JP2021087997A - 金属製品の製造方法及び金属製品 - Google Patents

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仁 小田
純也 佐竹
Junya Satake
純也 佐竹
知樹 平山
Tomoki Hirayama
知樹 平山
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Abstract

【課題】識別コードの読み取り性を高める。【解決手段】回転子積層鉄心1の製造方法は、下地用レーザビームを積層体2の表面2bに照射しつつ所定の第1の方向に沿って走査することを複数列繰り返して、積層体2の表面2bに下地領域12を形成する第1の工程と、マーク用レーザビームを積層体2の表面2bに照射しつつ所定の第2の方向に沿って走査することを複数列繰り返して、積層体2の表面2bが酸化してなる黒色マーキング14を形成する第2の工程とを含む。第2の方向は第1の方向と異なる。下地領域12及び黒色マーキング14の組み合わせにより所定模様をなす識別コード10が構成される。【選択図】図1

Description

本開示は、金属製品の製造方法及び金属製品に関する。
特許文献1は、金属部材の表面に二次元コードを形成して金属製品を得る方法を開示している。当該方法は、レーザビームを金属部材の表面に照射して金属を酸化させ、ビーム形状に対応する円形ドットを当該表面に焼き付ける処理を繰り返すことにより、所定模様の黒色マーキングを形成することを含む。これにより、複数の円形ドットの集合体である黒色セルと、レーザビームが照射されていない領域である白色セルとの組み合わせからなる二次元コードが、金属部材の表面に形成される。当該二次元コードは、金属製品の個体(例えば、品種、製造日時、使用材料、製造ライン等)を識別する識別コードとしての機能を有する。
特開2000−222516公報
ところで、二次元コードの形成対象である金属部材は、通常、金属素材が圧延ロールによって圧延されて得られる。この際、圧延ロールの表面に存在する傷が金属部材の表面に転写され、金属部材の表面に細い線状の痕(圧延痕ともいう。)が生ずることがある。あるいは、金属部材に識別コードが形成される前に、金属部材に対して種々の表面処理がなされる場合がある。この表面処理に伴い、金属部材の表面の光沢が不均一となったり、金属部材の表面が鏡面状態となりうる。
このような場合、金属表面に形成された二次元コードを読取カメラによって読み取るためにフラッシュ光を金属部材に照射したときに、圧延痕、光沢等によって光が不規則に読取カメラに入射したり、金属表面で鏡面反射した光が読取カメラに入射しうる。そのため、二次元コードの読み取り性が低下するのみならず、金属製品ごとに二次元コードの読み取り性がばらついてしまうという懸念があった。
そこで、本開示は、識別コードの読み取り性を高めることが可能な金属製品の製造方法及び金属製品を説明する。
本開示の一つの観点に係る金属製品の製造方法は、下地用レーザビームを金属部材の表面に照射しつつ所定の第1の方向に沿って走査することを複数列繰り返して、金属部材の表面に下地領域を形成する第1の工程と、マーク用レーザビームを金属部材の表面に照射しつつ所定の第2の方向に沿って走査することを複数列繰り返して、金属部材の表面が酸化してなる所定模様の黒色マーキングを形成する第2の工程とを含む。第2の方向は第1の方向と異なる。下地領域及びマーキングの組み合わせにより所定模様をなす識別コードが構成される。
本開示の他の観点に係る金属製品の製造方法は、パルス状のレーザ光であるマーク用レーザビームを金属部材の表面に照射しつつ所定の第1の方向に沿って走査することを複数列繰り返してマーキングを形成する第1の工程を含む。マーク用レーザビームは、第1の方向においてスポット径以下の送りピッチで且つ列方向において所定の配列ピッチで走査される。マーキングは、正方形状を呈する複数のセルの組み合わせによって構成されている。第1の工程では、パラメータa,b,nをそれぞれ、
a:セルの一辺の長さ
b:マーク用レーザビームのパルス直径
n:セル一つあたりのマーク用レーザビームの走査本数
と定義した場合に、式1を満たすように各セルにマーク用レーザビームが照射される。
b×n/a≧0.5 ・・・(1)
本開示の他の観点に係る金属製品は、下地領域及びマーキングの組み合わせにより所定模様をなす識別コードが金属部材の表面に形成された金属製品である。下地領域は、所定の第1の方向に沿って延びるレーザ溝が複数列並んで構成されている。マーキングは、第1の方向とは異なる所定の第2の方向に沿って延びるレーザ溝が複数列並んで構成されている。
本開示に係る金属製品の製造方法及び金属製品によれば、識別コードの読み取り性を高めることが可能となる。
図1は、回転子積層鉄心の一例を示す斜視図である。 図2は、図1のII−II線断面図である。 図3は、回転子積層鉄心に設けられた識別コードの一例を示す上面図である。 図4は、積層体(打抜部材)の表面プロファイルの一例を示す図である。 図5は、下地領域を部分的に拡大して示す写真である。 図6は、黒色セルの一例を示す模式図である。 図7は、黒色マーキングと下地領域との境界近傍を部分的に拡大して示す写真である。 図8は、識別コードの形成過程の一例を説明するための概略図である。 図9は、識別コードの読取方法を説明するための図である。 図10(a)は、一辺が0.15mm四方のセル一つに対するマーク用レーザビームの走査本数と、当該走査本数にて形成された識別コードの読取成功率との関係を示すグラフである。図10(b)は、一辺が0.285mm四方のセル一つに対するマーク用レーザビームの走査本数と、当該走査本数にて形成された識別コードの読取成功率との関係を示すグラフである。 図11は、カメラによる識別コードの撮像画像の一例を示す図である。 図12は、識別コードの形成過程の他の例を説明するための概略図である。 図13は、識別コードの形成過程の他の例を説明するための概略図である。 図14は、識別コードの形成過程の他の例を説明するための概略図である。 図15は、識別コードの形成過程の他の例を説明するための概略図である。
