JP2021080996A - エンコーダ付きスリンガ及びその製造方法、並びに、ハブユニット軸受 - Google Patents

エンコーダ付きスリンガ及びその製造方法、並びに、ハブユニット軸受 Download PDF

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将充 渡部
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Abstract

【課題】エンコーダをプラスチック磁石製とした場合にも、回転部材の機械的性質を変化させることなく、スリンガと回転部材との間の嵌合部に水が侵入することを防止できる、エンコーダ付きスリンガを実現する。【解決手段】スリンガ27を構成する円輪部31の軸方向内側面に固定されたエンコーダ28の径方向内側部に、熱収縮により内周面を内輪11の外周面に接触させた筒状のシール部33を設ける。さらに、シール部33を、被検出面である軸方向内側面にS極とN極とが円周方向に関して交互にかつ等間隔に配置されたエンコーダ本体32に比べて、熱収縮性の高い放射性架橋部とする。【選択図】図2

Description

本発明は、エンコーダ付きスリンガ及びその製造方法、並びに、ハブユニット軸受に関する。
自動車の車輪及び制動用回転体は、ハブユニット軸受により、懸架装置に対して回転自在に支持されている。また、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロール(TCS)などの車両用挙動制御装置を制御するために使用する、車輪の回転速度を表す信号を得ることを目的として、ハブユニット軸受に、スピードセンサの被検出面となる磁気式のエンコーダを取り付けることも行われている。
磁気式のエンコーダとしては、バックヨークとして機能する磁性金属製のスリンガに、磁性粉末を混入したゴム(磁性ゴム)を加硫成形接着により固定したものが、従来から広く知られている。また、近年、エンコーダの摩耗対策として、ゴム磁石製のエンコーダよりも硬度の高い、磁性粉末を合成樹脂に混入してなるプラスチック磁石製のエンコーダを使用するケースも増えている。
エンコーダが固定されるスリンガは、一般的に、ハブなどの回転部材に外嵌するための円筒状の嵌合筒部と、嵌合筒部の軸方向一方側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がり、軸方向一方側の側面にエンコーダが固定される円輪部とを有しており、略L字形の断面形状を有している。このため、嵌合筒部は、円輪部に近い軸方向一方側部分の剛性が、軸方向他方側部分の剛性よりも高くなる。
したがって、エンコーダが固定されたスリンガを回転部材に取り付けるために、嵌合筒部を回転部材に対して圧入すると、嵌合筒部のうちで、円輪部に近い軸方向一方側部分の狭い範囲のみが、回転部材に対して締め代を持って嵌合した状態になりやすい。このため、回転部材の外周面及びスリンガの嵌合筒部の内周面の真円度や粗さなどの影響により、回転部材の外周面とスリンガの嵌合筒部の内周面との金属同士の接触面(嵌合面)に、わずかな隙間が生じやすい。また、嵌合筒部の圧入時に、スリンガの嵌合筒部の内周面と回転部材の外周面とが同軸上に配置されていないと、軸方向に伸長した圧入傷を付ける可能性がある。この結果、接触面の隙間や圧入傷を通じて、嵌合筒部の内周面と回転部材の外周面との間の嵌合部に、水が侵入する可能性がある。嵌合部に水が侵入すると、回転筒部の内周面又は/及び回転部材の外周面に、腐食を生じさせる可能性があるとともに、転動体を設置した空間にまで水が侵入する可能性もある。
エンコーダがゴム磁石製である場合には、嵌合部に水が侵入するのを防止するために、特開2002−333035号公報(特許文献1)に記載された従来構造のように、エンコーダの径方向内側部にリップ部(舌状部)を設け、該リップ部を、回転部材の外周面に弾性的に接触させることができる。
