JP2021084085A - 膜ろ過装置およびその運転方法 - Google Patents

膜ろ過装置およびその運転方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021084085A
JP2021084085A JP2019216255A JP2019216255A JP2021084085A JP 2021084085 A JP2021084085 A JP 2021084085A JP 2019216255 A JP2019216255 A JP 2019216255A JP 2019216255 A JP2019216255 A JP 2019216255A JP 2021084085 A JP2021084085 A JP 2021084085A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flow rate
water
line
concentrated
concentrated water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019216255A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7307665B2 (ja
Inventor
圭悟 佐藤
Keigo Sato
圭悟 佐藤
直幸 田島
Naoyuki Tajima
直幸 田島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Organo Corp
Original Assignee
Organo Corp
Japan Organo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Organo Corp, Japan Organo Co Ltd filed Critical Organo Corp
Priority to JP2019216255A priority Critical patent/JP7307665B2/ja
Publication of JP2021084085A publication Critical patent/JP2021084085A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7307665B2 publication Critical patent/JP7307665B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

【課題】システム全体の回収率を考慮した上で処理水質の向上を図る。【解決手段】それぞれが逆浸透膜またはナノろ過膜を有する第1および第2のろ過手段11,12と、供給ラインL1と、第1の透過水ラインL2と、第1の濃縮水ラインL3と、排水ラインL4と、第2の透過水ラインL6と、第2の濃縮水ラインL7と、第2の回収率(第2の透過水ラインL6を流れる透過水の流量と第2の濃縮水ラインL7を流れる濃縮水の流量との和に対する第2の透過水ラインL6を流れる透過水の流量の割合)が第1の回収率(第1の透過水ラインL2を流れる透過水の流量と排水ラインL4を流れる濃縮水の流量との和に対する第1の透過水ラインL2を流れる透過水の流量の割合)を下回るように、供給ラインL1を流れる被処理水の圧力と排水ラインL4を流れる濃縮水の流量と第2の濃縮水ラインL7を流れる濃縮水の流量とを調整する制御部20と、を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、膜ろ過装置およびその運転方法に関する。
被処理水に含まれる不純物を除去する水処理装置として、逆浸透膜(RO膜)またはナノろ過膜(NF膜)を有する膜ろ過装置が知られている。この装置では、所定の供給圧力でRO膜またはNF膜に供給された被処理水(原水)が、RO膜またはNF膜により、透過水と濃縮水とに分離される。これにより、不純物が除去された処理水(透過水)を得ることができる。
RO膜またはNF膜を有する膜ろ過装置では、多くの場合、水の有効利用(節水)の観点から、不純物を含む濃縮水の一部を濃縮排水として外部に排出し、残りを濃縮還流水としてRO膜またはNF膜の上流側に還流させる構成が採用されている。これにより、すべての濃縮水を濃縮排水として排出する場合に比べて、回収率(透過水の流量と濃縮排水の流量との和に対する透過水の流量の割合)を向上させることができ、節水を実現することができる。それと同時に、このような膜ろ過装置では、水温の変化(すなわち、水の粘性の変化)による透過水の流量変化に対応するために、加圧ポンプの回転数を制御することでRO膜またはNF膜への原水の供給圧力を調整して、透過水の流量を一定に維持する流量制御が行われている。透過水の流量制御では、透過水の流量が一定になるように原水の供給圧力を調整すると、それに応じて濃縮水の流量も変化する。このような濃縮水の流量変化は、ファウリングやスケーリングによる膜の詰まりの発生や、圧力損失の増大による膜の破損につながるため、透過水の流量制御を行う場合には、濃縮水(濃縮還流水または濃縮排水)の流量制御も行うことが望ましい。例えば、特許文献1には、濃縮排水の流量を設定流量に調整する流量制御を行うことが記載されており、水温に応じて設定される回収率の目標値に基づいて濃縮排水の設定流量を算出することが記載されている。
一方で、RO膜またはNF膜を有する膜ろ過装置では、処理水質の向上を目的として、複数のRO膜またはNF膜で原水を順次処理することも行われている。特許文献1には、上述した流量制御が行われるRO膜またはNF膜の下流側に、さらに別のRO膜またはNF膜を設け、上流側のRO膜またはNF膜で分離された透過水を下流側のRO膜またはNF膜でさらに処理することが記載されている。
特開2018−167146号公報
複数のろ過手段(RO膜またはNF膜)を有する膜ろ過装置では、システム全体の回収率(システムに供給される原水の流量に対するシステムで得られる処理水の流量の割合)を高く維持しながら処理水質も向上させる流量制御を行うことが求められる。しかしながら、特許文献1には、より良好な水質の処理水を生成することができると記載されているものの、特にシステム全体の回収率との関係から、2つのろ過手段(RO膜またはNF膜)に対して具体的にどのような流量制御を行えばよいかについては明示されていない。
