JP2021084336A - 液体吐出装置、及び駆動回路 - Google Patents

液体吐出装置、及び駆動回路 Download PDF

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Yoshihiro Ito
祐弘 伊東
梅田 篤
Atsushi Umeda
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Abstract

【課題】駆動回路が出力する駆動信号の波形異常を検出することが出来る液体吐出装置を提供する。【解決手段】駆動信号が供給されることで駆動する駆動素子を有し、駆動素子の駆動により液体を吐出する吐出ヘッドと、駆動信号を出力する駆動回路と、を備え、駆動回路は、駆動信号の基となる基駆動信号を変調し、変調信号を出力する変調回路と、変調信号を増幅し、増幅変調信号を出力する増幅回路と、増幅変調信号を復調し、駆動信号を出力する復調回路と、駆動信号に基づく帰還信号を変調回路に帰還する帰還回路と、駆動信号の信号波形に重畳し、駆動信号よりも周波数が高く、振幅の小さな振動波形を検出する検出回路52aと、を有する。【選択図】図12

Description

本発明は、液体吐出装置、及び駆動回路に関する。
液体としてのインクを吐出することで、媒体に画像や文書を印刷する液体吐出装置には、例えばピエゾ素子などの圧電素子を用いたものが知られている。圧電素子は、媒体に対してインクを吐出する複数のノズルのそれぞれに対応して設けられている。そして、各圧電素子が、駆動信号に従って駆動することで、対応するノズルから所定のタイミングで所定量のインクが吐出され、吐出されたインクが媒体に着弾することで、媒体の所望の位置にドットが形成される。
このような圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であり、そのため、複数のノズルに対応する複数の圧電素子を駆動させるためには、圧電素子に十分な電流を供給する必要がある。そこで、液体吐出装置は、圧電素子に十分な電流を供給するために、供給される原信号を増幅し、駆動信号として出力する増幅回路を備えた駆動信号出力回路を備える。このような駆動信号出力回路に含まれる増幅回路は、例えば、A級増幅回路、B級増幅回路、及びAB級増幅回路等が用いられてもよいが、消費電力低減の観点から、A級増幅回路、B級増幅回路、及びAB級増幅回路に対してエネルギー変換効率が優れているD級増幅回路が用いられる場合がある。
特許文献1には、圧電素子を駆動する駆動信号を出力する駆動回路であって、D級増幅回路を含んで構成された駆動回路を備え、圧電素子の駆動により液体を吐出する液体吐出装置が開示されている。
特開2016−112692号公報
しかしながら、特許文献1に記載の液体吐出装置では、駆動回路が、当該駆動回路の温度異常を検出するための温度検出部を備えているものの、出力される駆動信号に異常が生じているか否かを検出する構成を備えておらず、そのため、駆動信号の波形に異常が生じた場合に、印刷品質が低下するおそれがあった。すなわち、特許文献1に記載の液体吐出装置では、駆動回路が出力する駆動信号の波形異常を検出するといった観点において、改善の余地があった。
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
駆動信号が供給されることで駆動する駆動素子を有し、前記駆動素子の駆動により液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記駆動信号を出力する駆動回路と、
を備え、
前記駆動回路は、
前記駆動信号の基となる基駆動信号を変調し、変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を増幅し、増幅変調信号を出力する増幅回路と、
前記増幅変調信号を復調し、前記駆動信号を出力する復調回路と、
前記駆動信号に基づく帰還信号を前記変調回路に帰還する帰還回路と、
前記駆動信号の信号波形に重畳し、前記駆動信号よりも周波数が高く、振幅の小さな振動波形を検出する検出回路と、
を有する。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記検出回路は、前記振動波形の周波数、及び振幅の少なくとも一方を検出してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記信号波形は、台形波形を含み、
前記振動波形は、前記台形波形に重畳していてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記検出回路は、第1ハイパスフィルター回路を含んでもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1ハイパスフィルター回路のカットオフ周波数は、500kHz以上であってもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記帰還回路は、第2ハイパスフィルターを含んでもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記検出回路は、前記振動波形に基づいて前記帰還回路の異常を検出してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記検出回路の出力信号に基づいて、前記駆動信号に異常が生じたか否かを判定する判定回路を備え、
前記判定回路が、前記駆動信号に異常が生じたと判定した場合、前記駆動回路は、前記駆動信号の出力を停止してもよい。
本発明に係る駆動回路の一態様は、
駆動素子を駆動する駆動信号を出力する駆動回路であって、
前記駆動信号の基となる基駆動信号を変調し、変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を増幅し、増幅変調信号を出力する増幅回路と、
前記増幅変調信号を復調し、前記駆動信号を出力する復調回路と、
前記駆動信号に基づく帰還信号を前記変調回路に帰還する帰還回路と、
前記駆動信号の信号波形に重畳する振動波形を検出する検出回路と、
を備え、
前記振動波形の振幅は、前記信号波形の振幅よりも小さい。
液体吐出装置の内部の概略構成を示す図である。 液体吐出装置の電気的な構成を示す図である。 複数の吐出部の内の1つの概略構成を示す図である。 駆動信号COMA,COMBの波形の一例を示す図である。 駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。 選択制御回路、及び選択回路の構成を示す図である。 デコーダーにおけるデコード内容を示す図である。 選択回路の構成を示す図である。 選択制御回路、及び選択回路の動作を説明するための図である。 駆動信号出力回路の回路構成を示す図である。 電圧信号Asと変調信号Msとの波形を、アナログの基駆動信号aAとの波形と関連付けて示す図である。 駆動波形検出回路の構成の一例を示す図である。 駆動信号COMAが正常な場合の信号波形と、異常が生じた場合の信号波形との一例を示す図である。 駆動波形検出回路の動作を説明するための図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.液体吐出装置の構成
図1は、液体吐出装置1の内部の概略構成を示す図である。液体吐出装置1は、外部に設けられたホストコンピューターから供給された画像データに応じて液体としてのインクを吐出させることで、紙などの媒体Pにドットを形成し、これにより、供給される画像データに応じた画像を印刷するインクジェットプリンターである。なお、図1では、筐体やカバー等の液体吐出装置1の構成の一部の図示を省略している。
図1に示されるように、液体吐出装置1は、ヘッドユニット2を、主走査方向に移動させる移動機構3を備える。移動機構3は、ヘッドユニット2の駆動源となるキャリッジモーター31と、両端が固定されたキャリッジガイド軸32と、キャリッジガイド軸32とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター31により駆動されるタイミングベルト33と、を有する。また、移動機構3は、ヘッドユニット2の主走査方向における位置を検出するためのリニアエンコーダー90を備える。
ヘッドユニット2のキャリッジ24は、所定数のインクカートリッジ22を載置可能に構成されている。また、キャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に往復動自在に支持されると共に、タイミングベルト33の一部に固定されている。したがって、キャリッジモーター31によりタイミングベルト33を正逆走行させることで、ヘッドユニット2のキャリッジ24がキャリッジガイド軸32に案内されて往復動する。すなわち、キャリッジモーター31は、キャリッジ24を主走査方向に移動させる。また、キャリッジ24の媒体Pと対向する部分にはプリントヘッド20が取り付けられている。プリントヘッド20は、後述するように、多数のノズルを有し、各ノズルから所定のタイミングで所定量のインクを吐出する。以上のように動作するヘッドユニット2には、フレキシブルフラットケーブル190を介して各種制御信号が供給される。
