JP2021083416A - リソソームと多胞体との融合抑制剤 - Google Patents

リソソームと多胞体との融合抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2021083416A
JP2021083416A JP2019216506A JP2019216506A JP2021083416A JP 2021083416 A JP2021083416 A JP 2021083416A JP 2019216506 A JP2019216506 A JP 2019216506A JP 2019216506 A JP2019216506 A JP 2019216506A JP 2021083416 A JP2021083416 A JP 2021083416A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramide
fusion
polytopes
present
inhibitor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019216506A
Other languages
English (en)
Inventor
向井 克之
Katsuyuki Mukai
克之 向井
靖之 五十嵐
Yasuyuki Igarashi
靖之 五十嵐
耕平 湯山
Kohei Yuyama
耕平 湯山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Hokkaido University NUC
Original Assignee
Daicel Corp
Hokkaido University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Corp, Hokkaido University NUC filed Critical Daicel Corp
Priority to JP2019216506A priority Critical patent/JP2021083416A/ja
Publication of JP2021083416A publication Critical patent/JP2021083416A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、リソソームと多胞体との融合を抑制でき、多胞体をリサイクル経路へ効率的に移行させることができる、リソソームと多胞体との融合抑制剤を提供することを目的とする。【解決手段】セラミドを有効成分とする、リソソームと多胞体との融合抑制剤。【選択図】なし

Description

本発明は、リソソームと多胞体との融合を抑制でき、多胞体をリサイクル経路へ効率的に移行させることができる、リソソームと多胞体との融合抑制剤に関する。
近年の研究から、エクソソームが、脳内アミロイドβタンパク質の代謝やアルツハイマー病の発現・進行に関与していることが示唆されている。エクソソームは、細胞から分泌される脂質二重膜に囲まれた直径30〜200nmの膜小胞体であり、mRNA、miRNA等の核酸やタンパク質等を内包し、細胞間コミュニケーションの担い手として機能している。
アミロイドβタンパク質は、エクソソームを介してミクログリアに移動し、その後に分解されると考えられている。例えば、非特許文献1では、神経細胞由来エクソソームが、アミロイドβ結合性糖脂質を高発現し、アミロイドβタンパク質を捕捉する能力をもつこと、脳内の貪食細胞ミクログリアと連携してアミロイドβタンパク質を除去する作用を有することが示唆されている。また、非特許文献2では、ニューロン由来エクソソームが、その表面でアミロイドβを捕捉し、ミクログリアへ輸送することで、アミロイドβタンパク質の分解効率を高めていることが示唆されている。また、例えば、非特許文献3では、エクソソームの分泌により、ミクログリアによるアミロイドβタンパク質の除去機能が促進されることが示唆されている。また、例えば、非特許文献4では、エクソソームが、脳内のアミロイドβの代謝に関与していることが示唆されている。
月刊「細胞」、ニューサイエンス社発行、2016、48(1)、第44頁〜第47頁 Dementia Japan 30,Vol.30,No.3,358−367(2016) Yuyama K et al., J Biol Chem., 289(35), 24488−98(2014) Yuyama K et al., J Biol Chem., 287(14), 10977−89(2012)
