上記の本発明のブラストチラーにおいて、前記シャッターは、前記下フレームに移動可能に設けられていてもよい。かかる態様によれば、カートを冷却室に収納すれば、カートの支持柱によって、シャッターは開位置へ移動される。このため、下フレームにシャッターが設けられているにもかかわらず、冷却室に対するカートの収納作業性は、従来のブラストチラーと変わらない。
前記シャッターは、水平面内で回動可能に前記下フレームに設けられていてもよい。かかる態様によれば、切り欠きを開閉可能なようにシャッターを下フレームに設ける構成を、簡単化且つ小型化することができる。
前記切り欠きが閉じられるように前記シャッターが付勢されていてもよい。かかる態様によれば、切り欠きをシャッターで閉じるのを忘れて冷却してしまうという誤操作を防ぐことができ、また、冷却室にカートを収納していない状態で冷却室内の冷気が外界に漏れ出る可能性を更に少なくすることができる。
前記トレー保持部が前記冷却室に収納されたとき、前記下フレームと前記支持柱とが共通する一平面を構成してもよい。かかる態様は、カートを冷却室に収納した状態において、冷却室内の冷気が外界に漏れ出る可能性を低下させるのに有利である。
前記シャッターが前記切り欠きを閉じているとき、前記下フレームと前記シャッターとが共通する一平面を構成してもよい。かかる態様は、カートを冷却室に収納していない状態において、冷却室内の冷気が外界に漏れ出る可能性を低下させるのに有利である。
前記下フレームが取り外し可能であってもよい。かかる態様によれば、カートに応じて下フレームを交換することが可能になる。このため、ブラストチラーに使用可能なカートの種類が増大する。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の各図に示された各部材を変更または省略し得る。同じ部材には、異なる図面において同じ符号が付してある。
図1は、本発明の一実施形態にかかるブラストチラー1とカート100を示した斜視図である。以下の説明の便宜のため、図示したように、上下方向をZ軸、ブラストチラー1に対してカート100を出し入れする方向(以下、これを「前後方向」という)をY軸とするXYZ直交座標系を設定する。ブラストチラー1の「前」側とは、手前側、即ち開口12が設けられた側をいい、ブラストチラー1の「後ろ」側とは、冷却室11の奥側、即ち開口12とは反対側をいう。一方、カート100は水平面(XY面)内で自由に移動可能であるが、図1に示したようにブラストチラー1の開口12にカート100を出し入れ可能に対向させた状態のカート100に対してXYZ直交座標系を設定する。カート100の「前」側とは、図1においてカート100をブラストチラー1の開口12に挿入するときのカート100の移動方向の前側をいい、カート100の「後ろ」側とは前記移動方向の後ろ側をいう。
ブラストチラー1は、全体として中空の略直方体形状を有する冷却庫本体10を備える。冷却庫本体10は、各壁が発泡樹脂等の断熱材が内蔵された断熱板で構成された断熱箱体である。冷却庫本体10は、その内部に、被冷却物を収納するための冷却室(収納室)11を備える。冷却庫本体10の前面には、冷却室11に通じる開口12が設けられている。開口12は、水平面内で回動する片開き式の扉40で開閉可能である。冷却室11の開口12は、略矩形のフレーム13で規定される。フレーム13は、左右方向(X軸)に平行な上フレーム13a及び下フレーム13bと、上下方向(Z軸)に平行な左フレーム13c及び右フレーム13dとで構成される。フレーム13a,13b,13c,13dのそれぞれの前面(扉40を閉めたときに扉40に対向する面)は、XZ面に平行な共通する一平面を構成する。