また、液体吐出装置1は、媒体Pを副走査方向に搬送させる搬送機構4を備える。搬送機構4は、媒体Pを支持するプラテン43と、駆動源である搬送モーター41と、搬送モーター41により回転して、媒体Pを副走査方向に搬送する搬送ローラー42と、を備える。そして、媒体Pが、プラテン43によって支持された状態で、搬送機構4によって搬送されるタイミングに伴って、プリントヘッド20から媒体Pにインクが吐出されることで、媒体Pの表面に所望の画像が形成される。
ヘッドユニット2に含まれるキャリッジ24の移動範囲内における端部領域には、ヘッドユニット2の基点となるホームポジションが設定されている。ホームポジションには、プリントヘッド20のノズル形成面を封止するキャッピング部材70と、当該ノズル形成面を払拭するためのワイパー部材71とが配置されている。液体吐出装置1は、このホームポジションから反対側の端部へ向けてキャリッジ24が移動する往動時、及び反対側の端部からホームポジション側にキャリッジ24が移動する復動時の双方向で、媒体Pの表面に画像を形成する。
プラテン43の主走査方向の端部であって、キャリッジ24が移動するホームポジションから反対側の端部には、フラッシング動作の際にプリントヘッド20から吐出されたインクを捕集するフラッシングボックス72が配置されている。フラッシング動作とは、ノズル付近のインクの増粘によりノズルが目詰、ノズル内への気泡混入等により、適正な量のインクが吐出されなくなってしまうおそれを防止するために、画像データとは関係なく、強制的に各ノズルからインクを吐出させる動作である。なお、フラッシングボックス72は、プラテン43の主走査方向の両側に設けられていてもよい。
2.液体吐出装置の電気的構成
図2は、液体吐出装置1の電気的な構成を示す図である。図2に示すように、液体吐出装置1は、制御ユニット10と、ヘッドユニット2とを有する。制御ユニット10とヘッドユニット2とは、フレキシブルフラットケーブル190を介して電気的に接続されている。
制御ユニット10は、制御回路100、キャリッジモータードライバー35、及び搬送モータードライバー45を有する。制御回路100は、ホストコンピューターから供給される画像データに応じた制御信号を生成し、対応する構成に出力する。
具体的には、制御回路100は、リニアエンコーダー90の検出信号に基づいてヘッドユニット2の現在の走査位置を把握する。そして、制御回路100は、ヘッドユニット2の現在の走査位置に応じた制御信号CTR1,CTR2を生成する。制御信号CTR1は、キャリッジモータードライバー35に供給される。キャリッジモータードライバー35は、入力される制御信号CTR1に従ってキャリッジモーター31を駆動する。また、制御信号CTR2は、搬送モータードライバー45に供給される。搬送モータードライバー45は、入力される制御信号CTR2に従って搬送モーター41を駆動する。これにより、キャリッジ24の主走査方向への移動と、媒体Pの副走査方向の搬送とが制御される。
また、制御回路100は、外部に設けられたホストコンピューターから供給された画像データ、及びリニアエンコーダー90の検出信号に基づいてヘッドユニット2の現在の走査位置に応じた、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び基駆動信号dA,dBを生成し、ヘッドユニット2に出力する。
また、制御回路100は、メンテナンスユニット80に、吐出部600におけるインクの吐出状態を正常に回復させるためのメンテナンス処理を実行させる。メンテナンスユニット80は、メンテナンス処理として、吐出部600の内部に貯留される増粘したインクや気泡等を不図示のチューブポンプにより吸引するポンピング処理、上述したワイパー部材71によって、吐出部600が有するノズルの近傍に付着した紙粉等の異物を拭き取るワイピング処理等が含まれる。なお、制御回路100は、吐出部600におけるインクの吐出状態を正常に回復させるためのメンテナンス処理として、上述したフラッシング動作を実行させてもよい。
ヘッドユニット2は、駆動回路50、及びプリントヘッド20を有する。
駆動回路50は、駆動信号出力回路51a,51bと駆動波形検出回路52a,52bを有する。駆動信号出力回路51aには、デジタルの基駆動信号dAが入力される。駆動信号出力回路51aは、入力される基駆動信号dAをデジタル/アナログ変換し、変換されたアナログ信号をD級増幅することで、駆動信号COMAを生成し、プリントヘッド20に出力する。同様に、駆動信号出力回路51bには、デジタルの基駆動信号dBが入力される。駆動信号出力回路51bは、入力される基駆動信号dBをデジタル/アナログ変換し、変換されたアナログ信号をD級増幅することで、駆動信号COMBを生成し、プリントヘッド20に出力する。すなわち、基駆動信号dAは、駆動信号COMAの波形を規定し、基駆動信号dBは、駆動信号COMBの波形を規定する。したがって、基駆動信号dA,dBは、駆動信号COMA,COMBの波形を規定することが可能な信号であればよく、例えば、アナログの信号であってもよい。
駆動波形検出回路52aは、駆動信号出力回路51aが出力した駆動信号COMAの波形を検出する。そして、駆動波形検出回路52aは、駆動信号COMAの波形に異常が生じているか否かを示す判定結果信号CEAを出力する。駆動波形検出回路52aから出力された判定結果信号CEAは、フレキシブルフラットケーブル190を介して制御回路100に入力される。同様に、駆動波形検出回路52bは、駆動信号出力回路51bが出力した駆動信号COMBの波形を検出する。そして、駆動波形検出回路52bは、駆動信号COMBの波形に異常が生じているか否かを示す判定結果信号CEBを出力する。駆動波形検出回路52bから出力された判定結果信号CEBは、フレキシブルフラットケーブル190を介して制御回路100に入力される。
なお、駆動信号出力回路51a,51b、及び駆動波形検出回路52a,52bの詳細については後述する。また、図2の説明では、駆動回路50は、ヘッドユニット2に含まれるとして説明したが、駆動回路50は、制御ユニット10に含まれてもよい。この場合、駆動信号出力回路51a,51bのそれぞれから出力される駆動信号COMA,COMBが、フレキシブルフラットケーブル190を介してプリントヘッド20に供給され、駆動波形検出回路52a,52bのそれぞれから出力される判定結果信号CEA,CEBは、フレキシブルフラットケーブル190を介さずに制御回路100に供給される。
プリントヘッド20は、選択制御回路210と、複数の選択回路230と、複数の選択回路230のそれぞれに対応する複数の吐出部600と、を含む。選択制御回路210は、制御回路100から供給されるクロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHに基づいて、駆動信号COMA,COMBの波形を選択又は非選択とするための選択信号を生成し複数の選択回路230のそれぞれに出力する。
各選択回路230には、駆動信号COMA,COMBと、選択制御回路210が出力する選択信号が入力される。そして、選択回路230は、入力される選択信号に基づいて、駆動信号COMA,COMBの波形を選択又は非選択とすることで、駆動信号COMA,COMBに基づく駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600に出力する。
各吐出部600は、圧電素子60を含む。圧電素子60の一端には、対応する選択回路230から出力された駆動信号VOUTが供給される。また、圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが供給される。そして、吐出部600に含まれる圧電素子60は、一端に供給される駆動信号VOUTと、他端に供給される基準電圧信号VBSとの電位差に応じて駆動する。そして、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが吐出部600から吐出される。
以上のように、本実施形態にける液体吐出装置1は、駆動信号VOUTが供給されることで駆動する圧電素子60を有し、圧電素子60の駆動により液体としてのインクを吐出するプリントヘッド20と、駆動信号VOUTの基となる駆動信号COMA,COMBを出力する駆動回路50と、を備える。
ここで、圧電素子60を駆動する駆動信号VOUTが駆動信号の一例であり、また、駆動信号VOUTの基となる駆動信号COMA,COMBも駆動信号の一例である。そして、駆動信号VOUTが供給されることで駆動する圧電素子60が駆動素子の一例であり、圧電素子60の駆動によりインクを吐出するプリントヘッド20が吐出ヘッドの一例である。
