JP2021081610A - 防音部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】防音部材の剛性を確保しつつ、幅広い周波数の音の防音を可能にすることにある。【解決手段】連続気泡構造を備えた発泡樹脂製の第一防音部11と、第一防音部11よりも高剛性で且つ中空構造(15)を備えた第二防音部12との一体成形品であり、第一防音部11は、中空構造(15)の開口部(OP2)を露出させた状態で第二防音部12の周囲に一体化されている。【選択図】図3

Description

本発明は、高周波の音の防音に適する第一防音部と、第一防音部とは異なる周波数の音の防音に適する第二防音部とを備えた防音部材及びその製造方法に関する。
この種の防音部材は、騒音対策の観点から各種の構造体に用いられており、とりわけ車両の構成部材として好適に用いられている。そして防音部材の分野では、幅広い周波数の騒音を防音(吸音又は遮音)したいとの要請があり、特定周波数の音の防音に適した素材を用いる場合、その他の周波数の音の防音性をどのように確保するかが課題となる。
例えば特許文献1に開示の技術では、高周波の音の防音に適する連続気泡構造を備えた発泡体に、低周波の音の防音に適する音響空隙を設けている。すなわち同技術の熱硬化防音塗料組成物(以下、組成物と呼ぶ)は、ウレタン樹脂等を主成分とする連続気泡構造を備えた発泡体であり、各種の構造体の充填材として使用される。この組成物の表面は、微細孔を備えた表層で形成されており、この表層の下には、適度な容積を持つ複数の音響空孔が形成されている。そして特許文献1の組成物では、連続気泡構造を備えた発泡体によって高周波の音を吸音でき、例えば1000Hz以上の音の防音に適している。さらに微細孔を通じて各音響空孔に伝播された低周波の音を、ヘルムホルツの共鳴原理を利用して減衰して吸音することとしている。
また特許文献2に開示の成形品は、エンジン遮蔽体として用いられるソリッドな樹脂製の成形板であり、外形をなす板状の外面と、この外面の内側に配設された複数の室とを有している。この成形品では、各室のエンジンルームを臨む面に貫通孔を設けることで、低周波の音をヘルムホルツの共鳴原理を利用して各室内で吸音する。そして特許文献2に開示の技術では、不織布を各室の周囲に貼着し、この不織布によって高周波の音の吸音を可能にしている。
特開2012‐255967号公報 特許第2522606号公報
ところで上述の防音部材は、車両の構成部材などの幅広い用途に用いられることを想定して、適度な剛性を有していることが好ましいといえる。しかし特許文献1の組成物は、充填材用の発泡体であるため、剛性の確保には不向きの構成である。もっとも特許文献2の技術のように、ソリッドな樹脂で防音部材を形成し、この防音部材に不織布を貼着することも考えられる。しかし不織布と防音部材の接着力には一定の限界があり、何らかの原因で不織布が剥離した場合には所望の防音性を確保できないおそれがある。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、防音部材の剛性を確保しつつ、幅広い周波数の音の防音を可能にすることにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の防音部材は、高周波の音の防音に適する第一防音部と、第一防音部とは異なる周波数の音の防音に適する第二防音部とを備えている。この種の構成では、防音部材の剛性を確保しつつ、幅広い周波数の音の防音が可能であることが望まれる。
そこで本発明の防音部材は、連続気泡構造を備えた発泡樹脂製の第一防音部と、第一防音部よりも高剛性で且つ中空構造を備えた第二防音部との一体成形品である。そして第一防音部は、中空構造の開口部を露出させた状態で第二防音部の周囲に一体化されている。本発明の防音部材は、第一防音部と第二防音部との一体成形品であり、第一防音部が第二防音部の周囲に配置された状態で比較的強固に一体化している。このため第一防音部は、第二防音部にて補強された状態で、高周波の音の防音を行うことが可能となっている。また本発明では、第二防音部が中空構造を有しているため、ヘルムホルツの共鳴原理を利用して第一防音部とは異なる周波数の音(例えば低周波の音)の防音に適した構成である。すなわち中空構造の開口部が第一防音部から露出しているため、この開口部に入射された音を中空構造内で減衰して吸音等することが可能となっている。
第2発明の防音部材は、第1発明の防音部材において、第二防音部は、複数のセルロース系繊維が積層状態で一体化された部材で形成されている。本発明の第二防音部は、優れた防音性を有し且つ樹脂や金属よりも軽量なセルロース系繊維で形成されているため、防音部材の性能向上に資する構成となっている。
第3発明の防音部材は、第1発明又は第2発明の防音部材において、第二防音部は、一端に開口部を有するとともに、一端とは反対の他端が蓋部によって閉鎖されている。そして蓋部は、インテグラルヒンジ部を介して第一防音部と第二防音部のいずれか一方に一体的に形成されているとともに、中空構造の外方に張り出した状態からインテグラルヒンジ部を基点に折り返されることで中空構造を閉鎖している。本発明では、中空構造を閉鎖する蓋部を、第一防音部と第二防音部のいずれかに一体的に形成することにより、防音部材の部品点数を削減することができ、構造のシンプル化に資する構成となっている。
第4発明の防音部材は、第1発明〜第3発明のいずれかの防音部材において、第二防音部は、防音部材の外形をなしている第一防音部に埋設された状態で一体化している。本発明では、防音部材の外形をなす発泡樹脂製の第一防音部によって、より広範囲にわたって高周波の音の防音を行うことが可能となっている。そして高剛性の第二防音部を第一防音部に埋設して一体化したことにより、この第二防音部が芯材として機能し、第一防音部をより適切に補強することが可能となっている。
第5発明の防音部材の製造方法は、第1発明〜第4発明のいずれかの防音部材の製造方法である。そして第一防音部を成形する成形装置は、第一型と、第一型に閉じ合わせ可能な第二型と、閉じ合わせ状態の第一型と第二型との間に形成されるキャビティとを有するとともに、第一型と第二型の少なくとも一方の型のキャビティを臨む部位には、開口部に差し込み可能な突起部が設けられている。そこで本発明では、突起部を開口部に差し込んで第二防音部を一方の型に設置した状態で第一型と第二型とを閉じ合わせたのち、キャビティ内で第一防音部の成形材料を発泡させて硬化させることとした。本発明では、成形装置に設けられた突起部を、第二防音部の開口部に差し込む比較的簡単な操作によって、第二防音部を、成形装置にセットしておくことができる。そして第一防音部の成形の際には、開口部に差し込まれた突起部が栓の役割を果たすため、第一防音部の成形材料が、第二防音部の中空構造内に意図せず流入するといった事態を極力回避することができる。
第6発明の防音部材の製造方法は、第5発明の防音部材の製造方法において、中空構造は、一端に開口部を有するとともに、一端とは反対の他端が蓋部によって閉鎖可能とされている。そして蓋部は、インテグラルヒンジ部を介して第二防音部に一体的に形成されているとともに、中空構造の外方に張り出した状態からインテグラルヒンジ部を基点に折り返されることで中空構造を閉鎖する構成である。そこで本発明では、第一防音部の成形に先立って、インテグラルヒンジ部を基点に蓋部を曲げ返して中空構造を閉鎖することとした。本発明では、第二防音部で蓋部を形成することにより、防音部材の部品点数を削減することができ、構造のシンプル化に資する構成となっている。そして第一防音部の成形に際しては、前もって蓋部を折り返して中空構造を閉鎖しておくことにより、第一防音部の成形材料が、第二防音部の中空構造内に意図せず流入するといった事態をより確実に回避することができる。
