JP2021073459A - 打音検査装置及び打音検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い検査精度を実現しうる打音検査装置及び打音検査方法を提供する。【解決手段】被検体に対する打撃位置を検知する位置検知部3と、打撃により生じる音を検知する音検知部4と、音検知部4により検知された音を示す音信号を、位置検知部3で検知された位置に応じて補正する補正部5と、位置検知部3により生成された打撃位置を示す位置信号と、補正部5により補正された音信号に応じて、被検体の各位置における不良の有無を表示する表示部6を備えた打音検査装置1を提供する。【選択図】 図1
Description
本発明は、コンクリートやアスファルト等からなる構造物に対して打音検査を行うための装置や方法に関するものである。
これまで、道路や橋げた等において、建築素材であるコンクリート等の損傷具合を検査するために人手による打音検査がなされているが、近年においては、特許文献1に示されるように、本検査を行うための装置が開発されている。
ここで、特許文献1に示された打音検査記録装置の機能を見ると、打音検出部1120は、所定の周波数範囲における振幅スペクトルのピーク値がしきい値以上になった際に、打撃の存在を認識する(段落[0048])。また、本装置に適用された打音の評価手法として、1200〜2000Hzにおける振幅スペクトルの平均値と500〜700Hzにおける振幅スペクトルの最大値との比を評価値とした実験が開示されている(段落[0066])。
しかし、特許文献1に開示された打音検査記録装置による上記のような打音検出法や打音評価法では、打撃位置と打音測定位置との距離やノイズの大きさなどにより、必ずしも高い検査精度が得られないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、高い検査精度を実現しうる打音検査装置及び打音検査方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、被検体に対する打撃位置を検知する位置検知手段と、打撃により生じる音を検知する音検知手段と、音検知手段により検知された音を示す音信号を、位置検知手段で検知された位置に応じて補正する補正手段と、位置検知手段により生成された打撃位置を示す位置信号と、補正手段により補正された音信号に応じて、被検体の各位置における不良の有無を表示する表示手段を備えた打音検査装置を提供する。
また、上記課題を解決するため、本発明は、被検体に対する打撃位置を検知する位置検知手段と、打撃により生じる音を検知する音検知手段と、位置検知手段により検知された打撃位置を示す位置信号と、打撃により生じた音を検知することにより音検知手段により生成された音信号とを対応づけることにより生成される打音データを保存する記憶手段と、打音データの異常度を算出する異常度算出手段と、指定された範囲内における打撃により得られた複数の打音データを記憶手段から読み出し、読み出された打音データ毎の異常度を異常度算出手段に算出させて平滑化する平滑化手段と、位置検知手段により生成された打撃位置を示す位置信号と、平滑化手段により平滑化された異常度に応じて、被検体の各位置における不良の有無を表示する表示手段を備えた打音検査装置を提供する。
また、上記課題を解決するため、本発明は、被検体に対する打撃位置を検知する位置検知手段と、打撃により生じる音を検知する音検知手段と、位置検知手段により検知された打撃位置を示す位置信号と、打撃により生じた音を検知することにより音検知手段により生成された音信号とを対応づけることにより生成される打音データを保存する記憶手段と、ある時刻に被検体へ打撃がなされた確からしさを示す指標を算出すると共に、上記時刻に打音が発生した確からしさを示す指標を算出し、二つの上記指標の積がしきい値を超えたか否かを判定する判定手段と、判定手段により上記積が上記しきい値を超えたと判断されたときに、上記打音データを記憶手段に保存させる制御手段と、記憶手段に保存された打音データに応じて、被検体の各位置における不良の有無を表示する表示手段を備えた打音検査装置を提供する。
また、上記課題を解決するため、本発明は、被検体に対する打撃位置を検知すると共に、打撃により生じる音を検知する第一のステップと、第一のステップで検知された音を示す音信号を、第一のステップで検知された打撃位置に応じて補正する第二のステップと、打撃位置を示す位置信号と、第二のステップで補正された音信号に基づいて、被検体の各位置における不良の有無を表示する第三のステップを有する打音検査方法を提供する。
また、上記課題を解決するため、本発明は、被検体に対する打撃位置を検知すると共に、打撃により生じる音を検知する第一のステップと、第一のステップで検知された打撃位置を示す位置信号と打撃により生じる音を示す音信号とを対応づけることにより生成される打音データを記憶手段に保存する第二のステップと、指定された範囲内における打撃により得られた複数の打音データを記憶手段から読み出し、読み出された音信号毎の異常度を算出して平滑化する第四のステップと、上記位置信号と第四のステップで平滑化された異常度に基づいて、被検体の各位置における不良の有無を表示する第五のステップとを有する打音検査方法を提供する。
