JP2021076790A - 色変換フィルム、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明 - Google Patents

色変換フィルム、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明 Download PDF

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Abstract

【課題】ディスプレイの周縁部において色変換された光の取り出し効率を向上させることができることができる色変換フィルムを提供すること。【解決手段】入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換フィルムであって、前記色変換フィルムの中央部のヘイズが40%以上、95%以下であり、かつ前記色変換フィルムの周縁部の少なくとも一部が、前記色変換フィルム中央部のヘイズよりも高い高ヘイズ部であることを特徴とする色変換フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、色変換フィルム、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明に関する。
色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明などへ応用する検討が盛んである。色変換とは、発光体からの発光をより長波長な光へと変換することであり、たとえば青色発光を緑色や赤色発光へと変換することを表す。
この色変換機能を有する組成物をフィルム化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を得ること、すなわち白色光を得ることが可能となる。このような青色光源と色変換機能を有する色変換フィルムを組み合わせた白色光源をバックライトユニットとし、液晶駆動部分と、カラーフィルターとを組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また液晶駆動部分が無ければ、そのまま白色光源として用いることができ、たとえばLED照明などの白色光源として応用できる。
色変換方式を利用する液晶ディスプレイの課題として、バックライト装置の発光領域の周縁部において、光源から発せられた光の色味がバックライトの中央部よりも強く現れてしまうという問題がある。この現象は、色変換材料に有機発光材料を用いた場合により顕著に表れる。
これを解決する手段として、色変換フィルムのディスプレイの周縁部に位置する部分において単位面積当たりの色変換材料の含有量を多くする技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2018−195583号
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、ディスプレイの周縁部において色変換材料の含有量を多くするため蛍光体の凝集により輝度が低下するという問題があった。
上述した課題を解決するために、本発明に係る色変換フィルムは、入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換フィルムであって、前記色変換フィルムの中央部のヘイズが40%以上、95%以下であり、かつ前記色変換フィルムの周縁部の少なくとも一部が、前記色変換フィルム中央部のヘイズよりも高い高ヘイズ部であることを特徴とする色変換フィルムである。
本発明に係る色変換フィルムを用いた光源ユニットは、色変換フィルムの少なくとも一部の周縁部のヘイズが色変換フィルムの中央部分のヘイズよりも高いため、ディスプレイの周縁部において色変換された光の取り出し効率を向上させることができる。その結果、当該光源ユニットを用いたディスプレイは、その周縁部において光源から発せられた光の色味が際立つ、つまり青みがかった色となることを抑制することができる。
本発明の色変換フィルムの一例を示す模式断面図。 本発明の色変換フィルムの一例を示す模式断面図。 本発明の色変換フィルムの一例を示す模式断面図。 本発明の色変換フィルムの一例を示す模式断面図。 本発明の色変換フィルムの一例を示す模式上面図。 本発明の色変換フィルムを含む光源ユニットの一例を示す模式断面図。 本発明の色変換フィルムの一例を示す模式上面図。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
本発明に係る色変換フィルムは、入射光をその入射光よりも長波長の光に変換する色変換フィルムであって、色変換フィルムの中央部のヘイズが40%以上、95%以下であり、かつ前記色変換フィルムの周縁部の少なくとも一部が、前記色変換フィルム中央部のヘイズよりも高い高ヘイズ部であることを特徴とする色変換フィルムである。
図1は本発明に係る色変換フィルムの一例を示す模式断面図である。色変換フィルム1は色変換層2、およびヘイズ調整部3を含む。また、色変換フィルム1において、ヘイズが高い部分である高ヘイズ部31を含む。
ヘイズ調整部3は色変換フィルムの周縁部の少なくとも一部に配置されるものである。本発明の好ましい形態の一つは図2のように基材4をさらに含むものである。図2には色変換層2/基材4/ヘイズ調整部3の順に積層された一例を示したが、ヘイズ調整部3/色変換層2/基材4の順であってもよい。また、好ましい形態の一つとして図3および図4に示すように色変換層2の両面に基材4または光取り出し部材5を有する形態であってもよい。この時ヘイズ調整部3は基材側に配置されてもよく、光取り出し部材側に配置されていてもよい。
色変換層は少なくとも色変換材料と樹脂を含む層である。本発明の色変換フィルムの色変換層の製造方法の一例を説明する。後述の色変換組成物を基材上に塗布し、乾燥させることで製造することができる。塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等により行うことができる。色変換層の膜厚均一性を得るためにはスリットダイコーターやディップコーターで塗布することが好ましい。
色変換層の乾燥は熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置を用いて行うことができる。色変換組成物が硬化性樹脂の場合、加熱による硬化のほかに光による硬化も有効である。色変換フィルムの加熱には、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置が用いられる。この場合、加熱条件は、通常、40〜250℃で1分〜5時間、好ましくは60℃〜200℃で2分〜4時間である。また、ステップキュア等の段階的に加熱硬化することも可能である。光硬化の場合、用いられる光源としてはハロゲンランプ、高圧水銀ランプ、LEDなどがある。
色変換層を作製した後、必要に応じて基材を変更することも可能である。この場合、簡易な方法としてはホットプレートを用いて貼り替えを行なう方法や、真空ラミネーターやドライフィルムラミネーターを用いた方法などが挙げられるが、これらに限定されない。
色変換層の厚みは特に制限はないが、1〜1000μmであることが好ましく、10〜1000μmがより好ましい。1μmより小さいと、フィルムの強靭性が小さくなるという問題がある。1000μmを超えると、クラックが生じやすくなり、色変換フィルム成型が難しい。より好ましくは、10〜100μmであり、さらに好ましくは15〜100μmであり、特に好ましくは30〜100μmである。
<色変換組成物の製造方法>
以下に、本発明に用いることができる色変換組成物の製造方法の一例を説明する。前述した発光材料、樹脂、溶剤等を所定量混合する。上記の成分を所定の組成になるよう混合した後、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等の撹拌・混練機で均質に混合分散することで、色変換組成物が得られる。混合分散後、もしくは混合分散の過程で、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。また、ある特定の成分を事前に混合することや、エージング等の処理をしても構わない。エバポレーターによって溶剤を除去して所望の固形分濃度にすることも可能である。
色変換組成物に含まれる溶媒は、流動状態の樹脂の粘度を調整でき、発光物質の発光および耐久性に過度な影響を与えないものであれば、特に限定されない。例えば、水、2−プロパノール、エタノール、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、テルピネオール、テキサノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、これらの溶媒を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの溶媒の中で特にトルエンは、乾燥後の残存溶媒が少ない点で好適に用いられる。
<色変換材料>
本発明における発光材料とは、何らかの光が照射されたときに、その光とは異なる波長の光を発する材料のことをいう。ディスプレイ用途においては輝度効率の観点から、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることにより500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料と、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料を組み合わせて使用することが好ましい。
高効率な色変換を達成するためには、色変換層に量子収率の高い発光特性を示す材料が含まれることが好ましい。無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料が挙げられるが、中でも、有機発光材料が好ましい。