3.吐出部の構成
図3は、プリントヘッド20が有する複数の吐出部600の内の1つの概略構成を示す図である。図3に示すように、吐出部600は、圧電素子60と、振動板621と、キャビティー631と、ノズル651とを含む。
キャビティー631には、リザーバー641から供給されるインクが充填している。また、リザーバー641には、インクカートリッジ22から不図示のインクチューブ、及び供給口661を経由してインクが導入される。すなわち、キャビティー631には、対応するインクカートリッジ22に貯留されているインクが充填している。
振動板621は、図3において上面に設けられた圧電素子60の駆動によって変位する。そして、振動板621の変位に伴って、インクが充填されるキャビティー631の内部容積が拡大、縮小する。すなわち、振動板621は、キャビティー631の内部容積を変化させるダイヤフラムとして機能する。
ノズル651は、ノズルプレート632に設けられると共に、キャビティー631に連通する開孔部である。そして、キャビティー631の内部容積が変化することで、内部容積の変化に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。
圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,612で挟んだ構造である。このような構造の圧電体601は、電極611,612により供給される電圧の電位差に応じて、電極611,612の中央部分が、振動板621と共に上下方向に撓む。具体的には、圧電素子60の電極611には、駆動信号VOUTが供給される。また、圧電素子60の電極612には、基準電圧信号VBSが供給される。そして、圧電素子60は、駆動信号VOUTの電圧レベルが高くなると、上方向に撓み、駆動信号VOUTの電圧レベルが低くなると、下方向に撓む。
以上のように構成された吐出部600では、圧電素子60が上方向に撓むことで、振動板621が変位し、キャビティー631の内部容積が拡大する。その結果、インクがリザーバー641から引き込まれる。一方、圧電素子60が下方向に撓むことで、振動板621が変位し、キャビティー631の内部容積が縮小する。その結果、縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。
すなわち、圧電素子60は、駆動信号VOUTが供給される電極611と、基準電圧信号VBSが供給される電極612との電位差に基づいて駆動する。なお、圧電素子60は、図3に示す構造に限られず、吐出部600からインクが吐出できる構造であればよい。したがって、圧電素子60は、上述した屈曲振動の構成に限られず、例えば、縦振動を用いる構成でもよい。
4.プリントヘッドの構成及び動作
次にプリントヘッド20の構成及び動作について説明する。前述の通り、プリントヘッド20は、駆動回路50から出力された駆動信号COMA,COMBを、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHに基づいて選択又は非選択とすることで、駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600に供給する。そこで、プリントヘッド20の構成及び動作を説明するにあたり、まず、駆動信号COMA,COMBの波形の一例、及び駆動信号VOUTの波形の一例について説明する。
図4は、駆動信号COMA,COMBの波形の一例を示す図である。図4に示すように、駆動信号COMAは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、チェンジ信号CHが立ち上がってからラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形を含む。台形波形Adp1は、ノズル651から、小程度の量のインクを吐出させるための波形であり、台形波形Adp2は、ノズル651から、小程度の量よりも多い中程度の量のインクを吐出させるための波形である。
また、駆動信号COMBは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形を含む。台形波形Bdp1は、ノズル651からインクを吐出させない波形であり、ノズル651の開孔部付近のインクを微振動させて、インク粘度の増大を防止するための波形である。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1と同様に、ノズル651から小程度の量のインクを吐出させる波形である。
なお、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれの開始タイミング及び終了タイミングでの電圧は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する波形となっている。また、期間T1と期間T2とからなる周期Taが、媒体Pに新たなドットを形成する印刷周期に相当する。
ここで、図4では、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが同じ波形であるとして図示しているが、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とは異なる波形であってもよい。また、台形波形Adp1が吐出部600に供給された場合と、台形波形Bdp1が吐出部600に供給された場合とでは、共に対応するノズルから小程度の量のインクが吐出されるとして説明を行うが、異なる量のインクが吐出されてもよい。すなわち、駆動信号COMA,COMBの波形は、図4に示す波形に限られるものではなく、プリントヘッド20が取り付けられるキャリッジ24の移動速度、インクカートリッジ22に貯留されるインクの性質、及び媒体Pの材質等に応じて、様々な波形が組み合わされてもよい。この駆動信号COMA,COMBに含まれる台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2の少なくともいずれかが信号波形の一例である。
図5は、駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。図5には、駆動信号VOUTの波形と、媒体Pに形成されるドットの大きさが「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のそれぞれの場合とを対比して示している。
図5に示すように、媒体Pに「大ドット」が形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが吐出部600に供給された場合、周期Taにおいて、対応するノズル651から、小程度の量のインクと中程度の量のインクとが吐出される。したがって、媒体Pには、それぞれのインクが着弾し合体することで大ドットが形成される。
媒体Pに「中ドット」が形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが吐出部600に供給された場合、周期Taにおいて、対応するノズル651から、小程度の量のインクが2回吐出される。したがって、媒体Pには、それぞれのインクが着弾し合体することで中ドットが形成される。
媒体Pに「小ドット」が形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが吐出部600に供給された場合、周期Taにおいて、対応するノズル651から、小程度の量のインクが吐出される。したがって、媒体Pには、このインクが着弾して小ドットが形成される。
媒体Pにドットを形成しない「非記録」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが吐出部600に供給された場合、周期Taにおいて、対応するノズル651の開孔部付近のインクが微振動するのみで、インクは吐出されない。したがって、媒体Pには、インクが着弾せずドットが形成されない。
ここで、電圧Vcで一定の波形とは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合において、直前の電圧Vcが容量性負荷である圧電素子60に保持された電圧からなる波形である。したがって、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合、電圧Vcが駆動信号VOUTとして吐出部600に供給されているといえる。
以上のような駆動信号VOUTは、選択制御回路210、及び選択回路230の動作により駆動信号COMA,COMBの波形が選択又は非選択されることにより生成される。