これに対し、プラスチック磁石製のエンコーダにリップ部を設ける場合には、リップ部を成形型(金型)から無理抜きする必要がある。加えて、スリンガとエンコーダとの間に存在する接着層には、金属製のスリンガと合成樹脂製のエンコーダとの線膨張係数の相違に基づき、成形型から取り出す際に、既にせん断応力が作用している。このため、成形型から取り出す際に、リップ部を無理抜きすると、接着層が損傷してしまい、エンコーダがスリンガから脱落する可能性がある。このように、エンコーダをプラスチック磁石製とした場合には、エンコーダをゴム磁石製とした場合のように、エンコーダにリップ部を設けることは困難になる。
このような事情に鑑み、特開2013−79901号公報(特許文献2)には、プラスチック磁石製のエンコーダの径方向内側部に、接着層に損傷を与えずに、シール部を設ける技術が開示されている。具体的には、エンコーダの径方向内側部に円筒状のシール用筒部(突壁)を形成した後、スリンガを回転部材に外嵌した状態で、シール用筒部を溶融後固化させる。これにより、溶融樹脂が凝固する際の収縮(体積の減少)を利用して、シール用筒部(シール部)の内周面を回転部材の外周面に接触させる。
特開2002−333035号公報 特開2013−79901号公報
ところが、シール用筒部を溶融するには、200℃を超える温度で、シール用筒部を加熱する必要がある。このため、焼き入れ後の回転部材が焼き戻される可能性があり、回転部材の硬さなどの機械的性質を変化(低下)させる可能性がある。また、シール用筒部のみを溶融することは困難であり、エンコーダのその他の部分を溶融する可能性もある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、プラスチック磁石製のエンコーダを使用する場合にも、回転部材の機械的性質を変化させることなく、スリンガと回転部材との間の嵌合部に水が侵入することを防止できる、エンコーダ付きスリンガを提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかるエンコーダ付きスリンガは、回転部材に取り付けられ、前記回転部材の回転速度を測定するためのセンサの被検出面として利用するものであり、スリンガと、エンコーダとを備える。
前記スリンガは、前記回転部材に外嵌される嵌合筒部と、前記嵌合筒部の軸方向一方側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がった円輪部とを有する。
前記エンコーダは、前記円輪部の軸方向一方側の側面に固定されている。
前記エンコーダは、磁性粉末を熱可塑性樹脂に混入させてなるプラスチック磁石製で、径方向外側部に配置され、軸方向一方側の側面にS極とN極とが円周方向に関して交互にかつ等間隔に配置された被検出面を有するエンコーダ本体と、前記エンコーダ本体よりも径方向内側に、軸方向一方側にのみ全周にわたり開口した環状凹溝を介して配置され、熱収縮により縮径させることで、内周面を前記回転部材の外周面に接触させた筒状のシール部とを有する。
前記シール部は、前記エンコーダ本体に比べて熱収縮性の高い放射性架橋部である。
本発明の一態様にかかるハブユニット軸受は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない静止部材である、外方部材と、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に回転する回転部材である、内方部材と、前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に配置された、複数個の転動体と、前記内方部材に取り付けられ、前記内方部材の回転速度を測定するためのセンサの被検出面として利用されるエンコーダ付きスリンガと、を備えるものであり、前記エンコーダ付きスリンガとして、本発明の一態様にかかるエンコーダ付きスリンガを用いている。
本発明の一態様にかかるエンコーダ付きスリンガの製造方法は、本発明の一態様にかかるエンコーダ付きスリンガの製造方法であり、以下の成形工程と、放射線照射工程と、熱収縮工程とを備える。