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。
≪実施形態の概要≫
[1]本実施形態の一つの例に係る金属製品の製造方法は、下地用レーザビームを金属部材の表面に照射しつつ所定の第1の方向に沿って走査することを複数列繰り返して、金属部材の表面に下地領域を形成する第1の工程と、マーク用レーザビームを金属部材の表面に照射しつつ所定の第2の方向に沿って走査することを複数列繰り返してマーキングを形成する第2の工程とを含む。第2の方向は第1の方向と異なる。下地領域及びマーキングの組み合わせにより所定模様をなす識別コードが構成される。
本実施形態の一つの例に係る金属製品の製造方法では、金属部材の表面に下地領域を形成する第1の工程と、金属部材の表面にマーキングを形成する第2の工程とが行われる。これにより、マーキングと下地領域との組み合わせからなる識別コードが金属部材の表面に形成された金属製品が得られる。そのため、表面が均一化された下地領域に囲まれる領域内にマーキングが存在することとなる。従って、マーキングと下地領域との間でのコントラストが向上する。その結果、識別コードの読み取り性を高めることが可能となる。
また、本実施形態の一つの例に係る金属製品の製造方法では、下地用レーザビームを第1の方向に沿って走査することを複数列繰り返すことにより下地領域を形成すると共に、マーク用レーザビームを第2の方向に沿って走査することを複数列繰り返すことによりマーキングを形成している。すなわち、下地領域をなすレーザ溝は、どの列についても、同じ第1の方向に延びている。そのため、下地領域への入射光はいずれも略同じ方向に反射しやすくなる。同様に、マーキングをなすレーザ溝は、どの列についても、同じ第2の方向に延びている。そのため、マーキングへの入射光はいずれも略同じ方向に反射しやすくなる。従って、マーキングと下地領域との間でのコントラストがより向上する。その結果、識別コードの読み取り性をより高めることが可能となる。
さらに、本実施形態の一つの例に係る金属製品の製造方法では、マーク用レーザビームの走査方向である第2の方向が、下地用レーザビームの走査方向である第1の方向と異なる方向である。そのため、下地領域からの反射光の方向とマーキングからの反射光の方向とが異なる方向となる。従って、マーキングと下地領域との間でのコントラストがさらに向上する。その結果、識別コードの読み取り性をさらに高めることが可能となる。
[2]上記第1項に記載の方法において、第2の工程では、第1の工程で形成された下地領域上にマーク用レーザビームを照射することによりマーキングを形成してもよい。
[3]上記第1項に記載の方法において、下地領域とマーキングとはそれぞれ、互いに重ならない領域に形成されてもよい。
[4]上記第1項〜第3項のいずれか一項に記載の方法において、第2の方向は第1の方向と交差していてもよい。この場合、マーキングと下地領域との間でのコントラストがいっそう向上する。その結果、識別コードの読み取り性をいっそう高めることが可能となる。
[5]上記第1項〜第4項のいずれか一項に記載の方法において、下地用レーザビーム及びマーク用レーザビームはそれぞれパルス状のレーザ光であり、下地用レーザビームは、第1の方向においてスポット径以下の送りピッチで且つ列方向においてスポット径以下の配列ピッチで走査され、マーク用レーザビームは、第2の方向においてスポット径以下の送りピッチで且つ列方向において所定の配列ピッチで走査されてもよい。
[6]上記第5項に記載の方法において、マーキングは、正方形状を呈する複数のセルの組み合わせによって構成されており、第2の工程では、パラメータa,b,nをそれぞれ、
a:セルの一辺の長さ
b:マーク用レーザビームのパルス直径
n:セル一つあたりのマーク用レーザビームの走査本数
と定義した場合に、式2を満たすように各セルにマーク用レーザビームが照射されてもよい。
b×n/a≧0.5 ・・・(2)
この場合、マーキングを構成する一つのセルの面積に対する第2のレーザビームの照射総面積の割合、すなわち一つのセルに対する第2のレーザビームによる塗りつぶし率(以下、単に「塗りつぶし率」ということがある。)が、50%以上である。そのため、各セルの塗りつぶし率が比較的大きいので、マーキングと下地領域との間でのコントラストがよりいっそう向上する。その結果、識別コードの読み取り性をよりいっそう高めることが可能となる。
[7]上記第6項に記載の方法において、第2の工程では、式3を満たすように各セルにマーク用レーザビームが照射されてもよい。
b×n/a≧1 ・・・(3)
この場合、塗りつぶし率が100%以上となる。そのため、各セルの塗りつぶし率が十分大きいので、マーキングと下地領域との間でのコントラストが極めて向上する。その結果、識別コードの読み取り性を極めて高めることが可能となる。
[8]上記第1項〜第7項のいずれか一項に記載の方法において、マーキングは、マーク用レーザビームにより金属部材の表面が酸化してなる黒色マーキングであってもよい。
[9]本実施形態の他の例に係る金属製品の製造方法は、パルス状のレーザ光であるマーク用レーザビームを金属部材の表面に照射しつつ所定の第1の方向に沿って走査することを複数列繰り返してマーキングを形成する第1の工程を含む。マーク用レーザビームは、第1の方向においてスポット径以下の送りピッチで且つ列方向において所定の配列ピッチで走査される。マーキングは、正方形状を呈する複数のセルの組み合わせによって構成されている。第1の工程では、パラメータa,b,nをそれぞれ、
