JP2021079935A - 自動車用構造部材及び自動車用中空部材の補強方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】補強による重量の増加を抑えつつ、簡便に耐衝突性能を向上させることが可能な自動車用構造部材を提供する。【解決手段】天板部10A、11Aの両側にそれぞれ側壁部10B、11B及びフランジ部10C、11Cが連続する断面ハット形状からなる2つのハット断面部材10、11を、フランジ部10C、11C同士を接合して閉断面形状を構成する中空部材と、対向する2つの側壁部10B、11Bの各外壁面にそれぞれ当接する一対の板材22と、上記一対の板材22を連結して上記一対の板材22間の距離が広がることを拘束する連結部材と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、天板部の両側にそれぞれ側壁部及びフランジ部が連続する断面ハット形状からなる2つのハット断面部材で閉断面形状を構成する自動車用の構造部材(中空部材)に係るものである。本発明は、2つの天板部の対向方向に沿った方向から入力される衝突荷重による曲げ変形に対し、特に耐衝突性能を有する構造部材を提供する技術である。
近年、自動車分野では、乗員保護の観点から衝突安全基準の厳格化が進められており、高強度鋼の適用拡大や衝突安全性能に優れる車両開発が強く求められている。
ここで、衝突の形態としては、軸圧壊する衝突形態と、曲げ変形する衝突形態とがある。軸圧壊する衝突形態では、自動車前面から入力される衝突荷重を受けるクラッシュボックスやフロントサイドメンバのように、部材の長手方向が衝突方向と一致して軸圧壊が発生する。曲げ変形する衝突形態では、側面衝突におけるBピラーやサイドシルのように、構造部材の側面に衝突荷重が負荷されて部材が曲げ変形する。両方の形態は、いずれも、部材が座屈変形することで衝突エネルギーを吸収し、耐衝突性能を発揮する。
耐衝突性能を向上させる技術の1つとして、補強部材を取り付けることで構造部材の強度を向上させる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、構造部材の内部に複数個のバルクヘッドを設けると共にバルクヘッドの間に補強材を設けることで、変形を抑制する技術が挙げられている。また、特許文献2には、構造部材の形状に沿った断面がL字状あるいはコの字状の補強部材を、構造部材の内側あるいは外側に配置することで、構造部材の稜線を中心に底板部と側壁部を補強する技術が挙げられている。更に特許文献3、4には構造部材の内側に発泡材を充填する、あるいは発砲充填した補強部材を衝突時に変形しやすい屈曲部に配置することで、変形を抑制する技術が挙げられている。
特開平9−20267号公報 WO2017−030191号公報 特開2002−36413号公報 特開2017−159896号公報
しかしながら、構造部材に対し、単純に補強部材を取り付けた場合、耐衝突性能は向上するが、部品点数の増加を招いて必要以上に重量が増加したり、金型の増加を招いたりして、コスト面の課題がある。
またこのような方法では、特に、広い領域を補強部材で補強するにつれて、重量増加が顕著となる。また耐衝突性能の観点から、構造部材や補強部材には高強度鋼板が適用される傾向にあるため、寸法精度の確保や溶接性の低下など、生産性やコスト面に課題がある。
一方で、発泡充填材による補強は、生産工程の複雑化が懸念され、リサイクル性の観点からも課題がある。また、部分的に発砲充填部材を取り付ける場合、部材取付けに接着が用いられるが、変形途中でのはく離や経年劣化などの接着性に課題があり、安定した耐衝突性能の確保が困難であると考えられる。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、補強による重量の増加を抑えつつ、簡便に耐衝突性能を向上させることが可能な自動車用構造部材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記のような課題に対して、プレス加工による補強部材の部品点数を増加させずに、簡便に耐衝突性能を向上させる構造部材について、鋭意検討した結果、以下発明をなした。
