JP2021080348A - 硬化性組成物及び該組成物を封止剤として用いた半導体装置。 - Google Patents

硬化性組成物及び該組成物を封止剤として用いた半導体装置。 Download PDF

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【課題】通電信頼性が向上する硬化性組成物および該硬化性組成物を封止剤として用いた半導体装置を提供すること。【解決手段】(A)(α1)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物と、(α2)1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と、少なくとも1個の極性基を環骨格内に有する複素環骨格とを有する有機化合物とのヒドロシリル化反応物である、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物、(B)T単位のシロキサン構造を含まない、1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物、(C)1分子中に3個以上のヒドロシリル基及び/またはアルケニル基を有し、一般式(1)で示されかつT単位構造を含む化合物、(D)ヒドロシリル化触媒、を含有し、(C)成分の含有量が(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計重量の10wt%以上80wt%以下である硬化性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒドロシリル化硬化してなる硬化性組成物及び該組成物を封止剤として用いた半導体装置に関するものである。
近年、半導体装置の出力や求められる耐熱性は増々高くなってきており、半導体装置を封止する封止剤に求められる信頼性も年々厳しくなってきている。
例えば、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の使用が盛んに検討されている。SiCパワー半導体は、これまでのシリコンパワー半導体と比較して、通電時のエネルギー損失が少なく、かつ耐熱性が高いことから、より大きな電力を扱うことが可能である。この様な特徴から、シリコンパワー半導体の耐熱限界温度は150℃であるが、SiCパワー半導体では200℃以上で使用することも検討されており、封止剤に求められる耐熱性も同様に高くなってきている。
また、半導体として発光ダイオード(LED)を用いた発光装置は、長寿命、低消費電力、耐衝撃性、高速応答性、軽薄短小化の実現等の特徴を有しており、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末等のバックライト、車載照明、屋内外広告、屋内外照明等、多方面への展開が飛躍的に進んでいる。また、用途の多様性と共により一層の信頼性の向上が求められている。
光半導体装置に用いられる封止樹脂には、その性質上、無色透明性が要求されており、例えばエポキシ樹脂組成物が用いられている(特許文献1)。しかし、エポキシ樹脂硬化物は、長期間高温に晒されると着色を生じるという問題がある。
このような着色を生じにくい樹脂として、付加硬化型のシリコーン樹脂組成物が封止樹脂として提案されている(特許文献2)。しかし、付加硬化型シリコーン樹脂組成物は、一般にガスバリア性が低いといった問題点を有している。そのため、ガスバリア性が低いポリシロキサン組成物を封止剤として用いた場合、光半導体装置に用いられている銀製部材が黒色化し、発光効率が低下するという問題が生じている。
そこで、ガスバリア性を向上させる方法として、シリコーンと有機物のハイブリッド材料が試みられている。この様なハイブリッド材料としては例えば、有機物に複素環骨格を有する化合物が提案されている(特許文献3、特許文献4)。
一方で、光半導体装置1個当たりの出力は年々上昇傾向にあり、高出力使用時における長期信頼性を担保する事も、増々重要となってきている。
特許文献3では、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物として、実施例中に、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するケイ素化合物と、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する有機化合物とを反応して得られる化合物が記載されており、明細書中には鎖状シロキサン及び環状シロキサンがそれぞれ例示されているが、高出力使用時における長期信頼性は十分ではなかった。
特許文献4では、1分子中にイソシアヌル環骨格及びシロキサン骨格の両方とSiH基を有する化合物を用いることが提案されているが、その目的は小粒径の蛍光体を凝集させる事であり、また、その添加量はその他の樹脂成分に対して7.5wt%以下と規定されていた。更に、その他の樹脂成分の構成成分の1つとして、T単位を含むポリシロキサン構造が明細書中に例示されてはいるが、構造の詳細や、構造に由来する特別な効果等に関しては、特段の記述は見られない。
特許第3241338号公報 国際公開第2015/178475号 特開2009−046616号公報 特開2015−079829号公報
本発明が解決しようとする課題は、通電信頼性が向上する硬化性組成物および該硬化性組成物を封止剤として用いた半導体装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、(A)(α1)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物と、(α2)1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル基と反応性を有する炭素−炭素二重結合(アルケニル基)と、少なくとも1個の極性基を環骨格内に有する複素環骨格とを有する有機化合物とのヒドロシリル化反応物である、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物、(B)T単位のシロキサン構造を含まない、1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物、(C)1分子中に3個以上のヒドロシリル基及び/またはアルケニル基を有し、一般式(1)で示され、かつT単位のシロキサン構造を含む化合物、(D)ヒドロシリル化触媒、を含有し、(C)成分の含有量が(A)成分と(B)成分と(C)成分の総和を100重量%とした時に10重量%以上80重量%以下である硬化性組成物を封止剤として用いることで、得られる半導体装置の高出力使用時における長期信頼性が改善されることを見出し、本発明に至った。
一般式(1):RXRYSiO(4−a−b)/2
(式中、RXは2個以上12個以下の炭素原子を有するアルケニル基または水素原子であり、各RYは個別にメチル基またはフェニル基または炭素数が1〜10、酸素数が0〜2の有機基であり、RYの少なくとも30mol%はフェニル基であり、a及びbはa+b=1以上2以下を満たし且つa/(a+b)=0.03以上0.25以下を満たすような正の数である)に示される平均組成式を有するアルケニル官能性及び/またはヒドロシリル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
1).(A)(α1)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物と、(α2)1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と、少なくとも1個の極性基を環骨格内に有する複素環骨格とを有する有機化合物とのヒドロシリル化反応物である、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物、(B)T単位のシロキサン構造を含まない、1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物、(C)1分子中に3個以上のヒドロシリル基及び/またはアルケニル基を有し、一般式(1)で示され、かつT単位構造を含む化合物、(D)ヒドロシリル化触媒、を含有し、(C)成分の含有量が(A)成分と(B)成分と(C)成分の総和を100重量%とした時に10重量%以上80重量%以下である硬化性組成物。
一般式(1):RXRYSiO(4−a−b)/2
(式中、RXは2個以上12個以下の炭素原子を有するアルケニル基または水素原子であり、各RYは個別にメチル基またはフェニル基または炭素数が1〜10、酸素数が0〜2の有機基であり、RYの少なくとも30mol%はフェニル基であり、a及びbはa+b=1以上2以下を満たし且つa/(a+b)=0.03以上0.25以下を満たすような正の数である)に示される平均組成式を有するアルケニル官能性及び/またはヒドロシリル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン
2).(A)成分が、(α1)、(α2)に加えて、1分子中にエポキシ基又はオキセタニル基を1個と、ヒドロシリル基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する有機化合物(α3)とのヒドロシリル化反応物である、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物であることを特徴とする1)に記載の硬化性組成物。
3).前記(C)成分が、(C1)1分子中に3個以上のアルケニル基を有し、構造中に含まれるT単位の割合が50%以上99%未満であることを特徴とする1)又は2)に記載の硬化性組成物。
4).前記(C)成分が、(C2)1分子中に3個以上のヒドロシリル基を有し、構造中に含まれるT単位の割合が50%以上99%未満であることを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
5).(B)成分が1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンであることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の硬化性組成物。
6).(B)成分が1分子中にアルケニル基を2個以上有する鎖状シロキサンであることを特徴とする1)〜5)のいずれかに記載の硬化性組成物。
7).(B)成分が有機骨格を含む化合物であることを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載の硬化性組成物。
8).(B)成分が有機成分とシロキサンの変性体であることを特徴とする1)〜7)のいずれかに記載の硬化性組成物。
9).1)〜8)のいずれかに記載の硬化性組成物を封止剤として用いてなる半導体装置。
本発明の硬化性組成物を封止剤として用いることで、高出力使用時の長期信頼性が向上した半導体装置を提供することができる。
本発明の半導体装置の一例である、表面実装型の発光ダイオード(LED)の概略断面図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
<半導体装置>
本発明の半導体装置としては、特に限定はされないが、例えば図1に示す構造が挙げられる。図1は、光半導体装置の概略断面図である。
本発明の図1中の光半導体素子1は、特に限定されず、半導体発光装置のLEDとして汎用されているもの等を用いることができる。例えば、放射した光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものであり、可視光発光タイプのLEDや、紫外発光タイプのLEDなどが挙げられる。あるいは、放射した光がそのまま光半導体から発光されるものであり、紫外光発光タイプや可視光発光タイプや赤外光発光タイプのLEDが挙げられる。本発明の光半導体素子1は、1つの半導体発光装置あたりに複数個の同一または異なる種類のLEDを実装してもよい。
本発明の図1中のリフレクター2は、必要に応じて用いても良く、光半導体素子1からの光を効率よく反射させることを目的とするものである。材質としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂や、ガラスエポキシや、セラミックスなどを用いることができるが、特に限定されるものではない。
本発明の図1中のポリシロキサン系組成物の硬化物3は、光半導体素子1からの光を効率よく外部に放出させる、外力や埃などから光半導体素子やワイヤなどを保護する、腐食性ガスの装置内への侵入を防ぐ、といった作用を有する。
本発明の図1中のリード4は、LED実装時の導電性確保とLEDの反射効率を高めるためのものである。特に、可視光領域での反射率が高いことから、金属の表面に銀メッキをしたものが用いられることが多いが、銀メッキに限定されるものではない。
本発明の図1中のワイヤ5は、光半導体素子1とリード4を電気的に接続するものであり、材質としては導電性のものであれば特に限定しないが、金や金合金や銀や銀合金や銅等が挙げられる。また、ワイヤ5を用いる代わりに、導電性接着剤や共晶ハンダを用いて電気的接続を行ってもよい。
本発明の図1中の蛍光体6は、必要に応じて用いてもよく、光半導体素子1から放射された光を吸収し、異なる波長を発光するものである。用いる蛍光体の組成には特に制限はないが、400nm〜800nmの可視光を発する蛍光体が一般的に用いられている。また、硬化物3中で蛍光体が沈降しているか浮遊しているかにも制限はない。
<1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物(A)>
本発明の(A)成分は、後述のヒドロシリル化触媒(D)の存在下、(α1)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物と、(α2)1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル基と反応性を有する炭素−炭素二重結合(アルケニル基)と、少なくとも1個の極性基を環骨格内に有する複素環骨格とを有する有機化合物とをヒドロシリル化反応することにより得られる、及び/または、
(α1)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物と、(α2)1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル基と反応性を有する炭素−炭素二重結合(アルケニル基)と、少なくとも1個の極性基を環骨格内に有する複素環骨格とを有する有機化合物と、(α3)1分子中にエポキシ基又はオキセタニル基を1個とヒドロシリル基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する有機化合物とを、反応させて得られる、化合物である。1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物を得る方法としては、特に限定されないが、一例として、(α1)成分と(α2)成分とを反応させ、(α3)成分を添加して更に反応させた後に、例えば減圧・加熱条件下にて、揮発性の未反応成分を留去して得ることができる。
こうして得られた(A)成分には、反応に用いた(α2)成分のアルケニル基が一部残存していてもよい。
(α1)成分の添加量は、(α2)成分が有するアルケニル基1個に対し、(a1)成分のヒドロシリル基の数が1.1〜20個が好ましく、1.3〜15個がより好ましく、1.5〜10個がさらにより好ましい。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が進行するため、オルガノポリシロキサン変性体のハンドリング性が劣る場合があり、添加量が多いと、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。(α3)成分の添加量は、(α2)成分のアルケニル基1個に対して、0〜20個が好ましく、0〜15個がより好ましく、0〜10個が更に好ましい。添加量が多すぎると、硬化物の耐熱性に悪影響を及ぼす恐れがある。