a:セルの一辺の長さ
b:マーク用レーザビームのパルス直径
n:セル一つあたりのマーク用レーザビームの走査本数
と定義した場合に、式4を満たすように各セルにマーク用レーザビームが照射される。
b×n/a≧0.5 ・・・(4)
本実施形態の他の例に係る金属製品の製造方法では、式4を満たすように各セルにマーク用レーザビームが照射される。そのため、塗りつぶし率が50%以上である。従って、各セルの塗りつぶし率が比較的大きいので、マーキングとその周囲の領域との間でのコントラストがよりいっそう向上する。その結果、識別コードの読み取り性をよりいっそう高めることが可能となる。
[10]上記第9項に記載の方法において、第1の工程では、式5を満たすように各セルにマーク用レーザビームが照射されてもよい。
b×n/a≧1 ・・・(5)
この場合、上記第5項に係る方法と同様の作用効果が得られる。
[11]上記第9項又は第10項に記載の方法は、第1の工程の前に、下地用レーザビームを金属部材の表面に照射しつつ所定の第2の方向に沿って走査することを複数列繰り返して、金属部材の表面に下地領域を形成する第2の工程をさらに含み、下地領域及びマーキングの組み合わせにより所定模様をなす識別コードが構成され、第1の工程では、マーク用レーザビームを下地領域上に照射してもよい。この場合、上記第1項に係る方法と同様の作用効果が得られる。
[12]上記第9項又は第10項に記載の方法は、下地用レーザビームを、金属部材の表面に照射しつつ所定の第2の方向に沿って走査することを複数列繰り返して、金属部材の表面に下地領域を形成する第2の工程をさらに含み、下地領域及びマーキングの組み合わせにより所定模様をなす識別コードが構成され、下地領域とマーキングとはそれぞれ、互いに重ならない領域に形成されてもよい。この場合、上記第1項に係る方法と同様の作用効果が得られる。
[13]上記第11項又は第12項に記載の方法において、第1の方向は第2の方向と交差していてもよい。この場合、上記第4項に係る方法と同様の作用効果が得られる。
[14]上記第11項〜第13項のいずれか一項に記載の方法において、下地用レーザビームは、パルス状のレーザ光であり、第2の方向においてスポット径以下の送りピッチで且つ列方向においてスポット径以下の配列ピッチで走査されてもよい。
[15]上記第9項〜第14項のいずれか一項に記載の方法において、マーキングは、マーク用レーザビームにより金属部材の表面が酸化してなる黒色マーキングであってもよい。
[16]本実施形態の他の例に係る金属製品は、下地領域及びマーキングの組み合わせにより所定模様をなす識別コードが金属部材の表面に形成された金属製品であって、下地領域は、所定の第1の方向に沿って延びるレーザ溝が複数列並んで構成されており、マーキングは、第1の方向とは異なる所定の第2の方向に沿って延びるレーザ溝が複数列並んで構成されている。本実施形態の他の例に係る金属製品は、上記第1項に係る方法と同様の作用効果を奏する。
[17]上記第16項に記載の金属製品において、第2の方向は第1の方向と交差していてもよい。この場合、上記第2項に係る方法と同様の作用効果が得られる。
[18]上記第17項に記載の金属製品において、下地領域は、第1の方向においてパルス痕がスポット径以下の送りピッチで並び且つ列方向においてパルス痕がスポット径以下の配列ピッチで並んで構成されており、マーキングは、第2の方向においてパルス痕がスポット径以下の送りピッチで並び且つ列方向においてパルス痕が所定の配列ピッチで並んで構成されていてもよい。
[19]上記第16項〜第18項のいずれか一項に記載の金属製品において、マーキングは、金属部材の表面が酸化してなる黒色マーキングであってもよい。
≪実施形態の例示≫
以下に、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつより詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[回転子積層鉄心の構成]
まず、図1及び図2を参照して、金属製品の一例である回転子積層鉄心1の構成について説明する。回転子積層鉄心1は、回転子(ロータ)の一部である。回転子は、回転子積層鉄心1に端面板及びシャフト(共に図示せず)が取り付けられてなる。回転子積層鉄心1は、図1に示されるように、積層体2(金属部材)と、カシメ部3と、識別コード10とを備える。
積層体2は、円筒形状を呈している。すなわち、積層体2の中央部分には、図1に示されるように、中心軸Axに沿って延びる貫通孔2a(中心孔)が設けられている。貫通孔2a内には、シャフトが配置可能である。
積層体2は、複数の打抜部材Wが積み重ねられた積層体2である。打抜部材Wは、電磁鋼板(金属板)が所定形状に打ち抜かれた板状体である。電磁鋼板は圧延ロールによって圧延されて得られるので、打抜部材Wの表面には圧延痕が生じていることがある。積層体2は、打抜部材W同士の角度を相対的にずらしながら複数の打抜部材Wを積層する、いわゆる転積によって構成されていてもよい。転積の角度は、任意の大きさに設定してもよい。
本実施形態において、積層方向において隣り合う打抜部材W同士は、カシメ部3によって締結されている。具体的には、カシメ部3は、図2に示されるように、積層体2の最下層以外をなす打抜部材Wに形成されたカシメ3aと、積層体2の最下層をなす打抜部材Wに形成された貫通孔3bとを有する。カシメ3aは、打抜部材Wの表面側に形成された凹部と、打抜部材Wの裏面側に形成された凸部とで構成されている。一の打抜部材Wのカシメ3aの凹部は、当該一の打抜部材Wの表面側に隣り合う他の打抜部材Wのカシメ3aの凸部と接合される。一の打抜部材Wのカシメ3aの凸部は、当該一の打抜部材Wの裏面側において隣り合う更に他の打抜部材Wのカシメ3aの凹部と接合される。貫通孔3bには、積層体2の最下層に隣接する打抜部材Wのカシメ3aの凸部が接合される。貫通孔3bは、積層体2を連続して製造する際、既に製造された積層体2に対し、続いて形成された打抜部材Wがカシメ3aによって締結されるのを防ぐ機能を有する。