前述の通り、エクソソームは、アミロイドβタンパク質の除去・蓄積抑制に関与することが知られている。従って、生体内でエクソソームの分泌量を増大させることは、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制することができ、アルツハイマー病の予防・治療等に有効であると考えられている。
一方、エクソソームの形成及び分泌機構についても解明されている。エクソソームの形成は、エンドサイトーシスにより初期エンドソームが形成されるところから始まる。初期エンドソームは、多数の小胞を内部に含んだ多胞体(MVB, Multivesicular body)へと成熟する。この多胞体が、リサイクリング経路に移行し、リサイクリングエンドソームを介して細胞膜に融合すると、細胞外にエクソソームが分泌される。但し、多胞体は、リサイクリング経路だけでなく、リソソームと融合することにより内容物の分解を行う分解経路にも移行する。そのため、生体内でエクソソームの分泌量を増大させるには、多胞体が分解経路に移行し難くして、リサイクリング経路へ効率的に移行させることが有効になる。しかしながら、多胞体をリサイクル経路へ効率的に移行させ得る成分については、未だ十分な検討がなされていない。
そこで、本発明は、リソソームと多胞体との融合を抑制でき、多胞体をリサイクル経路へ効率的に移行させることができる、リソソームと多胞体との融合抑制剤を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、セラミド及び/又はグルコシルには、リソソームと多胞体との融合を抑制でき、多胞体をリサイクル経路へ効率的に移行させる作用があることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
本発明は、下記に掲げるリソソームと多胞体との融合抑制剤を提供する。
項1. セラミドを有効成分とする、リソソームと多胞体との融合抑制剤。
項2. セラミドを構成する脂肪酸の炭素数が6〜26である、項1に記載の融合抑制剤。
項3. セラミドを構成するスフィンゴイド部分の炭素数が16又は18である、項1又は2に記載の融合抑制剤。
項4. リソソームと多胞体との融合抑制用飲食品である、項1〜3のいずれか一項に記載の融合抑制剤。
項5. リソソームと多胞体との融合抑制用医薬品である、項1〜3のいずれか一項に記載の融合抑制剤。
項6. アルツハイマー病予防剤である、項1〜3のいずれか一項に記載の融合抑制剤。
本発明によれば、細胞内でリソソームと多胞体との融合を抑制でき、胞体をリサイクル経路へ効率的に移行させることが可能になる。
試験例1において、LAPTM4Bに対するsiRNA又はコントロールsiRNAを導入した細胞をセラミド存在下又は非存在下で培養し、培養後の細胞においてLysotracker(リソソーム)とCD63(多胞体)が共局在している比率を求めた結果である。 試験例1において、LAPTM4Bに対するsiRNA又はコントロールsiRNAを導入した細胞をセラミド存在下又は非存在下で培養し、培養後の細胞においてRab11(リサイクリングエンドソーム)とCD63(多胞体)が共局在している比率を求めた結果である。
本発明は、セラミドを有効成分とする、リソソームと多胞体との融合抑制剤(単に「抑制剤」と表記することもある)である。以下、本発明の抑制剤の実施形態について詳述する。
有効成分
本発明の抑制剤は、セラミドを有効成分として使用する。
セラミドは、スフィンゴイドに脂肪酸がアミド結合した構造を有する化合物である。本発明の一実施形態では、セラミドのスフィンゴイド部分の構造については、特に限定されないが、本発明の好ましい一態様では、セラミドを構成するスフィンゴイド部分の炭素数が16又は18である。
本発明の一実施形態において、セラミドのスフィンゴイド部分の構造については、具体的には、例えば4−スフィンゲニン(スフィンゴシン)、4−ヒドロキシスフィンガニン(フィトスフィンゴシン)、4−ヒドロキシ−トランス−8−スフィンゲニン、4−ヒドロキシ−シス−8−スフィンゲニン、スフィンガニン、トランス−8−スフィンゲニン、シス−8−スフィンゲニン、トランス−4−スフィンゲニン、トランス−4,トランス−8−スフィンガジエニン、トランス−4,シス−8−スフィンガジエニン、シス4−シス8−スフィンガジエニン、シス4−トランス8−スフィンガジエニン等が挙げられる。好ましい一態様では、セラミドのスフィンゴイド部分の構造は、トランス−4,シス−8−スフィンガジエニン、シス4−シス8−スフィンガジエニン、トランス4−トランス8−スフィンガジエニン、シス4−トランス8−スフィンガジエニン、4−ヒドロキシ−シス−8−スフィンゲニン、又は4−ヒドロシキ−トランス8−スフィンゲニンである。
