JP2021073853A - コーヒー豆の焙煎方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来にないアルコールの香味や風味を有したコーヒー豆(焙煎豆)を生成できるコーヒー豆の焙煎方法を提供する。【解決手段】本願に係るコーヒー豆の焙煎方法は、コーヒー生豆をアルコール酒に漬け込む漬け込みステップ(S11)と、前記漬け込みステップにおいて漬け込まれて湿った状態のコーヒー生豆を焙煎する焙煎ステップ(S12)と、を含む。この構成により、従来にないアルコールの風味や旨味を有したコーヒー豆(焙煎豆)を生成できる。【選択図】図1
Description
本発明は、コーヒー豆の焙煎方法に関する。
コーヒーは、コーヒー豆を焙煎して挽いた粉末から、湯または水で成分を抽出した飲料であり、多くの国で飲用されている嗜好飲料である。コーヒーの香りに対する好みは人や地域により様々であり、コーヒーにフレイバーを付けるため、一般的には、焙煎後のコーヒー豆(焙煎豆)に香料を添付したり、ドリップされて液体になったコーヒーに対してブランデーやリキュール類を入れる方法が知られている。
コーヒーが飲料として抽出されるまでの工程に関して図2を参照して説明すると、最初に、収穫されたコーヒーの果実からコーヒー豆を取り出して乾燥する精製工程(S21)がある。次に精製された生のコーヒー豆を焙煎機で焙煎する焙煎工程(S22)となり、最後に焙煎豆を粉砕して湯または水で成分を抽出する抽出工程(S23)となる。
その他、コーヒー生豆を焙煎する際に、独自の香味や風味を出すために様々に工夫された焙煎方法が用いられている。例えば、焙煎工程においてコーヒー豆をアルコール水溶液と接触させる工程と焙煎する工程を含んだコーヒー豆の焙煎方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、コーヒー豆を生豆の状態で泡盛に浸し、その後乾燥させてから焙煎することでコーヒーを風味豊かなものに変える泡盛コーヒーの製造法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上述のようなコーヒー豆に香料を加え、抽出されたコーヒーに対して直接ブランデーなどのアルコール類を加味する方法は、ある種の人工的な香味となり、抵抗感のあるものとなる。
また、独自の風味や香味を出すためのコーヒー豆の選別方法や焙煎方法は多種多様であり、未だ改善の余地がある。
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来にないアルコールの風味や旨味を有したコーヒー豆(焙煎豆)を生成できるコーヒー豆の焙煎方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、コーヒー豆の焙煎方法であって、コーヒー生豆をアルコール酒に漬け込む漬け込みステップと、前記漬け込みステップにおいて漬け込まれて湿った状態のコーヒー生豆を焙煎する焙煎ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係るコーヒー豆の焙煎方法の前記漬け込みステップにおいて、コーヒー生豆とアルコール酒との配合割合は、コーヒー生豆1kgに対してアルコール酒150〜250ccであることが好ましい。
また、本発明に係るコーヒー豆の焙煎方法において、前記配合割合は、コーヒー生豆1kgに対してアルコール酒200ccであることが好ましい。
また、本発明に係るコーヒー豆の焙煎方法の前記漬け込みステップにおいては、コーヒー生豆をアルコール酒に8〜24時間の漬け込むことが好ましい。
また、本発明に係るコーヒー豆の焙煎方法において、アルコール酒には蒸留酒を含有させることが好ましい。
また、本発明に係るコーヒー豆の焙煎方法において、アルコール酒は、ワイン、ジン、ラム酒、及び和酒の少なくとも1つを用いることが好ましい。
また、本発明に係るコーヒー豆の焙煎方法において、アルコール酒に和酒を用いる場合、焼酎と泡盛とをブレンドすることが好ましい。
また、本発明に係るコーヒー豆の焙煎方法において、前記焙煎ステップにおいては、湿った状態のコーヒー生豆を焙煎機内が高温の180〜220度程度となる状態で投入することが好ましい。
また、本発明に係るコーヒー豆の焙煎方法の前記焙煎ステップにおいては、1ハゼが終了して、焙煎機内が高温の220〜240度程度で2ハゼが始まると煎り止めることが好ましい。
上記目的を達成するために本発明は、コーヒー豆であって、前記コーヒー豆の焙煎方法で生成されたことを特徴とする。
上記目的を達成するために本発明は、コーヒー飲料であって、前記コーヒー豆の焙煎方法で生成されたコーヒー豆を挽いた粉末から湯または水で成分を抽出したことを特徴とする。
本発明に係るコーヒー豆の焙煎方法は、コーヒー生豆をアルコール酒に漬け込む漬け込みステップと、前記漬け込みステップにおいて漬け込まれて湿った状態のコーヒー生豆を焙煎する焙煎ステップと、を含む。この構成により、本願発明は、従来にないアルコールの風味や旨味を有したコーヒー豆(焙煎豆)を生成できるコーヒー豆の焙煎方法となる。