(A)成分の添加量としては、(B)と(C)の合計量を100重量%とした時に、10重量%以上300重量%以下が好ましく、10〜200重量%がより好ましく、10〜100重量%がさらに好ましい。(A)成分の添加量が(B)と(C)の合計量に対して10重量%未満の場合、得られる硬化性組成物のガスバリア性が低下し、腐食ガスによる半導体装置内に含まれる金属の腐食が進行する恐れがある。一方で、配合物(A)の添加量が(B)と(C)の合計量に対して多すぎる場合には、得られた硬化物の硬度が高くなりすぎる結果、高出力時の長期信頼性が低下する恐れがある。
オルガノポリシロキサン変性体の合成時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、反応に用いる(α2)成分のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−4〜10−8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多いと、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色発生の恐れや、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少ないと、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
<1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物(α1)>
本発明の1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物(α1)は、分子中に2個以上のヒドロシリル基を有していれば特に制限はない。例えば、ヒドロシリル基を有する直鎖状シロキサン、環状シロキサン、分岐状シロキサン、シルフェニレン化合物などが挙げられる。
ヒドロシリル基を有する直鎖状シロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
特に、ヒドロシリル基を有する直鎖状シロキサンとしては、変性させる際の反応性や得られる硬化物の耐熱性、耐光性等の観点から、ジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリシロキサンを好適に用いることができ、具体的には例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5,―ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニルトリシロキサンなどが、好ましい例として例示される。
ヒドロシリル基を有する環状シロキサンとしては、シクロトリシロキサン、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン等を用いることができる。得られる硬化物の耐熱性、耐光性等の観点から、シクロテトラシロキサンが好ましい。シクロテトラシロキサンとしては、入手性の観点から、テトラオルガノテトラハイドロジェンシロキサン、ペンタオルガノトリハイドロジェンシロキサン、ヘキサオルガノジハイドロジェンシロキサンが好ましい。より具体的には、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、1,1,3,5,7−ペンタメチル−3,5,7−トリハイドロジェンシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,7−ヘキサメチル−5,7−ジハイドロジェンシクロテトラシロキサン、1,1,3,5,5,7−ヘキサメチル−3,7−ジハイドロジェンシクロテトラシロキサン、などが例示される。本発明における環状シロキサンとしては、工業的入手性および反応性、あるいは、得られる硬化物の耐熱性、耐光性、強度等の観点から、具体的に例えば、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,5,7−ペンタメチル−3,5,7−トリハイドロジェンシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,7−ヘキサメチル−5,7−ジハイドロジェンシクロテトラシロキサン、1,1,3,5,5,7−ヘキサメチル−3,7−ジハイドロジェンシクロテトラシロキサン、を好適に用いることができる。
分岐状シロキサンとしては例えば、3−〔(ジメチルシリル)オキシ〕−1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン、3−〔(ジメチルシリル)オキシ〕−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサン、3,3−ビス〔(ジメチルシリル)オキシ〕−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン、3−〔(トリメチルシリル)オキシ〕−1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン、3−〔(トリメチルシリル)オキシ〕−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサン、3,3−ビス〔(トリメチルシリル)オキシ〕)−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン、等が挙げられる。
シルフェニレン化合物としては例えば、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジフェニルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルフェニルシリル)ベンゼン、などが挙げられる。
これら(α1)成分である、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル基と反応性を有する炭素−炭素二重結合(アルケニル基)と、少なくとも1個の極性基を環骨格内に有する複素環骨格とを有する有機化合物(α2)>
本発明の1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル基と反応性を有する炭素−炭素二重結合(アルケニル基)と、少なくとも1個の極性基を環骨格内に有する複素環骨格とを有する有機化合物(α2)としては、アルケニル基及び複素環骨格を有する有機化合物であれば特に制限はないが、得られる硬化物の耐熱性、耐光性の観点から、下記一般式(2)あるいは(3)で表される有機化合物が好ましい。
Figure 2021080348
(式中R〜Rは炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R〜Rは異なっていても同一であってもよい。また、R〜Rのうち少なくとも1つはアルケニル基を含む。)
Figure 2021080348
(式中R〜Rは炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R〜Rは異なっていても同一であってもよい。また、R〜Rのうち少なくとも1つはアルケニル基を含む。)
(α2)成分の骨格中にアルケニル基及び複素環骨格以外の官能基を有していても構わない。