そこで、本発明の目的は、システム全体の回収率を考慮した上で処理水質の向上を図ることができる膜ろ過装置およびその運転方法を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明の膜ろ過装置は、直列に接続された第1および第2のろ過手段であって、それぞれが被処理水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜またはナノろ過膜を有し、第2のろ過手段が第1のろ過手段よりも下流側に位置する、第1および第2のろ過手段と、第1のろ過手段に被処理水を供給する供給ラインと、第1のろ過手段から透過水を流通させて第2のろ過手段に供給する第1の透過水ラインと、第1のろ過手段からの濃縮水を流通させる第1の濃縮水ラインと、第1の濃縮水ラインから分岐し、第1の濃縮水ラインを流れる濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインと、第2のろ過手段から透過水を流通させる第2の透過水ラインと、第2のろ過手段からの濃縮水を流通させて供給ラインに返流する第2の濃縮水ラインと、第2の透過水ラインを流れる透過水の流量と第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量との和に対する第2の透過水ラインを流れる透過水の流量の割合である第2の回収率が、第1の透過水ラインを流れる透過水の流量と排水ラインを流れる濃縮水の流量との和に対する第1の透過水ラインを流れる透過水の流量の割合である第1の回収率を下回るように、第2の透過水ラインを流れる透過水の流量と排水ラインを流れる濃縮水の流量と第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量とを調整する制御部と、を有している。
また、本発明の膜ろ過装置の運転方法は、直列に接続された第1および第2のろ過手段であって、それぞれが被処理水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜またはナノろ過膜を有し、第2のろ過手段が第1のろ過手段よりも下流側に位置する、第1および第2のろ過手段と、第1のろ過手段に被処理水を供給する供給ラインと、第1のろ過手段から透過水を流通させて第2のろ過手段に供給する第1の透過水ラインと、第1のろ過手段からの濃縮水を流通させる第1の濃縮水ラインと、第1の濃縮水ラインから分岐し、第1の濃縮水ラインを流れる濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインと、第2のろ過手段から透過水を流通させる第2の透過水ラインと、第2のろ過手段からの濃縮水を流通させて供給ラインに返流する第2の濃縮水ラインと、を有する膜ろ過装置の運転方法であって、第2の透過水ラインを流れる透過水の流量と第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量との和に対する第2の透過水ラインを流れる透過水の流量の割合である第2の回収率が、第1の透過水ラインを流れる透過水の流量と排水ラインを流れる濃縮水の流量との和に対する第1の透過水ラインを流れる透過水の流量の割合である第1の回収率を下回るように、供給ラインを流れる被処理水の圧力と排水ラインを流れる濃縮水の流量と第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量とを調整する工程を含んでいる。
このような膜ろ過装置およびその運転方法によれば、第1のろ過手段の回収率を相対的に大きくすることで、システム全体の回収率を高くして節水を図ることができる。それと同時に、第2のろ過手段の回収率を相対的に小さくすることで、第2のろ過手段からの透過水の水質を向上させることができ、加えて、第2の濃縮水ラインを通じて原水(被処理水)に合流される第2のろ過手段からの濃縮水の流量を増加させることができる。第2のろ過手段からの濃縮水は、原水よりも清澄であるため、第2のろ過手段からの濃縮水の流量増加により、第1のろ過手段への供給水の水質を向上させることができ、これによっても、第2のろ過手段からの透過水の水質を向上させることができる。
以上、本発明によれば、システム全体の回収率を考慮した上で処理水質の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る膜ろ過装置の構成を示す概略図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る膜ろ過装置の構成を示す概略図である。
膜ろ過装置10は、被処理水(原水)に含まれる不純物を除去して処理水を生成する装置であり、直列に接続された2つのろ過手段11,12を有している。各ろ過手段11,12は、被処理水を、不純物を含む濃縮水と、不純物が除去された透過水とに分離する逆浸透膜(RO膜)またはナノろ過膜(NF膜)を有している。なお、ここでいう「直列に接続される」とは、被処理水が複数のろ過手段で順次処理されることを意味し、したがって、本実施形態では、上流側の第1のろ過手段11で分離された透過水が下流側の第2のろ過手段12に被処理水として供給されるようになっていることを意味する。以下、第1のろ過手段11で分離された透過水および濃縮水をそれぞれ「一次透過水」および「一次濃縮水」ともいい、第2のろ過手段12で分離された透過水および濃縮水をそれぞれ「二次透過水」および「二次濃縮水」ともいう。
膜ろ過装置10は、第1のろ過手段11にそれぞれ接続された複数のライン、すなわち、第1のろ過手段11に原水を供給する供給ラインL1と、第1のろ過手段11からの一次透過水を流通させて第2のろ過手段12に供給する一次透過水ライン(第1の透過水ライン)L2と、第1のろ過手段11からの一次濃縮水を流通させる一次濃縮水ライン(第1の濃縮水ライン)L3とを有している。加えて、膜ろ過装置10は、一次濃縮水ラインL3から分岐した2つのライン、すなわち、一次濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインL4と、その残りを供給ラインL1に還流させる還流水ラインL5とを有している。還流水ラインL5は、一次濃縮水ラインL3から分岐した後、後述する加圧ポンプ13の上流側で供給ラインL1に接続されている。なお、還流水ラインL5は、供給ラインL1に直接接続される代わりに、供給ラインL1に設けられた原水タンク(図示せず)に接続されていてもよい。
また、膜ろ過装置10は、第2のろ過手段12にそれぞれ接続された複数のライン、すなわち、第2のろ過手段12からの二次透過水を流通させる二次透過水ライン(第2の透過水ライン)L6と、第2のろ過手段12からの二次濃縮水を流通させる二次濃縮水ライン(第2の濃縮水ライン)L7とを有している。第2のろ過手段12では、第1のろ過手段11からの一次透過水がさらに二次透過水と二次濃縮水に分離されるため、水質の観点からは、二次濃縮水を必ずしも外部に排出する必要はない。したがって、節水の観点から、二次濃縮水ラインL7は、二次濃縮水の全てを供給ラインL1に返流するために供給ラインL1に接続されている。なお、二次濃縮水ラインL7は、還流水ラインL5と同様に、供給ラインL1に直接接続される代わりに、原水タンクに接続されていてもよい。
さらに、膜ろ過装置10は、供給ラインL1に設けられた加圧ポンプ13と、一次濃縮水ラインL3に設けられた定流量弁14と、排水ラインL4に設けられた流量調整弁CV1および排水流量計15と、還流水ラインL5に設けられた手動弁MV1と、二次透過水ラインL6に設けられた透過水流量計16と、二次濃縮水ラインL7に設けられた流量調整弁CV2および濃縮水流量計17とを有している。