複数の打抜部材W同士は、カシメ部3に代えて、種々の公知の方法にて締結されてもよい。複数の打抜部材W同士は、例えば、接着剤又は樹脂材料を用いて互いに接合されてもよいし、溶接によって互いに接合されてもよい。あるいは、打抜部材Wに仮カシメを設け、仮カシメを介して複数の打抜部材Wを締結して積層体を得た後、仮カシメを当該積層体から除去することによって、積層体2を得てもよい。なお、「仮カシメ」とは、複数の打抜部材Wを一時的に一体化させるのに使用され且つ製品(積層体2)を製造する過程において取り除かれるカシメを意味する。
積層体2には、中心軸Axの延在方向(積層方向)に沿って延びると共に自身を貫通する少なくとも一つの磁石挿入孔(図示せず)が設けられていてもよい。磁石挿入孔内には、永久磁石(図示せず)が配置された状態で、樹脂材料が充填されていてもよい。樹脂材料は、永久磁石を磁石挿入孔内において固定する機能と、上下方向で隣り合う打抜部材W同士を接合する機能とを有する。
[識別コードの詳細]
図1に示されるように、積層体2の表面2b(上面又は下面)、すなわち、積層体2の最上層又は最下層をなす打抜部材Wの外表面には、一つの識別コード10が設けられている。識別コード10は、当該識別コード10を備える回転子積層鉄心1の個体(例えば、品種、製造日時、使用材料、製造ライン等)を識別するための個体情報を保持する機能を有する。識別コード10は、明模様と暗模様との組み合わせにより当該個体情報を保持することができれば特に限定されず、例えば、バーコードであってもよいし、二次元コードであってもよい。二次元コードとしては、例えば、QRコード(登録商標)、DataMatrix、Vericode等であってもよい。識別コード10は、図3に詳しく示されるように、下地領域12と、黒色マーキング14とで構成されている。識別コード10は、これらの下地領域12及び黒色マーキング14の組み合わせにより、所定模様をなしている。
識別コード10は、図3に示されるように、仮想的な複数のセル16を有している。複数のセル16は、格子状に配列されており、全体として識別コード10の大きさに対応している。ただし、図3には各セル16を区画する格子状の線が示されているが、これらの線は、発明の理解促進のために便宜的に描いたものであり、実際の識別コード10には存在していない。セル16の大きさは、特に限定されず、要求される識別コード10の性能に応じて種々の大きさであってもよい。セル16の形状は、特に限定されず、例えば正方形状、矩形状、円形状、多角形状、その他の不定形状等であってもよい。本実施形態では、セル16は、例えば、0.15mm×0.15mmの正方形状、0.285mm×0.285mmの正方形状等に設定されている。本明細書において、下地領域12が形成されたセル16を白色セル16aと呼び、黒色マーキング14が形成されたセル16を黒色セル16bと呼ぶこととする。
下地領域12は、下地用レーザビームが積層体2の表面2bに照射されることで形成される。下地領域12の大きさは、特に限定されず、積層体2の大きさ、打抜部材Wの素材の種類、識別コード10の形成位置等に応じて種々の大きさであってもよい。下地領域12の形状は、特に限定されず、例えば正方形状、矩形状、円形状、多角形状、その他の不定形状等であってもよい。本実施形態では、下地領域12は、例えば、5mm×5mmの正方形状に設定されている。
下地領域12を形成するための下地用レーザビームとしては、例えば、YAGレーザ、YVOレーザ、ファイバレーザ等が挙げられる。下地用レーザビームは、連続波発振(CW:Continuous Wave)レーザであってもよいし、パルス発振レーザであってもよい。下地用レーザビームのビーム径(ビームが照射対象に至る前の光線の直径)、スポット径(下地用レーザビームが照射対象物に照射されたときの当該照射対象物の表面における光線の直径)及び出力は、特に限定されず、ビームの種類、打抜部材Wの素材の種類、打抜部材Wの厚さ等に応じて種々の大きさであってもよい。なお、下地用レーザビームが照射される照射対象物の素材の種類によってビームによる溶融状態が異なるので、ビーム径が同一であってもスポット径が変化しうる。
下地領域12は、積層体2(打抜部材W)の表面2bが下地用レーザビームによって処理されているので、図4に示されるように、極めて高い平坦性を有している。例えば、同図に示されるように、圧延痕が存在する打抜部材Wの表面には数μm〜数十μm程度の高さの凹凸が生じているが、下地領域12の表面に存在する凹凸の高さは1μm程度以下である。
下地領域12は、下地用レーザビームを積層体2(打抜部材W)の表面に照射しつつ所定の方向A(図8(a)参照)に沿って走査することが複数列繰り返されることにより構成されている。すなわち、下地領域12は、図5に示されるように、方向A(走査方向)に沿って延びるレーザ溝が複数列並んで構成されている。図5は、下地用レーザビームとしてパルス発振レーザを用いた場合のレーザ溝の様子を一例として示している。図5における一つのレーザ溝は、図5の左側から右側に向けて連なる複数のパルス痕(パルス状の下地用レーザビームが打抜部材Wの表面に照射されて生ずる痕)によって構成されている。すなわち、図5におけるレーザ溝は、下地用レーザビームが図5の左側から右側に向けて走査することによって形成されている。