図6は、選択制御回路210、及び選択回路230の構成を示す図である。図6に示すように、選択制御回路210には、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKが入力される。選択制御回路210には、シフトレジスター(S/R)212とラッチ回路214とデコーダー216との組が、m個の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、選択制御回路210は、m個の吐出部600と同数のシフトレジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組を含む。
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期した信号であって、m個の吐出部600の各々に対して、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を含む、合計2mビットの信号である。入力される印刷データ信号SIは、m個の吐出部600に対応して、印刷データ信号SIに含まれる2ビット分の印刷データ[SIH,SIL]毎に、シフトレジスター212に保持される。具体的には、選択制御回路210は、m個の吐出部600に対応したm段のシフトレジスター212が互いに縦続接続されると共に、シリアルで入力された印刷データ信号SIが、クロック信号SCKに従って順次後段に転送される。なお、図6では、シフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが入力される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
m個のラッチ回路214の各々は、m個のシフトレジスター212の各々で保持された2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号LATの立ち上がりでラッチする。
図7は、デコーダー216におけるデコード内容を示す図である。デコーダー216は、ラッチ回路214によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]に従い選択信号S1,S2を出力する。例えば、デコーダー216は、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1の論理レベルを、期間T1,T2においてH,Lレベルとして出力し、選択信号S2の論理レベルを、期間T1,T2においてL,Hレベルとして選択回路230に出力する。
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、プリントヘッド20が有する選択回路230の数は、吐出部600の総数と同じm個である。図8は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。図8に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232a,232bとトランスファーゲート234a,234bとを有する。
選択信号S1は、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COMAが供給される。選択信号S2は、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COMBが供給される。そして、トランスファーゲート234a,234bの出力端が共通に接続され、駆動信号VOUTとして出力される。
具体的には、トランスファーゲート234aは、選択信号S1がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、選択信号S1がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。また、トランスファーゲート234bは、選択信号S2がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、選択信号S2がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。以上のように選択回路230は、選択信号S1,S2に基づいて駆動信号COMA,COMBの波形を選択することで、駆動信号VOUTを生成し出力する。
ここで、図9を用いて、選択制御回路210、及び選択回路230の動作について説明する。図9は、選択制御回路210、及び選択回路230の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期してシリアルで入力されて、吐出部600に対応するシフトレジスター212において順次転送される。そして、クロック信号SCKの入力が停止すると、各シフトレジスター212には、吐出部600の各々に対応した2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター212のm段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順に入力される。
そして、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、シフトレジスター212に保持されている2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、図9において、LT1、LT2、…、LTmは、1段、2段、…、m段のシフトレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を示す。
デコーダー216は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2のそれぞれにおいて、選択信号S1,S2の論理レベルを図7に示す内容で出力する。
具体的には、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Hレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択する。その結果、図5に示す「大ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Hレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Bdp2を選択する。その結果、図5に示す「中ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、図5に示す「小ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてL,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてH,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Bdp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、図5に示す「非記録」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
以上のように、選択制御回路210、及び選択回路230は、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKに基づいて、駆動信号COMA,COMBの波形を選択し、駆動信号VOUTとして吐出部600に出力する。
5.駆動回路の構成
次に、駆動回路50の構成、及び動作について説明する。前述の通り、駆動回路50は、駆動信号COMA,COMBを出力する駆動信号出力回路51a,51bと、駆動信号COMA,COMBの波形を検出する駆動波形検出回路52a,52bと、を備える。ここで、駆動信号出力回路51aと駆動信号出力回路51bとは入力される信号、及び出力する信号が異なるのみであり、同様の構成である。したがって、以下の説明では、駆動信号出力回路51aの構成、及び動作についてのみ説明を行い、駆動信号出力回路51bの構成、及び動作についての説明は省略する。また、駆動波形検出回路52a,52bとは検出する波形、及び出力する信号が異なるのみであり、同様の構成である。したがって、以下の説明では、駆動波形検出回路52aの構成、及び動作についてのみ説明を行い、駆動波形検出回路52bの構成、及び動作についての説明は省略する。
5.1 駆動信号出力回路の構成
まず、駆動信号COMAを出力する駆動信号出力回路51aの構成、及び動作について説明する。図10は、駆動信号出力回路51aの回路構成を示す図である。図10に示すように、駆動信号出力回路51aは、第1に基駆動信号dAをアナログ変換し、第2に出力の駆動信号COMAを帰還すると共に、当該駆動信号COMAに基づく減衰信号と目標信号との偏差を、当該駆動信号COMAの高周波成分で補正して、当該補正した信号に従って変調信号を生成する。そして、駆動信号出力回路51aは、第3に当該変調信号に従ってトランジスターM1,M2をスイッチングすることによって増幅変調信号AMsを生成し、第4に当該増幅変調信号AMsをローパスフィルターで平滑化することで復調し、当該復調した信号を駆動信号COMAとして出力する。