課題解決のために、本発明の一態様は、天板部の両側にそれぞれ側壁部及びフランジ部が連続する断面ハット形状からなる2つのハット断面部材における、フランジ部同士を接合して閉断面形状を構成する中空部材と、上記2つのハット断面部材のうちの少なくとも一方のハット断面部材における、対向する2つの側壁部の各外壁面にそれぞれ直接に当接する一対の板材と、上記一対の板材を連結して上記一対の板材間の距離が広がることを拘束する連結部材と、を備え、上記板材は、他の構造部材と非連結状態である、を備えることを要旨とする。
また、本発明の他の態様は、天板部の両側にそれぞれ側壁部及びフランジ部が連続する断面ハット形状からなる2つのハット断面部材におけるフランジ部同士を接合して閉断面形状を構成した自動車用中空部材の補強方法であって、軸方向両端部の少なくとも一方の端部に雄ねじ部が形成された軸部材と、上記軸部材の雄ねじ部に螺合可能なナット部材を用意し、対応する2つの側壁部に上記軸部材が貫通可能な貫通穴を開口し、その対をなす貫通穴に上記軸部材を貫通させ、側壁部から突出した上記軸部材の端部に、板材としてのワッシャ部材を取り付けると共に、ナット部材を螺合し締め付けることを要旨とする。
本発明の態様によれば、補強による重量の増加を抑えつつ、簡便に耐衝突性能を向上させることが可能な自動車用構造部材を提供することが可能となる。
すなわち、本発明の態様によれば、構造部材の対向する2つの側壁部を挟むように、側壁部の両外側に当接する一対の板材を連結部材で連結させる。これによって、本発明の態様によれば、衝突時の部材断面変形を抑制し、特に曲げ変形における最大荷重を向上させることが可能となる。
また、本発明の態様によれば、例えば、高強度化による溶接性の低下を懸念し、溶接による接合手法を回避しつつ、簡便な手法で衝突性能を向上させることが可能となる。更に、本発明の態様によれば、プレスや曲げなどの加工によって得られる補強部材を用いないため、部品点数の増加による重量増加や、金型増加によるコスト増加を避けるという効果もある。
本発明に基づく実施形態に係る中空部材を示す斜視図である。 本発明に基づく実施形態に係る中空部材の断面図である。 本実施形態における補強部材の配置を説明する図である。 本発明に基づく実施形態に係る板材を構成するワッシャ部材を示す斜視図である。 本実施形態における補強部材の別例を示す図である。 実施例における3点曲げ解析条件を説明する側面図である。 実施例における3点曲げ解析条件を説明する斜視図である。 荷重負荷のストローク(押込み量)と荷重との関係の一例を示す図である。 上側の天板部から下側の天板部に向かう方向に荷重を負荷した際の挙動を示す図である。 実施例1における天板部に負荷する荷重とストロークとの関係を示す図である。 実施例2における板材(プレート)の配置の基準を示す側面図である。 実施例3における板材(プレート)の配置条件を説明する図である。 No.5で使用するワッシャ部材(板材)を示す斜視図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、図1及び図2に示すような天板部10A、11Aの両側にそれぞれ側壁部10B、11B及びフランジ部10C、11Cが連続する断面ハット形状からなる2つのハット断面部材10、11について、フランジ部10C、11C同士を接合して閉断面形状を作成して中空部材とする。その中空部材を、補強すべき自動車用構造部材1(以下、単に構造部材1とも記載する。)とする。フランジ部10C、11C同士の接合は、例えば、スポット溶接にて行われる。
各ハット断面部材10、11はそれぞれ、天板部10A、11Aの幅方向で2つの側壁部10B、11Bが対向配置している。
本明細書では、図1及び図2に示すように、2つのハット断面部材10、11の天板部10A、11A同士が上下で対向配置させた状態の姿勢で説明する。本実施形態では、上側のハット断面部材10、11側の天板部10A、11Aに対し構造部材1側方からの衝撃が入力しやすい場合とする。