本発明に係る第1発明によれば、防音部材の剛性を確保しつつ、幅広い周波数の音の防音を可能にすることができる。また第2発明によれば、防音部材の剛性と軽量性を確保しつつ、幅広い周波数の音の防音を可能にすることができる。また第3発明によれば、防音部材の構造を極力シンプル化しつつ、幅広い周波数の音の防音を可能にすることができる。また第4発明によれば、防音部材の剛性をより確実に確保しつつ、幅広い周波数の音をより適切に防音することができる。また第5発明によれば、幅広い周波数の音の防音が可能な防音部材をその剛性を確保しつつ製造することができる。そして第6発明によれば、比較的シンプルな構造の防音部材をより適切に製造することができる。
車両の概略側面図である。 車両前部の概略断面図である。 防音部材の概略断面図である。 第二防音部の概略斜視図である。 防音部材の概略拡大断面図である。 ラッチ構造を示す防音部材の概略斜視図である。 ヘルムホルツ吸音器の概略図である。 パルプモールド成形用の成形型を示す概略断面図である。 第二防音部の製造過程の前期を示す各部材の概略断面図である。 第二防音部の製造過程の後期を示す各部材の概略断面図である。 パルプモールド成形用の成形型と第二防音部の概略断面図である。 第一防音部の製造工程を示す各部材の概略断面図である。 蓋部を閉鎖する際の第二防音部の概略断面図である。 実施形態2の防音部材の概略断面図である。 実施形態3の防音部材の概略断面図である。 実施例1の防音部材の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。 各第一防音部の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。 各第二防音部及び比較例1の防音部材の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。 別の各第二防音部の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図19を参照して説明する。各図には、便宜上、車両の前後方向と上下方向と左右方向を示す矢線を適宜図示する。図1に示す車両2では、車室4の前方にエンジンルーム5が設けられており、このエンジンルーム5内には、図2に示すようにエンジンENと後述の防音部材10とが配設されている(図2では、便宜上、エンジンの外形のみ図示する)。そしてエンジンルーム5は、大まかな外形が車両ボディ3で構成されているとともに、車室4との仕切りとなる縦壁状のダッシュパネル6が後方に配設され、さらにフードパネル7によって上側が覆われている。またエンジンルーム5の下部には、車両2の骨格をなす左右一対のフロントサイドメンバ8が配設されている。これら各フロントサイドメンバ8は、エンジンENの左右に配置された状態で前後方向に延びている柱状の部材であり、エンジンルーム5の後端位置ではダッシュパネル6に沿って後方が低くなるように傾斜している。
[実施形態1の防音部材]
そして防音部材10は、図2に示すエンジンルーム5の内側を臨む適宜の位置に設置することができ、例えばダッシュパネル6の前面に設置することができる(図2では、便宜上、ダッシュパネル6に設置された防音部材10を実線で示し、その他の防音部材を設置可能な位置に対応する符号(10)を付す)。この防音部材10は、図3を参照して、エンジンルーム5の内装材として使用されているとともに、後述する第一防音部11と第二防音部12とを備えている。そして防音部材10では、各防音部11,12によって幅広い周波数の音の防音(吸音又は遮音)が可能となっているのであるが、この種の防音部材10は、内装材としての使用を考慮して適度な剛性を有していることが望まれる。そこで本実施形態では、後述する構成によって、防音部材10の剛性を確保しつつ、幅広い周波数の音の防音を可能にすることとした。以下に、ダッシュパネル6に取付けられた防音部材10を一例にその各構成と製造方法を詳述する。
[第一防音部]
図3に示す第一防音部11は、高波数の音の吸音に適する部位であり、連続気泡構造を備えた発泡樹脂で形成されている。ここで高周波の音に適するとは、垂直入射法で測定された吸音率のピークが、典型的に1000Hz以上の高周波のピークであることを意味し、この吸音率は「JIS A 1405」に準拠して測定できる(後述の第二防音部12の吸音率も同様の手順で測定できる)。そして第一防音部11は、防音部材10の外形をなすように縦板状に形成されており、その上下左右の寸法(面積)はダッシュパネル6の前面の適宜の位置を被覆可能な寸法に設定されている。例えば本実施形態の第一防音部11は、ダッシュパネル6の前面を概ね網羅可能な寸法を有し、ダッシュパネル6を通じて車室4側に伝播される音の防音に適している。
[第一防音部の素材]
ここで第一防音部11の素材となる樹脂は、連続気泡構造を備えた発泡樹脂(発泡エラストマを含む)であり、後述の第二防音部12と一体成形可能である(第一防音部11の形成手法は後述)。この種の樹脂として、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂、これらの混合樹脂やエラストマ等の各種の発泡樹脂を例示でき、必要に応じてチップウレタンなどの再生発泡樹脂を混合することもできる。そして第一防音部11の素材となる樹脂の密度は、一般的に吸音すべき音の周波数に応じて設定でき、所望の防音性を有する限り特に限定しない。例えば1000Hz以上の音の防音を想定してポリウレタン樹脂を素材として使用する場合、当該樹脂の密度を0.01g/cm3〜0.4g/cm3の範囲に設定できる。ここでポリウレタン樹脂の密度が0.01g/cm3未満の場合には、第一防音部11の剛性を確保することが困難となり、その使用用途が限定される傾向にある。またポリウレタン樹脂の密度が0.4g/cm3を超える場合には、連続気泡構造を有するように発泡硬化させることが困難になるなどして、所望の吸音性を得られないおそれがある。そして第一防音部11の素材として、密度0.02g/cm3〜0.25g/cm3のポリウレタン樹脂を使用することで、第一防音部11の吸音性と剛性の双方を適切に確保することができる。
また第一防音部11は、剛性を確保する観点から適度な平均厚み寸法T1(図3の前後の寸法)を有しており、その内部には、後述する第二防音部12が埋設状に一体化されている。ここで第一防音部11の平均厚み寸法T1は、素材の密度や設置スペースなどを考慮して設定することができる。例えば密度0.1g/cm3のポリウレタン樹脂を素材として使用する場合、第一防音部11の平均厚み寸法T1を5mm以上に設定することができる。なお第一防音部11の平均厚み寸法T1が5mm未満の場合、所望の吸音性が得られにくくなり、また剛性の観点からその使用用途が限定されるおそれがある。また第一防音部11の平均厚み寸法T1の上限値は特に限定しないが、第一防音部11の平均厚み寸法T1を大きくするほど、防音部材10の高周波側の吸音率を大きくすることが可能である。そして防音部材10の使用用途がエンジンルーム5に設置される内装品の場合、設置スペースなどを考慮して第一防音部11の平均厚み寸法T1を50mm以下に設定することが望ましい。そして第一防音部11の平均厚み寸法T1を10mm〜40mmの範囲に設定することで、所望の剛性と吸音性を確保しつつ、設置スペースを極力とらない構成とすることが可能となる。