有機発光材料は光源の発光を効率よく吸収することができるため、色変換層に利用した際に高効率化が可能となる。有機発光材料としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体;
フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン等のヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体;
ボラン誘導体;
1,4−ジスチリルベンゼン、4,4’−ビス(2−(4−ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(スチルベン−4−イル)−N−フェニルアミノ)スチルベン等のスチルベン誘導体;
芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体;
クマリン6、クマリン7、クマリン153などのクマリン誘導体;
イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体;
インドシアニングリーン等のシアニン系化合物;
フルオレセイン・エオシン・ローダミン等のキサンテン系化合物やチオキサンテン系化合物;
ポリフェニレン系化合物、ナフタルイミド誘導体、フタロシアニン誘導体およびその金属錯体、ポルフィリン誘導体およびその金属錯体;
ナイルレッドやナイルブルー等のオキサジン系化合物;
ヘリセン系化合物;
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン等の芳香族アミン誘導体;および
イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)等の有機金属錯体化合物;
等が好適なものとして挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
有機発光材料は、蛍光発光材料であっても、リン光発光材料であっても良いが、高い色純度を達成するためには、蛍光発光材料が好ましい。
これらの中でも、熱的安定性および光安定性が高いことから、縮合アリール環を有する化合物やその誘導体を好適に用いることができる。
また、溶解性や分子構造の多様性の観点からは、配位結合を有する化合物が好ましい。半値幅が小さく、高効率な発光が可能である点で、フッ化ホウ素錯体などのホウ素を含有する化合物も好ましい。
中でも、高い蛍光量子収率を与え、耐久性が良好である点で、ピロメテン誘導体を好適に用いることができる。より好ましくは、一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2021076790
XはC−RまたはNである。R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。
上記の全ての基において、水素は重水素であってもよい。このことは、以下に説明する化合物またはその部分構造においても同様である。また、以下の説明において、例えば、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基とは、アリール基に置換した置換基に含まれる炭素数も含めて全ての炭素数が6〜40となるアリール基である。炭素数を規定している他の置換基も、これと同様である。
また、上記の全ての基において、置換される場合における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとする具体的な置換基が好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子または重水素原子が置換したことを意味する。以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、上記と同様である。
上記の全ての基のうち、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミド等の炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基等の二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等の二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基等の三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基等、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基における芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基等の芳香族炭化水素基を示す。中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基が好ましい。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは6以上40以下、より好ましくは6以上30以下の範囲である。
〜Rが置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基であり、フェニル基が特に好ましい。
それぞれの置換基がさらにアリール基で置換される場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。特に好ましくは、フェニル基である。
ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基等の、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5−ナフチリジニル基、1,6−ナフチリジニル基、1,7−ナフチリジニル基、1,8−ナフチリジニル基、2,6−ナフチリジニル基、2,7−ナフチリジニル基のいずれかを示す。ヘテロアリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上40以下、より好ましくは2以上30以下の範囲である。
1〜R9が置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
それぞれの置換基がさらにヘテロアリール基で置換される場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を示す。また、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられ、これら置換基は、さらに置換されてもよい。
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基等が挙げられる。アリール基、ヘテロアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリニル基が好ましい。これら置換基は、さらに置換されてもよい。炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上50以下、より好ましくは6以上40以下、特に好ましくは6以上30以下の範囲である。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基等のアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基等のアリールシリル基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。シリル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
シロキサニル基とは、例えば、トリメチルシロキサニル基等のエーテル結合を介したケイ素化合物基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。また、ボリル基とは、置換もしくは無置換のボリル基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。中でも、アリール基、アリールエーテル基が好ましい。また、スルホ基とは、置換もしくは無置換のスルホ基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基等が挙げられる。中でも、直鎖アルキル基、アリール基が好ましい。また、ホスフィンオキシド基とは、−P(=O)R1011で表される基である。R1011は、R〜Rと同様の群から選ばれる。
隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環とは、任意の隣接する2置換基(例えば一般式(1)のRとR)が互いに結合して、共役または非共役の環状骨格を形成することをいう。このような縮合環および脂肪族環の構成元素としては、炭素以外にも、窒素、酸素、硫黄、リンおよびケイ素から選ばれる元素を含んでいてもよい。また、これらの縮合環および脂肪族環は、さらに別の環と縮合してもよい。
一般式(1)で表される化合物は、高い発光量子収率を示し、かつ、発光スペクトルの半値幅が小さいため、効率的な色変換と高い色純度との双方を達成することができる。さらに、一般式(1)で表される化合物は、適切な置換基を適切な位置に導入することで、発光効率、色純度、熱的安定性、光安定性および分散性等の様々な特性や物性を調整することができる。例えば、R、R、RおよびRが全て水素である場合に比べ、R、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基や置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合の方が、より良い熱的安定性および光安定性を示す。