本発明の一実施形態では、セラミドにおいてスフィンゴイド部分に結合している脂肪酸の炭素数については、特に限定されないが、当該脂肪酸の炭素数として、好ましい一態様では6〜26であり、別の好ましい一態様では6〜24であり、更に別の好ましい一態様では6〜18である。また、前記脂肪酸は、飽和脂肪酸、炭素−炭素二重結合及び/又は炭素−炭素三重結合を含む不飽和脂肪酸、並びにα−ヒドロキシ脂肪酸のいずれであってもよい。
本発明の一実施形態では、セラミドにおいてスフィンゴイド部分に結合している脂肪酸として、具体的には、ヘキサン酸(C6:0)、オクタン酸(C8:0)、デカン酸(C10:0)、ドデカン酸(C12:0)、テトラデカン酸(C14:0)、ヘキサデカン酸(C16:0)、オクタデカン酸(C18:0)、イコサン酸(C20:0)、ヘネイコサン酸(C21:0)、ドコサン酸(C22:0)、トリコサン酸(C23:0)、テトラドコサン酸(C24:0)、ペンタコサン酸(C25:0)、ヘキサドコサン酸(C26:0)、ヘプタコサン酸(C27:0)、オクタドコサン酸(28:0)、シス−9−オクタデセン酸(C18:1)等が挙げられる。なお、前記脂肪酸の括弧内に示す表記「CX:Y」において、CXは1分子当たりの炭素数を示し、Yは1分子当たりの不飽和結合の数を示し、例えば「C16:0」とは炭素数16且つ不飽和結合数が0の脂肪酸を表す。好ましい一態様では、スフィンゴイド部分に結合している脂肪酸は、オクタデカン酸、ドコサン酸、又はイコサン酸である。
また、本発明の一実施形態では、セラミドは、糖セラミドの形態であってもよい。糖セラミドとしては、具体的には、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド、マンノシルセラミド等が挙げられる。本発明の好ましい一態様では、糖セラミドはグルコシドセラミドである。糖セラミドは、生体内で代謝、分解等を経てセラミドに変換されることにより、リソソームと多胞体との融合を抑制する作用を発揮できる。
セラミドは、植物由来、動物由来のいずれであってもよいが、安全性がより一層高い点で、植物由来が好ましい。
本発明の一実施形態では、使用されるセラミドの由来植物としては、例えば、アーモンド、アオサ、アオノリ、アカザ、アカシア、アカネ、アカブドウ、アカマツ(松ヤニ、琥珀、コーパルを含む。以下マツ類については同じ)、アガリクス、アキノノゲシ、アケビ、アサガオ、アザレア、アジサイ、アシタバ、アズキ、アスパラガス、アセロラ、アセンヤク、アニス、アボガド、アマクサ、アマチャ、アマチャヅル、アマナツ、アマリリス、アルテア、アルニカ、アロエ、アンジェリカ、アンズ、アンコール、アンソッコウ、イグサ、イザヨイバラ、イチイ、イチジク、イチョウ、イヨカン、イランイラン、ウイキョウ、ウーロン茶、ウコン、ウスベニアオイ、ウツボグサ、ウド、ウメ、ウラジロガシ、温州ミカン、エイジツ、エシャロット、エゾウコギ、エニシダ、エノキタケ、エルダーフラワー、エンドウ、オーキッド、オウゴンカン、オオバコ、オオヒレアザミ、オオムギ、オケラ、オスマンサス、オトギリソウ、オドリコソウ、オニドコロ、オリーブ、オレガノ、オレンジ(オレンジピールを含む)、カーネーション、カカオ、カキ、カキドオシ、カクテルフルーツ、カッコン、カシワ、カタクリ、カボチャ、カミツレ、カムカム、カモミール、カラスウリ、カラマツ、カラマンダリン、カリン、ガルシニア、カルダモン、カワチバンカン、カンペイ、キイチゴ、キウイ、キキョウ、キャベツ(ケールを含む)、キャラウェイ、キュウリ、キヨミ、キンカン、ギンナン、グァバ、クコ、クズ、クチナシ、クミン、クランベリー、クルミ、グレープフルーツ、クレメンタイン、クローブ、クロマツ、クロマメ、クロレラ、ケツメイシ、ゲンノショウコ、コケモモ、コショウ、コスモス、ゴボウ、コムギ(小麦胚芽を含む)、ゴマ、コマツナ、コメ(米糠を含む)、コリアンダー、コンニャク(コンニャク芋)(こんにゃくトビ粉を含む)、コンブ、サーモンベリー、サイプレス、ザクロ、サツマ芋、サト芋、サトウキビ、サトウダイコン、サフラン、ザボン、サンザシ、サンショウ、シイタケ、シクラメン、シソ、シメジ、ジャガ芋、シャクヤク、ジャスミン、ジュズダマ、シュンギク、ショウガ、ショウブ、シラカシ、ジンチョウゲ、シンナモン、スイカ、スイトピー、スイートスプリング、スギナ、スターアニス、スターアップル、スダチ、ステビア、スモモ、セージ(サルビア)、セトカ、ゼニアオイ、セミノール、セロリ、センキュウ、センブリ、ソバ、ソラマメ、ダイコン、ダイズ(おからを含む)、ダイダイ、タイム、タケノコ、タマネギ、タモギタケ、タラゴン、タロイモ、タンカン、タンゴール、タンジン、タンゼロ、タンポポ、チコリ、ツキミソウ、ツクシ、ツバキ、ツボクサ、ツメクサ、ツルクサ、ツルナ、ツワブキ、ディル、デコポン、テンジクアオイ(ゼラニウム)、トウガ、トウガラシ、トウキ、トウチュウカソウ、トウモロコシ、ドクダミ、トコン、トチュウ、トネリコ、ナガイモ、ナズナ、ナツミ、ナツミカン、ナツメグ、ナンテン、ニガウリ、ニガヨモギ、ニラ、ニンジン、ニンニク、ネギ、ノコギリソウ、ノコギリヤシ、ノビル、バーベナ、パーム、パイナップル、ハイビスカス、ハコベ、バジル、パセリ、ハダカムギ、ハッサク、ハッカ、ハトムギ、バナナ、バナバ、バニラ、パプリカ、ハマメリス、ハルカ、ハルミ、ハレヒメ、バンペイユ、ビート、ピーマン、ヒガンバナ、ヒシ、ヒジキ、ピスタチオ、ヒソップ(ヤナギハッカ)、ヒナギク、ヒナゲシ、ヒノキ、ヒバ、ヒマシ、ヒマワリ、ヒメノツキ、ヒュウガナツ、ビワ、ファレノプシス、フェネグリーク、フキノトウ、ブラックベリー、プラム、ブルーベリー(ビルベリーを含む)、プルーン、ブンタン、ヘチマ、ベニバナ、ベニマドンナ、ベラドンナ、ベルガモット、ホウセンカ、ホウレンソウ、ホオズキ、ボダイジュ、ボタン、ホップ、ホホバ、ポンカン、マイタケ、マオウ、マカ、マカデミアンナッツ、マーコット、マタタビ、マリーゴールド、マリヒメ、マンゴー、ミツバ、ミネオラ、ミモザ、ミョウガ、ミルラ、ムラサキ、メース、メリッサ、メリロート、メロン、メン(綿実油粕を含む)、モヤシ、ヤグルマソウ、ヤマ芋、ヤマユリ、ヤマヨモギ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユリ、ヨクイニン、ヨメナ(アスター)、ヨモギ、ライム、ライムギ、ライラック、ラズベリー、ラッカセイ、ラッキョウ、リンゴ(アップルファイバーを含む)、リンドウ、レイコウ、レイシ、レタス、レモン、レンゲソウ、レンコン、ローズヒップ、ローズマリー、ローリエ、ワケギ、ワサビ(セイヨウワサビを含む)等が挙げられる。これらのセラミドの由来植物の中でも、好ましい一態様では、コムギ、コメ、トウモロコシ、ダイズ、コンニャク、マイタケ、タモギタケ、又は柑橘類(例えば、温州ミカン、アマナツ、イヨカン、オレンジ、カラマンダリン、キヨミ、ナツミカン、タンゴール、ハッサク、ヒュウガナツ、ブンタン等)であり、別の好ましい一態様では、コンニャクである。
本発明の一実施形態では、使用されるセラミドの由来動物としては、例えば、ウニやヒトデ、タコ、イカなどの棘皮動物、軟体動物の組織の全て又は一部;ウマ、ウシ等の哺乳動物の脳組織および皮膚組織;ヒト、ウシ、ヤギ等哺乳動物の乳及びその発酵物等の加工品等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、セラミドは、前述する由来植物又は動物から公知の抽出方法によって得ることができる。また、セラミドは商業的に入手可能であり、市販品を使用してもよい。
また、本発明の一実施形態において、セラミドは、精製されたものであってもよいが、粗精製品であってもよく、更に、スフィンゴ糖脂質の酵素処理物等のセラミド含有物の状態であってもよい。以下、スフィンゴ糖脂質の酵素処理物について説明する。
スフィンゴ糖脂質の酵素処理物としては、前述の由来植物の抽出液、その濃縮液、又は前記濃縮液を精製処理した精製物の酵素処理物等が挙げられる。
スフィンゴ糖脂質は、グルコシルセラミド又はラクトシルセラミド等の、セラミドの第1級アルコール性ヒドロキシ基に糖が結合した糖脂質である。スフィンゴ糖脂質としては、前述したセラミドが得られるのであれば、特に限定されず、セラミドに、グルコース、ガラクトース、又は糖鎖等、いずれの糖が結合したものであってもよい。スフィンゴ糖脂質は、前述する由来植物から公知の抽出方法によって得ることができる。また、スフィンゴ糖脂質は、商業的に入手可能であり、市販品を使用してもよい。
スフィンゴ糖脂質の酵素処理に使用する酵素としては、スフィンゴ糖脂質の糖鎖−セラミド間の結合を加水分解する酵素であれば特に限定されず、例えば、エンドグリコセラミダーゼ(EGCase)が挙げられる。
EGCaseは、等電点及び分子量が異なる3つの分子種(EGCase I、EGCase II、及びEGCase III)が知られており、分子種に応じて基質特異性が異なることが知られている。使用するEGCaseの分子種は、基質となるスフィンゴ糖脂質の構造に応じて適宜設定すればよい。例えば、スフィンゴ糖脂質として、セレブロシド、特にコンニャク由来のスフィンゴ糖脂質の場合であれば、EGCase Iが好適に使用される。酵素処理の条件は、所望の酵素反応が行われるよう適宜選択するとよい。