扉40は、略矩形の断熱薄板であり、その内面(扉40を閉じたとき冷却室11に対向する面)の外周に沿ってパッキン43が設けられている。パッキン43は、水平方向に平行な上パッキン43a及び下パッキン43bと、上下方向に平行な右パッキン43c及び左パッキン43dとを含み、これらが略矩形を構成するように配置されている。パッキン43の内側において略矩形の領域が突出して凸部42を構成している。パッキン43としては、制限はなく、例えば外力によって比較的容易に変形可能であり且つガスシール性を有する材料(例えば、ゴム、発泡体)を用いることができ、従来のブラストチラーに用いられるパッキンと同種のものであってもよい。
冷却庫本体10内には、冷却室11に隣接して冷却ユニット(図示せず)が設置されている。冷却ユニットは、ブラストチラーの開口12に隣接する前面パネル17の背後に位置する。冷却ユニットは、一般的なブラストチラーに設けられるものと同様に、冷却器と、冷却器に対して冷却室11側に配された冷却ファンとを備える。冷却器は、冷媒が通過する冷却コイルの外周面に多数の冷却フィンが取り付けられたものである。冷却ファンは、いわゆるプロペラファンであり、冷却器で冷却された冷気を冷却室11に向かって送り出す。
冷却庫本体10の天板上の、4つの壁で囲まれた矩形の領域21内には、冷媒を圧縮するコンプレッサーや、冷媒を冷却し液化するコンデンサなどが設置される(いずれも図示せず)。
冷却庫本体10の下面から複数(本実施形態では6つ)の脚25が突出している(図1では4つの脚25のみが見える)。脚25は、冷却庫本体10の下面を、ブラストチラー1が設置された床面から所定距離だけ離間させている。
カート100は、トレー保持部110と、台車120と、トレー保持部110と台車120とをつなぐ一対の支持柱125とを備える。
トレー保持部110は、水平面(XY面)に沿った略「U」字形状(または略「コ」字形状)の基部111上に立設された一対の門型(逆U字型)のフレーム112を備える。一対のフレーム112はY軸方向に対向している。一対のフレーム112間に、Y軸に平行な複数のトレイ受けバー113が掛け渡されている。X軸方向に対向する同一高さの2本のトレイ受けバー113が対をなし、このトレイ受けバー113の対が上下方向に一定間隔で複数設けられている。トレイ受けバー113の各対に、被冷却物(例えば加工済み食品)を載置したトレイ(図示せず)が掛け渡される。
台車120は、水平面(XY面)に平行な略矩形の基台121と、基台121の下面に取り付けられた複数(本実施形態では4つ)のキャスタ(車輪)122とを備える(図1では3つのキャスタ122のみが見える)。基台121の上面であって、基台121の後ろ側の辺の近傍の位置に、一対の支持柱125が上下方向(Z軸方向)に沿って立設されている。各支持柱125は、四角柱形状を有している。一対の支持柱125はX軸方向に離間し、その上端またはその近傍にトレー保持部110の基部111が取り付けられている。即ち、基部111は、一対の支持柱125に、前方(図1においてブラストチラー1の側)に向かって突出するように片持ち支持構造で保持されている。一対の支持柱125の前方に向いた側面に、遮蔽板127が取り付けられている。遮蔽板127は、XZ面に平行な略矩形の薄板であり、一対の支持柱125間の隙間を塞ぎ、更に、支持柱125からX軸方向の両外側にはみ出している。遮蔽板127の下端は基台121から離間している。遮蔽板127は支持柱125の上端よりも更に上方に向かって延びている。
図2は、下フレーム13b及びその近傍の拡大斜視図である。左フレーム13cの下端と右フレーム13dの下端とをつなぐように、下フレーム13bがX軸に沿って延びている。下フレーム13bは、水平面(XY面)に平行な上面及び下面を主面(面積が最大である面)とする細長く且つ薄い略直方体形状を有する。下フレーム13bに、一対のシャッター30が設けられている。下フレーム13bの後端から仕切り板16が上方に向かって立設されている。仕切り板16は、左フレーム13cと右フレーム13dとをつなぐように延びた、XZ面に平行な一定高さの薄板である。仕切り板16は、冷却室11の底面11aよりわずかに高い位置まで延びている。
