以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る排水ますを備えた排水システムについて説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。
図1は、本実施形態に係る排水システム100を示す背面図である。図1では、本実施形態に係る排水ます10に、配管101〜103が接続された状態が示されている。図1に示すように、排水システム100は、排水の流路を切り替えることが可能なシステムである。
ここで、排水とは、少なくとも汚水および雨水を含む総称である。汚水とは、トイレ、風呂、および台所の流し台などから排出される水であり、そのままでは河川に放流させることができないものである。雨水とは、降雨などの自然現象に起因する水であり、そのまま河川に放流させることができるものである。ここでは、排水システム100は、排水のうち汚水が流れるシステムである。しかしながら、排水システム100は、排水のうち雨水が流れるシステムであってもよい。
本実施形態では、排水システム100は、流入配管101と、第1流出配管102と、第2流出配管103と、排水ます10とを備えている。ここで、配管とは、1つまたは複数の管、および、管と管とを繋ぐ1つまたは複数の継手などから構成されるものであり、排水が流れるものである。排水ます10は、排水の流路を切り替えることが可能なますである。排水ます10は、少なくとも一部が上下に延びた流入配管101、第1流出配管102および第2流出配管103に接続されている。排水ます10は、流入配管101と第1流出配管102との間、および、流入配管101と第2流出配管103との間に配置され、流入配管101と第1流出配管102、または、流入配管101と第2流出配管103とを繋ぐものである。
第1流出配管102および第2流出配管103は、流入配管101よりも下流側に配置されている。流入配管101の上流端部は、汚水を含む排水が排出されるトイレや台所などの排水設備(図示せず)に接続されている。第1流出配管102の下流端部には、例えば下水本管(図示せず)が接続されており、第2流出配管103の下流端部には、排水が貯留される貯留槽(図示せず)が接続されている。
本実施形態では、流入配管101は、第1流出配管102および第2流出配管103よりも上方に配置されている。流入配管101の下流端は、第1流出配管102の上流端よりも上方に配置され、かつ、第2流出配管103の上流端よりも上方に配置されている。ここでは、排水ます10は、上から下へ排水が流れる配管、いわゆる縦配管の部材に接続されるものである。排水ます10によって排水の流路を切り替えることで、流入配管101から第1流出配管102、または、流入配管101から第2流出配管103に排水を流すことができる。
このような縦配管を構成する配管101〜103に排水ます10が接続される場合、排水ます10は、例えば後述する点検口45が開口する方向が斜め上向きの方向になるような向きで配置されている。ここで、「点検口45が開口する方向が斜め上向きの方向」とは、点検口45の開口軸(言い換えると、排水ます10の後述の点検筒部22の中心軸)が鉛直方向から傾いた状態で配置されている状態のことをいう。ここで、鉛直方向に延びた軸と点検口45の開口軸とが成す角度は、0度よりも大きく、かつ、90度よりも小さく、例えば30度以上60度以下、より具体的には例えば45度である。本実施形態では、排水ます10は、後述の流入口40の上端が、後述の第1流出口41の上端よりも上方に配置されるような向きで配置されている。ただし、排水ます10の向きは特に限定されない。
排水ます10は、地中に埋設されたものであってもよいし、建物内に配置されるものであってもよい。本実施形態では、排水ます10は、建物のピット内に配置されている。例えば排水ます10が建物内に配置されている場合、排水ます10は、立った作業者の目線の高さ、または目線よりも高い位置に配置されている。言い換えると、排水ます10は、建物内の部屋内の空間の上部であって、天井近くに配置されているとよい。
次に、本実施形態に係る排水ます10について詳しく説明する。以下では、排水ます10の点検口45が上方に向かって開口している向き(言い換えると、点検口45の開口軸が鉛直方向に延びている状態)に配置されている排水ます10について説明する。ここで、点検口45が開口している方を上方と称する。なお、排水ます10の配置位置および向きは、便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈されるものではない。
図2は、本実施形態に係る排水ます10の平面図である。図3は、図2のIII−III線に沿った排水ます10の断面図である。図4は、ます本体20の平面図である。図3に示すように、排水ます10は、ます本体20と、流路切替部材50とを備えている。
ます本体20は、内部に空間を有するものである。ます本体20の構成は特に限定されない。本実施形態では、ます本体20は、本体筒部21と、点検筒部22と、流入筒部23と、第1流出筒部24と、第2流出筒部25とを備えている。なお、以下の説明では、ます本体20の中心C1(図2参照)に近づく側を内側と称し、ます本体20の中心C1から遠ざかる側を外側と称する。
本体筒部21は、上下に延びた筒状の部材である。本体筒部21の構成は特に限定されない。ここでは、本体筒部21は、底壁部31と、底壁部31から起立した周壁部32と、周壁部32の上部に設けられた流入フランジ33aおよび流出フランジ33bと、周壁部32の上部に設けられた傾斜面34(図2参照)とを有している。周壁部32は、筒状の形状を有しており、底壁部31から上方に向かって延びている。底壁部31は、周壁部32の一端側(ここでは下端側)の開口を塞ぐものである。本実施形態では、流路切替部材50がます本体20の内部に配置されている状態において、底壁部31側の方を下方とし、底壁部31とは反対の方を上方とする。
本実施形態では、本体筒部21には、流入口40、第1流出口41および第2流出口42が形成されている。なお、本体筒部21に対する流入口40、第1流出口41および第2流出口42の形成位置は特に限定されない。ここでは、流入口40および第1流出口41は、周壁部32に形成されており、側方に向かって開口している。図4に示すように、流入口40と第1流出口41は、互いに対向しており、平面視においてます本体20の中心C1を挟んで互いに向かい合っている。
第2流出口42は、底壁部31に形成されている。詳しくは、第2流出口42は、底壁部31の中央部分に形成されている。図3に示すように、第2流出口42は、下方に向かって開口している。第2流出口42は、流入口40および第1流出口41よりも下方に位置している。図4に示すように、平面視において、第2流出口42は、流入口40と第1流出口41との間に設けられている。
以下の説明において、図2に示すように、流入口40から第1流出口41に向かう方向を排水方向Xという。平面視において、排水方向Xと直交する方向を直交方向Yという。