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係るコーヒー豆の焙煎方法について図面を参照して説明する。なお、本発明には、このコーヒー豆の焙煎方法を用いて生成されたコーヒー豆(焙煎豆)、及びこの焙煎豆を挽いた粉末から湯または水で成分を抽出したコーヒー飲料が含まれる。さらに、焙煎は焙煎機と呼ばれる専用の機械で行われるが、その焙煎方法は限定されるものではなく、直火焙煎、熱風焙煎、遠赤外線焙煎、マイクロ波焙煎、炭火焙煎などを用いることができる。
本発明の実施の形態に係るコーヒー豆の焙煎方法について図面を参照して説明する。なお、本発明には、このコーヒー豆の焙煎方法を用いて生成されたコーヒー豆(焙煎豆)、及びこの焙煎豆を挽いた粉末から湯または水で成分を抽出したコーヒー飲料が含まれる。さらに、焙煎は焙煎機と呼ばれる専用の機械で行われるが、その焙煎方法は限定されるものではなく、直火焙煎、熱風焙煎、遠赤外線焙煎、マイクロ波焙煎、炭火焙煎などを用いることができる。
本実施の形態に係るコーヒー豆の焙煎方法の手順に関して図1に示すフローチャートを参照しながら説明する。最初に、コーヒー生豆をアルコール酒に漬け込む漬け込みステップ(S11)を行う。ここで、コーヒー生豆とはコーヒーの果実から果肉と内果皮を取り除いた状態のまだ焙煎されていない生のコーヒー豆である。
コーヒー生豆とアルコール酒との配合割合は、コーヒー生豆1kgに対して150〜250cc(より好ましくは200cc)のアルコール酒となる。コーヒー生豆の品種はアラビカ種やロブスタ種など何れでも良く、コーヒー生豆の品種や産地によって香味も異なる。本実施の形態においては、ブラジル産のコーヒー豆はアルコール酒との相性も良いため、例えばコーヒー生豆の生産国は「ブラジル」を使用する。
コーヒー生豆を漬け込む期間は8〜24時間が好ましい。というのも、コーヒー生豆をアルコール酒に漬け込む時間が長すぎるとコーヒー生豆が膨張してしまう。このため、なるべく短時間浸すほうが良い。
使用するアルコール酒の品目は、ワイン、ジン、ラム酒、及び和酒の少なくとも1種類を用いればよく、ブレンドしても良い。ジン(Gin)は、大麦、ライ麦、ジャガイモなどを原料とした蒸留酒であり、ラム酒は、サトウキビの廃糖蜜または絞り汁を原料として作られる蒸留酒である。
ワインを用いる場合、ワインの配合は、例えばコーヒー生豆1kgに対してポートワイン170ccとカサーシャ(ブラジルの酒)50ccをブレンドする。カシャーサは、サトウキビを原料として作られる、ブラジル原産の蒸留酒である。ポートワインは糖度が強いのでそれで甘味を出すが、糖度が強いと焙煎時にコーヒー豆が焦げてしまい苦味を生じる。このため、糖度の少ないカサーシャをブレンドする。カサーシャはアルコール度数が40度近くあるのでワインの低いアルコール感を補うことができ、焙煎後のコーヒー豆にフルーティな果実感やしっかりとしたアルコール感を出すことができる。なお、上記ブレンドの種類は一例であり、これに限定されるものではなく、また、ワインはシェリー酒やポートワインなど酒精強化ワインを用いても良い。
アルコール酒として和酒を用いる場合、焼酎と泡盛をブレンドする。焼酎は通常アルコール度数が25%、泡盛は40度以上あるので泡盛をブレンドすることでアルコール感を強く出すことが可能になる。配合はコーヒー生豆1kgに対して焼酎170ccと泡盛50ccである。和酒を用いる場合、蒸留してある焼酎を使うことで焙煎豆にアルコールの風味と旨味を出すことに成功した。
ここで重要なのは、ワインと和酒は「生」の酒であり、生の酒は熱を加えると成分が分解されアルコール感が無くなってしまう。そこにアルコール酒に蒸留済みの蒸留酒を加えることで焙煎豆にアルコールの風味と旨味を残すことができる。
次に、一定時間において漬け込みステップにおいてアルコール酒に漬け込まれて湿った状態のコーヒー生豆を、焙煎機を用いて焙煎する焙煎ステップ(S12)となる。なお、焙煎機に投入するコーヒー豆は乾燥したものではない。一般的に、コーヒー生豆を湿った状態で焙煎機に投入することはない。しかしながら、本願発明に係るコーヒー豆の焙煎方法では、乾燥していない状態のアルコールに浸された直後の湿った状態のコーヒー生豆を、直接焙煎機に投入して焙煎する。このことで、アルコールの風味・旨味を逃がさず、従来にない独特のアルコールの香りを有する焙煎豆を生成できる。
この焙煎ステップでは、コーヒー生豆を焙煎機内が通常より高温の180〜220度程度(より好ましくは210度程度)となる状態で投入する。そして、1ハゼが終了して、焙煎機内が高温の220〜240度(より好ましくは235度程度)で2ハゼが始まったところの「ハイロースト」で煎り止める必要がある。焙煎時間は、焙煎状況、気温湿度によって変化するが通常は12分程度の煎り止めである。これ以上に深く焙煎するとアルコール感が抜けてしまう虞がある。このように、焙煎ステップにおいては。通常より高温且つ短時間で焙煎することで、焙煎後のコーヒー豆に従来にないアルコールの風味と旨味を残すができる。