図3は、下フレーム13bに対するシャッター30の取り付け構造を示した分解斜視図である。下フレーム13bは、下フレーム本体13baと下フレームカバー13bbとで構成される。下フレーム本体13baには、その前面から後方に向かって延びた一対の切り欠き15が形成されている。切り欠き15は、下フレーム本体13baを上下方向に貫通している。切り欠き15の平面視形状は略矩形である。切り欠き15は、YZ面に平行な側面15a,15cと、XZ面に平行な側面15bとで規定される。下フレームカバー13bbは、下フレーム本体13baと同じZ軸方向寸法を有する、X軸に沿って延びた細長い薄板である。
シャッター30は、上下方向に対向する上板30a及び下板30bと、上板30aと下板30bとをつなぐ側板30cとを備える。上板30a及び下板30bは、それぞれ水平面に平行な略矩形の薄板である。上板30a及び下板30bのそれぞれの前側の辺を側板30cがつないでいる。図3においてX軸に沿って見たとき、シャッター30は、略「コ」字形状を有している。上板30aと下板30bとの間の間隔は、下フレーム13bの厚さ(上下方向寸法)よりわずかに大きい。
シャッター30は、蝶番32を介して下フレームカバー13bbに取り付けられる。蝶番32は、Z軸に平行な軸に対して回動する第1羽根32a及び第2羽根32bを備える。第1羽根32aは下フレームカバー13bbのX軸方向端部の裏面(下フレーム本体13ba側の面)に例えば溶接により固定され、第2羽根32bはシャッター30の側板30cの内面(上板30a及び下板30bが延びる側に向いた面)に例えば溶接により固定される。このため、シャッター30は、下フレームカバー13bb(更には下フレーム13b)に対して水平面内で回動可能である。蝶番32は、第1羽根32aに対して第2羽根32bが回動軸周りに矢印R2の向きに回動するように付勢する付勢機構(例えばねじりコイルバネ)が組み込まれた、いわゆるバネ付き蝶番(スプリング蝶番と呼ばれることもある)である。シャッター30の側板30cのX軸方向の側端30c1が、下フレームカバー13bbのX軸方向の側端13bb1に衝突することより、付勢機構による矢印R2の向きの第2羽32b(更にはシャッター30)の回動が規制される。蝶番32を介してシャッター30が取り付けられた下フレームカバー13bbは、下フレーム本体13baの前面のうち一対の切り欠き15間の部分に、ネジ等を用いて固定される。下フレームカバー13bbの裏面に固定された蝶番32の第1羽根32aは、下フレーム本体13baの切り欠き15に隣接する凹部13ba1に収容される。
図2は初期状態でのシャッター30を示している。初期状態では、上下方向においては、シャッター30の上板30a及び下板30bが、下フレーム13bの切り欠き15を塞ぐ。また、前方から見たとき、シャッター30の側板30cが、下フレーム13bの切り欠き15を塞ぐ。下フレーム本体13baの一対の切り欠き15に対して両外側の前面と、下フレームカバー13bbの前面とは、XZ面に平行な共通する一平面である、下フレーム13bの前面を構成する。更に、シャッター30の側板30cの外面は、下フレーム13bの前面と共に、XZ面に平行な共通する一平面を構成する。シャッター30の側板30cを後方に向かって押すと、シャッター30は矢印R1の向きに最大略90度の範囲で回動可能である。このとき、上板30aと下板30bとの間の隙間に下フレーム13bが入り込む。シャッター30に加えられた力がなくなると、蝶番32の付勢力(付勢機構の弾性回復力)によってシャッター30は直ちに図2の初期状態に復帰する。一対の切り欠き15、一対のシャッター30、及び一対の蝶番32は、それぞれ互いに鏡面対称である。