図3に示すように、流入フランジ33aは、流入口40の上方側の端からます本体20の内部に向かって延びている。ここでは、流入フランジ33aは、周壁部32の内周面における流入口40の上部を形成する部位に設けられている。流出フランジ33bは、第1流出口41の上方側の端からます本体20の内部に向かって延びている。ここでは、流出フランジ33bは、周壁部32の内周面における第1流出口41の上部を形成する部位に設けられている。本実施形態では、図示は省略するが、流入フランジ33aおよび流出フランジ33bは、排水方向Xと平面視において直交する直交方向Yの端に向かうに従って下方に曲がっている。流入フランジ33aと流出フランジ33bは、同じ高さの位置に配置されている。図2に示すように、流入フランジ33aと流出フランジ33bは、平面視においてます本体20の中心C1を挟んで対向している。流入フランジ33aと流出フランジ33bとは、平面視において第2流出口42を挟むようにして対向している。
図3に示すように、傾斜面34は、周壁部32の内周面の上部に形成されており、上方に向かうに従って、ます本体20の外側に向かって斜めに延びている。本実施形態では、図4に示すように、周壁部32の内周面の上部には、2つの傾斜面34が設けられており、2つの傾斜面34は、平面視において第2流出口42を挟むようにして対向している。2つの傾斜面34は、平面視においてます本体20の中心C1を挟んで互いに向かい合っている。平面視において、2つの傾斜面34の間に、流入フランジ33aおよび流出フランジ33bが対向するように配置されている。
本実施形態では、2つの傾斜面34のそれぞれには、係合部35が設けられている。係合部35は、傾斜面34の内側の端部の中央部分に設けられている。この係合部35には、溝35aが形成されている。2つの傾斜面34のそれぞれに設けられた係合部35は、対向しており、平面視において、ます本体20の中心C1を挟んで向かい合っている。
図3に示すように、点検筒部22は、筒状のものであり、本体筒部21の上方において上下に延びている。本実施形態では、点検筒部22は、本体筒部21(詳しくは周壁部32)の上端に接続されている。点検筒部22は上方に開口している。点検筒部22の上方に向かう開口が、点検口45を構成している。ここでは、排水ます10は、点検口45を開閉する蓋105(図1参照)を備えている。蓋105は、点検口45に着脱可能に嵌め込まれる。
本実施形態では、図4に示すように、平面視において点検筒部22の内周(言い換えると点検口45)よりも内側に、流入フランジ33a、流出フランジ33b、2つの傾斜面34および第2流出口42が配置されている。点検筒部22は、本体筒部21と単一の部材であるが、本体筒部21とは別部材であり、本体筒部21に組み付けられるものであってもよい。
図3に示すように、流入筒部23および第1流出筒部24は、それぞれ側方に延びている。流入筒部23は、本体筒部21の周壁部32の外周面から外側に向かって延びており、流入口40と繋がっている。流入筒部23には、流入配管101(図1参照)の下流端が接続される。第1流出筒部24は、本体筒部21の周壁部32の外周面から外側に向かって延びており、第1流出口41と繋がっている。図4に示すように、第1流出筒部24と流入筒部23とは、平面視において、ます本体20の中心C1を挟んで互いに向かい合っている。第1流出筒部24と流入筒部23とは、一直線状に配置されており、排水方向Xに並んで配置されている。第1流出筒部24には、第1流出配管102(図1参照)の上流端が接続される。
図3に示すように、第2流出筒部25は、上下に延びている。ここでは、第2流出筒部25は、本体筒部21の底壁部31から下方に向かって延びている。第2流出筒部25には、第2流出口42が繋がっている。本実施形態では、第2流出筒部25の上部の内周面には、内側に向かって延びたフランジ25aが形成されている。フランジ25aの上方には、第2流出筒部25の内周面の上端を含む一部が位置している。言い換えると、フランジ25aは、第2流出筒部25の上端には形成されていない。第2流出筒部25には、第2流出配管103(図1参照)の上流端が接続される。
本実施形態では、流入筒部23、第1流出筒部24および第2流出筒部25は、本体筒部21と単一の部材である。しかしながら、流入筒部23、第1流出筒部24および第2流出筒部25は、本体筒部21とは別体であり、本体筒部21に組み付けられてもよい。
次に、流路切替部材50について説明する。流路切替部材50は、排水ます10のます本体20内を流れる排水の流路を切り替えるための部材である。流路切替部材50は、ます本体20の本体筒部21の内部に着脱可能に配置される。
図5、図6、図7、図8は、それぞれ流路切替部材50の斜視図、側面図、平面図、正面図である。図9は、図7のIX−IX線に沿った流路切替部材50の断面図である。図5に示すように、流路切替部材50は、切替本体51と、第1流出嵌合筒部52と、第2流出嵌合筒部53と、カバー54(図7参照)と、延伸部55と、流入側防止部70と、流出側防止部80と、閉鎖部材90とを備えている。
切替本体51は、水平(言い換えると排水方向X)に延びた半管形状であり、下方に凹んだ部材である。ここで、半管形状とは、管を長手方向で分割したときの一方の部材の形状のことをいう。図9に示すように、切替本体51には、切替流入口60、第1切替流出口61および第2切替流出口62が形成されている。切替流入口60および第1切替流出口61は、側方に開口している。切替流入口60と第1切替流出口61は、対向している。図3に示すように、流路切替部材50がます本体20の本体筒部21の内部に配置されたとき、切替流入口60は本体筒部21の流入口40と繋がり、第1切替流出口61は本体筒部21の第1流出口41と繋がることが可能である。言い換えると、流路切替部材50が本体筒部21の内部に配置されたとき、切替流入口60は流入口40と連通し、第1切替流出口61は第1流出口41と連通可能である。
図9に示すように、第2切替流出口62は、下方に開口しており、切替本体51の底部に形成されている。平面視において、第2切替流出口62は、切替流入口60と第1切替流出口61との間に位置している。図3に示すように、流路切替部材50がます本体20の本体筒部21の内部に配置されたとき、第2切替流出口62は、本体筒部21の第2流出口42と繋がることが可能であり、第2流出口42と連通可能である。
切替本体51の下方に凹んだ上面、言い換えると、流路切替部材50を本体筒部21内に配置したときにおける切替本体51の点検筒部22側の部位には、溝状のインバート56が形成されている。図9に示すように、インバート56は、切替流入口60と第1切替流出口61と第2切替流出口62とを相互に繋ぐものである。ここでは、インバート56の一端(言い換えると上流端)には、切替流入口60が形成され、インバート56の他端(言い換えると下流端)には、第1切替流出口61が形成されている。ここで、「繋ぐ」とは、排水が流れる状態のことをいう。
本実施形態では、インバート56の中央部分に第2切替流出口62が形成されている。インバート56のうち、切替流入口60と第2切替流出口62との間のインバート56の部位を、流入インバート56aという。流入インバート56aによって、切替流入口60と第2切替流出口62とが繋がる。図3に示すように、流入インバート56aは、流路切替部材50がます本体20の内部に配置されているときに、流入口40と繋がるものである。
