JP2021047313A - 色変換シートならびにそれを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置 - Google Patents

色変換シートならびにそれを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置 Download PDF

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佳奈 河原
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Abstract

【課題】ディスプレイや照明装置等に用いられる色変換シートにおいて、高い色純度および耐久性を持つ色変換シートを提供すること。【解決手段】入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換シートであり、光取出し層、樹脂層、および以下の(A)層、(B)層を少なくとも含み、光取り出し層、(A)層、樹脂層、(B)層の順で積層し、(A)層の屈折率をnA、(B)層の屈折率をnB、樹脂層の屈折率をnCとしたとき、nA≠nCおよびnB≠ncであることを特徴とする色変換シート。(A)層 ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を呈する発光材料(a)、およびバインダー樹脂を含有する層(B)層 ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料(b)、およびバインダー樹脂を含有する層【選択図】 なし

Description

本発明は、色変換シート、ならびにそれを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置に関する。
色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明などへ応用する検討が盛んである。色変換とは、発光体からの発光をより長波長な光へと変換することであり、たとえば青色発光を緑色や赤色発光へと変換することを表す。
この色変換機能を有する組成物をシート化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。このような青色光源と色変換機能を有するシート(以下、「色変換シート」という)を組み合わせた白色光源を光源ユニットとし、液晶駆動部分と、カラーフィルターと組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また液晶駆動部分が無ければ、そのまま白色光源として用いることができ、たとえばLED照明などの白色光源として応用できる。
色変換方式を利用する液晶ディスプレイの課題として、色純度や色再現性の向上が挙げられる。これらを解決する手段として、量子ドットを色変換組成物の成分として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
量子ドットの代わりに有機物の発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術も提案されている。有機発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術の例としては、ピロメテン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
特開2012−22028号 特開2011−241160号
しかし、これらの発光材料を用いる技術では、信頼性および色純度向上技術の両立が不十分であった。特にピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光については半値幅(FWHM)を狭小化する技術が不十分であり、色純度の向上が不十分であった。また、高色純度の発光を示す発光材料を用いた色変換シートにおいて、十分な耐久性を持つ技術が不十分であった。
本発明が解決しようとする課題は、ディスプレイや照明装置等に用いられる色変換シートにおいて、高い色純度および耐久性を持つ色変換シートを提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る色変換シートは、入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換シートであり、光取出し層、樹脂層および以下の(A)層、(B)層を少なくとも含み、光取り出し層、(A)層、樹脂層、(B)層の順で積層し、(A)層の屈折率をn、(B)層の屈折率をn、樹脂層の屈折率をnとしたとき、n≠nおよびn≠nであることを特徴とする、色変換シートである。
(A)層 ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を呈する発光材料(a)、およびバインダー樹脂を含有する層
(B)層 ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料(b)、およびバインダー樹脂を含有する層
本発明に係る色変換シートは、高い色純度および耐久性を有するという効果を奏する。本発明に係る光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置は、このような色変換シートを用いるため、高い色純度および耐久性を有することが可能となるという効果を奏する。
本発明の色変換シートの一例を示す模式断面図。 本発明の色変換シートの一例を示す模式断面図。 本発明の色変換シートの一例を示す模式断面図。 本発明の光源ユニットの一例を示す模式断面図。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
<色変換シート>
本発明の実施形態に係る色変換シートは、光源等の発光体からの入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換シートであり、少なくとも光取出し層、樹脂、および以下の(A)層および(B)層を含み、光取り出し層、(A)層、樹脂層、(B)層の順で積層されたものである。(A)層は、ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を呈する発光材料(a)、およびバインダー樹脂を含有する層である。(B)層は、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料(b)、およびバインダー樹脂を含有する層である。
発光材料(例えば上記の発光材料(a)および発光材料(b)等)の発光のピーク波長は、その溶液の蛍光スペクトル測定により確認することができる。この蛍光スペクトル測定に用いる溶媒は、特に限定されるものではないが、トルエンやジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の溶媒を好適に用いることができる。発光材料の溶解性に問題がない限り、この溶媒としてトルエンを用いることがより好ましい。
以後、ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光は、「緑色の発光」という。ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光は、「赤色の発光」という。
一般に、励起光は、そのエネルギーが大きいほど、材料の分解を引き起こしやすい。しかし、波長400nm以上500nm以下の範囲のような励起光は、比較的小さい励起エネルギーのものである。このため、色変換組成物中の発光材料の分解を引き起こすことなく、色純度の良好な発光が得られる。
波長400nm以上500nm以下程度の範囲の励起光の一部は、本発明の実施の形態に係る色変換シートを一部透過するため、それ自体を青色の発光として利用することができる。また、本発明の実施の形態に係る色変換シートは、緑色の発光を示す発光材料(a)と赤色の発光を示す有機発光材料(b)とを含む。したがって、本発明の実施の形態に係る色変換シートを発光ピークが鋭い青色LED光源に適用した場合、青、緑、赤の各色において鋭い形状の発光スペクトルを示し、色純度の良い白色光を得ることができる。その結果、特にディスプレイにおいては、色彩が一層鮮やかであり且つより大きな色域を効率的に作ることができる。また、照明用途においては、現在主流となっている青色LEDと黄色蛍光体とを組み合わせた白色LEDに比べ、特に緑色領域および赤色領域の発光特性が改善されるため、演色性が向上した好ましい白色光源を得ることができる。
色域を拡大し、色再現性を向上させるためには、青、緑、赤の各色の発光スペクトルの重なりが小さいことが好ましい。
例えば、適度な励起エネルギーを有する波長400nm以上500nm以下の範囲の青色光を励起光として用いる場合は、ピーク波長が500nm以上の領域に観測される発光を緑色の発光として利用することができる。この場合、励起光と緑色光との発光スペクトルの重なりが小さくなり、色再現性が向上するため、好ましい。その効果をより大きくする上で、発光材料(a)のピーク波長の下限値は、より好ましくは510nm以上であり、さらに好ましくは515nm以上であり、特に好ましくは520nm以上である。
また、励起光と赤色光との発光スペクトルの重なりを小さくするためには、ピーク波長が580nm以下の領域に観測される発光を緑色の発光として利用することが好ましい。その効果をより大きくする上で、発光材料(a)のピーク波長の上限値は、より好ましくは550nm以下であり、さらに好ましくは540nm以下であり、特に好ましくは535nm以下である。
さらに、ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を緑色の発光として利用する場合は、ピーク波長が580nm以上の領域に観測される発光を赤色の発光として利用する。この場合、緑色光と赤色光との発光スペクトルの重なりが小さくなり、色再現性が向上するため、好ましい。その効果をより大きくする上で、発光材料(b)のピーク波長の下限値は、より好ましくは610nm以上であり、さらに好ましくは620nm以上であり、特に好ましくは630nm以上である。
赤色光のピーク波長の上限は、可視域の上界付近である750nm以下であればよいが、700nm以下である場合、視感度が大きくなるため、より好ましい。その効果をより大きくする上で、発光材料(b)のピーク波長の上限値は、さらに好ましくは680nm以下であり、特に好ましくは660nm以下である。
すなわち、波長400nm以上500nm以下の範囲の青色光を励起光として用いる場合、緑色光のピーク波長は、500nm以上580nm未満の領域に観測されることが好ましく、510nm以上550nm以下であることがより好ましく、515nm以上540nm以下であることがさらに好ましく、520nm以上535nm以下であることが特に好ましい。また、赤色光のピーク波長は、580nm以上750nm以下の領域に観測されることが好ましく、610nm以上700nm以下であることがより好ましく、620nm以上680nm以下であることがさらに好ましく、630nm以上660nm以下であることが特に好ましい。
発光スペクトルの重なりを小さくし、色純度および色再現性を向上させるためには、青、緑、赤の各色の発光スペクトルの半値幅が小さいことが好ましい。特に、緑色光および赤色光の発光スペクトルの半値幅が小さいことは、色純度や色再現性の向上に有効である。
例えば、(A)層における発光の半値幅としては、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、35nm以下であることがさらに好ましい。(B)層における発光の半値幅としては、80nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることがさらに好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。
発光スペクトルの形状に関しては、特に制限されるものではないが、励起エネルギーの効率的な利用が可能であり、色純度も高くなることから、単一ピークであることが好ましい。ここで、単一ピークとは、波長500nm〜750nmの領域の下で、最も強度の強いピークに対して、その強度の5%以上の強度を持つピークがない状態を示す。
