JP2021090414A - 鉄味のマスキング方法及び鉄味が低減された組成物。 - Google Patents

鉄味のマスキング方法及び鉄味が低減された組成物。 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄味をマスキングできる方法を提供する。【解決手段】ピロリン酸第二鉄を非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆することを特徴とする、鉄味のマスキング方法、非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆されたピロリン酸第二鉄を含む鉄製剤、並びにピロリン酸第二鉄、非乳化性油溶成分及び界面活性剤を含有する製剤を含み、pHが3〜5であるピロリン酸第二鉄含有組成物、更にピロリン酸第二鉄含有組成物が加熱処理されたものである、前記組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、鉄味のマスキング方法及び鉄味が低減された組成物に関する。
鉄は、魚介類、肉、野菜等に含まれる成分であり、生体において重要な働きを担う成分の一つである。鉄不足は、貧血等の鉄欠乏症の原因となり、特に、女性、アスリート、なかでも女性アスリート、長距離走者、ベジタリアンアスリート等は、鉄不足になりやすい傾向がある。従って、必要な量の鉄を摂取することは重要である。
手軽に鉄を摂取する点から、従来、鉄を補充した食品が開発、販売されている。しかし、該食品では、食品中での鉄の溶出等によって鉄に由来する不快味が生じることから、該食品の摂取は、該不快味の点で苦痛を伴うものであった。従って、鉄を補充した、より摂取しやすい食品を提供することは重要である。
鉄を補充した食品として、例えば、特許文献1には、ピロリン酸第二鉄を含有する発酵乳が報告されている。特許文献1には、「ピロリン酸第二鉄が、該ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、1〜10質量部のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又は1〜10質量部のグリセリン脂肪酸エステルと、0.05〜1質量部の酵素分解レシチンとにより被覆されてなり、ゼータ電位が−25〜−39mVであり、平均粒子径が1〜4μmである被覆ピロリン酸第二鉄組成物」が記載されており、該組成物を用いることにより、鉄特有の風味を感じない発酵乳を提供できることが報告されている。
また、例えば、特許文献2には、「(A)ピロリン酸第二鉄、(B)レシチン、ならびに(C)アルギン酸、カルボキシメチルセルロース及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有してなる鉄含有粉末組成物」が記載されており、該組成物は、不快な味や風味を呈することなく飲食品中で好適に用いられることが報告されている。
また、例えば、特許文献3には、鉄臭味を有する液体組成物に増粘多糖類を添加することにより、その鉄臭味をマスキングできることが報告されている。
WO2013/141139号公報 特開2016−7137号公報 特開2008−7470号公報
このような食品に補充される鉄として、例えば、ピロリン酸第二鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウムといった各種の鉄が知られている。
例えば、ピロリン酸第二鉄は、水等に不溶であることが知られており、このため、食品に添加する場合、その沈殿や鉄味を抑制するために、レシチン等の乳化剤によって乳化する必要があった。しかし、このようにして乳化した場合であっても乳化粒子が壊れやすく、特に、酸性の食品においては崩壊が顕著となり、強い鉄味が感知されるという課題があった。
そこで、本発明は、鉄味をマスキングできる新たな方法等を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、ピロリン酸第二鉄を、トコフェロール等の非乳化性油溶成分及びガティガム等の界面活性剤によって被覆することにより、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味をマスキングできることを見出した。本発明は該知見に基づき更に検討を重ねた結果完成されたものであり、次に掲げるものである。
1.鉄味のマスキング方法
項1−1.ピロリン酸第二鉄を、非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆することを特徴とする、鉄味のマスキング方法。
項1−2.前記非乳化性油溶成分が、パルミチン酸レチノール、トコフェロール、トコトリエノール、フィロキノン、メナキノン、菜種油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、ベニ花油、米サラダ油、HLB<8のグリセリン脂肪酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群より選択される少なくとも1種である、項1−1に記載の方法。
項1−3.前記界面活性剤が、ガティガム、アラビアガム、大豆多糖類、加工デンプン、シュガービートペクチン、HLB≧8のグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ポリソルベート及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、項1−1又は1−2に記載の方法。
項1−4.前記ピロリン酸第二鉄と、該ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、前記非乳化性油溶成分0.01〜200質量部と、前記界面活性剤5〜2000質量部とを混合する工程を有する、項1−1〜1−3のいずれかに記載の方法。
2.ピロリン酸第二鉄含有製剤
項2−1.非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆されたピロリン酸第二鉄を含む製剤。項2−2.前記非乳化性油溶成分が、パルミチン酸レチノール、トコフェロール、トコトリエノール、フィロキノン、メナキノン、菜種油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、ベニ花油、米サラダ油、HLB<8のグリセリン脂肪酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群より選択される少なくとも1種である、項2−1に記載の製剤。
