JP6845064B2 - 水処理システム及び水処理システムの改良方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、水処理システムの具体例として、仕切り壁を設けた曝気槽内の一方側の中段に第1の曝気装置及び第1の制御装置を備え、更に曝気槽内の底部に第2の曝気装置及び第2の制御装置を備えることが記載されており、中段に設けられた第1の曝気装置が旋回流式、底部に設けられた第2の曝気装置が全面曝気式であることが記載されている。
また、特許文献1には、曝気装置を備えた既存の水処理システムに、更に曝気装置を加えて配置することで、曝気効率を上げることも記載されている。
また、既設の全面曝気式の曝気装置を備える水処理システムに対して、一部下降流が曝気装置の下側へ通過するように曝気装置を配置する方法を適用することにより、曝気装置の下側にまで流れが生じ、曝気槽内の撹拌効率を上げることが可能となることを見出して本発明の水処理システムの改良方法を完成させた。
具体的には、本発明は、以下の曝気装置を備える水処理システム及び水処理システムの改良方法である。
この特徴によれば、曝気槽内に一定間隔で下降流スペースが設けられることになるため、曝気槽底部において良好な撹拌状態が形成される。
図1は、本発明の第1の実施形態の水処理システムの構成を示す概略説明図である。(a)本発明の第1の実施形態の水処理システムの全体概略斜視図である。(b)本発明の第1の実施形態の水処理システムの平面図である。(c)本発明の第1の実施形態の水処理システムの側面図である。(図1b中のI−I矢視図)
図1に示すように、本実施形態の水処理システム10は、例えば活性汚泥を用いた水処理施設の曝気槽2内に曝気装置1aが設置され、曝気装置1aは曝気槽2内の処理水W(処理対象水と活性汚泥との混合液)に浸漬するとともに、ブロワーBに接続された複数の曝気体3からなる曝気ユニットAUを有し、これらの曝気ユニットAUにブロワーBから空気が供給されることにより、曝気ユニットAUから処理水W中に気泡を発生させて曝気を行う。
曝気槽2は、略直方体状の槽に上部ハンチHu及び下部ハンチHsを有しており、外部には曝気装置1aに酸素を含む空気を供給するブロワーBを備えている。また、曝気槽2内部には、曝気槽2の底部の略全面に曝気装置1aが設けられている。曝気槽2の深さ方向における曝気装置1aの位置は、特に制限されないが、通常、曝気槽2の底部近傍に設置される。ブロワーBの吐出圧力の制約や既設施設とのバランスを考慮して、曝気装置1aを比較的高い位置に設置してもよい。
曝気ユニットAUは、曝気槽2の幅方向に配設した複数の曝気体3と、曝気体3上で幅方向に延在し曝気体3の内部同士を気密に連通させる空気供給管であるヘッダ管7とを有している。また、ブロワーBからの空気は、送気管8を通じてヘッダ管7に供給されている。
また、全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5aの配置は、特に制限されず、交互に配列してもよいし、ランダムに配列してもよい。
また、曝気槽の長さ方向のおける曝気装置全体の長さに対する一又は複数の下降流スペースの長さの合計は、好ましくは1/3以下である。なお、この曝気槽の長さ方向における「下降流スペースの長さ」は、図1(b)の両方向矢印Qに示すように、曝気装置のない領域の長さを示す。
本発明の曝気体3は、空気を通過する微細な散気孔を有するメンブレンが巻かれた管状部材からなる曝気管であり、「メンブレンパイプ式超微細気泡式散気管」とも呼ばれるものである。曝気体3は、多孔質の合成樹脂又はセラミックからなる散気筒や多数のスリットを設けたフレキシブルチューブのような管状部材からなる曝気管であってもよい。また、曝気体3は、角型、丸型などの板状部材からなる曝気板であってもよい。
図2は、本発明の第2の実施形態の水処理システムを示す概略説明図である。図2(a)は、本発明の第2の実施形態の水処理システムの平面図であり、図2(b)は、本発明の第2の実施形態の水処理システムの側面図である。(図2a中のII−II矢視図)