また、色純度向上のためには、発光材料のストークスシフトが小さい方がより好ましい。ここで言うストークスシフトとは、発光材料の最大励起波長と最大発光波長の差のことを指す。一般的に最大発光波長は励起した発光分子のエネルギーの一部が、分子の短い励起状態の間に生じる分子振動によって消失するため、最大励起波長よりも長波長となる。このため、発光材料の発光効率を向上するためには、ストークスシフトを小さくする必要がある。本発明に係る色変換シートについては、発光材料(a)におけるストークスシフトが10nm〜50nmであることが好ましい。これにより、(A)層の発光における量子収率が向上し、より狭い半値幅で高色純度な発光スペクトルを得ることができる。
一般的に発光材料はその吸収スペクトルと発光スペクトルが重なる領域があるため、発光材料によって長波に変換された光が発光材料によって再度吸収される自己吸収という現象が発生する。自己吸収が発生すると励起、発光が繰り返されるためエネルギーロスの原因となるだけでなく、発光波長の長波長化および広半値幅化が顕著にみられる。よって色変換シートは色域に影響の強い緑色光の取り出し効率を向上させるような設計とすることが重要となる。
本発明の実施の形態に係る色変換シートは、上述したように、発光材料(a)を含有する(A)層と発光材料(b)を含有する(B)層との、少なくとも2層の色変換層を有する。発光材料(a)および発光材料(b)は、異なる層に含有されることで材料間の相互作用が抑制され、発光材料(a)による発光は同一層中に分散させた場合よりも高い色純度の発光を示すことができるため好ましい。
つまり発光材料(a)と発光材料(b)が同一層に存在する場合、蛍光共鳴エネルギー移動により発光材料(b)の励起が効率よく起こるが、発光材料(a)と発光材料(b)が異なる層に含有される場合、蛍光共鳴エネルギー移動による発光材料(b)の励起が起こらないため、適切な強度の赤色発光を得るためには、発光材料(a)と発光材料(b)が同一層に存在する場合よりも発光材料(b)の添加量を多くする必要がある。結果として発光材料(b)による発光材料(a)の長波長の発光を吸収する割合が大きくなるため、緑色の発光半値幅が狭半値幅化するのである。
また、発光材料(a)と発光材料(b)が異なる層に含有される場合、発光材料(a)および発光材料(b)の材料間の相互作用が抑制されることで、発光材料(a)および発光材料(b)が各層中でそれぞれ独立に発光するため、緑色および赤色の発光ピーク波長や発光強度の調整が容易となる。
すなわち、本発明の実施の形態に係る色変換シートでは、高い色純度の発光を示す発光材料(a)および発光材料(b)等の発光材料の特性を悪化させることなく、青色、緑色、赤色の各光の最適な発光ピーク波長や発光強度を設計することが可能である。これにより、色純度の良い白色光を得ることが可能となる。
また本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、各層の屈折率を(A)層をn、(B)層をn、樹脂層をnとしたとき、n≠nおよびn≠nである。
前述の通り広色域を与える色変換シートを得るためには緑色発光の取り出し効率を向上させることが重要である。そのためには(A)層が光取り出し層に直接積層され、かつ(A)層と(B)層の間にn≠nおよびn≠nである樹脂層を設けることが好ましい。(A)層が光取出し層と樹脂層の間に積層されることによりその間の光取り出し効率が向上する、つまり自己吸収が抑制されるため、より半値幅が狭く、高純度な緑色発光を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る色変換シートの代表的な構造例として、例えば図1が挙げられる。図1は、本発明の実施形態に係る色変換シートの一例を示す模式断面図である。図1に示すように、本実施形態の一例である色変換シート6は、基材層1を備え、この基材層1の上に(B)層2、樹脂層3、(A)層4を含有する。さらには(A)層4の上に光取出し層5を備えた構成としてもよい。
なお、上記構造例は例示であって、本実施の形態に係る色変換シートの具体的な構成は、これに限らず、以下の説明から導かれる事項により適宜変更を加えた構成も本発明の範囲に含まれる。
<樹脂層>
本発明の実施形態に係る色変換シートは、(A)層と(B)層との間に樹脂層を有する。前記樹脂層は
各層の屈折率を(A)層をn、(B)層をn、樹脂層をnとしたとき、n≠nおよびn≠nである必要がある。樹脂層が(A)層および(B)層とは異なる屈折率にすることにより、(A)層と樹脂層との界面、および樹脂層と(B)層との界面で光が反射するため(B)層側への光漏れを抑制することができ、(A)層からの光取り出し効率を向上させることができる。中でも樹脂層の屈折率と(A)層の屈折率との関係が、n>nであることがより好ましい。樹脂層の屈折率と(A)層の屈折率との関係が、n<nであるときよりもn>nであるときの方が光の反射角が小さいので(A)層からの光取り出し効率を良好にすることができる。
前記樹脂層については、屈折率がn≠nおよびn≠nを満たす樹脂であれば特に限定はない。具体的には、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、脂肪族エステル樹脂、芳香族エステル樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂等の公知のものが挙げられる。中でもより屈折率の小さい樹脂であるシリコーン樹脂やフッ素樹脂が好ましく、色変換シートの耐久性を向上させる観点からシリコーン樹脂であることがより好ましい。樹脂層に用いられる樹脂がシリコーン樹脂であることにより、発光材料(a)および発光材料(b)の樹脂層への拡散が防止され、長期間使用する際にも色度変化の小さい色変換シートを得ることができる。シリコーン樹脂の一例としては、信越化学工業株式会社製のKR−114B等が挙げられるがこの限りでない。
前記樹脂層の膜厚は特に限定はないが、塗布性や接着性等の観点から5〜20μmが好ましい。また、樹脂層は複数積層させてもよく、例えば、樹脂層と樹脂層の間に他の樹脂層を積層させても良い。他の樹脂層については、色純度および光転換効率に影響のないものであれば特に限定はなく、構成例として、例えば図2が挙げられる。図2に示すように樹脂層3の間に他の樹脂層7を含有して色変換シート6を作製することも可能である。
<発光材料>
本発明の実施形態に係る色変換シートは、発光材料を含む。ここで、本発明における発光材料とは、何らかの光が照射されたときに、その光とは異なる波長を発する材料のことを言う。この発光材料は、量子ドットまたは有機蛍光体などのナノサイズの蛍光体を指す。その中でも、分散の均一性、使用量の低減、環境負荷低減の観点から、有機発光材料が好ましい。更に、高い発光特性の観点から、前記(A)層および(B)層のうち少なくともどちらか一方に有機発光材料を含むことが好ましい。
有機発光材料としては、以下に示すもの等が挙げられる。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体;
フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン等のヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体;
ボラン誘導体;
1,4−ジスチリルベンゼン、4,4’−ビス(2−(4−ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(スチルベン−4−イル)−N−フェニルアミノ)スチルベン等のスチルベン誘導体;
芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体;
クマリン6、クマリン7、クマリン153などのクマリン誘導体;
イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体;
インドシアニングリーン等のシアニン系化合物;
フルオレセイン・エオシン・ローダミン等のキサンテン系化合物やチオキサンテン系化合物;
ポリフェニレン系化合物、ナフタルイミド誘導体、フタロシアニン誘導体およびその金属錯体、ポルフィリン誘導体およびその金属錯体;
ナイルレッドやナイルブルー等のオキサジン系化合物;
ヘリセン系化合物;
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン等の芳香族アミン誘導体;および
イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)等の有機金属錯体化合物;
等が好適なものとして挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
有機発光材料は、蛍光発光材料であっても、リン光発光材料であっても良いが、高い色純度を達成するためには、蛍光発光材料が好ましい。
これらの中でも、熱的安定性および光安定性が高いことから、縮合アリール環を有する化合物やその誘導体を好適に用いることができる。
また、溶解性や分子構造の多様性の観点からは、配位結合を有する化合物が好ましい。半値幅が小さく、高効率な発光が可能である点で、フッ化ホウ素錯体などのホウ素を含有する化合物も好ましい。
中でも、高い蛍光量子収率を与え、耐久性が良好である点で、ピロメテン誘導体を好適に用いることができる。より好ましくは、一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2021047313
XはC−RまたはNである。R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。
上記の全ての基において、水素は重水素であってもよい。このことは、以下に説明する化合物またはその部分構造においても同様である。また、以下の説明において、例えば、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基とは、アリール基に置換した置換基に含まれる炭素数も含めて全ての炭素数が6〜40となるアリール基である。炭素数を規定している他の置換基も、これと同様である。
また、上記の全ての基において、置換される場合における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとする具体的な置換基が好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子または重水素原子が置換したことを意味する。以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、上記と同様である。
上記の全ての基のうち、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミド等の炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基等の二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等の二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基等の三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基等、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基における芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基等の芳香族炭化水素基を示す。中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基が好ましい。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは6以上40以下、より好ましくは6以上30以下の範囲である。
〜Rが置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基であり、フェニル基が特に好ましい。
それぞれの置換基がさらにアリール基で置換される場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。特に好ましくは、フェニル基である。
ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基等の、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5−ナフチリジニル基、1,6−ナフチリジニル基、1,7−ナフチリジニル基、1,8−ナフチリジニル基、2,6−ナフチリジニル基、2,7−ナフチリジニル基のいずれかを示す。ヘテロアリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上40以下、より好ましくは2以上30以下の範囲である。