前記抽出液の濃縮方法としては、エバポレーターのような減圧濃縮装置を用いた公知の濃縮方法が挙げられる。また、精製方法としては、アルカリ処理、溶媒分画、シリカゲルクトマトグラフィー等の公知の精製方法が挙げられる。
酵素処理によって得られたスフィンゴ脂質の酵素処理物は、そのままを用いてもよいし、当該酵素処理物を固液分離した残渣、固液分離した残渣を乾燥させたもの、反応物そのままを乾燥させたもの等を用いてもよい。また、スフィンゴ脂質の酵素処理物を固液分離し、更に水を添加した後、再度固液分離することにより当該酵素処理物を洗浄して不純物を除去したものを用いてもよい。
本発明の一実施形態の抑制剤において、セラミドは、1種の構造又は由来のものを単独して使用してもよく、2種以上の構造又は由来のものを組み合わせて使用してもよい。
本発明の一実施形態の抑制剤におけるセラミドの含有量としては、生体内でリソソームと多胞体との融合を抑制できる有効量であることを限度として特に限定されず、用途、剤型、投与形態等に応じて適宜調整することができる。
その他の添加成分
本発明一実施形態における抑制剤は、前述したセラミド以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、剤型に応じて、他の添加成分を含有していてもよい。本発明の一実施形態の抑制剤において含有され得る添加成分としては、例えば、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、植物抽出エキス類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、アルコール、多価アルコール、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの添加成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの添加成分の含有量については、使用する添加成分の種類や本発明の抑制剤の剤型等に応じて適宜設定される。
剤型・製剤形態
本発明の一実施形態において、抑制剤の剤型については、特に限定されず、固体状、半固体状、又は液体状のいずれであってもよく、抑制剤の種類、用途、投与方法などに応じて適宜設定すればよい。
本発明の一実施形態における抑制剤の投与方法としては、特に限定されず、適用する疾患の種類に応じて適宜選択すればよく、全身投与であっても、局所投与であってもよい。具体的には、経口、経血管内(動脈内又は静脈内)、経皮、経腸、経肺、鼻腔内、脳室内、髄質内投与等が挙げられる。経血管内投与には、血管内注射、持続点滴も含まれる。
本発明の一実施形態における抑制剤の製剤形態については、特に限定されず、投与方法に適した製剤形態に適宜設定することができ、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、注射剤、点滴剤、点鼻剤、注入剤、輸液剤、坐剤等の任意の製剤形態を挙げることができる。例えば、本発明の一実施形態における抑制剤の具体例としては、飲食品及び医薬品が挙げられる。
本発明の一実施形態における抑制剤を飲食品の製剤形態にする場合、前記有効成分を、そのままで、他の食品素材や添加成分と組み合わせて、又は、経口投与に応じたデリバリー技術と組み合わせて、所望の形態に調製すればよい。このような飲食品としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等が挙げられる。これらの飲食品の形態として、特に限定されないが、具体的にはカプセル剤(ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤)、錠剤、顆粒剤、粉剤、ゼリー剤、リポソーム製剤等のサプリメント;栄養ドリンク、果汁飲料、炭酸飲料、乳酸飲料等の飲料;団子、アイス、シャーベット、グミ、キャンディー等の嗜好品等が例示される。これらの飲食品の中でも、好ましい一態様は、飲料、サプリメントであり、別の好ましい一態様は、飲料、カプセル剤である。
本発明の一実施形態における抑制剤を医薬品の製剤形態にする場合、前記有効成分を、そのままで、他の添加成分と組み合わせて、又は、投与形態に応じたデリバリー技術と組み合わせて、所望の形態に調製すればよい。このような医薬品としては、具体的には、ドリンク剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤)、錠剤、顆粒剤、粉剤、ゼリー剤、シロップ剤等の内服用医薬品;リポソーム製剤、注射剤、点滴剤、点鼻剤、注入剤、輸液剤、坐剤等が挙げられる。これらの医薬品の中でも、好ましい一態様は内服用医薬品であり、別の好ましい一態様はカプセル剤及びドリンク剤である。
