JP6534254B2 - ビール様発泡性飲料の製造方法 - Google Patents

ビール様発泡性飲料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6534254B2
JP6534254B2 JP2014230705A JP2014230705A JP6534254B2 JP 6534254 B2 JP6534254 B2 JP 6534254B2 JP 2014230705 A JP2014230705 A JP 2014230705A JP 2014230705 A JP2014230705 A JP 2014230705A JP 6534254 B2 JP6534254 B2 JP 6534254B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
beer
wheat
raw material
wort
beverage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014230705A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016093118A (ja
Inventor
小林 稔
稔 小林
慎介 伊藤
慎介 伊藤
巧弥 大橋
巧弥 大橋
鴻規 呉
鴻規 呉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Breweries Ltd
Original Assignee
Asahi Breweries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Breweries Ltd filed Critical Asahi Breweries Ltd
Priority to JP2014230705A priority Critical patent/JP6534254B2/ja
Publication of JP2016093118A publication Critical patent/JP2016093118A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6534254B2 publication Critical patent/JP6534254B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Description

本発明は、麦類を原料とし、充分な香気成分を有するにもかかわらず、プリン体濃度が低いビール様発泡性飲料及びその製造方法に関する。
ビールや発泡酒等のビール様発泡性飲料は、消費者の嗜好の多様化にともない、多種多様の商品が上市されている。特に、近年の消費者の健康志向から、プリン体含有量が低減されつつ、従来のビール等が有する香味を保持したビール様発泡性飲料が求められている。しかしながら、多くのビール様発泡性飲料ではビールらしさを維持するために麦芽を原料として用いているため、プリン体含有量が多くなってしまうという問題がある。
プリン体含有量が低減されたビール様発泡性飲料を製造する方法としては、例えば、ビールや発泡酒等の製造工程における麦汁若しくは発酵液に対して活性炭処理(例えば、特許文献1参照。)やゼオライト処理(例えば、特許文献2参照。)を行うことによりプリン体を吸着除去する方法がある。また、麦類原料を用いるビール様発泡性飲料の製造においてプリン体含有量を少なくするために、粉砕した麦類原料を予め70℃以上の水と混合し、当該麦類原料に含まれているヌクレオシド分解酵素を失活させておくことにより、当該麦類原料から溶出されるプリン体量を抑える方法が開示されている(特許文献3参照。)。
特許第3730935号公報 特開2004−290072号公報 特開2013−255464号公報
活性炭やゼオライトは多種多様な物質を吸着するため、活性炭処理やゼオライト処理によりプリン体以外の多くの香気成分も除去されてしまい、ビールらしさが損なわれやすいという問題がある。さらに、吸着剤処理により大きくコストがかかるという問題もある。一方で、特許文献3に記載の方法では、麦類原料からのプリン体の溶出抑制が充分であるとはいえず、消費者が期待する程度にまでプリン体含有量を低めたビール様発泡性飲料を製造するためには、麦類原料の使用量が制限されてしまうため、ビールらしい香味が不充分になる。
本発明は、麦類を原料とし、充分な香気成分を有するにもかかわらず、プリン体濃度が低いビール様発泡性飲料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、麦原料として、未粉砕の麦類、いわゆる全粒(丸粒)を用いることにより、麦原料から溶出されるプリン体量を抑えることができること、さらに未粉砕の麦類のほうが、従来一般的に使用されている粉砕された麦類よりもノルフラネオール(norfuraneol ;4-hydroxy-5-methyl-3(2H)-furanone)やイソオイゲノール(isoeugenol)等の香気成分が多く溶出されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係るビール様発泡性飲料の製造方法は、下記[1]〜[]である。
[1] 未粉砕の麦類を発酵原料として用い、
前記未粉砕の麦類が、未粉砕の焙燥未発芽麦類又は未粉砕の麦芽であることを特徴とする、ビール様発泡性飲料の製造方法。
[2] 前記未粉砕の麦類を原料水中で煮出し、麦汁を調製する仕込工程、
を有する、前記[1]のビール様発泡性飲料の製造方法。
[3] 前記仕込工程において、前記未粉砕の麦類を75℃以上で煮出す、前記[2]のビール様発泡性飲料の製造方法。
[4] 前記仕込工程において、粉砕された麦類、麦類以外の穀物原料、及び糖質原料からなる群より選択される1種以上と前記未粉砕の麦類と原料水とを混合して調製された混合物を加温処理する、前記[2]又は[3]のビール様発泡性飲料の製造方法。