〜Rが置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
それぞれの置換基がさらにヘテロアリール基で置換される場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を示す。また、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられ、これら置換基は、さらに置換されてもよい。
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基等が挙げられる。アリール基、ヘテロアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリニル基が好ましい。これら置換基は、さらに置換されてもよい。炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上50以下、より好ましくは6以上40以下、特に好ましくは6以上30以下の範囲である。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基等のアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基等のアリールシリル基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。シリル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
シロキサニル基とは、例えば、トリメチルシロキサニル基等のエーテル結合を介したケイ素化合物基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。また、ボリル基とは、置換もしくは無置換のボリル基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。中でも、アリール基、アリールエーテル基が好ましい。また、スルホ基とは、置換もしくは無置換のスルホ基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基等が挙げられる。中でも、直鎖アルキル基、アリール基が好ましい。また、ホスフィンオキシド基とは、−P(=O)R1011で表される基である。R1011は、R〜Rと同様の群から選ばれる。
隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環とは、任意の隣接する2置換基(例えば一般式(2)のRとR)が互いに結合して、共役または非共役の環状骨格を形成することをいう。このような縮合環および脂肪族環の構成元素としては、炭素以外にも、窒素、酸素、硫黄、リンおよびケイ素から選ばれる元素を含んでいてもよい。また、これらの縮合環および脂肪族環は、さらに別の環と縮合してもよい。
一般式(2)で表される化合物は、高い発光量子収率を示し、かつ、発光スペクトルの半値幅が小さいため、効率的な色変換と高い色純度との双方を達成することができる。さらに、一般式(2)で表される化合物は、適切な置換基を適切な位置に導入することで、発光効率、色純度、熱的安定性、光安定性および分散性等の様々な特性や物性を調整することができる。例えば、R、R、RおよびRが全て水素である場合に比べ、R、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基や置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合の方が、より良い熱的安定性および光安定性を示す。
、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基である場合、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基といった炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。さらに、このアルキル基としては、熱的安定性に優れるという観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。また、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させるという観点では、このアルキル基として、立体的にかさ高いtert−ブチル基がより好ましい。また、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、このアルキル基として、メチル基も好ましく用いられる。
、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基が好ましく、さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基である。特に好ましくは、フェニル基である。
、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、キノリニル基、チエニル基が好ましく、さらに好ましくは、ピリジル基、キノリニル基である。特に好ましくは、ピリジル基である。
、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である場合、バインダー樹脂や溶媒への溶解性が良好なため、好ましい。この場合、アルキル基としては、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、メチル基が好ましい。
、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、より良い熱的安定性および光安定性を示すため、好ましい。この場合、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基であることがより好ましい。
複数の性質を向上させる置換基もあるが、全てにおいて十分な性能を示す置換基は限られている。特に、高発光効率と高色純度との両立が難しい。そのため、一般式(2)で表される化合物に対して複数種類の置換基を導入することで、発光特性や色純度等にバランスの取れた化合物を得ることが可能である。
特に、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基の場合、例えば、R≠R、R≠R、R≠RまたはR≠R等のように、複数種類の置換基を導入することが好ましい。ここで「≠」は、異なる構造の基であることを示す。例えば、R≠Rは、R1とR4とが異なる構造の基であることを示す。上記のように複数種類の置換基を導入することにより、色純度に影響を与えるアリール基と発光効率に影響を与えるアリール基とを同時に導入することができるため、細やかな調節が可能となる。
中でも、R≠RまたはR≠Rであることが、発光効率と色純度をバランスよく向上させるという観点から、好ましい。この場合、一般式(2)で表される化合物に対して、色純度に影響を与えるアリール基を両側のピロール環にそれぞれ1つ以上導入し、それ以外の位置に発光効率に影響を与えるアリール基を導入することができるため、これら両方の性質を最大限に向上させることができる。また、R≠RまたはR≠Rである場合、耐熱性と色純度との双方を向上させるという観点から、R=RおよびR=Rであることがより好ましい。
主に色純度に影響を与えるアリール基としては、電子供与性基で置換されたアリール基が好ましい。電子供与性基とは、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団に、電子を供与する原子団である。電子供与性基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、負の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II−380頁)から引用することができる。
電子供与性基の具体例としては、例えば、アルキル基(メチル基のσp:−0.17)やアルコキシ基(メトキシ基のσp:−0.27)、アミノ基(―NHのσp:−0.66)等が挙げられる。特に、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert−ブチル基、メトキシ基が特に好ましく、これらを上記の電子供与性基とした場合、一般式(2)で表される化合物において、分子同士の凝集による消光を防ぐことができる。置換基の置換位置は、特に限定されないが、一般式(2)で表される化合物の光安定性を高めるには結合のねじれを抑える必要があるため、ピロメテン骨格との結合位置に対してメタ位またはパラ位に結合させることが好ましい。一方、主に発光効率に影響を与えるアリール基としては、tert−ブチル基、アダマンチル基、メトキシ基等のかさ高い置換基を有するアリール基が好ましい。
、R、RおよびRが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基である場合、R、R、RおよびRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基であることが好ましい。このとき、R、R、RおよびRは、それぞれ以下のAr−1〜Ar−6から選ばれることがより好ましい。この場合、R、R、RおよびRの組み合わせは特に制限はない。
Figure 2021047313
およびRは、水素、アルキル基、カルボニル基、エステル基、アリール基のいずれかであることが好ましい。中でも、熱的安定性の観点から、水素またはアルキル基が好ましく、発光スペクトルにおいて狭い半値幅を得やすいという観点から、水素がより好ましい。
およびRは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールエーテル基、フッ素、含フッ素アルキル基、含フッ素ヘテロアリール基または含フッ素アリール基、含フッ素アルコキシ基、含フッ素アリールエーテル基、シアノ基が好ましく、励起光に対して安定でより高い蛍光量子収率が得られることから、フッ素、シアノ基または含フッ素アリール基であることがより好ましい。合成の容易さから、フッ素またはシアノ基であることがさらに好ましい。さらに、RもしくはRのいずれか一つはシアノ基であることが好ましい。シアノ基を導入することで耐久性が向上する。
ここで、含フッ素アリール基とは、フッ素を含むアリール基であり、例えば、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基およびペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。含フッ素ヘテロアリール基とは、フッ素を含むヘテロアリール基であり、例えば、フルオロピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基およびトリフルオロピリジル基等が挙げられる。含フッ素アルキル基とは、フッ素を含むアルキル基であり、例えば、トリフルオロメチル基やペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
また、一般式(2)において、Xは、C−Rであることが、光安定性の観点から好ましい。XがC−Rであるとき、一般式(2)で表される化合物の耐久性、すなわち、この化合物の発光強度の経時的な低下には、置換基Rが大きく影響する。具体的には、Rが水素である場合、この部位の反応性が高いため、この部位と空気中の水分や酸素とが容易に反応してしまう。このことは、一般式(2)で表される化合物の分解を引き起こす。また、Rが例えばアルキル基のような分子鎖の運動の自由度が大きい置換基である場合は、確かに反応性は低下するが、色変換シート中で化合物同士が経時的に凝集し、結果的に濃度消光による発光強度の低下を招く。したがって、Rは、剛直で、かつ運動の自由度が小さく凝集を引き起こしにくい基であることが好ましく、具体的には、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基のいずれかであることが好ましい。