本発明の一実施形態における抑制剤が飲食品又は内服用医薬品の製剤形態である場合、有効成分であるセラミドの含有量としては、エクソソームの産生が促進される有効量である限り特に限定されず、製剤形態に応じて適宜設定すればよいが、本発明の一態様では1〜20質量%であり、別の好ましい一態様では3〜10質量%であり、更に別の好ましい一態様では6〜8質量%である。
用途
本発明の一実施形態における抑制剤は、リソソームと多胞体との融合を抑制する用途に使用される。即ち、本発明の一実施形態における抑制剤は、リソソームと多胞体との融合抑制作用に基づいて症状が軽減又は改善できる疾患に対する予防又は治療用途で使用することができる。
例えば、リソソームと多胞体との融合抑制は、多胞体が分解経路に移行するのを抑制して多胞体がリサイクル経路に移行する量を高め、エクソソームの分泌量の増加が図られる。従って、本発明の一実施形態における抑制剤は、エクソソームの分泌量の増加に基づいて、症状が軽減又は改善させる疾患に対して適用することができる。例えば、エクソソームは、アルツハイマー病の発症原因の一つであるアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制することができるので、エクソソームの分泌量を増加させると、アルツハイマー病の発症を抑制したり、症状を軽減したりすることができると考えられる。つまり、本発明の一実施形態における抑制剤は、アルツハイマー病の発症を抑制したり、症状を軽減したりすることができる。このように本発明の一実施形態における抑制剤は、アルツハイマー病予防剤としても好適に適用することができる。また、家族性アルツハイマー病を発症した親族が存在するが、家族性アルツハイマー病を発症していない者は、家族性アルツハイマー病の予防が日常的に求められているので、本発明の一実施形態における抑制剤は、このような家族性アルツハイマー病の発症の惧れがある者に対して、好適に適用される。
また、リソソームと多胞体との融合抑制作用に基づいて症状が改善され得る他の疾患としては、例えば、パーキンソン病、前頭側頭型変性症、ポリグルタミン病などの神経変性疾患等が挙げられる。
本発明の一実施形態における抑制剤の適用量としては、特に限定されず、製剤形態、用途、投与対象、期待される効果等に応じて、リソソームと多胞体との融合を抑制できる有効量を適宜設定するとよい。例えば、本発明の一実施形態における抑制剤を経口摂取又は投与する場合、摂取又は投与量としては、セラミド換算量で成人一日当たり0.6〜10mg、好ましくは0.6〜1.2mgが挙げられる。本発明の一実施形態における抑制剤は、一日あたりの量が前述の範囲となるように、1回又は数回に分けて摂取又は投与してもよい。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は、実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
[試験例1:多胞体の局在性の評価]
試験方法
(1)培養細胞として、ヒト神経芽細胞腫由来SH−SY5Y細胞を使用した。12ウェルプレートに、細胞密度1.0x105cells/wellとなるようにSH−SY5Y細胞を播種し、37℃で一晩培養した。
(2)培養後、Lipofectamine RNAiMAX (ThermoFisher社)によるリポフェクション法を用いてLAPTM4Bに対するsiRNA(ID:s30810:Silencer(R)Select Pre−designed siRNA,ThermoFisher社)又はコントロールsiRNA(Stealth RNAiTM siRNA negative control med GC ,ThermoFisher社)を導入した。siRNAの導入は、各siRNAを最終濃度10nMとなるように用い、37℃で24時間培養することにより行った。
(3)各siRNAの導入後、セラミド(C18セラミド;d18:1/18:0;N−ステアロイル−D−エリスロ−スフィンゴシン;Avanti Polar Lipid社)を10μM含む血清不含培地、又はセラミドを含まない血清不含培地に交換し、37℃で24時間培養した。