下地用レーザビームの走査列が並ぶ方向(レーザ溝が並ぶ方向)である列方向において、下地用レーザビームの配列ピッチ(レーザ溝の配列ピッチ)は、下地用レーザビームのスポット径以下であってもよい。すなわち、列方向において隣り合うレーザ溝同士は、互いに少なくとも部分的に重なり合っている。下地用レーザビームがパルス発振レーザである場合、下地用レーザビームの走査方向において、パルス痕がスポット径以下の送りピッチで並んでいてもよい。
黒色マーキング14は、本実施形態では、マーク用レーザビームが下地領域12上に照射されることで形成される。黒色マーキング14は、マーク用レーザビームによって打抜部材Wが酸化し、黒色となったものである。黒色マーキング14は、所定の模様を呈しており、周囲の下地領域12と共に識別コード10を構成している。具体的には、黒色マーキング14は、図3に示されるように、セル16にマーク用レーザビームが照射されてセル16が黒色に塗りつぶされてなる複数の黒色セル16bの集合体である。
黒色マーキング14を形成するためのマーク用レーザビームとしては、例えば、YAGレーザ、YVOレーザ、ファイバレーザ等が挙げられる。マーク用レーザビームは、連続波発振レーザであってもよいし、パルス発振レーザであってもよい。マーク用レーザビームのビーム径(ビームが照射対象に至る前の光線の直径)、スポット径(マーク用レーザビームが照射対象物に照射されたときの当該照射対象物の表面における光線の直径)及び出力は、特に限定されず、ビームの種類、打抜部材Wの素材の種類、打抜部材Wの厚さ等に応じて種々の大きさであってもよい。ただし、マーク用レーザビームの出力は、下地用レーザビームの出力よりも大きく、例えば、下地用レーザビームの出力の10倍以上であってもよい。なお、マーク用レーザビームが照射される照射対象物の素材の種類によってビームによる溶融状態が異なるので、ビーム径が同一であってもスポット径が変化しうる。
黒色セル16bは、マーク用レーザビームを下地領域12に照射しつつ所定の方向B(図8(b)参照)に沿って走査することが複数列繰り返されることにより構成されている。すなわち、下地領域12は、図6及び図7に示されるように、方向B(走査方向)に沿って延びるレーザ溝が複数列並んで構成されている。図6及び図7は共に、マーク用レーザビームとしてパルス発振レーザを用いた場合のレーザ溝の様子を一例として示している。図6及び図7における一つのレーザ溝は、図6及び図7の上側から下側に向けて連なる複数のパルス痕(パルス状のマーク用レーザビームが下地領域12の表面に照射されて生ずる痕)によって構成されている。すなわち、図6及び図7におけるレーザ溝は、マーク用レーザビームが図6及び図7の上側から下側に向けて走査することによって形成されている。
マーク用レーザビームの走査列が並ぶ方向(レーザ溝が並ぶ方向)である列方向において、マーク用レーザビームの配列ピッチ(レーザ溝の配列ピッチ)は、所定の間隔となるように設定されていてもよい。例えば、当該配列ピッチは、図6(a)に示されるようにマーク用レーザビームのスポット径と略同一であってもよいし、図6(b)に示されるようにマーク用レーザビームのスポット径よりも大きくてもよいし、図6(c)に示されるようにマーク用レーザビームのスポット径よりも小さくてもよい。すなわち、列方向において隣り合うレーザ溝同士は、隣接していてもよいし(図6(a)参照)、離間していてもよいし(図6(b)参照)、互いに少なくとも部分的に重なり合っていてもよい(図6(c)参照)。マーク用レーザビームがパルス発振レーザである場合、マーク用レーザビームの走査方向において、パルス痕がスポット径以下の送りピッチで並んでいてもよい。
マーク用レーザビームの走査方向は、下地用レーザビームの走査方向と異なっていてもよい。すなわち、マーク用レーザビームの走査方向は、下地用レーザビームの走査方向と反対向きであってもよいし、交差していてもよい。図7に示される例では、マーク用レーザビームの走査方向は、下地用レーザビームの走査方向と直交している。
[識別コードの形成方法]
続いて、積層体2に識別コード10を形成する方法、すなわち回転子積層鉄心1の製造方法を説明する。まず、帯状の金属板である電磁鋼板(被加工板)から打抜部材Wを打ち抜きつつ積層することで、積層体2を形成する。
次に、図8(a)に示されるように、積層体2の表面2b(積層体2の最上層又は最下層をなす打抜部材Wの外表面)に、下地用レーザビームを用いて下地領域12を形成する。このとき、下地用レーザビームを所定の方向Aに沿って走査することを複数列繰り返すことにより、下地領域12が構成される。本実施形態では、識別コード10の形成予定領域の全域に対して下地用レーザビームを照射する。すなわち、本実施形態では、黒色マーキング14が形成される予定のセル16に対しても、下地用レーザビームを照射する。
次に、図8(b)に示されるように、形成予定の識別コード10に従い、複数のセル16のうち黒色セル16bとなるべきセル16を特定する。次に、下地領域12上に、マーク用レーザビームを用いて黒色マーキング14を形成する。具体的には、特定された各セル16に対して、方向Aとは異なる所定の方向Bに沿ってマーク用レーザビームを走査することを複数列繰り返すことにより、黒色マーキング14が構成される。
黒色マーキング14の形成時においては、パラメータa,b,nをそれぞれ、
a:セル16の一辺の長さ
b:マーク用レーザビームのパルス直径
n:セル16一つあたりのマーク用レーザビームの走査本数
と定義した場合に、式6を満たすように、特定された各セル16にマーク用レーザビームを照射してもよい。
b×n/a≧0.5 ・・・(6)