(α2)成分は、例えば硬化性組成物を基材と硬化させた場合の基材との接着性の観点から、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、モノアリルジメチルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、テトラアリルグリコールウリル、ジアリルジグリシジルグリコールウリル、トリアリルモノグリシジルグリコールウリル、モノアリルトリグリシジルグリコールウリル、ジアリルジメチルグリコールウリル、トリアリルジメチルグリコールウリル、モノアリルトリメチルグリコールウリルを用いることが好ましい。更に、耐熱性及び耐光性の観点から、上記化合物の中でも、1分子中に2個以上のアルケニル基を持つ化合物がより好ましい。これらは、単独で用いても良く、2種類以上併用してもよい。
<1分子中にエポキシ基又はオキセタニル基を1個とヒドロシリル基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する有機化合物(α3)>
化合物(α3)については、1分子中にエポキシ基又はオキセタニル基を1個とヒドロシリル基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する有機化合物であれば特に限定されない。
エポキシ基としては、下記一般式(4)あるいは(5)が挙げられる。
Figure 2021080348
(但し、Rは炭素数が1〜10、酸素数が0〜2の2価の有機基であり、R〜R11は炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R〜R11は異なっていても同一であっても良い)
Figure 2021080348
(但し、R12は炭素数が1〜10、酸素数が0〜2の2価の有機基であり、R13〜R14は炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R13〜R14は異なっていても同一であっても良い)。
オキセタニル基としては、下記一般式(6)が挙げられる。
Figure 2021080348
(但し、R15は炭素数が1〜10、酸素数が0〜2の2価の有機基であり、R16は炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表す)。
化合物(α3)としては、入手性の観点から、アリルグリシジルエーテル、ビニルシクロへキセンオキシド、3―エチル−3−アリロキシメチルオキセタンが好ましい。上記した各種化合物(α3)は、単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<ヒドロシリル化触媒(D)>
本発明で用いることができるヒドロシリル化触媒としては、通常ヒドロシリル化触媒として公知のものを選択でき、特に制限はない。
具体的に例示すれば、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック、高分子等)に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt〔(MeViSiO);白金−ホスフィン錯体、例えば、Pt(PPh、Pt(PBu;白金−ホスファイト錯体、例えば、Pt〔P(OPh)、Pt〔P(OBu)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh、RhCl、Rh/Al、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)等が好ましい。
<T単位のシロキサン構造を含まない、1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物(B)>
本発明に用いられる化合物(B)は、T単位のシロキサン構造を含まない、1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物である。
化合物(B)の添加量は種々設定できるが、硬化性組成物全体に含まれるアルケニル基1個あたり、硬化性組成物全体に含まれるヒドロシリル基が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜3個、より好ましくは0.7〜1.5個となる割合で添加されることが望ましい。アルケニル基の割合が少ないと、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、アルケニル基の割合が多いと、硬化後の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
ここで、化合物(B)としては、例えば、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B1)や、前述した1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物(B2)や、1分子中にアルケニル基を2個以上有する変性体(B3)が挙げられる。これら1分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物は、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
<1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B1)>
本発明の硬化性組成物が含有しえる、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B1)のシロキサンのユニット数は、特に限定されないが、2個以上1000個以下が好ましく、2個以上〜100個以下が更に好ましい。1分子中のシロキサンのユニット数が少ないと、組成物から揮発しやすくなり、硬化後に所望の物性が得られないことがある。また、シロキサンのユニット数が多いと、得られた硬化物のタック性が悪化し光半導体装置としての取扱が困難になる場合がある。
1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、アリール基を有していることが、ガスバリア性の観点から好ましい。また、アリール基を有する1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上に直接アリール基が結合していることが好ましい。また、アリール基は分子の側鎖または末端いずれにあってもよく、このようなアリール基含有ポリシロキサンの分子構造としては、例えば直鎖状、環状構造、直鎖状と環状構造の組み合わせが挙げられる。
このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、3−イソブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、3−tブチルフェニル基、4−tブチルフェニル基、3−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、ビフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、3−エポキシフェニル基、4−エポキシフェニル基、3−グリシジルフェニル基、4−グリシジルフェニル基等が挙げられる。中でも、耐熱・耐光性の観点から、フェニル基が好ましい例として挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上併用して用いてもよい。
本発明における1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンとしては、耐熱性、耐光性の観点から、アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン、アルケニル基を2個以上有する環状シロキサンなどが好ましい例として挙げられる。
アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルビニルシロキサン単位2つ以上とSiO単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を2個以上有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1−フェニル−3,5,7−トリメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,3−ジフェニル−5,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,5−ジフェニル−3,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,3,5−トリフェニル−7−メチルシクロテトラシロキサン、1−フェニル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジフェニル−5,7−ジビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
これら1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
<1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物(B2)>
(B2)は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有する有機化合物であれば、特に制限はないが、例えば、下記一般式(7)あるいは(8)で表される有機化合物であって、かつ、1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物が挙げられる。
Figure 2021080348
(式中R17〜R19は炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R17〜R19は異なっていても同一であってもよい。また、R17〜R19のうち少なくとも2つはアルケニル基である。)
Figure 2021080348
(式中R20〜R23は炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R20〜R23は異なっていても同一であってもよい。また、R20〜R23のうち少なくとも2つはアルケニル基である。)
(B2)成分は、得られる硬化性組成物の相溶性の観点から、数平均分子量900未満であることが好ましい。また、(B2)成分の骨格中にアルケニル基以外の官能基を有していても構わない。
(B2)成分は、例えば組成物を基材と硬化させた場合の基材との接着性の観点から、上記一般式(8)または(9)で表され、かつ、1分子中にアルケニル基を2個以上含有する化合物であることが好ましく、さらに耐熱性・耐光性のバランスの観点から、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、テトラアリルグリコールウリル、ジアリルジグリシジルグリコールウリル、トリアリルモノグリシジルグリコールウリル、モノアリルトリグリシジルグリコールウリル、ジアリルジメチルグリコールウリル、トリアリルジメチルグリコールウリル、モノアリルトリメチルグリコールウリルを用いることが好ましい。これらは、単独で用いても良く、2種類以上併用してもよい。
<1分子中にアルケニル基を2個以上有する変性体(B3)>
(B3)としては、1分子中にアルケニル基を2個以上有する変性体であれば特に制限はない。有機成分と有機成分との組み合わせによる変性体、有機成分と無機成分との組み合わせによる変性体、無機成分と無機成分との組み合わせによる変性体のいずれで有っても良い。得られる硬化物の耐熱性の観点からは、有機成分と無機成分との組み合わせもしくは無機成分と無機成分との組み合わせが好ましい。
有機成分と無機成分との組み合わせとしては例えば、前記(α1)成分と前記(B2)成分とをヒドロシリル化触媒(D)存在下で反応させて得られる変性体が挙げられる。無機成分と無機成分との組み合わせとしては例えば、前記(α1)成分と前記(B1)成分とをヒドロシリル化触媒(D)存在下で反応させて得られる変性体が挙げられる。
これらはそれぞれ単独で用いても良く、2種以上を併用して用いても良い。
<1分子中に3個以上のヒドロシリル基及び/またはアルケニル基を有し、一般式(1)で示されかつT単位構造を含む化合物(C)>
(C)成分としては、1分子中に3個以上のヒドロシリル基及び/またはアルケニル基を有し、一般式(1)で示されかつT単位構造を含む化合物であれば、特に制限はない。
一般式(1):RXRYSiO(4−a−b)/2
(式中、RXは2個以上12個以下の炭素原子を有するアルケニル基または水素原子であり、各RYは個別にメチル基またはフェニル基であり、RYの少なくとも30mol%はフェニル基であり、a及びbはa+b=1以上2以下を満たし且つa/(a+b)=0.03以上0.25以下を満たすような正の数である)に示される平均組成式を有するアルケニル官能性及び/またはヒドロシリル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン)
T単位構造の含有率としては、構造中に含まれるシロキサン単位をQ,T,D,M単位に分類した時に、T単位含有率=T単位/(Q単位+T単位+D単位+M単位)の値が、0.5以上0.99未満である事が好ましく、0.60以上0.95未満である事がより好ましく、0.70以上0.90未満であることが更に好ましい。T単位含有率が多過ぎても少な過ぎても、高出力使用時の長期信頼性向上効果が得られない。
この様な化合物としては例えば、1分子中に3個以上のアルケニル基を有し、構造中に含まれるT単位の割合が50%以上99%未満である化合物(C1)や1分子中に3個以上のヒドロシリル基を有し、構造中に含まれるT単位の割合が50%以上99%未満である化合物(C2)が挙げられる。(C1)と(C2)は単独で使用しても良く、また2種以上を併用して用いても良い。
(C)成分に含まれるフェニル基の含有量としては、一般式(1)中のRYの少なくとも30mol%はフェニル基であり、好ましくは45mol%以上であり、より好ましくは55mol%以上である。フェニル基の含有量が少ないと、得られる硬化性組成物のガスバリア性が低下し、腐食ガスによる半導体装置内に含まれる金属の腐食が進行する恐れがある。
(C)成分全体としての数平均分子量としては、500以上であれば良いが、1000以上10000以下がより好ましく、1500以上6000以下が更に好ましい。数平均分子量が小さすぎると高出力使用時の長期信頼性向上効果が得られず、数平均分子量が大きすぎるとハンドリング性が悪化する。
(C)成分中に含まれる一般式(1)中のa及びbの値としては、a+bの値が1以上2以下を満たし、より好ましくは1.05以上1.7以下を満たし、より好ましくは1.2以上1.6以下を満たし、かつa/(a+b)の値が0.03以上0.25以下を満たし、より好ましくは0.05以上0.20以下を満たすものである。a及びbの値がこれらの組み合わせを満たさない場合、高出力使用時における長期信頼性向上効果が得られない。
(C)成分の添加量としては、(A)成分と(B)成分と(C)成分の総和を100重量%とした時に、5重量%以上90重量%以下であることが好ましく、10重量%以上80重量%以下であることがより好ましく、20重量%以上70重量%以下であることが更に好ましい。(C)成分の添加量が少なすぎると、高出力使用時における長期信頼性向上効果が得られず、(C)成分の添加量が多すぎると、ガスバリア性が低下し、腐食ガスによる半導体装置内に含まれる金属の腐食が進行する恐れがある。
<1分子中に3個以上のアルケニル基を有し、構造中に含まれるT単位の割合が50%以上99%未満である化合物(C1)>
(C1)としては例えば、Q単位とT単位とD単位とM単位の組み合わせや、Q単位とT単位とM単位の組み合わせや、T単位とD単位とM単位の組み合わせや、T単位とM単位の組み合わせが挙げられる。
T単位としては例えば、フェニルシルセスキオキサン単位、メチルシルセスキオキサン単位、エチルシルセスキオキサン単位、グリシジルシルセスキオキサン単位、3−グリシジルオキシプロピルシルセスキオキサン単位、エチルシクロヘキセンオキシドシルセスキオキサン単位、ビニルシルセスキオキサン単位、アリルシルセスキオキサン単位、シクロペンチルシルセスキオキサン単位、シクロヘキシルシルセスキオキサン単位、などが挙げられる。