加圧ポンプ13は、インバータ(図示せず)によって回転数が制御されるようになっており、供給ラインL1を流れる原水の圧力(第1のろ過手段11への原水の供給圧力)を調整する圧力調整手段として機能する。定流量弁14は、一次濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の流量を一定に保持し、後述する2つの流量制御の干渉を抑制してハンチングを回避する機能を有している。流量調整弁CV1は、排水ラインL4を流れる一次濃縮水(以下、「濃縮排水」ともいう)の流量を調整する流量調整手段として機能し、排水流量計15は、濃縮排水の流量を検出する流量検出手段として機能する。手動弁MV1は、排水ラインL4を流れる一次濃縮水と還流水ラインL5を流れる一次濃縮水の圧力バランスを調整する圧力調整弁として機能する。透過水流量計16は、二次透過水ラインL6を流れる二次透過水の流量を検出する流量検出手段として機能する。流量調整弁CV2は、二次濃縮水ラインL7を流れる二次濃縮水(以下、「濃縮返流水」ともいう)の流量を調整する流量調整手段として機能し、濃縮水流量計17は、濃縮返流水の流量を検出する流量検出手段として機能する。
加えて、膜ろ過装置10は、膜ろ過装置10の運転を制御する制御部20を有している。制御部20は、膜ろ過装置10の通常運転(膜ろ過)時に、3つの流量制御、すなわち、二次透過水の流量制御である第1の流量制御と、濃縮排水の流量制御である第2の流量制御と、濃縮返流水の流量制御である第3の流量制御とを並行して実行する。具体的には、第1の流量制御では、二次透過水ラインL6を流れる二次透過水の流量が設定流量になるように加圧ポンプ13が制御される。第2の流量制御では、一次透過水ライン(第1の透過水ライン)L2を流れる一次透過水の流量から濃縮排水(排水ラインL4を流れる一次濃縮水)の目標流量が算出され、濃縮排水の流量がその目標流量になるように流量調整弁CV1の開度が制御される。第3の流量制御では、二次透過水ライン(第2の透過水ライン)L6を流れる二次透過水の流量から濃縮返流水(二次濃縮水ラインL7を流れる二次濃縮水)の目標流量が算出され、濃縮返流水の流量がその目標流量になるように流量調整弁CV2の開度が制御される。以下、これら3つの流量制御の詳細について説明する。
第1の流量制御では、透過水流量計16による二次透過水の検出流量(検出値)が一定(予め設定された目標流量)になるように加圧ポンプ13が制御される。例えば、水温が変化すると、水の粘性の変化により、第1のろ過手段11で分離される透過水の流量が変化し、第2のろ過手段12で分離される透過水の流量も変化する。この変化に応じて、制御部20は、インバータを通じて加圧ポンプ13の回転数を制御する。すなわち、水温が低くなると、水の粘性は高くなり、その結果、第2のろ過手段12からの二次透過水の流量が減少する。そのため、制御部20は、この減少分を補うように、加圧ポンプ13の回転数を上げることで、原水の供給圧力を増加させる。また、水温が高くなると、水の粘性は低くなり、その結果、第2のろ過手段12からの二次透過水の流量が増加する。そのため、制御部20は、この増加分を打ち消すように、加圧ポンプ13の回転数を下げることで、原水の供給圧力を低下させる。こうして、加圧ポンプ13の回転数、すなわち原水の供給圧力が調整されることで、二次透過水ラインL6を流れる二次透過水の流量が一定に維持される。
なお、第1のろ過手段11への原水の供給圧力の変化(加圧ポンプ13の回転数の変化)に応じて、第1のろ過手段11で分離される濃縮水の流量も変化するが、一次濃縮水ラインL3には、上述したように定流量弁14が設けられている。そのため、第1の流量制御により、加圧ポンプ13の回転数が変化して原水の供給圧力が変化した場合にも、一次濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の流量を一定に保持することができる。その結果、第1の流量制御が排水ラインL4や還流水ラインL5を流れる一次濃縮水の流量に影響を及ぼすことがなくなり、後述する第2の流量制御は、第1の流量制御と干渉することなく独立して行われることになる。
ここで、定流量弁14の規定流量は、一方では、ファウリングやスケーリングによる膜の詰まりが発生しない程度であればよく、他方では、圧力損失の増大によって膜を破損させない程度であればよい。ただし、定流量弁14の規定流量を必要以上に大きくすることは、加圧ポンプ13に要求される流量が必要以上に大きくなり、結果的に加圧ポンプ13のサイズが大きくなるため、エネルギー消費の点で好ましくない。そのため、定流量弁14の規定流量は、第1のろ過手段11の透過流束と第1のろ過手段11に要求される濃縮水の最低流量も考慮して設定され、例えば、第1のろ過手段11として直径が約20.32cm(8インチ)のRO膜を用いる場合、1〜15m/hの範囲である。なお、第1のろ過手段11に要求される濃縮水の最低流量とは、ファウリングやスケーリングによる膜の詰まりが発生しないための一次濃縮水ラインL3に流すべき濃縮水の最低流量を意味する。一方で、本実施形態では、1つの加圧ポンプ13で2つのろ過手段11,12に原水を供給する必要があるため、加圧ポンプ13による第1のろ過手段11への原水の供給圧力は比較的大きくなる。そのため、定流量弁14の規定流量は、この点も考慮して設定する必要がある。例えば、2つのろ過手段11,12としてそれぞれ直径が約20.32cm(8インチ)のRO膜を用いる場合、第1のろ過手段11の適用温度範囲が5〜35℃のとき、例えば、定流量弁14としては、株式会社ケイヒン製の定流量弁(品番:NSPW−25、設定流量:55L/min)を用いることができる。
ところで、定流量弁14には、定流量弁14を正常に作動させるための作動差圧範囲(定流量弁の一次側と二次側の圧力差の許容範囲)が規定されている。そのため、例えば、第1のろ過手段11として中高圧用のRO膜を使用する場合や、水温が極端に低下した場合など、条件によっては、原水の供給圧力が著しく上昇して一次濃縮水の圧力が上昇し、定流量弁14の一次側と二次側の圧力差が作動差圧範囲を超えてしまうことがある。その場合、一次濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の流量が一定に保持されないおそれがある。
そこで、定流量弁14の上流側の一次濃縮水ラインL3に、一次濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の圧力を減圧する(すなわち、二次側の圧力を一次側の圧力よりも低くすることができる)減圧弁が設けられていてもよい。これにより、第1のろ過手段11への原水の供給圧力が著しく上昇する場合であっても、定流量弁14の一次側と二次側の圧力差を作動差圧範囲内に収めて定流量弁14を正常に作動させることができ、一次濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の流量を一定に保持することができる。また、減圧弁が設けられていると、定流量弁14が正常に作動して一次濃縮水の流量が増加することがないため、後述する第2の流量制御によって濃縮排水の流量が目標流量に調整される際に還流水ラインL5を流れる一次濃縮水の流量が増加することがなく、加圧ポンプ13の吐出流量が増加することがない。そのため、加圧ポンプ13の揚程が低くなることで必要な透過水の流量が得られなくなるおそれもなくなる。さらに、減圧弁を設けることは、それよりも下流側の周辺部材(配管など)にそれほどの耐圧性能が要求されなくなるため、安全面で有利であるだけでなく、耐圧性能がそれほど高くない安価な汎用品が利用可能になることで、コスト面でも有利である。なお、減圧弁の種類は、一次濃縮水の圧力を定流量弁14の作動差圧範囲内に減圧することができるものであれば特に限定されるものではないが、定流量弁14の規定流量以上の流量が流れるものや、二次側の圧力が排水ラインL4や還流水ラインL5の通水差圧と排水側の背圧との合計よりも大きくなるものを選定する必要がある。
