JP2009136295A - アルコール飲料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コーヒー豆から効率よくかつ確実にエキス分を抽出して、コーヒー豆特有の味や香りが生かされた嗜好性の高いコーヒー風味のアルコール飲料の製造方法を提供する。
【解決手段】コーヒー豆を焙煎し、内部間隙の多い状態としたコーヒー豆を収容した布袋を、アルコール度数30度〜35度の焼酎の液面下へ沈降させて所定期間浸漬することにより、コーヒー豆の内部間隙に焼酎を浸入させ、同間隙に充満していたガスをコーヒー豆の外部へと押し出して、ガスに含まれる香り成分や味成分を焼酎中へと溶出し、布袋ごとコーヒー豆を液中から引き上げてコーヒー豆とアルコール溶液とを分離し、残留したアルコール溶液を0度〜9度の温度下で所定期間冷蔵する冷蔵工程によりアルコール溶液中の油分や滓を凝固させて除去し、割水しながら濾過する濾過工程でアルコール度数を25度前後に調整する。
【選択図】なし
【解決手段】コーヒー豆を焙煎し、内部間隙の多い状態としたコーヒー豆を収容した布袋を、アルコール度数30度〜35度の焼酎の液面下へ沈降させて所定期間浸漬することにより、コーヒー豆の内部間隙に焼酎を浸入させ、同間隙に充満していたガスをコーヒー豆の外部へと押し出して、ガスに含まれる香り成分や味成分を焼酎中へと溶出し、布袋ごとコーヒー豆を液中から引き上げてコーヒー豆とアルコール溶液とを分離し、残留したアルコール溶液を0度〜9度の温度下で所定期間冷蔵する冷蔵工程によりアルコール溶液中の油分や滓を凝固させて除去し、割水しながら濾過する濾過工程でアルコール度数を25度前後に調整する。
【選択図】なし
Description
本発明は、コーヒー風味のアルコール飲料の製造方法に関するものである。
従来、コーヒー風味のアルコール飲料は、焼酎等の蒸留酒にコーヒー豆を浸漬し、蒸留酒中にコーヒー豆のエキスを溶出させることにより製造されていた(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
特に、コーヒー豆は、蒸留酒に浸漬する前に焙煎してコーヒー特有の味や香りを引き出し、その引き出された味や香りの成分もコーヒー豆のエキスとして蒸留酒中に溶出させていた。
しかし、上記従来のアルコール飲料の製造方法においては、蒸留酒に浸漬するコーヒー豆に対してそのエキスを蒸留酒に溶出させるのに適した焙煎がなされていなかったために、焙煎後のコーヒー豆を蒸留酒中に浸漬しても、コーヒー豆のエキスが充分に蒸留酒中に溶出されなかった。
そのため、製造されたアルコール飲料は、コーヒー風味ではあるものの味や香りに深みがなく、広く好まれて飲まれるアルコール飲料とはならなかった。
そこで、請求項1記載の本発明では、120度〜180度で所定時間焙煎する1次焙煎と、同1次焙煎後に185度〜240度で所定時間焙煎する2次焙煎とからなる焙煎工程でコーヒー豆を焙煎し、内部間隙の多い状態としたコーヒー豆を木綿の布袋に収容し、同布袋ごと錘によって樽で熟成させたアルコール度数30度〜35度の焼酎の液面下へ沈降させて所定期間浸漬する浸漬工程により、木綿の布袋内において、コーヒー豆の内部間隙に焼酎を浸入させ、同間隙に充満していたガスをコーヒー豆の外部へと押し出して、木綿の布袋内でガスと焼酎との置換を行い、ガスが気泡となって液面に上昇するまでの間に、ガスに含まれる香り成分や味成分を焼酎中へと溶出し、布袋ごとコーヒー豆を液中から引き上げてコーヒー豆とアルコール溶液とを分離し、残留したアルコール溶液を0度〜9度の温度下で所定期間冷蔵する冷蔵工程によりアルコール溶液中の油分や滓を凝固させて除去し、割水しながら濾過する濾過工程でアルコール度数を25度前後に調整することにした。
本発明は上記のような形態で実施されるもので、以下の効果を奏する。