式6が満たされる場合とは、セル16の面積aに対するマーク用レーザビームの照射面積a×b×n(a×b×n/a)が0.5以上である場合である。そのため、式6が満たされる場合の各黒色セル16bの塗りつぶし率は50%以上となる(塗りつぶし率が57%程度の例として図6(b)を参照)。そのため、各黒色セル16bの塗りつぶし率が比較的大きいので、黒色マーキング14と下地領域12との間でのコントラストがよりいっそう向上する。従って、識別コード10の読み取り性をよりいっそう高めることが可能となる。
黒色マーキング14の形成時においては、パラメータa,b,nが式7、式8又は式9を満たすように、特定された各セル16にマーク用レーザビームを照射してもよい。
b×n/a≧1 ・・・(7)
b×n/a≧2 ・・・(8)
b×n/a≧3 ・・・(9)
式7が満たされる場合、各黒色セル16bの塗りつぶし率は100%以上となる(塗りつぶし率が100%程度の例として図6(a)を参照)。式8が満たされる場合、各黒色セル16bの塗りつぶし率は200%以上となる。式9が満たされる場合、各黒色セル16bの塗りつぶし率は300%以上となる(塗りつぶし率が300%程度の例として図6(c)を参照)。これらの場合、各黒色セル16bの塗りつぶし率が十分大きいので、黒色マーキング14と下地領域12との間でのコントラストが極めて向上する。従って、識別コード10の読み取り性を極めて高めることが可能となる。
なお、長さaは、例えば、識別コード10(下地領域12)の大きさ、識別コード10が保持するデータ容量等に基づいて決定される。パルス直径bは、マーク用レーザビームの出力、照射対象物(積層体2)の材質等に基づいて決定される。
以上の工程を経て積層体2の表面2bに識別コード10が形成されると、回転子積層鉄心1が完成する。
[識別コードの読取方法]
続いて、識別コード10の読取方法について説明する。識別コード10は、例えば図9に示される読取装置20を用いて読み取られる。読取装置20は、搬送コンベア22と、読取用のカメラ24と、コントローラ26とを備える。
搬送コンベア22は、コントローラ26からの指示に基づいて動作し、載置されている回転子積層鉄心1を所定方向に搬送する機能を有する。カメラ24は、搬送コンベア22の上方に位置している。カメラ24は、コントローラ26からの指示に基づいて動作し、搬送コンベア22によって搬送されている回転子積層鉄心1がカメラ24の下方を通過する際に、識別コード10を撮像する。コントローラ26は、カメラ24によって撮像された撮像画像データを処理し、識別コード10を読み取る。コントローラ26は、識別コード10を読み取れなかったと判断した場合、回転子積層鉄心1がカメラ24による撮像範囲に存在する限り、カメラ24に識別コード10を繰り返し撮像させる。
ここで、スポット径が30μmのパルス発振レーザであるマーク用レーザビームを正方形状のセル16に対して照射することにより、下地領域12内に黒色マーキング14を形成し、得られた識別コード10を所定の方向から(ただし真上からではない)カメラ24によって読み取り、その読取成功率をセル16の大きさ及び走査本数を変化させながら測定する試験を行った。なお、本明細書において、「読取成功率」とは、識別コード10をカメラ24で50回読み取った場合に、カメラ24による読み取りが成功した割合をいう。
図10(a)に、セル16の一辺を0.15mmとし、マーク用レーザビームの走査本数を4本〜32本(ただし、16本以降は偶数本のみ)の間で変化させたときの結果を示す。走査本数が4本(塗りつぶし率が80%)の場合、読取成功率が35%であった。走査本数が5本(塗りつぶし率が100%)の場合、読取成功率が37%であった。走査本数が6本(塗りつぶし率が120%)の場合、読取成功率が39%であった。走査本数が7本(塗りつぶし率が140%)の場合、読取成功率が42%であった。走査本数が8本(塗りつぶし率が160%)の場合、読取成功率が45%であった。走査本数が9本(塗りつぶし率が180%)の場合、読取成功率が72%であった。走査本数が10本以上(塗りつぶし率が200%以上)の場合、読取成功率が100%であった。
図10(b)に、セル16の一辺を0.285mmとし、マーク用レーザビームの走査本数を6本〜32本(ただし、16本以降は偶数本のみ)の間で変化させたときの結果を示す。走査本数が6本(塗りつぶし率が63%)の場合、読取成功率が33%であった。走査本数が7本(塗りつぶし率が73.7%)の場合、読取成功率が35%であった。走査本数が8本(塗りつぶし率が84.2%)の場合、読取成功率が42%であった。走査本数が9本(塗りつぶし率が94.7%)の場合、読取成功率が44%であった。走査本数が10本(塗りつぶし率が105.3%)の場合、読取成功率が44%であった。走査本数が11本(塗りつぶし率が115.8%)の場合、読取成功率が43%であった。走査本数が12本(塗りつぶし率が126.3%)の場合、読取成功率が56%であった。走査本数が13本(塗りつぶし率が136.8%)の場合、読取成功率が56%であった。走査本数が14本(塗りつぶし率が147.4%)の場合、読取成功率が60%であった。走査本数が15本(塗りつぶし率が157.9%)の場合、読取成功率が57%であった。走査本数が16本(塗りつぶし率が168.4%)の場合、読取成功率が62%であった。走査本数が18本(塗りつぶし率が189.4%)の場合、読取成功率が80%であった。走査本数が20本以上(塗りつぶし率が210.5%以上)の場合、読取成功率が100%であった。
以上の試験結果より、塗りつぶし率が50%以上であると、少なくとも30%の確率で識別コード10の読み取りが成功であることが確認された。
[作用]