(4)各siRNA導入細胞へのセラミド処理24時間後に、多胞体、リソソーム、及びリサイクリングエンドソームを蛍光観察し、多胞体/リソソーム又は多胞体/リサイクリングエンドソームの融合率を解析した。多胞体はEGFPが連結したマーカー分子CD63遺伝子を導入し発現させることで可視化した。リソソームは、リソソーム標識蛍光色素LysoTracker Red DND−99 (ThermoFisher Scientific社)を用いて観察した。リサイクリングエンドソームは、リサイクリングエンドソームマーカー分子Rab11に対する抗体(抗Rab11抗体、SantaCruzu社)、及び赤色蛍光色素Alexa Fluor594標識抗IgG抗体(ThermoFisher Scientific社)を用いて免疫染色した。蛍光観察画像は蛍光顕微鏡(キーエンスBZ−X710)で取得した。取得した画像を用いて画像解析ソフトウェアImage J Fijiで、LysoTracker又はRab11の蛍光シグナル部位におけるCD63の蛍光シグナルの共局在率を融合率(colocalization rate)として算出した。
試験結果
CD63は多胞体のマーカー分子であり、Lysotrackerはリソソームの染色剤であり、Rab11はリサイクリングエンドソームのマーカー分子である。LysotrackerとCD63が共局在している比率を求めた結果を図1、Rab11とCD63が共局在している比率を求めた結果を図2に示す。図1及び2において、「Cont」はセラミド非存在下で培養した場合の結果であり、「Cer」はセラミド存在下で培養した場合の結果である。
コントロールsiRNAを導入した細胞では、セラミド存在下で培養した場合、セラミド非存在下で培養した場合に比べて、多胞体とリソソームの共局在は少なく、多胞体とリサイクリングエンドソームの共局在は多くなっていた。即ち、本結果から、セラミドには、多胞体とリソソームの融合を抑制し、多胞体がリサイクリングエンドソームを介してリサイクル経路に効率的に移行させる作用があることが明らかとなった。
また、LAPTM4Bに対するsiRNAを導入した細胞では、セラミド存在下で培養した場合、セラミド非存在下で培養した場合に比べて、多胞体とリソソームの共局在、及び多胞体とリサイクリングエンドソームの共局在は同程度であった。即ち、本結果から、LAPTM4Bは、多胞体をリサイクリング経路に進行させる上で重要な役割を果たしていることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. セラミドを有効成分とする、リソソームと多胞体との融合抑制剤。
  2. セラミドを構成する脂肪酸の炭素数が6〜26である、請求項1に記載の融合抑制剤。
  3. セラミドを構成するスフィンゴイド部分の炭素数が16又は18である、請求項1又は2に記載の融合抑制剤。
  4. リソソームと多胞体との融合抑制用飲食品である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合抑制剤。
  5. リソソームと多胞体との融合抑制用医薬品である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合抑制剤。
  6. アルツハイマー病予防剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合抑制剤。
JP2019216506A 2019-11-29 2019-11-29 リソソームと多胞体との融合抑制剤 Pending JP2021083416A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019216506A JP2021083416A (ja) 2019-11-29 2019-11-29 リソソームと多胞体との融合抑制剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019216506A JP2021083416A (ja) 2019-11-29 2019-11-29 リソソームと多胞体との融合抑制剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021083416A true JP2021083416A (ja) 2021-06-03

Family

ID=76088553

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019216506A Pending JP2021083416A (ja) 2019-11-29 2019-11-29 リソソームと多胞体との融合抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021083416A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022050234A1 (ja) 2020-09-03 2022-03-10 日東電工株式会社 ギ酸塩の製造方法、ギ酸の製造方法、ギ酸塩製造用触媒、及びルテニウム錯体