請求項1記載の本発明では、120度〜180度で所定時間焙煎する1次焙煎と、同1次焙煎後に185度〜240度で所定時間焙煎する2次焙煎とからなる焙煎工程でコーヒー豆を焙煎し、内部間隙の多い状態としたコーヒー豆を木綿の布袋に収容し、同布袋ごと錘によって樽で熟成させたアルコール度数30度〜35度の焼酎の液面下へ沈降させて所定期間浸漬する浸漬工程により、木綿の布袋内において、コーヒー豆の内部間隙に焼酎を浸入させ、同間隙に充満していたガスをコーヒー豆の外部へと押し出して、木綿の布袋内でガスと焼酎との置換を行い、ガスが気泡となって液面に上昇するまでの間に、ガスに含まれる香り成分や味成分を焼酎中へと溶出し、布袋ごとコーヒー豆を液中から引き上げてコーヒー豆とアルコール溶液とを分離し、残留したアルコール溶液を0度〜9度の温度下で所定期間冷蔵する冷蔵工程によりアルコール溶液中の油分や滓を凝固させて除去し、割水しながら濾過する濾過工程でアルコール度数を25度前後に調整することにしたので、コーヒー豆を2段階に分けて加熱することができ、急激な温度上昇に伴うコーヒー豆の欠損を防ぐことができる。しかも、コーヒー豆を充分に乾燥させることができ、蒸留酒に浸漬した際には、コーヒー豆の隅々にまで蒸留酒を行き渡らせることができる。従って、コーヒー豆特有の味や香りが生かされた嗜好性の高いコーヒー風味のアルコール飲料を製造することができる。また、1次焙煎においては、コーヒー豆の水分を蒸発させつつも、コーヒー豆の焙煎が進行するのを防止することができ、2次焙煎においては、効率よくコーヒー豆の水分を蒸発させつつ、コーヒー豆の焙煎を完成させることができる。
また、前記浸漬工程後に、コーヒー豆を分離して残留したアルコール溶液を所定期間冷蔵する冷蔵工程を設けて、アルコール溶液中の油分や滓を凝固させて除去することにしたので、アルコール溶液中に溶け込んでいて単に濾過するだけでは除去しきれない油分や滓も除去することができ、かかる油分や滓の残留に起因するアルコール飲料の雑味を取り除くことができる。従って、より嗜好性に優れたアルコール飲料を製造することができる。
また、前記冷蔵工程は、0度〜9度の温度下で行うことにしたので、確実に油分や滓を凝固させることができると共に、アルコール溶液をゆっくりと熟成させて、コーヒー豆の成分と蒸留酒の成分との結合を向上させることができる。
また、前記蒸留酒は、樽で熟成させたアルコール度数30度〜35度の焼酎であり、前記冷蔵工程の後に、割水しながら濾過してアルコール度数を調整する濾過工程を設けることにしたので、樫の香りとコーヒー豆の香りをブレンドして、コーヒー豆の香りをより際立たせることができると共に、深みのある香りにすることができる。従って、より嗜好性に優れたアルコール飲料とすることができる。
また、前記濾過工程では、アルコール度数を25度前後に調整することとしたので、コーヒー豆の香りをより際立たせることができると共に、深みのある香りにすることができる。
本発明に係るアルコール飲料の製造方法は、コーヒー豆を焙煎する焙煎工程と、同焙煎工程で焙煎したコーヒー豆を所定期間蒸留酒に浸漬する浸漬工程とを有しており、焙煎したコーヒー豆のエキスを蒸留酒中に溶出させることによって、コーヒー風味のアルコール飲料を製造する。
特に、前記焙煎工程は、低温下で所定時間焙煎する1次焙煎と、同1次焙煎後に高温下で所定時間焙煎する2次焙煎とからなり、1次焙煎において、コーヒー豆全体に満遍なく熱を行き渡らせながらコーヒー豆の水分をじっくりと蒸発させ、2次焙煎において、さらなるコーヒー豆の水分の蒸発を促すと共に、焙煎を完成させる。なお、焙煎工程には、焙煎器や焙煎釜等の焙煎装置を適宜用いることができる。
このように、焙煎工程においてコーヒー豆を2段階に分けて加熱することにより、急激な温度上昇に伴うコーヒー豆の欠損を防ぐことができる。しかも、低温下でじっくりと時間をかけてコーヒー豆の水分を蒸発させておいて、その後、高温に移行して焙煎を完成させることができるので、コーヒー豆の水分を充分に蒸発させつつも、コーヒー豆が高温下にさらされすぎて焙煎が過剰になるのを防止することができる。
上述のようにして焙煎されたコーヒー豆は水分が充分に蒸発されており、外部から水分を吸収しやすい乾燥度合になっている。そのため、浸漬工程において蒸留酒に浸漬した際には、同蒸留酒がコーヒー豆の隅々にまで行き渡り、コーヒー豆と蒸留酒との接触面積が広くなって、コーヒー豆のエキスが充分に蒸留酒中に溶出される。