項2−3.前記界面活性剤が、ガティガム、アラビアガム、大豆多糖類、加工デンプン、シュガービートペクチン、HLB≧8のグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ポリソルベート及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、項2−1又は2−2に記載の製剤。
項2−4.前記ピロリン酸第二鉄と、該ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、前記非乳化性油溶成分0.01〜200質量部及び前記界面活性剤5〜2000質量部とを含む、項2−1〜2−3のいずれかに記載の製剤。
3.ピロリン酸第二鉄含有組成物
項3−1.ピロリン酸第二鉄、非乳化性油溶成分及び界面活性剤を含有する製剤を含み、pHが3〜5である、ピロリン酸第二鉄含有組成物。
項3−2.前記非乳化性油溶成分が、パルミチン酸レチノール、トコフェロール、トコトリエノール、フィロキノン、メナキノン、菜種油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、ベニ花油、米サラダ油、HLB<8のグリセリン脂肪酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群より選択される少なくとも1種である、項3−1に記載の組成物。
項3−3.前記界面活性剤が、ガティガム、アラビアガム、大豆多糖類、加工デンプン、シュガービートペクチン、HLB≧8のグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ポリソルベート及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、項3−1又は3−2に記載の組成物。
項3−4.前記ピロリン酸第二鉄含有組成物が加熱処理されたものである、項3−1〜3−3のいずれかに記載の組成物。
項3−5.前記製剤が、項2−1〜2−4のいずれかに記載する製剤である、項3−1〜3−4のいずれかに記載の組成物。
本発明によれば、ピロリン酸第二鉄を、非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆することにより、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味をマスキングすることができる。また、本発明によれば、非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆されたピロリン酸第二鉄を含む製剤を用いることにより、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減することができる。また、本発明によれば、ピロリン酸第二鉄、非乳化性油溶成分、及び界面活性剤を含有する製剤を用いて、pHが3〜5のピロリン酸第二鉄含有組成物とすることにより、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減することができる。
1.鉄味のマスキング方法
本発明は、ピロリン酸第二鉄を、非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆することを特徴とする、鉄味のマスキング方法を提供する。
1.1.ピロリン酸第二鉄
本発明においてピロリン酸第二鉄は、従来公知のピロリン酸第二鉄であれば特に制限されない。ピロリン酸第二鉄は、市販品を用いてもよく、例えば富田製薬株式会社からピロリン酸第二鉄が市販されている。
1.2.非乳化性油溶成分
本発明において非乳化性油溶成分は、特に限定されるものではないが、例えば室温(25℃)、常圧で液体の非乳化性油溶成分が挙げられる。
非乳化性油溶成分の融点は、本発明を制限するものではないが、50℃以下、40℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下等が例示され、好ましくは20℃以下である。
本発明を制限するものではないが、本発明の方法は、冷蔵等の温度下で保存又は使用される組成物等にも好ましく適用できる観点から、非乳化性油溶成分の融点は20℃以下が好ましく例示される。
本発明において非乳化性油溶成分は、20℃の水への溶解度が、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。本発明において非乳化性油溶成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用する場合、その組み合わせが該溶解度を充足する。
非乳化性油溶成分は、薬学的に許容可能な成分又は可食性成分である限り制限されない。
非乳化性油溶成分として、本発明を制限するものではないが、菜種油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、ベニ花油、米サラダ油、エレミ樹脂、マスティック樹脂等の植物性油脂類;牛脂、豚脂等の動物性油脂類;ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、ロジン、ダンマル樹脂、エステルガム、グリセリン脂肪酸エステル(ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む;HLB≧8の乳化性があるものを除く)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、長鎖脂肪酸トリグリセリド;肝油、ビタミンA(レチノール、パルミテート等の脂肪酸誘導体等)、ビタミンB(ビタミンB酪酸エステル等)、アスコルビン酸脂肪酸エステル、ビタミンE(トコフェロール(d−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、dl−α−トコフェロール)、トコトリエノール等)、ビタミンK(フィロキノン、メナキノン等)等の脂溶性ビタミン類;リモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、l−メントール、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、アネトール、ペリラアルデヒド、バニリン、γ−ウンデカラクトン等の植物精油類;レスベラトロール、油溶性ポリフェノール、グリコシルセラミド、セサミン、ホスファチジルセリン、コエンザイムQ10、ユビキノール、α−リポ酸;α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等のΩ−3系脂肪酸;リノール酸、γ−リノレン酸等のΩ−6系脂肪酸;植物ステロール等が例示される。
HLB(Hydrophile Lypophile Balance)値は、界面活性剤の分野で従来公知の、親水性と親油性のバランスを知る指標であり、HLB値0〜20のうち、HLB値が小さいほど親油性が強く、HLB値が大きいほど親水性が強いことを示す。本発明においてHLBは、通常、Griffin式に従う。