第2の流量制御では、第1のろ過手段11の回収率(一次透過水の流量と濃縮排水の流量との和に対する一次透過水の流量の割合)を考慮して濃縮排水の目標流量が算出され、排水流量計15による濃縮排水の検出流量(検出値)がその目標流量になるように、流量調整弁CV1の開度が調整される。このときの回収率は、水の有効利用(節水)の観点から、できるだけ高いことが好ましい。すなわち、濃縮排水の流量はできるだけ少ないことが好ましい。しかしながら、定流量弁14により一次濃縮水の流量が一定に保持されているため、濃縮排水の流量が少なくなると、当然のことながら、還流水ラインL5から供給ラインL1に還流する一次濃縮水の流量が増加する。それにより、原水の不純物濃度が高まると、第1のろ過手段11のRO膜またはNF膜の膜面に不純物(特に、シリカまたはカルシウム)が析出するスケーリングが起こりやすくなってしまう。したがって、濃縮排水の流量は、一次濃縮水の不純物濃度が溶解度以上の濃度にならない範囲で回収率が最大になるように、すなわち、不純物であるシリカまたはカルシウムが析出しない範囲で回収率が最大になるように設定される。
ただし、不純物の溶解度は、水温に応じて変化する。例えば、シリカの場合、その溶解度は温度上昇に比例して増加し、カルシウム(炭酸カルシウム)の場合、温度が上昇するにつれてその溶解度は減少する。そのため、水温が低い場合には、シリカの溶解度が相対的に低く、シリカが析出しやすい(シリカスケールが発生しやすい)が、水温が高くなると、カルシウムの溶解度が相対的に低くなるため、カルシウムが析出しやすく(カルシウムスケールが発生しやすく)なる。そこで、膜ろ過装置10には、図示していないが、原水と一次透過水と一次濃縮水とのいずれかの水温を検出する温度センサ(水温検出手段)が設けられている。この温度センサにより検出された水温に基づいて、濃縮排水の最適な目標流量が算出される。
具体的には、まず、検出された水温でシリカが析出する理論上の回収率(以下、「シリカの析出回収率」という)と、検出された水温でカルシウム(炭酸カルシウム)が析出する理論上の回収率(以下「カルシウムの析出回収率」という)が算出される。なお、シリカの析出回収率とカルシウムの析出回収率のそれぞれの算出方法については後述する。次に、シリカの析出回収率とカルシウムの析出回収率とが比較され、目標回収率として、より小さい方の析出回収率が設定される。そして、この目標回収率と、制御部20により間接的に検出された一次透過水の流量とに基づいて、以下の式(1)により、濃縮排水の目標流量が算出されて設定される。
(濃縮排水の目標流量)=
(一次透過水の検出流量/目標回収率)−(一次透過水の検出流量) (1)
なお、一次透過水の流量の間接的な検出は、透過水流量計16と濃縮水流量計17を用いて行うことができる。すなわち、一次透過水の検出流量は、透過水流量計16により検出された二次透過水の流量と、濃縮水流量計17により検出された二次濃縮水の流量との和として算出(取得)することができる。ただし、一次透過水ラインL2に図示しない流量計が設けられていてもよく、それにより、一次透過水の流量を直接検出するようになっていてもよい。
スケーリングの発生を確実に抑制するという観点からは、上記式(1)で算出された目標流量を上回る流量を濃縮排水の設定流量として設定することもできるが、節水の観点からは、算出された目標流量を濃縮排水の設定流量として設定することが好ましい。なお、回収率(目標回収率)として、通常は、パーセントで表した値が用いられるが、上記式(1)では、小数で表した値が用いられることは言うまでもない。
ここで、シリカの析出回収率とカルシウムの析出回収率の算出方法についてそれぞれ説明する。
(シリカの析出回収率の算出方法)
シリカの析出回収率Yは、検出された水温でのシリカの溶解度(mg/L)をCとし、予め測定された原水のシリカ濃度(mg/L)をFとしたとき、以下の式(2)から算出される。
=(C−F)/C (2)
なお、シリカの溶解度の算出方法としては、ASTM(American Society for Testing and Materials)D4993−89などに規定された方法を用いることができる。
(カルシウムの析出回収率の算出方法)
カルシウムの析出回収率は、濃縮水のランゲリア指数を算出する方法を利用して算出される。ここで、ランゲリア指数(飽和指数)とは、カルシウム(炭酸カルシウム)の析出の可能性を示す指標であり、水の実際のpHと、理論pH(pHs:水中の炭酸カルシウムが溶解も析出もしない平衡状態にあるときのpH)との差(pH−pHs)を意味する。すなわち、ランゲリア指数が正の値で絶対値が大きいほど炭酸カルシウムが析出しやすくなり、負の値では炭酸カルシウムは析出されない。そのため、カルシウムの析出回収率は、濃縮水のランゲリア指数がゼロになるときの回収率として算出される。なお、より安全側の値として設定するために、カルシウムの析出回収率は、濃縮水のランゲリア指数が負の値になるときの回収率であってもよい。
濃縮水のランゲリア指数は、濃縮水のpHと、濃縮水の不純物濃度(カルシウム濃度、総アルカリ度、および蒸発残留物濃度)と、検出された水温とから算出される。ランゲリア指数の算出方法としては、例えば、特開平11−267687号公報(段落[0025]〜[0027])などに記載された方法を用いることができる。また、濃縮水の不純物濃度(カルシウム濃度、総アルカリ度、および蒸発残留物濃度)は、予め測定された原水の不純物濃度(カルシウム濃度、総アルカリ度、および蒸発残留物濃度)と、回収率とから算出される。したがって、カルシウムの析出回収率Yは、濃縮水のランゲリア指数がゼロになるときの濃縮水の不純物濃度(mg/L)をCとし、予め測定された原水の不純物濃度(mg/L)をFとしたとき、以下の式(3)の関係で表されることになる。
=(C−F)/C (3)
なお、シリカおよびカルシウムの析出回収率の算出方法や濃縮排水の設定流量の算出方法は、例えば加圧ポンプの容量や原水の流量などの装置設計上の制約によって、予め回収率や流量に制約がある場合には、上述した限りではない。また、第1の流量制御によって二次透過水ラインL6を流れる二次透過水の流量が一定に調整され、後述する第3の流量制御によって二次濃縮水ラインL7を流れる二次濃縮水の流量が一定に調整されるため、一次透過水ラインL2を流れる一次透過水も実質的に一定に調整される。そのため、濃縮排水の設定流量の算出には、そのような一次透過水の実質的な目標流量を用いることもできる。ただし、この方法は、一次透過水の実質的な目標流量と実際の流量が一致していない場合に、実際の回収率が目標回収率からずれる可能性があるため好ましくない。すなわち、一次透過水の実際の流量が目標流量よりも大きい場合には、実際の回収率が目標回収率を上回ることでスケーリングが発生したり、一次透過水の実際の流量が目標流量よりも小さい場合には、実際の回収率が目標回収率を下回ることで節水を図ることができなくなったりする。