従って、コーヒー豆特有の味や香りが生かされた嗜好性の高いコーヒー風味のアルコール飲料を製造することができる。
前記1次焙煎における温度は、120度〜180度とするのが望ましく、かかる低温とすることにより、コーヒー豆の水分を蒸発させつつも、コーヒー豆の焙煎が進行するのを防止することができる。
1次焙煎の温度が120度未満である場合には、コーヒー豆全体に熱が行き渡るのが遅く、水分の蒸発にも時間がかかり過ぎて効率が悪くなる不具合が生じる。
一方、1次焙煎の温度が180度を超える場合には、コーヒー豆が急激に加熱されてコーヒー豆の欠損が生じてしまう。
また、前記2次焙煎における温度は、185度〜240度とするのが望ましく、かかる高温とすることにより、効率よくコーヒー豆の水分を蒸発させつつ、コーヒー豆の焙煎を完成させることができる。
2次焙煎の温度が185度未満である場合には、焙煎が不十分になり、コーヒー豆特有の味や香りを引き出すことができない。
一方、2次焙煎の温度が240度を超える場合には、水分の蒸発が不十分なうちにコーヒー豆の焙煎が進行してしまい、コーヒー豆を充分に乾燥させることができないだけでなく、コーヒー豆が焙煎されすぎて炭化してしまう。
なお、焙煎するコーヒー豆としては、どのような種類のコーヒー豆を用いてもよいが、ブラジル、キリマンジャロ、コロンビア、グアテマラ、ペルー、ドミニカ、クリスタルマウンテン、ブルーマウンテン、モカ、マンデリン、ブライド・オン・ツリーの中から1種類又は複数種類を選択して使用するのが望ましい。
また、上述のようにして焙煎したコーヒー豆を浸漬する蒸留酒のアルコール度数は、30度〜35度にするのが望ましく、かかるアルコール度数とすることにより、浸漬工程でコーヒー豆を蒸留酒に浸漬した際に、コーヒー豆のエキスが蒸留酒中に溶出しやすくなり、一層効率よくコーヒー豆のエキスを蒸留酒中に溶出させることができる。
なお、上記30度〜35度の範囲から外れたアルコール度数の蒸留酒を用いてもコーヒー風味のアルコール飲料を製造することは可能であるが、アルコール度数が30度未満である場合には、コーヒー豆のエキスが蒸留酒中に溶出しにくくなる不具合が生じ、アルコール度数が35度を越える場合には、コーヒー豆がアルコールにより溶解して、エキス以外の成分まで蒸留酒中に混入する不具合が生じる。そのため、完成後のアルコール飲料の品質が低下してしまう。
また、浸漬工程が終了した後には、コーヒー豆を分離し、残留したアルコール溶液を所定期間冷蔵する冷蔵工程を設けるのが望ましく、かかる冷蔵工程を設けることにより、コーヒー豆を分離した後にもアルコール溶液中に残留している油分や滓を凝固させて、単なる濾過では除去しきれないアルコール溶液中に溶け込んだ油分や滓を固形状にして除去することができる。そして、アルコール溶液中に残留した油分や滓に起因する味や香りの低下を防止して、より嗜好性に優れたアルコール飲料を製造することができる。
前記冷蔵工程は、0度〜9度の温度下で行うのが望ましく、かかる温度下にコーヒー豆分離後のアルコール溶液を冷蔵することにより、油分や滓を確実に凝固させることができると共に、アルコール溶液をゆっくりと熟成させて、コーヒー豆の成分と蒸留酒の成分との結合を向上させることができる。
冷蔵工程の温度が0度未満である場合には、必要以上にアルコール溶液が冷却されてしまい、冷却のために無駄な経費を要してしまう。
一方、冷蔵工程の温度が9度を超える場合には、冷却が不十分になり、アルコール溶液中の油分や滓を充分に凝固させることができない。
上述のようにして製造されたアルコール飲料は、コーヒー特有の味や香りが生かされた嗜好性に優れたアルコール飲料であるが、前記浸漬工程においてコーヒー豆を浸漬させる蒸留酒に樫樽で熟成させた焼酎を用いれば、より嗜好性に優れたアルコール飲料を製造することができる。これは、樫樽で熟成させた焼酎には樫樽から樫の香り成分が溶出しており、この樫の香り成分を含有する焼酎にコーヒー豆を浸漬することによって、樫の香りとコーヒー豆の香りをブレンドすることができるからである。このように、樫の香りとコーヒー豆の香りをブレンドすることにより、コーヒー豆の香りをより際立たせることができると共に、深みのある香りにすることができる。