本実施形態では、図9に示すように、インバート56のうち、第2切替流出口62と第1切替流出口61との間のインバート56の部位を、流出インバート56bという。流出インバート56bによって、第2切替流出口62と第1切替流出口61とが繋がる。図3に示すように、流出インバート56bは、流路切替部材50がます本体20の内部に配置されているときに、第1流出口41と繋がるものである。
第2切替流出口62が閉鎖部材90によって閉鎖されているとき、切替流入口60と第1切替流出口61とは、インバート56によって繋がっている。本実施形態では、平面視においてインバート56は直線状であるが、一部が曲がっていてもよい。図1に示すように、点検口45が斜め上向きに開口するように排水ます10が配置されているとき、インバート56は、切替流入口60の下端が第1切替流出口61の下端よりも上方に位置するように斜めに配置される。
図9に示すように、第1流出嵌合筒部52は、側方に開口した筒状のものであり、切替本体51に設けられている。ここでは、第1流出嵌合筒部52は、第1切替流出口61と繋がっており、第1切替流出口61と連通している。第1流出嵌合筒部52は、インバート56と連続しており、インバート56と共に排水が流れる部位になり得る。そのため、本実施形態における流出インバート56bには、第2切替流出口62と第1切替流出口61との間のインバート56の部位の他、第1流出嵌合筒部52の底部も含まれる。
ここでは、第1流出嵌合筒部52の内径は、インバート56の内径よりも大きい。そのため、第1流出嵌合筒部52とインバート56との間には、第1内周段差部57が形成されている。
第2流出嵌合筒部53は、下方に開口した筒状のものであり、切替本体51に設けられている。ここでは、図8に示すように、第2流出嵌合筒部53は、切替本体51から下方に向かって延びており、第2切替流出口62と繋がっている。図9に示すように、第2流出嵌合筒部53の下部の内径は、第2流出嵌合筒部53の上部の内径よりも大きい。そのため、第2流出嵌合筒部53の内周面には、第2内周段差部58が形成されている。また、本実施形態では、第2流出嵌合筒部53の外周面には、リング状のシール部材53aが設けられている。このシール部材53aの材質は特に限定されないが、例えばゴム製である。
図10は、流路切替部材50の斜視図であり、流入側防止部70および流出側防止部80を省略した図である。図10に示すように、カバー54は、切替本体51に形成されたインバート56の少なくとも一部を覆うものである。ここでは、カバー54は、インバート56の全体を覆っている。本実施形態では、カバー54は、流入インバート56aおよび流出インバート56bを覆っている。ここで、「インバート56を覆う」とは、流路切替部材50がます本体20の内部に配置されている状態において、点検口45(図3参照)を通じてます本体20の内部を目視したときに、インバート56が隠れている状態のことをいう。
図9に示すように、カバー54は、インバート56の上方に配置されており、切替本体51と連続している。カバー54は、切替本体51に接続されている。また、カバー54は、第1流出嵌合筒部52とも連続している。言い換えると、カバー54は、第1流出嵌合筒部52の上部も含むものである。カバー54の形状は特に限定されない。
ここでは、図10に示すように、カバー54は、インバート56と反対側、すなわち上方に凹んだ半管形状である。このカバー54におけるインバート56と反対側に凹んだ面が、曲面54aである。ここでは、カバー54とインバート56とを併せた形状は、筒形状であり、例えば円筒形状である。図9に示すように、カバー54は、インバート56の上方において、切替流入口60から第1切替流出口61に向かって直線状に延びている。カバー54は、排水方向Xに延びている。本実施形態では、カバー54と、切替本体51と、第1流出嵌合筒部52によって、円筒状を形成している。図3に示すように、流路切替部材50が本体筒部21の内部に配置されたとき、カバー54は、インバート56と点検口45との間に配置される。
図3に示すように、流路切替部材50をます本体20の内部に配置したとき、カバー54の高さの位置は、流入フランジ33aの高さの位置と同じであり、かつ、流出フランジ33bの高さの位置と同じである。カバー54は、流入フランジ33aと流出フランジ33bとの間に配置される。
なお、本実施形態では、図2に示すように、カバー54の上面、流出フランジ33bの上面、流入筒部23の上面、第1流出筒部24の上面には、それぞれ排水目印59a、59b、59c、59dが付されている。排水目印59a、59b、59c、59dは、排水が流れる方向を示す目印である。
なお、カバー54の材質は特に限定されない。本実施形態では、カバー54の少なくとも一部は、透明な部材によって形成されている。ここで、「透明」とは、点検口45を通じてカバー54を目視したとき、カバー54を通じて、インバート56およびインバート56内の排水を目視できる程の透過性を有していればよい。本実施形態では、「透明」には、半透明も含まれるものとする。カバー54は、例えばアクリルによって形成されている。なお、このように透明な材料によって形成されるカバー54の部位は、カバー54全体でなくてもよく、例えば点検口45を通じて目視し易い部位、例えばカバー54の中央部分のみであってもよい。
図5に示すように、延伸部55は、切替本体51から上方に延びた板状のものである。延伸部55は、切替本体51のインバート56を挟んだ両端からそれぞれ上方に延びている。そのため、図7に示すように、延伸部55は、平面視においてインバート56を挟んで2つ設けられている。延伸部55は、排水方向Xに沿って延びている。
本実施形態では、延伸部55のうち、流入インバート56aの上方に配置されている延伸部55の部位を、流入延伸部55aという。流入延伸部55aは、直交方向Yにおける流入インバート56aの両端から上方に延びている。図9に示すように、流入延伸部55aは、カバー54よりも上方に延びている。本実施形態では、図8に示すように、流入延伸部55aは、板状であり、流入口40(言い換えると、切替流入口60)側の角が切られた曲部を有している。
本実施形態では、延伸部55のうち、流出インバート56bの上方に配置されている延伸部55の部位を、流出延伸部55bという。図6に示すように、流出延伸部55bは、直交方向Yにおける流出インバート56bの両端から上方に延びている。図9に示すように、流出延伸部55bは、カバー54よりも上方に延びている。本実施形態では、図8に示すように、流出延伸部55bは、板状であり、第1流出口41側の角が切られた曲部を有している。
本実施形態では、図5に示すように、2つの延伸部55のそれぞれの上端には、上方に突出した突出部65が設けられている。2つの突出部65には、それぞれ挿入口66が形成されている。この2つの挿入口66は互いに向き合っている。
本実施形態では、流路切替部材50の切替本体51、第1流出嵌合筒部52、第2流出嵌合筒部53、カバー54および延伸部55は、単一の部材である。しかしながら、切替本体51と、第1流出嵌合筒部52と、第2流出嵌合筒部53と、カバー54と、延伸部55とは別体であり、互いに組み付けられるものであってもよい。