図10に示すように、駆動信号出力回路51aは、制御回路100から入力される駆動信号COMAの基となる基駆動信号dAを変調し、変調信号Msを出力する変調回路510を含む集積回路500と、変調信号Msを増幅し、増幅変調信号AMsを出力する増幅回路550と、増幅変調信号AMsを復調し、駆動信号COMAを出力する平滑回路560と、駆動信号COMAに基づく信号を変調回路510に帰還する第1帰還回路570、及び第2帰還回路572とを備える。ここで、平滑回路560が復調回路の一例であり、第2帰還回路572が帰還回路の一例である。そして、第2帰還回路572において集積回路500の端子Ifbに帰還される駆動信号COMAに基づく信号が、帰還信号の一例である。
具体的には、駆動信号出力回路51aは、集積回路500、出力回路580、第1帰還回路570、及び第2帰還回路572と、その他複数の回路素子と、を有する。
集積回路500は、端子In、端子Bst、端子Hdr、端子Sw、端子Gvd、端子Ldr、端子Gnd、及び端子Vbsを含む複数の端子を介して集積回路500の外部と電気的に接続されている。そして、集積回路500は、端子Inから入力される基駆動信号dAを変調し、出力回路580が有する増幅回路550に含まれるトランジスターM1,M2のそれぞれを駆動する。
図10に示すように集積回路500は、DAC(Digital to Analog Converter)511、変調回路510、ゲートドライブ回路520、基準電圧生成回路530、電源回路590を含む。
電源回路590は、第1電圧信号DAC_HVと第2電圧信号DAC_LVとを生成し、DAC511に供給する。
DAC511は、駆動信号COMAの波形を規定するデジタルの基駆動信号dAを、第1電圧信号DAC_HVと第2電圧信号DAC_LVとの間の電圧値のアナログ信号である基駆動信号aAに変換し、変調回路510に出力する。なお、基駆動信号aAの電圧振幅の最大値は、第1電圧信号DAC_HVで規定され、最小値は、第2電圧信号DAC_LVで規定される。すなわち、第1電圧信号DAC_HVは、DAC511における高電圧側の基準電圧であり、第2電圧信号DAC_LVは、DAC511における低電圧側の基準電圧となる。そして、アナログの基駆動信号aAを増幅したものが、駆動信号COMAとなる。つまり、基駆動信号aAは、駆動信号COMAの増幅前の目標となる信号に相当する。なお、本実施形態における基駆動信号aAの電圧振幅は、例えば、1V〜2Vである。
変調回路510は、基駆動信号aAを変調した変調信号Msを生成し、ゲートドライブ回路520を介して増幅回路550に出力する。変調回路510は、加算器512,513、コンパレーター514、インバーター515、積分減衰器516、及び減衰器517を含む。
積分減衰器516は、端子Vfbを介して入力された端子Outの電圧、すなわち、駆動信号COMAを減衰すると共に積分し加算器512の−側の入力端に供給する。また、加算器512の+側の入力端には基駆動信号aAが入力される。そして、加算器512は、+側の入力端に入力された電圧から−側の入力端に入力された電圧を差し引き積分した電圧を加算器513の+側の入力端に供給する。
ここで、基駆動信号aAの電圧振幅の最大値は、前述の通り2V程度であるのに対して、駆動信号COMAの電圧の最大値で40Vを超える場合がある。このため、積分減衰器516は、偏差を求めるにあたり両電圧の振幅範囲を合わせるために、端子Vfbを介して入力された駆動信号COMAの電圧を減衰させる。
減衰器517は、端子Ifbを介して入力した駆動信号COMAの高周波成分を減衰した電圧を、加算器513の−側の入力端に供給する。また、加算器513の+側の入力端には、加算器512から出力された電圧が入力される。そして、加算器513は、+側の入力端に入力された電圧から、−側の入力端に入力された電圧を減算した電圧信号Asを、コンパレーター514に出力する。
この加算器513から出力される電圧信号Asは、基駆動信号aAの電圧から、端子Vfbに供給された信号の電圧を差し引き、さらに、端子Ifbに供給された信号の電圧を差し引いた電圧である。このため、加算器513から出力される電圧信号Asの電圧は、目標である基駆動信号aAの電圧から、駆動信号COMAの減衰電圧を差し引いた偏差を、駆動信号COMAの高周波成分で補正した信号となる。
コンパレーター514は、加算器513から出力される電圧信号Asに基づいて、パルス変調した変調信号Msを出力する。具体的には、コンパレーター514は、加算器513から出力される電圧信号Asが電圧上昇時であれば、後述する閾値Vth1以上になった場合にHレベルとなり、電圧信号Asが電圧下降時であれば、後述する閾値Vth2を下回った場合にLレベルとなる変調信号Msを出力する。ここで閾値Vth1,Vth2は、閾値Vth1>閾値Vth2という関係に設定されている。なお、変調信号Msは、基駆動信号dA,aAに合わせて周波数やデューティー比が変化する。そのため、減衰器517が感度に相当する変調利得を調整することで、変調信号Msの周波数やデューティー比の変化量を調整することができる。
コンパレーター514から出力された変調信号Msは、ゲートドライブ回路520に含まれるゲートドライバー521に供給される。また、変調信号Msは、インバーター515により論理レベルが反転された後、ゲートドライブ回路520に含まれるゲートドライバー522にも供給される。すなわち、ゲートドライバー521とゲートドライバー522に供給される信号の論理レベルは、互いの排他的な関係にある。
ここで、ゲートドライバー521、及びゲートドライバー522に供給される信号の論理レベルは、同時にHレベルとはならないようにタイミングが制御されてもよい。すなわち、ここでいう排他的とは、厳密にいえば、ゲートドライバー521、及びゲートドライバー522に供給される信号の論理レベルが同時にHレベルになることがないことを意味し、詳細には、増幅回路550に含まれるトランジスターM1とトランジスターM2とが同時にオンすることがないことを意味する。
ところで、変調信号とは、狭義には、変調信号Msであるが、デジタルの基駆動信号dAに基づくアナログの基駆動信号aAに応じてパルス変調したものであると考えれば、変調信号Msの論理レベルが反転された信号も変調信号に含まれる。すなわち、変調回路510から出力される変調信号には、ゲートドライバー521に入力される変調信号Msのみならず、ゲートドライバー522に入力される変調信号Msの論理レベルが反転させた信号や、変調信号Msに対してタイミングが制御された信号も含まれる。
ゲートドライブ回路520は、ゲートドライバー521と、ゲートドライバー522とを含む。
ゲートドライバー521は、コンパレーター514から出力される変調信号Msをレベルシフトして、端子Hdrから第1増幅制御信号Vhdrとして出力する。ゲートドライバー521の電源電圧のうち高位側は、端子Bstを介して印加される電圧であり、低位側は、端子Swを介して印加される電圧である。端子Bstは、コンデンサーC5の一端及び逆流防止用のダイオードD1のカソードに接続される。端子Swは、コンデンサーC5の他端に接続される。ダイオードD1のアノードは、端子Gvdに接続される。これにより、ダイオードD1のアノードには、不図示の電源回路から供給される例えば7.5Vの直流電圧である電圧Vmが供給される。したがって、端子Bstと端子Swとの電位差は、コンデンサーC5の両端の電位差、すなわち電圧Vmにおよそ等しくなる。そして、ゲートドライバー521は、入力される変調信号Ms従う端子Swに対して電圧Vmだけ大きな電圧の第1増幅制御信号Vhdrを端子Hdrから出力する。
ゲートドライバー522は、ゲートドライバー521よりも低電位側で動作する。ゲートドライバー522は、コンパレーター514から出力された変調信号Msの論理レベルがインバーター515によって反転された信号をレベルシフトして、端子Ldrから第2増幅制御信号Vldrとして出力する。ゲートドライバー522の電源電圧のうち高位側は、電圧Vmが印加され、低位側は、端子Gndを介して例えば0Vのグラウンド電位が供給される。そして、ゲートドライバー522に入力される信号に従う端子Gndに対して電圧Vmだけ大きな電圧の第2増幅制御信号Vldrを端子Ldrから出力する。
基準電圧生成回路530は、圧電素子60の電極612に供給される、例えば6Vの直流電圧の基準電圧信号VBSを出力する。基準電圧生成回路530は、例えば、バンドギャップ・リファレンス回路を含む定電圧回路で構成される。なお、基準電圧信号VBSは、圧電素子60の駆動の基準となる電位の信号であって、例えばグラウンド電位の信号であってもよい。