、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基である場合、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基といった炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。さらに、このアルキル基としては、熱的安定性に優れるという観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。また、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させるという観点では、このアルキル基として、立体的にかさ高いtert−ブチル基がより好ましい。また、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、このアルキル基として、メチル基も好ましく用いられる。
、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基が好ましく、さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基である。特に好ましくは、フェニル基である。
、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、キノリニル基、チエニル基が好ましく、さらに好ましくは、ピリジル基、キノリニル基である。特に好ましくは、ピリジル基である。
、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である場合、バインダー樹脂や溶媒への溶解性が良好なため、好ましい。この場合、アルキル基としては、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、メチル基が好ましい。
、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、より良い熱的安定性および光安定性を示すため、好ましい。この場合、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基であることがより好ましい。
複数の性質を向上させる置換基もあるが、全てにおいて十分な性能を示す置換基は限られている。特に、高発光効率と高色純度との両立が難しい。そのため、一般式(1)で表される化合物に対して複数種類の置換基を導入することで、発光特性や色純度等にバランスの取れた化合物を得ることが可能である。
特に、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基の場合、例えば、R≠R、R≠R、R≠RまたはR≠R等のように、複数種類の置換基を導入することが好ましい。ここで「≠」は、異なる構造の基であることを示す。例えば、R≠Rは、R1とR4とが異なる構造の基であることを示す。上記のように複数種類の置換基を導入することにより、色純度に影響を与えるアリール基と発光効率に影響を与えるアリール基とを同時に導入することができるため、細やかな調節が可能となる。
中でも、R≠RまたはR≠Rであることが、発光効率と色純度をバランスよく向上させるという観点から、好ましい。この場合、一般式(1)で表される化合物に対して、色純度に影響を与えるアリール基を両側のピロール環にそれぞれ1つ以上導入し、それ以外の位置に発光効率に影響を与えるアリール基を導入することができるため、これら両方の性質を最大限に向上させることができる。また、R≠RまたはR≠Rである場合、耐熱性と色純度との双方を向上させるという観点から、R=RおよびR=Rであることがより好ましい。
主に色純度に影響を与えるアリール基としては、電子供与性基で置換されたアリール基が好ましい。電子供与性基とは、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団に、電子を供与する原子団である。電子供与性基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、負の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II−380頁)から引用することができる。
電子供与性基の具体例としては、例えば、アルキル基(メチル基のσp:−0.17)やアルコキシ基(メトキシ基のσp:−0.27)、アミノ基(―NHのσp:−0.66)等が挙げられる。特に、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert−ブチル基、メトキシ基が特に好ましく、これらを上記の電子供与性基とした場合、一般式(1)で表される化合物において、分子同士の凝集による消光を防ぐことができる。置換基の置換位置は、特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物の光安定性を高めるには結合のねじれを抑える必要があるため、ピロメテン骨格との結合位置に対してメタ位またはパラ位に結合させることが好ましい。一方、主に発光効率に影響を与えるアリール基としては、tert−ブチル基、アダマンチル基、メトキシ基等のかさ高い置換基を有するアリール基が好ましい。
、R、RおよびRが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基である場合、R、R、RおよびRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基であることが好ましい。このとき、R、R、RおよびRは、それぞれ以下のAr−1〜Ar−6から選ばれることがより好ましい。この場合、R、R、RおよびRの組み合わせは特に制限はない。
Figure 2021076790
およびRは、水素、アルキル基、カルボニル基、エステル基、アリール基のいずれかであることが好ましい。中でも、熱的安定性の観点から、水素またはアルキル基が好ましく、発光スペクトルにおいて狭い半値幅を得やすいという観点から、水素がより好ましい。
およびRは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールエーテル基、フッ素、含フッ素アルキル基、含フッ素ヘテロアリール基または含フッ素アリール基、含フッ素アルコキシ基、含フッ素アリールエーテル基、シアノ基が好ましく、励起光に対して安定でより高い蛍光量子収率が得られることから、フッ素、シアノ基または含フッ素アリール基であることがより好ましい。合成の容易さから、フッ素またはシアノ基であることがさらに好ましい。さらに、RもしくはRのいずれか一つはシアノ基であることが好ましい。シアノ基を導入することで耐久性が向上する。
ここで、含フッ素アリール基とは、フッ素を含むアリール基であり、例えば、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基およびペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。含フッ素ヘテロアリール基とは、フッ素を含むヘテロアリール基であり、例えば、フルオロピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基およびトリフルオロピリジル基等が挙げられる。含フッ素アルキル基とは、フッ素を含むアルキル基であり、例えば、トリフルオロメチル基やペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
また、一般式(1)において、Xは、C−Rであることが、光安定性の観点から好ましい。XがC−Rであるとき、一般式(1)で表される化合物の耐久性、すなわち、この化合物の発光強度の経時的な低下には、置換基Rが大きく影響する。具体的には、Rが水素である場合、この部位の反応性が高いため、この部位と空気中の水分や酸素とが容易に反応してしまう。このことは、一般式(1)で表される化合物の分解を引き起こす。また、Rが例えばアルキル基のような分子鎖の運動の自由度が大きい置換基である場合は、確かに反応性は低下するが、色変換層中で化合物同士が経時的に凝集し、結果的に濃度消光による発光強度の低下を招く。したがって、Rは、剛直で、かつ運動の自由度が小さく凝集を引き起こしにくい基であることが好ましく、具体的には、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基のいずれかであることが好ましい。
より高い蛍光量子収率を与え、より熱分解しづらい点、また光安定性の観点から、XがC−Rであり、Rが置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。アリール基としては、発光波長を損なわないという観点から、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましい。
さらに、一般式(1)で表される化合物の光安定性を高めるには、Rとピロメテン骨格の炭素−炭素結合のねじれを適度に抑える必要がある。何故ならば、過度にねじれが大きいと、励起光に対する反応性が高まる等、光安定性が低下するからである。このような観点から、Rとしては、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基が好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基であることがより好ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換のフェニル基である。
また、Rは、適度にかさ高い置換基であることが好ましい。Rが、ある程度のかさ高さを有することで分子の凝集を防ぐことができ、その結果、一般式(1)で表される化合物の発光効率や耐久性がより向上する。