[第二防音部]
図3〜図5に示す第二防音部12は、第一防音部11とは異なる周波数の音の防音に適している部位である。すなわち第二防音部材12は、後述する中空構造をなす凸部15を備えることで、ヘルムホルツの共鳴原理を利用した防音が可能となっており、例えば低周波(本実施形態では1000Hz未満)の音の防音に適している。この第二防音部12は、第一防音部11内に収まる寸法を備えた板状の部材であり、本実施形態では、前方から見た平面視において、第一防音部11と概ね同等の寸法(面積)を有している。そして第二防音部12は、底壁部14と、複数の凸部15と、インテグラルヒンジ部40及び蓋部41と、ラッチ構造44を有している。ここで底壁部14は、第二防音部12の外形をなす縦板状の部位であり、ダッシュパネル6に設置された状態では相対的に後方に配置されている。そして第二防音部12では、平面視において後述の複数の凸部15が縦横に列をなして形成され、各凸部15の間を埋めるように底壁部14が設けられている。
[凸部(中空構造)]
そして第二防音部12では、複数の凸部15が、図3及び図5に示すように底壁部14からエンジンルーム5側に突出している。ここで各凸部15は、概ね同一の基本構成を有しているため、以下に、一つの凸部15を例にその詳細を説明する。この凸部15は、図4及び図5を参照して、中空構造をなす概ね四角錐台状の部位であり、天井壁部20と、周面をなす四つの側壁部21〜24と、後述の連通部30を有している。ここで天井壁部20は、エンジンルーム5側に頂点側が配置された概ね四角推形の板状部位であり、その四つの面は、底辺側に向かうにつれて次第に緩やかに傾斜して後述の各側壁部21〜24につながっている。また凸部15では、天井壁部20の後方に底壁部14が配置されておらず解放状となっており、後述する蓋部41によって閉鎖された状態となっている。
[側壁部]
また図4に示す四つの側壁部(下側壁部21,上側壁部22,右側壁部23,左側壁部24)は、天井壁部20の対応する底辺と底壁部14とをつなぐ部分である。そして凸部15では、対をなす側壁部同士が概ねハット断面形状をなすように配置されており、構造的に強度性が高められている。すなわち凸部15の下面をなす下側壁部21と上面をなす上側壁部22とは、天井壁部20から底壁部14に向かうにつれて次第に互いに離れる方向に傾斜している。また凸部15の右面をなす右側壁部23と左面をなす左側壁部24も、天井壁部20から底壁部14に向かうにつれて次第に互いに離れる方向に傾斜している。こうして凸部15をハット断面形状として強度性を高めることにより、エンジンルーム5側から荷重がかけられた場合においても、この凸部15の形状を適切に維持することが可能となっている。このため防音部材10は、凸部15によって適度な厚みが維持されることで、車両用の補強部材や嵩上げ部材等として兼用することが可能であり、使い勝手の良い構成となっている。さらに防音部材10の厚みを凸部15によって稼ぐことで、第一防音部11の質量(使用量)を低減でき、コスト低減や重量低減に資する構成となる。
[連通部(開口部)]
そして図3〜図5に示す各凸部15には、それぞれ凸部の内外を連通する連通部30が設けられている。これら各連通部30は、概ね同一構成を有しているため、以下に、一つの凸部15を一例にその詳細を説明する。図5に示す連通部30は、天井壁部20の概ね中央から突出している筒状の部位であり、筒長さ方向(図5の前後方向)において所定の長さ寸法L1を有している。そして連通部30の内部には通路部32が設けられ、この通路部32は、気体の通過を許容する開口面積Sの通路であって、連通部30の軸線方向に沿って天井壁部20を厚み方向(図5の前後方向)に貫通している。この通路部32は、連通部30の後端で凸部15内に開口する第一開口部OP1と、連通部30の前端(一端)で開口する第二開口部OP2を有し、本実施形態では、第二開口部OP2が、本発明の開口部に相当する。そして凸部15では、後述するヘルムホルツの共鳴原理により、通路部32の開口率を調節することで吸音すべき音の周波数を設定することが可能となっている。なお連通部30(通路部32)は、天井壁部20に複数又は単数設けることができ、連通部30を単数形成する場合には、通路部32の開口面積Sと天井壁部20の面積の割合で開口率を規定することができる。また複数の連通部30を設ける場合には、全ての通路部32の合計開口面積と天井壁部20の面積の割合で開口率を規定することができる。
[第二防音部の性能(ヘルムホルツの共鳴原理)]
ここでヘルムホルツの共鳴原理を図7に示すヘルムホルツ共鳴器50を基に説明すると、このヘルムホルツ共鳴器50では、吸音される音の周波数を、共鳴器の内部空間51と連通部52の構成で規定できる。すなわちヘルムホルツ共鳴器50において、共鳴器の内部空間51の内部体積をV(cm3)、共鳴器の連通部52の長さをL(cm)、共鳴器の連通部52の開口OPの半径をa(cm2)、音速をc(cm/s)としたとき、共鳴器の連通部52に入射する音の周波数f(Hz)は、以下の式(1)により求めることができる。そしてヘルムホルツ共鳴器50では周波数fの音を吸音可能であり、この周波数fは、共鳴器の内部空間51の体積Vと連通部52の長さLの平方根に反比例し、共鳴器の連通部52の開口面積πa2(開口率)の平方根に正比例する。
式1:f=(c/2π)×√(πa2/(V(L×0.6a)))
そして図5に示す中空構造としての凸部15内の体積は、防音すべき音の周波数に応じて適宜設定することができる。ここで上述の第一防音部11が高周波(1000Hz以上)の音の防音に適することを考慮して、第二防音部12では、第一防音部11とは異なる低周波(1000Hz未満)の音を防音するように調整する。そして上述のヘルムホルツの共鳴原理によると、体積の大きい凸部15では相対的に低周波の音を減衰でき、体積の小さい凸部15では相対的に高周波の音を減衰できる。そこで本実施形態では、各凸部15の体積を大きくするなどして、低周波の音を減衰して吸音可能な状態としておくことができる。またヘルムホルツの共鳴原理では、連通部30を長くし且つ開口率を小さくすることにより、入射する音の周波数f(Hz)が次第に小さくなっていく。このため第二防音部12で比較的低周波の音を効率良く吸音する場合には、連通部30の長さ寸法L1を長くし且つ開口率を小さくすることが望ましいといえる。
[凸部(天井壁部)の形状と第一防音部の関係]
ここで防音部材10においては、図5に示す天井壁部20の形状によって、第二防音部12の吸音率と第一防音部11の吸音率のバランスをとることが可能となっている。すなわち天井壁部20上の第一防音部11の平均厚み寸法T11を、天井壁部20の形状にて調節することで、第一防音部11の防音特性を調整することができる。例えば本実施形態では、底壁部14に対する天井壁部20の立上がり角度θを、各側壁部21等よりも小さくすることで、第一防音部11の厚みを連通部30に向かうにつれて次第に小さくなるように設定している。こうして第一防音部11の厚みが天井壁部20上で急激に薄くなって防音特性が変化するといった事態を極力回避することで、第一防音部11の高音域の吸音率を適切に確保することができる。なお第二防音部12の吸音率を相対的に高めたい場合には、凸部15を四角柱状に形成して天井壁部20を高くすることで、上記平均厚み寸法T11を相対的に小さくしておくことが望ましい。