[5] 前記仕込工程において、前記未粉砕の麦類と原料水とを混合して調製された混合物を75℃以上に加温処理し、得られた麦汁にさらに粉砕された麦類、麦類以外の穀物原料、及び糖質原料からなる群より選択される1種以上を混合して加温処理する、前記[2]又は[3]のビール様発泡性飲料の製造方法。
[6] 前記仕込工程において、原料として使用した麦類1g当たりのプリン体溶出量が0.5mg以下である、前記[2]〜[5]のいずれかのビール様発泡性飲料の製造方法。
] ノルフラネオール濃度が200〜5000ng/Lであり、かつイソオイゲノール濃度が1〜15ng/Lであるビール様発泡性飲料を製造する、前記[1]〜[]のいずれかのビール様発泡性飲料の製造方法。
] プリン体濃度が80mg/L以下であるビール様発泡性飲料を製造する、前記[1]〜[]のいずれかのビール様発泡性飲料の製造方法。
] 色度が13°EBC以下であるビール様発泡性飲料を製造する、前記[1]〜[]のいずれかのビール様発泡性飲料の製造方法。
本発明に係るビール様発泡性飲料及びその製造方法により、麦類由来の特徴的な香気成分を有しつつ、プリン体の含有量が低いビール様発泡性飲料を提供することができる。
実施例6において、縦軸を製品中のノルフラネオール濃度(ppb)とし、横軸を麦芽の使用量として、各ビール様発泡性飲料の測定結果をプロットした図である。 実施例6において、縦軸を製品中のイソオイゲノール濃度(ppb)とし、横軸を麦芽の使用量として、各ビール様発泡性飲料の測定結果をプロットした図である。
本発明及び本願明細書において、「ビール様発泡性飲料」とは、アルコール含有量、麦芽やホップの使用の有無及び使用量、発酵の有無に関わらず、ビールと同等の又はそれと類似した風味・味覚及びテクスチャーを有する発泡性飲料を意味する。
本発明に係るビール様発泡性飲料は、発酵工程を経て製造される発酵飲料であってもよく、発酵工程を経ずに製造される非発酵飲料であってもよい。また、アルコール飲料であってもよく、アルコール含量が1容量%未満であるいわゆるノンアルコール飲料又はローアルコール飲料であってもよい。具体的には、ビール、発泡酒、ローアルコール発泡性飲料、ノンアルコールビール等が挙げられる。その他、発酵工程を経て製造された飲料又は発酵工程を経ずに製造された飲料を、アルコール含有蒸留液と混和して得られたリキュール類であってもよい。
なお、アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、一般に蒸留酒に分類されるものを用いることができる。例えば、スピリッツ、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等を用いることができる。呈味に対する影響が少ないため、本発明においては、該アルコール含有蒸留液は、スピリッツであることがより好ましい。
一般的に、ビール様発泡性飲料の製造において、麦類、米、とうもろこしをはじめとする穀物原料は、粉砕物又は粉砕後に加工し液体化したものとして使用される。穀物原料は、主にエキス分(糖分やたんぱく質分)を収得するための原料として使用されており、予め粉砕しておくことにより、仕込工程において効率的にエキス分を抽出することができる。
これに対して、本発明に係るビール様発泡性飲料は、未粉砕の麦類を原料とすることを特徴とする。仕込工程において、未粉砕の状態からエキス分を抽出するほうが、粉砕物から抽出する場合に比べて、エキス分の抽出効率が低くなるが、麦類からのプリン体の抽出量も抑えることができる。つまり、未粉砕の麦類を原料とすることにより、破砕又は粉砕された麦類(以下、「麦類粉砕物」ということがある。)を原料とする場合よりも、麦類の使用比率(原料に占める麦類の割合)を高くしつつ、プリン体含有量の低いビール様発泡性飲料を製造できる。
また、未粉砕の麦類は、エキス分の抽出効率が低いにもかかわらず、ノルフラネオールやイソオイゲノール、フルフラネオール等のビール様発泡性飲料に好ましい香気成分の抽出効率は、粉砕物から抽出する場合と同等かそれ以上である。このため、未粉砕の麦類を原料とすることにより、麦類粉砕物を原料とする場合よりも、麦類由来のプリン体量は少ないが、穀物原料由来の香気成分は同等量以上含有するビール様発泡性飲料を製造できる。
例えば、麦類由来の香気成分のうち、ノルフラネオールとイソオイゲノールは、原料とする麦類の使用量が多いほど、製造されたビール様発泡性飲料における含有量も多くなる。つまり、ビール様発泡性飲料におけるノルフラネオールとイソオイゲノールの含有量は、原料として使用された麦類の量の指標となり得る。本発明に係るビール様発泡性飲料としては、原料として用いる麦類の量が、製造されたビール様発泡性飲料中のノルフラネオール濃度が200〜5000ng/Lとなる程度用いることが好ましく、300〜3000ng/Lとなる程度用いることがより好ましく、350〜1500ng/Lとなる程度用いることがさらに好ましい。
また、麦類由来の香気成分のうち、特にイソオイゲノールは、麦類粉砕物よりも未粉砕の麦類のほうが、抽出効率が明らかに高い。本発明に係るビール様発泡性飲料としては、原料として用いる未粉砕の麦類の量が、製造されたビール様発泡性飲料中のイソオイゲノール濃度が1〜15ng/Lとなる程度用いることが好ましく、2〜15ng/Lとなる程度用いることがより好ましく、3.5〜15ng/Lとなる程度用いることがさらに好ましく、3.5〜8.5ng/Lとなる程度用いることがよりさらに好ましい。
本発明において原料として用いられる未粉砕の麦類は、粉砕処理がなされていない麦類であれば特に限定されるものではない。例えば、大麦であってもよく、小麦であってもよく、麦芽であってもよく、未発芽の麦類であってもよい。また、焙焦乾燥処理等の粉砕処理以外の処理が施されたものであってもよい。
本発明に係るビール様発泡性飲料は、原料として用いる麦類を全て未粉砕の麦類としてもよく、未粉砕の麦類と麦類粉砕物の両方を併用してもよい。原料とする麦類の少なくとも一部を未粉砕の麦類に置き換えることによって、ビールらしさを担う香気成分量を低減させることなく、プリン体含有量を低減させることができる。