〔実施例〕
以下、本発明に係るアルコール飲料の実施例を説明する。
以下、本発明に係るアルコール飲料の実施例を説明する。
[第1実施例]
本実施例では、蒸留酒を醸造する醸造工程と、コーヒー豆を焙煎する焙煎工程と、同焙煎工程で焙煎したコーヒー豆を前記醸造工程において醸造した蒸留酒に所定期間浸漬する浸漬工程と、同浸漬工程後にコーヒー豆を分離して残留したアルコール溶液を所定期間冷蔵する冷蔵工程と、同冷蔵工程後のアルコール溶液を濾過する濾過工程と、同濾過工程後のアルコール溶液に糖分を混入する糖分混入工程と、同糖分混入工程後のアルコール溶液を瓶に充填して所定期間熟成させる瓶充填工程との7つの工程からアルコール飲料を製造している。以下に各工程について詳説する。
本実施例では、蒸留酒を醸造する醸造工程と、コーヒー豆を焙煎する焙煎工程と、同焙煎工程で焙煎したコーヒー豆を前記醸造工程において醸造した蒸留酒に所定期間浸漬する浸漬工程と、同浸漬工程後にコーヒー豆を分離して残留したアルコール溶液を所定期間冷蔵する冷蔵工程と、同冷蔵工程後のアルコール溶液を濾過する濾過工程と、同濾過工程後のアルコール溶液に糖分を混入する糖分混入工程と、同糖分混入工程後のアルコール溶液を瓶に充填して所定期間熟成させる瓶充填工程との7つの工程からアルコール飲料を製造している。以下に各工程について詳説する。
(醸造工程)
本実施例では、蒸留酒を麦焼酎としており、まず、1次原料となる米或いは麦を洗浄して蒸すと共に、同1次原料に麹菌を混合して所定温度下に安置し、麹を製造する。
本実施例では、蒸留酒を麦焼酎としており、まず、1次原料となる米或いは麦を洗浄して蒸すと共に、同1次原料に麹菌を混合して所定温度下に安置し、麹を製造する。
次に、上述のようにして製造した麹に酵母菌及び水を加えて所定温度下に安置し、1次もろみを製造する。
次に、上述のようにして製造した1次もろみに、洗浄して蒸した2次原料である麦を混合し、その後、所定温度下に安置して2次もろみを製造する。
次に、上述のようにして製造した2次もろみを蒸留し、焼酎の原酒を取り出す。
次に、原酒を樫樽に封入し、2年以上熟成する。このように原酒を樫樽で熟成させることによって、原酒中に樫の香り成分を溶出させて、風味に優れた焼酎を醸造することができる。そして、後に説明する浸漬工程において焼酎にコーヒー豆を浸漬した際に、樫の香りとコーヒー豆の香りをブレンドすることができ、コーヒー豆の香りを際立たせることができると共に、深みのある香りにすることができる。
次に、熟成した原酒を割水してアルコール度数を35度に調整し、焼酎を完成させる。このように焼酎のアルコール度数を35度に調整することにより、後に説明する浸漬工程において焼酎にコーヒー豆を浸漬した際に、コーヒー豆のエキスを効率よく溶出させることができる。
また、アルコール度数を調整するに際しては、割水だけでなく熟成年数が異なる焼酎をブレンドすることもでき、例えば、2年以上熟成した焼酎に対して、熟成年数が2年未満の焼酎をブレンドしたり、或いは3年熟成した焼酎に4年熟成した焼酎をブレンドしたりすることもできる。
(焙煎工程)
まず、原料であるコーヒー生豆をブレンドする。本実施例では、ブラジルとブルーマウンテンとモカとの3種類を1:1:1の割合でブレンドしている。なお、コーヒー生豆をブレンドするに際して、破損や虫食いのある欠点豆は除去しておく。
まず、原料であるコーヒー生豆をブレンドする。本実施例では、ブラジルとブルーマウンテンとモカとの3種類を1:1:1の割合でブレンドしている。なお、コーヒー生豆をブレンドするに際して、破損や虫食いのある欠点豆は除去しておく。
次に、焙煎器の温度を130度に設定して、130度の温度下でコーヒー生豆を1次焙煎する。1次焙煎に要する時間は、コーヒー生豆の全量が50kgである場合、約8〜9分である。