[インテグラルヒンジ部,蓋部]
図3及び図6に示す蓋部41は、上述の各凸部15の後端(他端)の底側を閉鎖可能な部位であり、本実施形態では、第二防音部12に一体的に設けられている。すなわち底壁部14の下縁には、左右方向に延びる溝状のインテグラルヒンジ部40が設けられ、更にインテグラルヒンジ部40の外方には板状の蓋部41が一体的に設けられている。この蓋部41は、第二防音部12の全ての凸部15と底壁部14を網羅可能な寸法(面積)を有する概ね平板状の部位であり、その下縁を除く周縁部分には、前方に向けて張り出すフランジ部42が設けられている。また蓋部41は、図13を参照して、底壁部14の下縁から下方に延設している状態から、インテグラルヒンジ部40を基点に上側に折り返すことが可能となっている。そして本実施形態では、上方に折り返されている蓋部41によって、第二防音部12の各凸部15の底側が閉鎖された状態となっている。また閉鎖状態の蓋部41では、図6に示すフランジ部42が、第二防音部12の外形をなす底壁部14の周囲を囲むように配置されることとなる。
[ラッチ構造]
そして蓋部41は、図3及び図6に示すラッチ構造44を介して底壁部14の上縁側に係止されており、このラッチ構造44は、底壁部14の係止壁部45及び係止突起46と、蓋部41の係止孔部47とで構成されている。すなわち係止壁部45は、底壁部14の上縁から前方に起立する立壁状の部位であり、係止突起46は、係止壁部45の上面前部から上方に突出する突部である。また係止孔部47は、蓋部41の上縁側のフランジ部42に設けられた貫通孔であり、閉鎖状態において係止突起46を挿通可能な位置に形成されている。そして本実施形態では、蓋部41を折り返して各凸部15を閉鎖したのち、蓋部41の上縁側に設けられている係止孔部47に、底壁部14の係止突起46を挿通する。こうすることで折り返された蓋部41が、ラッチ構造44を介して底壁部14に係止された状態となり、蓋部41の意図しない開き方向への移動を極力回避できる。
[第二防音部の素材]
ここで図5に示す第二防音部12の素材として、第一防音部11よりも高剛性の素材が用いられており、吸音や遮音に適した素材を用いることが好ましい。この種の素材として、セルロース系繊維や動物繊維や鉱物繊維や無機繊維などの繊維積層体、車両ボディと同種又は異種の金属製の板材、各種のソリッドな樹脂(エラストマを含む)やゴム製の板材を例示できる。なかでも繊維積層体は、吸音性能や遮音性能に優れているとともに金属や樹脂に比して軽量であるため、第二防音部12の素材として好適に用いることができる。そして本実施形態では、第二防音部12の素材として、複数のセルロース系繊維を積層状態で一体化した素材を用いている。この種のセルロース系繊維として、植物繊維(天然繊維)や再生繊維や精製繊維や半合成繊維等の各種のセルロース系繊維を使用でき、原料調達の利便性やリサイクル性を考慮するとパルプ(特に後述の古紙パルプ)から得られるセルロース系繊維を好適に使用することができる。
また図5に示す第二防音部12の平均厚み寸法T2は、本実施形態では乾燥後のセルロース系繊維の平均積層量で概ね規定でき、第二防音部12の適度な剛性を確保できる限り特に限定しない。例えば第二防音部12を車両用の内装材として用いる場合、第二防音部12の平均厚み寸法T2は、第一防音部11の平均厚み寸法T1等を考慮して典型的に1.5mm〜15mmの範囲に設定でき、軽量性確保の観点等から2.0mm〜8.0mmの範囲に設定することが望ましい。なお連通部30の長さ寸法L1を天井壁部20の平均厚み寸法T2で稼ぐ場合には、連通部30を形成すべき天井壁部20部分の平均厚み寸法T2を、その他の壁部とは独立に設定することができる。すなわち上述の天井壁部20部分の平均厚み寸法T2は、連通部30の性能に応じて適宜設定することができ、上述の平均厚み寸法T2の範囲から逸脱していてもよい。
[第二防音部の剛性(ヤング率)]
そして第二防音部12は、上述の通り第一防音部11よりも剛性に優れており、各防音部11,12の剛性はヤング率によって概ね規定することができる。ここでヤング率は、「JIS K 7113」に準拠した引張試験にて測定できる。そして第二防音部12のヤング率は、第一防音部11のヤング率よりも大きくなるように設定され、第一防音部11のヤング率の1.5倍以上であることが望ましい。例えば第一防音部11の素材にポリウレタン樹脂を使用し、第二防音部12の素材にセルロース系繊維を積層状態で一体化した素材(後述のパルプモールド成形体)を使用した場合を想定する。そしてポリウレタン樹脂製の第一防音部11は、上述の通り密度が0.01g/cm3〜0.4g/cm3の範囲であり、そのヤング率は、典型的に0.001GPa〜0.1GPaの範囲である。またパルプモールド成形体からなる第二防音部12は、密度に相当する緊度(見掛け比重)が典型的に0.3g/cm3〜0.4g/cm3の範囲であり、そのヤング率は、0.2GPa〜0.8GPaの範囲である。このため第二防音部12は、第一防音部11の2倍〜800倍のヤング率を有し、第一防音部11よりも優れた剛性を有することとなる。
[第二防音部の形成手法]
図3〜図5に示す第二防音部12の形成手法は、用いるべき素材に応じて適宜設定可能であり、本実施形態では、後述するパルプモールド成形にて第二防音部12を形成している。このパルプモールド成形用の成形型60は、図8及び図11を参照して、外面をなしている成形面61と、成形面61に沿うように配置された網材62と、成形面61に開口する液体吸入部63とを備えている(各図では、便宜上、一つの液体吸入部にのみ符号63を付している)。成形面61には、凸部15を形成すべき複数の凸状部611が適宜の間隔で設けられており、隣り合う凸状部611の間は、底壁部14を形成するための平坦部612となっている。さらに成形面61には、第二防音部12の各構成(蓋部やラッチ構造等)を形成可能な部位が適宜の位置に設けられている。例えば成形面61には、インテグラルヒンジ部40を形成するための溝状の凹み部613が設けられているとともに、蓋部41を形成するための平坦面614が、凹み部613の外側に設けられている。また網材62は、液体の通過を許容するがセルロース系繊維の通過は実質的に許容しないネット状の部材であり、成形面61の概ね全面を覆うように設置されている。また液体吸入部63は、後述するように液体を成形型60内に吸引するための部位であり、液体吸入部63の開口を、成形面61の適宜の位置に複数設けることができる。この液体吸入部63は、図示しないポンプと、吸引された液体を所定場所に移送する成形型60内の図示しない流路(図示省略)とを有している。
そして図9を参照して、パルプモールド成形用の成形型60を、セルロース系繊維を含む液状の原液68(詳細後述)に浸した状態として、液体吸入部63から原液の液体を吸入しつつ、網材62の上にセルロース系繊維を積層させる。例えば当該成形型60を上下逆にして成形面61を原液中に浸したのち、この成形面61に開口する液体吸入部63から原液の液体を吸引する。そうすると液体に含まれるセルロース系繊維は、当該成形型60の外面を覆う網材62を通過できないため、網材62上に徐々に積層していくこととなる。そして所望の積層量のセルロース系繊維が網材62上に積層されたのちに、当該成形型60を原液から引き揚げ、積層したセルロース系繊維を乾燥させて一体化させる。こうして第二防音部の大まかな外形が、図10に示すようにセルロース系繊維を積層状態で一体化した素材(12)で形成される。そこで当該素材(12)を、当該成形型60から取外して乾燥させたのち、図11に示すように連通部30の通路部32を解放して凸部15の内外を連通することにより、第二防音部12を完成させることができる。