より高い蛍光量子収率を与え、より熱分解しづらい点、また光安定性の観点から、XがC−Rであり、Rが置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。アリール基としては、発光波長を損なわないという観点から、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましい。
さらに、一般式(2)で表される化合物の光安定性を高めるには、Rとピロメテン骨格の炭素−炭素結合のねじれを適度に抑える必要がある。何故ならば、過度にねじれが大きいと、励起光に対する反応性が高まる等、光安定性が低下するからである。このような観点から、Rとしては、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基が好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基であることがより好ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換のフェニル基である。
また、Rは、適度にかさ高い置換基であることが好ましい。Rが、ある程度のかさ高さを有することで分子の凝集を防ぐことができ、その結果、一般式(2)で表される化合物の発光効率や耐久性がより向上する。
このようなかさ高い置換基のさらに好ましい例としては、下記一般式(3)で表されるRの構造が挙げられる。
Figure 2021047313
一般式(3)において、rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは1〜3の整数である。kが2以上である場合、rはそれぞれ同じでも異なっても良い。
より高い発光量子収率を与えることができるという観点から、rは、置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。このアリール基の中でも、特に、フェニル基、ナフチル基が好ましい例として挙げられる。rがアリール基である場合、一般式(3)のkは、1もしくは2であることが好ましく、中でも、分子の凝集をより防ぐという観点から2であることがより好ましい。さらに、kが2以上である場合、rの少なくとも1つは、アルキル基で置換されていることが好ましい。この場合のアルキル基としては、熱的安定性の観点から、メチル基、エチル基およびtert−ブチル基が特に好ましい例として挙げられる。
また、蛍光波長や吸収波長を制御したり、溶媒との相溶性を高めたりするという観点から、rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基またはハロゲンであることが好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert−ブチル基、メトキシ基が特に好ましい。rがtert−ブチル基またはメトキシ基であることは、分子同士の凝集による消光を防ぐことについて、より有効である。
また、一般式(2)で表される化合物の別の態様として、R〜Rのうち少なくとも1つが電子求引基であることが好ましい。特に、(1)R〜Rのうち少なくとも1つが電子求引基であること、(2)Rが電子求引基であること、または(3)R〜Rのうち少なくとも1つが電子求引基であり、かつ、Rが電子求引基であること、が好ましい。このように上記化合物のピロメテン骨格に電子求引基を導入することで、ピロメテン骨格の電子密度を大幅に下げることができる。これにより、上記化合物の酸素に対する安定性がより向上し、その結果、上記化合物の耐久性をより向上させることができる。
電子求引基とは、電子受容性基とも呼称し、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団から、電子を引き付ける原子団である。電子求引基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、正の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II−380頁)から引用することができる。なお、フェニル基も、上記のような正の値をとる例もあるが、本発明において、電子求引基にフェニル基は含まれない。
電子求引基の例として、例えば、−F(σp:+0.06)、−Cl(σp:+0.23)、−Br(σp:+0.23)、−I(σp:+0.18)、−CO12(σp:R12がエチル基の時+0.45)、−CONH(σp:+0.38)、−COR12(σp:R12がメチル基の時+0.49)、−CF(σp:+0.50)、−SO12(σp:R12がメチル基の時+0.69)、−NO(σp:+0.81)等が挙げられる。R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のシクロアルキル基を表す。これら各基の具体例としては、上記と同様の例が挙げられる。
一般式(2)において、RおよびRの少なくとも1つが電子求引基であることが好ましい。一般式(2)のRおよびRはピロメテン骨格の電子密度に大きく影響を与える置換位置であり、RおよびRに電子求引基を導入することで、効率的にピロメテン骨格の電子密度を低減することができ、酸素に対する安定性がより向上するため、耐久性をより向上させることができるからである。
さらに、一般式(2)において、RおよびRが電子求引基であることがより好ましい。一般式(2)で表される化合物の酸素に対する安定性がさらに向上し、耐久性を大幅に向上させることができるからである。
電子求引基としては、フッ素原子を含む基であることが好ましい。フッ素原子を含む基であることで、ピロメテン骨格の電子密度をより低減することができ、一般式(2)で表される化合物の酸素に対する安定性が向上し、耐久性を向上させることができる。
好ましい電子求引基としては、フッ素、含フッ素アリール基、含フッ素ヘテロアリール基、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のエステル基、置換もしくは無置換のアミド基、置換もしくは無置換のスルホニル基、置換もしくは無置換のスルホン酸エステル基、置換もしくは無置換のスルホンアミド基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、化学的に分解しにくいからである。
より好ましい電子求引基としては、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のエステル基、置換もしくは無置換のアミド基、置換もしくは無置換のスルホニル基、置換もしくは無置換のスルホン酸エステル基、置換もしくは無置換のスルホンアミド基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させる効果につながるからである。特に好ましい電子求引基は、置換もしくは無置換のエステル基である。
さらに好ましい電子求引基としては、含フッ素アシル基、含フッ素エステル基、含フッ素アミド基、含フッ素スルホニル基、含フッ素スルホン酸エステル基、含フッ素スルホンアミド基が挙げられる。これらの基は、効率的にピロメテンホウ素錯体骨格の電子密度を低減することができる。これにより、一般式(2)で表される化合物の酸素に対する安定性が向上し、この結果、耐久性をより向上させることができる。
中でも、RおよびRの少なくとも一方が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であることが、色純度を落とすことなく、耐久性を向上させることができるため、好ましい。特に、RおよびRが共に、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であることが、耐久性の向上の観点から、特に好ましい。
一般式(2)で表される化合物の好ましい例の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基であって、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(3)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rが置換もしくは無置換のフェニル基として含まれる一般式(3)で表される基であることが特に好ましい。
また、一般式(2)で表される化合物の好ましい例の別の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、上述のAr−1〜Ar−6から選ばれ、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(3)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rがtert−ブチル基、メトキシ基として含まれる一般式(3)で表される基であることがより好ましく、rがメトキシ基として含まれる一般式(3)で表される基であることが特に好ましい。
また、一般式(2)で表される化合物の好ましい例の別の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基であって、かつ、RおよびRがそれぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であり、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(3)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rが置換もしくは無置換のフェニル基として含まれる一般式(3)で表される基であることが特に好ましい。
また、一般式(2)で表される化合物の好ましい例の別の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、上述のAr−1〜Ar−6から選ばれ、かつ、RおよびRがそれぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であり、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(3)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rがtert−ブチル基、メトキシ基として含まれる一般式(3)で表される基であることがより好ましく、rがメトキシ基として含まれる一般式(3)で表される基であることが特に好ましい。
一般式(2)で表される化合物の一例を以下に示すが、この化合物は、これらに限定されるものではない。
Figure 2021047313
Figure 2021047313
Figure 2021047313
Figure 2021047313
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Figure 2021047313
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一般式(2)で表される化合物は、例えば、特表平8−509471号公報や特開2000−208262号公報に記載の方法で合成することができる。すなわち、ピロメテン化合物と金属塩とを塩基共存下で反応させることにより、目的とするピロメテン系金属錯体が得られる。
また、ピロメテン−フッ化ホウ素錯体の合成については、J.Org.Chem.,vol.64,No.21,pp.7813−7819(1999)、Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,vol.36,pp.1333−1335(1997)等に記載されている方法を参考にして、一般式(2)で表される化合物を合成することができる。例えば、下記一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物とをオキシ塩化リン存在下、1,2−ジクロロエタン中で加熱した後、下記一般式(6)で表される化合物をトリエチルアミン存在下、1,2−ジクロロエタン中で反応させ、これにより、一般式(2)で表される化合物を得る方法が挙げられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ここで、R〜Rは、上記説明と同様である。Jは、ハロゲンを表す。
Figure 2021047313