また、本発明に係るビール様発泡性飲料の製造に用いられる原料としては、麦類以外の穀物原料を併用してもよく、糖質原料を併用してもよい。麦類以外の穀物原料としては、例えば、米、トウモロコシ、大豆等の豆類、イモ類等が挙げられる。未粉砕の麦類以外の穀物原料は、穀物シロップ、穀物エキス等として用いることもできるが、破砕処理又は粉砕処理して得られる物(穀物粉砕物)として用いることが好ましい。穀物類の破砕処理及び粉砕処理は、常法により行うことができる。穀物粉砕物としては、コーンスターチ、コーングリッツ等のように、粉砕処理や破砕処理の前後において通常なされる処理を施したものであってもよい。また、本発明において用いられる未粉砕の麦類以外の穀物原料としては、1種類の穀物原料であってもよく、複数種類の穀物原料を混合したものであってもよい。糖質原料としては、例えば、液糖等の糖類が挙げられる。
穀物粉砕物及び糖質原料は、未粉砕の麦類よりもエキス分の抽出効率が高い。このため、穀物粉砕物又は糖質原料を未粉砕の麦類と併用することにより、併用しなかった場合に比べてよりエキス分の高いビール様発泡性飲料が製造できる。逆に、穀物粉砕物や糖質原料を使用しない、又はその使用量を低く抑えることによって、プリン体含有量が低いことに加えて、エキス分が少なく、低カロリーのビール様発泡性飲料が製造できる。
本発明に係るビール様発泡性飲料が未粉砕の麦類と併用する原料としては、麦類粉砕物及び糖質原料からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、麦芽粉砕物及び液糖からなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。麦類粉砕物を用いることにより、米等の他の穀物原料を用いる場合よりも麦類由来の香気成分が多く、よりビールらしさの強いビール様発泡性飲料が得られる。また、液糖を用いることにより、他の穀物原料を用いる場合よりもプリン体含有量の少ないビール様発泡性飲料が得られる。
本発明に係るビール様発泡性飲料のプリン体濃度は、80mg/L以下であることが好ましく、60mg/L以下であることがより好ましく、40mg/L以下であることがさらに好ましく、20mg/L以下であることがよりさらに好ましく、10mg/L以下であることが特に好ましい。
なお、本発明及び本願明細書において、プリン体とは、アデニン、キサンチン、グアニン、ヒポキサンチンのプリン体塩基4種の総量を指す。非発酵ビール様発泡性飲料や原料中のプリン体含有量は、例えば、過塩素酸による加水分解後にLC−MS/MSを用いて検出する方法(「酒類のプリン体の微量分析のご案内」、財団法人日本食品分析センター、インターネット<URL: http://www.jfrl.or.jp/item/nutrition/post-31.html>、平成25年1月検索)により測定することができる。
未粉砕の麦類以外の穀物原料(麦類粉砕物を含む。)の使用量が多くなるほど、製造されたビール様発泡性飲料のプリン体濃度は高くなる。本発明に係るビール様発泡性飲料が、未粉砕の麦類以外の穀物原料を併用する場合には、穀物原料全体に占める未粉砕の麦類の割合は、製造されるビール様発泡性飲料のエキス分やプリン体含有量等を考慮して、適宜調整することができる。
また、未粉砕の麦類は、色素の抽出効率が低い。このため、未粉砕の麦類を原料とすることにより、麦類粉砕物を原料とする場合よりも、色の薄いビール様発泡性飲料を製造できる。例えば、濃色ビールの色や香ばしいロースト香は、主に原料である焙燥された麦類に由来する。そこで、濃色ビールを製造する際に、焙燥麦類の粉砕物にかえて未粉砕の焙燥麦類を用いることにより、焙燥麦類からの色素の抽出を抑えつつ、フルフリルチオール等のロースト香の香気成分を効率よく抽出できる。つまり、本発明において、未粉砕の麦類として焙燥された麦類を用いることにより、フルフリルチオール等のロースト香の香気成分を多く含有しつつ、従来の濃色ビールよりも色の薄いビール様発泡性飲料、例えば黄金色の淡色のビール様発泡性飲料を製造できる。
本発明に係るビール様発泡性飲料の色度は、例えば、穀物原料の少なくとも一部を焙燥穀物に置き換えることや、着色料を原料として添加することによって調整することができる。当該着色料としては、ビールらしい色を付与可能であり、かつ飲食可能な色素であれば特に限定されるものではないが、カラメル化反応物(カラメル色素)が特に好ましい。
本発明に係るビール様発泡性飲料の色は、求められる品質特性等に応じて適宜調整でき、一般的なピルスナータイプのビールのような黄金色であってもよく、濃い褐色や黒色であってもよい。未粉砕の麦類を原料として用いるという本発明の特徴をより発揮し得ることから、本発明に係るビール様発泡性飲料の色は、濃色よりも淡色であることが好ましく、例えば、色度が16°EBC以下であることが好ましく、13°EBC以下であることがより好ましい。一方で、淡色ビールらしさの点から、本発明に係るビール様発泡性飲料の色度は、2°EBC以上が好ましく、5°EBC以上がより好ましく、7°EBC以上がさらに好ましい。
なお、色度は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica−EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる。EBCとは、ビールの分析での色度の単位で、ビールの色の濃淡を数値(EBC色度の9つのガラスディスクを持ったコンパレーターにより目視で測定する、若しくは波長430nmでの吸光度を基に算出する。)であらわしたものである。
本発明に係るビール様発泡性飲料は、穀物原料の少なくとも一部として未粉砕の麦類を用いる以外は、一般的なビール様発泡性飲料と同様にして製造できる。一般的なビール様発泡性飲料の製造工程を下記に示す。酵母による発酵工程を経て製造される場合と、発酵工程を経ずに製造される場合を、それぞれ分けて示す。