[第二防音部の内面と外面]
こうして製造された図3〜図5に示す第二防音部12は、複数のセルロース系繊維が積層して一体化されたパルプモールド成形体で形成され、適度な強度を有し且つ相対的に軽量となっている。またパルプモールド成形によると、図5及び図11を参照して、網材62側に配置された第二防音部12の内面12aは、網材62に接した状態で形成されるため比較的平滑な状態となっている。これとは異なり第二防音部12の外面12bは、セルロース系繊維の積層量に差が出ることにより、内面12aに比して大きな凹凸形状が形成される。そして大きな凹凸形状を有する外面12bは、その反対側の内面12aに比して反射音の拡散性能に優れているため、特定方向で反響が繰り返されて音(残響音など)が増幅されるといった事態を極力回避することができる。
[原液(パルプ)]
ここで図9に示す原液68の形成手法は特に限定しないが、一般的な形成手法として、所定量(例えば固形分含量が0.5重量%以上となる量)のパルプを水に投入したのち、これらがスラリー状となるまで撹拌する手法を例示できる。そしてパルプとして、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ及び非木材パルプを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、特にリサイクル性の観点などから古紙パルプを用いることが望ましい。この種の古紙パルプとして、離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白古紙パルプを例示でき、この古紙パルプの原材料は、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙や無選別古紙から得ることができる。なお化学パルプとして、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹亜硫酸パルプを例示できる。また機械パルプとして、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)を例示できる。そして非木材パルプとして、ケナフ、麻、葦等の非木材繊維を原料とするパルプを例示できる。
そして図9に示す原液68には、第二防音部の性能向上に寄与する添加剤を添加しておくことができる。この種の添加剤として、サイズ剤、乾燥紙力剤や湿潤紙力剤等の紙力増強剤、PH調整剤、濾水性向上剤、消泡剤、嵩高剤、歩留剤、防菌剤、防カビ剤、填料、染料を例示できる。なかでも水の浸透を防いで耐水性向上に寄与するサイズ剤、乾燥状態時の破断強さ(強度性)向上に寄与する乾燥紙力剤、湿った時の強度性向上に寄与する湿潤紙力剤の少なくとも一種を原液68に添加することが好ましい。そしてサイズ剤として、ロジン系サイズ剤、AKD系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤を例示できる。また乾燥紙力剤として、アニオン性ポリアクリルアミド樹脂等のポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン性澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂を例示できる。また湿潤紙力剤として、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂(又はその変性物)を例示できる。なお原液68に対する各添加剤の添加量は、第二防音部に所望の性能を付与できる限り特に限定しない。例えばサイズ剤は、0.5重量%〜5重量%の範囲で添加することができ、1.0重量%以上添加することが望ましい。また乾燥紙力剤は、0.5重量%〜5重量%の範囲で添加することができ、3.0重量%以上添加することが望ましい。また湿潤紙力剤は、2重量%〜15重量%の範囲で添加することができ、4.0重量%以上添加することが望ましい。
[第一防音部の形成(成形装置、突起部)]
つぎに図3に示す第一防音部11を、図12に示す成形装置70を用いて成形しつつ第二防音部12に一体化する。ここで成形装置70は、図12に示すように、第一型71と、第一型71に閉じ合わせ可能な第二型72とを有し、閉じ合わされた両型の間には、第一防音部の成形空間となるキャビティ73が形成される。そして第一型71のキャビティを臨む部位(内面)には、複数の突起部74が設けられている。これら各突起部74は、第二防音部12の第二開口部OP2の内径に倣った径寸法のピン状の部位であり、それぞれ対応する第二開口部OP2を差し込み可能な位置に配置されている。
そこで本実施形態では、第一型71の各突起部74を、第二防音部12の対応する第二開口部OP2に差し込むことにより、第二防音部12を成形装置70にセットすることができる。また上述の作業に前後して(第一防音部の成形に先立って)、図13に示すようにインテグラルヒンジ部40を基点に蓋部41を曲げ返して中空構造としての各凸部15を閉鎖し、さらにラッチ構造44を介して底壁部14に係止しておく。こうして図12に示すように第二防音部12をセットしたのち、第一型71と第二型72とを閉じ合わせて、キャビティ73内で第一防音部11の成形材料11Xを発泡させて硬化させる。こうして第一防音部11を成形しつつ第二防音部12に一体化することで、防音部材10を製造することができる。このとき第二防音部12の外面12bには、相対的に大きな凹凸形状が形成されているため、この凹凸形状がアンカーとして機能するなどして第一防音部11をより安定的に一体化しておくことができる。そして第一防音部11の成形の際には、開口部に差し込まれた突起部74が栓の役割を果たすため、第一防音部11の成形材料11Xが、各凸部15(中空構造)内に意図せず流入するといった事態を極力回避することができる。さらに第一防音部11の成形に際しては、前もって蓋部41を折り返して各凸部15を閉鎖しておくことにより、第一防音部11の成形材料11Xが、各凸部15(中空構造)内に意図せず流入するといった事態をより確実に回避することができる。
[防音部材の防音性]
図1及び図2に示す車両2では、エンジンルーム5内で発せられた音を吸音及び遮音する目的から、このエンジンルーム5内の適宜の位置に防音部材10が配設される。そして図3に示す防音部材10は、第一防音部11と第二防音部12とによって、幅広い周波数の音を吸音する構成となっている。この種の構成では、上述のように防音部材10の剛性を確保しつつ、幅広い周波数の音の防音を可能とすることが望まれる。
そこで本実施形態の防音部材10は、図3に示すように、連続気泡構造を備えた発泡樹脂製の第一防音部11と、第一防音部11よりも高剛性で且つ凸部15(中空構造)を備えた第二防音部12との一体成形品である。そして第一防音部11は、凸部15の第二開口部OP2を露出させた状態で第二防音部12の周囲に一体化されている。すなわち本実施形態の防音部材10は、第一防音部11と第二防音部12との一体成形品であり、第一防音部11が第二防音部12の周囲に配置された状態で比較的強固に一体化している。このため第一防音部11は、第二防音部12にて補強された状態で、高周波の音の防音を行うことが可能となっている。また本実施形態では、第二防音部12が凸部15を有しているため、ヘルムホルツの共鳴原理を利用して第一防音部11とは異なる周波数の音(本実施形態では低周波の音)の防音に適した構成である。すなわち凸部15の第二開口部OP2が第一防音部11から露出しているため、この第二開口部OP2に入射された音を凸部15内で減衰して吸音等することが可能となっている。そこで以下に、本実施形態の防音部材10によるエンジンルーム5の防音性について具体的に説明する。