第2の実施形態の曝気装置1bでは、第1の実施形態の部分曝気ユニット5aに代えて、曝気体3が幅方向中心側に偏在して並設される部分曝気ユニット5bとしたものである。曝気装置1bは、全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5bを曝気槽2の長さ方向に対して交互に延在するように配置されている。
図3は、本発明の第3の実施形態の水処理システムを示す概略説明図である。図3(a)は、本発明の第3の実施形態の水処理システムの平面図であり、図3(b)は、本発明の第3の実施形態の水処理システムの側面図である。(図3a中のIII−III矢視図)
第3の実施形態の曝気装置1cでは、第2の実施形態の全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5bに加えて、曝気体3が幅方向曝気槽壁面の両側に偏在して並設される部分曝気ユニット5cを備えるものである。曝気装置1cは、全幅曝気ユニット4及び部分曝気ユニット5b、5cを曝気槽2の長さ方向に対して延在するように配置されている。なお、図3aでは、全幅曝気ユニット4、部分曝気ユニット5b、全幅曝気ユニット4、部分曝気ユニット5c、全幅曝気ユニット4となるように配置している。
本発明の水処理システムの改良方法は、曝気槽の略全面に曝気装置を備える既設の水処理システムにおいて、曝気槽の幅方向の略全面に曝気体を配した既設の全幅曝気ユニットのうちの一部を、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとなるようにして、曝気装置の配置面において曝気による下降流が通過する下降流スペースが形成されるようにすればよい。
具体的には、曝気体が幅方向に均等配置された既設の曝気装置において、上記下降流スペースが形成されるように、曝気体の一部を取り外したり、一部の曝気を停止したりするようにすればよい。
この水処理システムの改良方法により、全面曝気式の曝気装置を備えた既設の水処理システムにおいて、新たな付設装置を設けることなく、かつ既設の曝気装置の全てを交換する必要がなく、曝気槽底部の十分な撹拌が可能な曝気装置を備えた水処理システムとすることができる。
本発明の水処理システムについて底部流速シミュレーションを行った。曝気ユニットAUの配置は、上記第2の実施形態に倣い、曝気ユニットAUを構成する曝気体3を10本としてシミュレーションを行った。その結果を図4aに示す。
なお、図4bは、曝気体を均等配置した従来の全面曝気式の曝気装置における底部流速シミュレーションの結果である。このシミュレーションにおいて、図4a及び図4bの曝気体の数は同一としている。
底部流速の平均値を比較すると、本発明の曝気装置における底部平均流速は、従来の全面曝気式の曝気装置における底部平均流速よりも2.2倍速くなった。
Claims (4)
- 曝気槽の略全面に曝気装置を備える水処理システムであって、前記曝気装置は、曝気槽の幅方向の略全幅に曝気体を配した全幅曝気ユニットと、曝気槽の幅方向の一部に曝気体を配した部分曝気ユニットとを組み合わせてなり、
前記部分曝気ユニットは、曝気槽の幅方向中心側に偏在して配した複数の曝気体及び幅方向曝気槽壁面の両側に偏在して並列される曝気体からなり、前記曝気装置は、前記全幅曝気ユニットと前記部分曝気ユニットとを交互に配置することを特徴とする、水処理システム。 - 前記部分曝気ユニットは、前記曝気槽の幅方向に配設した複数の曝気体と、前記曝気体上で幅方向に延在し前記曝気体の内部同士を気密に連通させる空気供給管であるヘッダ管とを有することを特徴とする、請求項1に記載の水処理システム。
- 前記曝気装置を平面視した際の下降流スペースの位置は、規則的に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水処理システム。
- 前記全幅曝気ユニットは、前記部分曝気ユニットの数より多く設置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水処理システム。
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