D単位としては例えば、ジメチルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチルアリルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位、グリシジルメチルシロキサン単位、3−グリシジルオキシプロピルメチルシロキサン単位、グリシジルビニルシロキサン単位、グリシジルアリルシロキサン単位、3−グリシジルオキシプロピルビニルシロキサン単位、3−グリシジルオキシプロピルアリルシロキサン単位などが挙げられる。
M単位としては、トリメチルシロキシ単位、ジメチルビニルシロキシ単位、ジメチルアリルシロキサン単位、ジフェニルビニルシロキシ単位、ジフェニルアリルシロキサン単位、ジメチルグリシジルシロキシ単位、ジメチル−3−グリシジルオキシプロピルシロキシ単位、などが挙げられる。
これら各単位は、単独で用いられてもよく、また複数種を組み合わせて用いても良い。高出力時の長期信頼性の観点からは、少なくともT単位としてフェニルシルセスキオキサン単位を含み、かつ、少なくともM単位としてジメチルビニルシロキシ単位を含む事が好ましい。
<1分子中に3個以上のヒドロシリル基を有し、構造中に含まれるT単位の割合が50%以上99%未満である化合物(C2)>
(C2)としては例えば、Q単位とT単位とD単位とM単位の組み合わせや、Q単位とT単位とM単位の組み合わせや、T単位とD単位とM単位の組み合わせや、T単位とM単位の組み合わせが挙げられる。
T単位としては例えば、フェニルシルセスキオキサン単位、メチルシルセスキオキサン単位、エチルシルセスキオキサン単位、グリシジルシルセスキオキサン単位、3−グリシジルオキシプロピルシルセスキオキサン単位、エチルシクロヘキセンオキシドシルセスキオキサン単位、ハイドロジェンシルセスキオキサン単位、シクロペンタンシルセスキオキサン単位、シクロヘキサンシルセスキオキサン単位、などが挙げられる。
D単位としては例えば、ジメチルシロキサン単位、メチルハイドロジェンシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位、グリシジルメチルシロキサン単位、3−グリシジルオキシプロピルメチルシロキサン単位、グリシジルハイドロジェンシロキサン単位、3−グリシジルオキシプロピルハイドロジェンシロキサン単位、などが挙げられる。
M単位としては、トリメチルシロキシ単位、ジメチルハイドロジェンシロキシ単位、ジフェニルハイドロジェンシロキシ単位、ジメチルグリシジルシロキシ単位、ジメチル−3−グリシジルオキシプロピルシロキシ単位、などが挙げられる。
これら各単位は、単独で用いられてもよく、また複数種を組み合わせて用いても良い。高出力時の長期信頼性の観点からは、少なくともT単位としてフェニルシルセスキオキサン単位を含み、かつ、少なくともM単位としてジメチルハイドロジェンシロキシ単位を含む事が好ましい。
<(C)成分についての最適な例>
ここで、(C1)成分及び(C2)成分を使い分ける例を具体的に例示すると、(A)成分中に含まれるヒドロシリル基の総モル数に対して、(B)成分中に含まれるアルケニル基の総モル数が少ない場合には、アルケニル基を含む成分である(C1)成分を添加すると、ヒドロシリル基とアルケニル基のモル数のバランスが取れることになり、望ましい。一方で、(A)成分中に含まれるヒドロシリル基の総モル数に対して、(B)成分中に含まれるアルケニル基の総モル数が多い場合には、ヒドロシリル基を含む成分である(C2)成分を添加すると、ヒドロシリル基とアルケニル基のモル数のバランスが取れることになり、望ましい。また、(C1)成分と(C2)成分は同時に添加しても構わない。
<ヒドロシリル化触媒(D)>
前述したヒドロシリル化触媒(D)に記載のヒドロシリル化触媒であれば、いずれを用いても良い。1種単独で使用しても良く、2種以上を併用して用いても良い。
<硬化性組成物>
本発明の半導体装置に用いられるポリシロキサン系硬化性組成物は、必要に応じて、硬化遅延剤や無機フィラー等を混合することにより得ることができる。
本発明に用いられる硬化性組成物の粘度は、特に制限はないが、温度23℃において0.1Pa・s〜300Pa・sであることが好ましく、さらに好ましくは0.3Pa・s〜200Pa・sである。硬化性組成物の粘度が低いと、蛍光体が沈降し個体間の色度ズレが大きくなる恐れがあり、粘度が高いと、硬化性組成物のハンドリング性が悪化する恐れがある。
硬化性組成物を硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高いと、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低いと硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。
硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及び反応性基の量、その他、硬化性組成物の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
本発明で用いられる硬化性組成物の保存安定性の改良あるいは、硬化過程でのヒドロシリル化反応性を調整するために硬化遅延剤を用いても良い。硬化遅延剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、具体的には3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示できる。
窒素含有化合物としては、具体的にはN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示できる。
本発明の半導体装置に用いられる硬化性組成物は蛍光体を含有しても良い。蛍光体は発光素子の発する光を吸収して異なる波長の光を発生するものであり、本発明の半導体装置に用いられる蛍光体としては、特に限定されず、一般的に公知の無機蛍光体や有機蛍光体や量子ドットを用いることができ、本発明の半導体装置が必要とする発光色を得るために任意のものを選択することができる。具体的に、例えば、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、オルトシリケートアルカリ土類系蛍光体、α−サイアロン系蛍光体、β−サイアロン系蛍光体、カズン系蛍光体、ニトリドおよびオキシニトリド系蛍光体、CdSe系量子ドット、CdSSe系量子ドット、CdS系量子ドット、InP系量子ドット、PbS系量子ドット、ペロブスカイト型蛍光体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら蛍光体は1種または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。
本発明における蛍光体の使用量には特に制限は無く、半導体装置が必要とする発光色を得るために任意の量を使用することができるが、あえて例示するならば、硬化性組成物中に好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上であり、好ましくは200重量%以下、より好ましくは150重量%以下、さらに好ましくは100重量%以下である。蛍光体の使用量が少ないと、蛍光体による波長変換が不十分となり、目的とする発光色が得られなくなる場合があり、蛍光体の使用量が多いと、組成物のハンドリング性が低下したり、光学的な干渉作用により蛍光体の利用効率が低くなったりする可能性がある。
前記蛍光体の粒径や粒度分布に関しても特に制限はなく、半導体装置が必要とする発光色を得るために任意の量を使用することができる。
本発明の半導体装置に用いられる硬化性組成物には、必要に応じて接着性付与剤を添加することができる。