したがって、濃縮排水の設定流量の算出には、上述したように、透過水流量計16による検出値と濃縮水流量計17による検出値とから間接的に検出される一次透過水の流量を用いることが好ましい。これにより、第1の流量制御において二次透過水の流量制御が適切に実施されない事態が発生しても、実際の回収率が目標の回収率からずれることを抑制することができる。なお、実際の算出には、二次透過水や二次濃縮水の検出流量のばらつきなどによる影響を最小限に抑えるために、所定検出時間や所定検出回数における平均流量を用いることが好ましい。
ただし、装置起動時や運転再開時など、二次透過水や二次濃縮水の流量が安定せず、検出流量のばらつきが非常に大きい場合には、二次透過水や二次濃縮水の流量が安定するまでの一定期間、上述した一次透過水の実質的な目標流量を用いて、濃縮排水の設定流量を算出するようになっていてもよい。また、一次透過水の実質的な目標流量と実際の流量との差に応じて、濃縮排水の設定流量の算出に用いる一次透過水の流量を切り替えるようになっていてもよい。すなわち、その差が所定範囲内にある場合には、目標流量を用いて算出し、その差が所定範囲を外れた場合には、実際の流量を用いて算出するようになっていてもよい。
上述のように回収率制御を行う場合、流量調整弁CV1としては、電動比例制御弁を用いることが好ましい。これにより、電動比例制御弁の分解能に応じて開度調整を細かく行うことができ、電磁弁の組み合わせなどによる段階式での開度調整に比べて、回収率を滑らかに調整することができる。例えば、50〜70%の範囲の回収率を5段階(50%、55%、60%、65%、70%)にしか制御できない段階式では、目標回収率が64%に設定された場合、回収率を60%にしか調整することができず、無駄な濃縮排水が発生してしまう。したがって、流量調整弁CV1として電動比例制御弁を用いることは、このような濃縮排水の無駄も削減することができるため、節水の観点からも有利である。
ただし、流量調整弁CV1として電動比例制御弁を用いる場合には、その開閉速度と、濃縮排水の設定流量の算出速度(演算速度)との関係に注意が必要である。例えば、2つの速度が大きく異なっている場合、電動比例制御弁の開閉が完了して濃縮排水の流量が安定する前にその設定流量が変更されると、ハンチングが発生する可能性がある。また、濃縮排水の設定流量が一次透過水の検出流量(透過水流量計16による二次透過水の検出流量と濃縮水流量計17による二次濃縮水の検出流量との和)に基づいて決定されるため、濃縮排水の流量制御は、加圧ポンプ13の回転数を制御するインバータの応答速度にも影響を受ける可能性がある。したがって、濃縮排水の設定流量の演算速度を決定する際には、電動比例制御弁の開閉速度とインバータの応答速度とを考慮することが好ましい。すなわち、電動比例制御弁の開閉速度が遅い場合は、インバータの応答速度を遅くし、電動比例制御弁の開閉速度が速い場合は、インバータの応答速度を速くすることが好ましい。なお、上述したように、第2の流量制御(一次濃縮水の流量制御)は、定流量弁14の設置により第1の流量制御(二次透過水の流量制御)と独立して行われるため、互いの流量制御が干渉することが抑制される。その結果、上述のようなハンチングの発生を極力抑制することができ、実際の回収率が目標の回収率からずれることを抑制することができる。この点からも、一次濃縮水ラインL3に定流量弁14が設けられていることが好ましい。
なお、本実施形態では、回収率の目標値をより高く設定して、さらなる節水を実現するために、上述の析出回収率をより高くすることを目的として、スケール防止剤を原水に添加するようになっていてもよい。この場合、定流量弁14の規定流量を小さくすることができ、結果として、より小さい容量の加圧ポンプ13を用いることで省エネルギー化を実現することもできる。スケール防止剤の添加は、薬注ポンプによって行うことができる。
スケール防止剤は、シリカやカルシウムなどのスケール成分の析出を抑制可能な物質であれば、特定のものに限定されるものではない。その種類としては、例えば、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ニトリロトリメチルホスホン酸などのホスホン酸とその塩類などのホスホン酸系化合物;正リン酸塩、重合リン酸塩などのリン酸系化合物;ポリマレイン酸、マレイン酸共重合物などのマレイン酸系化合物;アクリル酸系ポリマーなどが挙げられ、アクリル酸系ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸、マレイン酸/(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸/スルホン酸、(メタ)アクリル酸/ノニオン基含有モノマーなどのコポリマーや、(メタ)アクリル酸/スルホン酸/ノニオン基含有モノマー、(メタ)アクリル酸/アクリルアミド−アルキルスルホン酸/置換(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸/アクリルアミド−アリールスルホン酸/置換(メタ)アクリルアミドのターポリマーなどが挙げられる。ターポリマーを構成する(メタ)アクリル酸としては、例えば、メタアクリル酸およびアクリル酸と、それらのナトリウム塩などの(メタ)アクリル酸塩などが挙げられる。ターポリマーを構成するアクリルアミド−アルキルスルホン酸としては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とその塩などが挙げられる。また、ターポリマーを構成する置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、t−ブチルアクリルアミド、t−オクチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
これらの中でも、ホスホン酸系化合物とアクリル酸系ポリマーのうち少なくとも1種類を含むものを用いることが好ましい。また、カルシウムとシリカに由来するスケールを同時に抑制するためには、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸と、アクリル酸と(メタ)アクリル酸/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸/置換(メタ)アクリルアミドのターポリマーとの混合物とからなるスケール防止剤を用いることが特に好ましい。
なお、RO膜用の市販のスケール防止剤としては、オルガノ株式会社製の「オルパージョン」シリーズ、BWA Water Additives社製の「Flocon(登録商標)」シリーズ、Nalco社製の「PermaTreat(登録商標)」シリーズ、ゼネラル・エレクトリック社製の「Hypersperse(登録商標)」シリーズ、栗田工業株式会社製の「クリバーター(登録商標)」シリーズなどが挙げられる。
上述したように、本実施形態では、定流量弁14により一次濃縮水の流量が一定に維持されるため、排水ラインL4および還流水ラインL5の一方を流れる一次濃縮水の流量を規定するだけで、他方を流れる一次濃縮水の流量も規定することができる。そのため、図示した実施形態では、排水ラインL4に流量制御手段としての流量調整弁CV1と排水流量計15が設けられ、還流水ラインL5に圧力バランス調整のための手動弁MV1が設けられているが、その逆であってもよい。すなわち、還流水ラインL5に、流量調整弁(比例制御弁)と流量計が設けられ、排水ラインL4に、圧力バランス調整のための手動弁が設けられていてもよい。あるいは、排水ラインL4および還流水ラインL5の両方に、流量調整弁(比例制御弁)と流量計を設けることもできる。