前記成形工程は、前記スリンガを構成する前記円輪部の軸方向一方側の側面に、磁性粉末を熱可塑性樹脂に混入させてなる磁性プラスチック製で、径方向外側部に着磁後にエンコーダ本体となる部位(未着磁部)を有し、径方向内側部に円筒状のシール用筒部を有するエンコーダ中間体が固定された、中間素材を得る工程である。
前記放射線照射工程は、前記シール用筒部のみを対象として放射線(例えばγ線、β線)を照射する工程である。
前記熱収縮工程は、前記スリンガを構成する前記嵌合筒部を前記回転部材に外嵌した状態で、前記シール用筒部を加熱により収縮させて、前記シール部を得る工程である。
本発明のエンコーダ付きスリンガによれば、エンコーダをプラスチック磁石製とした場合にも、回転部材の機械的性質を変化させることなく、スリンガと回転部材との間の嵌合部に水が侵入することを防止できる。
図1は、実施の形態の第1例にかかるハブユニット軸受の断面図である。 図2は、図1のX部拡大図である。 図3は、実施の形態の第1例にかかるエンコーダ付きスリンガを製造するために行う成形工程に用いる成形型を示す、断面模式図である。 図4は、成形工程により得られる中間素材を示す、断面図である。 図5は、実施の形態の第1例にかかるエンコーダ付きスリンガを製造するために行う放射線照射工程の実施状況を示す、断面模式図である。 図6は、実施の形態の第1例にかかるエンコーダ付きスリンガを製造するために行う熱収縮工程の実施状況を示す、断面模式図である。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1〜図6を用いて説明する。
本例のハブユニット軸受1は、内輪回転型で、かつ、駆動輪用のものであって、外方部材に相当する外輪2と、内方部材に相当するハブ3と、複数個の転動体4と、外側密封部材5と、内側密封部材である組み合わせシールリング6とを備えている。
なお、ハブユニット軸受1に関して、軸方向外側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向外側となる図1〜図6の左側であり、軸方向内側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向中央側となる図1〜図6の右側である。
外輪2は、S53Cなどの中炭素鋼製で、略円筒形状を有している。外輪2は、内周面に、複列の外輪軌道7a、7bを有しており、外周面の軸方向中間部に、径方向外側に向けて突出した静止フランジ8を有している。静止フランジ8は、円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する支持孔9を有する。外輪2は、支持孔9へ挿通したボルトにより、図示しない懸架装置に対し支持固定され、車輪が回転する際にも回転しない。
ハブ3は、外輪2の径方向内側に外輪2と同軸に配置されており、S53Cなどの中炭素鋼製のハブ輪10と、SUJ2などの高炭素クロム鋼製の内輪11とを組み合わせてなる。ハブ3は、外周面のうち、複列の外輪軌道7a、7bと対向する部分に、複列の内輪軌道12a、12bを有している。
ハブ輪10は、内輪11を外嵌保持する軸部材であり、軸部13と、回転フランジ14と、パイロット部15とを有している。本例では、ハブユニット軸受1を、駆動輪用としているため、ハブ輪10は、中心部に、軸方向に貫通するスプライン孔16を有する。スプライン孔16には、駆動軸がスプライン係合される。駆動軸は、エンジンや電動モータなどの駆動源により直接回転駆動されるか、又は、トランスミッションを介して回転駆動される。自動車の走行時には、駆動軸によりハブ3を回転駆動することで、ハブ3の回転フランジ14に結合固定された車輪及び制動用回転体を回転駆動する。ただし、本発明を、従動輪用のハブユニット軸受に適用する場合には、ハブ輪として中実状のものを使用することができる。