さらに、アリール基やヘテロアリール基の導入の際は、ハロゲン化誘導体とボロン酸あるいはボロン酸エステル化誘導体とのカップリング反応を用いて炭素−炭素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。同様に、アミノ基やカルバゾリル基の導入の際にも、例えば、パラジウム等の金属触媒下でのハロゲン化誘導体とアミンあるいはカルバゾール誘導体とのカップリング反応を用いて炭素−窒素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る色変換シートは、一般式(2)で表される化合物以外に、必要に応じてその他の化合物を適宜含有することができる。例えば、励起光から一般式(2)で表される化合物へのエネルギー移動効率を更に高めるために、ルブレン等のアシストドーパントを含有してもよい。また、一般式(2)で表される化合物の発光色以外の発光色を加味したい場合は、所望の有機発光材料、例えば、クマリン系色素、ローダミン系色素等の有機発光材料を添加することができる。その他、これらの有機発光材料以外でも、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料を組み合わせて添加することも可能である。
以下に、一般式(2)で表される化合物以外の有機発光材料の一例を以下に示すが、本発明は、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 2021047313
<(A)層および(B)層におけるバインダー樹脂>
本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、(A)層および(B)層におけるバインダー樹脂は、成形加工性、透明性、耐熱性等に優れる材料が好適に用いられる。(A)層および(B)層におけるバインダー樹脂の例としては、例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、脂肪族エステル樹脂、芳香族エステル樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、樹脂芳香族ポリオレフィン樹脂等の公知のものが挙げられる。また、バインダー樹脂としては、これらの樹脂の混合物や共重合体を用いても構わない。例えば、メタクリル酸メチルと脂肪族ポリオレフィン樹脂との共重合体等が挙げられる。これらの樹脂を適宜設計することで、本発明の実施の形態に係る色変換シートに有用なバインダー樹脂が得られる。
これらの樹脂の中でも、透明性および有機発光材料の分散性の観点から、(A)層および(B)層におけるバインダー樹脂は、アクリル樹脂、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル部位を含む共重合樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、およびこれらの共重合体のいずれかであることが好ましい。
更に(B)層においては、フルオレン骨格を含むバインダー樹脂であることがより好ましい。
本発明における(B)層にフルオレン骨格を含むバインダー樹脂を使用することにより、発光材料(b)の吸収スペクトルが長波長化するため、発光材料(a)による発光のより長波長成分を吸収することができるため発光材料(a)による発光を狭半値幅化するこが可能となる。また、(B)層にフルオレン骨格を含むバインダー樹脂を使用することにより、発光材料との分散安定化が容易となり、耐久性を改善することができる。なお、この効果は、発光材料が一般式(2)で表される化合物を含有するときに更に大きくなる。本発明の色変換シートに含まれる、フルオレン骨格を含むバインダー樹脂の製造方法は特に限定はないが、例えばラジカル重合や、重縮合によって得ることができる。
本発明の色変換シートに含まれる、フルオレン骨格を含むバインダー樹脂は、フルオレン骨格を含んでいれば特に制限はないが、透明性、耐熱性の観点から、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる一種以上の樹脂を含むのが好ましく、ポリエステル樹脂であることがより好ましい。
以下、本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、(B)層に含有する、フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂の一例について記述する。
フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂としては少なくとも、樹脂の一部の構造がフルオレン骨格を含んでいれば特に制限はなく、例えば、ジオール成分とジカルボン酸成分の少なくとも一方にフルオレン骨格を有するモノマーを用いていればよい。また、ジオール成分またはジカルボン酸成分の一部がフルオレン骨格を有さないモノマーを含んでいてもよい。
本発明の色変換シートに含まれるフルオレン骨格を含む樹脂の具体例としては、一般式(1)が挙げられる。
Figure 2021047313
一般式(1)において、ZおよびZは酸素またはカルボニル基である。L〜Lはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、シクロアルコキシ基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、ならびに隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる基である。W、Wはそれぞれ独立して、単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基およびヘテロアリーレン基の中から選ばれる基である。
樹脂の耐熱性、発光材料との分散安定性の観点から、WおよびWは置換もしくは無置換のアリーレン基であることが好ましい。更に発光材との分散安定性の観点から、WおよびWはフェニレン基であることがより好ましい。
ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
ジカルボン酸成分は、樹脂の要求性能に応じて選択でき、単独、または2種以上組み合わせても良い。エステル形成性誘導体としては、例えば、エステル、酸ハライド、酸無水物などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などがある。
脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロアルカンジカルボン酸、ジまたはトリシクロアルカンジカルボン酸などが含まれ、具体的には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸、1,4−デカリンジカルボン酸、1,5−デカリンジカルボン酸などがある。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸などのC1−4アルキルベンゼンジカルボン酸など)、ナフタレンジカルボン酸(例えば、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸など)、アリールアレーンジカルボン酸(4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)、ジアリールアルカンジカルボン酸(4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸など)、ジアリールケトンジカルボン酸(4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸など)、フルオレン骨格を有するジカルボン酸{例えば、9,9−ジ(カルボキシアルキル)フルオレン[例えば、9,9−ジ(カルボキシメチル)フルオレン、9,9−ジ(2−カルボキシエチル)フルオレンなどの9,9−ジ(カルボキシC1−4アルキル)フルオレン]、9,9−ビス(カルボキシアリール)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレンなど]、ジカルボキシフルオレン(例えば、2,7−ジカルボキシフルオレン)、9,9−ジアルキル−ジカルボキシフルオレン(例えば、2,7−ジカルボキシ−9,9−ジメチルフルオレンなど)など}などが挙げられる。
そのほかにも9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸も用いることができる。9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸の9位のアルキル基は炭素数1〜10のアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1〜10の直鎖アルキル基である。特に、発光材料の分散性を向上させる点で、9位のアルキル基がメチル基であることが好ましい。
なお、ジカルボン酸成分は、芳香族ジカルボン酸成分を主成分として構成する場合、ジカルボン酸成分全体に対する芳香族ジカルボン酸成分の割合は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、さらにより好ましくは90モル%以上であってもよい。
ジオール成分としては脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオールなどがある。脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ノナンジオール、ダイマージオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどのC2−10アルカンジオールや、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオール等が挙げられる。
脂環族ジオールとしては例えば、シクロヘキサンジオールなどのC5−8シクロアルカンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C5−8シクロアルカン)、トリシクロデカンジメタノールが挙げられる。
芳香族ジオールとしてはハイドロキノン、レゾルシノールなどのジヒドロキシアレーン、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C6−10アレーンなど、ビスフェノールAなどのビスフェノール類、一般式(1)で表されるフルオレン骨格を含むジオールなどがある。これらは単独でも、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
フルオレン骨格を含むジオール成分の構造は例えば一般式(1)で表すことができる。中でもL〜Lの好ましい基としては、アルキル基(例えばC1−6のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などが挙げられる。さらに好ましい基としては、アルキル基(C1−4アルキル(特にメチル)など)アリール基(例えばC6−10アリール基(特にフェニル基))などが挙げられる。
フルオレン骨格を有するジオールには、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類、または9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン骨格を有する化合物、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類、または9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン骨格を有する化合物などが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類などが含まれる。
また、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類としては、前記9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類に対応し、フェニル基がナフチル基に置換した化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシナフチル)フルオレン類などが含まれる。
そのほかにもフルオレン−9,9−ジアルコール類も用いることができる。フルオレン−9,9−ジアルコールの9位のアルコールは、炭素数1〜3のアルキルアルコール(即ち、ヒドロキシアルキル基)であり、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基などが好適である。特に、発光材料の分散性を向上させる点でヒドロキシメチル基であることが好ましい。