この2つのハット断面部材10、11は、同じ寸法である必要はない。例えば、上側のハット断面部材10の高さに比べて、下側のハット断面部材11の高さの方が低くても構わない。2つのハット断面部材10、11の高さ比は、例えば高さが大きい方のハット断面部材10、11と高さが低い方のハット断面部材10、11の比が、1:1〜1:0.5とする。すなわち、2つのハット断面部材の高さが異なる場合、高さが低い方のハット断面部材の高さが、高さが大きい方のハット断面部材の高さよりも低く、且つ高さが大きい方のハット断面部材の高さの0.5倍以上の高さとするとよい。ハット断面部材10、11の高さとは、フランジ部10C、11Cから天板部10A、11Aまでの高さを指す。また、本実施形態では、各ハット断面部材10、11において、左右の側壁部10B、11Bの高さが実質、等しいとする。左右の側壁部10B、11Bの高さが等しいとは、左右の側壁部10B、11B間の高さの差が、10mm以内である場合とする。側壁部10B、11Bは、上下の天板部10A、11Aの対向方向に対し若干、傾斜しているため、ハット断面部材10、11の高さに対し、側壁部10B、11Bの高さ方向の長さが若干長いが、ほぼ同義として考えて良い。
なお、各天板部10A、11Aや側壁部10B、11Bに、長手方向に向けて延びる1又は2以上のビードが形成されていても良い。長手方向に延びるビードを設けることで、自動車用構造部材1は、中空部材の長手方向に沿った方向への荷重入力に対する強度が向上する。
また、図1その他の図面には、実施例における部材の寸法を併記しているが、この寸法は、本発明を何ら限定するものではない。
本実施形態では、上記のような形状の構造部材1に対し補強部材を設けることで、特に、曲げ変形する衝突形態について、構造部材1の耐衝突性能を向上させる。
本実施形態の補強部材は、図3のように、一対の板材22と、その一対の板材22を連結する連結部材とを有する。
一対の板材22は、対向する2つの側壁部10B、11Bの各外壁面にそれぞれ直接に当接する。すなわち、一対の板材22は、対向する2つの側壁部10B、11Bを挟んで対向配置している。図3では、下側のハット断面部材11を構成する2つの側壁部11Bの外壁面に各板材22が当接した場合の例である。
ここで、各板材22は、他の構造部材と非連結状態である。すなわち、各板材22は、本実施形態の自動車用構造部材1だけに連結しており、当該自動車用構造部材1を他の構造部材に連結する役割を有しない。すなわち、各板材22は、自動車用構造部材1以外の構造部材との関係ではフリーな状態となっている。軸部材20及びナット部材21も、同様である。
連結部材は、一対の板材22を連結して一対の板材22間の距離が広がることを拘束する。連結部材が、対向する2つの側壁部10B、11Bに当接する一対の板材22間の距離を拘束することで、天板部10A、11Aへの衝突荷重の入力に対し、対向する2つの側壁部10B、11Bの面外方向への膨らみ(座屈)を抑制する。すなわち、本実施形態の補強部材を用いることで、衝突時の部材断面変形を効果的に抑制し、特に曲げ変形における最大荷重を向上させることが可能となる。なお、補強部材で一方のハット断面部材11の対向する2つ側壁部11Bの面外方向への膨らみ(座屈)を抑制することで、他方のハット断面部材10の対向する2つ側壁部10Bの面外方向への膨らみ(座屈)も抑制される。
本実施形態の連結部材は、図3に示すように、軸部材20(ネジ棒)と2個のナット部材21とからなり、一対の板材22は、それぞれワッシャ部材から構成される。
軸部材20は、対向する2つ側壁部11B間の距離よりも長く、軸方向両端部にそれぞれ雄ねじ部が形成されている。雄ねじ部は、例えば側壁部10B、11Bよりも内側の位置から先端20aに向けて形成されている。
ここで、板材22は、側壁部11Bの外面に当接する面積が、板材22に当接するナット部材21の面積よりも大きい方が好ましい。また、ナット部材21の面が大きい場合には、ナット部材21自体を板材22の代わりとしても良い。
また、対向する2つ側壁部11Bに、軸部材20を貫通可能な貫通穴が同軸に開口している。
そして、軸部材20は、対向する2つ側壁部11Bに開口した貫通穴にそれぞれ端部を貫通させるように配置される。なお、軸部材20は、例えば、一方の側壁部11B側の貫通穴から通すことで簡単に取り付けることができる。