軸部13は、ハブ輪10の軸方向内側部から軸方向中間部にわたる範囲に備えられている。軸部13は、軸方向内側部に、軸方向外側に隣接する部分よりも外径が小さい、内輪11が外嵌される小径部17を有しており、軸方向中間部の外周面に、外側列の内輪軌道12aを有している。軸部13は、小径部17の軸方向外側に隣接する軸方向中間部の外周面に、軸方向内側を向いた段差面18をさらに有している。小径部17は、軸方向内側の端部に、径方向外側に向けて折れ曲がり、内輪11の軸方向内側の端面を押え付けるかしめ部19を有する。
回転フランジ14は、ハブ輪10のうち、外輪2の軸方向外側の端部よりも軸方向外側に位置する部分に備えられており、略円輪形状を有している。回転フランジ14は、径方向中間部の円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する取付孔20を有する。取付孔20のそれぞれには、スタッド21が圧入されている。スタッド21の先端部には、図示しないナットが螺合される。これにより、車輪を構成するホイール及び制動用回転体を、回転フランジ14の軸方向外側に固定する。本発明を実施する場合には、回転フランジに雌ねじ孔を形成し、該雌ねじ孔にハブボルトを直接螺合することにより、ホイール及び制動用回転体を、回転フランジの軸方向外側に固定しても良い。
パイロット部15は、ホイール及び制動用回転体をがたつきのない隙間嵌めで外嵌するためのもので、ハブ輪10の軸方向外側の端部に備えられており、略円筒形状を有している。
内輪11は、円環形状を有しており、外周面に内側列の内輪軌道12bを有している。内輪11は、軸部13に備えられた小径部17に締り嵌めで外嵌され、段差面18と、かしめ部19とにより軸方向両側から挟持されている。
転動体4のそれぞれは、高炭素クロム鋼又はセラミック製で、複列の外輪軌道7a、7bと複列の内輪軌道12a、12bとの間に、それぞれ複数個ずつ、ポリアミドなどの樹脂製の保持器22a、22bにより保持された状態で転動自在に配置されている。これにより、ハブ3は、外輪2の径方向内側に回転自在に支持される。本例では、転動体4として玉を使用しているが、玉に代えて円すいころを使用することもできる。また、本例では、軸方向内側列の転動体4のピッチ円直径と、軸方向外側列の転動体4のピッチ円直径とを互いに同じとしているが、本発明は、軸方向内側列の転動体のピッチ円直径と、軸方向外側列の転動体のピッチ円直径とが互いに異なる異径PCD型のハブユニット軸受に適用することもできる。
外輪2の内周面とハブ3の外周面との間に存在し、かつ、複数の転動体4が設置された環状の内部空間23aには、図示しないグリースを封入している。
内部空間23aに封入したグリースが、外部空間23bに漏洩することを防止するとともに、泥水などの異物が外部空間23bから内部空間23aに侵入することを防止するために、内部空間23aの軸方向外側の開口部を外側密封部材5により塞ぎ、かつ、内部空間23aの軸方向内側の開口部を組み合わせシールリング6により塞いでいる。
外側密封部材5は、外側芯金24と、外側シール部材25とを備える。
外側芯金24は、冷間圧延鋼板などの金属板にプレス加工を施して造られており、略L字形の断面形状を有し、全体が円環状である。外側芯金24は、外輪2の軸方向外側の端部に内嵌固定されている。
外側シール部材25は、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などの弾性材製で、外側芯金24の表面に全周にわたり固定されている。外側シール部材25は、少なくとも1本(図示の例では3本)のシールリップ26を有する。シールリップ26は、先端部を、軸部13の外周面又は回転フランジ14の軸方向内側面に全周にわたり摺接させている。
組み合わせシールリング6は、図2に示すように、スリンガ27と、エンコーダ28と、シールリング29とを備える。
スリンガ27は、SUS430などのフェライト系ステンレス鋼板又は防錆処理が施された冷間圧延鋼板(SPCC)などの、磁性を有する金属板にプレス加工を施して造られており、L字形の断面形状を有し、全体が円環状である。スリンガ27は、内輪11の外周面(肩部)に外嵌固定されている。スリンガ27は、エンコーダ28を固定するとともに、バックヨークとしても機能する。