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018150290A (ja) * 2017-03-14 2018-09-27 株式会社ダイセル エクソソーム産生促進剤
WO2019078005A1 (ja) * 2017-10-18 2019-04-25 株式会社ダイセル アルツハイマー病の予防又は改善剤

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018150290A (ja) * 2017-03-14 2018-09-27 株式会社ダイセル エクソソーム産生促進剤
WO2019078005A1 (ja) * 2017-10-18 2019-04-25 株式会社ダイセル アルツハイマー病の予防又は改善剤

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022050234A1 (ja) 2020-09-03 2022-03-10 日東電工株式会社 ギ酸塩の製造方法、ギ酸の製造方法、ギ酸塩製造用触媒、及びルテニウム錯体
WO2022050235A1 (ja) 2020-09-03 2022-03-10 日東電工株式会社 ギ酸塩の製造方法、ギ酸の製造方法、及び凍結防止剤の製造方法
WO2022050236A1 (ja) 2020-09-03 2022-03-10 日東電工株式会社 アルカリ土類金属ギ酸塩の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6981619B2 (ja) エクソソーム産生促進剤
JP5337855B2 (ja) セラミダーゼ阻害剤の製造方法
KR101784050B1 (ko) 엑소솜을 유효성분으로 함유하는 피부 노화 예방 또는 치료용 약학조성물
WO2001074352A1 (fr) Compositions somniferes
JP5934483B2 (ja) リン脂質結合型dha増加剤
KR20170064486A (ko) 진세노사이드를 포함하는 커큐민 함유 지질나노입자 복합체 및 그의 제조방법
JPWO2019078005A1 (ja) アルツハイマー病の予防又は改善剤
JP2012092032A (ja) セラミド産生促進剤
WO2010021247A1 (ja) セロトニントランスポーター阻害活性を有する医薬品又は飲食品
JP7165321B2 (ja) エクソソーム産生促進剤
JP2021083416A (ja) リソソームと多胞体との融合抑制剤
JP2015174850A (ja) 抗炎症化合物
CN104337731A (zh) 神经酰胺和/或葡萄糖神经酰胺产生促进剂或者保湿剂
JP7057958B2 (ja) ケラチノサイト分化促進剤
JP2017226642A (ja) ジンセノサイドf1を有効成分として含む免疫増強用組成物
JP2012006905A (ja) 美肌用組成物
JP2012254959A (ja) Il−17産生抑制剤
JP2017160134A (ja) ウロリチン類を含有するα−グルコシダーゼ活性阻害剤、およびウロリチン類を含有する血糖値上昇抑制剤
CN109568305B (zh) 神经元活化剂
JP7032771B2 (ja) ニューロピリン機能調節剤
JP6741401B2 (ja) セラミド類含有組成物の製造方法
WO2017183581A1 (ja) Tie2活性化用組成物
JP2019127486A (ja) 経口用抗アレルギー剤
EP2103304A1 (en) Composition for improving brain function
KR102074303B1 (ko) 전호 추출물을 유효성분으로 함유하는 주의력결핍 과잉행동장애의 예방 및 치료용 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191220

A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20191223

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221110

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20230804

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231107

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240507