図1の状態からカート100を開口12に向かって前進させて、カート100をブラストチラー1に収納することができる。図4は、カート100を収納したブラストチラー1の斜視図である。カート100のトレー保持部110(図1参照)はブラストチラー1の冷却室11に収納され、カート100の台車120は、冷却庫本体10の下面と床面との間の隙間に挿入されている。以下の説明において、「カート100をブラストチラー1(または冷却室11)に収納する」と表現することがあるが、これは、「カート100のトレー保持部110をブラストチラー1の冷却室11に収納する」と同義である。
図5は、図4の下フレーム13b及びその近傍の拡大斜視図である。台車120とトレー保持部110とをつなぐ支持柱125は、下フレーム13bに形成された切り欠き15(図3参照)に嵌入されている。カート100は、その支持柱125の前方に向いた側面が、切り欠き15の側面15b(図3参照)に当接するまで前進される。切り欠き15の深さ(Y軸方向寸法)は、支持柱125のY軸方向寸法と略同じに設定されている。このため、支持柱125の後方を向いた側面125dと下フレーム13bの前面とは共通する一平面を構成する。
図5を図2と比較れば分かるように、支持柱125は、切り欠き15内に進入する際に、シャッター30を後方に向かって押し、この結果、シャッター30が初期状態(図2)から略90度回転される。シャッター30の側板30c(図3参照)は、支持柱125のYZ面に平行な側面125aに当接している(側面125aは、一対の支持柱125の、X軸方向に互いに対向する面である)。支持柱125の側面125aとは反対側の側面125cは、切り欠き15の側面15c(図3参照)に接近または当接している。
支持柱125に取り付けられた遮蔽板127は、フレーム13で規定された開口12内に入り込んでいる。遮蔽板127の下端は、下フレーム13bの上面に対してZ軸方向にわずかな隙間を介して接近している。遮蔽板127のX軸方向の両端は、左右のフレーム13c,13dに対してX軸方向にわずかな隙間を介して接近している。
図6は、図4の状態から扉40を閉めたブラストチラー1の斜視図である。扉40から水平方向に突出した爪が前面パネル17に設けられたロック機構18に係合し、扉40はしっかりと閉じられる。図4及び図5から理解できるように、扉40を閉じたとき、上パッキン43aは上フレーム13aにY軸方向に密着し、下パッキン43bは下フレーム13b及び支持柱125にY軸方向に密着し、右パッキン43cは左フレーム13cにY軸方向に密着し、左パッキン43dは右フレーム13dにY軸方向に密着する。扉40から突出した凸部42は、フレーム13a,13b,13c,13dで囲まれた略矩形の開口12内に入り込む。
本実施形態の作用を説明する。
高温(例えば90℃)の被冷却物(例えば食品)を載置したトレーは、カート100のトレー保持部110に保持される。このカート100をブラストチラー1の冷却室11に収納し(図4参照)、扉40を閉じる(図6参照)。冷却ユニットを駆動して、冷却室11を冷却する。
扉40に設けられたパッキン43a,43b,43c,43dがフレーム13a,13b,13c,13dに押し付けられて密着するので、冷却室11内の冷気が、パッキン43とフレーム13との間を通って外界に漏れ出ることはない。また、カート100の支持柱125の4つの側面のうち、後方を向いた側面125d(図5参照)には下パッキン43bが押し付けられて密着し、側面125aにはシャッター30の側板30cが当接し、残りの2つの側面は切り欠き15を規定する側面15b,15c(図3参照)に当接又はわずかな隙間を介して接近している。このため、冷却室11内の冷気が、支持柱125の側面に沿って外界へ漏れ出る可能性は極めて低い。従って、冷却室11にカート100を収納した状態で、カート100に保持した被冷却物を所望する温度に急速冷却することができる。