このようなかさ高い置換基のさらに好ましい例としては、下記一般式(2)で表されるRの構造が挙げられる。
Figure 2021076790
一般式(2)において、rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは1〜3の整数である。kが2以上である場合、rはそれぞれ同じでも異なっても良い。
より高い発光量子収率を与えることができるという観点から、rは、置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。このアリール基の中でも、特に、フェニル基、ナフチル基が好ましい例として挙げられる。rがアリール基である場合、一般式(2)のkは、1もしくは2であることが好ましく、中でも、分子の凝集をより防ぐという観点から2であることがより好ましい。さらに、kが2以上である場合、rの少なくとも1つは、アルキル基で置換されていることが好ましい。この場合のアルキル基としては、熱的安定性の観点から、メチル基、エチル基およびtert−ブチル基が特に好ましい例として挙げられる。
また、蛍光波長や吸収波長を制御したり、溶媒との相溶性を高めたりするという観点から、rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基またはハロゲンであることが好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert−ブチル基、メトキシ基が特に好ましい。rがtert−ブチル基またはメトキシ基であることは、分子同士の凝集による消光を防ぐことについて、より有効である。
また、一般式(1)で表される化合物の別の態様として、R〜Rのうち少なくとも1つが電子求引基であることが好ましい。特に、(1)R〜Rのうち少なくとも1つが電子求引基であること、(2)Rが電子求引基であること、または(3)R〜Rのうち少なくとも1つが電子求引基であり、かつ、Rが電子求引基であること、が好ましい。このように上記化合物のピロメテン骨格に電子求引基を導入することで、ピロメテン骨格の電子密度を大幅に下げることができる。これにより、上記化合物の酸素に対する安定性がより向上し、その結果、上記化合物の耐久性をより向上させることができる。
電子求引基とは、電子受容性基とも呼称し、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団から、電子を引き付ける原子団である。電子求引基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、正の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II−380頁)から引用することができる。なお、フェニル基も、上記のような正の値をとる例もあるが、本発明において、電子求引基にフェニル基は含まれない。
電子求引基の例として、例えば、−F(σp:+0.06)、−Cl(σp:+0.23)、−Br(σp:+0.23)、−I(σp:+0.18)、−CO12(σp:R12がエチル基の時+0.45)、−CONH(σp:+0.38)、−COR12(σp:R12がメチル基の時+0.49)、−CF(σp:+0.50)、−SO12(σp:R12がメチル基の時+0.69)、−NO(σp:+0.81)等が挙げられる。R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のシクロアルキル基を表す。これら各基の具体例としては、上記と同様の例が挙げられる。
一般式(1)において、RおよびRの少なくとも1つが電子求引基であることが好ましい。一般式(1)のRおよびRはピロメテン骨格の電子密度に大きく影響を与える置換位置であり、RおよびRに電子求引基を導入することで、効率的にピロメテン骨格の電子密度を低減することができ、酸素に対する安定性がより向上するため、耐久性をより向上させることができるからである。
さらに、一般式(1)において、RおよびRが電子求引基であることがより好ましい。一般式(1)で表される化合物の酸素に対する安定性がさらに向上し、耐久性を大幅に向上させることができるからである。
電子求引基としては、フッ素原子を含む基であることが好ましい。フッ素原子を含む基であることで、ピロメテン骨格の電子密度をより低減することができ、一般式(1)で表される化合物の酸素に対する安定性が向上し、耐久性を向上させることができる。
好ましい電子求引基としては、フッ素、含フッ素アリール基、含フッ素ヘテロアリール基、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のエステル基、置換もしくは無置換のアミド基、置換もしくは無置換のスルホニル基、置換もしくは無置換のスルホン酸エステル基、置換もしくは無置換のスルホンアミド基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、化学的に分解しにくいからである。
より好ましい電子求引基としては、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のエステル基、置換もしくは無置換のアミド基、置換もしくは無置換のスルホニル基、置換もしくは無置換のスルホン酸エステル基、置換もしくは無置換のスルホンアミド基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させる効果につながるからである。特に好ましい電子求引基は、置換もしくは無置換のエステル基である。
さらに好ましい電子求引基としては、含フッ素アシル基、含フッ素エステル基、含フッ素アミド基、含フッ素スルホニル基、含フッ素スルホン酸エステル基、含フッ素スルホンアミド基が挙げられる。これらの基は、効率的にピロメテンホウ素錯体骨格の電子密度を低減することができる。これにより、一般式(1)で表される化合物の酸素に対する安定性が向上し、この結果、耐久性をより向上させることができる。
中でも、RおよびRの少なくとも一方が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であることが、色純度を落とすことなく、耐久性を向上させることができるため、好ましい。特に、RおよびRが共に、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であることが、耐久性の向上の観点から、特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物の好ましい例の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基であって、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rが置換もしくは無置換のフェニル基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物の好ましい例の別の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、上述のAr−1〜Ar−6から選ばれ、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rがtert−ブチル基、メトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることがより好ましく、rがメトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物の好ましい例の別の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基であって、かつ、RおよびRがそれぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であり、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rが置換もしくは無置換のフェニル基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物の好ましい例の別の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、上述のAr−1〜Ar−6から選ばれ、かつ、RおよびRがそれぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であり、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rがtert−ブチル基、メトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることがより好ましく、rがメトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物の一例を以下に示すが、この化合物は、これらに限定されるものではない。
Figure 2021076790
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一般式(1)で表される化合物は、例えば、特表平8−509471号公報や特開2000−208262号公報に記載の方法で合成することができる。すなわち、ピロメテン化合物と金属塩とを塩基共存下で反応させることにより、目的とするピロメテン系金属錯体が得られる。