次に、焙煎器の温度を200度に上げて、200度の温度下でコーヒー生豆を2次焙煎する。2次焙煎に要する時間は、コーヒー生豆の全量が50kgである場合、約16〜17分である。
このように、本実施例では、焙煎工程を低温と高温の2段階に分けて、全体で約24〜26分かけて焙煎を行っている。
ここで、上述のようにして焙煎を行った場合におけるコーヒー豆の状態の変化を説明すると、1次焙煎においては、低温下でコーヒー豆が徐々に加熱されて、コーヒー豆中の水分が徐々に蒸発していく。そして、コーヒー豆全体に充分に熱が行き渡り、コーヒー豆中の水分がある程度蒸発されたところで2次焙煎に移行する。この1次焙煎は、焙煎温度が低温であるために、水分の蒸発は進行しつつも、焙煎の進行自体は抑制される。
そして、2次焙煎においては、高温下で水分の蒸発も焙煎も進行し、コーヒー豆中の残りの水分が蒸発されると共に、コーヒー豆の焙煎が完成する。
このように、本実施例では、焙煎の温度を低温から高温へと移行させているので、コーヒー豆の温度が急激に上昇することがなく、急激な温度変化に伴うコーヒー豆の欠損を防ぐことができる。
しかも、低温下で焙煎の進行を抑制しながらコーヒー豆中の水分をある程度蒸発させた後に、高温に移行して焙煎の進行と残りの水分の蒸発を促進するので、コーヒー豆の水分を充分に蒸発させることができ、焙煎後のコーヒー豆を、水分を吸収しやすいふっくらとした軽い状態に仕上げることができる。
さらには、低温下でゆっくりと焙煎が進行するので、コーヒー豆から口当たりの柔らかいまろやかな味や香りを引き出すことができる。
なお、焙煎後のコーヒー豆は酸化の進行が早くなるので、焙煎後最低3〜4日以内には使用する。
(浸漬工程)
まず、貯蔵タンクに焼酎と焙煎したコーヒー豆を投入して、20度前後の温度下で約3週間浸漬する。焼酎とコーヒー豆の割合は、1リットルの焼酎に対して55gのコーヒー豆である。なお、コーヒー豆は、木綿の布袋に収容して、同布袋ごと錘によって液面下へ沈降させる。
まず、貯蔵タンクに焼酎と焙煎したコーヒー豆を投入して、20度前後の温度下で約3週間浸漬する。焼酎とコーヒー豆の割合は、1リットルの焼酎に対して55gのコーヒー豆である。なお、コーヒー豆は、木綿の布袋に収容して、同布袋ごと錘によって液面下へ沈降させる。
特に、本実施例では、20度前後の温度下で浸漬を行うので、コーヒー豆の苦み成分や渋み成分が焼酎中に溶出するのを抑制することができ、短期間で溶出されないコーヒー豆特有の成分をゆっくりと時間をかけて焼酎中に溶出させることができる。
また、上述した約3週間の浸漬期間中、1日1回以上は貯留タンク内の原料を撹拌して全体を均一にする。このとき、前記錘は布袋から外し、布袋が貯留タンク内を自由に移動できるようにする。前述したようにコーヒー豆は布袋に収容しているので、原料を撹拌した際にコーヒー豆が割れたりしても、その破片や渋皮等が液中に広がるのを防止することができる。
ここで、コーヒー豆からのエキスの抽出状態を説明すると、浸漬前のコーヒー豆は、焙煎により充分に水分が飛ばされて、新たな水分を吸収しやすい乾燥した状態にある。すなわち、浸漬前のコーヒー豆の内部には、水分を吸収可能な間隙が多数形成されており、同間隙にはコーヒー豆の香り成分や味成分を含んだガスが充満している。
かかるコーヒー豆を焼酎中に浸漬すると、前記コーヒー豆の内部間隙に焼酎が浸入してきて、浸漬前に間隙に充満していたガスは次第にコーヒー豆の外部へと押し出されて、ガスと焼酎との置換が行われる。そして、コーヒー豆の外部へと押し出されたガスに含まれる香り成分や味成分は、気泡となって液面に上昇するまでの間に焼酎中へと溶出し、液中へ溶け込まずに残ったガスは、最終的に液面から空気中へと排出される。
このように、本実施例では、前記焙煎工程においてコーヒー豆を充分に乾燥させているので、浸漬工程においてコーヒー豆に含まれる香り成分や味成分を効率よく焼酎中に溶出させることができる。