第3の流量制御では、第2のろ過手段12の回収率(二次透過水の流量と濃縮返流水の流量との和に対する二次透過水の流量の割合)を考慮して濃縮返流水(二次濃縮水ラインL7を流れる二次濃縮水)の目標流量が算出され、濃縮水流量計17による濃縮返流水の検出流量(検出値)がその目標流量になるように、流量調整弁CV2の開度が調整される。なお、本明細書では、第2のろ過手段12に対しても「回収率」という用語を用いているが、第2のろ過手段12では二次濃縮水の全てを供給ラインL1に返流するため、第1のろ過手段11の場合と意味合いが異なることに留意されたい。以下、第1のろ過手段11の回収率(第1の回収率)を「一次回収率」ともいい、第2のろ過手段12の回収率(第2の回収率)を「二次回収率」ともいう。
濃縮返流水の目標流量(設定流量)は、二次回収率の目標値と、透過水流量計16による二次透過水の検出流量とに基づいて算出することが好ましい。これにより、第1の流量制御において二次透過水の流量制御が適切に実施されない事態が発生しても、実際の二次回収率が目標の二次回収率からずれることを抑制することができる。なお、実際の算出には、二次透過水の検出流量のばらつきなどによる影響を最小限に抑えるために、所定検出時間や所定検出回数における平均流量を用いることが好ましい。
ただし、装置起動時や運転再開時など、二次透過水の流量が安定せず、検出流量のばらつきが非常に大きい場合には、二次透過水の流量が安定するまでの一定期間、予め設定された二次透過水の目標流量を用いて、濃縮返流水の設定流量を算出するようになっていてもよい。また、二次透過水の目標流量と実際の流量との差に応じて、濃縮返流水の設定流量の算出に用いる二次透過水の流量を切り替えるようになっていてもよい。すなわち、その差が所定範囲内にある場合には、目標流量を用いて算出し、その差が所定範囲を外れた場合には、実際の流量を用いて算出するようになっていてもよい。
上述のように二次回収率制御を行う場合、流量調整弁CV2として電動比例制御弁を用いることが好ましく、これにより、電動比例制御弁の分解能に応じて開度調整を細かく行うことができる。ただし、流量調整弁CV2として電動比例制御弁を用いる場合には、その開閉速度と、濃縮返流水の設定流量の算出速度(演算速度)との関係に注意が必要である。例えば、2つの速度が大きく異なっている場合、電動比例制御弁の開閉が完了して濃縮返流水の流量が安定する前にその設定流量が変更されると、ハンチングが発生する可能性がある。また、濃縮返流水の設定流量が透過水流量計16による二次透過水の検出流量に基づいて決定される場合、濃縮返流水の流量制御は、加圧ポンプ13の回転数を制御するインバータの応答速度にも影響を受ける可能性がある。したがって、濃縮返流水の設定流量の演算速度を決定する際には、電動比例制御弁の開閉速度とインバータの応答速度とを考慮することが好ましい。すなわち、電動比例制御弁の開閉速度が遅い場合は、インバータの応答速度を遅くし、電動比例制御弁の開閉速度が速い場合は、インバータの応答速度を速くすることが好ましい。ただし、本実施形態では、二次濃縮水ラインL7には定流量弁が設置されないため、第3の流量制御(濃縮返流水の流量制御)は、第1の流量制御(二次透過水の流量制御)と独立に行われない。そのため、互いの流量制御が干渉することを抑制するためにも、電動比例制御弁の開閉速度は遅く設定されることが好ましい。これにより、上述のようなハンチングの発生を極力抑制することができ、実際の二次回収率が目標の二次回収率からずれることを抑制することができる。
ところで、本実施形態では、二次濃縮水の全てを供給ラインL1に返流するため、システム全体の回収率(システムに供給される原水の流量に対する二次透過水の流量の割合)は、第1のろ過手段11の回収率(一次回収率)に連動して変化する。すなわち、一次回収率を高くすると、システム全体の回収率も高くなり、一次回収率を低くすると、システム全体の回収率も低くなる。したがって、節水を考慮すると、一次回収率はできるだけ高いことが好ましい。また、一般に、回収率の低下は、濃縮水の塩濃度低下につながり、透過水の水質向上につながる。そのため、二次透過水の水質向上という観点から、第2のろ過手段12の回収率(二次回収率)はできるだけ低いことが好ましく、具体的には、後述する実施例で示すように、一次回収率を下回る値であることが好ましい。
換言すると、本実施形態では、二次回収率が一次回収率を下回るように、二次透過水ラインL6を流れる二次透過水の流量と排水ラインL4を流れる濃縮排水の流量と二次濃縮水ラインL7を流れる二次濃縮水の流量とが調整されることが好ましい。こうして、一次回収率を相対的に大きくすることで、システム全体の回収率を高くして節水を図ることができる。それと同時に、二次回収率を相対的に小さくすることで、二次透過水の水質を向上させることができ、加えて、二次濃縮水ラインL7を通じて原水に合流される第2のろ過手段12からの二次濃縮水(濃縮返流水)の流量を増加させることができる。濃縮返流水は原水よりも清澄であるため、濃縮返流水の流量増加により、第1のろ過手段11への供給水の水質を向上させることができ、これによっても、第2のろ過手段12からの二次透過水の水質を向上させることができる。
一次回収率と二次回収率の具体的な目標値としては、二次回収率の目標値が一次回収率の目標値を下回る値であれば特に限定されず、原水の水質に合わせて適切な値をそれぞれ設定することができる。ただし、第1のろ過手段11のRO膜またはNF膜には最大透過水流量が規定されているため、二次回収率の目標値の設定は、濃縮返流水の目標流量と二次透過水の目標流量との和(第2のろ過手段12に必要な一次透過水の流量)がその最大透過水流量を超えない範囲で行われることが好ましい。すなわち、第1の流量制御によって二次透過水の流量が一定に維持された状態では、二次回収率の目標値が低くなると、それに応じて濃縮返流水の目標流量が大きくなり、第2のろ過手段12に必要な一次透過水の流量が第1のろ過手段11の最大透過水流量を超えてしまうことがある。そのため、二次回収率の目標値は低すぎないことが好ましく、例えば、後述する実施例で示すように、40%以上であることが好ましい。なお、第2のろ過手段12に必要な一次透過水の流量が第1のろ過手段11の最大透過水流量を超えない範囲内では二次回収率の目標値を所望の値に設定できない場合には、第1の流量制御における二次透過水の目標流量をより低い値に変更することも考えられる。これにより、第2のろ過手段12に必要な一次透過水の流量が少なくなり、第1のろ過手段11の最大透過水流量を超えない範囲内で二次回収率の目標値を所望の値に設定することも可能になる。あるいは、このような二次透過水の目標流量の変更が好ましくない場合には、第1のろ過手段11として複数のRO膜またはNF膜を用いることで、第1のろ過手段11全体の最大透過水流量を予め増加させておいてもよい。一方で、一次回収率の目標値は、同じく後述する実施例で示すように、節水の観点からは75%以上であることが好ましく、処理水質の向上の観点からは55%以上であることが好ましい。
以上、上述した実施形態では、1つの制御部により3つの流量制御が実行される場合を例示したが、それぞれの流量制御が別個に設けられた制御部によって実行されてもよい。