そして、各側壁部11Bから外方に突出した各軸部材20の端部(雄ねじ部)に対し、ワッシャ部材が取り付けられていると共に、ナット部材21が螺合している。そして、ナット部材21を締め付けることで、各板材22を構成するワッシャ部材は側壁部11Bの外面に当接する。ナット部材21からはみ出す軸部材20の端部の部分は、予め切断、若しくはナット部材21を締め込んだ後に切断してもよい。
ワッシャ部材における側壁部11Bに対向する面は、当該側壁部11Bに全面が接触するように構成する。このため、図4に示すように、天板部11Aに対する側壁部11Bの傾き角に応じた傾斜角(図4では傾斜角=95度)を、ワッシャ部材の側壁部11Bと対向する面に付与する。なお、側壁部が平行に配置される場合は一対の板材22を除いて、ナット部材21のみで側壁部11Bを挟み込むことが可能であることは言うまでもない。
上記説明では、軸部材20の両端部に、それぞれワッシャ部材とナット部材21を取付け、ナット部材21を締め込む構成で説明したが、補強部材の構成はこれに限定されない。
例えば、軸部材20を長軸のボルトから構成して、ボルトの頭を、一方のナット部材21(又は板材22)の代わりとしても良い。
また、図5に示すように、軸部材20の一端部に片方のワッシャ部材と同形状の板材22が予め固定されている軸部材20を使用しても良い。また、左右のナット部材21のうちの一方のナット部材21が、ワッシャ部材に固定又は一体に形成されていても良い。
図3に示す例は、補強部材を下側のハット断面部材11に対し設けた例である。補強部材は、上側のハット断面部材10に設けても良いし、上下のハット断面部材10、11にそれぞれ設けても良い。
また、図3では、構造部材1の長手方向(延在方向)の一カ所だけに上記構成の補強部材を設ける場合が例示されているが、これに限定されない。構造部材1の長手方向や高さ方向に沿って、側壁部10B、11Bにおける複数の箇所に、上記構成の補強部材を取り付けても良い。
なお、軸部材20は、天板部10A、11Aの幅方向に軸を向けて配置されるが、平面視で、構造部材1の長手方向と直交していなくても良い。補強部材は、構造部材1の長手方向と交差する方向(例えば垂直方向)で、衝突荷重が負荷される可能性が高いと推定される位置の近傍に設けることが好ましい。
また、ハット断面部材10、11の高さに関係なく、一対の板材22(ワッシャ部材)を設ける位置は、側壁部10B、11Bにおけるフランジ部10C、11Cとの境界位置から天板部10A、11Aの方向に向けて20mm以内の側壁部10B、11B領域に、板材22の少なくとも一部が入るように当該板材22を配置することが好ましい。
後述のように、2つのハット断面部材10、11の合わせ部側に補強部材を設けた方が、より効果的に補強できるからである。
また、ハット断面部材10、11の高さ方向の高さも考慮した場合、一対の板材22(ワッシャ部材)を設ける位置は、側壁部10B、11Bにおける上記フランジ部10C、11Cとの境界位置から、当該境界位置と上記天板部10A、11Aとの境界位置との間の長さ(ハット断面部材10、11の高さに相当)の50%以内、好ましくは40%以内の側壁部10B、11B領域に、上記板材22の少なくとも一部が入るように当該板材22を配置することが好ましい。
ハット断面部材10、11の高さが高い場合には、20mmよりも広い領域に側壁部10B、11B領域を設定しても、補強部材を設けることによる補強が効果的に奏するからである。
また、一対の板材22(ワッシャ部材)を設ける位置は、例えば、2つの天板部10A、11Aが対向する方向に沿って衝突荷重が負荷される可能性が高いと推定される側の天板部10A、11Aにおける面位置と、対向する2つ側壁部10B、11Bの対向方向からみて、板材22の一部が上下(2つの天板部10A、11Aの対向方向)で重なるような位置に配置する。
又は、一対の板材22を設ける位置は、例えば、2つの天板部10A、11Aの対向方向に向かう衝突荷重が負荷される可能性が高いと推定される天板部10A、11Aにおける面位置に、予め設定した衝突荷重を負荷した際に側壁部10B、11Bが変形する変形領域に、板材22の中心位置(軸部材20の位置)が位置するように配置する。