以上のような本実施形態では、まず積層体2の表面2bに下地領域12を形成し、その後、下地領域12内に黒色マーキング14を形成している。これにより、黒色マーキング14と下地領域12との組み合わせからなる識別コード10が積層体2の表面2bに形成された回転子積層鉄心1が得られる。そのため、表面2bが均一化された下地領域12内に黒色マーキング14が存在することとなる。従って、黒色マーキング14と下地領域12との間でのコントラストが向上する。その結果、識別コード10の読み取り性を高めることが可能となる。
本実施形態では、下地用レーザビームを方向Aに沿って走査することを複数列繰り返すことにより下地領域12を形成すると共に、マーク用レーザビームを方向Aとは異なる方向Bに沿って走査することを複数列繰り返すことにより黒色マーキング14を形成している。すなわち、下地領域12をなすレーザ溝は、どの列についても、同じ方向Aに延びている。そのため、下地領域12への入射光はいずれも略同じ方向に反射しやすくなる。同様に、黒色マーキング14をなすレーザ溝は、どの列についても、同じ方向Bに延びている。そのため、黒色マーキング14への入射光はいずれも略同じ方向に反射しやすくなる。従って、黒色マーキング14と下地領域12との間でのコントラストがより向上する。その結果、識別コード10の読み取り性をより高めることが可能となる。
本実施形態では、マーク用レーザビームの走査方向である方向Bは、下地用レーザビームの走査方向である方向Aと交差(直交)している。そのため、下地領域12からの反射光の方向と黒色マーキング14からの反射光の方向とが異なる方向となる。従って、黒色マーキング14と下地領域12との間でのコントラストがさらに向上する。その結果、識別コード10の読み取り性をさらに高めることが可能となる。なお、マーク用レーザビームの走査方向である方向Bが、下地用レーザビームの走査方向である方向Aと同じであると、図11に示されるように、コントラストが低下すると共に識別コード10の撮像画像が不鮮明となり得る。
本発明によれば、黒色マーキング14とその周囲とのコントラストが高められるので、識別コード10に対向する位置からのみならず、斜め方向からも識別コード10をカメラ24により撮像することができる。特に、回転子積層鉄心1は、その後の工程において貫通孔2aにシャフトが挿通される等により形態が変化するので、カメラ24による識別コード10の撮像方向が限定される傾向にあるが、本発明によれば、種々の方向から識別コード10を読み取ることが可能となる。
[他の実施形態]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、識別コード10は、下地領域12及び黒色マーキング14の組み合わせによって構成されていればよい。すなわち、上記の実施形態のように、下地領域12上に黒色マーキング14が形成されていてもよい。あるいは、下地領域12と黒色マーキング14とが互いに重なり合わないように形成されていてもよい。ただし、下地用レーザビーム及びマーク用レーザビームの照射誤差により生ずる下地領域12と黒色マーキング14との多少の重なり合いは許容される。
具体的には、まず、図12(a)に示されるように、下地用レーザビームを、識別コード10のうち下地領域12が形成される予定のセル16に対してのみ照射しつつ方向Aに沿って走査することを複数列繰り返し、白色セル16aのみを得る。次に、図12(b)に示されるように、マーク用レーザビームを、識別コード10のうち黒色マーキング14が形成される予定のセル16に対してのみ照射しつつ方向Bに沿って走査することを複数列繰り返し、黒色セル16bのみを得る。これにより、下地領域12と黒色マーキング14とが、互いにほぼ重なり合わない状態で個別に形成される。
あるいは、まず、図13(a)に示されるように、マーク用レーザビームを、識別コード10のうち黒色マーキング14が形成される予定のセル16に対してのみ照射しつつ方向Bに沿って走査することを複数列繰り返し、黒色セル16bのみを得る。次に、図13(b)に示されるように、下地用レーザビームを、識別コード10のうち下地領域12が形成される予定のセル16に対してのみ照射しつつ方向Aに沿って走査することを複数列繰り返し、白色セル16aのみを得る。これにより、下地領域12と黒色マーキング14とが、互いにほぼ重なり合わない状態で個別に形成される。
マーク用レーザビームの走査方向である方向Bは、下地用レーザビームの走査方向である方向Aと交差していなくてもよい。例えば、方向Bは、方向Aと略同一方向であってもよいし、略逆方向であってもよい。
下地領域12を形成する際の下地用レーザビームの走査方向は、方向Aに限られず種々の方向であってもよく、例えば、蛇行状であってもよいし、往路と復路とで正反対の向きであってもよいし(図14参照)、渦巻状であってもよい(図15参照)。下地用レーザビームの走査方向が往路と復路とで正反対の向きである場合、下地領域12は、方向A1とその正反対の向きの方向A2とで往復するように下地用レーザビームを走査することにより形成される(図14(a)参照)。その後、方向A1,A2とは異なる方向Bに沿ってマーク用レーザビームを走査することにより、黒色マーキング14が形成される(図14(b)参照)。下地用レーザビームの走査方向が渦巻状である場合、下地領域12は、方向A1に沿って下地用レーザビームを走査することと、その終点から方向A1と直交する方向A2に沿って下地用レーザビームを走査することと、その終点から方向A2と直交する方向A3に沿って下地用レーザビームを走査することと、その終点から方向A3と直交する方向A4に沿って下地用レーザビームを走査することとを繰り返すことにより形成される(図15(a)参照)。その後、方向A1,A3とは異なる方向Bに沿ってマーク用レーザビームを走査することにより、黒色マーキング14が形成される(図15(b)参照)。同様に、黒色マーキング14を形成する際のマーク用レーザビームの走査方向は、方向Bに限られず種々の方向であってもよく、例えば、蛇行状であってもよいし、往路と復路とで正反対の向きであってもよいし、渦巻状であってもよい。