本実施形態では、2つの突出部65には、取っ手67が架け渡されている。取っ手67は、第1軸68aと、第2軸68bと、把持部69(図7参照)とを有している。第1軸68aは、一方の挿入口66に挿入され、一方の挿入口66に挿入された状態で回転可能である。第2軸68bは、他方の挿入口66に挿入され、他方の挿入口66に挿入された状態で回転可能である。把持部69は、第1軸68aと第2軸68bとの間に配置され、第1軸68aおよび第2軸68bに接続されている。
本実施形態では、図2に示すように、流路切替部材50がます本体20の本体筒部21内に配置されているとき、取っ手67の第1軸68aおよび第2軸68bは、傾斜面34に設けられた係合部35の溝35aに嵌まった状態である。このように、取っ手67の第1軸68aおよび第2軸68bが溝35aに嵌まっているときには、流路切替部材50は、本体筒部21内の適切な位置に配置されていることとなる。そのため、作業者は、取っ手67の第1軸68aおよび第2軸68bの位置を目視で確認することで、流路切替部材50が適切な位置に配置されているか否かを確認することができる。
次に、流入側防止部70および流出側防止部80について説明する。本実施形態では、図3に示すように、流入フランジ33aとカバー54との間からカバー54上に繋がる空間のことを流入外空間S1という。ここで、流入外空間S1とは、インバート56を流れる排水が流入フランジ33aとカバー54との間の隙間から漏れて、カバー54の上面に付着し得るときに、漏れた排水が通り得る空間のことである。流入外空間S1は、流入フランジ33aとカバー54との間の上方の空間であり、かつ、一対の流入延伸部55aの間の空間である。
また、流出フランジ33bとカバー54との間からカバー54上に繋がる空間のことを流出外空間S2という。流出外空間S2とは、インバート56を流れる排水が流出フランジ33bとカバー54との間の隙間から漏れて、カバー54の上面に付着し得るときに、漏れた排水が通り得る空間のことである。流出外空間S2は、流出フランジ33bとカバー54との間の上方の空間であり、かつ、一対の流出延伸部55bの間の空間である。
図9に示すように、流入側防止部70は、流入外空間S1に配置されるものである。流入側防止部70は、カバー54から流入外空間S1内に向かって延びたものである。ここでは、図3に示すように、流入側防止部70は、流入口40(言い換えると、切替流入口60)側のカバー54の端部に設けられている。流出側防止部80は、流出外空間S2に配置されている。流出側防止部80は、カバー54から流出外空間S2内に向かって延びたものである。ここでは、流出側防止部80は、第1流出口41(言い換えると、第1切替流出口61)側のカバー54の端部に設けられている。本実施形態では、流入側防止部70および流出側防止部80は、本発明の「排水防止部」の一例である。
本実施形態では、流入側防止部70および流出側防止部80は、インバート56、詳しくはインバート56が形成された切替本体51と別部材で構成されている。しかしながら、流入側防止部70および流出側防止部80は、インバート56(言い換えると切替本体51)と一体的に形成されていてもよい。
図11は、流入側防止部70および流出側防止部80の斜視図である。図12は、流入側防止部70および流出側防止部80を示す図であり、流入ひさし部73および流出ひさし部83とは反対側から見た図である。図11および図12に示すように、流入側防止部70と流出側防止部80は、対応した同じ形状および構成を有している。以下では、流入側防止部70および流出側防止部80が、流路切替部材50の切替本体51に取り付けられた状態を基準にして、流入側防止部70および流出側防止部80について説明する。
本実施形態では、図7に示すように、流入側防止部70は、流入縦壁部71と、流入横壁部72と、流入ひさし部73とを有している。図9に示すように、流入縦壁部71は、カバー54から上方に延びている。言い換えると、流入縦壁部71は、カバー54から流入インバート56aとは反対側に向かって延びている。本実施形態では、図5に示すように、流入縦壁部71は、流入側防止部70が切替本体51に取り付けられた状態において、一対の流入延伸部55aに接続されている。詳しくは、流入縦壁部71は、流入延伸部55aの切替流入口60側の端に接続されている。流入縦壁部71は、一対の流入延伸部55aの間に配置されている。
図11に示すように、流入横壁部72は、流入縦壁部71と連続しており、流入縦壁部71よりも上方、かつ、図9に示すように、流入縦壁部71よりもインバート56の中央側に配置されている。流入横壁部72は、カバー54の上方において排水方向Xに延びている。図7に示すように、平面視において、流入横壁部72は、流入インバート56aの切替流入口60側の端から、取っ手67よりも流入縦壁部71側までの間に亘るように配置されている。本実施形態では、流入横壁部72は、一対の流入延伸部55aの間に配置されており、流入側防止部70が切替本体51に取り付けられた状態において、一対の流入延伸部55aに接続されている。ここでは、図9に示すように、流入横壁部72は、流入延伸部55aの曲部から上端に亘って接続されている。
流入横壁部72には、流入縦壁部71に向かうに従って下方に曲がった流入曲面72aが形成されている。本実施形態では、流入横壁部72と流入縦壁部71とによって、曲板状を形成している。流入横壁部72と流入縦壁部71は、一体成形されており、相互の間には隙間は形成されていない。また、流入縦壁部71の表面と流入横壁部72の表面とは、面一であり、滑らかに連続している。
図7に示すように、流入横壁部72には、流入凹部75が形成されている。流入凹部75は、流入横壁部72の取っ手67側の端に形成されており、流入縦壁部71側に凹んでいる。なお、流入凹部75の位置および形状は、特に限定されない。本実施形態では、流入凹部75は、流入横壁部72の直交方向Yの中央部分に形成されており、当該中央部分に向かうに従って、流入縦壁部71側により凹んでいる。流入凹部75の形状は、曲状である。
本実施形態では、図11に示すように、流入縦壁部71の直交方向Yの一端、および、他端には、一対の補強板部76が設けられている。一対の補強板部76は、排水方向Xに沿って延びたものであり、流入縦壁部71の直交方向Yの両端から第1切替流出口61(図9参照)側に向かって延びている。また、一対の補強板部76は、流入横壁部72の直交方向Yの両端から下方に向かって延びている。
また、本実施形態では、図12に示すように、一対の補強板部76の内面(言い換えると、互いに向かい合う面)には、複数のリブ77a、77bが設けられている。これらリブ77a、77bの形状や位置は特に限定されない。例えばリブ77aは、1つの補強板部76の内面において、排水方向Xに延びた半円柱状のものであり、上下に並んで2つ設けられている。リブ77bは、板状かつ三角形状であり、上下に並んだリブ77aの間に配置されている。本実施形態では、一対の補強板部76、リブ77a、77bによって、流入側防止部70を補強することができる。なお、流入側防止部70が切替本体51およびカバー54と一体的に形成されているときには、一対の補強板部76、リブ77a、77bは省略されてもよい。
図3に示すように、流入ひさし部73は、流路切替部材50をます本体20の内部に配置したときに、流入フランジ33aとカバー54との間の上方に配置される。流入ひさし部73は、カバー54から流入口40に向かって延びている。流入ひさし部73は、流路切替部材50をます本体20の内部に配置したときに、流入フランジ33aよりも上方に配置され、流入フランジ33aとは接触せずに離間している。