酵母による発酵工程を経てビール様発泡性飲料を製造する場合には、例えば、仕込(麦汁調製)、発酵、貯酒、濾過の工程で製造することができる。未粉砕の麦類は、発酵原料として用いられる。
まず、仕込工程として、未粉砕の麦類を原料水中で煮出し(熱水抽出)、麦汁を調製する。具体的には、未粉砕の麦類と原料水とを含む混合物を調製して加温し、未粉砕の麦類からエキス分や香気成分等を抽出する。当該混合物の加温温度は、エキス分の抽出効率が比較的高く、かつプリン体の抽出効率が抑えられることから、75℃以上100℃以下が好ましく、80℃以上100℃以下がより好ましく、90℃以上100℃以下がさらに好ましく、95℃以上100℃以下がよりさらに好ましい。加温処理の時間は、エキス分や香気成分が抽出されるのに充分な時間であればく、例えば、1〜120分間が好ましく、5〜60分間がより好ましい。
液糖等の糖質原料も発酵原料として用いる場合には、未粉砕の麦類と糖質原料と原料水とを含む混合物を加温して麦汁を調製してもよく、未粉砕の麦類と原料水とを含む混合物を加温し、得られた麦汁に糖質原料を混合してもよい。
麦芽粉砕物等の穀類粉砕物も発酵原料として用いる場合には、穀類粉砕物を未粉砕の麦類と共に原料水に混合してエキス分等を煮出してもよく、穀類粉砕物と原料水の混合物を加温して糖化処理を行って得られた穀物煮汁を、未粉砕の麦類から調製された麦汁と混合してもよい。また、未粉砕の麦類と原料水とを含む混合物を75℃以上100℃以下で加温して煮出し、得られた麦汁に穀類粉砕物を混合して加温することにより糖化処理を行ってもよく、穀類粉砕物と原料水の混合物を加温して糖化処理を行って得られた穀物煮汁に、未粉砕の麦類と必要に応じて原料水とを混合し、75℃以上100℃以下で加温して煮出してもよい。
糖化処理は、麦芽をはじめとする穀物原料由来の酵素や、別途添加した酵素を利用して行う。糖化処理時の温度や時間は、用いた穀物原料等の種類や量、添加した酵素の種類や混合物の量、目的とするビール様発泡性飲料の品質等を考慮して、適宜調整される。例えば、糖化処理は、麦芽等を含む混合物を35〜70℃で20〜90分間保持する等、常法により行うことができる。
活性炭処理等のプリン体除去処理を行わずにプリン体含有量が充分に低いビール様発泡性飲料を製造するためには、仕込工程において調製される麦汁中のプリン体含有量が充分に低いことが好ましい。例えば、仕込工程においては、原料として使用した麦類1g当たりのプリン体溶出量が0.5mg以下となるように麦汁を調製することが好ましい。このため、未粉砕の麦類と併用される発酵原料としては、穀類粉砕物よりも、液糖等の糖質原料が好ましい。
発酵原料と原料水とを含む混合物には、その他の副原料を加えてもよい。当該副原料としては、例えば、ホップ、食物繊維、果汁、苦味料、着色料、香草、香料等が挙げられる。また、必要に応じて、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ等の糖化酵素やプロテアーゼ等の酵素剤を添加することができる。
仕込工程後、発酵工程前に、調製された麦汁から、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去することが好ましい。粕の除去は、いずれの固液分離処理で行ってもよいが、一般的には、ワールプールと呼ばれる槽を用いて沈殿物を除去する。この際の麦汁の温度は、15℃以上であればよく、一般的には90〜99℃程度で行われる。粕を除去した後の麦汁(濾液)は、プレートクーラー等により適切な発酵温度まで冷却する。なお、穀類粉砕物も発酵原料として用いる場合には、糖化処理後の麦汁を煮沸した後に粕を除去することが好ましい。
次いで、発酵工程として、冷却した濾液に酵母を接種して、発酵を行う。冷却した濾液は、そのまま発酵工程に供してもよく、所望のエキス濃度に調整した後に発酵工程に供してもよい。発酵に用いる酵母は特に限定されるものではなく、通常、酒類の製造に用いられる酵母の中から適宜選択して用いることができる。上面発酵酵母であってもよく、下面発酵酵母であってもよいが、大型醸造設備への適用が容易であることから、下面発酵酵母であることが好ましい。
発酵工程におけるアルコール発酵を抑制することにより、発酵により生成されるアルコール量がより低減される。したがって、特に、アルコール濃度が1容量%未満のローアルコールビール等の非常にアルコール濃度が低いビール様発泡性飲料を製造する場合には、発酵工程における発酵度を下げることも好ましい。
さらに、貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより、酵母及び当該温度域で不溶なタンパク質等を除去して、目的のビール様発泡性飲料を得ることができる。また、所望のアルコール濃度とするために、濾過後に適量の加水を行って希釈してもよい。得られたビール様発泡性飲料は、通常、充填工程により瓶詰めされて、製品として出荷される。
当該濾過処理は、酵母を濾過除去可能な手法であればよく、例えば、珪藻土濾過、平均孔径が4〜5μm程度のフィルターによるフィルター濾過等が挙げられる。一般的に、麦汁や熟成後の発酵液中の水溶性食物繊維の含有量が多いほど、当該濾過処理における目詰まりが生じやすくなる。未粉砕の麦類は、β−グルカン等の水溶性食物繊維の抽出効率も低いため、穀物原料のうちの少なくとも一部を未粉砕の麦類に置き換えることにより、濾過工程における負荷を低減することができる。
その他、酵母による発酵工程以降の工程において、例えばスピリッツと混和することにより、酒税法におけるリキュール類に相当するビール様発泡性飲料を製造することができる。スピリッツの添加は、アルコール濃度の調整のための加水前であってもよく、加水後であってもよい。添加するスピリッツは、より好ましい麦感を有するビール様発泡性飲料を製造し得ることから、麦スピリッツが好ましい。