フルオレン骨格を有するジオール成分として、重合性や発光材料との相溶性の観点から、一般式(1)で表されるフルオレン骨格を有することが好適である。
フルオレン骨格を有するジオールは、単独又は2種以上組み合わせてもよい。
前記ジオール成分は、前記フルオレン骨格を有するジオールのみで構成してもよく、フルオレン骨格を有するジオールと、脂肪族ジオール成分などの他のジオール成分(非フルオレン系ジオール成分)とを含んでいてもよい。
非フルオレン系ジオール成分は、単独又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのうち、耐熱性の点から、脂肪族ジオール特に、アルカンジオール(例えば、エチレングリコールなどのC2−4アルカンジオール)などの低分子量の脂肪族ジオール成分が好ましい。
ジオール成分において、フルオレン骨格を有するジオールの割合は、ジオール成分全体に対して、30モル%以上であることが好ましい。30モル%以上であることにより、発光材料を分散安定化する効果が高くなり、発光材料の耐久を向上させることができる。この効果をより高くするため、ジオール成分において、フルオレン骨格を有するジオールの割合は、ジオール成分全体に対して、50モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。
前記フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂は、公知の反応手段により製造することができ、例えば前記ジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを反応(重合又は縮合)させることにより製造できる。重合方法(製造方法)としては、使用するジカルボン酸成分の種類などに応じて適宜選択でき、慣用の方法、例えば、溶融重合法(ジカルボン酸成分とジオール成分とを溶融混合下で重合させる方法)、溶液重合法、界面重合法などが例示できる。好ましい方法は、溶融重合法である。
市販品の例としては、大阪ガスケミカル株式会社製 “OKP”(登録商標)4や“OKP”(登録商標)−A1等を挙げることができるが、これらに限定されない。
フルオレン骨格を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは20,000以上であり、500,000以下、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下である。重量平均分子量が上記範囲内にあれば、発光材料との相溶性が良好であり、かつ、より高い耐久性の色変換組成物が得られる。
本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)によって測定した値である。具体的には、サンプルを孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過後、GPC(東ソー(株)製HLC−82A)(展開溶剤:トルエン、展開速度:1.0ml/分、カラム温度25℃、カラム:東ソー株式会社製 TSKgelG2000HXL)を用いてポリスチレン換算により求められる値である。
本発明の(B)層に含まれるフルオレン骨格を有する分子構造は、特に制限はないが、発光材料との相溶性が向上し、耐久性を向上させることができる観点から、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がさらに好ましく、75モル%以上が特に好ましい。また、適切な膜硬度とすることができ、製膜時のクラック等の問題を抑制することができる観点から99モル%以下が好ましく、95モル%以下がさらに好ましい。
フルオレン骨格を有する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、発光材料との相溶性が向上し、耐久性を向上させることができる観点から、50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、120℃以上が特に好ましい。また、適切な膜硬度とすることができ、製膜時のクラック等の問題を抑制することができる観点からTgは200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、170℃以下がさらに好ましく、160℃以下が特に好ましい。
上記範囲内であれば、該層から形成される色変換シートにおいて、より高い耐久性を得ることができる。Tgが50以上200℃以下であるものの具体例としては大阪ガスケミカル株式会社製“OKP”(登録商標)4や“OKP”(登録商標)−A1などがあるがこれらのなかでも“OKP”(登録商標)4が好ましい。
ガラス転移点は、市販の測定器(例えば、日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量測定装置(DSC7000X)昇温速度10℃/分)によって、測定可能である。
これらの樹脂の合成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができ、市販品を用いることもできる。
<光取り出し層>
本発明に係る色変換シートは、光取り出し効率を向上させるために光取出し層を含む。光取り出し層の構成や組成は特に限定はないが、光取り出し効率や塗布性の観点から、拡散粒子とバインダー樹脂を含むことが好ましい。
拡散粒子については、例として、シリカ系等の無機粒子、シリコーン−アクリル系等の有機無機粒子、およびメラミン系やアクリル系等の有機粒子等が上げられ、バインダー樹脂については、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
本発明に係る色変換シートに使用する光取り出し層の製造方法の例としては、前記バインダー樹脂中に拡散粒子を分散し、透明支持体に塗工する方法等が挙げられる。透明支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アセチルセルロース、塩化ビニル樹脂などのプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明に使用する光取り出し層の膜厚は特に限定はないが、塗布性や、取り扱いの容易さから、30〜150μmが好ましい。
<その他添加剤>
本発明に係る色変換シートは、前記(A)層および(B)層中のバインダー樹脂、発光材料以外に、充填剤、酸化防止剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤、塗布膜安定化のための分散剤やレベリング剤、可塑剤、エポキシ化合物などの架橋剤、アミン・酸無水物・イミダゾールなどの硬化剤、顔料、シート表面の改質剤としてシランカップリング剤等の接着補助剤等を添加することも可能である。
充填剤としてはフュームドシリカ、ガラス粉末、石英粉末等の微粒子、酸化チタン、酸化ジルコニア、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、シリコーン微粒子を挙げることができるが特に限定されるものではない。また、これらの充填剤は単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤を挙げることができるが特に限定されるものではない。また、これらの酸化防止剤は単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
加工および熱安定化剤としては、トリブチルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリエチルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン等のリン系安定化剤を挙げることができるが特に限定されるものではない。また、これらの安定化剤は単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
耐光性安定化剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類を挙げることができるが特に限定されるものではない。また、これらの耐光性安定化剤は単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
本発明に係る色変換シートにおけるこれらの添加剤の含有量は、化合物のモル吸光係数、蛍光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製するシートの厚みや透過率にもよるが、通常は(B)成分の100質量部に対して、1.0×10−3質量部以上30質量部以下であり、1.0×10−2質量部以上15質量部以下であることがさらに好ましく、1.0×10−1質量部以上10質量部以下であることが特に好ましい。
<溶媒>
本発明に係る色変換シートは溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、流動状態の樹脂の粘度を調整でき、発光物質の発光および耐久性に過度な影響を与えないものであれば、特に限定されない。例えば、水、2−プロパノール、エタノール、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、テルピネオール、テキサノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、これらの溶媒を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの溶媒の中で特に酢酸エチル、テトラヒドロフランは、一般式(2)で表される化合物の劣化に影響を与えず、乾燥後の残存溶媒が少ない点で好適に用いられる。
<色変換シートの作製方法>
以下に、本発明の実施の形態に係る色変換シートの作製方法の一例を説明する。この色変換シートの作製方法では、まず、色変換層作製用の組成物を以下のように作製する。
前述した発光材料、樹脂、溶剤等を所定量混合する。上記の成分を所定の組成になるよう混合した後、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等の撹拌・混練機で均質に混合分散することで、色変換組成物が得られる。混合分散後、もしくは混合分散の過程で、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。また、ある特定の成分を事前に混合することや、エージング等の処理をしても構わない。エバポレーターによって溶剤を除去して所望の固形分濃度にすることも可能である。
本発明において色変換シートの代表的な構造例として、前述した図1や図2が挙げられ、更には、色変換層の酸素、水分や熱による劣化を防ぐために、図3に示すようにバリア層8を設けても良い。
色変換シートの厚みは特に制限はないが、全ての層の合計で1〜5000μmであることが好ましい。1μm以上であることで十分な膜強度を担保することができ、膜の破断等の問題が発生しにくくなる。5000μm以下であることによりハンドリング性に優れたシートを得ることができる。より好ましくは、10〜1000μmであり、さらに好ましくは15〜500μmであり、特に好ましくは30〜300μmである。
本発明における色変換シートに関する膜厚は、JIS K7130(1999)プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法における機械的走査による厚さの測定方法A法に基づいて測定される膜厚(平均膜厚)のことをいう。
<基材層>
基材層としては、特に制限無く公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を使用することができる。具体的には、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄などの金属板や箔、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミド、シリコーン、ポリオレフィン、熱可塑性フッ素樹脂で、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)などのプラスチックのフィルム、α−ポリオレフィン樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびこれらとエチレンの共重合樹脂からなるプラスチックのフィルム、前記プラスチックがラミネートされた紙、または前記プラスチックによりコーティングされた紙、前記金属がラミネートまたは蒸着された紙、前記金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルムなどが挙げられる。また、基材が金属板の場合、表面にクロム系やニッケル系などのメッキ処理やセラミック処理されていてもよい。