本実施形態では、流入ひさし部73は、流入フランジ33aの上面に沿った形状を有している。ここでは、流入ひさし部73には、直交方向Yにおける流入ひさし部73の両端に向かうに従って、下方に曲がった流入ひさし曲面79が形成されている。この流入ひさし曲面79は、中央部分に向かうに従って上方に凹んでいる。
なお、上述のように、流出側防止部80は、流入側防止部70に対応した形状および構成を有している。ここでは、図7に示すように、流出側防止部80は、流出縦壁部81と、流出横壁部82と、流出ひさし部83とを有している。図9に示すように、流出縦壁部81は、流入縦壁部71に対応しており、カバー54から上方に延びている。言い換えると、図6に示すように、流出縦壁部81は、流出インバート56bとは反対側に向かって延びている。流出縦壁部81は、一対の流出延伸部55bの第1切替流出口61側の端に接続されている。流出縦壁部81は、一対の流出延伸部55bの間に配置されている。
流出横壁部82は、流入横壁部72に対応している。流出横壁部82は、流出縦壁部81と連続しており、流出縦壁部81よりも上方に配置されており、かつ、図9に示すように、流出縦壁部81よりもインバート56の中央側に配置されている。流出横壁部82は、カバー54の上方において排水方向Xに延びている。図7に示すように、平面視において、流出横壁部82は、流出インバート56bの第1切替流出口61側の端から、取っ手67よりも流出縦壁部81側までの間に亘るように配置されている。そのため、取っ手67は、平面視において流入側防止部70と流出側防止部80との間に配置されている。流出横壁部82は、一対の流出延伸部55bの間に配置されており、図9に示すように、流入延伸部55aの曲部から上端に亘って接続されている。
流出横壁部82には、流出縦壁部81に向かうに従って下方に曲がった流出曲面82aが形成されている。本実施形態では、流出横壁部82と流出縦壁部81とによって、曲板状を形成している。流出横壁部82と流出縦壁部81は、一体成形されており、相互の間には隙間は形成されていない。また、流出縦壁部81の表面と流出横壁部82の表面とは、面一であり、滑らかに連続している。
図7に示すように、流出横壁部82には、流入凹部75に対応した流出凹部85が形成されている。流出凹部85は、流出横壁部82の取っ手67側の端に形成されており、流出縦壁部81側に凹んでいる。なお、流出凹部85の位置および形状は、特に限定されない。本実施形態では、流出凹部85は、流入凹部75と同様に、流出横壁部82の直交方向Yの中央部分に形成されており、当該中央部分に向かうに従って、流出縦壁部81側により凹んでいる。流出凹部85の形状は、曲状である。
本実施形態では、図11に示すように、流出縦壁部81の直交方向Yの一端、および、他端には、一対の補強板部86が設けられている。一対の補強板部86は、排水方向Xに沿って延びたものであり、流出縦壁部81の直交方向Yの両端から切替流入口60(図9参照)側に向かって延びていると共に、流出横壁部82の直交方向Yの両端から下方に向かって延びている。
また、本実施形態では、図12に示すように、一対の補強板部86の内面(言い換えると、互いに向かい合う面)には、リブ77a、77bと同様の複数のリブ87a、87bが設けられている。なお、流出側防止部80が切替本体51およびカバー54と一体的に形成されているときには、一対の補強板部86、リブ87a、87bは省略されてもよい。
図3に示すように、流出ひさし部83は、流入ひさし部73に対応しており、流路切替部材50をます本体20の内部に配置したときに、流出フランジ33bとカバー54との間の上方に配置される。流出ひさし部83は、カバー54から第1流出口41に向かって延びている。流出ひさし部83は、流路切替部材50をます本体20の内部に配置したときに、流出フランジ33bよりも上方に配置され、流出フランジ33bとは接触せずに離間している。
本実施形態では、流出ひさし部83は、流出フランジ33bの上面に沿った形状を有している。ここでは、図5に示すように、流出ひさし部83には、直交方向Yにおける流出ひさし部83の両端に向かうに従って、下方に曲がった流出ひさし曲面89が形成されている。この流出ひさし曲面89は、流入ひさし曲面79に対応しており、中央部分に向かうに従って上方に凹んでいる。
本実施形態では、流入縦壁部71および流出縦壁部81は、本発明の「縦壁部」の一例である。流入横壁部72および流出横壁部82は、本発明の「横壁部」の一例である。流入曲面72aおよび流出曲面82aは、本発明の「曲面」の一例である。また、流入ひさし部73および流出ひさし部83は、本発明の「ひさし部」の一例である。
次に、閉鎖部材90について説明する。図13は、閉鎖部材90が第1切替流出口61を閉鎖している状態を示す図であり、図3相当図である。図14および図15は、閉鎖部材90の斜視図である。図16は、図14のXVI−XVI線に沿った閉鎖部材90の断面図である。
図3および図13に示すように、閉鎖部材90は、流路切替部材50の第1切替流出口61および第2切替流出口62の何れかを閉鎖可能なものである。図13に示すように、閉鎖部材90が第1切替流出口61を閉鎖しているとき、第1流出口41も閉鎖されるため、流入口40から第1流出口41に排水が流れなくなる。図3に示すように、閉鎖部材90が第2切替流出口62を閉鎖しているとき、第2流出口42も閉鎖されるため、流入口40から第2流出口42に排水が流れなくなる。
なお、閉鎖部材90の構成は特に限定されない。本実施形態では、図14〜図16に示すように、閉鎖部材90は、嵌合部91と、曲面部95と、取っ手97と、シール部材99とを備えている。嵌合部91は、例えば筒状の部材であり、図3および図13に示すように、流路切替部材50の第1流出嵌合筒部52および第2流出嵌合筒部53の何れかに選択的に嵌まり込むことが可能である。本実施形態では、第1流出嵌合筒部52の内径と、第2流出嵌合筒部53の内径とは同じである。嵌合部91は、第1流出嵌合筒部52と合致する形状であり、第2流出嵌合筒部53と合致する形状である。ここでは、図13に示すように、嵌合部91が第1流出嵌合筒部52に嵌まり込むことで、第1切替流出口61が閉鎖される。同様に、図3に示すように、嵌合部91が第2流出嵌合筒部53に嵌まり込むことで、第2切替流出口62が閉鎖される。
図16に示すように、嵌合部91の外周面には、外周段差部111が形成されている。本実施形態では、嵌合部91には、外径が異なる少なくとも2つの部位が存在する。ここでは、嵌合部91のうち曲面部95側の部位の外径が小さく、曲面部95と反対側の部位の外径が大きい。嵌合部91の外周面のうち外径が異なる境目の部分に外周段差部111が設けられている。この外周段差部111は、位置合わせの役割を担っている。図13に示すように、例えば嵌合部91が第1流出嵌合筒部52に嵌まり込んでいるとき、外周段差部111には、第1流出嵌合筒部52の内周面に形成された第1内周段差部57が当接する。そのため、嵌合部91は、更に奥に嵌まり込まなくなっており、第1流出嵌合筒部52に対する閉鎖部材90の位置が決定される。同様に、図3に示すように、嵌合部91が第2流出嵌合筒部53に嵌まり込んでいるとき、外周段差部111には、第2流出嵌合筒部53の内周面に形成された第2内周段差部58が当接する。そのため、嵌合部91は、更に奥に嵌まり込まなくなっており、第2流出嵌合筒部53に対する閉鎖部材90の位置が決定される。