接着性付与剤は、例えば、本発明におけるポリシロキサン系組成物と基材との接着性を向上する目的で用いるものであり、その様な効果があるものであれば特に制限はないが、シランカップリング剤が好ましい例として例示できる。
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
本発明の半導体装置に用いられる硬化性組成物には、必要に応じて無機フィラーを添加することができる。無機フィラーを用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
無機フィラーは、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
無機フィラーは、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
無機フィラーの形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種用いることができる。無機フィラーの平均粒径や粒径分布は、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、平均粒径が0.001〜100μmであることが好ましく、さらには0.005〜70μmであることがより好ましい。同様に、BET比表面積についても、特に限定されるものでないが、ガスバリア性の観点から、70m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましく、さらに200m/g以上であることが特に好ましい。
無機フィラーの添加量は特に限定されないが、硬化性組成物100重量部に対して、0.1〜1000重量部、よりこの好ましくは、0.5〜500重量部、さらに好ましくは、1〜300重量部である。無機フィラーの添加量が多いと、流動性が悪くなる場合があり、無機フィラーの添加量が少ないと、所望の物性が得られない場合がある。
無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。無機フィラーの混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
また、本発明の半導体装置に用いられる硬化性組成物には、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明の半導体装置に用いられる硬化性組成物は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりしてもよい。
本発明の半導体装置は従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的に、例えば、受発光デバイス液晶表示装置等のバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
(ヒドロシリル価)
変性体0.200g、ジブロモエタン0.200g、重クロロホルム1.000gの混合溶液を作成した。変性体のヒドロシリル価は、得られた溶液を、バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製 400MHz NMRを用いて測定し、下記計算式(1)を用いることで算出した。
ヒドロシリル価(mol/kg)=(変性体のヒドロシリル基に帰属されるピークの積分値)/(ジブロモエタンのメチル基に帰属されるピークの積分値)×4×(混合物中のジブロモエタン重量)/(ジブロモエタンの分子量)/(混合物中の変性体重量) 計算式(1)
(アルケニル価)
変性体0.200g、ジブロモエタン0.200g、重クロロホルム1.000gの混合溶液を作成した。変性体のアルケニル価は、得られた溶液を、バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製 400MHz NMRを用いて測定し、下記計算式(2)を用いることで算出した
アルケニル価(mol/kg)=(変性体のアルケニル基に帰属されるピークの積分値)/(変性体のアルケニル基に付いているH原子の個数)/(ジブロモエタンのメチル基に帰属されるピークの積分値)×4×(混合物中のジブロモエタン重量)/(ジブロモエタンの分子量)/(混合物中の変性体重量) 計算式(2)
(製造例1)
1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン500g((α1)に相当)とトルエン1800gを均一に混ぜて、窒素雰囲気下、105℃で攪拌した。トリアリルイソシアヌレート180g((α2)に相当)、アリルグリシジルエーテル300g((α3)に相当)、トルエン350g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.1gの混合液を40分かけて滴下し、105℃で4時間反応させた。未反応成分とトルエンを減圧留去することにより1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとアリルグリシジルエーテルとトリアリルイソシアヌレートの反応物を700g(ヒドロシリル価数3.5mol/kg:(A)成分)得た。
(製造例2)
1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン626gとトルエン602g((α1)に相当)を均一に混ぜて、窒素雰囲気下、105℃で攪拌した。トリアリルイソシアヌレート90g((α2)に相当)、トルエン90g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.1gの混合液を40分かけて滴下し、105℃で4時間反応させた。未反応成分とトルエンを減圧留去することにより1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物を310g(ヒドロシリル価数8.8mol/kg:(A)成分)得た。
(製造例3)
1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン90g((α1)に相当)とトルエン40gを均一に混ぜて、窒素雰囲気下、105℃で攪拌した。ジアリルモノメチルイソシアヌレート100g((α2)に相当)、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.15gの混合液を40分かけて滴下し、105℃で4時間反応させた。未反応成分とトルエンを減圧留去することにより1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとジアリルモノメチルイソシアヌレートの反応物を120g(ヒドロシリル価数6.1mol/kg:(A)成分)得た。
(実施例1)
製造例1で得られた反応物4.64g((A)成分)に、ジアリルモノメチルイソシアヌレート2.6g((B)成分)、フェニルシルセスキオキサン単位とジメチルハイドロジェンシロキシ単位からなる化合物2.75g((C)成分)、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)4.0μL、エチニルシクロヘキサノール7.2μL、マレイン酸ジメチル0.4μLを加えて均一に撹拌混合した後、さらにThinky社製のあわとり練太郎AR−250を用いて、撹拌3分、脱泡3分、撹拌3分を順に行うことで、硬化性組成物を作成した。
別途、ジェネライツ社製20mil×40mil角 青色LEDチップ(品番:B2040CCI4 V31 P45C−31)を2個実装した、SDI社製3030リフレクター(品番:SDI4G62)を準備した。準備した未封止LEDに、SAMCO社製プラズマクリーナーを用いてArプラズマ照射を実施した(20Pa、130W、5SCCMにて10秒間照射)。得られた硬化性組成物を上記の撹拌と脱泡完了後から30分以内に、プラズマ照射から1時間以内である未封止LEDへ、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサー ML5000−XIIを用いて注入し、注入後30分以内に、対流式オーブンで80℃120分、100℃60分、150℃300分の順に昇温して硬化し、光半導体装置を得た。
