は10〜30m/hr程度である。
<滞留時間>
槽負荷1〜2kg−TOC/m3/dayとなるように滞留時間を設定するのが好ましい。
槽負荷1〜2kg−TOC/m3/dayとなるように滞留時間を設定するのが好ましい。
<ブロア>
ブロアは、吐出風圧が水深からくる水圧以下のもので十分である。但し、配管等の圧損以上であることは必要である。通常、配管抵抗は1〜2kPa程度である。
ブロアは、吐出風圧が水深からくる水圧以下のもので十分である。但し、配管等の圧損以上であることは必要である。通常、配管抵抗は1〜2kPa程度である。
5mの水深の場合、通常は0.55MPa程度までの出力の汎用ブロアが用いられ、それ以上の水深では高圧ブロアが用いられてきている。
本発明では、5m以上の水深であっても0.5MPa以下の圧力の汎用ブロアを用いることができ、0.1MPa以下の低圧ブロアを用いることが好ましい。
酸素含有ガスの供給圧は、中空糸膜の圧力損失より高く、水深圧力よりも低いこと、さらに膜が水圧でつぶれないこと、が条件となる。平膜、スパイラル膜は膜の圧損が水圧と比較すると無視できるため、極めて低い圧力、5kPa程度以上、水圧以下、望ましくは20kPa以下である。
中空糸膜の場合、内径と長さによって圧力損失は変化する。通気する空気量は膜1m2あたり20mL〜100mL/dayであるから、膜長さが2倍になると空気量は2倍になり、膜径が2倍になっても空気量は2倍にしかならない。したがって、膜の圧力損失は膜長さに正比例し、直径に反比例する。
圧力損失の値は、内径50μm、長さ2mの中空糸で3〜20kPa程度である。
本発明者の実験によると、通気圧力を11〜140kPa、通気量を240〜460mL/min変化させた結果、酸素溶解速度はほとんど変化しないことが認められた。
本発明では、酸素溶解効率が30〜100%特に40〜60%となるようにすることが好ましい。
1A〜1E 生物処理装置
2,20,30 酸素透過膜モジュール
17,17a、17b 中空糸膜
18,19,31,32 ヘッダー
22 フレーム
2,20,30 酸素透過膜モジュール
17,17a、17b 中空糸膜
18,19,31,32 ヘッダー
22 フレーム
Claims (6)
- 内部に生物担体の流動床が形成される、有機性排水の生物処理装置であって、
反応槽と、
該反応槽内の下部に原水を供給する原水供給手段と、
該反応槽内に設置された、酸素を該反応槽内に供給する酸素透過膜モジュールと、
該酸素透過膜モジュールに酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、
該酸素透過膜モジュールからの排気を槽外に排出する配管と、
該反応槽の上部から処理水を取り出す処理水取出手段と、
を備え、
酸素透過膜モジュールは、非多孔性の酸素透過膜を備えていることを特徴とする生物処理装置。 - 前記酸素含有ガス供給手段は、0.5MPa以下の圧力のブロアによって酸素含有ガスを供給するものである請求項1又は2に記載の生物処理装置。
- 前記酸素含有ガス供給手段は、0.1MPa以下の圧力のブロアによって酸素含有ガスを供給するものである請求項1に記載の生物処理装置。
- 請求項1の有機性排水の生物処理装置によって有機性排水を処理する有機性排水の生物処理方法。
- 請求項2の有機性排水の生物処理装置によって有機性排水を処理する有機性排水の生物処理方法。
- 前記酸素含有ガス供給手段は、ブロアを備えており、該ブロアの圧力は前記酸素透過膜の圧力損失より高く、前記反応槽の水深により生じる水圧よりも小さい請求項4又は5の有機性排水の生物処理方法。
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