MCTは、中鎖脂肪酸から構成されるトリアシルグリセロールであり、一般に市販されているものを制限なく使用することができる。MCTを構成する中鎖脂肪酸の炭素数は制限されず、好ましくは炭素数6〜12、より好ましくは炭素数6〜10、炭素数8〜12、炭素数8〜10の中鎖脂肪酸等が例示される。MCTを構成する3つの中鎖脂肪酸は、互いに同じ(1種)であってもよく、異なってもよい(2種又は3種)。
また、長鎖脂肪酸トリグリセリドは、長鎖脂肪酸から構成されるトリアシルグリセロールであり、一般に市販されているものを制限なく使用することができる。長鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する長鎖脂肪酸の炭素数は制限されず、好ましくは炭素数14以上、より好ましくは炭素数14〜26、更に好ましくは炭素数14〜22の長鎖脂肪酸等が例示される。長鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する3つの中鎖脂肪酸は、互いに同じ(1種)であってもよく、異なってもよい(2種又は3種)。
これらにおいて中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸はいずれも、飽和、不飽和を問わず、好ましくは飽和脂肪酸が例示される。また、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸はいずれも、好ましくは直鎖脂肪酸が例示される。このことから、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸はいずれも、好ましくは直鎖飽和脂肪酸が例示される。
本発明を制限するものではないが、MCT及び長鎖脂肪酸トリグリセリドのうち、油脂に起因する不快臭(油臭)を抑制する点からは、好ましくはMCTを用いることが例示される。
非乳化性油溶成分として、好ましくはパルミチン酸レチノール、ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)、フィロキノン、メナキノン、菜種油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、ベニ花油、米サラダ油、HLB<8のグリセリン脂肪酸エステル、MCT等が例示される。
非乳化性油溶成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
1.3.界面活性剤
本発明において界面活性剤は、薬学的に許容可能な成分又は可食性成分である限り制限されない。
界面活性剤として、本発明を制限するものではないが、グリセリン脂肪酸エステル(ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む;HLB<8であるものは除く)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル;レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等のリン脂質(但し、フォスファチジルコリン、リゾフォスファチジルコリンは除く);キラヤ抽出物、エンジュサポニン、大豆サポニン、酵素処理大豆サポニン、茶種子サポニン、ユッカフォーム抽出物等のサポニン;ポリソルベート(ポリソルベート20、60、65、80等);大豆多糖類、加工デンプン、シュガービートペクチン、アラビアガム、ガティガム等の界面活性作用を有する多糖類等が例示される。
界面活性剤として、好ましくは、HLB≧8のグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、ポリソルベート、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、シュガービートペクチン、加工デンプン等が例示される。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、該方法では、前記ピロリン酸第二鉄を前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤で被覆することが鉄味の抑制において重要であると考えられることから、多糖類の中でも寒天、キサンタンガム、グアーガム等の界面活性作用がない増粘剤及び/又はゲル化剤として通常使用されるものは、前記界面活性剤として使用されない。
1.4.マスキング方法
本発明の方法は、前記ピロリン酸第二鉄を、前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤で被覆することにより、鉄味をマスキングする。
該被覆は、前記ピロリン酸第二鉄と、前記非乳化性油溶成分と、前記界面活性剤とを混合することにより行うことができる。
該混合は、前記ピロリン酸第二鉄と、前記非乳化性油溶成分及び/又は前記界面活性剤とが接触できるように混合される限り制限されず、従来公知の混合方法に従い行うことができる。該混合は、好ましくは、前記ピロリン酸第二鉄が前記非乳化性油溶成分と前記界面活性剤との両方に接触するように混合されることが例示される。該混合は、本発明を制限するものではないが、例えば、湿式粉砕機を用いる方法を包含する。
前記ピロリン酸第二鉄、前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤の混合順序は制限されず、最終的にこれらの3成分が混合されればよい。例えば、前記ピロリン酸第二鉄と前記非乳化性油溶成分とを混合し、得られた混合物と前記界面活性剤とを混合してもよく、前記ピロリン酸第二鉄と前記界面活性剤とを混合し、得られた混合物と前記非乳化性油溶成分とを混合してもよく、前記非乳化性油溶成分と前記界面活性剤とを混合し、得られた混合物と前記ピロリン酸第二鉄とを混合してもよく、また、これらの成分を同時に混合してもよい。混合順序として、本発明を制限するものではないが、好ましくは、前記ピロリン酸第二鉄と前記非乳化性油溶成分とを混合後、前記界面活性剤を混合することが例示される。
これらの成分の混合量は、前記ピロリン酸第二鉄を、前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤で被覆できる限り制限されない。
前記非乳化性油溶成分の混合量の下限は、本発明を制限するものではないが、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、例えば、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、0.05質量部以上、0.1質量部以上、0.15質量部以上、0.2質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、5質量部以上又は10質量部以上が例示される。