出力回路580は、増幅回路550と平滑回路560とを有する。また、増幅回路550は、トランジスターM1とトランジスターM2とを含む。トランジスターM1のドレインには、例えば42Vの直流電圧である電圧VHVが供給される。トランジスターM1のゲートは、抵抗R1の一端と電気的に接続され、抵抗R1の他端は、集積回路500の端子Hdrと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM1のゲートには、集積回路500の端子Hdrから出力される第1増幅制御信号Vhdrが供給される。トランジスターM1のソースは、集積回路500の端子Swと電気的に接続されている。
トランジスターM2のドレインは、集積回路500の端子Swと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM2のドレインとトランジスターM1のソースとは、互いに電気的に接続されている。トランジスターM2のゲートは、抵抗R2の一端と電気的に接続され、抵抗R2の他端は、集積回路500の端子Ldrと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM2のゲートには、集積回路500の端子Ldrから出力される第2増幅制御信号Vldrが供給される。トランジスターM2のソースには、グラウンド電位が供給される。
以上のように構成された増幅回路550において、トランジスターM1がオフ、トランジスターM2がオンに制御されている場合、端子Swが接続されるノードの電圧は、グラウンド電位となる。したがって、端子Bstには電圧Vmが供給される。一方、トランジスターM1がオン、トランジスターM2がオフに制御されている場合、端子Swが接続されるノードの電圧は、電圧VHVとなる。したがって、端子Bstには電圧VHV+Vmの電位の電圧信号が供給される。
すなわち、トランジスターM1を駆動させるゲートドライバー521は、コンデンサーC5をフローティング電源として、トランジスターM1及びトランジスターM2の動作に応じて、端子Swの電位が0V又は電圧VHVに変化することで、Lレベルが電圧VHVの電位であって、且つ、Hレベルが電圧VHV+電圧Vmの電位の第1増幅制御信号VhdrをトランジスターM1のゲートに供給する。
一方、トランジスターM2を駆動させるゲートドライバー522は、トランジスターM1及びトランジスターM2の動作に関係なく、Lレベルがグラウンド電位であって、且つ、Hレベルが電圧Vmの電位の第2増幅制御信号VldrをトランジスターM2のゲートに供給する。
以上のように、増幅回路550は、トランジスターM1と、トランジスターM2とで基駆動信号dA,aAが変調された変調信号Msを増幅する。これにより、トランジスターM1のソース、及びトランジスターM2のドレインが共通に接続される接続点に増幅変調信号AMsを生成する。そして、増幅回路550で生成された増幅変調信号AMsは、平滑回路560に入力される。
平滑回路560は、増幅回路550から出力された増幅変調信号AMsを平滑することで、駆動信号COMAを生成し、駆動信号出力回路51aから出力する。平滑回路560は、コイルL1とコンデンサーC1とを含む。
コイルL1の一端には、増幅回路550から出力された増幅変調信号AMsが入力される。コイルL1の他端は、駆動信号出力回路51aの出力となる端子Outと接続されている。すなわち、駆動信号出力回路51aは、端子Outを介して選択回路230のそれぞれと接続されている。これにより、駆動信号出力回路51aから出力される駆動信号COMAが、選択回路230に供給される。また、コイルL1の他端は、コンデンサーC1の一端とも接続されている。そして、コンデンサーC1の他端には、グラウンド電位が供給されている。すなわち、コイルL1とコンデンサーC1とは、増幅回路550から出力される増幅変調信号AMsを平滑することにより復調し、復調された信号を駆動信号COMAとして出力する。
第1帰還回路570は、抵抗R3と抵抗R4とを含む。抵抗R3の一端は、駆動信号COMAが出力される端子Outと接続され、他端は、端子Vfb及び抵抗R4の一端と接続されている。抵抗R4の他端には電圧VHVが供給される。これにより、端子Vfbには、端子Outから第1帰還回路570を通過した駆動信号COMAがプルアップされた状態で帰還する。
第2帰還回路572は、コンデンサーC2,C3,C4と、抵抗R5,R6を含む。コンデンサーC2の一端は、駆動信号COMAが出力される端子Outと接続され、他端は、抵抗R5の一端、及び抵抗R6の一端と接続されている。抵抗R5の他端にはグラウンド電位が供給される。これにより、コンデンサーC2と抵抗R5とがハイパスフィルター(High Pass Filter)として機能する。なお、ハイパスフィルターのカットオフ周波数は、例えば約9MHzに設定される。すなわち、第2帰還回路572は、コンデンサーC2と抵抗R5とで構成されたハイパスフィルターを含む。このコンデンサーC2と抵抗R5とで構成されるハイパスフィルターが第2ハイパスフィルターの一例である。
また、第2帰還回路572が有する抵抗R6の他端は、コンデンサーC4の一端、及びコンデンサーC3の一端と接続されている。コンデンサーC3の他端には、グラウンド電位が供給される。これにより、抵抗R6とコンデンサーC3とは、ローパスフィルター(Low Pass Filter)として機能する。なお、LPFのカットオフ周波数は、例えば約160MHzに設定される。このように、第2帰還回路572がハイパスフィルターとローパスフィルターと備えて構成されることで、第2帰還回路572は、駆動信号COMAの所定の周波数域を通過させるバンドパスフィルター(Band Pass Filter)として機能する。換言すれば、第2帰還回路572は、コンデンサーC2と抵抗R5とで構成されたハイパスフィルターと、抵抗R6とコンデンサーC3とは、ローパスフィルターと、を含むバンドパスフィルターを含む。
そして、コンデンサーC4の他端は、集積回路500の端子Ifbと接続されている。これにより、端子Ifbには、バンドパスフィルターとして機能する第2帰還回路572を通過した駆動信号COMAの高周波成分のうち、直流成分がカットされた信号が帰還する。
ところで、端子Outから出力される駆動信号COMAは、増幅変調信号AMsを平滑回路560によって平滑された信号である。そして、駆動信号COMAは、端子Vfbを介して積分・減算された上で、加算器512に帰還される。よって、駆動信号出力回路51aは、帰還の遅延と、帰還の伝達関数で定まる周波数で自励発振する。
ただし、端子Vfbを介した帰還経路は、遅延量が大きいため、当該端子Vfbを介した帰還のみでは自励発振の周波数を駆動信号COMAの精度を十分に確保できるほど高くすることができない場合がある。そこで、端子Vfbを介した経路とは別に、端子Ifbを介して、駆動信号COMAの高周波成分を帰還する経路を設けることで、回路全体でみた場合における遅延を小さくしている。これにより、電圧信号Asの周波数は、端子Ifbを介した経路が存在しない場合と比較して、駆動信号COMAの精度を十分に確保できるほどに高くすることができる。
図11は、電圧信号Asと変調信号Msとの波形を、アナログの基駆動信号aAとの波形と関連付けて示す図である。
図11に示されるように、電圧信号Asは三角波であり、その発振周波数は、基駆動信号aAの電圧に応じて変動する。具体的には、当該電圧が中間値である場合に最も高くなり、電圧が中間値から高くなる又は低くなるにつれて低くなる。
また、電圧信号Asの三角波の傾斜は、当該電圧が中間値付近であれば当該電圧の上昇と下降とでほぼ等しくなる。このため、電圧信号Asをコンパレーター514の閾値Vth1、Vth2と比較することで得られる変調信号Msのデューティー比は、ほぼ50%となる。そして、電圧信号Asの電圧が中間値から高くなると、電圧信号Asの下りの傾斜が緩くなる。このため、変調信号MsがHレベルとなる期間は相対的に長くなり、変調信号Msのデューティー比が大きくなる。一方、電圧信号Asの電圧が中間値から低くなると、電圧信号Asの上りの傾斜が緩くなる。このため、変調信号MsがHレベルとなる期間が相対的に短くなり、変調信号Msのデューティー比が小さくなる。
ゲートドライバー521は、変調信号Msに基づいてトランジスターM1をオン又はオフに制御する。すなわち、ゲートドライバー521は、トランジスターM1を、変調信号MsがHレベルの場合にオンに制御し、変調信号MsがLレベルの場合にオフに制御する。ゲートドライバー522は、変調信号Msの論理反転信号に基づいてトランジスターM2をオン又はオフに制御する。すなわち、ゲートドライバー522は、トランジスターM2を、変調信号MsがHレベルの場合にオフに制御し、変調信号MsがLレベルの場合にオンに制御する。
したがって、増幅回路550から出力される増幅変調信号AMsを平滑回路560で平滑した駆動信号COMAの電圧値は、変調信号Msのデューティー比が大きくなるにつれて高くなり、デューティー比が小さくなるにつれて低くなる。すなわち、駆動信号COMAの波形は、デジタルの基駆動信号dAがアナログに変換された基駆動信号aAの電圧を拡大した波形となるように制御される。