また、前記仕込工程で調製した麦汁に、炭酸ガスを加えることにより、酵母による発酵工程を経ずにビール様発泡性飲料を製造することができる。当該麦汁と炭酸水を混合してもよい。また、当該麦汁には、所望の呈味性を実現するために、苦味物質、酸味料、起泡剤、着色料、甘味成分、香味料等を添加してもよい。
当該麦汁に対しては、炭酸ガスを加える前に、濾過等の不溶物を除去する処理を行うことが好ましい。また、炭酸ガスを添加した後、得られたビール様発泡性飲料に対して、さらに不溶物を除去する処理を行ってもよい。不溶物除去処理は、特に限定されるものではなく、珪藻土濾過等の濾過法、遠心分離法等の当該技術分野で通常用いられている方法で行うことができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ロースター(PROBAT−WERKE社製、Type M-350)を用い、200℃程度で焙燥した未発芽の大麦を全粒(丸粒)の状態で10倍量の熱水に入れ、5分間煮沸してエキス分を煮出した。得られた麦汁を30分間室温で静置した後、濾紙(No.2 濾紙、ADVANTEC社製)を用いて濾過し、得られた濾液を急冷した。
比較対象として、同様に焙燥した未発芽の大麦を粉砕し、得られた粉砕物を10倍量の熱水に入れ、5分間煮沸してエキス分を煮出した。得られた麦汁を30分間室温で静置した後、濾紙(No.2 濾紙、ADVANTEC社製)を用いて濾過し、得られた濾液を急冷した。
調製された各麦汁について、フルフリルチオール含有量(ppb)、エキス分(可溶性蒸発残渣=真正エキス)濃度(%)、色度(°EBC)、アミノ態窒素(mg/100mL)、β−グルカン濃度(mg/L)、及び総ポリフェノール濃度(ppm)を測定した。測定結果を表1に示す。
各麦汁中のフルフリルチオール含有量は、富永らの方法(Journal of Agricultural and Food Chemistry, 1998, vol.46, p.1044-1048)の方法を参考にして測定した。具体的には、まず、p−ヒドロキシメルクリ安息香酸、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、及び内部標準物質をエタノール溶液として添加し、激しく攪拌した。次いで、得られた混合液を、強塩基性陰イオン交換樹脂カラムにアプライし、当該カラムに吸着していたフルフリルチオールをシステイン溶液で溶出し、回収した。回収したシステイン溶液にジクロロメタンを加えて振とう抽出し、遠心分離処理を行って溶媒層を回収した。この回収された有機溶媒層は、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、窒素パージにて濃縮した。得られた有機溶媒層の濃縮物をGC/MS分析に供し、フルフリルチオール量を測定した。
各麦汁の430nmの吸光度を測定し、測定値から下記式(1)により色度(°EBC)を算出した。式(1)中、「C」は色度(EBC単位)を、「f」は希釈率を、「A430」は430nmの吸光度を、それぞれ意味する。式(1)中の「25」は、EBC色度に換算するためのファクターである。
式(1): C =25×f×A430
各麦汁のβ−グルカン含有量を、「GlucaTestキット」(Novabiotec社製)を用いて測定した。
各麦汁の総ポリフェノール含有量は、次のようにして測定した。
まず、10mLのサンプルを入れた2本の25mL容の共栓付丸底試験管(ブランク用試験管及び測定用試験管)にそれぞれ8mLのCMC(カルボキシメチルセルロース)溶液を当該試験管の内壁を伝わらせながら添加した後、4回緩やかに撹拌した。次いで、測定用試験管に0.5mLのクエン酸第二鉄アンモニウム溶液(0.35gのクエン酸第二鉄アンモニウムを10mLのイオン交換水に溶解させた溶液)を添加し、4回緩やかに撹拌した。その後、両方の試験管にそれぞれ0.5mLのアンモニア溶液(28容量%のアンモニア水とイオン交換水を1:1(容量比)で混合した溶液)を添加し、4回緩やかに撹拌した。さらに、ブランク用試験管に6.5mLのイオン交換水を入れ、測定用試験管に6.0mLのイオン交換水を入れ、両方の試験管をそれぞれ4回緩やかに撹拌した後、10分間静置した。これらの試験管内の溶液の600nmの吸光度(A600)を測定し、得られた測定値から下記式に従い、サンプルの総ポリフェノール濃度を求めた。
[総ポリフェノール濃度(ppm)]=([測定用試験管内溶液のA600]−[ブランク用試験管内溶液のA600])×820
Figure 0006534254
サンプル1−1(全粒の状態で煮出した麦汁)とサンプル1−2(粉砕物から煮出した麦汁)を比較すると、コーヒーや麦茶の代表的特徴香であるフルフリルチオールはほぼ同レベルの値を示す一方で、エキス分、色、アミノ態窒素、βグルカン、ポリフェノール等では、サンプル1−1の方が極めて低い値を示した。つまり、全粒の状態で煮出すことにより、焙燥した未発芽大麦の特徴香を付与しつつ、その他の成分の溶出を抑えることが可能なことが示された。
[実施例2]
実施例1において用いた焙燥未発芽大麦6kgを全粒(丸粒)の状態で仕込釜に投入して5分間煮沸した液と、淡色麦芽の粉砕物21kgと焙燥していない未発芽大麦の粉砕物3kgを50℃の水に投入し60分間反応させた液とを混合し、仕込槽にて64℃で10分間、続いて70℃で10分間加熱して糖化処理を行った。糖化処理終了後の麦汁を濾過槽にて濾過し、清澄な麦汁約200Lを得た。その後、得られた麦汁に液糖とホップを混合し、煮沸釜にて100℃で70分間煮沸を行った。煮沸後の麦汁を沈殿槽に移送し、30分間静置した後、熱交換を行って6℃に冷却し、冷麦汁を得た。得られた冷麦汁に酵母を添加し、常法に従い、発酵、熟成させ、発泡酒を得た。
比較対象として、実施例1において用いた焙燥未発芽大麦6kgを破砕した後に仕込釜に投入した以外は同様にして、発泡酒を製造した。
得られた発泡酒について、原麦汁エキス分(%)、フルフリルチオール濃度(ppt)、及び色度(°EBC)を、実施例1と同様にして測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 0006534254