前記非乳化性油溶成分の混合量の上限は、本発明を制限するものではないが、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、例えば、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、100質量部以下、80質量部以下、60質量部以下、50質量部以下又は40質量部以下が例示される。
このことから、前記非乳化性油溶成分の混合量は、本発明を制限するものではないが、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上200質量部以下、0.02質量部以上150質量部以下等の範囲内が例示される。非乳化性油溶成分の混合量は、前記下限値及び上限値の任意の組み合わせとすることができる。
また、前記界面活性剤の混合量は、特に制限されず、ピロリン酸第二鉄を溶液中で安定に分散可能な量を使用すれば良い。界面活性剤の混合量は、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、例えば、5〜2000質量部、好ましくは5〜1600質量部、より好ましくは5〜1500質量部、5〜1000質量部、5〜750質量部、5〜500質量部、5〜250質量部、5〜100質量部等が例示される。
また、これらの成分の混合量は、本発明を制限するものではないが、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、例えば、好ましくは前記非乳化性油溶成分0.01〜200質量部且つ前記界面活性剤5〜2000質量部等が例示される。これらの混合量も前記値の任意の組み合わせとすることができる。以下、同様に説明される。
これらの混合は、薬学的に許容される又は可食可能な任意の成分の共存下で実施してもよい。任意の成分は、本発明の効果を損なわない成分であれば制限されず、例えば、溶媒、賦形剤、着色料、甘味料、酸化防止剤、香料等が例示される。任意の成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、任意の成分の種類、混合量等も適宜決定すればよい。本発明を制限するものではないが、任意の成分を用いた一例を次に説明する。
本発明の方法の一実施形態として、該任意の成分として溶媒を用いてもよい。溶媒を用いる場合、前記3つの各成分(前記ピロリン酸第二鉄、前記非乳化性油溶成分、前記界面活性剤)と溶媒とは、いずれの混合段階で接触させてもよい。例えば、前記ピロリン酸第二鉄と前記非乳化油溶成分とを混合し、得られた混合物と、溶媒に分散させた前記界面活性剤とを混合することが挙げられる。また、例えば、前記ピロリン酸第二鉄と前記界面活性剤とを混合し、次いで前記非乳化油溶成分を混合し、得られた混合物と溶媒とを混合することが挙げられる。溶媒を用いて混合することにより、前記混合物、特に、前記非乳化性油溶成分と前記界面活性剤とによって被覆されたピロリン酸第二鉄が溶媒中に分散する。
溶媒としては、本発明を制限するものではないが、水、低級アルコール、多価アルコール等が例示される。溶媒として、好ましくは水、多価アルコール、水と多価アルコールとの混合物が例示され、より好ましくは水と多価アルコールとの混合物が例示される。溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
ここで、「水と多価アルコールとの混合物」中の多価アルコールの含有量は制限されないが、該混合物中、1質量%以上100質量%未満、好ましくは2質量%以上90質量%以下、より好ましくは3質量%以上80質量%以下、更に好ましくは5質量%以上60質量%以下、特に好ましくは8質量%以上50質量%以下、特により好ましくは8質量%以上30質量%以下、特に更に好ましくは8質量%以上30質量%未満の範囲内が例示される。本発明を制限するものではないが、例えば、溶媒として水と低級アルコールとの混合物を用いる場合も、該混合物中の低級アルコール含有量はこれと同様に説明される。
低級アルコールとしては、本発明の効果を妨げない限り制限されず、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4の低級アルコールが例示される。低級アルコールとして、好ましくはエタノールが例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
多価アルコールとしては、本発明の効果を妨げない限り制限されず、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール等が例示される。多価アルコールとして、好ましくはグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトールが例示される。使用する多価アルコールが室温で固体である場合、多価アルコールを、水及び/又は低級アルコールと組み合わせて用いることが好ましく例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
溶媒を用いて前記混合を行う場合も、溶媒の混合量は、前述の通り、前記ピロリン酸第二鉄と、前記非乳化性油溶成分及び/又は前記界面活性剤とが接触して、前記ピロリン酸第二鉄が、前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤により被覆される限り制限されない。溶媒の混合量として、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、溶媒100〜15000質量部、好ましくは200〜13000質量部、更に好ましくは200〜10000質量部、特に好ましくは200〜8000質量部が例示される。
また、本発明の方法の一実施形態として、該任意の成分としてデキストリン等の賦形剤を用いてもよい。賦形剤は、発明の効果を損なわない範囲内で、前記3成分の混合の際の任意の時に更に混合すればよく、その混合量も適宜決定することができる。その他の任意の成分についても、必要に応じて、適宜選択、混合し、その混合量も適宜決定すればよい。
本発明において被覆は、前記ピロリン酸第二鉄の全体が被覆(完全な被覆)されていてもよく、前記ピロリン酸第二鉄の少なくとも一部が被覆(部分的な被覆)されていてもよい。
また、このようにして得られる前記ピロリン酸第二鉄の被覆物の大きさも制限されない。該被覆物の大きさとして、本発明を制限するものではないが、前述のようにして得た混合物を、前記ピロリン酸第二鉄の含有量が0.01質量%となるように、室温で、イオン交換水で希釈することにより分散液100mLを調製し、ガラス容器に入れ、この際に、該被覆物の平均粒径(メジアン径)が好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01〜0.5μm、更に好ましくは0.1〜0.2μmが例示される。該平均粒径(メジアン径)は、レーザー解析式粒度分布計(マイクロトラック MT−3000II、日機装株式会社製)を用いて測定される。