スリンガ27は、内輪11に締り嵌めで外嵌固定される円筒状の嵌合筒部30と、嵌合筒部30の軸方向内側の端部から径方向外側に向けて略直角に折れ曲がった円輪状の円輪部31とを備えている。
円輪部31の軸方向内側面には、エンコーダ28が固定されている。エンコーダ28は、磁性粉末を熱可塑性樹脂に混入させてなるプラスチック磁石製で、全体が円輪状に構成されており、円輪部31の軸方向内側面及び外周面を全周にわたり覆っている。
磁性粉末としては、例えば、ストロンチウムフェライトやバリウムフェライトなどのフェライト系の磁性粉末を使用することができる。磁性粉末の含有量は、例えば40〜80体積%とすることができる。バインダーとなる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612などのポリアミド系樹脂を使用することができる。また、熱可塑性樹脂には、磁性粉末の他に、必要に応じて、放射線架橋を円滑に行うための架橋剤や、難燃剤などの種々の添加物を添加することもできる。
エンコーダ28は、径方向外側部から径方向中間部にわたる範囲に配置されたエンコーダ本体32と、径方向内側部(径方向内側の端部)に配置されたシール部33と、を一体に有する。シール部33は、エンコーダ本体32よりも径方向内側に、環状凹溝34を介して配置されている。
エンコーダ本体32は、円輪状に構成され、軸方向に着磁されており、その着磁方向は円周方向に関して交互にかつ等間隔に変化している。このため、エンコーダ本体32は、軸方向内側面に、S極とN極とが円周方向に関して交互にかつ等間隔に配置された被検出面を有する。本例では、エンコーダ本体32の被検出面に対して、図示しないセンサを近接配置し、車輪の回転速度を検出可能としている。
熱収縮前のシール部33(図4のシール用筒部52)は、略円筒状に構成されており、スリンガ27を構成する円輪部31の軸方向内側面のうち、嵌合筒部30の内周面との接続部である凸曲面部に固定されている。図2に示した熱収縮後のシール部33は、熱収縮によって、軸方向内側に向かうほど径方向内側に向かう方向に傾斜しており、内周面(の少なくとも軸方向内側部)を、内輪11の外周面に対して全周にわたり接触させている。これにより、シール部33は、エンコーダ28の内周面と内輪11の外周面との間の隙間を塞いでいる。シール部33は、放射性架橋により放射性架橋部となっており(放射性架橋構造を有しており)、エンコーダ本体33に比べて熱収縮性が高い。シール部33の軸方向内側の端部(先端部)は、エンコーダ本体32の軸方向内側面よりも、少しだけ軸方向内側に位置させて、加熱用工具55(図6参照)を押し当てやすくしている。
環状凹溝34は、略矩形の断面形状を有しており、軸方向内側にのみ開口している。環状凹溝34は、エンコーダ本体32の軸方向厚さの1/2以上の軸方向深さを有している。このため、エンコーダ本体32とシール部33とは、環状凹溝34の軸方向外側に存在する円環状の接続部35を介して径方向につながっている。
シールリング29は、芯金36と、シール部材37とを備える。
芯金36は、冷間圧延鋼板などの金属板にプレス加工を施して造られており、略L字形の断面形状を有し、全体が円環状である。芯金36は、外輪2の軸方向内側の端部に内嵌固定された円筒状の固定筒部38と、固定筒部38の軸方向外側の端部から径方向内側に向けて略直角に折れ曲がった円輪状の固定円輪部39とを備える。
シール部材37は、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などの弾性材製で、芯金36の表面に全周にわたり固定されている。シール部材37は、加硫成形型を用いて加硫成形されており、環状覆い部40と、シール基部41と、外側シールリップ42と、内側シールリップ43と、中間シールリップ44とを備えている。なお、図2には、環状覆い部、外側シールリップ42、内側シールリップ43及び中間シールリップ44の、自由状態での形状を示している。
環状覆い部40は、固定筒部38の内周面及び固定筒部38の軸方向内側の端部を、全周にわたり覆っている。