また、ピロメテン−フッ化ホウ素錯体の合成については、J.Org.Chem.,vol.64,No.21,pp.7813−7819(1999)、Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,vol.36,pp.1333−1335(1997)等に記載されている方法を参考にして、一般式(1)で表される化合物を合成することができる。例えば、下記一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とをオキシ塩化リン存在下、1,2−ジクロロエタン中で加熱した後、下記一般式(5)で表される化合物をトリエチルアミン存在下、1,2−ジクロロエタン中で反応させ、これにより、一般式(1)で表される化合物を得る方法が挙げられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ここで、R〜Rは、上記説明と同様である。Jは、ハロゲンを表す。
Figure 2021076790
さらに、アリール基やヘテロアリール基の導入の際は、ハロゲン化誘導体とボロン酸あるいはボロン酸エステル化誘導体とのカップリング反応を用いて炭素−炭素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。同様に、アミノ基やカルバゾリル基の導入の際にも、例えば、パラジウム等の金属触媒下でのハロゲン化誘導体とアミンあるいはカルバゾール誘導体とのカップリング反応を用いて炭素−窒素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る色変換層は、一般式(1)で表される化合物以外に、必要に応じてその他の化合物を適宜含有することができる。例えば、励起光から一般式(1)で表される化合物へのエネルギー移動効率を更に高めるために、ルブレン等のアシストドーパントを含有してもよい。また、一般式(1)で表される化合物の発光色以外の発光色を加味したい場合は、所望の有機発光材料、例えば、クマリン系色素、ローダミン系色素等の有機発光材料を添加することができる。その他、これらの有機発光材料以外でも、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料を組み合わせて添加することも可能である。
以下に、一般式(1)で表される化合物以外の有機発光材料の一例を以下に示すが、本発明は、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 2021076790
無機蛍光体としては、例えば、SrAl:Eu、YSiO:Ce,Tb、MgAl1119:Ce,Tb、SrAl1225:Eu、MgGa:Eu、CaGa:Eu、SrGa:Eu、BaGa:Euなどの緑色蛍光体や、Sr(POCl:Eu、(SrCaBa)(POCl:Eu、(BaCa)(POCl:Eu、BCl:Eu,Mn、Mg(POCl:Eu,Mn、Ca(POCl:Eu,Mn、Sr(POCl:Eu,Mn、Ba(POCl:Eu,Mnなどの青色蛍光体や、赤色に発光する蛍光体として、例えば、YS:Eu、LaS:Eu、Y:Eu、GdS:Eu、KSiF:Mnなどの赤色蛍光体がある。その他にもY(Al,Ga)12:Ce,(Y,Gd)Al12:Ce,LuAl12:Ce,YAl12:CeなどのYAG系蛍光体、TbAl12:CeなどのTAG系蛍光体、(Ba,Sr)SiO:Eu系蛍光体やCaScSi12:Ce系蛍光体、(Sr,Ba,Mg)SiO:Euなどのシリケート系蛍光体、(Ca,Sr)Si:Eu、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、CaSiAlN:Eu等のナイトライド系蛍光体、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Euなどのオキシナイトライド系蛍光体、さらには(Ba,Sr,Ca)Si:Eu系蛍光体、CaMgSi16Cl:Eu系蛍光体、SrAl:Eu,SrAl1425:Eu等の蛍光体が挙げられる。
量子ドットは、優れた量子効率を有する蛍光体であり、ナノサイズ(例えば、直径2nm〜10nm程度)の半導体結晶中に、電子・正孔や励起子を三次元空間全方位で閉じ込めることで、離散的エネルギー準位を有し、そのドットのサイズを変えることで発光光のピーク波長(発光色)等を自由に選択することができる。量子ドットに用いられる材料としては、2価の陽イオンになり得るZn、Cd、Pb等と、2価の陰イオンになり得るO、S、Se、Te等とを組み合わせた材料(例えば、セレン化カドミウム(CdCe)、硫化亜鉛(ZnS)等)、3価の陽イオンとなり得るGa、In等と3価の陰イオンとなり得るP、As、Sb等とを組み合わせた材料(例えば、リン化インジウム(InP)、ヒ化ガリウム(GaAs)等)、更にはカルコパイライト型化合物(CuInSe等)等が挙げられる。本実施形態では、量子ドット蛍光体の材料の一例として、CdSeが用いられる。
<樹脂>
色変換層に含まれる樹脂は、連続相を形成するものであり、成型加工性、透明性、耐熱性等に優れる材料であれば良い。樹脂としては、例えば、アクリル系、メタクリル系、ポリケイ皮酸ビニル系、ポリイミド系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリイミド樹脂、環状オレフィン、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、脂肪族エステル樹脂、芳香族エステル樹脂、フルオレン骨格を有する樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂などの、公知のものを用いることができる。また、樹脂としては、これらの共重合樹脂を用いることもできる。共重合樹脂として、例えば、メタクリル酸メチルと脂肪族ポリオレフィン樹脂との共重合体等が挙げられる。
これらの樹脂の中でも、透明性の観点から、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エステル樹脂またはこれらの混合物を好適に用いることができ、耐熱性の観点から、アクリル樹脂、メタクリル樹脂およびエステル樹脂がより好ましく用いられる。
アクリル樹脂およびメタクリル樹脂としてはその製造方法は特に限定されず、溶液重合法、懸濁重合法等公知の製造方法により得ることができる。市販されているものとしては例えば、共栄社化学株式会社製「オリコックスKC-7000」や根上工業株式会社製アクリル樹脂「ハイパールM4501」等を使用することが可能である。
ポリエステル樹脂としてはその製造方法は特に限定されず、ジカルボン酸とジオールの脱水重縮合等公知の製造方法により得ることができる。市販されておりものとしては例えば、東洋紡株式会社製「Vylon270」などを使用することが可能である。
シリコーン樹脂は、熱硬化型シリコーン樹脂および熱可塑性シリコーン樹脂のいずれであってもよい。熱硬化型シリコーン樹脂は、常温または50〜200℃の温度で硬化するものであり、透明性、耐熱性、接着性に優れる。
また、熱硬化型シリコーン樹脂としては、市販されているもの、例えば、一般的なLED用途のシリコーン封止材を使用することも可能である。その具体例としては、東レ・ダウコーニング社製のOE−6630A/B、OE−6336A/Bや、信越化学工業株式会社製のSCR−1012A/B、SCR−1016A/Bなどが挙げられる。
また、熱可塑性シリコーン樹脂としては、市販されているもの、例えば、東レ・ダウコーニング社製のRSN−0805、RSN−0217などのRSNシリーズが挙げられる。
<その他の添加剤>
色変換層は、本発明の効果が損なわれない範囲で、添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例としては、具体的には、分散安定化剤、レベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、脱泡剤、可塑剤、架橋剤、硬化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤、シランカップリング剤等の接着補助剤等が挙げられる。
また、色変換層からの光取り出し効率を上げる目的で、色変換層は光散乱性の粒子を含んでいてもよい。光散乱性の粒子の例としては、具体的には、ガラス、チタニア、シリカ、アルミナ、シリコーン樹脂、ジルコニア、セリア、窒化アルミ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸バリウム、アクリル樹脂などで構成される微粒子が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上併用されても良い。入手しやすいという観点から、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、アクリル樹脂、シリコーン樹脂が好ましい。
アクリル樹脂からなる微粒子としては例えば、綜研化学株式会社製の「MX−150」や「MZ−10HN」が挙げられ、シリコーン樹脂からなる微粒子としては例えば、MOMENTIVE社製の「Tospearl 1100FL」などが挙げられる。
<色変換フィルムのヘイズ>
本発明において、色変換フィルムは、色変換層を有することが好ましい。また、本発明に係る色変換フィルムは、基材を有していてもよく、さらに接着層を有していてもよい。また、本発明に係る色変換フィルムは、光拡散層を有することがより好ましい。
本発明に係る色変換フィルムは少なくとも一部の周縁部分のヘイズが色変換フィルム中央部のヘイズよりも高い、高ヘイズ部を有する。ここで、色変換フィルムの中央部とは、フィルムの端部から20mm以上内側の領域を指す。フィルムの端部から20mm以上内側の領域であれば任意の1点を測定した値をヘイズとしてもよく、フィルムの端部から20mm以上内側の領域で任意に複数個所を測定し、その算術平均値をヘイズとしてもよい。複数個所測定した場合は個別の値ではなく算術平均値をヘイズとする。任意の1点を測定した値と算術平均値の双方を取得した場合は、算術平均値を採用する。
測定領域は特に限定されるものではないが、好ましくはφ0.7mm以上、φ10mm以下である。
また、本発明に係る色変換フィルムのヘイズは、ASTM D 1003に準拠し、測定することができる。