しかも、コーヒー豆の内部間隙に焼酎が浸入した後には、コーヒー豆を直接焼酎に接触させて、コーヒー豆と焼酎との接触面積を増やし、コーヒー豆の香り成分や味成分を焼酎に効率よく溶出させることができる。
特に、本実施例では、前記焙煎工程においてコーヒー豆を内部間隙の多いふっくらとした状態となるように焙煎しているので、焼酎と接触可能なコーヒー豆の面積が広く、コーヒー豆の隅々まで焼酎を行き渡らせることができる。従って、より効果的にコーヒー豆の香り成分や味成分を焼酎に溶出させることができる。
上記浸漬期間が終了したら、液中からコーヒー豆を引き上げてコーヒー豆とアルコール溶液とを分離する。この際も、コーヒー豆は布袋に収容しているので、貯留タンクから布袋ごとコーヒー豆を引き上げることができ、コーヒー豆とアルコール溶液との分離作業を容易に行うことができる。
(冷蔵工程)
まず、コーヒー豆を分離した後のアルコール溶液を貯留タンクごと冷蔵室に移動し、0〜2度の温度下で約10日間冷蔵してアルコール溶液を熟成させる。これにより、焼酎の成分とコーヒー豆から抽出したエキスの成分との結合を促進して、味を落ち着かせることができる。
まず、コーヒー豆を分離した後のアルコール溶液を貯留タンクごと冷蔵室に移動し、0〜2度の温度下で約10日間冷蔵してアルコール溶液を熟成させる。これにより、焼酎の成分とコーヒー豆から抽出したエキスの成分との結合を促進して、味を落ち着かせることができる。
しかも、冷蔵下で熟成させるので、アルコール溶液中に溶解しているコーヒー豆の油分や滓及びその他の雑物を冷蔵期間中に徐々に凝固させることができ、冷蔵期間終了時までに、それらアルコール溶液中の余分な物質をアルコール溶液から分離することができる。
このようにしてアルコール溶液から分離された余分な物質は、アルコール溶液の液面に浮いてくるので、冷蔵期間終了後に液面から掬って除去する。
(濾過工程)
上記冷蔵工程が終了したアルコール溶液を水流と共に濾過し、冷蔵工程で除去しきれなかった液中に沈殿した油分や滓やその他の雑物を除去する。すなわち、貯留タンクで熟成させたアルコール溶液とは別に、同アルコール溶液と共に濾過器を通過させる水を用意し、同水に圧力をかけて濾過器へと流れる水流を作り、さらに、同水流に貯留タンク内のアルコール溶液を合流させて、水圧によりアルコール溶液が濾過器を通過するようにさせる。
上記冷蔵工程が終了したアルコール溶液を水流と共に濾過し、冷蔵工程で除去しきれなかった液中に沈殿した油分や滓やその他の雑物を除去する。すなわち、貯留タンクで熟成させたアルコール溶液とは別に、同アルコール溶液と共に濾過器を通過させる水を用意し、同水に圧力をかけて濾過器へと流れる水流を作り、さらに、同水流に貯留タンク内のアルコール溶液を合流させて、水圧によりアルコール溶液が濾過器を通過するようにさせる。
このように、水圧をかけてアルコール溶液を濾過するので、同アルコール溶液を短時間で円滑に濾過することができる。
しかも、濾過時にアルコール溶液に水を混入するので、同水が割水となり濾過後のアルコール溶液を25度前後のアルコール度数に調整することができる。
(糖分混入工程)
前記濾過工程後のアルコール溶液に糖分としてSEを混入する。このように糖分を混入することにより、アルコール溶液の味や香りを微調整することができる。
前記濾過工程後のアルコール溶液に糖分としてSEを混入する。このように糖分を混入することにより、アルコール溶液の味や香りを微調整することができる。
なお、糖分としては、前記SEに限らず様々な砂糖を場合に応じて使い分けることができるが、黒砂糖のように不純物の多い砂糖を使用する場合には、濾過工程前に糖分を添加する。
また、前記濾過工程を終了した段階で既にアルコール溶液の味や香りのバランスが取れている場合には、本糖分混入工程を必ずしも行う必要はない。
(瓶充填工程)
前記糖分混入工程後のアルコール溶液を瓶に充填する。充填時には、前記濾過工程で除去した油分や滓や雑物等の不要物よりもさらに微細な不要物を除去可能な濾過フィルターにアルコール溶液を通して、濾過しながらアルコール溶液を瓶に充填する。これにより、完成後のアルコール飲料に雑味が残るのを防止することができる。