(高出力での長期信頼性試験)
上記実施例で作製した光半導体装置20個を、アルミベース基板に、松尾ハンダ製鉛フリーソルダーペースト(品番:FLF01−BZ(L))を用いて、260℃リフローにて実装した。実装後の光半導体装置を、テクノローグ社製LEDエージング装置(品番:LX6136A)に接続して、恒温恒湿器(ナガノサイエンス製LH43−13M)内に入れ、85℃、相対湿度85%で、200mAの電流を通電しLED連続通電試験を行った。この時のジャンクション温度は135℃±5℃以内であった。LEDの不灯、封止剤とリフレクター界面での剥離、封止剤のクラック、の少なくとも1つが発生した場合にNGであると判断し、NG品の個数が試験実施個数の10%を超えたサイクル数を以て、当該サンプルの信頼性試験寿命(時間)と規定した。
(ガスバリア性試験)
上記実施例で作製した光半導体装置5個を、フロー式ガス腐食試験機(ファクトケイ製 KG130S)内に入れ、40℃、80%RH、硫化水素3ppmの条件下で、96時間、硫化水素暴露試験を行った。試験後の試験前に対する全光束維持率の平均値が60%以上であれば○、60%以下であれば×、とした。
(実施例2〜15、比較例1〜10)
表1に記載の配合比によって硬化性組成物を作成すること以外は、実施例1と同様の手順で試験を実施した。
Figure 2021080348
実施例及び比較例の、配合組成及び信頼性試験寿命を表1に記載した。
比較例1〜4は、(C)成分を含んでいないため、信頼性に乏しい。比較例5及び6は、T単位構造を含むシロキサン骨格を有する成分(その他―1)を含んでいるが、a及びbの値が(C)成分として規定する範囲外であり、信頼性に乏しい。比較例7に関しては、(A)成分の添加量が少ないためガスバリア性に乏しい。比較例8に関しては、(C)成分の添加量が多いためガスバリア性に乏しい。比較例9及び10に関しては、T単位構造を含まないシロキサン成分(その他成分―2または3)を添加しており、信頼性に乏しい。
表1が示すように、本発明の硬化性組成物を使用した半導体装置においては、比較例に対して、信頼性試験寿命が伸びており、高出力時における長期信頼性が改善していた。
表中で用いた略号は以下の通りである。
(B)成分
(B−1):ジアリルモノメチルイソシアヌレート
(B−2):1,5−ジビニル−1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニルトリシロキサン
(C)成分
下記に示す構成単位からなり、GPCによる数平均分子量、T単位比率、一般式(1)中のR2中のPh基の比率及びa及びbの値、が表2に示す値である化合物。
Figure 2021080348
(C−1):フェニルシルセスキオキサン単位とジメチルハイドロジェンシロキシ単位からなる化合物
(C−2):フェニルシルセスキオキサン単位とジメチルハイドロジェンシロキシ単位からなる化合物
(C−3): フェニルシルセスキオキサン単位とジメチルハイドロジェンシロキシ単位からなる化合物
(C−4):フェニルシルセスキオキサン単位とジメチルビニルシロキシ単位からなる化合物
(C−5):フェニルシルセスキオキサン単位とジメチルビニルシロキシ単位からなる化合物
(C−6): フェニルシルセスキオキサン単位とジメチルビニルシロキシ単位からなる化合物
(D)成分
(D−1):白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)
(その他成分)
(その他−1):HDP−111(ゲレスト社製 、フェニル(ジメチルハイドロジェンシロキシ)シロキサン単位とジメチルハイドロジェンシロキシ単位からなる化合物であり、GPCによる数平均分子量、T単位比率、一般式(1)中のR2中のPh基の比率及びa及びbの値が表2中に示す値である化合物)
(その他−2):ジフェニルシロキサン単位とジメチルハイドロジェンシロキシ単位からなる1分子中に2個のヒドロシリル基を有する鎖状シロキサン(ヒドロシリル価:1.64mmol/g、粘度7800mPa・s)
(その他−3):1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン
1 LEDチップ
2 リフレクター
3 ポリシロキサン系組成物の硬化物
4 リード
5 ボンディングワイヤ
6 蛍光体

Claims (9)

  1. (A)(α1)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物と、(α2)1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と、少なくとも1個の極性基を環骨格内に有する複素環骨格とを有する有機化合物とのヒドロシリル化反応物である、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物;
    (B)T単位のシロキサン構造を含まない、1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物;
    (C)1分子中に3個以上のヒドロシリル基及び/またはアルケニル基を有し、一般式(1)で示され、かつT単位構造を含む化合物;
    (D)ヒドロシリル化触媒;
    を含有し、(C)成分の含有量が(A)成分と(B)成分と(C)成分の総和を100重量%とした時に10重量%以上80重量%以下である硬化性組成物
    一般式(1):RXRYSiO(4−a−b)/2
    (式中、RXは2個以上12個以下の炭素原子を有するアルケニル基または水素原子であり、各RYは個別にメチル基またはフェニル基または炭素数が1〜10、酸素数が0〜2の有機基であり、RYの少なくとも30mol%はフェニル基であり、a及びbはa+b=1以上2以下を満たし且つa/(a+b)=0.03以上0.25以下を満たすような正の数である)
    に示される平均組成式を有するアルケニル官能性及び/またはヒドロシリル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン。
  2. (A)成分が、(α1)、(α2)に加えて、1分子中にエポキシ基又はオキセタニル基を1個とヒドロシリル基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する有機化合物(α3)とのヒドロシリル化反応物である、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記(C)成分が、(C1)1分子中に3個以上のアルケニル基を有し、構造中に含まれるT単位の割合が50%以上99%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記(C)成分が、(C2)1分子中に3個以上のヒドロシリル基を有し、構造中に含まれるT単位の割合が50%以上99%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. (B)成分が1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. (B)成分が1分子中にアルケニル基を2個以上有する鎖状シロキサンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. (B)成分が有機骨格を含む化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. (B)成分が有機成分とシロキサンの変性体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性組成物を封止剤として用いてなる半導体装置。


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