衝突荷重が負荷される可能性が高いと推定される天板部10Aにおける面位置は、例えば、その構造部材1を配置する車両位置に基づき、過去の事故情報などから、車両の側面衝突によって、対象とする構造部材1のどの部分に衝突荷重が入力され易いかよって推定する。
また、変形領域の特定は、例えば、FEM解析によって、部材の変形位置を解析して求める。予め設定した衝突荷重は、構造部材1を使用する位置で耐衝突性能として要求される許容の衝突荷重を採用する。
上記の補強部材を備えた構造部材1にあっては、対向する2つ側壁部11Bに当接する一対の板材22を連結部材で連結させることで、2つの天板部10A、11Aの対向方向に入力される衝突荷重による対向する2つ側壁部10B、11Bの外方への膨らみ(座屈)を、連結部材での軸方向に沿った引張力で抑える。このため、少ない重量の補強部材で衝突時の変形を抑制することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、衝突時の部材断面変形を効果的に抑制し、特に曲げ変形における最大荷重を向上させることが可能となる。
すなわち、軸部材20は引張力を受ける部材であるので、その分、補強部材の軽量化が可能である。
また本実施形態によれば、軸部材20(ネジ棒)にナット部材21を螺合させることで補強部材を構成する一対の板材22が構造部材1に取り付けられる。このため、構造部材1への補強部材の取付けに溶接作業が不要となる。この結果、本実施形態によれば、構造部材1の高強度化による溶接性の低下を懸念し、溶接による接合手法を回避しつつ、螺合という簡便な取付け方法で耐衝突性能を向上させることが可能となる。
例えば、構造部材1を作製後に、簡易に、補強部材で補強を行うことが可能となる。
なお、軸部材20の端部に対し各板材22を溶接にて固定しても良いが、螺合による取付けの方が簡易な構造となる。
更に、本実施形態によれば、プレスや曲げなどの加工によって補強部材を設けないため、部品点数の増加による重量増加や、金型の増加によるコスト増加を避けるという効果もある。
ここで、相対的に下側のハット断面部材11の後方位置に、保護したい部品が存在する場合には、上側のハット断面部材10で出来るだけ衝突エネルギーを吸収し、下側のハット断面部材11での保護したい部品側への変形を抑えることが好ましい。このために、補強部材を下側のハット断面部材11に設けると共に、相対的に上側のハット断面部材10の剛性を、下側のハット断面部材11の剛性よりも低く設定しても良い。
例えば、ハット断面部材10に変形を誘起する凹凸形状を付与する、あるいはハット断面部材10に対して、ハット断面部材11の板厚を厚くする、材料強度を高める、断面を大きくするなどのように設定をしても良い。
また、上記の一対の板材22は、2つのハット断面部材10,11のうちの一方又は両方向に設けても良い。例えば、2つのハット断面部材10,11の高さが異なる場合に、一対の板材22を、高さが高い方のハット断面部材に設けても良いし、高さが低い方のハット断面部材に設けても良いし、両方のハット断面部材10,11に設けても良い。また、1つのハット断面部材に対し、複数対の板材22を設けても良い。
発明者らは、FEM解析により、図1及び図2に示すような形状を有する合わせハット断面部材10、11からなる中空部材を用いて、3点曲げ試験での部品変形挙動を詳細に解析した。3点曲げ試験条件を図6、図7に示す。すなわち、3点曲げの解析条件は、構造部材1における長手方向に離れた下面の2点を支持部材31で支持し、長手方向中央部に上側からパンチ30によって荷重を負荷するという条件である。
上下のハット断面部材10、11には、厚さ1.2mm、引張強度1180MPaの鋼板を使用した。
このときの荷重とストロークの関係は、図8示すような関係であり、ストローク量:38mm前後で最大荷重となっていた。
また、衝突時の挙動を見てみると、図9に示すように、パンチ30のストロークの増加に伴い、部材長手方向の中央部であるパンチ30の接触部で変形が開始し、衝突荷重が増加する。荷重増加に伴い断面の変形が進行していき、最大荷重を超えると断面の座屈が顕著となっている。この検討により、発明者らは、耐衝突性能、特に最大荷重を向上させるためには、側壁部10B、11Bの開きによる断面形状の変化を抑制することが有効であることを見出した。なお断面の変化は、2つのハット断面部材10,11の合わせ面の位置で大きく開くことが分かり、当該合わせ面近傍の断面拘束が特に有効であることが判明した。