色変換フィルムの中央部のヘイズが40%未満である場合、色変換材料によって変換された光は等方的に発光するため、変換された光の大部分は色変換フィルムと空気との界面で全反射し、色変換フィルム外に取り出すことができない。その結果、良好な輝度のディスプレイが得られないという問題がある。また、色変換フィルムのヘイズが95%より大きい場合、高ヘイズ部とのヘイズ差が小さくなってしまい、色ムラを改善することができない。
色変換フィルムの中央部のヘイズはより好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。また、色変換フィルムの中央部のヘイズはより好ましくは93%以下であり、さらに好ましくは90%以下である。
<高ヘイズ部>
本発明に係る色変換フィルムにおいて、高ヘイズ部は、色変換フィルムの少なくとも一部の周縁部分に存在する。また、高ヘイズ部は、色変換フィルムの周縁部分に途切れることなく連続して存在していてもよいし、高ヘイズ部が不連続に存在していてもよい。ここで、高ヘイズ部が不連続に存在するとは、ある高ヘイズ部と別の高ヘイズ部との間に、高ヘイズ部ではない領域が存在することをいう。高ヘイズ部が存在することによって、高ヘイズ部が入射する光源からの光の拡散を促進することで光源からの光が色変換フィルムによって長波長の光に変換されやすくなり、ディスプレイ端部において光源からの光の色味が際立つことを抑制することができるという効果を奏する。
周縁部分の少なくとも一部が高ヘイズ部である色変換フィルムの実施形態の例を以下に示すが、本発明に係る色変換フィルムはこれらに限られるものではない。
図5(a)に示す構成は、矩形状の色変換フィルム1において、高ヘイズ部31が色変換フィルム1のある一辺(図5(a)中の下辺)に沿って存在するものである。図5(a)では下辺内において高ヘイズ部は連続的に存在するが、不連続に存在する構成であってもよい。
図5(b)に示す構成は、矩形状の色変換フィルム1において、高ヘイズ部31が色変換フィルム1の周縁部全体に存在する構成である。このような構成は、本発明に係る色変換フィルムの好ましい実施形態である。
図6(b)はいわゆるエッジライト型の構成であり、光源が導光板の入光面に沿って平行に配置されている。高ヘイズ部31は色変換フィルム1の光源9に最も近い周縁部分の一部または全部に配置されてもよく、光源9から最も離れた周縁部分の一部または全部に配置されてもよく、さらに光源9に最も近い周縁部分の一部または全部、並びに光源9から最も離れた周縁部分の一部または全部の両方に配置されていてもよい。また、光源9に最も近い周縁部分以外の一部または全部に高ヘイズ部が存在していてもよいし、光源9から最も離れた周縁部分以外の色変換フィルム1の周縁部分の一部または全部に高ヘイズ部が存在していてもよい。本発明において、高ヘイズ部31は、少なくとも光源9に最も近い周縁部分に存在することが好ましく、光源9に最も近い周縁部分にのみ存在することがより好ましい。
高ヘイズ部31が存在する領域は、本発明に係る色変換フィルムの端部から0.5mm以上10mm以下の距離までの領域であることが好ましく、色変換フィルムの端部から1.0mm以上5mm以下の距離までの領域であることがより好ましく、色変換フィルムの端部から1.5mm以上3mm以下の領域であることがさらに好ましい。
高ヘイズ部が存在する領域が色変換フィルムの端部から0.5mm以上である場合、光源の色味が際立つことを十分に抑制することができるため好ましく、10mm以下である場合、色変換フィルムによって長波に変換された光の色味が際立つことを抑制できるため好ましい。
本発明において、高ヘイズ部は、(i)バインダー樹脂および光拡散粒子を含むヘイズ調整部が色変換フィルムに含まれることによって高ヘイズ部を作製してもよいし、(ii)色変換フィルムに含まれる基材の表面粗さを増加させることによって高ヘイズ部を作製してもよい。(i)の場合、ヘイズ調整部は、バインダー樹脂および光拡散粒子を含むヘイズ調整部用樹脂組成物から作製することができる。
生産コストの観点から、高ヘイズ部は、(i)バインダー樹脂および光拡散粒子を含む高ヘイズ部用樹脂組成物から得られるヘイズ調整部を含むことが好ましい。
ヘイズ調整部に含まれるバインダー樹脂としては色変換層に用いられるものと同様のものを用いることができる。それらの樹脂の中でも、透明性の観点から、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂またはこれらの混合物を好適に用いることができ、耐熱性、耐光性の観点から、シリコーン樹脂、アクリル樹脂およびエステル樹脂が好ましく用いられる。
色変換フィルムの高ヘイズ部は例えばNDH7000(日本電色工業株式会社製)を用いて、ASTM D 1003に準拠して測定することができる。測定回数は1回で十分であるが、場合によっては複数回測定しその算術平均値をもってヘイズとしてもよい。複数回測定した場合はその算術平均値をもってヘイズとする。任意の1点を測定した値と算術平均値の双方を取得した場合は、算術平均値を採用する。
測定領域は特に限定されるものではないが、好ましくはφ0.7mm以上、φ10mm以下である。
本発明に係る色変換フィルムは、該色変換フィルムにおける高ヘイズ部のヘイズと、中央部のヘイズの差が3%以上、50%以下であることが好ましい。ここで、高ヘイズ部のヘイズと中央部のヘイズの差とは、高ヘイズ部のヘイズと中央部のヘイズとの差の絶対値を指す。
高ヘイズ部のヘイズと、中央部のヘイズの差が3%以上であることにより、光源の色味が際立つことを十分に抑制できるため好ましく、より好ましくは10%以上である。また高ヘイズ部のヘイズと、中央部のヘイズの差が50%以下であることにより、色変換フィルムによって長波に変換された光の色味が際立つことを抑制できるため好ましく、より好ましくは30%以下である。
ヘイズ調整部に含まれる光拡散粒子としては具体的には、ガラス、チタニア、シリカ、アルミナ、シリコーン樹脂、ジルコニア、セリア、窒化アルミ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸バリウム、アクリル樹脂などで構成される微粒子が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上併用されても良い。入手しやすいという観点から、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、アクリル樹脂、シリコーン樹脂が好ましい。
ヘイズ調整部はさらに呈色材料をさらに含むことが好ましい。ヘイズ調整部が呈色材料を含む場合、本発明に係る色変換フィルムの中央部における500nm以上580nm未満の領域に観測される発光ピーク強度、および580nm以上750nm以下の領域に観測される発光ピーク強度の比率、並びに、当該色変換フィルムの高ヘイズ部における500nm以上580nm未満の領域に観測される発光ピーク強度、および580nm以上750nm以下の領域に観測される発光ピーク強度の比率が異なることが起こり得る。高ヘイズ部における500nm以上580nm未満の領域に観測される発光、およびピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光の強度比を調整し、色変換フィルム中央部と高ヘイズ部との間の色度差を低減する目的で呈色材料を添加することができる。
特に、色変換層に含まれる発光材料が有機発光材料である場合、高ヘイズ部では500nm以上580nm未満の領域に観測される発光が際立つため、500nm以上580nm未満の領域に極大吸収波長を有する呈色材料を含むことが好ましい。
本発明における呈色材料としては、染料、顔料ともに使用可能であり、染料としては例えば、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、アズレン系染料などが挙げられる。
顔料としては例えば、ピグメントレッド(以下、「PR」)9、48、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254、臭素基を有するジケトピロロピロールなどの赤色顔料、ピグメントオレンジ(以下、「PO」)13、PO31、PO36、PO38、PO40、PO42、PO43、PO51、PO55、PO59、PO61、PO64、PO65、PO71などのオレンジ色顔料、ピグメントグリ−ン(以下、「PG」)7、10、36、58などの緑色顔料、ピグメントイエロ−(以下、「PY」)12、13、17、20、24、83、86、93、95、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168、85などの黄色顔料、ピグメントブルー(以下、「PB」)15:3、15:4、15:6、16、21、22、60、64などの青色顔料、ピグメントバイオレット(以下「PV」)19、23、29、30、37、40、50などの紫色顔料が挙げられる(以上、番号はいずれもカラーインデックスNo.)。これらは単独で使用してもよく2種以上組み合わせて使用してもよい。
ヘイズ調整部はスクリーン印刷、インクジェット塗布、スピンコート、スリットダイコーターなど制限なく、公知の方法により形成することができる。
<基材>
基材としては、特に制限無く公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を使用することができる。具体的には、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄などの金属板や箔、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミド、シリコーン、ポリオレフィン、熱可塑性フッ素樹脂で、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)などのプラスチックのフィルム、α−ポリオレフィン樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびこれらとエチレンの共重合樹脂からなるプラスチックのフィルム、前記プラスチックがラミネートされた紙、または前記プラスチックによりコーティングされた紙、前記金属がラミネートまたは蒸着された紙、前記金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルムなどが挙げられる。また、基材が金属板の場合、表面にクロム系やニッケル系などのメッキ処理やセラミック処理されていてもよい。