また、本発明において、前記ピロリン酸第二鉄が、前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤で被覆されているかどうかについては、前述のようにして調製した分散液100mLをガラス容器に入れ、該分散液を室温で24時間静置させて、容器底部にピロリン酸第二鉄の沈殿物が発生していなければ、ピロリン酸第二鉄が被覆されていると判断する。沈殿物(沈殿したピロリン酸第二鉄)の有無は、前記静置後に沈殿の有無を目視で確認するか、前記静置後に分散液を遠心分離(室温、2000rpm、10分)し、沈殿物の有無を目視確認する方法によって確認すればよい。
本発明の方法は、このようにして前記ピロリン酸第二鉄、前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤を混合することにより、前記ピロリン酸第二鉄に由来する鉄味を抑制することができる。なお、ここで「鉄味」とは、所謂、鉄に起因する不快な風味を意味し、これは、錆びた鉄のような風味ともいえる。
2.ピロリン酸第二鉄含有製剤
本発明は、非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆されたピロリン酸第二鉄を含む製剤を提供する。
非乳化性油溶成分、界面活性剤及びピロリン酸第二鉄は前述と同様に説明される。また、ピロリン酸第二鉄の、非乳化性油溶成分及び界面活性剤による被覆も前述と同様に説明され、また、前述の混合手順に従い被覆することができる。
このことから、本発明の製剤は、前記非乳化性油溶成分、前記界面活性剤及び前記ピロリン酸第二鉄を含有する。また、本発明の製剤は、更に、薬学的に許容される又は可食可能な任意の成分を必要に応じて含有してもよい。該任意の成分も前述と同様に説明され、その混合も前述と同様に説明される。
本発明の製剤中、これらの成分の含有量は、該製剤において前記ピロリン酸第二鉄が前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤で被覆されている限り制限されない。
前記非乳化性油溶成分の含有量の下限は、本発明を制限するものではないが、該製剤中、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、例えば、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、0.05質量部以上、0.1質量部以上、0.15質量部以上、0.2質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、5質量部以上又は10質量部以上が挙げられる。
前記非乳化性油溶成分の含有量の上限は、本発明を制限するものではないが、該製剤中、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、例えば、好ましくは200質量部以下、150質量部以下、100質量部以下、80質量部以下、60質量部以下、50質量部以下又は40質量部以下が例示される。
このことから、前記非乳化性油溶成分の含有量は、本発明を制限するものではないが、該製剤中、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上200質量部以下、0.02質量部以上150質量部以下等の範囲内が例示される。非乳化性油溶成分の混合量は、前記下限値及び上限値の任意の組み合わせとすることができる。
また、前記界面活性剤の含有量は、本発明を制限するものではないが、該製剤中、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、例えば、5〜2000質量部、好ましくは5〜1600質量部、より好ましくは5〜1500質量部、5〜1000質量部、5〜750質量部、5〜500質量部、5〜250質量部、5〜100質量部等が例示される。
また、これらの成分の含有量は、本発明を制限するものではないが、該製剤中、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、例えば、好ましくは前記非乳化性油溶成分0.01〜200質量部且つ前記界面活性剤5〜2000質量部等が例示される。これらの含有量も前記値の任意の組み合わせとすることができる。
また、該製剤が、前記任意の成分の一例として前記溶媒を更に含有する場合、該製剤中の溶媒の含有量は、前記ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、溶媒100〜15000質量部、好ましくは200〜13000質量部、更に好ましくは200〜10000質量部、特に好ましくは200〜8000質量部が例示される。
また、本発明を制限するものではないが、前記ピロリン酸第二鉄の含有量として、該製剤中、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%、より好ましくは4〜10質量%が例示される。
該製剤が前記溶媒以外の任意の成分の含有する場合、前述と同様に、本発明の効果を損なわない範囲内で、該任意の成分の種類、その量等を適宜決定すればよい。
該製剤は、前述の混合手順に従い、前記非乳化性油溶成分、前記界面活性剤及び前記ピロリン酸第二鉄、また、必要に応じて前記任意の成分を混合することにより製造することができる。
該製剤の形態は制限されず、固形状(散剤、顆粒剤、細粒剤等)、半固形状(ゼリー状等)、液状のいずれであってもよい。また、例えば、該製剤は、特に該製剤が固形状である場合は、水等の液体と混合して使用してもよい。
該製剤によれば、前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤で被覆された前記ピロリン酸第二鉄を含む製剤を簡単に提供することができる。
該製剤の使用態様も制限されず、目的に応じて適宜決定すればよい。該製剤の使用態様として、好ましくは食品組成物への添加剤(食品組成物用添加剤)、医薬組成物への添加剤(医薬組成物用添加剤)、医薬部外品組成物への添加剤(医薬部外品組成物用添加剤)、飼料組成物への添加剤(飼料組成物用添加剤)等として使用することが例示される。食品組成物、医薬組成物、医薬部外品組成物、飼料組成物は後述と同様に説明される。
このことから、該製剤は、このような組成物の原料の一つとして好ましく使用することができる。特に、該製剤は、前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤で被覆された前記ピロリン酸第二鉄を含んでいることから、鉄味を低減しながらも、鉄の補充(強化)を目的とした食品組成物、医薬組成物、医薬部外品組成物、飼料組成物等の製造に好ましく使用できる。このことから、該製剤は、鉄を補充(強化)した、より摂取しやすい組成物の提供にも有用である。