また、駆動信号出力回路51aは、パルス密度変調を用いているため、変調周波数が固定のパルス幅変調に対して、デューティー比の変化幅を大きく取れる、という利点もある。駆動信号出力回路51aで用いることができる最小の正パルス幅、及び負パルス幅は、回路特性で制約される。そのため、周波数が固定されるパルス幅変調では、デューティー比の変化幅が所定の範囲で制限される。これに対し、パルス密度変調では、電圧信号Asの電圧が中間値から離れるにつれて、発振周波数が低くなり、その結果、電圧が高い領域においてデューティー比をより大きくすることが可能となる。また、当該電圧が低い領域にでは、デューティー比をより小さくすることが可能となる。したがって、自励発振型のパルス密度変調を採用することで、デューティー比の変化幅を、より広い範囲で確保することが可能となる。
5.2 駆動波形検出回路の構成
次に、駆動信号COMAの波形を検出する駆動波形検出回路52aの構成、及び動作について説明する。
図12は、駆動波形検出回路52aの構成の一例を示す図である。図12に示すように、駆動波形検出回路52aは、検出回路53と判定回路54とを有する。
検出回路53は、コンデンサーC6と抵抗R7を含む。コンデンサーC6の一端は、駆動信号COMAが伝搬する伝搬経路と電気的に接続されている。コンデンサーC6の他端は、抵抗R7の一端と電気的に接続されている。抵抗R7の他端には、グラウンド電位が供給されている。そして、コンデンサーC6の他端と抵抗R7の一端とが接続される接続点から、振動波形電圧CVHが出力される。以上のように本実施形態における検出回路53は、コンデンサーC6と抵抗R7とで構成されたハイパスフィルター回路を含む。このコンデンサーC6と抵抗R7とで構成されたハイパスフィルター回路が第1ハイパスフィルター回路の一例である。
判定回路54は、ダイオードD2とコンデンサーC7とを含む。ダイオードD2のアノードには、検出回路53から出力された振動波形電圧CVHが入力される。そして、ダイオードD2のカソードから出力される信号を判定結果信号CEAとして出力する。すなわち、判定回路54は、振動波形電圧CVHがダイオードD2の順方向電圧Vfを上回った場合に、駆動信号COMAの波形に異常が生じているか否かを示す判定結果信号CEAを出力する。
そして、図2に示すように判定結果信号CEAは、制御回路100に入力される。制御回路100は、入力される判定結果信号CEAが駆動信号COMAの波形に異常が生じていることを示す信号である場合、駆動回路50に含まれる駆動信号出力回路51aからの駆動信号COMAの出力を停止させる。すなわち、判定回路54が、駆動信号COMAに異常が生じたと判定した場合、駆動回路50は、駆動信号COMAの出力を停止する。
ここで、本実施形態において判定回路54は駆動回路50が有する駆動波形検出回路52aに含まれるとして説明を行ったが、判定回路54は、駆動回路50とは別の構成であってもよく、また、制御回路100に含まれてもよい。すなわち、検出回路53から出力された振動波形電圧CVHが直接制御回路100に入力されてもよい。この場合、制御回路100が、入力される振動波形電圧CVHに基づいて駆動信号COMAの波形に異常が生じているか否かを判定する判定回路に相当する。
次に、駆動波形検出回路52aの動作について説明する。駆動波形検出回路52aの動作を説明するにあたり、まず、図13を用いて、駆動信号COMAの波形が正常である場合と駆動信号COMAの波形が異常である場合とのそれぞれにおける、駆動信号COMAの波形の違いについて説明する。図13は、駆動信号COMAが正常な場合の信号波形と、異常が生じた場合の信号波形との一例を示す図である。
図13に示すように、駆動信号COMAの信号波形が正常である場合、駆動信号COMAは、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となる。一方、図13に示すように、駆動信号COMAの信号波形に異常が生じた場合、駆動信号COMAに含まれる台形波形Adp1、及び台形波形Adp2に、電圧値が振動する振動波形が重畳する。
駆動信号COMAの波形に異常が生じる主な要因には、駆動信号出力回路51aの回路動作の異常が挙げられる。具体的には、第1帰還回路570、第2帰還回路572から変調回路510に帰還する帰還信号に異常が生じた場合や、変調回路510における変調動作に異常が生じた場合が挙げられる。第1帰還回路570、第2帰還回路572、及び変調回路510に異常が生じた場合、駆動信号出力回路51aの自励発振に異常が生じる。その結果、増幅回路550から出力される増幅変調信号AMsに異常が生じる。そして、異常が生じた増幅変調信号AMsが平滑回路560において復調されることで、駆動信号COMAに含まれる台形波形Adp1,Adp2に、図13に示すような駆動信号COMAの周波数よりも高く、駆動信号COMAの振幅よりも小さな振動波形が重畳する。
本実施形態における液体吐出装置1、及び駆動回路50が有する駆動波形検出回路52aは、駆動信号COMAに異常が生じた場合に、検出回路53において、駆動信号COMAに含まれる台形波形Adp1,Adp2に重畳する振動波形を検出する。そして、判定回路54において、駆動回路50が出力する駆動信号COMAの波形に異常が生じているか否かを判定する。換言すれば、検出回路53は、図13に示すような駆動信号COMに含まれる台形波形Adp1,Adp2に重畳し、駆動信号COMAよりも周波数が高く、振幅の小さな振動波形を検出し、判定回路54は、検出回路53の出力信号である振動波形電圧CVHに基づいて、駆動信号COMAに異常が生じたか否かを判定する。ここで、検出回路53は、駆動信号COMに含まれる台形波形Adp1,Adp2に重畳し、駆動信号COMAよりも周波数が高く、振幅の小さな振動波形を検出できる構成であればよく、例えば、バンドパスフィルターであってもよく、また、正常な駆動信号COMAの波形と異常が生じた駆動信号COMAの波形とを比較する比較回路であってもよいが、本実施形態に示すように、検出回路53をハイパスフィルターで構成することで、簡素な回路構成で駆動信号COMAの波形異常を検出することが可能となる。
図12及び図14を用いて、駆動波形検出回路52aにおける駆動信号COMAの波形の検出動作について説明する。図14は、駆動波形検出回路52aの動作を説明するための図である。
図14に示すように、時刻t0において、駆動信号出力回路51aは、正常な波形の駆動信号COMAを出力している。この場合において、検出回路53は、一定の電圧値の振動波形電圧CVHを出力する。具体的には、駆動信号COMAの周波数が検出回路53に含まれるコンデンサーC6と抵抗R7とで構成されたハイパスフィルター回路のカットオフ周波数よりも小さい場合、検出回路53は、グラウンド電位の振動波形電圧CVHを出力し、駆動信号COMAの周波数が検出回路53に含まれるコンデンサーC6と抵抗R7とで構成されたハイパスフィルター回路のカットオフ周波数よりも大きい場合、検出回路53は、駆動信号COMAの電圧振幅に応じた電圧値の一定の電圧値の振動波形電圧CVHを出力する。
時刻t1において、駆動信号出力回路51aから出力される駆動信号COMAの波形に、振動波形が重畳すると、駆動信号COMAの電圧振幅が変動する。その結果、検出回路53から出力される振動波形電圧CVHの電圧値が変動する。この場合における振動波形電圧CVHの電圧値が変動幅は、駆動信号COMAに重畳する振動波形の大きさ起因する。そして、時刻t2において、振動波形電圧CVHの電圧値が、判定回路54に含まれるダイオードD2の順方向電圧Vfを上回った場合、判定回路54は、駆動信号COMAの波形に異常が生じたことを示す判定結果信号CEAを出力する。
以上のように、検出回路53は、駆動信号COMAに重畳する振動波形の周波数、及び振幅の少なくとも一方を検出し、検出結果を示す振動波形電圧CVHを出力する。そして、判定回路54は、振動波形電圧CVHの電圧値に基づいて、駆動信号COMAの波形に異常が生じたか否かを判定する。
ここで、上述の通り、駆動信号COMAの波形に異常が生じる要因は、第1帰還回路570、第2帰還回路572における帰還信号の異常や、変調回路510における変調動作の異常に起因する自励発振に異常である。すなわち、本実施形態における駆動回路50では、検出回路53が駆動信号COMAの波形に異常が生じているか否かを検出することにより、第1帰還回路570、第2帰還回路572、及び変調回路510に異常が生じているか否かを検出することができる。そして、判定回路54は、検出回路53の検出結果に基づいて第1帰還回路570、第2帰還回路572、及び変調回路510の異常の有無を判定し、判定結果を示す判定結果信号CEAを出力する。すなわち、検出回路53は、駆動信号COMAに重畳する振動波形に基づいて第2帰還回路572の異常を検出することが可能となる。これにより、駆動回路50は、駆動信号COMAの波形に基づいて、第1帰還回路570、第2帰還回路572、及び変調回路510の異常の有無を検出することが可能となる。よって、駆動回路50を備えた液体吐出装置1の安全性を更に高めることが可能となる。