シール基部41は、固定円輪部39の軸方向内側面及び固定円輪部39の径方向内側の端部を覆うように、当該部分に固定されている。
外側シールリップ42は、シール基部41の軸方向内側面に基端部が接続されており、軸方向内側に向かうほど径方向外側に向かう方向に伸長したサイドリップである。外側シールリップ42は、先端部を、スリンガ27を構成する円輪部31の軸方向外側面に、全周にわたり接触させている。
内側シールリップ43は、シール基部41の内周面に基端部が接続されており、軸方向外側に向かうほど径方向内側に向かう方向に伸長したグリースリップである。内側シールリップ43は、先端部を、スリンガ27を構成する嵌合筒部30の外周面の軸方向外側部に、全周にわたり接触させている。
中間シールリップ44は、シール基部41の内周面に基端部が接続されており、軸方向内側に向かうほど径方向内側に向かう方向に伸長したダストリップである。中間シールリップ44は、先端部を、スリンガ27を構成する嵌合筒部30の外周面の軸方向内側部に、全周にわたり接触させている。
[エンコーダ付きスリンガの製造方法]
本例では、組み合わせシールリング6を構成するエンコーダ28付きのスリンガ27を、以下のような製造方法により造る。
〔成形工程〕
先ず、図3に示すように、金属製の成形型45のキャビティ46内に、接着剤を塗布したスリンガ27を配置し、磁性粉末を混入した熱化塑性樹脂(磁性プラスチック)をインサート成形する。
成形型45としては、上型47と下型48とから構成されるものを使用できる。上型47及び下型48は、いずれも非磁性材製である。
成形型45のキャビティ46に、接着剤を塗布したスリンガ27を配置した後、キャビティ46内に、溶融した高温の磁性粉末入りの熱可塑性樹脂を加圧した状態で注入する。この際、成形型45の径方向外側部(上型47と下型48とにより挟まれたエンコーダ本体32となる部分)には、磁場配向を加えながら磁場成形を行う。これにより、エンコーダ本体32となる部分へ磁性粉末を集める(シール用筒部52の磁性体濃度を下げる)とともに、磁性粉末の配向(磁化容易方向)が軸方向(図3の左右方向)に揃うため、着磁後の磁気強度を高めることが可能になる。また、成形型45のキャビティ46内で一定時間保持することにより、接着剤の接着反応を進行させる。このような成形工程により、図4に示すような、中間素材49を得る。
中間素材49は、スリンガ27と、エンコーダ中間体50とを備える。エンコーダ中間体50は、円輪状に構成されており、スリンガ27を構成する円輪部31の軸方向内側面に接着剤により固定されている。エンコーダ中間体50は、径方向外側部から径方向中間部にわたる範囲に、着磁後にエンコーダ本体32となる未着磁部51を有しており、径方向内側部に、略円筒状のシール用筒部52を有している。また、エンコーダ中間体50は、未着磁部51とシール用筒部52との間に、環状凹溝34を有している。
〔放射線照射工程〕
次に、エンコーダ中間体50を構成するシール用筒部52に対し、放射線を照射する。具体的には、図5に示すように、環状凹溝34の内側に、円筒状に構成された、放射線吸収材(又は放射線遮蔽材)53を挿入した状態で、電子線照射装置(EB装置)54を用いて、シール用筒部52のみを対象に、γ線や電子線(β線)を照射する。これにより、シール用筒部52を構成する材料(熱可塑性樹脂)の分子間で、新たな結合が誘起され、シール用筒部52は、網目状の放射線架橋構造を有する放射線架橋部となる。この結果、シール用筒部52は、未着磁部51に比べて熱収縮性が高くなる。一方、未着磁部51は、放射線吸収材53の存在により、放射線架橋されずに済む。
〔着磁工程〕
着磁工程では、エンコーダ中間体50を構成する未着磁部51に、図示しない着磁ヨークを軸方向に対向させて、未着磁部51を軸方向に着磁する。このような着磁工程では、着磁ヨークとして、未着磁部51の軸方向内側面を、全周にわたり同時に着磁する(一発着磁を行う)円環状のものを使用しても良いし、中間素材49を回転させながら未着磁部51を順次着磁する、回転着磁式のものを使用することもできる。着磁工程により、未着磁部51に着磁を施すことで、被検出面となる軸方向内側面に、S極とN極とが円周方向にわたり交互にかつ等間隔で配置された、エンコーダ本体32を得る。