また、上記課題を解決するため、本発明は、被検体に対する打撃位置を検知すると共に、打撃により生じる音を検知する第一のステップと、ある時刻に被検体へ打撃がなされた確からしさを示す指標を算出すると共に、上記時刻に打音が発生した確からしさを示す指標を算出し、二つの指標の積がしきい値を超えたか否かを判定する第二のステップと、第二のステップにおいて上記積がしきい値を超えたと判断されたときに、第一のステップで検知された打撃位置を示す位置信号と第一のステップで検知された音を示す音信号とを対応づけることにより生成される打音データを、記憶手段に保存する第三のステップと、第三のステップで記憶手段に保存された打音データに基づいて、被検体の各位置における不良の有無を表示する第四のステップを有する打音検査方法を提供する。
本発明によれば、高い検査精度を実現しうる打音検査装置及び打音検査方法を提供することができる。
以下において、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る打音検査装置1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、本発明の実施の形態1に係る打音検査装置1は、バス2と、それぞれバス2に接続された、位置検知部3、音検知部4、補正部5、表示部6、操作部7、及び記憶部8を備える。
図1は、本発明の実施の形態1に係る打音検査装置1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、本発明の実施の形態1に係る打音検査装置1は、バス2と、それぞれバス2に接続された、位置検知部3、音検知部4、補正部5、表示部6、操作部7、及び記憶部8を備える。
図2は、本発明の実施の形態1に係る打音検査方法を示すフローチャートである。以下において、図2を参照しつつ、本発明の実施の形態1に係る打音検査方法を、図1に示された打音検査装置1を用いて実現する場合を例にとって詳しく説明する。なお、図2に示された打音検査方法は、図1に示された打音検査装置1を用いる場合に限られず、広く適用できることは言うまでもない。
ステップS1において、位置検知部3は道路や橋桁等における建築素材であるコンクリート等の被検体に対する打撃位置を検知する。本検知は、例えば、レーザーによる距離計測装置(レーザーレンジファインダー:Laser Range Finder)を用いて、被検体の表面と平行な面(計測平面)上をレーザーで常時スキャンし、ハンマーなどの打音検査器が計測平面を横切った位置を記録することにより実現される。なお、当該位置が記録された時刻も同時に記録してもよい。
また、音検知部4は被検体に対する当該打撃により被検体から生じる音を検知する。本検知は、例えば、コンクリート等の被検体に接触させた振動センサ(マイクロフォン)を用いて、被検体に生じる振動を録音することにより実現される。
次に、ステップS2において、補正部5は、ステップS1で検知された音を示す音信号を、ステップS1で検知された打撃位置に応じて補正する。以下において、本補正の方法を詳しく説明する。
位置検知部3の振動センサによって取得された打音は、仮に同じ力で打撃していたとしても、打撃位置が打音検査装置1から遠く離れれば離れるほど減衰により振幅が小さくなる。そのため、打音により被検体の状態を解析するに際しては、打撃位置と打音検査装置1の間の距離による影響を除外すべく、音検知部4で得られた音信号(打音の振幅)を補正部5により補正する。なお、補正された音信号は、位置検知部3により検知された打撃位置を示す位置信号と対応づけて記憶部8に記憶される。
具体的には、打音検査装置1は、音検知部4により音信号を取得すると同時に、位置検知部3により打撃位置を示す位置信号を取得するため、補正部5は位置情報を使って音信号を補正する。より具体的には、打音の振幅は打撃位置と振動センサの距離rに反比例すると仮定し、距離rに比例する値(すなわち、kを任意の定数としてk・r)を音信号に乗ずることにより音信号を補正する。
ここで、本補正のより進んだ方法として、周波数ごとに比例定数kを変えることも考えられる。具体的には、音の信号をフーリエ変換し、周波数をいくつかのブロックに分ける。そして、ブロックごとに補正定数kiを決めて、周波数成分にブロックごとに補正定数kiを乗じる。その後、逆フーリエ変換を行って時間領域の音信号に戻す。このような補正を行うことにより、実際は高い周波数成分ほど減衰率が大きいので、それに応じた細やかな補正が可能になる。