黒色セル16b内におけるレーザ溝の配列ピッチは、一定であってもよいし、不定であってもよい。すなわち、隣り合うレーザ溝の間隔は、等間隔であってもよいし、等間隔でなくてもよい。隣り合うレーザ溝の間隔が等間隔でない場合、レーザ溝がセル16内においてある程度均等に割り振られていればよい。
積層体2の表面2bに、下地領域12を形成せず、黒色マーキング14を直接形成してもよい。
識別コード10の読取成功率が0%を超えるのであれば、各黒色セル16bにおいて、塗りつぶし率が50%未満であってもよい。
積層体2内に永久磁石が設けられている場合、磁石の減磁を抑制するために、積層体2の両端面にそれぞれ、例えばステンレス製の金属端板を配置し、当該端板に識別コード10を設けるようにしてもよい。金属端板には所定の表面処理がなされることがあり、金属端板の表面の光沢が不均一になったり、金属端板の表面が鏡面状態となったりすることがある。しかしながら、このような場合であっても、本発明によれば黒色マーキング14とその周囲とのコントラストが高められるので、識別コード10の読み取り性を高めることが可能となる。
カメラ24によって識別コード10を撮像する際に、識別コード10の鮮明な撮像画像が得られるよう、照明等の撮像条件を適宜変更してもよい。
識別コード10は、白色セル16a及び黒色セル16bの組み合わせ以外によって構成されていてもよい。すなわち、識別コード10は、コントラストを高めることができれば、白色及び黒色の他に、他の種々の色を組み合わせて構成されていてもよい。例えば、識別コード10は、階層化二次元コード(色情報を多層化してなる二次元形状コード)であってもよい。階層化二次元コードとしては、例えば、PMコード(登録商標)等であってもよい。
回転子積層鉄心1のみならず、固定子積層鉄心に対して本発明を適用してもよいし、その他の種々の金属製品に対して本発明を適用してもよい。
1…回転子積層鉄心(金属製品)、2…積層体(金属部材)、2b…表面、10…識別コード、12…下地領域、14…黒色マーキング、16…セル、16a…白色セル、16b…黒色セル、20…読取装置、24…カメラ、26…コントローラ、W…打抜部材(金属部材)。

Claims (6)

  1. パルス状のレーザ光であるマーク用レーザビームを金属部材の表面に照射しつつ所定の第1の方向に沿って走査することを複数列繰り返して、前記第1の方向に沿って延びるレーザ溝が複数列並んで構成されたマーキングを形成する第1の工程を含み、
    前記マーク用レーザビームは、前記第1の方向においてスポット径以下の送りピッチで且つ列方向においてスポット径以下の配列ピッチで走査され、
    前記マーキングは、正方形状を呈する複数のセルの組み合わせによって構成されており、
    前記第1の工程では、パラメータa,b,nをそれぞれ、
    a:前記セルの一辺の長さ
    b:前記マーク用レーザビームのパルス直径
    n:前記セル一つあたりの前記マーク用レーザビームの走査本数
    と定義した場合に、式1を満たし且つ前記列方向において隣り合う前記レーザ溝同士が互いに重なり合うように、前記各セルに前記マーク用レーザビームが照射される、金属製品の製造方法。
    b×n/a>1 ・・・(1)
  2. 前記列方向において隣り合う前記レーザ溝同士の間隔がいずれも略等しい、請求項1に記載の方法。
  3. 下地用レーザビームを、前記金属部材の表面に照射しつつ所定の第2の方向に沿って走査することを複数列繰り返して、前記第2の方向に沿って延びる別のレーザ溝が複数列並んで構成された下地領域を前記金属部材の表面に形成する第2の工程をさらに含み、
    前記下地領域及び前記マーキングの組み合わせにより所定模様をなす識別コードが構成され、
    前記識別コードは、明模様と暗模様との組み合わせにより金属製品の個体情報を保持するように構成された明暗模様(文字を除く)であり、
    前記下地領域と前記マーキングとはそれぞれ、互いに重ならない領域に形成される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 正方形状を呈する複数のセルの組み合わせによって構成されたマーキングが金属部材の表面に形成された金属製品であって、
    前記マーキングは、第1の方向に沿って延びるレーザ溝が複数列並んで構成されたものであって、前記第1の方向においてパルス痕がスポット径以下の送りピッチで並び且つ列方向においてパルス痕がスポット径以下の配列ピッチで並んで構成されたものであり、
    パラメータa,b1,n1をそれぞれ、
    a:前記セルの一辺の長さ
    b1:前記パルス痕の直径
    n1:前記セル一つあたりの前記レーザ溝の数
    と定義した場合に、式2を満たし且つ前記列方向において隣り合う前記レーザ溝同士が互いに重なり合っている、金属製品。
    b1×n1/a>1 ・・・(2)
  5. 前記列方向において隣り合う前記レーザ溝同士の間隔がいずれも略等しい、請求項4に記載の金属製品。
  6. 前記金属部材の表面のうち前記マーキングと重ならない領域に形成された下地領域と、前記マーキングとの組み合わせにより、所定模様をなす識別コードが金属部材の表面に形成されており、
    前記識別コードは、明模様と暗模様との組み合わせにより金属製品の個体情報を保持するように構成された明暗模様(文字を除く)であり、
    前記下地領域は、所定の第2の方向に沿って延びる別のレーザ溝が複数列並んで構成されている、請求項4又は5に記載の金属製品。
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