JP5857437B2 - 甘藷を原料とした醸造酒の製造方法 - Google Patents
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上記製麹工程で得られた焼酎製造用米麹に対して酵母数105〜106cells/g・mashとなるように酵母を投入し、米麹に対して100重量%〜150重量%の一次仕込み水を加え、15℃〜30℃の温度で4日〜7日間かけて一次発酵を行い、一次モロミを得る工程。
一方、生甘藷を水洗いして甘藷の表面に付着した土を洗い流した後、甘藷の両端を切断し、90℃〜100℃の水蒸気で40分間〜60分間蒸煮し、これを最大粒度2〜4cmに粉砕する工程。次いで、この粉砕した蒸し甘藷に、上記一次モロミと二次仕込み水を加え、発酵温度10℃〜30℃で3日間〜9日間かけて二次発酵を行う工程。
次いで、発酵温度10℃〜30℃で、一日当り5分間〜15分間の曝気撹拌を行いながら3日間〜9日間かけてモロミ撹拌を行う工程。
次いで、得られたモロミを設定温度0℃〜5℃で急冷する工程。冷却したモロミを固液分離する工程。固液分離したアルコール含有物に温度60℃〜80℃で、10〜15秒間の火入れを行い20秒以内に30℃以下に冷却する火入れ冷却工程を経て、保存量添加後、澱下げを行い、濾過精度0.45μ〜3μのメンブレンフィルターでろ過する工程からなることを第2の特徴とする。また、甘藷の品種がコガネセンガンであることを第3の特徴とする。
先ず、香味を決定する上で最も重要な工程において、それぞれの条件変化における香味の差を把握し、最も秀でた香味を呈示できる組み合わせを確立した。
発酵過程において生産されるアルコール度数が本商品の土台となることから発酵を確実に停止させることで、香味の再現性を確立した。
(1)固液分離による酵母除去:発酵を終了させるためには、酵母の除去が近道であると考察し、これを比重の差で分離する固液分離装置を使って液分を回収することによって酵母の除去を確立した。
(2)火入れ:微生物を熱殺菌により死滅させることで、発酵を停止させると共に酵素の失活をさせた。
発酵停止後、香味の劣化を防ぎ新鮮な状態で製品化するために精製効率を向上させた。
(1)濾過負荷を軽減するための不純物の前処理技術(澱下げ):液分回収からすぐに澱下げ剤を添加し、24時間以内で1次濾過を終了させるための技術を確立した。
ビン詰後から香味が劣化するまでの期間の延長を可能にした。
(1)窒素充填:充填容器内に窒素を注入することで酸化を防止し、劣化を防ぐ技術を確立した。
(2)ビタミンC(アスコルビン酸)の添加により酸化による変色・劣化防止技術を確立した。
[製造方法]
酒造用原料米を蒸煮したものに、酒造用種麹菌を散布し、製麹装置にて製麹を行い焼酎用麹を製造する。この焼酎用麹に仕込み水と酒造用酵母菌を加えて約4〜7日程度かけて一次発酵を行って一次モロミを得る。次に、原料甘藷(コガネセンガン)を蒸煮し、仕込み水と共に一次モロミと混合し、二次発酵を3〜9日間行う。ここで生成されたアルコール含有物(二次モロミ)を濾布又は遠心分離装置を用いて固液分離を行い、分離した液分を回収し、清澄性を出すための精密濾過を施し、瓶詰めしたものを酒類分類上の「その他の醸造酒」として製品化する。
香味に影響を及ぼす可能性のある工程、又は意図的に、甘藷の特性を出す工程の条件を変えて、本発明方法による操作を「実施例」とし、一般的な仕込み方法による操作を「比較例」として、12名のパネラーによる官能テストを行った。評価は3点評価(1.優 2.良 3.不良)とした。
[操作]仕込み温度は同じとし、固液分離までの発酵経過時間を変化させた。結果を表1に示す。
[操作]発酵経過中、水冷から飽和食塩水を冷凍機で−5℃まで冷却した水の入った水槽にモロミ容器を移し、冷却温度を変化させ、確実にアルコール度数が停滞する温度帯域を調べた。測定は国税庁所定分析法注解より、モロミの試留を行い、振動式密度比重計(京都電子製:DA−520)で測定した。この振動式密度比重計は1/100%単位のアルコール度数を測定できる。その結果を表2に示す。尚、設定達温までの所要時間は1時間以内とした。
[操作]試験2の結果を受け、固液分離開始までの発酵経過時間は変えずに、実施例ではモロミを4℃まで冷却した上で、固液分離を行った。評価は、前記と同様に12名のパネラーによる官能テストにより、3点評価(1.優 2.良 3.不良)とした。結果を表3に示す。
[操作]試験1の結果より、実施例1の条件で70時間発酵後、試験2の結果より、4℃まで急冷して実施例とし、比較例としては、試験1の比較例2と同一条件とした。結果を表4に示す。
Claims (3)
- 焼酎製造用米麹に仕込み水と酒造用酵母菌を加えて発酵して得た一次モロミと蒸煮した甘藷を混合して二次発酵を行い、得られたアルコール含有物を含む二次モロミを固液分離する直前に急冷して得ることを特徴とする甘藷を原料とした醸造酒の製造方法。
- 原料米1に対して30〜40重量%の水を散水して2時間〜4時間かけて吸水用水を限定吸水する工程。次いで、この吸水米を蒸気室内温度90℃〜100℃で、40分間〜60分間蒸煮する工程。得られた蒸米に種麹を接種し、製麹温度30℃〜40℃で35時間〜42時間かけて製麹して焼酎製造用米麹を得る工程。
上記製麹工程で得られた焼酎製造用米麹に対して酵母数105〜106cells/g・mashとなるように酵母を投入し、米麹に対して100重量%〜150重量%の一次仕込み水を加え、15℃〜30℃の温度で4日〜7日間かけて一次発酵を行い、一次モロミを得る工程。
一方、生甘藷を水洗いして甘藷の表面に付着した土を洗い流した後、甘藷の両端を切断し、90℃〜100℃の水蒸気で40分間〜60分間蒸煮し、これを最大粒度2〜4cmに粉砕する工程。次いで、この粉砕した蒸し甘藷に、上記一次モロミと二次仕込み水を加え、発酵温度10℃〜30℃で3日間〜9日間かけて二次発酵を行う工程。
次いで、発酵温度10℃〜30℃で、一日当り5分間〜15分間の曝気撹拌を行いながら3日間〜9日間かけてモロミ撹拌を行う工程。
次いで、得られたモロミを設定温度0℃〜5℃で急冷する工程。冷却したモロミを固液分離する工程。固液分離したアルコール含有物に温度60℃〜80℃で、10〜15秒間の火入れを行い20秒以内に30℃以下に冷却する火入れ冷却工程を経て、保存量添加後、澱下げを行い、濾過精度0.45μ〜3μのメンブレンフィルターでろ過する工程からなることを特徴とする請求項1記載の甘藷を原料とした醸造酒の製造方法。 - 甘藷の品種がコガネセンガンであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の甘藷を原料とした醸造酒の製造方法。
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