また、荷重が入力される上側のハット断面部材10、11では、荷重が負荷された部分が凹みながら潰れるように変形し、下側のハット断面部材10、11では、対向する側壁の上部が開くように変形していた。
この検討により、発明者らは、耐衝突性能、特に最大荷重を向上させるためには、2つのハット断面部材10、11の合わせ面近傍、つまり、フランジ部10C、11C近傍の位置で、対向する2つの側壁部10B、11Bの開き(外方への膨らみ)による断面形状の変化を抑制することが有効であることを見出した。更に、側壁部10B、11Bの開きを抑え、断面形状を保つ手法として、一般に流通し安価に入手可能なボルトとナット部材を活用する手法を見出した。断面変形を抑制する手法として、プレスや曲げなどの加工を要する補強部材を取り付ける方法も挙げられるが、この場合、部品点数や金型の増加などコスト面での課題があり、また補強部材を取り付ける手段として、溶接性を考慮する必要がある。一方、ボルトとナットを使用した場合、溶接性の低下を考慮した簡便な性能向上手法となる。
以下、各実施例について具体的に説明する。
[実施例1]
実施例1では、荷重位置の下方位置における、下側のハット断面部材10、11に対して、図3のように補強部材を設けた、補強部材を構成するネジ棒及びナット部材21には、M6のSS400からなる鋼材を使用した。板材22には、SS400からなる鋼材をした。板材22の寸法は、図4のように、側壁部10B、11Bよりも厚い板材22とした。板材22は、側壁部10B、11Bよりも曲げ剛性が高くなるように設定することが好ましい。
そして、補強部材を設けた本発明例(No.1)と、補強部材を設けない比較例(No.2)について、荷重−ストロークの関係を求めた。その結果を、表1及び図10に示す。
Figure 2021079935
図10中、符号Dは、補強部材を設けた場合であり、符号Eは補強部材を設けない場合である。
表1から分かるように、本発明に基づく補強部材を設けない場合には、最大荷重は28.9[kN]であったが、本発明に基づく補強部材を設けた場合には、最大荷重が38.5[kN]と向上していることが分かった。また、実施例1の方が、荷重がピークとなるストローク量も増加したことが分かった。すなわち、吸収エネルギーが増大することが分かった。
[実施例2]
次に、パンチ30による荷重負荷位置と板材22の取付け位置(板材22の中心位置(軸部材20の軸位置))を、表2のように変更して、最大荷重を求めてみた。求めた最大荷重についても表1に併せて示す。
表1中、No.1が上記の実施例1に対応する。
Figure 2021079935
ここで、荷重方向をy軸として、図11のようなx−y座標軸を設定し、y=0の位置が、上下のハット断面部材10、11の合わせ位置となる。
表2から分かるように、側面視で、荷重負荷の近傍に板材22を設けることで、比較例に比べ最大荷重が向上していることが分かる。また、No.1〜No.5から分かるように、上下のハット断面部材10、11の合わせ面位置近傍(両フランジ部近傍)の方が、最大荷重が高かった。また、No.6、7のように、荷重が負荷された位置から100mm長手方向に変位した位置に補強部材を設けても、No.1と同等の補強がなされていることが分かった。
これから、合わせ面中央から、上下左右用に20mm以内の側壁部10B、11B領域、好ましくは15mm以内の側壁部10B、11B領域に板材22の一部が位置するように設定することで、補強部材による補強が有意に有効であることが分かった。
なお、このことは、ハット断面部材の高さを100mmにした場合であっても有効であったことを確認している。
[実施例3]
更に、図12のように補強部材を2つ設けた場合(No.3、4)、及びボルトと板材22の大きさを変更した場合(No.5)について、最大荷重を求めてみた。No.7は、各ハット断面部材において、左右の側壁部10B、11B間の高さの差が10mmとした場合である。また、No.6は、板材22の幅(図11のx軸方向)をNo.1よりも広くした場合である。