サンプル2−1(全粒を原料とした発泡酒)をサンプル2−2(粉砕物を原料とした発泡酒)と比較すると、サンプル2−1では、フルフリルチオール濃度はやや低いものの、充分に高い値を示している一方で、色度は一般的に淡色ビールといわれるレベルであった。また、等量の麦芽粉砕物を使用しているため、サンプル2−1とサンプル2−2の両方とも原麦汁エキス分は同程度であった。
[実施例3]
実施例1において用いた焙燥未発芽大麦3kgを全粒(丸粒)の状態で仕込釜に投入して5分間煮沸した液と、淡色麦芽の粉砕物10kgを50℃の水に投入し30分間反応させた液とを混合し、仕込槽にて60℃で90分間加熱して糖化処理を行った。糖化処理終了後の麦汁を濾過槽にて濾過し、清澄な麦汁約180Lを得た。その後、得られた麦汁に液糖とホップを混合し、煮沸釜にて100℃で120分間煮沸を行った。煮沸後の麦汁を沈殿槽に移送し、30分間静置した後、熱交換を行って7℃に冷却し、冷麦汁を得た。得られた冷麦汁に酵母を添加し、常法に従い、発酵、熟成させ、発泡酒を得た。
また、実施例1において用いた全粒の焙燥未発芽大麦3kgに代えて、ミュンヘン麦芽5kgを全粒の状態で仕込釜に投入した以外は同様にして、発泡酒を製造した。
さらに、比較対象として、淡色麦芽の粉砕物10kgを50℃の水に投入し30分間反応させた液のみを仕込槽に投入した以外は同様にして、発泡酒を製造した。
得られた発泡酒について、麦らしさ、香ばしさ、及び渋味について官能評価を行った。官能評価は、6名の専門パネリストが、各発泡酒をそれぞれブラインドで官能試飲を行い、麦らしさ、香ばしさ、渋味について5段階で評価した。評点は、強いと感じた場合は5とし、普通と感じた場合は3とし、弱いと感じた場合は1とした。6名の専門パネリストの評点の平均値を表3に示す。
Figure 0006534254
サンプル3−3(全粒の麦類を原料として用いなかった発泡酒)に比べて、サンプル3−1(全粒の焙燥未発芽大麦を原料とした発泡酒)及びサンプル3−2(全粒のミュンヘン麦芽を原料とした発泡酒)は、渋味は同程度であるものの、いずれも麦らしさと香ばしさが高かった。これらの結果から、全粒の麦類を原料として用いることにより、ビール様発泡性飲料の香気を高められることがわかった。
[実施例4]
淡色麦芽20gを全粒(丸粒)の状態で50℃の水に投入し、30分間反応させた後、64℃で20分間、続いて70℃で10分間加温することにより糖化させた。糖化終了後、得られた麦汁を冷却し、遠心分離した上清のみを回収し、冷麦汁を得た(サンプル4−1)。
また、全粒の淡色麦芽20gに代えて、淡色麦芽20gを粉砕して得られた粉砕物を用いた以外はサンプル4−1と同様にして、冷麦汁を得た(サンプル4−2)。
淡色麦芽20gを全粒の状態で100℃の水400gに投入し、60分間煮出した(熱水抽出)。得られた麦汁を冷却し、遠心分離した上清のみを回収し、冷麦汁を得た(サンプル4−3)。
また、全粒の淡色麦芽20gに代えて、淡色麦芽20gを粉砕して得られた粉砕物を用いた以外はサンプル4−3と同様にして、冷麦汁を得た(サンプル4−4)。
各冷麦汁のプリン体濃度を、過塩素酸による加水分解後にLC−MS/MSを用いた方法(日本食品分析センター:「酒類のプリン体の微量分析のご案内」)により測定した。当該測定方法においては、アデニン、グアニン、キサンチン、及びヒポキサンチンのそれぞれについての定量限界値は、0.02mg/100mLであった。
各麦汁中のプリン体含有量の測定結果を表4に示す。この結果、サンプル4−1とサンプル4−2、及びサンプル4−3とサンプル4−4をそれぞれ比較すると、全粒を原料とした冷麦汁(サンプル4−1及び4−3)のほうが、粉砕物を原料とした冷麦汁(サンプル4−2及び4−4)よりもプリン体濃度が低く、麦類原料を粉砕しないことにより、麦汁、ひいてはビール様発泡性飲料のプリン体濃度を低減できることが確認できた。また、サンプル4−1とサンプル4−3、及びサンプル4−2とサンプル4−4をそれぞれ比較すると、従来通り糖化処理を行った冷麦汁(サンプル4−1及び4−2)よりも、熱水抽出を行った冷麦汁(サンプル4−3及び4−4)のほうが、プリン体濃度が低かった。
Figure 0006534254
[実施例5]
淡色麦芽20gを全粒(丸粒)の状態で、35℃、55℃、75℃、又は95℃の水400gに投入し、60分間抽出した。得られた麦汁を冷却し、遠心分離した上清のみを回収し、冷麦汁を得た(サンプル5−1〜4)。
各冷麦汁の外観エキス(ビール様発泡性飲料のエキスを、20℃において同じ比重をもったシュークロース水溶液のシュークロース濃度(通常は質量%)として表わしたもの)(質量%)を実施例1と同様にして測定した。また、各冷麦汁のプリン体濃度を実施例4と同様にして測定した。測定結果を表5に示す。
Figure 0006534254
プリン体分析値は、55℃で抽出した冷麦汁が最も高く、35℃の低温又は75℃以上の高温で抽出することにより減少することが確認できた。一方、外観エキス分析値は、75℃以上で抽出した冷麦汁が高かった。このことから、全粒の麦類から、プリン体抽出を抑制しつつ、効率よくエキスを抽出するためには、75℃以上の高温で抽出する(煮出す)ことが効果的であることが確認できた。
[実施例6]
(サンプル6−1〜6−4の調製)
表6に示す組成にて、淡色麦芽の粉砕物(麦芽粉砕物)及び液糖(昭和産業社製)を糖化用水と混合し、得られた混合物を50℃で30分間、続いて64℃で20分間、続いて70℃で10分間加温することによって糖化した。糖化終了後、得られた麦汁を遠心分離して回収した清澄な麦汁に、表6に示す量のホップと煮沸時水を添加し、100℃で60分間煮沸した。煮沸後の麦汁を冷却した後、酵母を40g添加し、14℃にて発酵させた。発酵終了後、得られた発酵物を遠心分離処理し、上清を目的のビール様発泡性飲料として回収した。
(サンプル6−5〜6−8の調製)