[エンジンルーム内で発生した音の防音(吸音及び遮音)]
図3に示す防音部材10では、第一防音部11によって、エンジンルーム5内で発生した高周波の音(SD1)の防音を行い、典型的に1000Hz以上の音の防音を行うことができる。そして本実施形態では、第一防音部11が、防音部材10の外形をなしてダッシュパネル6の前面の概ね全面を被覆している。このため第一防音部11によって、エンジンルーム5内で発生した高周波の音(SD1)を広範囲にわたって防音することができ、当該音が車室4に過度に伝達されるといった事態を極力回避できる。さらに防音部材10では、第二防音部12によって、エンジンルーム5内で発生した低周波の音(SD2)の防音を行い、典型的に100Hz以上1000Hz未満の音の防音を行うことができる。すなわち第二防音部12では、各第二開口部OP2を通じて各凸部15内に伝播された低周波の音(SD2)を、ヘルムホルツの共鳴原理を利用して減衰して吸音することができる。そして本実施形態では、第二防音部12の中空構造をなす凸部15が、平面視において防音部材10の概ね全面にバランス良く配置されている。さらに第二防音部12では、各凸部15の底側が、相対的に硬く遮音性に優れる蓋部41で閉鎖されている。このため第二防音部12によって、エンジンルーム5内で発生した低周波の音(SD2)を広範囲にわたって防音することができ、当該音が車室4に過度に伝達されるといった事態を極力回避することができる。
以上説明した通り本実施形態の防音部材10は、第一防音部11と第二防音部12との一体成形品であり、第一防音部11が第二防音部12の周囲に配置された状態で比較的強固に一体化している。このため第一防音部11は、第二防音部12にて補強された状態で、高周波の音の防音を行うことが可能となっている。また本実施形態では、第二防音部12が凸部15(中空構造)を有しているため、ヘルムホルツの共鳴原理を利用して第一防音部11とは異なる周波数の音(例えば低周波の音)の防音に適した構成である。すなわち凸部15(中空構造)の第二開口部OP2が第一防音部11から露出しているため、この第二開口部OP2に入射された音を凸部15(中空構造)内で減衰して吸音等することが可能となっている。このため本実施形態によれば、防音部材10の剛性を確保しつつ、幅広い周波数の音の防音を可能にすることができる。
さらに本実施形態の第二防音部12は、優れた防音性を有し且つ樹脂や金属よりも軽量なセルロース系繊維で形成されているため、防音部材10の性能向上に資する構成となっている。また本実施形態では、凸部15(中空構造)を閉鎖する蓋部41を、第二防音部12に一体的に形成することにより、防音部材10の部品点数を削減することができ、構造のシンプル化に資する構成となっている。また本実施形態では、防音部材10の外形をなす発泡樹脂製の第一防音部11によって、より広範囲にわたって高周波の音の防音を行うことが可能となっている。そして高剛性の第二防音部12を第一防音部11に埋設して一体化したことにより、この第二防音部12が芯材として機能し、第一防音部11をより適切に補強することが可能となっている。
また本実施形態の製造方法では、成形装置70に設けられた突起部74を、第二防音部12の第二開口部OP2に差し込む比較的簡単な操作によって、第二防音部12を、成形装置70にセットしておくことができる。そして第一防音部11の成形の際には、第二開口部OP2に差し込まれた突起部74が栓の役割を果たすため、第一防音部11の成形材料が、第二防音部12の凸部15内に意図せず流入するといった事態を極力回避することができる。また本実施形態では、第二防音部12で蓋部41を形成することにより、防音部材10の部品点数を削減することができ、構造のシンプル化に資する構成となっている。そして第一防音部11の成形に際しては、前もって蓋部41を折り返して凸部15を閉鎖しておくことにより、第一防音部11の成形材料が、第二防音部12の凸部15内に意図せず流入するといった事態をより確実に回避することができる。
[実施形態2の防音部材]
図14に示す実施形態2の防音部材10Aでは、実施形態1の防音部材とほぼ同一の基本構成を備える構成については、対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。実施形態2の防音部材10Aは、実施形態1と概ね同一の基本構成を備えた第一防音部11と第二防音部12を有しているが、蓋部41Aが、第一防音部11に一体的に形成されている点が実施形態1と異なっている。すなわち本実施形態では、第二防音部12から蓋部41Aが省略されているとともに、第一防音部11の下縁には、溝状のインテグラルヒンジ部40Aと板状の蓋部41Aとがこの順で一体的に設けられている。そして蓋部41Aは、第一防音部11の下縁から下方に延設している状態から、インテグラルヒンジ部40Aを基点に上側に折り返すことが可能となっている。そして本実施形態では、蓋部41Aを上方に折り返したのち第一防音部11に接着又は融着などの手法で一体化することによって、第二防音部12の各凸部15の底側を閉鎖した状態とすることができる。なお蓋部41A及びインテグラルヒンジ部40Aは、図12に示す成形装置70の型形状を変更することで、第一防音部11と同時に成形することができる。また図14に示す蓋部41Aを別体として成形したのち、第一防音部11に後付けすることも可能である。
[実施形態3の防音部材]
図15に示す実施形態3の防音部材10Bでは、実施形態1の防音部材とほぼ同一の基本構成を備える構成については、対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。実施形態3の防音部材10Bは、実施形態1と概ね同一の基本構成を備えた第一防音部11と第二防音部12を有しているが、蓋部41Bが、中空箱形状に形成されている点が実施形態1と異なっている。この蓋部41Bは、上述の各凸部15の底側を閉鎖するための中空箱状の部位であり、底壁部14の下縁に、インテグラルヒンジ部40Bを介して一体的に設けられている。そして蓋部41Bは、各凸部15に対面状に配置される底板部411と、この底板部411から前方に向けて屈曲する周板部412とを有し、この周板部412は、底板部411の全周に形成されている。そして周板部412の上縁側は、相対的に前方に延設されているとともに、ラッチ構造44の一部である係止孔部47が形成されている。なお蓋部41Bの形成手法は特に限定しないが、例えば上述のパルプモールド成形にて第二防音部12に一体成形でき、別体として形成された蓋部41Bを第二防音部12に後付けすることも可能である。
そして本実施形態の防音部材10Bでは、閉鎖状態の蓋部41Bが各凸部15の後方に配置される。このとき各凸部15の後方に底板部411が離間配置されるとともに、周板部412が底壁部14の後方にあてがわれることで、これら底板部411と周板部412で囲まれた背面空間部80が形成される。この背面空間部80は、音の減衰を可能とする空気層として機能することができ、背面空間部80の体積は、凸部15と底板部411の離間距離L2で概ね規定することができる。こうして本実施形態の第二防音部12では、凸部15の体積が背面空間部80にて大きくなることで、より低周波の音を減衰することが可能となる。