なお、1ハゼとは、焙煎機により加熱されたコーヒー豆の温度がある温度に上昇した時、コーヒー豆内部に逃げ場をなくして溜まった水蒸気、ガスにより内圧が上がり、コーヒー豆が破裂する現象である。この1ハゼが生じたことの判定は焙煎機内の温度センサにより検出、又は、1ハゼが生じた場合にコーヒー豆が発する破裂音により判定できる。また、2ハゼとは、加熱によりコーヒー豆の内部の隙間に閉じ込められて逃げ場を失ったガスが膨張することによりコーヒー豆の内圧が上昇して破裂する現象であり、判定は、2ハゼが生じた場合に発生する破裂音、又はコーヒー豆の色(焙煎度)を見ることにより行う。
以上の説明のように、本実施の形態に係るコーヒー豆の焙煎方法は、コーヒー生豆をアルコール酒に漬け込む漬け込みステップと、漬け込みステップにおいて漬け込まれて湿った状態のコーヒー生豆を焙煎する焙煎ステップと、を含む。この構成により、従来にないアルコールの風味(コク、香り、甘み等)や旨味を有したコーヒー豆(焙煎豆)を生成できる。
従来より、熱帯地域の生産国においてコーヒー生豆は数週間にわたり天日などで乾燥させるものであり、液体に浸すようなことはしないのが常識である。しかしながら、本願に係るコーヒー豆の焙煎方法では、コーヒー生豆の状態でアルコール飲料に浸すことを必須の工程とする。
また、焙煎ステップにおいては、アルコール酒に漬け込んて湿った状態のコーヒー生豆を高温焙煎することでアルコール成分を一気に揮発させる。このため、アルコール度数を0.1%まで減少させて「ノンアルコール」といえる数値を実現できる。この結果、本願に係るコーヒー豆の焙煎方法では、アルコール成分を揮発させながらアルコールの風味・旨みを、香料を一切使用せずにコーヒー豆(焙煎豆)に閉じ込めることができる。また、コーヒー飲料にアルコール度数があると、運転中の人や、アルコールが飲めない人は飲めない。しかしながら、本願に係るコーヒー豆の焙煎方法で生成された焙煎豆を用いることで、アルコールが飲めない人もコーヒー飲料を飲む事ができ、アルコールの好きな人も飲みたくなるコーヒーとなり、酒類とコーヒーとの風味を有した新感覚のコーヒー豆(出願人の製品はハイブリッドコーヒーと呼ばれる)となり得る。
なお、本発明は、上記の実施の形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、アルコール酒はワイン、ジン、ラム酒や和酒に限定されるものではなく、他にも、アラック(インドネシアのココナッツから出来る焼酎)、ブランデー、ウイスキーなどを用いても良い。また、同様の作用効果を奏する場合には、その他の工程を加え得ることは言うまでもない。
Claims (11)
- コーヒー豆の焙煎方法であって、
コーヒー生豆をアルコール酒に漬け込む漬け込みステップと、
前記漬け込みステップにおいて漬け込まれて湿った状態のコーヒー生豆を焙煎する焙煎ステップと、を含むことを特徴とするコーヒー豆の焙煎方法。 - 前記漬け込みステップにおいて、コーヒー生豆とアルコール酒との配合割合は、コーヒー生豆1kgに対してアルコール酒150〜250ccである、ことを特徴とする請求項1記載のコーヒー豆の焙煎方法。
- 前記配合割合は、より好ましくはコーヒー生豆1kgに対してアルコール酒200ccである、ことを特徴とする請求項2記載のコーヒー豆の焙煎方法。
- 前記漬け込みステップにおいては、コーヒー生豆をアルコール酒に8〜24時間の漬け込む、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のコーヒー豆の焙煎方法。
- アルコール酒には蒸留酒を含有させる、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のコーヒー豆の焙煎方法。
- アルコール酒は、ワイン、ジン、ラム酒、及び和酒の少なくとも1つを用いる、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のコーヒー豆の焙煎方法。
- アルコール酒に和酒を用いる場合、焼酎と泡盛とをブレンドする、ことを特徴とする請求項6記載のコーヒー豆の焙煎方法。
- 前記焙煎ステップにおいては、湿った状態のコーヒー生豆を焙煎機内が高温の180〜220度程度となる状態で投入する、ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のコーヒー豆の焙煎方法。
- 前記焙煎ステップにおいては、1ハゼが終了して、焙煎機内が高温の220〜240度程度で2ハゼが始まると煎り止める、請求項8記載のコーヒー豆の焙煎方法。
- 前記請求項1乃至9の何れか一項に記載されたコーヒー豆の焙煎方法で生成された、ことを特徴とするコーヒー豆。
- 前記請求項1乃至9の何れか一項に記載されたコーヒー豆の焙煎方法で生成されたコーヒー豆を挽いた粉末から湯または水で成分を抽出した、ことを特徴とするコーヒー飲料。
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