表6に示す組成にて、全粒の状態の淡色麦芽(全粒の麦芽)、液糖(昭和産業社製)、ホップ、及び煮沸時水を混合し、得られた混合物を100℃で60分間煮沸した。煮沸後の麦汁を冷却した後、酵母を40g添加し、14℃にて発酵させた。発酵終了後、得られた発酵物を遠心分離処理し、上清を目的のビール様発泡性飲料として回収した。
Figure 0006534254
各ビール様発泡性飲料について、製品中における原麦汁エキス分(%)、麦汁中のプリン体濃度(ppm)、製品中のプリン体濃度(ppm)、及び製品中の総ポリフェノール濃度(ppm)を、実施例1と同様にして測定した。測定結果を表7に示す。さらに、麦汁中のプリン体濃度の測定結果に基づき、麦芽1gから溶出したプリン体量(麦芽1g当たりのプリン体溶出量)を算出した。算出結果を表8に示す。
また、各ビール様発泡性飲料について、製品中のノルフラネオール濃度(ppb)及び製品中のイソオイゲノール濃度(ppb)を測定した。測定結果を表7、図1、及び図2に示す。さらに、原麦汁エキス9%に換算した場合の製品中のノルフラネオール濃度(ppb)及びイソオイゲノール濃度(ppb)も算出した。算出結果を表9に示す。
各ビール様発泡性飲料のノルフラネオール濃度及びイソオイゲノール濃度は、ジクロロメタン液液抽出を用いたGC/MSにより測定した。具体的には、まず、容器にサンプルを採取し、硫酸アンモニウムを加え、次に当該容器にジクロロメタンを加えて内部標準物質を添加した後、振とう抽出した。この際に、当該容器内にガスがある場合にはガス抜きを行った。次いで、遠心分離処理を行って有機溶媒層を回収し、回収された有機溶媒層は、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、窒素パージにて濃縮した。得られた有機溶媒層の濃縮物をGC/MS分析に供し、ノルフラネオール量及びイソオイゲノール量を測定した。
さらに、各ビール様発泡性飲料について、穀物香の強さとコクについて官能評価を行った。官能評価は、6名の専門パネリストが、各発泡酒をそれぞれブラインドで官能試飲を行い、穀物香の強さとコクについて5段階で評価した。評点は、強いと感じた場合は5とし、普通と感じた場合は3とし、弱いと感じた場合は1とした。6名の専門パネリストの評点の平均値を表7に示す。
Figure 0006534254
Figure 0006534254
Figure 0006534254
表8に示すように、全粒の麦芽を原料としたビール様発泡性飲料(サンプル6−5〜6−8)は、麦芽1g当たりのプリン体溶出量が0.5mg以下であり、麦芽粉砕物を原料としたビール様発泡性飲料(サンプル6−1〜6−4)よりもプリン体溶出量は少なかった。その一方で、サンプル6−1とサンプル6−5を比較すると、麦芽使用量がやや少ないにもかかわらず、全粒の麦芽を原料としたサンプル6−5の穀物香の強さとコクは、サンプル6−1とほぼ同等の良好なものであった。サンプル6−2とサンプル6−6、サンプル6−3とサンプル6−7、及びサンプル6−4とサンプル6−8も同様であった。
また、表9、図1、及び図2に示すように、麦類由来の香気成分であるノルフラネオールとイソオイゲノールのビール様発泡性飲料中の濃度は、麦芽使用量に依存して高くなっており、かつ、全粒の麦芽を原料としたビール様発泡性飲料(サンプル6−5〜6−8)のほうが、麦芽粉砕物を原料としたビール様発泡性飲料(サンプル6−1〜6−4)よりも高かった。

Claims (9)

  1. 未粉砕の麦類を発酵原料として用い、
    前記未粉砕の麦類が、未粉砕の焙燥未発芽麦類又は未粉砕の麦芽であることを特徴とする、ビール様発泡性飲料の製造方法。
  2. 前記未粉砕の麦類を原料水中で煮出し、麦汁を調製する仕込工程、
    を有する、請求項1に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  3. 前記仕込工程において、前記未粉砕の麦類を75℃以上で煮出す、請求項2に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  4. 前記仕込工程において、粉砕された麦類、麦類以外の穀物原料、及び糖質原料からなる群より選択される1種以上と前記未粉砕の麦類と原料水とを混合して調製された混合物を加温処理する、請求項2又は3に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  5. 前記仕込工程において、前記未粉砕の麦類と原料水とを混合して調製された混合物を75℃以上に加温処理し、得られた麦汁にさらに粉砕された麦類、麦類以外の穀物原料、及び糖質原料からなる群より選択される1種以上を混合して加温処理する、請求項2又は3に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  6. 前記仕込工程において、原料として使用した麦類1g当たりのプリン体溶出量が0.5mg以下である、請求項2〜5のいずれか一項に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  7. ノルフラネオール濃度が200〜5000ng/Lであり、かつイソオイゲノール濃度が1〜15ng/Lであるビール様発泡性飲料を製造する、請求項1〜のいずれか一項に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  8. プリン体濃度が80mg/L以下であるビール様発泡性飲料を製造する、請求項1〜のいずれか一項に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  9. 色度が13°EBC以下であるビール様発泡性飲料を製造する、請求項1〜のいずれか一項に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