また、本実施形態における検出回路53に含まれるハイパスフィルター回路のカットオフ周波数は、駆動信号COMAの周波数に対して十分に大きな値に設定されている。具体的には、検出回路53に含まれるハイパスフィルター回路のカットオフ周波数は、一般的な駆動信号COMAの周波数である数十kHzに対して十分に大きな値であって、500kHz以上の周波数に設定されることが好ましい。
検出回路53に含まれるハイパスフィルター回路のカットオフ周波数を駆動信号COMAの周波数に対して十分に大きな値とすることで、検出回路53が検出する振動波形電圧CVHに駆動信号COMAの電圧振幅に応じた信号が重畳するおそれが低減する。すなわち、検出回路53から出力される振動波形電圧CVHに、正常な波形の駆動信号COMAが寄与するおそれが低減する。その結果、検出回路53から出力される振動波形電圧CVHに基づいて、駆動信号COMAに異常が生じたか否かを判定する液体吐出装置1において、駆動信号COMAに異常が生じたか否かの判定精度を向上することが可能となる。
6.作用効果
以上のように本実施形態における液体吐出装置1では、駆動回路50は、駆動回路50が出力する駆動信号COMAの波形に重畳する振動波形を検出する検出回路53を備える。具体的には、検出回路53は、駆動信号COMAに重畳し、駆動信号COMAよりも周波数が高く、且つ振幅の小さな振動波形を検出する。本実施形態における駆動回路50は、駆動信号COMAの基となる基駆動信号dAを変調し、変調信号Msを出力する変調回路510と、変調信号Msを増幅し、増幅変調信号AMsを出力する増幅回路550と、増幅変調信号AMsを復調し、駆動信号COMAを出力する平滑回路560と、駆動信号COMAに基づく帰還信号を変調回路510に帰還する第2帰還回路572とを備える。このような駆動回路50が出力する駆動信号COMAの信号波形に生じる異常としては、駆動信号COMAよりも周波数が高く、且つ振幅の小さな振動波形が、駆動信号COMAの信号波形に重畳することが考えられる。このような振動波形を検出回路53において検出することで、駆動回路50が出力する駆動信号COMAに異常が生じているか否かを検出することが可能となり、その結果、駆動信号COMAの波形に異常が生じたことに起因して印刷品質が低下するおそれを低減することが可能となる。
7.変形例
以上に説明した液体吐出装置1、及び駆動回路50では、駆動信号出力回路51aが出力する駆動信号COMAの波形を駆動波形検出回路52aが検出し、駆動信号出力回路51bが出力する駆動信号COMBの波形を駆動波形検出回路52bが検出するとして説明を行ったが、駆動回路50が、駆動信号COMA,COMBを選択、又は非選択することにより生成された駆動信号VOUTの波形を検出する駆動波形検出回路52cを備えてもよい。この場合であっても、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することが可能となる。
また、駆動回路50が駆動波形検出回路52cを有する場合において、駆動回路50は、駆動信号出力回路51aが出力する駆動信号COMAの波形を検出する駆動波形検出回路52a、及び駆動信号出力回路51bが出力する駆動信号COMBの波形を検出する駆動波形検出回路52bを備えなくてもよい。これにより、上述した実施形態と同様の作用効果に加えて、駆動回路50の回路規模を低減することが可能となる。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…液体吐出装置、2…ヘッドユニット、3…移動機構、4…搬送機構、10…制御ユニット、20…プリントヘッド、22…インクカートリッジ、24…キャリッジ、31…キャリッジモーター、32…キャリッジガイド軸、33…タイミングベルト、35…キャリッジモータードライバー、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、43…プラテン、45…搬送モータードライバー、50…駆動回路、51a,51b…駆動信号出力回路、52a,52b,52c…駆動波形検出回路、53…検出回路、54…判定回路、60…圧電素子、70…キャッピング部材、71…ワイパー部材、72…フラッシングボックス、80…メンテナンスユニット、90…リニアエンコーダー、100…制御回路、190…フレキシブルフラットケーブル、210…選択制御回路、212…シフトレジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択回路、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、500…集積回路、510…変調回路、512,513…加算器、514…コンパレーター、515…インバーター、516…積分減衰器、517…減衰器、520…ゲートドライブ回路、521,522…ゲートドライバー、530…基準電圧生成回路、550…増幅回路、560…平滑回路、570…第1帰還回路、572…第2帰還回路、580…出力回路、590…電源回路、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、651…ノズル、661…供給口、C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7…コンデンサー、D1,D2…ダイオード、L1…コイル、M1,M2…トランジスター、P…媒体、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7…抵抗

Claims (9)

  1. 駆動信号が供給されることで駆動する駆動素子を有し、前記駆動素子の駆動により液体を吐出する吐出ヘッドと、
    前記駆動信号を出力する駆動回路と、
    を備え、
    前記駆動回路は、
    前記駆動信号の基となる基駆動信号を変調し、変調信号を出力する変調回路と、
    前記変調信号を増幅し、増幅変調信号を出力する増幅回路と、
    前記増幅変調信号を復調し、前記駆動信号を出力する復調回路と、
    前記駆動信号に基づく帰還信号を前記変調回路に帰還する帰還回路と、
    前記駆動信号の信号波形に重畳し、前記駆動信号よりも周波数が高く、振幅の小さな振動波形を検出する検出回路と、
    を有する、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記検出回路は、前記振動波形の周波数、及び振幅の少なくとも一方を検出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記信号波形は、台形波形を含み、
    前記振動波形は、前記台形波形に重畳している、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記検出回路は、第1ハイパスフィルター回路を含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記第1ハイパスフィルター回路のカットオフ周波数は、500kHz以上である、
    ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記帰還回路は、第2ハイパスフィルターを含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記検出回路は、前記振動波形に基づいて前記帰還回路の異常を検出する、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記検出回路の出力信号に基づいて、前記駆動信号に異常が生じたか否かを判定する判定回路を備え、
    前記判定回路が、前記駆動信号に異常が生じたと判定した場合、前記駆動回路は、前記駆動信号の出力を停止する、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  9. 駆動素子を駆動する駆動信号を出力する駆動回路であって、
    前記駆動信号の基となる基駆動信号を変調し、変調信号を出力する変調回路と、
    前記変調信号を増幅し、増幅変調信号を出力する増幅回路と、
    前記増幅変調信号を復調し、前記駆動信号を出力する復調回路と、
    前記駆動信号に基づく帰還信号を前記変調回路に帰還する帰還回路と、
    前記駆動信号の信号波形に重畳する振動波形を検出する検出回路と、
    を備え、
    前記振動波形の振幅は、前記信号波形の振幅よりも小さい、
    ことを特徴とする駆動回路。
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