これらの中でも、色変換フィルムの作製のし易さや色変換フィルムの成形のし易さからガラスやプラスチックフィルムが好ましく用いられる。
また、フィルム状の基材を取り扱う際に破断などの恐れがないように強度が高いフィルムが好ましい。それらの要求特性や経済性の面で樹脂フィルムが好ましく、これらの中でも、経済性、取り扱い性の面でPET、ポリフェニレンスルファイドポリカーボネート、ポリプロピレンからなる群より選ばれるプラスチックフィルムが好ましい。また、色変換フィルムを乾燥させる場合や色変換フィルムを押し出し機により200℃以上の高温で圧着成形する場合は、耐熱性の面でポリイミドフィルムが好ましい。フィルムの剥離のし易さから、基材層は、あらかじめ表面が離型処理されていてもよい。
基材層の厚さは特に制限はないが、下限としては5μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、38μm以上がさらに好ましい。また、上限としては5000μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましい。
<光源ユニット>
本発明における光源ユニットは、少なくとも光源および本発明に係る色変換フィルムを備える構成である。光源と色変換フィルムの配置方法については特に限定されず、光源と色変換フィルムを密着させた構成を取っても良いし、光源と色変換フィルムを離したリモートフォスファー形式を取っても良い。光源と色変換フィルムの配置方法については特に限定されない。図6にその一例を示す。なお、図6においては反射層を有する構成を例示しているが、各構成において反射層を設けるかどうかは任意である。
図6(a)はいわゆる直下型の光源ユニット6に関する構成であり、基板7上に反射層8が配置されており、光源9は基板7に電気的に接続されている。色変換フィルム1は反射層8と対向するように配置されている。光源9と色変換フィルム1の間は空気層でもよく、透明性の高い樹脂で充填されていてもよい。
図6(b)はいわゆるエッジライト型の光源ユニット6に関する構成であり、反射層8上に導光板10が配置され、導光板10上に色変換フィルム1が配置されている。導光板10は、光源9からの光が入射される入射面101を端面に有し、光源9から入射面101に入射した光の進行方向を、色変換フィルム1の存在する方向に変更する。 本発明に係る光源ユニットは、さらに導光板を有し、光源が導光板の側面に備えられているものが好ましい。特に、図6(b)で示されるようなエッジライト型のバックライトにおいては、光源の光の透過を抑制するため、高ヘイズ部が、導光板において光源が備えられている側の端部に位置するように、導光板と色変換フィルムとが積層されてなることが好ましい。高ヘイズ部は、導光板において光源が備えられている側の端部の一部または全部に備えられることが好ましい。
本発明に係る光源ユニットは、このほかにも、拡散板、反射フィルム、偏光反射性フィルムなどの光学フィルムが挿入されてなることがより好ましい。
本発明に係る光源は、色変換材料が吸収可能な波長領域に発光を示すものであればいずれの励起光でも用いることができる。例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機ELなどの蛍光性光源、有機エレクトロルミネッセンス素子光源、LED光源、白熱光源などいずれの励起光でも原理的には利用可能であるが、中でもLEDが好適な励起光であり、ディスプレイや照明用途では、青色光の色純度を高められる点で、400〜500nmの範囲に極大発光を持つ発光ダイオードがさらに好適な励起光である。励起光は1種類の発光ピークを持つものでもよく、2種類以上の発光ピークを持つものでもよいが、色純度を高めるためには1種類の発光ピークを持つものが好ましい。また、発光ピークの種類の異なる複数の励起光源を任意に組み合わせて使用することも可能である。
<光拡散フィルム>
本発明の光源ユニットは、色変換フィルムのいずれか一方または両方の面に光拡散フィルムが積層されていることが好ましい。光源からの光のムラを軽減し、光を均一に拡散させる効果があると同時に、後述のプリズムシートと同様に集光の効果を示し、正面方向の輝度向上に寄与するからである。また、光源からの発光の指向性を軽減し、有機発光材料からの発光を色変換フィルムの外部へ取り出しやすくすることによって、光源からの発光と有機発光材料からの発光の比率を、最適な状態に調整する効果もある。
光拡散フィルムは、モアレ防止や光沢抑制の目的でプリズムシートの上部に配置される上拡散フィルムと、透明度が高くプリズムシートの下部に配置される下拡散フィルムに分類される。ディスプレイや照明用途では一般的には下拡散フィルムのみが使用されるが、目的に応じて上拡散フィルムと組み合わせる構成をとっても良い。
光拡散フィルムとしては、例えば、ライトアップならびにケミカルマット((株)きもと製)、オパルス((株)恵和製)、Dシリーズ((株)ツジデン製)、CH/JS(SKC Haas Display Films製)などが挙げられる。
<プリズムシート>
本発明に係る光源ユニットは、色変換フィルムの光出射面に、プリズムシートが設けられていることが好ましい。光源側から照射された光を集光することにより正面方向の輝度を向上させるとともに、バックライトの明るさを均一にするからである。ここで光出射面とは、ディスプレイ用途においては表示面側のことを指し、照明用途においては発光面側のことを指す。
プリズムシートは一般的に光学用の透明PETフィルム上に、頂角90の二等辺三角形形状やマイクロレンズ形状のプリズムパターンを形成した構造になっている。プリズムシートの使用枚数は1枚以上であれば特に制限はないが、正面輝度をより向上させるには2枚のプリズムシートを直交させて使用することが好ましい。前述の光拡散フィルムと組み合わせて使用することにより、正面輝度向上の効果がより強く発揮される。
プリズムシートとしては、例えば、BEFシリーズ(3M製)、ダイヤアート(三菱レイヨン(株)製)GTL5000・GTL6000シリーズ(五洋紙工(株)製)などが挙げられる。
反射層は、白色フィルムのような光拡散性の反射フィルムを用いても良いが、正反射性の反射フィルムを用いることも好ましい。ここでいう正反射性とは、JIS Z8741(1997年)のとおり、入射角度60°、出射角度60°にて測定した光沢度が100以上であることである。正反射性の反射フィルムを用いることディスプレイの輝度を向上させることができる。
本発明における光源ユニットは、ディスプレイ、照明、インテリア、標識、看板、などの用途に使用できるが、特にディスプレイや照明用途に特に好適に用いられる。
<ディスプレイ、照明装置>
本発明の実施の形態に係るディスプレイおよび照明は、少なくとも、上述の光源ユニットを備える。例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイには、バックライトユニットとして、上述の光源ユニットが使用される。本発明の液晶ディスプレイは、本発明に係る光源ユニットに加え、カラーフィルターを備える液晶セル、偏光フィルム、輝度向上フィルムなどの光学フィルムを含むことが好ましい。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。下記の実施例および比較例において、化合物G−1、G−2、R−1、R−2は、以下に示す化合物である。
Figure 2021076790
G−2:製品番号753777(SIGMA−ALDRICH製量子ドット)
極大発光波長525nm
R−2:製品番号753882(SIGMA−ALDRICH製量子ドット)
極大発光波長630nm
呈色材料A−1、A−2、A−3は以下に示す材料である。
A−1:FDB−007(山田化学工業株式会社製)極大吸収波長493nm
A−2:FDG−003(山田化学工業株式会社製)極大吸収波長547nm
A−3:FDR−001(山田化学工業株式会社製)極大吸収波長604nm
無機粒子S−1は以下に示す材料である。
S−1:AA−3(住友化学株式会社製アルミナ粒子)
実施例および比較例における評価方法は、以下に示す通りである。
<ヘイズ測定>
実施例および比較例で作成した色変換フィルムのヘイズはNDH7000(日本電色工業株式会社製)を用いて、ASTM D 1003に準拠し、測定した。実施例および比較例で作成した色変換フィルムのPETが上になるように置き、色変換フィルムの中央部のヘイズおよび色変換フィルム端部から2mmの位置でのヘイズをそれぞれ測定した。ヘイズ測定回数はそれぞれ1回ずつとした。また、ヘイズ差は、色変換フィルムの中央部のヘイズと色変換フィルム端部から2mmの位置でのヘイズの差の絶対値とした。
<色度測定>
BenQ社製液晶モニター(SW2700PT)を分解し、内蔵されていた色変換フィルムの代わりに後述の実施例および比較例で作製した色変換フィルムを挿入し「反射フィルム/導光板/色変換フィルム/光拡散フィルム/プリズムシート/偏光反射フィルム」の構成のサイドライト型光源ユニットを得た。得られたバックライトユニットを分光放射輝度計(CS−1000、コニカミノルタ社製)で測定し(x、y)色空間におけるそれぞれの色座標を得た。
<色度の均一性評価>