一方、ブラストチラー1は、カート100を冷却室11に収納しない状態(図1及び図2参照)で扉40を閉じて冷却室11を冷却することができる。扉40を閉じると、カート100を収納した場合と同様に、扉40に設けられたパッキン43a,43b,43c,43dは、フレーム13a,13b,13c,13dに押し付けられて密着する。また、カート100が収納されていない状態では、蝶番32が、シャッター30が初期状態(図2参照)で保持されるようにシャッター30を付勢する。下フレーム13bに設けられた切り欠き15はシャッター30によって閉じられ、また、下パッキン43bはこのシャッター30(特にその側板30c、及び、側板30cが接続された上板30a及び下板30bの各辺)に押し付けられて密着する。このため、冷気が、下フレーム13bの切り欠き15や、下パッキン43bとシャッター30との間を通過することは困難である。従って、冷却室11にカート100を収納していない状態でも、冷却室11内の冷気が外界へ漏れ出る可能性は極めて低く、この結果、冷却室11を所望する温度に効率良く急速冷却することができる。
上述したように、従来のカートイン式ブラストチラー(例えば特許文献1参照)では、扉の内面に設けられた、水平方向に沿った下パッキンは、カートの遮蔽板(遮蔽板のうち、支持柱よりも上方に突出した部分)に密着するように配置されている。また、本実施形態の下パッキン43bに相当する、下フレームに密着するパッキンは扉に設けられていない。このため、扉を閉じると、下フレームと扉との間に隙間が形成される。この結果、冷却室にカートを収納しない状態で扉を閉めて冷却室を冷却すると、冷却室内の冷気が下フレームと扉との間の隙間を通って外界に漏れ出てしまう。
これに対して、本実施形態では、従来のカートイン式ブラストチラーで発生した上記の冷気の漏れ出しを防止できる。従って、冷却室にカートを収納していない状態で冷却室を所望する温度に効率良く急速冷却することが可能である。これは、以下のような更なる利点を有する。
第1に、ブラストチラー1にカート100を収納しない状態で、冷却室11を予冷することができる。例えば、冷却室11を予冷するのと並行して、カート100に被冷却物を載置する。その後、十分に冷却された冷却室11に被冷却物を載置したカート100を収納する。これにより、カート100を冷却室11に収納した後に冷却を開始する場合に比べて、被冷却物を更に急速冷却することができる。
第2に、ブラストチラー1を、カート100を用いない、一般的な冷却庫として利用することができる。即ち、カート100を用いずに、被冷却物を冷却室11に収納して冷却することができる。必要に応じて、冷却室11内に、被冷却物を保持するための棚を設置してもよい。棚は、可搬式または可動式であってもよい。この場合、カート100を用いるときは、棚の全部または一部を冷却室11から取り出してもよい。
従来のカートイン式ブラストチラーでは、水平方向に沿った下パッキンがカートの遮蔽板に密着することにより、冷気の漏れ出しを防止していた。このため、低背の遮蔽板を備えたカートや、遮蔽板自体を備えていないカートは、下パッキンが所望する機能を発揮し得ないため、使用することができないという課題があった。これに対して、本実施形態のブラストチラー1は、冷気の漏れ出し防止のために、カート100の遮蔽板127を利用しない。従って、従来のブラストチラーでは使用することができなかった、低背の遮蔽板127を備えたカートや、遮蔽板127自体を備えていないカートであっても、ブラストチラー1に収納して所望する冷却性能を発揮することができる。即ち、ブラストチラー1は、使用可能なカートの種類が広い。
なお、従来のブラストチラーと同様に、本実施形態のブラストチラー1において、扉40の内面に、カート100の遮蔽板127に密着するようにパッキン(サブパッキン)を更に設けてもよい。この場合、当該サブパッキンは、例えば扉40の内面から突出した凸部42(図4及び図5参照)の下端またはその近傍に、水平方向に沿って設けることができる。カート100を冷却室11に収納した状態で扉40を閉じると、サブパッキンが遮蔽板127に密着し、サブパッキンの両端は左右フレーム13c,13dに接触または接近するので、サブパッキンより下の遮蔽板127と扉40との間の空間へ流れる冷気が減少する。このため、支持柱125の側面に沿って外界へ漏れ出る冷気が更に減少する。これは、冷却室11にカート100を収納した状態で、カート100に保持した被冷却物を急速冷却するのに有利である。