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例では、図1に示す膜ろ過装置を用いて24時間連続運転を行い、運転後の二次透過水の水質(導電率およびナトリウム濃度)を測定した。原水として水道水を用い、第1および第2のろ過手段として、いずれもダウケミカル社製のRO膜(品番:XLE−4040)を2つ並列に接続したものを用いた。二次透過水ラインを流れる二次透過水の目標流量を320L/hに設定し、第1のろ過手段の回収率(一次回収率)および第2のろ過手段の回収率(二次回収率)の目標値をそれぞれ75%および40%に設定した。
(実施例2)
一次回収率の目標値を55%に設定した以外、実施例1と同様の条件で二次透過水の水質を測定した。
(比較例1)
一次回収率および二次回収率の目標値をそれぞれ45%および90%に設定した以外、実施例1と同様の条件で二次透過水の水質を測定した。
(比較例2)
二次回収率の目標値を75%に設定した以外、比較例1と同様の条件で二次透過水の水質を測定した。
表1に、実施例1,2および比較例1,2における二次透過水の導電率およびナトリウム濃度の測定値を示す。なお、表1には、参考のために、一次回収率の目標値、二次回収率の目標値、およびシステム全体の回収率(システムに供給される原水の流量に対する二次透過水の流量の割合)の目標値も示している。
Figure 2021084085
実施例1,2では、比較例1,2と比べて、導電率およびナトリウム濃度のいずれに関しても良好な結果が得られていることが確認された。これは、二次回収率の低下による効果に加えて、原水よりも十分に清澄な二次濃縮水(濃縮返流水)の流量増加により、第1のろ過手段への供給水の水質が向上したことによる効果(濃縮返流水による原水の希釈効果の影響)であると考えられる。一方で、実施例1と実施例2を比較すると、二次透過水の水質の点で実施例2がより良好であるが、これは、一次回収率の低下による効果であると考えられる。
10 膜ろ過装置
11 第1のろ過手段
12 第2のろ過手段
13 加圧ポンプ
14 定流量弁
15 排水流量計
16 透過水流量計
17 濃縮水流量計
20 制御部
L1 供給ライン
L2 一次透過水ライン(第1の透過水ライン)
L3 一次濃縮水ライン(第1の濃縮水ライン)
L4 排水ライン
L5 還流水ライン
L6 二次透過水ライン(第2の透過水ライン)
L7 二次濃縮水ライン(第2の濃縮水ライン)
CV1,CV2 流量調整弁
MV1 手動弁

Claims (8)

  1. 直列に接続された第1および第2のろ過手段であって、それぞれが被処理水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜またはナノろ過膜を有し、前記第2のろ過手段が前記第1のろ過手段よりも下流側に位置する、第1および第2のろ過手段と、
    前記第1のろ過手段に被処理水を供給する供給ラインと、
    前記第1のろ過手段から透過水を流通させて前記第2のろ過手段に供給する第1の透過水ラインと、
    前記第1のろ過手段からの濃縮水を流通させる第1の濃縮水ラインと、
    前記第1の濃縮水ラインから分岐し、前記第1の濃縮水ラインを流れる濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインと、
    前記第2のろ過手段から透過水を流通させる第2の透過水ラインと、
    前記第2のろ過手段からの濃縮水を流通させて前記供給ラインに返流する第2の濃縮水ラインと、
    前記第2の透過水ラインを流れる透過水の流量と前記第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量との和に対する前記第2の透過水ラインを流れる透過水の流量の割合である第2の回収率が、前記第1の透過水ラインを流れる透過水の流量と前記排水ラインを流れる濃縮水の流量との和に対する前記第1の透過水ラインを流れる透過水の流量の割合である第1の回収率を下回るように、前記供給ラインを流れる被処理水の圧力と前記排水ラインを流れる濃縮水の流量と前記第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量とを調整する制御部と、を有する膜ろ過装置。
  2. 前記第1の濃縮水ラインから分岐し、前記第1の濃縮水ラインを流れる濃縮水の残りを前記供給ラインに還流させる還流水ラインと、
    前記供給ラインを流れる被処理水の圧力を調整する圧力調整手段と、
    前記排水ラインを流れる濃縮水の流量を調整する第1の流量調整手段と、
    前記第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量を調整する第2の流量調整手段と、を有し、
    前記制御部は、前記第2の透過水ラインを流れる透過水の流量が設定流量になるように前記圧力調整手段を制御する第1の流量制御と、前記第1の透過水ラインを流れる透過水の流量から前記排水ラインを流れる濃縮水の目標流量を算出し、前記排水ラインを流れる濃縮水の流量が前記目標流量になるように前記第1の流量調整手段を制御する第2の流量制御と、前記第2の透過水ラインを流れる透過水の流量から前記第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の目標流量を算出し、前記第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量が前記目標流量になるように前記第2の流量調整手段を制御する第3の流量制御と、を並行して実行しながら、前記第2の回収率の目標値を、前記第1の回収率の目標値を下回る値に設定する、請求項1に記載の膜ろ過装置。
  3. 前記制御部は、前記第2の流量制御において、前記第1の透過水ラインを流れる透過水の流量を取得し、前記第1の回収率の目標値と、前記取得した透過水の流量とに基づいて、前記排水ラインを流れる濃縮水の前記目標流量を算出する、請求項2に記載の膜ろ過装置。
  4. 前記制御部は、前記取得した透過水の流量を前記第1の回収率の目標値で除した値から、前記取得した透過水の流量を減じた値を、前記排水ラインを流れる濃縮水の前記目標流量として算出する、請求項3に記載の膜ろ過装置。
  5. 前記第1のろ過手段に供給される被処理水と前記第1のろ過手段からの透過水と前記第1のろ過手段からの濃縮水とのいずれかの水温を検出する水温検出手段を有し、
    前記制御部は、前記水温検出手段による検出値に基づいて、前記第1のろ過手段の前記逆浸透膜またはナノろ過膜の膜面にシリカまたはカルシウムが析出しない最大の第1の回収率を算出し、該算出した値を前記第1の回収率の目標値として設定する、請求項2から4のいずれか1項に記載の膜ろ過装置。
  6. 前記第2の透過水ラインを流れる透過水の流量を検出する第1の流量検出手段を有し、
    前記制御部は、前記第3の流量制御において、前記第2の回収率の目標値と、前記第1の流量検出手段による検出値とに基づいて、前記第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の前記目標流量を算出する、請求項2から5のいずれか1項に記載の膜ろ過装置。
  7. 前記第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量を検出する第2の流量検出手段を有し、