これらの中でも、色変換シートの作製のし易さや色変換シートの成形のし易さからガラスや樹脂フィルムが好ましく用いられる。また、フィルム状の基材を取り扱う際に破断などの恐れがないように強度が高いフィルムが好ましい。それらの要求特性や経済性の面で樹脂フィルムが好ましく、これらの中でも、経済性、取り扱い性の面でPET、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリプロピレンからなる群より選ばれるプラスチックフィルムが好ましい。また、色変換シートを乾燥させる場合や色変換シートを押し出し機により200℃以上の高温で圧着成形する場合は、耐熱性の面でポリイミドフィルムが好ましい。シートの剥離のし易さから、基材層は、あらかじめ表面が離型処理されていてもよい。
基材層の厚さは特に制限はないが、下限としては5μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、38μm以上がさらに好ましい。また、上限としては5000μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましい。
<色変換層>
次に、本発明の色変換シートに含まれる色変換層の製造方法の一例を説明する。上述した方法で作製した色変換組成物を基材上に塗布し、乾燥させる。塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等により行うことができる。色変換層の膜厚均一性を得るためにはスリットダイコーターやディップコーターで塗布することが好ましい。
色変換層の乾燥は熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置を用いて行うことができる。色変換シートの加熱には、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置が用いられる。この場合、加熱条件は、通常、40〜250℃で1分〜5時間、好ましくは60℃〜200℃で2分〜4時間である。また、ステップキュア等の段階的に加熱硬化することも可能である。
色変換層を作製した後、必要に応じて基材を変更することも可能である。この場合、簡易的な方法としてはホットプレートを用いて貼り替えを行なう方法や、真空ラミネーターやドライフィルムラミネーターを用いた方法などが挙げられるが、これらに限定されない。
色変換層の厚みは特に制限はないが、1〜1000μmであることが好ましく、10〜1000μmがより好ましい。1μm以上であることで十分な膜強度を担保することができ、膜の破断等の問題が発生しにくくなる。5000μm以下であることによりハンドリング性に優れたシートを得ることができる。より好ましくは、10〜100μmであり、さらに好ましくは15〜100μmであり、特に好ましくは30〜100μmである。
<バリア層>
バリア層としては、色変換層に対してガスバリア性を向上する場合などにおいて適宜用いることができる。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウムなどの無機酸化物や、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化窒化ケイ素などの無機窒化物、またはこれらの混合物、またはこれらに他の元素を添加した金属酸化物薄膜や金属窒化物薄膜、あるいはポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニルのけん化物等のポリビニルアルコール系樹脂などの各種樹脂から成る膜を挙げることができる。また、水分に対してバリア機能を有する膜としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンと塩化ビニル、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合物、フッ素系樹脂、酢酸ビニルのけん化物等のポリビニルアルコール系樹脂などの各種樹脂から成る膜を挙げることができる。
バリア層は、色変換層の両面に設けられてもよいし、片面だけに設けられてもよい。
また、色変換シートの要求される機能に応じて、光取り出し層、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、ハードコート機能(耐摩擦機能)、帯電防止機能、防汚機能、電磁波シールド機能、赤外線カット機能、紫外線カット機能、偏光機能、調色機能を有した補助層をさらに設けてもよい。
本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、有機発光材料は、(A)層または(B)層の各層にそれぞれ少なくとも1種類含まれていればよく、2種類以上含まれていてもよい。
複数種類の有機発光材料の混合例として、例えば、(A)層は、発光材料(a)の他に、ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を呈する発光材料(a)とは異なる種類の発光材料(a’)を含有してもよい。(B)層は、発光材料(b)の他に、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料(b)とは異なる種類の発光材料(b’)を含有してもよい。ここで、異なる種類の発光材料というのは、双方の構造式が一致しないことを言う。
本発明の実施の形態に係る色変換シート内に、(A)層および(B)層は、それぞれ複数層含まれてもよい。その場合、複数の(A)層の各層における組成や形態は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。同様に、複数の(B)層の各層における組成や形態は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
<励起光>
励起光の種類は、一般式(2)で表される化合物等の混合する発光物質が吸収可能な波長領域に発光を示すものであればいずれの励起光でも用いることができる。例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機ELなどの蛍光性光源、有機エレクトロルミネッセンス素子光源、LED光源、白熱光源などいずれの励起光でも原理的には利用可能であるが、中でもLEDが好適な励起光であり、ディスプレイや照明用途では、青色光の色純度を高められる点で、400〜500nmの範囲の励起光を持つ青色LEDがさらに好適な励起光である。励起光の波長範囲がこれより長波長側にあると青色光が欠如するために白色光が形成できなくなり、また励起光の波長範囲がこれより短波長側にあると、一般式(2)で表される化合物等の発光物質あるいは樹脂等の有機化合物が光劣化しやすいので好ましくない。
励起光は1種類の発光ピークを持つものでもよく、2種類以上の発光ピークを持つものでもよいが、色純度を高めるためには1種類の発光ピークを持つものが好ましい。また、発光ピークの種類の異なる複数の励起光源を任意に組み合わせて使用することも可能である。
<光源ユニット>
本発明における光源ユニットは、少なくとも光源および色変換シートを含む構成であり、光源、(B)層、樹脂層、(A)層、光取り出し層の順で配置することが好ましい。代表的な構成の例としては、図4で示すように、基板9、反射層10、光源11を積層させ、拡散板12とプリズムシート13との間には本発明の色変換シート6を配置し、更にプリズムシート13の光源とは反対側の面に偏光反射性フィルム14を配置する構成がある。図4の光源はいわゆる直下型の構成であるが、光源の配置は特に限定されない。光源ユニットに色変換シートを含む場合は、光源と色変換シートの配置方法については、前述した順序の構成以外は特に限定されず、光源と色変換シートを密着させた構成を取っても良いし、光源と色変換シートを離したリモートフォスファー形式を取っても良い。また、色純度を高める目的で、さらにカラーフィルターを含む構成を取っても良い。
前述の通り、400〜500nmの範囲の励起光は比較的小さい励起エネルギーであり、一般式(2)で表される化合物等の発光物質の分解を防止できるので、光源は400〜500nmの範囲に極大発光を有する発光ダイオードであることが好ましい。
本発明における光源ユニットは、ディスプレイ、照明、インテリア、標識、看板、などの用途に使用できるが、特にディスプレイや照明用途に特に好適に用いられる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<蛍光スペクトルの測定>
化合物の蛍光スペクトルは、F−2500形分光蛍光光度計(日立製作所株式会社製)を用い、化合物をトルエンに1×10−6mol/Lの濃度で溶解させ、波長460nmで励起させた際の蛍光スペクトルを測定した。
<吸収スペクトルの測定>
化合物の吸収スペクトルは、U−3200形分光光度計(日立製作所(株)製)を用い、化合物をトルエンに1×10−6mol/Lの濃度で溶解させて測定を行った。
<ストークスシフトの算出>
発光材料(a)のストークスシフトは、蛍光スペクトルおよび吸収スペクトルで測定した最大励起波長と最大発光波長の差で算出した。
<屈折率の測定>
各層の屈折率(n、n、n)は、反射分光計 FE−3000(大塚電子株式会社製)を用い、PETフィルム上に塗布して形成した樹脂膜の波長589.3nmの光に対する屈折率を測定した。樹脂膜は、平均膜厚が30μmのものであり、ベーカー式アプリケーターを用いて、樹脂溶液を、“ルミラー”U48(東レ株式会社製、厚さ50μm)上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して形成した。
<色変換特性の測定>
各色変換シートおよび青色LED(USHIO EPITEX社製;型番SMBB450H−1100、発光ピーク波長:450nm)を搭載した発光装置に、100mAの電流を流して青色LEDを点灯させ、分光放射輝度計(CS−1000、コニカミノルタ社製)を用いて、発光スペクトル、ピーク波長における発光強度および色度を測定した。なお、各色変換シートと青色LED素子との距離は3cmとした。
<光耐久性のテスト>
各色変換シートおよび青色LED(USHIO EPITEX社製;型番SMBB450H−1100、発光ピーク波長:450nm)を搭載した発光装置に、100mAの電流を流して青色LEDを点灯させ、分光放射輝度計(CS−1000、コニカミノルタ社製)を用いて、色変換された発光波長におけるピーク強度を測定した。なお、各色変換シートと青色LED素子との距離を3cmとした。その後、50℃、80%RHの環境下で青色LED素子からの光を連続照射し、蛍光体の発光強度が初期値から10%低下するまでの時間を観測することで、色変換シートの耐久性を評価した。蛍光体の発光強度が初期値から10%低下するまでの時間が100時間以上であれば実使用上問題なく、200時間以上であれば良好であり、500時間以上であれば極めて良好である。
<発光材料>
下記実施例および比較例において、化合物G−1およびR−1は以下に示す化合物である。
Figure 2021047313
Figure 2021047313
化合物G−1は公知の方法により合成した。
G−2:SIGMA−ALDRICH製の量子ドット(製品番号776793)を用いた。
化合物R−1は公知の方法により合成した。
<樹脂>
樹脂A:共栄社化学株式会社製のオリコックスKC−7000のアクリル樹脂を用いた。
樹脂B:信越化学工業株式会社製のKR−114Bのシリコーン樹脂を用いた。
樹脂C:東洋紡株式会社製の“Vylon”(登録商標)270のポリエステル樹脂を用いた。
樹脂D:東洋紡株式会社製の“Vylon”(登録商標)630のポリエステル樹脂を用いた。
樹脂E:大阪ガスケミカル製の“OKP”(登録商標)4を用いた。樹脂Eは一般式(1)の構造を有し、WおよびWにフェニレン基を有するガラス転移点121℃のポリエステル樹脂であった。
樹脂F:樹脂Fは以下の方法に従って合成したものを使用した。