次に、ステップS3において、表示部6はユーザによる操作部7の操作に応じて、位置信号とステップS2で補正された音信号に基づいて、被検体の各位置における不良の有無を表示する。ここで例えば、表示部6は、ユーザ(検査者)に検査結果を可視化するため、図3に示されたコンター図を表示する。図3に示されるように、本コンター図は横軸が被検体の水平方向の距離、縦軸が被検体の鉛直方向の距離を示し、白い部分ほど補正後の音信号の平均値からのずれが大きいことを示している。従って、検査者にとっては、あるしきい値を超える上記ずれを有する部分DFにおいて被検体に異常が生じていることを容易に認識することができる。
なお、上記の平均値は、記憶部8に記憶された全ての補正後の音信号に基づいて算出される。
以上より、本発明の実施の形態1に係る打音検査装置及び打音検査方法によれば、検知された音信号を打撃位置に応じて補正した上で音信号の異常検出を行うため、従来より高い精度で被検体の打音検査を実施することができる。
また、単純な補正式を用いて上記補正を行い、補正処理に要する計算量を小さくすることにより、リアルタイム処理を実現することができる。
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の形態2に係る打音検査装置10の構成を示すブロック図である。図4に示されるように、本発明の実施の形態2に係る打音検査装置10は、バス2と、それぞれバス2に接続された、位置検知部3、音検知部4、補正部5、記憶部11、異常度算出部12、平滑化部13、表示部6、及び操作部7を備える。
図4は、本発明の実施の形態2に係る打音検査装置10の構成を示すブロック図である。図4に示されるように、本発明の実施の形態2に係る打音検査装置10は、バス2と、それぞれバス2に接続された、位置検知部3、音検知部4、補正部5、記憶部11、異常度算出部12、平滑化部13、表示部6、及び操作部7を備える。
図5は、本発明の実施の形態2に係る打音検査方法を示すフローチャートである。以下において、図5を参照しつつ、本発明の実施の形態2に係る打音検査方法を、図4に示された打音検査装置10を用いて実現する場合を例にとって詳しく説明する。なお、図5に示された打音検査方法は、図4に示された打音検査装置10を用いる場合に限られず、広く適用できることは言うまでもない。
ステップS11は、図2に示されたステップS1と同様であるため説明を省略する。次に、ステップS12においては、ステップS11で検知された打撃位置を示す位置信号とステップS11で検知された音を示す音信号とを対応づけることにより生成される打音データを記憶部11に保存する。
次に、ステップS13においては、異常度算出部12は、指定された範囲内における打撃により得られた複数の打音データを記憶部11から読み出し、読み出された音信号毎の異常度を算出し、平滑化部13は算出された異常度を平滑化する。以下において、異常度算出部12による上記異常度の算出と、平滑化部13による上記平滑化の方法について詳しく説明する。
打音の異常検出においては、収集した打音データの大部分が正常であると仮定し、正常な打音モデルを学習する。そして、学習した正常打音モデルから逸脱した打音を異常として検出する。
ここで、学習処理の流れは以下のようになる。すなわち、前処理として打音データを切り出し、切り出した打音データに対して補正部5により上記補正を施した上で、第一の手順として打音特徴量を抽出し、第二の手順として主成分分析を行い、第三の手順として正常部分空間の形成を行う。
また、異常検知処理の流れは以下のようになる。すなわち、第四の手順として、上記のように学習された正常部分空間を用いて、正常部分空間の直交補空間への射影に基づく異常検知指標を算出し、第五の手順として異常の有無を可視化する。以下において、これらの各手順につき詳しく説明する。
第一の手順における打音の特徴量としては、例えばフーリエ局所自己相関特徴を用いることができ、それ以外にも打音に対して短時間フーリエ変換をして得られたスペクトルに対してフィルタバンク処理を行い、次元削減したものを用いることができる。なお、フィルタバンク処理としては、公知のメルフィルタバンクや一様フィルタバンクを用いればよい。
ここで、切り出した打音データのサンプル数をN、全次元数をDとして、各打音の特徴量を示す特徴ベクトルxn(nは1以上N以下の整数)を実数成分のD次元列ベクトルを用いて表した上で、本特徴ベクトルに対する解析を行う。
次に、上記第二の手順について説明する。正常な打音はその全サンプルの中で出現頻度が高いことから、生成された特徴ベクトルは特徴空間内で、ある限定された領域に集中して分布することになる。そこで、そのような分布を部分空間法により近似し、正常部分空間を形成する。具体的には、特徴ベクトルxnに対して、主成分分析を適用して正常部分空間を形成する。
ここで、特徴ベクトルxnの自己相関行列Rxは、以下の式により表すことができる。
このとき、上記の主成分分析では、上記自己相関行列Rxの固有値問題、すなわち次式を解くことにより、正常部分空間を張る基底ベクトルを得る。なお、式(2)においてUは固有ベクトルuを列とする行列を意味し、Λは固有値を対角要素とする対角行列を意味する。