前記糖分混入工程後のアルコール溶液を瓶に充填する。充填時には、前記濾過工程で除去した油分や滓や雑物等の不要物よりもさらに微細な不要物を除去可能な濾過フィルターにアルコール溶液を通して、濾過しながらアルコール溶液を瓶に充填する。これにより、完成後のアルコール飲料に雑味が残るのを防止することができる。
この瓶に充填した状態のアルコール溶液は、20度前後の温度下に約1週間安置して熟成させる。これにより、焼酎の成分とコーヒー豆から抽出したエキスの成分と糖分との結合を促進して、さらに味を落ち着かせることができる。
上述のようにして各工程を経てアルコール飲料を製造することにより、まろやかで深みのあるコーヒー風味のアルコール飲料を完成させることができる。
[第2実施例]
本実施例では、上記第1実施例と同様、7つの工程からアルコール飲料を製造しており、醸造工程においてアルコール度数を30度に調整した焼酎を醸造し、焙煎工程においてブラジルとマンデリンとグアテマラとの3種類のコーヒー豆を3:1:1の割合でブレンドして160度の温度下で1次焙煎を行うと共に232度の温度下で2次焙煎を行い(コーヒー生豆の全量が50kgである場合、1次焙煎は約17〜18分、2次焙煎は約7〜8分、全体で約24〜26分)、浸漬工程において焼酎とコーヒー豆との割合が焼酎1リットルに対してコーヒー豆35gとなるように前記醸造工程において醸造した焼酎に前記焙煎工程において焙煎したコーヒーを投入して約1週間浸漬し、冷蔵工程においてコーヒー豆を分離した後のアルコール溶液を0〜5度の温度下で約3日間冷蔵し、糖分混入工程において前記冷蔵工程後のアルコール溶液に黒砂糖を混入し、濾過工程において前記糖分混入工程後のアルコール溶液を濾過し、瓶充填工程において前記濾過工程後のアルコール溶液を瓶に充填して約1週間熟成させる。上述した以外の製造過程は前記第1実施例と同様なので説明を省略する。
本実施例では、上記第1実施例と同様、7つの工程からアルコール飲料を製造しており、醸造工程においてアルコール度数を30度に調整した焼酎を醸造し、焙煎工程においてブラジルとマンデリンとグアテマラとの3種類のコーヒー豆を3:1:1の割合でブレンドして160度の温度下で1次焙煎を行うと共に232度の温度下で2次焙煎を行い(コーヒー生豆の全量が50kgである場合、1次焙煎は約17〜18分、2次焙煎は約7〜8分、全体で約24〜26分)、浸漬工程において焼酎とコーヒー豆との割合が焼酎1リットルに対してコーヒー豆35gとなるように前記醸造工程において醸造した焼酎に前記焙煎工程において焙煎したコーヒーを投入して約1週間浸漬し、冷蔵工程においてコーヒー豆を分離した後のアルコール溶液を0〜5度の温度下で約3日間冷蔵し、糖分混入工程において前記冷蔵工程後のアルコール溶液に黒砂糖を混入し、濾過工程において前記糖分混入工程後のアルコール溶液を濾過し、瓶充填工程において前記濾過工程後のアルコール溶液を瓶に充填して約1週間熟成させる。上述した以外の製造過程は前記第1実施例と同様なので説明を省略する。
上述のようにしてアルコール飲料を製造することにより、製造に要する期間を短縮しながらも、第1実施例と同様まろやかで深みのあるコーヒー風味のアルコール飲料を完成させることができる。
[第3実施例]
本実施例では、前記第1実施例における7つの工程のうち、糖分混入工程を除く6つの工程からアルコール飲料を製造しており、醸造工程においてアルコール度数を35度に調整した焼酎を醸造し、焙煎工程においてコロンビアとマンデリンとブライド・オン・ツリーとの3種類のコーヒー豆を4:4:3の割合でブレンドして150度の温度下で1次焙煎を行うと共に203度の温度下で2次焙煎を行い(コーヒー生豆の全量が50kgである場合、1次焙煎は約12〜13分、2次焙煎は約9〜10分、全体で約21〜23分)、浸漬工程において焼酎とコーヒー豆との割合が焼酎1リットルに対してコーヒー豆45gとなるように前記醸造工程において醸造した焼酎に前記焙煎工程において焙煎したコーヒーを投入して約2週間浸漬し、冷蔵工程においてコーヒー豆を分離した後のアルコール溶液を0〜5度の温度下で約1週間冷蔵し、濾過工程において前記冷蔵工程後のアルコール溶液を濾過し、瓶充填工程において前記濾過工程後のアルコール溶液を瓶に充填して約1週間熟成させる。上述した以外の製造過程は前記第1実施例と同様なので説明を省略する。