[試験例]
以下、本実施形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されない。ここで図16は、実施例1の防音部材の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。また図17は、後述する第一防音部(1)〜(3)の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。また図18は、後述する第二防音部(1)〜(7)及び比較例1の防音部材の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。そして図19は、後述する第二防音部(1)、(8)〜(10)の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
[実施例1]
実施例1の防音部材として、図3に示す板状の防音部材を製造した。このとき図12の成形装置を用いて、ポリウレタン樹脂製の第一防音部(1)を成形しつつ、後述する第二防音部(1)に一体化した。なおポリウレタン樹脂の成形材料として、BASFINOAC ポリウレタン株式会社製、商品名フォームライトNEシリーズを使用した。そして第一防音部(1)の平均厚み寸法は30mmであり、密度は0.1g/cm3であり、ヤング率は0.025GPaであった。また第二防音部(1)を、図9〜図11に示す手順を経て製造し、その際に図8に示すパルプモールド成形用の成形型を用いた。なお原液として、所定量の古紙パルプを水に投入してスラリー状としたものを使用した。そして第二防音部の形状として図3に示す形状を採用し、複数の凸部を概ね等間隔で設けた。また各凸部の目付けを概ね4gとし、各凸部の内部体積を21.4cm3とした。また凸部毎に一つの連通部を設け、連通部の長さ寸法を0.3cmに設定し、通路部の開口寸法をφ3mmに設定した。そして第二防音部(1)の平均厚み寸法は5mmであり、緊度は0.3g/cm3であり、ヤング率は0.2GPaであった。
[比較例1]
また比較例1の防音部材として平均厚み寸法13mmのフェルト製の面材を使用した。
[第一防音部の別例]
また第一防音部(2)及び(3)では、平均厚み寸法による吸音性の変化をみるため、第一防音部(1)とは異なる平均厚み寸法に設定し、その他の構成は第一防音部(1)と同一とした。すなわち第一防音部(2)では、平均厚み寸法を10mmに設定し、第二防音部(3)では、平均厚み寸法を30mmに設定した。
[第二防音部の別例]
また第二防音部(2)〜(7)では、開口率による吸音性の変化をみるため、連通部(通路部)の数を変更し、その他の構成は第二防音部(1)と同一とした。すなわち第二防音部(2)では、各凸部に連通部を二つ設け、第二防音部(3)では、各凸部に連通部を三つ設け、第二防音部(4)では、各凸部に連通部を四つ設け、第二防音部(5)では、各凸部に連通部を五つ設け、第二防音部(6)では、各凸部に連通部を六つ設け、第二防音部(7)では、各凸部に連通部を八つ設けた。
また第二防音部(8)〜(10)では、実施形態3の蓋部の構成を利用して、各凸部の底側に背面空間部を形成した。そして第二防音部(8)では、凸部と底板部の離間距離を40mmに設定し、第二防音部(9)では、凸部と底板部の離間距離を20mmに設定し、第二防音部(10)では、凸部と底板部の離間距離を10mmに設定した。
[吸音特性試験]
吸音特性試験では、垂直入射吸音率測定装置(日東紡音響エンジニアリング、WinZacMTX)を使用し、測定条件は、315〜5000Hz/φ28.6mmに設定した。そして実施例1の防音部材を、天井壁部側を上に向けた状態で測定台上に配置した。この状態で実施例1の防音部材の上側(エンジンルームに相当)から音を出してその吸音率を測定した。また比較例1の防音部材を測定台上に載置し、実施例1と同一条件で吸音率を測定した。そして第一防音部(1)〜(3)の各吸音率と、第二防音部(1)〜(10)の各吸音率を、上述の条件でそれぞれ測定した。
[結果及び考察]
図18を参照して、比較例1の防音部材では、全体的にブロードで且つ低周波領域にピークとみられる部分がない吸音率曲線となり、幅広い周波数の音を適切に防音するには不向きであることがわかった。これとは異なり、図16に示す実施例1の防音部材では、全体的に比較例1よりも吸音率が大幅に高く、さらに400Hz付近と2700Hz付近とにピークを有する吸音率曲線が得られた。この結果は、第一防音部が2700Hz付近の高周波の音を吸音等し、第二防音部が400Hz付近の低周波の音を吸音等したためと考えられる。そして実施例1の防音部材は、第一防音部が剥離することなく第二防音部に一体化され、さらに第二防音部によって曲がりにくくなっていたため、優れた剛性を有していることがわかった。このことから実施例1の防音部材では、第一防音部が、第二防音部にて補強された状態で、高周波の音の防音を行うことが可能となっていることが容易に推察された。このことから実施例1の防音部材によれば、防音部材の剛性を確保しつつ、幅広い周波数の音の防音を可能にできることが判明した。
また図16に示す実施例1の防音部材の吸音率曲線は、図17に示す第一防音部(1)の吸音率曲線と、図18に示す第二防音部(1)の吸音率曲線とを合わせたような曲線となっていた。このことから第一防音部の構成と、第二防音部の構成を適宜組み合わせることで、幅広い音の防音に適する防音部材を形成できることが容易に推察された。そして図17を参照して、第一防音部(1)〜(3)では、高周波領域(2000Hz〜4500Hz付近)にピークを有する吸音率曲線が得られたため、いずれも高周波の音の防音に適していることがわかった。そして第一防音部(1)〜(3)の結果から、その平均厚み寸法を調整することにより、吸音率曲線のピークを調整できることがわかった。
また図18を参照して、第二防音部(1)〜(7)では、それぞれ低周波領域(400Hz〜950Hz付近)にピークを有する吸音率曲線が得られた。そして第二防音部(1)〜(7)の結果から、連通部の数を増やして開口率を高めることにより、吸音率曲線のピークを調整できることがわかった。また上述の結果から、連通部の数(開口率)の異なる凸部を組み合わせて用いることで、吸音周波数のピークを広域化でき、より広範囲の周波数の音を吸音できることが容易に推測される。
さらに図19を参照して、第二防音部(8)〜(10)では、それぞれ更に低周波領域(180Hz〜330Hz付近)にシャープなピークを有する吸音率曲線が得られた。このことから実施形態3のように蓋部に背面空間部を設けることで、より低周波の音の防音に適する構成となり、さらに背面空間部の体積に比例してより低周波の音を吸音できることがわかった。
本実施形態の防音部材は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、防音部材10の構成(形状,寸法,設置位置,設置数など)を例示したが、防音部材の構成を限定する趣旨ではない。例えば防音部材は、エンジンルームの内装材のほか、各種の用途が想定される。この種の用途として、エンジンカバー、フードカバー、ダッシュサイレンサー、タイヤ内部に配置される部材、インストルメントパネルやピラーガーニッシュやコンソールやドアトリムや車両ボディなどの内装材や外装材、車室と他の車内構造(トランクルーム等)とを区画する部材を想定できる。そして防音部材の構成は、主な使用用途である防音や、補助的な使用用途(補強、嵩上げなど)や、求められる吸音性及び遮音性などに応じて適宜設定することができる。