〔熱収縮工程〕
図6に示すように、中間素材49をシールリング29と組み合わせた状態で、外輪2と内輪11との間に取り付ける。つまり、中間素材49を構成するスリンガ27の嵌合筒部30を、内輪11に対して軸方向内側から圧入し、嵌合筒部30を内輪11の肩部に外嵌する。この状態で、シール用筒部52を、加熱して熱収縮させる。具体的には、シール用筒部52の外周面に対し、シール用筒部52に熱収縮が生じる温度以上に加熱した円環状の鏝の如き加熱用工具55を押し当て、シール用筒部52を加熱収縮させる。シール用筒部52には、放射線架橋により熱収縮性が付与されているため、シール用筒部52は、内輪11の焼き戻し温度(例えば160℃)以下の温度で熱収縮する。これにより、図6に実線で示した円筒状のシール用筒部52から、図6に2点鎖線で示した円すい筒状のシール部33を形成し、シール部33の内周面を内輪11の外周面に対して全周にわたり接触させる。そして、エンコーダ28の内周面と内輪11の外周面との間の隙間を、シール部33により塞ぐ。
以上のような本例では、内部空間23aの軸方向内側の開口部を塞ぐ組み合わせシールリング6に用いるエンコーダ28として、プラスチック磁石製のものを使用した場合にも、内輪11の機械的性質を変化させることなく、スリンガ27と内輪11との間の嵌合部に水が侵入することを防止できる。
すなわち、本例では、エンコーダ28の径方向内側部に配置されたシール部33の内周面を、熱収縮により、回転部材である内輪11の外周面に全周にわたり接触させているが、シール部33を、エンコーダ本体32に比べて熱収縮性の高い放射性架橋部としている。このため、シール部33を形成する際の加熱温度(シール用筒部52を熱収縮させるための加熱温度)を、焼き入れ後の内輪11が焼き戻される際の温度(例えば160℃)よりも低くすることができる。したがって、シール部33を形成する際に、内輪11の硬さなどの機械的性質が変化(低下)することを有効に防止できる。これにより、嵌合筒部30を内輪11に圧入する際に、内輪11の外周面に軸方向に伸長した圧入傷が付いた場合や、嵌合筒部30の内周面と内輪11の外周面との接触面に隙間が生じた場合にも、圧入傷や接触面の隙間を通じて、スリンガ27を構成する嵌合筒部30の内周面と内輪11の外周面との間の嵌合部に水が侵入するのを防止できる構造を、内輪11の機械的性質に影響を与えることなく実現できる。
また、シール部33を形成するためのシール用筒部52と、エンコーダ本体32との間に、環状凹溝34を設けているため、シール用筒部52が熱収縮する際の変形の影響が、エンコーダ本体32にまで及ぶことを有効に防止できる。さらに、シール用筒部52の加熱温度の低下と環状凹溝34の存在とにより、エンコーダ本体32の温度が上昇することを抑制できるため、エンコーダ本体32が熱変形することも有効に防止できる。したがって、エンコーダ本体32の形状精度及び寸法精度が低下することを抑制でき、回転速度の測定精度が低下することを抑制できる。
本発明のエンコーダ付きスリンガを実施する場合に、エンコーダを構成する熱可塑性樹脂は、ポリアミド系樹脂に限らず、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの、従来から知られた架橋型の各種樹脂(高分子)を使用することができる。また、本発明のエンコーダ付きスリンガは、実施の形態の構造のように、シールリングと組み合わせて使用することができる他、単独で使用することもできる。また、エンコーダ付きスリンガは、ハブユニット軸受以外にも、回転速度を測定する必要のある、各種の産業機械に組み込んで使用することができる。また、ハブユニット軸受に適用する場合には、駆動輪用に限らず、従動輪用のハブユニット軸受に適用することもできる。また、本発明のエンコーダ付きスリンガの製造方法は、実施の形態で説明した製造方法に限定されず、例えば、成形工程を複数の上型と複数の下型とからなる成形型を用いて行うことも可能である。また、放射線照射工程は、着磁工程の後に行うことも可能である。