本実施例では、前記第1実施例における7つの工程のうち、糖分混入工程を除く6つの工程からアルコール飲料を製造しており、醸造工程においてアルコール度数を35度に調整した焼酎を醸造し、焙煎工程においてコロンビアとマンデリンとブライド・オン・ツリーとの3種類のコーヒー豆を4:4:3の割合でブレンドして150度の温度下で1次焙煎を行うと共に203度の温度下で2次焙煎を行い(コーヒー生豆の全量が50kgである場合、1次焙煎は約12〜13分、2次焙煎は約9〜10分、全体で約21〜23分)、浸漬工程において焼酎とコーヒー豆との割合が焼酎1リットルに対してコーヒー豆45gとなるように前記醸造工程において醸造した焼酎に前記焙煎工程において焙煎したコーヒーを投入して約2週間浸漬し、冷蔵工程においてコーヒー豆を分離した後のアルコール溶液を0〜5度の温度下で約1週間冷蔵し、濾過工程において前記冷蔵工程後のアルコール溶液を濾過し、瓶充填工程において前記濾過工程後のアルコール溶液を瓶に充填して約1週間熟成させる。上述した以外の製造過程は前記第1実施例と同様なので説明を省略する。
上述のようにしてアルコール飲料を製造することにより、浸漬工程においてコーヒー豆から抽出されるエキスの量を増加させる一方、冷蔵工程において除去可能な油分や滓の量を増加させることができ、雑味が排除されたより一層まろやかで深みのあるコーヒー風味のアルコール飲料を完成させることができる。
しかも、香りに優れたコロンビアと、甘みやこくに優れたマンデリンと、前記2種類のコーヒー豆をブレンドした際の味のバランスを整えるのに優れたブライド・オン・ツリーとの3種類のコーヒー生豆をブレンドしたので、コーヒー特有の味や香りを際だたせて、焼酎に効果的にコーヒーの風味を付けることができる。
Claims (1)
- 120度〜180度で所定時間焙煎する1次焙煎と、同1次焙煎後に185度〜240度で所定時間焙煎する2次焙煎とからなる焙煎工程でコーヒー豆を焙煎し、内部間隙の多い状態としたコーヒー豆を木綿の布袋に収容し、同布袋ごと錘によって樽で熟成させたアルコール度数30度〜35度の焼酎の液面下へ沈降させて所定期間浸漬する浸漬工程により、木綿の布袋内において、コーヒー豆の内部間隙に焼酎を浸入させ、同間隙に充満していたガスをコーヒー豆の外部へと押し出して、木綿の布袋内でガスと焼酎との置換を行い、ガスが気泡となって液面に上昇するまでの間に、ガスに含まれる香り成分や味成分を焼酎中へと溶出し、布袋ごとコーヒー豆を液中から引き上げてコーヒー豆とアルコール溶液とを分離し、残留したアルコール溶液を0度〜9度の温度下で所定期間冷蔵する冷蔵工程によりアルコール溶液中の油分や滓を凝固させて除去し、割水しながら濾過する濾過工程でアルコール度数を25度前後に調整することを特徴とするアルコール飲料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009014832A JP2009136295A (ja) | 2009-01-26 | 2009-01-26 | アルコール飲料の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113424980A (zh) * | 2021-06-22 | 2021-09-24 | 云南中烟新材料科技有限公司 | 一种咖啡烟用香料的制备方法与应用 |
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2009
- 2009-01-26 JP JP2009014832A patent/JP2009136295A/ja active Pending
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