JP2014230705A 2014-11-13 2014-11-13 ビール様発泡性飲料の製造方法 Active JP6534254B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014230705A JP6534254B2 (ja) 2014-11-13 2014-11-13 ビール様発泡性飲料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014230705A JP6534254B2 (ja) 2014-11-13 2014-11-13 ビール様発泡性飲料の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016093118A JP2016093118A (ja) 2016-05-26
JP6534254B2 true JP6534254B2 (ja) 2019-06-26

Family

ID=56069685

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014230705A Active JP6534254B2 (ja) 2014-11-13 2014-11-13 ビール様発泡性飲料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6534254B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7202065B2 (ja) * 2017-10-12 2023-01-11 サッポロビール株式会社 ビールテイスト飲料
JP2020061988A (ja) * 2018-10-18 2020-04-23 サッポロビール株式会社 ビールテイスト飲料の製造方法及びビールテイスト飲料の香味向上方法
JP7291844B1 (ja) * 2022-12-27 2023-06-15 アサヒビール株式会社 ビール様発泡性飲料

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0398537A (ja) * 1989-09-08 1991-04-24 Itokazu Hideko 炭酸麦茶と炭酸ウーロン茶
JPH06197744A (ja) * 1992-12-28 1994-07-19 Asahi Breweries Ltd 麦 茶
WO2003016457A1 (fr) * 2001-08-17 2003-02-27 Kirin Beer Kabushiki Kaisha Procede de production d'une boisson alcoolisee fermentee
JP2004173533A (ja) * 2002-11-25 2004-06-24 Asahi Breweries Ltd 発泡酒の製造方法
JP4076901B2 (ja) * 2003-04-21 2008-04-16 アサヒビール株式会社 発酵麦芽飲料の製造方法
JP2007006749A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Suntory Ltd 香味を調整した麦芽使用発酵飲料の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016093118A (ja) 2016-05-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6649946B2 (ja) 発酵ビール様発泡性飲料
JP2017012092A (ja) 麦芽発酵飲料
JP6338882B2 (ja) 発酵麦芽飲料
JP5882707B2 (ja) ビールテイスト飲料の製造方法
JP2021003127A (ja) ビールテイスト飲料
JP6534254B2 (ja) ビール様発泡性飲料の製造方法
JP2018064503A (ja) ビール様発泡性飲料の製造方法
JP6947528B2 (ja) 発酵アルコール飲料及びその製造方法
JP6874113B2 (ja) ビールテイスト飲料及びその製造方法
JP2018064502A (ja) 麦汁の製造方法
JP6420047B2 (ja) 発酵麦芽飲料
JP6420044B2 (ja) 発酵麦芽飲料
JP7202065B2 (ja) ビールテイスト飲料
JP6663729B2 (ja) ビールテイスト飲料及びその製造方法
WO2022039084A1 (ja) 蒸留液及びビールテイスト飲料用香味改善剤
JP6571311B2 (ja) 発酵麦芽飲料
JP7320918B2 (ja) ビール様発酵麦芽飲料
JP7303364B1 (ja) ビールテイスト飲料
JP6231590B2 (ja) ビールテイスト飲料の製造方法
JP7322270B1 (ja) ビールテイスト飲料
JP7414408B2 (ja) 発酵アルコール飲料の製造方法並びにビールテイスト飲料及びワインテイスト飲料
JP7351998B1 (ja) 発酵ビールテイスト飲料及びその製造方法
JP6278699B2 (ja) 発酵麦芽飲料
JP7364772B1 (ja) ビール様発泡性飲料
JP7346696B1 (ja) ビールテイスト飲料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170810

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170814

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20181002

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190415

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190528

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6534254

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250