1 ハブユニット軸受
2 外輪
3 ハブ
4 転動体
5 外側密封部材
6 組み合わせシールリング
7a、7b 外輪軌道
8 静止フランジ
9 支持孔
10 ハブ輪
11 内輪
12a、12b 内輪軌道
13 軸部
14 回転フランジ
15 パイロット部
16 スプライン孔
17 小径部
18 段差面
19 かしめ部
20 取付孔
21 スタッド
22a、22b 保持器
23a 内部空間
23b 外部空間
24 外側芯金
25 外側シール部材
26 シールリップ
27 スリンガ
28 エンコーダ
29 シールリング
30 嵌合筒部
31 円輪部
32 エンコーダ本体
33 シール部
34 環状凹溝
35 接続部
36 芯金
37 シール部材
38 固定筒部
39 固定円輪部
40 環状覆い部
41 シール基部
42 外側シールリップ
43 内側シールリップ
44 中間シールリップ
45 成形型
46 キャビティ
47 上型
48 下型
49 中間素材
50 エンコーダ中間体
51 未着磁部
52 シール用筒部
53 放射線吸収材
54 電子線照射装置
55 加熱用工具

Claims (3)

  1. 回転部材に取り付けられ、前記回転部材の回転速度を測定するのに利用する、エンコーダ付きスリンガであって、
    前記回転部材に外嵌される嵌合筒部と、前記嵌合筒部の軸方向一方側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がった円輪部とを有する、スリンガと、
    前記円輪部の軸方向一方側の側面に固定されたエンコーダと、を備え、
    前記エンコーダは、磁性粉末を熱可塑性樹脂に混入させてなるプラスチック磁石製で、径方向外側部に配置され、軸方向一方側の側面にS極とN極とが円周方向に関して交互にかつ等間隔に配置された被検出面を有するエンコーダ本体と、前記エンコーダ本体よりも径方向内側に、軸方向一方側にのみ全周にわたり開口した環状凹溝を介して配置され、熱収縮により縮径させることで、内周面を前記回転部材の外周面に接触させた筒状のシール部とを有し、
    前記シール部は、前記エンコーダ本体に比べて熱収縮性の高い放射性架橋部である、
    エンコーダ付きスリンガ。
  2. 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない静止部材である、外方部材と、
    外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に回転する回転部材である、内方部材と、
    前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に配置された、複数個の転動体と、
    前記内方部材に取り付けられ、前記内方部材の回転速度を測定するのに利用する、エンコーダ付きスリンガと、を備え、
    前記エンコーダ付きスリンガが、請求項1に記載のエンコーダ付きスリンガである、ハブユニット軸受。
  3. 請求項1に記載したエンコーダ付きスリンガの製造方法であって、
    前記スリンガを構成する前記円輪部の軸方向一方側の側面に、磁性粉末を熱可塑性樹脂に混入させてなる磁性プラスチック製で、径方向外側部に未着磁部を有し、径方向内側部に円筒状のシール用筒部を有するエンコーダ中間体が固定された、中間素材を得る、成形工程と、
    前記シール用筒部のみを対象として放射線を照射する、放射線照射工程と、
    前記スリンガを構成する前記嵌合筒部を前記回転部材に外嵌した状態で、放射線が照射された前記シール用筒部を加熱により収縮させて、前記シール部を得る、熱収縮工程と、
    を備える、エンコーダ付きスリンガの製造方法。
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