3.ピロリン酸第二鉄含有組成物
本発明は、ピロリン酸第二鉄、非乳化性油溶成分及び界面活性剤を含有する製剤を含み、pHが3〜5である、ピロリン酸第二鉄含有組成物を提供する。
非乳化性油溶成分、界面活性剤及びピロリン酸第二鉄を含有する製剤は、非乳化性油溶成分、界面活性剤及びピロリン酸第二鉄を含有する限り制限されず、非乳化性油溶成分、界面活性剤及びピロリン酸第二鉄は前述と同様に説明される。
該製剤は、好ましくは、前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤で被覆された前記ピロリン酸第二鉄を含む。該被覆は、前述と同様に説明され、また、前述の混合手順に従い前記ピロリン酸第二鉄を被覆することができる。
また、該製剤は、更に、薬学的に許容される又は可食可能な任意の成分を必要に応じて含有してもよい。該任意の成分も前述と同様に説明され、その混合も前述と同様に説明される。
該製剤として、好ましくは前記「2.ピロリン酸第二鉄含有製剤」に記載する製剤が例示される。
該製剤中、前記ピロリン酸第二鉄、前記非乳化性油溶成分及び前記界面活性剤の含有量、また、必要に応じて使用される前記任意の成分の含有量は制限されない。本発明を制限するものではないが、該含有量として、好ましくは前記「2.ピロリン酸第二鉄含有製剤」に記載する含有量が例示される。また、該製剤の製造方法も、前述の混合手順に従えばよく、前記非乳化性油溶成分、前記界面活性剤及び前記ピロリン酸第二鉄、また、必要に応じて前記任意の成分を混合することにより製造することができる。
該製剤の形態は制限されず、固形状(散剤、顆粒剤、細粒剤等)、半固形状(ゼリー状等)、液状のいずれであってもよい。
本発明のピロリン酸第二鉄含有組成物は、該製剤を含み、pHが3〜5である。
ここで、pHは、該組成物が20℃での値であり、pHメーター(Navi-h、株式会社堀場製作所製)を用いて測定される。該組成物のpHとして、好ましくは3〜4.8、より好ましくは3〜4.5、更に好ましくは3.2〜4.5、特に好ましくは3.2〜4、特により好ましくは3.2〜3.8が例示される。本発明によれば、このようなpHを備える組成物においても、鉄味を低減することができる。
該組成物は、薬学的に許容可能であり又は可食性の組成物であれば制限されないが、好ましくは、食品組成物(飲料を含む、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、サプリメント等を含む)、病者用食品を含む)、医薬組成物、医薬部外品組成物、飼料組成物等が例示される。
該組成物は、その製造方法も制限されないが、好ましくは、該製剤を組成物原料と混合することにより製造される。本発明を制限するものではないが、該製剤は、必要に応じて、組成物原料と混合する前に、水等の液体と混合して使用してもよい。
組成物原料としては、本発明を制限するものではないが、鉄を補充したい食品組成物用原料、医薬組成物用原料、医薬部外品組成物用原料、飼料組成物用原料等が例示される。組成物原料に該製剤を添加することによって、鉄が補充された組成物が得られる。このことから、本発明を制限するものではないが、食品組成物を例に挙げると、従来公知の食品組成物に鉄を補充したい場合は、従来公知の食品組成物を食品組成物用原料として用いることができる。
このように、組成物原料は制限されず、目的に応じて適宜設定すればよい。本発明を制限するものではないが、組成物原料として、従来公知の食品組成物、医薬組成物、医薬部外品組成物、飼料組成物、これらの組成物に含有されている各種成分、また、該成分の任意の組み合わせが例示される。該成分としては、本発明を制限するものではないが、タンパク質、脂質、糖質、炭水化物、食物繊維、溶媒、賦形剤、pH調整剤、抗酸化剤、甘味剤、矯味剤、吸収促進剤、清涼剤、着色剤、香料、ミネラルといった各種栄養成分等の成分が例示される。
該組成物中のピロリン酸第二鉄の含有量は制限されないが、該製剤に由来するピロリン酸第二鉄が、例えば、該組成物中、0.0001〜0.1質量%、好ましくは0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.008〜0.02質量%が例示される。
また、該組成物中の該製剤の含有量は制限されないが、例えば、該組成物中、0.1〜6質量%、好ましくは0.15〜6質量%、より好ましくは0.2〜6質量%が例示される。
また、該組成物は、加熱処理されたものであってもよい。加熱処理された組成物である場合、前記pHは、加熱処理後の組成物のpH(20℃での値)を意味する。
加熱処理の方法は制限されず、例えば、食品分野や医薬分野等で使用されている経口用組成物に適用される加熱処理方法を好ましく挙げることができる。本発明を制限するものではないが、加熱処理として、例えば120℃×10秒、135℃×3秒、85℃×20分、90℃×20分、95℃×10〜20分等の加熱殺菌条件を挙げることができ、また、このほか従来公知の加熱殺菌条件を挙げることができ、このような加熱条件で加熱を行ってもよい。
該組成物の形態は制限されず、固形状(散剤、顆粒剤、細粒剤等)、半固形状(ゼリー状等)、液状のいずれであってもよく、より好ましくは半固形状、液状が例示される。
該組成物は、この限りにおいて制限されないが、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、果実飲料(果汁飲料を含む)、野菜飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、サプリメント飲料等の飲料、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、ソフトクリーム等の乳製品、その他、ゼリー、ババロア等のデザート、ドレッシング等の調味料、ジャム類、スープ類、そのほか各種の薬学的に許容可能であり又は可食性の組成物が挙げられる。
なお、本発明において、すなわち、前記方法、製剤及び組成物に関して、可食性とは、ヒトにとって可食性であるものに限定されず、ヒト以外の動物(例えば哺乳動物、鳥類等)にとって可食性であるものも包含する。このため、前述の通り、所謂、動物に適用される飼料組成物も本発明の対象である。
このように、本発明によれば鉄が補充された組成物を提供できることから、該組成物は、鉄分を補給するための、鉄欠乏症の予防を期待する、鉄欠乏症になる恐れのあるもしくは鉄欠乏症の状態にある対象者(対象動物)のための、又はアスリートのための、鉄分補給用組成物としても有用である。
また、本発明によれば、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味が低減された、摂取しやすい組成物を簡単に提供することができる。