シャッター30が、下フレーム13bに移動可能に設けられている。このため、カート100を冷却室11に収納する際に、シャッター30は支持柱125によって押されて移動し、支持柱125を切り欠き15に収容することができる。即ち、カート100を冷却室11に収納すれば、作業者がシャッター30に手を触れることなく、シャッター30を移動させることができる。下フレーム13bにシャッター30が設けられているにもかかわらず、冷却室11に対するカート100の収納作業性は、従来のブラストチラーと変わらない。
シャッター30は、下フレーム13bに回動可能に設けられている。これは、切り欠き15を開閉可能なようにシャッター30を下フレーム13bに設ける構成を、簡単化且つ小型化するのに有利である。
シャッター30が切り欠き15を閉じるように、シャッター30は付勢されている。これは、以下の利点を有する。第1に、カート100を冷却室11から取り出すと、シャッター30は自動的に初期状態に復帰して切り欠き15が閉じられる。このため、カート100を冷却室11に収納しない状態で冷却室11を冷却する場合に、切り欠き15をシャッター30で閉じるのを忘れるという誤操作を防ぐことができる。第2に、カート100を冷却室11に収納しない状態で扉40を閉じた場合に、シャッター30は、下パッキン43bによって移動されることなく、下パッキン43bに密着する。このため、冷却室11にカート100を収納していない状態において、冷却室11内の冷気が外界に漏れ出る可能性が更に低下する。
上記の実施形態において、シャッター30が設けられた下フレーム13bが取り外し可能に構成されていてもよい。一般に、カートイン式ブラストチラーに使用されるカートには業界標準のような規格は存在せず、ブラストチラーとカートとがセットで販売されることが多い。従って、カートの一対の支持柱125の間隔や支持柱125の寸法等がカートごとに区々であることがある。そこで、それぞれのカートに対応するように一対の切り欠き15の間隔や切り欠き15の寸法等が異なる複数の下フレーム13bを予め準備しておくことができる。使用するカートに応じて下フレーム13bを交換すれば、ブラストチラー1に、複数種類のカートを使用することが可能になる。
本実施形態のブラストチラー1は、既存のカートイン式ブラストチラーに対して、下フレームをシャッター30付きの下フレーム13bに交換し、扉40に下フレーム13bに密着する下パッキン43bを追加するなどの軽微な変更を行うだけで実現できる。従って、ブラストチラー1は、従来のブラストチラーに対して設計や製造工程を大幅に変更する必要がなく、コストの上昇もわずかである。
上記の実施形態において、冷却室11内の天面に、洗浄液をシャワー状又は霧状に吹き出すノズル(図示せず)を設けてもよい。冷却室11のわずかに窪んだ底面11a(図1及び図2参照)には、洗浄液を外界へ流出させる排水口(図示せず)を設けてもよい。これにより、ブラストチラー1にカート100を収納せずに扉40を閉じた状態で、冷却室11の内面を自動洗浄することができる。ノズルから吹き出された洗浄液は、冷却室11の内面を洗浄して、底面11aに設けた排水口から流出する。このとき、扉40の内面を流れた洗浄液の一部は底面11aではなく、仕切り板16より扉40側の下フレーム13b上へ流れるかも知れない。しかしながら、シャッター30が切り欠き15を閉じているので、切り欠き15を通って外界に流出する洗浄液はほとんどない。下フレーム13b上に流れた洗浄液が底面11aに向かって流れるように、仕切り板16に穴又は溝を設けてもよい。
上記の実施形態は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