本実施形態では、図15に示すように、嵌合部91の外周面には、当該外周面から外側に突出した突起112が形成されている。突起112の形状および数は特に限定されない。本実施形態では、突起112は直方体形状である。図示は省略するが、突起112の数は例えば2つである。2つの突起112は、嵌合部91を挟んで対向している。
図5に示すように、第1流出嵌合筒部52の端部(ここではインバート56と反対側の端部)には、1つの突起112が嵌る第1凹部113aが設けられている。第1凹部113aは、突起112に対応するように2つ設けられており、これら2つの第1凹部113aは対向している。本実施形態では、嵌合部91が第1流出嵌合筒部52に嵌め込まれたとき、第1凹部113aに閉鎖部材90の突起112が嵌る。このことで、第1流出嵌合筒部52に対する嵌合部91の回転が規制される。なお、このとき、インバート56と曲面部95の後述の曲面96とは面一となる。
第2流出嵌合筒部53の端部(ここでは、下端部)には、1つの突起112が嵌る第2凹部113bが設けられている。図示は省略するが、第2凹部113bは、第1凹部113aと同様に2つ設けられており、互いが対向している。本実施形態では、嵌合部91が第2流出嵌合筒部53に嵌め込まれたとき、第2凹部113bに閉鎖部材90の突起112が嵌る。このことで、第2流出嵌合筒部53に対する嵌合部91の回転が規制される。なお、このとき、インバート56と曲面部95の曲面96とは面一となる。このように、第1凹部113aおよび第2凹部113bは、インバート56に対する曲面部95の位置を規定する機能を有している。
図14に示すように、曲面部95は、嵌合部91に設けられている。詳しくは、嵌合部91のうち第1流出嵌合筒部52(または第2流出嵌合筒部53)に嵌め込まれる側に、曲面部95が設けられている。曲面部95は、嵌合部91側に向かって凹んだ曲面96を有している。図16に示すように、曲面96の断面形状はU字状である。
図13に示すように、例えば嵌合部91が第1流出嵌合筒部52に嵌まり込んだとき、曲面部95は、第1切替流出口61を塞ぐと共に、インバート56の一部を形成する。ここでは、曲面部95は、第2切替流出口62の周囲の一部(ここでは、当該周囲のうち第1流出嵌合筒部52側の周囲)から上方に延びている。このとき、曲面部95の曲面96は、平面視において第2切替流出口62の周に沿っている。嵌合部91が第1流出嵌合筒部52に嵌まり込まれたとき、曲面96はインバート56と面一となる。ここで、「面一」には、曲面96とインバート56とが完全に同じ高さである場合の他に、多少の段差が形成されているものも含まれるものとする。図3に示すように、例えば嵌合部91が第2流出嵌合筒部53に嵌まり込んだとき、曲面部95は、第2切替流出口62を塞ぐと共に、インバート56の一部を形成している。このとき、曲面部95の曲面96は、インバート56に沿っている。このとき、曲面96上を排水が流れることが可能である。嵌合部91が第2流出嵌合筒部53に嵌まり込まれたとき、曲面96はインバート56と面一となる。
本実施形態では、図15に示すように、取っ手97は、嵌合部91の内周面を架け渡すように嵌合部91に設けられている。ここでは、取っ手97は、嵌合部91の第1流出嵌合筒部52(または第2流出嵌合筒部53)に嵌め込まれる側と反対側の部位に設けられている。取っ手97の形状は特に限定されないが、例えば平らな棒形状である。
本実施形態では、嵌合部91、曲面部95および取っ手97は、複数の部材で形成され、それらの複数の部材が組み付けられることで、閉鎖部材90が形成されている。しかしながら、嵌合部91、曲面部95および取っ手97は、単一の部材で形成されていてもよい。
図16に示すように、シール部材99は、嵌合部91の外周面に設けられている。シール部材99の材質は特に限定されない。例えばシール部材99はゴム製である。
本実施形態では、流路切替部材50の形態を、所定の第1の形態と、第1の形態と異なる第2の形態との間で変更することで、排水の流路を切り替えることができる。ここで、流路切替部材50の「形態」とは、流路切替部材50の向きや位置のことである。流路切替部材50の「形態」が異なるとは、ます本体20に対する流路切替部材50(例えば切替本体51および閉鎖部材90など)の配置位置が異なる場合や、切替本体51に対する閉鎖部材90の配置位置が異なる場合のことをいう。
図3に示すように、流路切替部材50が第1の形態のとき、インバート56は、切替流入口60と第1切替流出口61とを繋ぎ、流入口40と第1流出口41とが繋がる。具体的には、第1の形態は、第2切替流出口62を閉鎖部材90で閉鎖した流路切替部材50の形態である。第1の形態のとき、第2流出嵌合筒部53に閉鎖部材90の嵌合部91が嵌め込まれている。第1の形態では、閉鎖部材90の曲面部95がインバート56の一部として機能するため、インバート56および曲面部95を介して、切替流入口60から第1切替流出口61に向かって排水が流れる。
図13に示すように、流路切替部材50が第2の形態のとき、インバート56は、切替流入口60と第2切替流出口62とを繋ぎ、流入口40と第2流出口42とが繋がる。具体的には、第2の形態は、第1切替流出口61を閉鎖部材90で閉鎖した流路切替部材50の形態である。第2の形態のとき、第1流出嵌合筒部52に閉鎖部材90の嵌合部91が嵌め込まれている。第2の形態では、インバート56の途中部分に第2切替流出口62が開口している状態となるため、流入口40から流入した排水は、第1流出口41に到達することなく、第2流出口42へ流れる。
以上、本実施形態に係る排水ます10の構成について説明した。次に、排水ます10の使用例について説明する。以下の説明において、閉鎖部材90によって第2切替流出口62を閉鎖し、流入配管101(図1参照)から第1流出配管102(図1参照)に向かって排水を流す状態(図3参照)を第1の状態という。一方、閉鎖部材90によって第1切替流出口61を閉鎖し、流入配管101から第2流出配管103(図1参照)に向かって排水を流す状態(図13参照)を第2の状態という。
流入配管101から第1流出配管102に向かって排水を流す第1の状態では、図3に示すように、閉鎖部材90によって流路切替部材50の第2切替流出口62が閉鎖される。具体的には、まず流路切替部材50がます本体20から取り外された状態で、閉鎖部材90の嵌合部91を第2流出嵌合筒部53に嵌め込む。この嵌め込みを行っているとき、嵌合部91の外周段差部111が、第2流出嵌合筒部53の第2内周段差部58に当接し、第2流出嵌合筒部53に対する嵌合部91の位置合わせを行う。このとき、図17に示すように、閉鎖部材90の突起112と、第2流出嵌合筒部53の第2凹部113bとを嵌め合わせる。このことで、第2流出嵌合筒部53に対する閉鎖部材90の回転が規制され、インバート56と曲面部95とを面一になるように閉鎖部材90を配置することができる。