また、従来、酸性の組成物や加熱された組成物においては、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味が生じやすい傾向があった。本発明は、酸性の組成物や加熱された組成物におけるピロリン酸第二鉄に起因する鉄味の低減にも有用である。
なお、本発明において「含有する」、「含む」はいずれも、「実質的にからなる」、「からなる」という意味をも更に包含する。
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
調製例1
<ピロリン酸第二鉄を含有する製剤の調製>
ピロリン酸第二鉄を、湿式摩砕機ダイノミル(WAB社製、ダイノミルKDL)を用いて粉砕し、次の表1に示す組成に従い、粉砕したピロリン酸第二鉄と各成分とを混合し、ピロリン酸第二鉄を含有する製剤(ピロリン酸第二鉄製剤)を調製した。得られた各製剤について、メジアン径の測定をレーザー解析式粒度分布計(日機装株式会社製、マイクロトラック MT-3000II)を用いて行なった。なお、メジアン径は、該製剤を、ピロリン酸第二鉄の含有量が0.01質量%となるように室温でイオン交換水により希釈して分散液100mLを調製し、ガラス容器に入れて測定し、その粒度(メジアン径)は、いずれの製剤も0.1〜0.2μmであった。なお、表1中、単位は質量%である。
Figure 2021090414
<前記製剤を含有する組成物(飲料)の調製>
表1に記載の各製剤を用いて、次の表2に示す組成に従い各成分を混合し、飲料を調製した。pHはクエン酸三ナトリウムにて調整し、最後に、ピロリン酸第二鉄製剤を添加し、混合後、得られた溶液を95℃達温にて220mLのPETボトルに満注充填した。
Figure 2021090414
<鉄味評価方法>
前述のようにして調製した飲料を、3日間、40℃で保存後、2人の専門パネラー(A及びB)により、鉄味の強度評価を実施した。該評価では、前述のピロリン酸第二鉄を、1質量%クエン酸水にて、0.1質量%となるよう懸濁し、95℃達温加熱し溶解した、非常に強い鉄味が感じられる溶液を評点「4」の基準として、以下の評価基準により5段階で評価を行った。
4:鉄味を非常に強く感じる
3:鉄味を強く感じる
2:鉄味を感じる
1:鉄味をわずかに感じる
0:鉄味を感じない
<評価結果>
試験例1 非乳化性油溶成分の影響
pH3.8に調製した前記飲料において、非乳化性油溶成分を含まない製剤A1では、鉄味が感じられたか又は強く感じられたが、非乳化性油溶成分を含む製剤B1及びB2(それぞれMCT及びトコフェロールを含む)では、鉄味がわずかに感じられたに留まった(表3)。なお、前記製剤を用いて製造した飲料のpHは、pHメーター(商品名Navi-h、株式会社堀場製作所製)を用いて、加熱後に20℃の飲料において測定した値である。以下も同様である。
この結果から、前記実施例の製剤を用いることにより、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減できることが分かった。また、該製剤を添加した組成物において、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減できることが分かった。
Figure 2021090414
試験例2 非乳化性油溶成分の影響
pH3.2に調製した前記飲料において、非乳化性油溶成分を含まない製剤A2では、鉄味が強く感じられたが、非乳化性油溶成分を含む製剤B3及びB4(それぞれMCT又はトコフェロールを含む)では、鉄味が感じられたか又はわずかに感じられたに留まった(表4)。
この結果からも、前記実施例の製剤を用いることにより、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減できることが分かった。また、該製剤を添加した組成物において、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減できることが分かった。
Figure 2021090414
試験例3 pHの影響
より広いpH範囲においても前記評価を実施した。非乳化性油溶成分を含まない製剤A2、及び非乳化性油溶成分を含む製剤B4(トコフェロールを含む)を用いて、それぞれ、pH3、3.2、3.5、3.8及び4の飲料を調製し、前記評価を実施した(表5)。
表5の製剤A2の結果から、pH3〜4の範囲において、pH値が低くなるほど鉄味が感じられ、その抑制が困難であることが理解できた。このような状況において、pH4では、製剤B4は、鉄味を感じさせない程度に強い鉄味低減効果を示した。更に、各pHにおいて、製剤B4を用いた場合は、製剤A2を用いた場合よりも、より強い鉄味低減効果を発揮できることが分かった。
このことからも、前記実施例の製剤を用いることにより、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減できることが分かった。特に、該製剤を添加して得た酸性の組成物において、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減できることが分かった。
Figure 2021090414
試験例4 非乳化性油溶成分の影響
表1に記載の製剤A2、B5〜7を用いて、前述と同様にしてpH3.8の飲料を調製し、鉄味評価を実施した(表6)。表6の結果から、製剤A2と用いた場合と比較して、B5〜7を用いた場合において、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減できることが分かった。
Figure 2021090414
これらのことから、ピロリン酸第二鉄と非乳化性油溶成分と界面活性剤とを混合して、ピロリン酸第二鉄を、非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆することにより、ピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減できることが分かった。また、このように被覆されたピロリン酸第二鉄を含む製剤を用いることにより、該製剤を含む組成物においてもピロリン酸第二鉄に起因する鉄味を低減することができることが分かった。
調製例2
<ピロリン酸第二鉄を含有する製剤の調製>
ピロリン酸第二鉄を、湿式摩砕機ダイノミルを用いて粉砕し、次の表7に示す組成に従い、粉砕したピロリン酸第二鉄と各成分とを混合し、ピロリン酸第二鉄を含有する製剤(ピロリン酸第二鉄製剤)を調製した。なお、本調製例において使用したピロリン酸第二鉄粉砕物は、ピロリン酸第二鉄を10質量%で含有するものであって。得られた各製剤について、メジアン径を調製例1と同様にして測定した。粒度(メジアン径)は、いずれの製剤も0.1〜0.2μmであった。表7中、単位は質量%である。