実施例および比較例で作成した色変換フィルムを搭載したバックライトユニットの中央部および、色変換フィルムの端部から2mmの場所で色度測定を行った。端部2mmの位置の色度から中央部の色度を減ずることで色度差(Δx、Δy)を算出し、以下の基準で色度の均一性を評価した。なお、下記の(Δx、Δy)が小さいほど、色度が均一な発光面を有するディスプレイであると言える。各実施例では色度は任意の1点測定した値を用いた。
「A」:Δx、Δyの絶対値がともに、0.005未満
「B」:Δx、Δyの絶対値の大きいほうが、0.005以上0.010未満
「C」:Δx、Δyの絶対値の大きいほうが、0.010以上0.020未満
「D」:Δx、Δyの絶対値の大きいほうが、0.020以上0.030未満
「E」:Δx、Δyの絶対値の大きいほうが、0.030以上。
(実施例1)
樹脂として、根上工業株式会社製アクリル樹脂、ハイパールM4501を100重量部、発光材料としてG−1を0.40重量部、発光材料としてR−1を0.01重量部、溶媒としてトルエンを300重量部混合した後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”(登録商標)KK−400(クラボウ(株)製)を用い、1000rpmで20分間撹拌・脱泡して、色変換組成物を得た。なお、G−1はWO2009/116456に記載の方法で合成し、R−1はWO2017/2707に記載の方法で合成した。
次に、光拡散フィルムBS−530(恵和株式会社製、厚さ120μm)のPET基材層側の全面に、前記色変換組成物を塗布し、120℃で20分加熱、乾燥して色変換層を形成した(平均膜厚20μm)。
次に、樹脂として“Vylon”(登録商標)630(東洋紡(株)製 ポリエステル樹脂)を用い、ポリエステル樹脂100重量部に対して、溶剤としてトルエンを300重量部混合した後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”(登録商標)KK−400(クラボウ(株)製)を用い、300rpmで20分間撹拌・脱泡して接着層用樹脂組成物を得た。
次に、PETフィルムU48(東レ株式会社製、厚さ75μm)の全面に、前記接着用樹脂組成物を塗布し、120℃で20分加熱、乾燥して接着剤層を形成した(平均膜厚10μm)。
次に、色変換層と接着層が直接積層するように加温ラミネートを行い、「PET/接着層/色変換層/光拡散層」という構成からなる色変換フィルムを作製した。
この色変換フィルムの中央部のヘイズを測定したところ85%であった。
次に、樹脂として、根上工業株式会社製アクリル樹脂、ハイパールM4501を100重量部、無機粒子としてS−1を20重量部、溶媒としてトルエンを300重量部混合した後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”(登録商標)KK−400(クラボウ(株)製)を用い、1000rpmで20分間撹拌・脱泡して、ヘイズ調整部用樹脂組成物を得た。作製した色変換フィルムのPETフィルム面にヘイズ調整部用樹脂組成物を20mm×650mmのサイズで塗布し、120℃で20分加熱、乾燥してヘイズ調整部を形成した(平均膜厚2μm)。
色変換フィルムのヘイズ調整部が形成された部分、すなわち20mm×650mmで形成されたヘイズ調整部における中央部のヘイズを測定したところ88%であった。
次に、色変換フィルムを350mm×600mmのサイズに断裁した。このとき図7に示すように長辺の端部0mmから端部3mmの領域にヘイズ調整部が位置するよう断裁した。
得られた色変換フィルムをヘイズ調整部が光源側に位置するようバックライトユニットに搭載した。色変換フィルムの中央部および色変換フィルムの端部から2mmの位置での色度測定を行った。
(実施例2)
ヘイズ調整部の厚みを5μmとしたこと以外は実施例1と同様の操作にて色変換フィルムを作製し、色度測定を行った。
(実施例3)
樹脂として、根上工業株式会社製アクリル樹脂、ハイパールM4501を100重量部、無機粒子としてS−1を20重量部、呈色材料としてA−1を1重量部、溶媒としてトルエンを300重量部混合した後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”(登録商標)KK−400(クラボウ(株)製)を用い、1000rpmで20分間撹拌・脱泡して、ヘイズ調整部作製用樹脂組成物を得たこと以外は実施例2と同様の操作にて色変換フィルムを作製し、色度測定を行った。
(実施例4)
呈色部材としてA−1の代わりにA−2を使用したこと以外は実施例3と同様の操作にて色変換フィルムを作製し、色度測定を行った。
(実施例5)
呈色部材としてA−1の代わりにA−3を使用したこと以外は実施例3と同様の操作にて色変換フィルムを作製し、色度測定を行った。
(実施例6)
発光材料としてG−1の代わりにG−2を、R−1の代わりにR−2を使用したこと以外は実施例2と同様の操作にて色変換フィルムを作製し、色度測定を行った。
(実施例7)
発光材料としてG−1の代わりにG−2を、R−1の代わりにR−2を使用したこと以外は実施例4と同様の操作にて色変換フィルムを作製し、色度測定を行った。
(比較例1)
ヘイズ調整部を形成しなかったこと以外は実施例2と同様の操作にて色変換フィルムを作製し、色度測定を行った。
(比較例2)
光拡散フィルムにSDW(株式会社きもと製、厚さ113μm)を使用したこと以外は実施例2と同様の操作にて色変換フィルムを作製し、色度測定を行った。
(比較例3)
光拡散フィルムにPBS−630L(恵和株式会社製、厚さ115μm)を使用したこと以外は実施例2と同様の操作にて色変換フィルムを作製し、色度測定を行った。
実施例および比較例で測定したヘイズ、色度値を表1に示す。
Figure 2021076790
実施例1、実施例2、比較例1を比べると色変換フィルムの中央部と端部のヘイズ差が3%以上であることにより色度の均一性が改善することがわかる。
実施例1、比較例2、比較例3を比べると、色変換フィルム中央部のヘイズ値が高すぎる場合および低すぎる場合はヘイズ差が色度の均一性が悪いことがわかる。
実施例2、実施例3、実施例4を比べると、呈色材料を含むことによりさらに色度の均一性が改善することがわかり、特に呈色材料がA−2である実施例4が最も色度が均一であった。
実施例6と実施例7を比較すると発光材料がG−2およびR−2である場合、呈色材料を含んだ場合、色度均一性が悪化するという結果であり、呈色材料は有機発光材料と組み合わせることで効果があることがわかった。
1 色変換フィルム
2 色変換層
3 ヘイズ調整部
31 高ヘイズ部
4 基材
5 光取り出し部材
6 光源ユニット
7 基板
8 反射層
9 光源
10 導光板
101 入射面

Claims (14)

  1. 入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換フィルムであって、前記色変換フィルムの中央部のヘイズが40%以上、95%以下であり、かつ前記色変換フィルムの周縁部の少なくとも一部が、前記色変換フィルム中央部のヘイズよりも高い高ヘイズ部であることを特徴とする色変換フィルム。
  2. 前記高ヘイズ部のヘイズと前記色変換フィルムの中央部のヘイズの差が3%以上、50%以下である請求項1記載の色変換フィルム。
  3. 前記色変換フィルムは色変換層を有し、当該色変換層に含まれる色変換材料が有機発光材料である請求項1または2に記載の色変換フィルム。
  4. 前記色変換フィルムが光拡散層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の色変換フィルム。
  5. さらに前記高ヘイズ部の少なくとも一部が呈色材料を含む請求項1〜4のいずれかに記載の色変換フィルム。
  6. 前記色変換フィルムは波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによりピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光と、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を示す請求項1〜5のいずれかに記載の色変換フィルム。
  7. 前記呈色材料の極大吸収波長が500nm以上580nm未満の領域にある染料または顔料を含む請求項5〜7のいずれかに記載の色変換フィルム。
  8. 前記色変換材料が一般式(1)で表される化合物を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の色変換組成物。
    Figure 2021076790
    (Xは、C−R7またはNである。R1〜R9は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。)
  9. 光源と、請求項1〜8のいずれかに記載の色変換フィルムと、を備えることを特徴とする光源ユニット。
  10. さらに導光板を有し、前記光源が前記導光板の側面に備えられている、請求項9記載の光源ユニット。
  11. 前記高ヘイズ部が、前記導光板において前記光源が備えられている側の端部に位置するように、前記導光板と前記色変換フィルムとが積層されてなる、請求項10記載の光源ユニット。
  12. 前記光源が、波長400nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードである請求項9〜11のいずれかに記載の光源ユニット。
  13. 請求項9〜12のいずれかに記載の光源ユニットを備える照明。
  14. 請求項9〜12のいずれかに記載の光源ユニットを備えるディスプレイ。
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WO2023100809A1 (ja) * 2021-11-30 2023-06-08 日産化学株式会社 波長変換膜形成用組成物

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