第1の状態では、閉鎖部材90の嵌合部91が第2流出嵌合筒部53に嵌め込まれた状態の流路切替部材50を、点検口45を通じて、ます本体20の本体筒部21内に配置する。このとき、図3に示すように、閉鎖部材90の曲面部95は、インバート56に沿って配置される。このことで、曲面部95は、インバート56の一部として機能する。第2流出嵌合筒部53および閉鎖部材90は、ます本体20の第2流出筒部25に嵌め込まれ、第2流出嵌合筒部53の下端、および、嵌合部91の下端は、第2流出筒部25の内周面に形成されたフランジ25aに当接する。このことで、流路切替部材50の下方への移動が規制され、流路切替部材50が本体筒部21内の適切な位置に配置された状態となる。
流路切替部材50が本体筒部21内の適切な位置に配置されているとき、流路切替部材50の切替流入口60は流入口40と連通した状態となり、第1切替流出口61は第1流出口41と連通した状態となる。流路切替部材50のカバー54は、流入フランジ33aおよび流出フランジ33bと連なった状態となる。
第1の状態では、流入配管101内の排水は、排水ます10の流入口40および切替流入口60を通じて、流路切替部材50のインバート56に流入する。インバート56内の排水は、第1切替流出口62に向かって流れ、このとき、閉鎖部材90の曲面部95の曲面96上を通過する。そして、インバート56内の排水は、第1切替流出口61および第1流出口41を通じて第1流出配管102に流れる。
流入配管101から第2流出配管103に向かって排水を流す第2の状態では、図13に示すように、閉鎖部材90によって流路切替部材50の第1切替流出口61が閉鎖される。具体的には、まず流路切替部材50がます本体20から取り外された状態で、閉鎖部材90の嵌合部91を第1流出嵌合筒部52に嵌め込む。このとき、嵌合部91の外周段差部111が、第1流出嵌合筒部52の第1内周段差部57に当接し、第1流出嵌合筒部52に嵌合部91が適切に嵌め込まれた状態となる。このとき、閉鎖部材90の突起112と、第1流出嵌合筒部52の第1凹部113aとが嵌まった状態となる。このことで、第1流出嵌合筒部52に対する閉鎖部材90の回転が規制され、インバート56と曲面部95とが面一になるように閉鎖部材90を配置することができる。
第2の状態では、閉鎖部材90の嵌合部91が第1流出嵌合筒部52に嵌め込まれた状態の流路切替部材50を、点検口45を通じて、ます本体20の本体筒部21内に配置する。このとき、図13に示すように、閉鎖部材90の曲面部95は、第1切替流出口61から内側に向かって延びた状態となる。曲面部95の曲面96は、第2切替流出口62の第1切替流出口61側の周囲から上方に延びた状態となる。曲面部95は、インバート56の内部に配置される。このとき、第2流出嵌合筒部53は、ます本体20の第2流出筒部25に嵌め込まれ、第2流出嵌合筒部53の下端は、第2流出筒部25の内周面に形成されたフランジ25aに当接する。このことで、流路切替部材50の下方への移動が規制され、流路切替部材50が本体筒部21内の適切な位置に配置された状態となる。
流路切替部材50が本体筒部21内の適切な位置に配置されているとき、流路切替部材50の切替流入口60は流入口40と連通した状態となり、第2切替流出口62は第2流出口42と連通した状態となる。流路切替部材50のカバー54は、流入フランジ33aおよび流出フランジ33bと連なった状態となる。閉鎖部材90は、第1流出筒部24と、流路切替部材50のインバート56との間に配置される。
第2の状態では、流入配管101内の排水は、排水ます10の流入口40および切替流入口60を通じて、流路切替部材50のインバート56に流入する。インバート56内の排水は、閉鎖部材90の曲面部95にぶつかり、第2切替流出口62および第2流出口42を通じて第2流出配管103に向かって流れる。
以上、本実施形態では、図3に示すように、ます本体20は、流入口40および第1流出口41が形成された筒状の周壁部32と、第2流出口42が形成され、周壁部32の一端側の開口を塞ぐ底壁部31とを有している。流路切替部材50は、ます本体20の内部に着脱可能である。流路切替部材50は、ます本体20の内部に配置されているときに流入口40と繋がる流入インバート56aと、ます本体20の内部に配置されているときに第1流出口41と繋がる流出インバート56bと、流入インバート56aおよび流出インバート56bを覆うカバー54と、を有している。ます本体20は、流入口40の上方側の端からます本体20の内部に向かって延びた流入フランジ33aと、第1流出口41の上方側の端からます本体20の内部に向かって延びた流出フランジ33bとを有している。カバー54は、流入フランジ33aと流出フランジ33bとの間に配置されている。流入側防止部70は、カバー54から、流入フランジ33aとカバー54との間からカバー54上に繋がる空間である流入外空間S1内に向かって延びている。流出側防止部80は、カバー54から、流出フランジ33bとカバー54との間からカバー54上に繋がる空間である流出外空間S2に向かって延びている。
本実施形態によれば、流入インバート56aおよび流出インバート56bは、カバー54によって覆われているため、流入インバート56aおよび流出インバート56bを排水が勢いよく流れた場合であっても、排水が流入インバート56aおよび流出インバート56bから外へ飛散し難くすることができる。
更に、本実施形態に係る排水ます10では、流路切替部材50は、ます本体20に着脱可能であるため、流路切替部材50をます本体20の内部に配置したときに、流入フランジ33aとカバー54との間、および、流出フランジ33bとカバー54との間には、隙間が形成される。これら隙間が僅かながら存在することで、流路切替部材50がます本体20に対して着脱し易くなる。例えば流入インバート56aおよび流出インバート56bを流れる排水が、上記の隙間から流入外空間S1または流出外空間S2を通って、カバー54上に付着することがあり得る。
しかしながら、本実施形態では、流入外空間S1には流入側防止部70が設けられ、かつ、流出外空間S2には流出側防止部80が設けられている。よって、流入フランジ33aとカバー54との間の隙間から流入外空間S1に飛散した排水は、流入側防止部70によって塞き止められるため、カバー54上に付着し難い。同様に、流出フランジ33bとカバー54との間の隙間から流出外空間S2に飛散した排水は、流出側防止部80によって塞き止められるため、カバー54上に付着し難い。
本実施形態では、流入側防止部70は、カバー54から上方に延びた流入縦壁部71を有する。このことによって、流入フランジ33aとカバー54との間の隙間から流入外空間S1に飛散した排水を、流入縦壁部71によって塞き止めることができる。同様に、本実施形態では、流出側防止部80は、カバー54から上方に延びた流出縦壁部81を有する。このことによって、流出フランジ33bとカバー54との間の隙間から流出外空間S2に飛散した排水を、流出縦壁部81によって塞き止めることができる。
本実施形態では、図5に示すように、流路切替部材50は、排水方向Xと平面視において直交する方向Yにおける流入インバート56aの両端から上方に延び、かつ、カバー54よりも上方に延びた一対の流入延伸部55aを有する。流入縦壁部71は、一対の流入延伸部55aに接続されている。このことによって、一対の流入延伸部55aが補強部材の役割を担い、流入縦壁部71を補強することができる。同様に、流路切替部材50は、直交方向Yにおける流出インバート56bの両端から上方に延び、かつ、カバー54よりも上方に延びた一対の流出延伸部55bを有する。流出縦壁部81は、一対の流出延伸部55bに接続されている。このことによって、一対の流出延伸部55bが補強部材の役割を担い、流出縦壁部81を補強することができる。