Figure 2021090414
<前記製剤を含有する組成物(飲料)の調製>
表7に記載の各製剤を用いて、次の表8に示す組成に従い各成分を混合し、飲料を調製した。飲料中、実施例B9〜B15の製剤は0.2質量%、実施例B16の製剤は0.5質量%、実施例B17の製剤は1質量%で添加した。pHはクエン酸三ナトリウムにて調整し、最後に、表7に記載の各製剤を添加し、混合後、得られた溶液を85℃達温にて200mLのPETボトルに満注充填した。pHは、pHメーター(調製例1と同じ)を用いて、加熱後に20℃の飲料において測定し、いずれもpH3〜5の範囲内とした。
Figure 2021090414
<鉄味評価基準の統一>
専門パネラー(8人)において以下の0〜4点の標準液を飲み、点数と鉄味の度合いとを結びつけ、評価基準を専門パネラー間で統一した。
0点:蒸留水を飲んだ際の鉄味(鉄味がしない)
1点:0.0003%ピロリン酸第二鉄+0.005%L−アスコルビン酸水溶液と同じ鉄味
2点:0.0005%ピロリン酸第二鉄+0.005%L−アスコルビン酸水溶液と同じ鉄味
3点:0.001%ピロリン酸第二鉄+0.005%L−アスコルビン酸水溶液と同じ鉄味
4点:0.002%ピロリン酸第二鉄+0.005%L−アスコルビン酸水溶液と同じ鉄味
<鉄味評価方法>
前述のようにして調製した飲料を、3日間、40℃で保存後、前記8人の専門パネラーにより、鉄味の強度評価を実施した。前述の通り調製した飲料を飲み、標準液において感じた鉄味を基準にして点数を付けた。全く鉄味が感じなかった場合は0点を付けた。評価(評点)は平均値とした。また、鉄味は、強烈な後味が残るため、各標準液または前記飲料を飲んだ後は、0.05%クエン酸水、蒸留水の順で口腔内を濯ぎ、鉄味のリセットを行った。評価結果を表7に示す。
表7に示す通り、非乳化性油溶成分(トコフェロール)を含有しない製剤(比較例A3またはA4)を含む飲料では、その評価結果が3.1であり、鉄味が強く感じられた。これに対して、非乳化性油溶成分と界面活性剤(ガティガム、アラビアガム、加工澱粉)とを併用した実施例B9〜B17を含む飲料では鉄味が抑制された。また、結果には示さないが、非乳化性油溶成分を含有しない以外は実施例B17を用いた場合と同様にして調製した飲料よりも、非乳化性油溶成分を含有する実施例B17を用いた飲料において鉄味が抑制された。また、本調製例では、界面活性剤としてガティガム、アラビアガム、加工澱粉を用いたが、前記調製例1においてガティガムに代えてグリセリン脂肪酸エステル(HLB≧8)を用いた場合であっても同様に鉄味が抑制されたことから、本調製例において例えばグリセリン脂肪酸エステル(HLB≧8)を用いた場合であっても同様に鉄味が抑制されることが理解できた。
非乳化性油溶成分に関しては、例えば、比較例A3よりも実施例B9を用いた飲料においては、鉄味が抑制されていた(表7)。このことから、ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、トコフェロール(非乳化性油溶成分)を0.19質量部添加するだけで、鉄味が抑制されていることが理解される。作用機序は不明であるが、界面活性剤で被覆しただけの製剤(比較例A3)と比べ、少量の非乳化性油溶成分を更に添加した製剤(実施例B9)においては、界面活性剤と非乳化性油溶成分とが共にピロリン酸第二鉄の表面を被覆した状態になっているために、鉄味の抑制効果が発揮されているものと考えられる。

Claims (11)

  1. ピロリン酸第二鉄を、非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆することを特徴とする、鉄味のマスキング方法。
  2. 前記非乳化性油溶成分が、パルミチン酸レチノール、トコフェロール、トコトリエノール、フィロキノン、メナキノン、菜種油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、ベニ花油、米サラダ油、HLB<8のグリセリン脂肪酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記界面活性剤が、ガティガム、アラビアガム、大豆多糖類、加工デンプン、シュガービートペクチン、HLB≧8のグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ポリソルベート及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 非乳化性油溶成分及び界面活性剤で被覆されたピロリン酸第二鉄を含む製剤。
  5. 前記非乳化性油溶成分が、パルミチン酸レチノール、トコフェロール、トコトリエノール、フィロキノン、メナキノン、菜種油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、ベニ花油、米サラダ油、HLB<8のグリセリン脂肪酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の製剤。
  6. 前記界面活性剤が、ガティガム、アラビアガム、大豆多糖類、加工デンプン、シュガービートペクチン、HLB≧8のグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ポリソルベート及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4又は5に記載の製剤。
  7. ピロリン酸第二鉄、非乳化性油溶成分及び界面活性剤を含有する製剤を含み、pHが3〜5である、ピロリン酸第二鉄含有組成物。
  8. 前記非乳化性油溶成分が、パルミチン酸レチノール、トコフェロール、トコトリエノール、フィロキノン、メナキノン、菜種油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、ベニ花油、米サラダ油、HLB<8のグリセリン脂肪酸エステル及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記界面活性剤が、ガティガム、アラビアガム、大豆多糖類、加工デンプン、シュガービートペクチン、HLB≧8のグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ポリソルベート及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7又は8に記載の組成物。
  10. 前記ピロリン酸第二鉄含有組成物が加熱処理されたものである、請求項7〜9のいずれかに記載の組成物。
  11. 前記製剤が、請求項4〜6のいずれかに記載する製剤である、請求項7〜10のいずれかに記載の組成物。
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