<樹脂Fの合成>
モノマー成分として、メタクリル酸メチル59.0質量部とスチレン41.0質量部、および、重合開始剤として、0.005質量部のt−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、からなるモノマー組成物100質量部に対し、溶媒としてジエチレングリコールジエチルエーテルを400質量部の割合で混合し、ヘリカルリボン付き10リットル混合槽に1kg/時間で連続的にフィードして、平均滞留時間2.5時間、重合温度150℃で連続重合を行った。重合槽液面が一定となるように、底部から重合液を抜き出し、150℃に維持しながら、ベント口を備えた押出機に導入して揮発分を脱揮しつつ樹脂を押し出した。得られた樹脂をジオキサンに溶解し、10mass%ジオキサン溶液を調製した。1000mLオートクレーブ装置に10mass%ジオキサン溶液を500質量部、10mass%Pd/C(和光純薬(株)製)を1質量部仕込み、水素圧10MPaで、200℃で15時間保持して、スチレン由来の芳香環の水素化反応を行った。フィルターによりPd/Cを除去した後、得られた樹脂液をメタノール中に沈殿精製することで、樹脂Fを得た。
(実施例1)
樹脂A100質量部に対して、発光材料として化合物G−1を0.20質量部、溶媒としてトルエンを300質量部混合した後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”(登録商標)KK−400(クラボウ(株)製)を用い、1000rpmで20分間撹拌・脱泡して(A)層作成用の樹脂液を得た。
同様に樹脂Bを用いて樹脂100質量部に対して、溶剤としてヘプタンを200質量部混合した後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”(登録商標)KK−400(クラボウ(株)製)を用い、300rpmで20分間撹拌・脱泡して樹脂層作成用の樹脂液を得た。
同様に樹脂Eを用いて樹脂100質量部に対して、発光材料として化合物R−1を0.08質量部、溶剤としてトルエンを200質量部混合した後、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”(登録商標)KK−400(クラボウ(株)製)を用い、300rpmで20分間撹拌・脱泡して(B)層作成用の樹脂液を得た。
次に、スリットダイコーターを用いて(A)層作成用樹脂液を、光取り出し層であるケミカルマット125PW((株)きもと製、厚さ138μm)のPET基材層側に塗布し、120℃で20分加熱、乾燥して平均膜厚20μmの(A)層を形成した。
同様にスリットダイコーターを用いて(A)層上に樹脂層作成用樹脂液を塗布し、120℃で20分加熱、乾燥して平均膜厚10μmの樹脂層を形成した。
同様にスリットダイコーターを用いて(B)層作成用樹脂液を“ルミラー”(登録商標)U48(東レ株式会社製、厚さ50μm)上に塗布し、120℃で20分加熱、乾燥して平均膜厚15μmの(B)層を形成した。
次に、上記2つのユニットを、樹脂層と(B)層が直接積層するように加温ラミネートすることで、「光取り出し層/(A)層/樹脂層/(B)層」という構成の色変換シートを作製した。この積層順パターンをパターン1とした。また、色変換特性および光耐久性評価については(B)層の面が光源側になるように配置して行った。
作製した色変換シートを用いて前述の方法にて色変換特性を測定したところ、緑の発光ピークでは半値幅30nm、ストークスシフト15nm、および赤の発光ピークでは半値幅が50nmであった。また、前述の方法にて各層の屈折率を測定したところ、n=1.49、n=1.61、n=1.41であった。前述の方法にて光耐久性のテストを行ったところ、発光波長におけるピーク強度が初期値から10%低下するまでの時間は500時間であった。後述の樹脂層のない比較例1と比べ大幅に(A)層の発光の半値幅が狭くなった。また、(B)層にフルオレン骨格を持つ樹脂を用いることにより、光耐久性が大幅に向上することがわかった。
(実施例2)
(B)層の樹脂を樹脂Dに変更した以外は実施例1と同様の操作にて色変換シートを作製した。作製した色変換シートの色特性を測定したところ、緑の発光ピークでは半値幅35nm、ストークスシフト15nm、および赤の発光ピークでは半値幅が50nmであった。また、前述の方法にて各層の屈折率を測定したところ、n=1.49、n=1.55、n=1.41であった。前述の方法にて光耐久性のテストを行ったところ、発光波長におけるピーク強度が初期値から10%低下するまでの時間は300時間であった。後述の比較例1と比べて大幅に半値幅が狭くなるが、フルオレン骨格を含む樹脂Eの場合よりも半値幅が広くなることが分かった。
(実施例3)
樹脂層の樹脂をCに変更した以外は実施例2と同様の操作にて色変換シートを作製した。作製した色変換シートの色特性を測定したところ、緑の発光ピークでは半値幅37nm、ストークスシフト15nm、および赤の発光ピークでは半値幅が50nmであった。また、前述の方法にて各層の屈折率を測定したところ、n=1.49、n=1.55、n=1.57であった。前述の方法にて光耐久性のテストを行ったところ、発光波長におけるピーク強度が初期値から10%低下するまでの時間は100時間であった。実施例1と比べてnがnよりも大きいと緑の発光ピークにおける半値幅が広くなることがわかった。また、樹脂層に樹脂Cを用いることにより、実施例2よりも光耐久性の向上が小さいことが分かった。
(実施例4)
(A)層の樹脂を樹脂Fに変更した以外は実施例1と同様の操作にて色変換シートを作製した。作製した色変換シートの色特性を測定したところ、緑の発光ピークでは半値幅30nm、ストークスシフト15nm、および赤の発光ピークでは半値幅が50nmであった。また、前述の方法にて各層の屈折率を測定したところ、n=1.49、n=1.61、n=1.41であった。前述の方法にて光耐久性のテストを行ったところ、発光波長におけるピーク強度が初期値から10%低下するまでの時間は600時間であった。(A)層に樹脂Fを用いることにより、実施例1よりもさらに光耐久性が向上することがわかった。
(比較例1)
樹脂層を形成しない以外は実施例2と同様の操作にて色変換シートを作製した。作製した色変換シートの色特性を測定したところ、緑の発光ピークでは半値幅40nm、ストークスシフト15nm、および赤の発光ピークでは半値幅が50nmであった。また、前述の方法にて各層の屈折率を測定したところ、n=1.49、n=1.55であった。前述の方法にて光耐久性のテストを行ったところ、発光波長におけるピーク強度が初期値から10%低下するまでの時間は100時間であった。
(比較例2)
積層順を「光取り出し層/(B)層/樹脂層/(A)層」に変更した以外は実施例2と同様の操作にて色変換シートを作製した。なお、この積層順パターンをパターン2とした。また、色変換特性および光耐久性評価については(A)層の面が光源側になるように配置して行った。
作製した色変換シートの色特性を測定したところ、緑の発光ピークでは半値幅40nm、ストークスシフト15nm、および赤の発光ピークでは半値幅が50nmであった。また、前述の方法にて各層の屈折率を測定したところ、n=1.49、n=1.55、n=1.41であった。前述の方法にて光耐久性のテストを行ったところ、発光波長におけるピーク強度が初期値から10%低下するまでの時間は300時間であった。積層順を変えることにより緑の発光ピークの半値幅が大きくなることがわかった。
(比較例3)
樹脂層の樹脂をAに変更した以外は実施例2と同様の操作にて色変換シートを作製した。作製した色変換シートの色特性を測定したところ、緑の発光ピークでは半値幅40nm、ストークスシフト15nm、および赤の発光ピークでは半値幅が50nmであった。また、前述の方法にて各層の屈折率を測定したところ、n=1.49、n=1.55、n=1.49であった。前述の方法にて光耐久性のテストを行ったところ、発光波長におけるピーク強度が初期値から10%低下するまでの時間は100時間であった。n=nの条件になると緑の発光ピークにおける半値幅が大きくなることがわかった。
Figure 2021047313
1 基材層
2 (B)層
3 樹脂層
4 (A)層
5 光取り出し層
6 色変換シート
7 他の樹脂層
8 バリア層
9 基板
10 反射層
11 光源
12 拡散板
13 プリズムシート
14 偏光反射性フィルム
15 光源ユニット

Claims (15)

  1. 入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換シートであり、光取出し層、樹脂層、および以下の(A)層、(B)層を少なくとも含み、光取り出し層、(A)層、樹脂層、(B)層の順で積層し、(A)層の屈折率をn、(B)層の屈折率をn、樹脂層の屈折率をnとしたとき、n≠nおよびn≠nであることを特徴とする色変換シート。
    (A)層 ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を呈する発光材料(a)、およびバインダー樹脂を含有する層
    (B)層 ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料(b)、およびバインダー樹脂を含有する層
  2. 前記(A)層における発光の半値幅が50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の色変換シート。
  3. 前記樹脂層の屈折率が、n>nであることを特徴とする請求項1または2に記載の色変換シート。
  4. 前記樹脂層が、シリコーン樹脂層を含む請求項1〜3のいずれかに記載の色変換シート。
  5. 前記(B)層が一般式(1)で表されるポリエステル樹脂を含む請求項1〜4のいずれかに記載の色変換シート。
    Figure 2021047313
    (ZおよびZは酸素またはカルボニル基である。L〜Lはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、シクロアルコキシ基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、ならびに隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる基である。W〜Wはそれぞれ独立して、単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基およびヘテロアリーレン基の中から選ばれる基である。)
  6. およびWがそれぞれ独立したフェニレン基である、請求項5に記載の色変換シート。
  7. 前記光取出し層が、拡散粒子とバインダー樹脂を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の色変換シート。
  8. 前記発光材料(a)のストークスシフトが10nm〜50nmである、請求項1〜7のいずれかに記載の色変換シート。
  9. 発光材料(a)および発光材料(b)の少なくとも一方が一般式(2)で表される化合物である、請求項1〜8のいずれかに記載の色変換シート。
    Figure 2021047313
    (XはC−RまたはNである。R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。)
  10. 一般式(2)において、XがC−Rであり、Rが一般式(3)で表される基である、請求項9に記載の色変換シート。
    Figure 2021047313
    (rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは1〜3の整数である。kが2以上である場合、rはそれぞれ同じでも異なっても良い。)
  11. 光源および請求項1〜10のいずれかに記載の色変換シートを含む、光源ユニット。
  12. 前記光源が400nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードである、請求項11に記載の光源ユニット。
  13. 前記ユニットが、光源、(B)層、樹脂層、(A)層、光取り出し層の順で構成される、請求項11または12に記載の光源ユニット。
  14. 請求項11〜13のいずれかに記載の光源ユニットを含む、ディスプレイ。
  15. 請求項11〜14のいずれかに記載の光源ユニットを含む、照明装置。
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