板材22の条件及び最大荷重を表3に示す。
また、No.5の板材22を図13に示す。
なお、表3中のNo.1、2は表2のNo.1,2と対応する。
Figure 2021079935
表3から分かるように、補強部材を複数設けた場合(No.3、4)、ボルトと板材を大きくした場合(No.5、7)、あるいは板材のみ大きくした場合(No.6)などでも、同様に断面を拘束することで、No.2よりも衝突時の荷重が大きくなる効果が得られることが分かった。
特にパンチにより衝撃が加えられる箇所の近傍の断面変形を拘束するNo.3、5、7は衝突時の荷重が増加することが分かった。
1 自動車用構造部材
10、11 ハット断面部材
10A、11A天板部
10B、11B側壁部
10C、11Cフランジ部
20 軸部材(連結部材)
21 ナット部材(連結部材)
22 板材

Claims (7)

  1. 天板部の両側にそれぞれ側壁部及びフランジ部が連続する断面ハット形状からなる2つのハット断面部材における、フランジ部同士を接合して閉断面形状を構成する中空部材と、
    上記2つのハット断面部材のうちの少なくとも一方のハット断面部材における、対向する2つの側壁部の各外壁面にそれぞれ直接に当接する一対の板材と、
    上記一対の板材を連結して上記一対の板材間の距離が広がることを拘束する連結部材と、
    を備え、
    上記板材は、他の構造部材と非連結状態である、
    ことを特徴とする自動車用構造部材。
  2. 上記2つのハット断面部材は、他方のハット断面部材の高さが、一方のハット断面部材の高さよりも低く、且つ一方のハット断面部材の高さの0.5倍以上の高さである、請求項1に記載した自動車用構造部材。
  3. 上記一対の板材は、少なくとも上記他方のハット断面部材の対向する2つの側壁部の外面に設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載した自動車用構造部材。
  4. 上記連結部材は、上記天板部の幅方向に延在して上記対向する2つの側壁部及び上記一対の板材を貫通すると共に軸方向端部に雄ねじ部が形成された軸部材と、上記軸部材の雄ねじ部に螺合し上記側壁部の外壁面に上記板材を挟んで対向するナット部材と、からなり、上記板材は、ワッシャ部材である、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した自動車用構造部材。
  5. 上記連結部材は、一端部が上記一対の板材のうちの一方の板材と一体に構成され、上記天板部の幅方向に延在して上記対向する2つの側壁部及び上記一対の板材のうちの他方の板材を貫通すると共に上記他方の板材側の軸方向端部に雄ねじ部が形成された軸部材と、上記軸部材の雄ねじ部に螺合し上記側壁部に外壁面に上記他方の板材を挟んで対向するナット部材と、からなり、上記板材はワッシャ部材である、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した自動車用構造部材。
  6. 上記側壁部における上記フランジ部との境界位置から、上記フランジ部との境界位置から上記天板部との境界位置までの長さの50%以内の範囲の側壁部領域に、上記板材の少なくとも一部が入るように当該板材を配置することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した自動車用構造部材。
  7. 天板部の両側にそれぞれ側壁部及びフランジ部が連続する断面ハット形状からなる2つのハット断面部材におけるフランジ部同士を接合して閉断面形状を構成した自動車用中空部材の補強方法であって、
    軸方向両端部の少なくとも一方の端部に雄ねじ部が形成された軸部材と、上記軸部材の雄ねじ部に螺合可能なナット部材を用意し、対応する2つの側壁部に上記軸部材が貫通可能な貫通穴を開口し、その対をなす貫通穴に上記軸部材を貫通させ、側壁部から突出した上記軸部材の端部に対し、板材としてのワッシャ部材を取り付けると共に、ナット部材を螺合し締め付けることを特徴とする自動車用中空部材の補強方法。
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