本実施形態では、図3に示すように、流入側防止部70は、流入縦壁部71と連続し、カバー54の上方において排水方向Xに延びた流入横壁部72を有する。このことによって、流入フランジ33aとカバー54との間の隙間から流入外空間S1に飛散した排水が、流入縦壁部71を乗り越えた場合であっても、飛散した排水を流入横壁部72によって塞き止めることができる。同様に、本実施形態では、流出側防止部80は、流出縦壁部81と連続し、カバー54の上方において排水方向Xに延びた流出横壁部82を有する。このことによって、流出フランジ33bとカバー54との間の隙間から流出外空間S2に飛散した排水が、流出縦壁部81を乗り越えた場合であっても、飛散した排水を流出横壁部82によって塞き止めることができる。
本実施形態では、流入横壁部72には、流入縦壁部71に向かうに従って下方に曲がった流入曲面72aが形成されている。このことによって、流入横壁部72によって塞き止められた排水を、流入曲面72aに沿って流入縦壁部71に流し易い。よって、排水が流入横壁部72に留まり難くすることができる。同様に、流出横壁部82には、流出縦壁部81に向かうに従って下方に曲がった流出曲面82aが形成されている。このことによって、流出横壁部82によって塞き止められた排水を、流出曲面82aに沿って流出縦壁部81に流し易い。よって、排水が流出横壁部82に留まり難くすることができる。
本実施形態では、図7に示すように、流入横壁部72は、取っ手67よりも流入縦壁部71側のカバー54の上方に配置されている。流入横壁部72の取っ手67側の端には、流入縦壁部71側に凹んだ流入凹部75が形成されている。このことによって、作業者が取っ手67を手で掴むときに、作業者の手を流入凹部75に通過させることで、作業者の手が流入横壁部72に当たり難くすることができる。よって、作業者が取っ手67を掴み易くすることができる。同様に、本実施形態では、流出横壁部82は、取っ手67よりも流出縦壁部81側のカバー54の上方に配置されている。流出横壁部82の取っ手67側の端には、流出縦壁部81側に凹んだ流出凹部85が形成されている。このことによって、作業者が取っ手67を手で掴むときに、作業者の手を流出凹部85に通過させることで、作業者の手が流出横壁部82に当たり難くすることができる。
本実施形態では、図3に示すように、流入側防止部70は、カバー54から流入フランジ33aとカバー54との間の上方まで延びた流入ひさし部73を有する。流入ひさし部73は、流入フランジ33aとカバー54との間の上方に配置され、カバー54から流入口40に向かって延びている。。このことによって、流入フランジ33aとカバー54との間の隙間から流入外空間S1に飛散した排水を、流入ひさし部73によって塞き止めることができる。同様に、本実施形態では、流出側防止部80は、カバー54から流出フランジ33bとカバー54との間の上方まで延びた流出ひさし部83を有する。流出ひさし部83は、流出フランジ33bとカバー54との間の上方に配置され、カバー54から第1流出口41に向かって延びている。このことによって、流出フランジ33bとカバー54との間の隙間から流出外空間S2に飛散した排水を、流出ひさし部83によって塞き止めることができる。
本実施形態では、流入ひさし部73には、直交方向Yにおける流入ひさし部73の端に向かうに従って下方に曲がった流入ひさし曲面79が形成されている。このことによって、流入ひさし部73に塞き止められた排水は、流入ひさし曲面79に沿って流入ひさし部73の端に向かって流れ易い。よって、排水が流入ひさし部73に留まり難くすることができる。同様に、本実施形態では、図5に示すように、流出ひさし部83には、直交方向Yにおける流出ひさし部83の端に向かうに従って下方に曲がった流出ひさし曲面89が形成されている。このことによって、流出ひさし部83に塞き止められた排水は、流出ひさし曲面89に沿って流出ひさし部83の端に向かって流れ易い。よって、排水が流出ひさし部83に留まり難くすることができる。
以上、本発明の実施の一形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限らず、他にも種々の形態にて実施することができる。次に、他の実施形態の例について簡単に説明する。以下の説明では、前記実施形態と同様の要素には同様の符号を付し、それらの説明は省略する。
上記実施形態では、流入側防止部70および流出側防止部80は、インバート56が形成された切替本体51と別体であり、切替本体51に取り付けられるものであった。しかしながら、流入側防止部70および流出側防止部80は、切替本体51と一体であってもよい。流入側防止部70と流出側防止部80のうち何れか一方が切替本体51と一体であってもよい。
上記実施形態では、流路切替部材50は、流入側防止部70と、流出側防止部80とを有しおり、流入側防止部70は流入外空間S1に配置され、流出側防止部80は流出外空間S2に配置されていた。しかしながら、流入側防止部70および流出側防止部80のうち何れか一方は省略されてもよい。
上記実施形態では、流路切替部材50の切替本体51には、下方に開口した第2切替流出口62が形成されており、流入口40から第1流出口41に排水を流すときには、第2切替流出口62は、閉鎖部材90によって閉鎖されていた。しかしながら、第2切替流出口62は、切替本体51に形成されていなくてもよい。この場合、閉鎖部材90は省略されてもよい。この場合、例えば流入口40から第1流出口41に排水を流すときには、流路切替部材50をます本体20の内部に配置する。このことで、流路切替部材50のインバート56によって流入口40と第1流出口41とが繋がる。例えば流入口40から第2流出口42に排水を流すときには、流路切替部材50をます本体20から取り外す。このことで、流入口40からます本体20内に流入した排水は、第1流出口41へ到達する前に、第2流出口42からます本体20の外へ流出する。
上記実施形態では、図1に示すように、点検口45が斜め上向きに開口するように、排水ます10は配置されていた。しかしながら、排水ます10の配置向きなどは特に限定されない。例えば図18の他の実施形態に示すように、排水ます10は、点検口45が上方に向かって開口するように配置されていてもよい。この場合、流入口40および第1流出口41は側方に向かって開口し、第2流出口42は、下方に向かって開口している。
図示は省略するが、排水ます10は、点検口45が側方に向かって開口するように配置されていてもよい。この場合、例えば流入口40は上方に向かって開口し、第1流出口41は下方に向かって開口し、第2流出口42は側方に向かって開口している。
上記実施形態では、排水ます10は、建物内に配置されるものであり、いわゆるシャフト内に配置されるものである。しかしながら、排水ます10は、建物のピット内に配置されるものであってもよい。また、排水ます10は、地上に配置されていなくてもよく、例えば地中に埋設されていてもよい。