下フレーム13bや、下フレーム13bに対するシャッター30の取り付け構造は、上記の実施形態に限定されず、任意に変更することができる。本発明では、カート100の支持柱125を収容可能な切り欠き15をシャッター30が開閉可能であればよい。上記の実施形態では、シャッター30を蝶番32を介して下フレーム13bに取り付けるため、下フレーム13bを下フレーム本体13ba及び下フレームカバー13bbの2部品で構成したが、本発明の下フレームはこれに限定されない。下フレームが、下フレーム本体13ba及び下フレームカバー13bb以外の任意の複数部品で構成されていてもよく、あるいは、単一の部品で構成されていてもよい。蝶番32の第1羽根32aは、下フレームカバー13bbではなく、切り欠き15を規定する側面15a又は側面15c(図3参照)に固定してもよい。蝶番32を使用せずに、シャッター30を下フレーム13bに回動可能に設けてもよい。
シャッター30の構成も、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。例えば、シャッター30が、上板30a及び下板30bのうちのいずれか一方を備えていなくてもよい。更に、シャッター30が、側板30cを備えていなくてもよい。
シャッターは切り欠き15を開閉することができれば、その動きに制限はない。例えば、シャッターは、Y軸方向に沿って移動(平行移動)可能であってもよい。上記の実施形態のシャッター30は、それ自身が実質的に変形しない剛体であったが、本発明はこれに限定されず、例えば蛇腹状のシャッターのように、シャッター自身が伸縮変形してもよい。シャッターの構成に応じて、切り欠き15が閉じられるようにシャッターを付勢する付勢機構の構成は任意に変更しうる。
切り欠き15を閉じるようにシャッターを付勢する付勢機構を省略してもよい。この場合、作業者が、シャッターで切り欠き15を閉じる操作を手作業で行う。カート100を冷却室11に収納せずに扉40を閉じたとき、下パッキン43bによってシャッターが初期状態から移動しないように、シャッターを初期状態に保持するための機構が設けられていてもよい。この機構は、制限はないが、例えばシャッター及び下フレーム13bにそれぞれ設けられた、互いに係合し合う係合構造(例えば凸部と凹部、凸部と凸部)で構成されていてもよい。
本発明では、シャッターが下フレーム13bに対して着脱可能であってもよい。例えば、シャッターが切り欠き15を塞ぐように下フレーム13bに載置される蓋状物であってもよいし、シャッターが切り欠き15に対してY軸方向に沿って挿抜可能であってもよい。着脱可能なシャッターは、シャッターを移動可能に下フレーム13bに取り付けるための構造(例えば蝶番32)が不要になるため、下フレーム13b及びシャッターの構成を簡単化するのに有利である。但し、作業者が、手作業でシャッターを下フレーム13bに対して着脱して切り欠き15を開閉する必要がある。
カート100を冷却室11に収納したとき、下フレーム13bに設けた切り欠き15を規定する側面とカート100の支持柱125との間を冷気が流れるのを防止するために、切り欠き15を規定する側面にパッキンなどのシール部材が設けられていてもよい。
開口12を開閉する扉は、片開き式に限定されず、左右の2枚の扉が水平面内でそれぞれ回動する観音開き式であってもよい。
本発明のブラストチラーの冷却温度に制限はない。一般的なブラストチラーは、冷却物を凍結させることなく10℃以下に冷却するが、本発明のブラストチラーはこれに限定されず、被冷却物を冷凍する、いわゆるフリーザであってもよい。冷却室にカートを収納していない状態で冷却室を所望する温度に効率良く急速冷却することができるという本発明のブラストチラーの特徴は、冷却温度が低いほどより顕著である。
本発明のブラストチラーが冷却対象とする被冷却物は、制限はないが、各種食品(例えば加工食品、水産物、農産物、食肉など)が好ましい。冷却前の被冷却物の温度についても制限はなく、比較的高温(例えば80℃〜95℃程度)であってもよいし、常温(例えば25℃程度)であってもよい。