また本実施形態では、第一防音部と第二防音部の構成(形状,寸法,配置位置,形成数など)を例示したが、これら各部の構成を限定する趣旨ではない。例えば第一防音部は、板状のほか、柱状などの各種の立体形状をとり得る。また第二防音部の形状も、第一防音部に合わせて適宜変更可能であり、第一防音部の概ね全部又は一部に一体化しておくことができる。例えば第一防音部の一部に、第二防音部の配置されていない箇所を意図的に設け、当該箇所で曲げ変形させておくことができる。なお各防音部の防音性は、概ね1000Hzを基準としているが、必ずしも1000Hzを基準とする必要はない。すなわち第一防音部では、高周波の音の防音を想定しているが、当該音は、必ずしも1000Hz以上である必要はなく、誤差の範囲内で1000Hzを若干下回っていてもよい。また第二防音部では、第一防音部とは異なる周波数の音の防音を想定しており、当該音は、必ずしも1000Hz未満である必要はなく、1000Hzを上回っていてもよい。
また第二防音部の中空構造をなす凸部の形状として、四角錐台状や直方体状や立方体状などの各種の柱形状、円筒状や円錐台状や中空円筒状などの円筒形状、半球状などの各種の立体形状を採用できる。そして複数の凸部は、それぞれ独立に形状や寸法を設定することが可能であり、連通部の数や通路部の開口面積も独立に設定できる。また防音部材では、ハット断面をなすように各側壁部の少なくとも一つを傾斜状とすることができ、例えば本実施形態では、一つの側壁部のみを傾斜状とすることが可能である。なお側壁部は、直線的に傾斜していてもよく、階段状などのように屈曲して傾斜していてもよく、曲面をなすように湾曲して傾斜していてもよい。また天井壁部は、半円状などのように湾曲面を有していてもよく、湾曲面と傾斜面を適宜組み合わせて形成することもできる。また連通部は、凸部の各壁部に複数又は単数形成することができ、例えば連通部は、天井壁部のほか、前側壁部と後側壁部と右側壁部と左側壁部の適宜の位置に設けることができる。なお各実施形態の構成は適宜組み合わせて用いることができる。なお実施形態3では、蓋部の内面に立壁状のリブを設けるなどして、背面空間部を凸部毎に区分けしたり、蓋部の剛性をより高めたりすることができる。また実施形態3の蓋部に、凸部に倣った部分を設けてもよく、例えば図3に示す凸部と底壁部を前後逆にしたような形状としてもよい。
また本実施形態では、蓋部とインテグラルヒンジ部とラッチ構造の構成を例示したが、これら各部及びラッチ構造の構成を限定する趣旨ではない。例えば蓋部は、底壁部の適宜の位置に設けることができ、上下又は左右一対の蓋部を観音開き可能な状態で設けることもできる。またラッチ構造は、第二防音部の適宜の位置に設けることができ、上縁又は左右縁の適宜の位置に複数又は単数設けることができる。なおラッチ構造を、フック構造やクリップ構造で形成してもよく、ボルト材などの締結具で構成してもよく、必要に応じて省略することもできる。なおラッチ構造を省略する場合には、蓋部を接着などの手法で底壁部に固定しておくことができる。
また本実施形態では、防音部材の製造方法を例示したが、製造方法を限定する趣旨ではない。例えば突起部は、第一型と第二型の少なくとも一方に形成でき、突起部の構成も、連通部の構成に応じて適宜設定できる。そして本実施形態の防音部材は、車両の内装品や外装品などの車両の構成部材のほか、家屋や防音壁などの各種の構造体に用いることができる。
2 車両
3 車両ボディ
4 車室
5 エンジンルーム
6 ダッシュパネル
7 フードパネル
8 フロントサイドメンバ
EN エンジン
10 防音部材
11 第一防音部
11X 第一防音部の成形材料
12 第二防音部
12a 第二防音部の内面
12b 第二防音部の外面
14 底壁部
15 凸部(本発明の中空構造)
20 天井壁部
21 下側壁部
22 上側壁部
23 右側壁部
24 左側壁部
30 連通部
32 通路部
OP1 第一開口部
OP2 第二開口部(本発明の開口部)
40 インテグラルヒンジ部
41 蓋部
42 フランジ部
44 ラッチ構造
45 係止壁部
46 係止突起
47 係止孔部
50 ヘルムホルツ共鳴器
51 ヘルムホルツ共鳴器の内部空間
52 ヘルムホルツ共鳴器の連通部
OP 開口
60 パルプモールド成形用の成形型
61 成形面
62 網材
63 液体吸入部
611 凸状部
612 平坦部
613 凹み部
614 平坦面
68 原液
70 成形装置
71 第一型
72 第二型
73 キャビティ
74 突起部
10A 実施形態2の防音部材
40A 実施形態2のインテグラルヒンジ部
41A 実施形態2の蓋部
10B 実施形態3の防音部材
40B 実施形態3のインテグラルヒンジ部
41B 実施形態3の蓋部
80 背面空間部
411 底板部
412 周板部

Claims (6)

  1. 高周波の音の吸音に適する第一防音部と、前記第一防音部とは異なる周波数の音の吸音に適する第二防音部とを備えた防音部材において、
    連続気泡構造を備えた発泡樹脂製の前記第一防音部と、前記第一防音部よりも高剛性で且つ中空構造を備えた前記第二防音部との一体成形品であり、
    前記第一防音部は、前記中空構造の開口部を露出させた状態で前記第二防音部の周囲に一体化されている防音部材。
  2. 前記第二防音部は、複数のセルロース系繊維が積層状態で一体化された部材で形成されている請求項1に記載の防音部材。
  3. 前記第二防音部は、一端に前記開口部を有するとともに、前記一端とは反対の他端が蓋部によって閉鎖されており、
    前記蓋部は、インテグラルヒンジ部を介して前記第一防音部と前記第二防音部のいずれか一方に一体的に形成されているとともに、前記中空構造の外方に張り出した状態から前記インテグラルヒンジ部を基点に折り返されることで前記中空構造を閉鎖している請求項1又は2に記載の防音部材。
  4. 前記第二防音部は、前記防音部材の外形をなしている前記第一防音部に埋設された状態で一体化している請求項1〜3のいずれか一項に記載の防音部材。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の防音部材の製造方法において、
    前記第一防音部を成形する成形装置は、第一型と、前記第一型に閉じ合わせ可能な第二型と、閉じ合わせ状態の前記第一型と前記第二型との間に形成されるキャビティとを有するとともに、前記第一型と前記第二型の少なくとも一方の型のキャビティを臨む部位には、前記開口部に差し込み可能な突起部が設けられており、
    前記突起部を前記開口部に差し込んで前記第二防音部を前記一方の型に設置した状態で前記第一型と第二型とを閉じ合わせたのち、前記キャビティ内で前記第一防音部の成形材料を発泡させて硬化させる防音部材の製造方法。
  6. 前記中空構造は、一端に前記開口部を有するとともに、前記一端とは反対の他端が蓋部によって閉鎖可能とされており、
    前記蓋部は、インテグラルヒンジ部を介して前記第二防音部に一体的に形成されているとともに、前記中空構造の外方に張り出した状態から前記インテグラルヒンジ部を基点に折り返されることで前記中空構造を閉鎖する構成であり、
    前記第一防音部の成形に先立って、前記インテグラルヒンジ部を基点に前記蓋部を曲げ返して前記中空構造を閉鎖する請求項5に記載の防音部材の製造方法。
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