    前記制御部は、前記第1の流量検出手段による検出値と前記第2の流量検出手段による検出値との和を、前記第1の透過水ラインを流れる透過水の流量として取得する、請求項6に記載の膜ろ過装置。
  8. 直列に接続された第1および第2のろ過手段であって、それぞれが被処理水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜またはナノろ過膜を有し、前記第2のろ過手段が、前記第1のろ過手段よりも下流側に位置する、第1および第2のろ過手段と、前記第1のろ過手段に被処理水を供給する供給ラインと、前記第1のろ過手段から透過水を流通させて前記第2のろ過手段に供給する第1の透過水ラインと、前記第1のろ過手段からの濃縮水を流通させる第1の濃縮水ラインと、前記第1の濃縮水ラインから分岐し、前記第1の濃縮水ラインを流れる濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインと、前記第2のろ過手段から透過水を流通させる第2の透過水ラインと、前記第2のろ過手段からの濃縮水を流通させて前記供給ラインに返流する第2の濃縮水ラインと、を有する膜ろ過装置の運転方法であって、
    前記第2の透過水ラインを流れる透過水の流量と前記第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量との和に対する前記第2の透過水ラインを流れる透過水の流量の割合である第2の回収率が、前記第1の透過水ラインを流れる透過水の流量と前記排水ラインを流れる濃縮水の流量との和に対する前記第1の透過水ラインを流れる透過水の流量の割合である第1の回収率を下回るように、前記供給ラインを流れる被処理水の圧力と前記排水ラインを流れる濃縮水の流量と前記第2の濃縮水ラインを流れる濃縮水の流量とを調整する工程を含む、膜ろ過装置の運転方法。
JP2019216255A 2019-11-29 2019-11-29 膜ろ過装置およびその運転方法 Active JP7307665B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019216255A JP7307665B2 (ja) 2019-11-29 2019-11-29 膜ろ過装置およびその運転方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019216255A JP7307665B2 (ja) 2019-11-29 2019-11-29 膜ろ過装置およびその運転方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021084085A true JP2021084085A (ja) 2021-06-03
JP7307665B2 JP7307665B2 (ja) 2023-07-12

Family

ID=76086457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019216255A Active JP7307665B2 (ja) 2019-11-29 2019-11-29 膜ろ過装置およびその運転方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7307665B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61171594A (ja) * 1985-01-23 1986-08-02 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 純水製造方法
JP2018167146A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 オルガノ株式会社 膜ろ過装置
JP2019188269A (ja) * 2018-04-18 2019-10-31 日本ウォーターシステム株式会社 水処理装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61171594A (ja) * 1985-01-23 1986-08-02 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 純水製造方法
JP2018167146A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 オルガノ株式会社 膜ろ過装置
JP2019188269A (ja) * 2018-04-18 2019-10-31 日本ウォーターシステム株式会社 水処理装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP7307665B2 (ja) 2023-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7045814B2 (ja) 膜ろ過装置
JP6851877B2 (ja) 膜ろ過装置
JP6842976B2 (ja) 純水製造装置
JP4831480B2 (ja) 膜濾過システム
JP2014213260A (ja) 膜ろ過装置
CN108380051B (zh) 一种稳定节能型反渗透系统及其控制方法
JP2009285522A (ja) 逆浸透膜装置
JP7045870B2 (ja) 膜ろ過装置
JP7017365B2 (ja) 膜ろ過装置
JP7106283B2 (ja) 膜ろ過装置
JP2021084085A (ja) 膜ろ過装置およびその運転方法
JP2021079330A (ja) 膜ろ過装置およびその運転方法
JP7285748B2 (ja) 水処理装置
JP7303861B2 (ja) 膜ろ過装置
JP7106395B2 (ja) 膜ろ過装置
JP7181809B2 (ja) 膜ろ過装置
JP2022061173A (ja) 膜ろ過装置およびその運転方法
JP2023032684A (ja) 膜ろ過装置
JP7364451B2 (ja) 水処理装置および水処理装置の運転管理方法
JP7449107B2 (ja) 水処理方法および水処理装置
JP2022154246A (ja) 水処理方法および水処理装置
WO2023032566A1 (ja) 水処理方法及び水処理装置
JP2021030192A (ja) 純水製造装置
JP6088419B2 (ja) 海水の前処理装置
JP2022054984A (ja) 膜ろ過装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220707

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230529

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230620

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230630

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7307665

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150