次に、上記第三の手順について説明する。正常部分空間の次元数Kは累積寄与率ηKにより決定し、Cを任意の定数としたとき、累積寄与率ηKが定数Cとなる次元までの固有ベクトルu1〜uKにより張られる空間を正常部分空間とする。上記のように正常な打音は特徴空間内のある限定された領域に集中して分布するので、特徴ベクトルの全次元数Dよりも、この部分空間の次元数Kはより低い次元で表現されるので、ノイズや測定誤差などの外乱に頑健になる。
次に、上記第四の手順について説明する。上記のような方法により得られた正常部分空間を用いて、特徴ベクトルの正常部分空間からの逸脱度を異常検知指標とする。ここで、次式(3)で表される主成分直交基底行列UKを用いると、正常部分空間への射影子Pは式(4)で示される。
そして、この射影子Pを用いて、計測された打音の特徴ベクトルxnが上記正常部分空間から近いか遠いかを示す異常度d(xn)を次式(5)により算出する。なお、式(5)において、Ipはp次元の単位行列を意味し、pの値は次元数Kと同一となる。
このようにして算出された異常度dは、計測した打音が正常部分空間から逸脱したパターンであるほど本部分空間からの距離が離れ大きな値をとることになり、異常度が高いことを示す。
ここで、実際の異常検知で問題となるのは、ユーザによるハンマーのたたき方の不規則性や測定ノイズなどによる上記異常度のばらつきである。そこで、このばらつきの問題を解決するために、平滑化部13により本異常度の補正処理、すなわち平滑化を行う。
具体的には、図4に示された平滑化部13が、打撃位置が近接した場所で生じた打音は相互に近い音がすると仮定し、検出対象の打音の周囲で測定された打音の異常度を用いて平滑化処理を行う。なお、図4に示された打音検査装置10では、打音と打撃位置が同時に測定できるため、このような平滑化処理が可能となる。
より具体的には、平滑化部13は、検出対象の打撃位置Pnに対して、半径rの近傍内で測定された打音に対応する測定データを記憶部11において検索する。そして、検索された打音データに対して異常度算出部12により算出された異常度dの平均値を求め、打撃位置Pnでの平滑化後異常度d’とする。
なお、上記の平滑化は平均を求める他に、ガウシアンフィルタを用いてもよい。この場合には、打撃位置Pnからの距離が大きくなるほど平滑化処理での重み付け、すなわち影響度合いを低くすることになる。
次に、上記第五の手順について説明する。ステップS14において、表示部6は、ユーザによる操作部7の操作に応じて、打撃位置を示す位置信号とステップS13で平滑化された異常度に基づき、被検体の各位置における不良の有無を表示する。なお、本ステップは、図2に示されたステップS3と同様に実行される。
ここで、より具体的には、表示部6は、上記において定義した平滑化後異常度d’がしきい値を超えたときに当該打音が異常であるとして、ユーザにその旨を可視化する。なお、上記しきい値dthは、例えば、それぞれμdを平滑化後異常値の全サンプルにおける平均値、σdを平滑化後異常値の標準偏差、αを任意の係数したとき、次式(6)により算出される。
なお、このような平滑化に係る方法は、上記のような部分空間法以外による異常検出にも広く適用することができる。
以上より、本発明の実施の形態2に係る打音検査装置及び打音検査方法によれば、算出された異常度に平滑化処理を施すため、さらにノイズや測定誤差などの外乱に影響されない頑健な打音検査を実現することができる。
[実施の形態3]
図6は、本発明の実施の形態3に係る打音検査装置20の構成を示すブロック図である。図6に示されるように、本発明の実施の形態3に係る打音検査装置20は、バス2と、それぞれバス2に接続された、位置検知部3、音検知部4、記憶部11、判定部21、制御部22、表示部6、及び操作部7を備える。
図6は、本発明の実施の形態3に係る打音検査装置20の構成を示すブロック図である。図6に示されるように、本発明の実施の形態3に係る打音検査装置20は、バス2と、それぞれバス2に接続された、位置検知部3、音検知部4、記憶部11、判定部21、制御部22、表示部6、及び操作部7を備える。
図7は、本発明の実施の形態3に係る打音検査方法を示すフローチャートである。以下において、図7を参照しつつ、本発明の実施の形態3に係る打音検査方法を、図6に示された打音検査装置20を用いて実現する場合を例にとって詳しく説明する。なお、図7に示された打音検査方法は、図6に示された打音検査装置20を用いる場合に限られず、広く適用できることは言うまでもない。
ステップS21は、図2に示されたステップS1と同じであるので説明を省略する。なお、打音検査装置20では、それぞれ位置検知部3と音検知部4により打撃位置と打音が正確に時間の同期が取れた状態で検知され、かつ検知された情報が記憶部11に記録されるため、打音の切り出し時刻と打撃位置の取得精度の両方を向上させることができるが、この点については以下で詳しく説明する。
次に、ステップS22において、判定部21は、ある時刻に被検体へ打撃がなされた確からしさを示す指標を算出すると共に、上記時刻に打音が発生した確からしさを示す指標を算出し、二つの上記指標の積がしきい値を超えたか否かを判定する。以下において、本ステップの動作を詳しく説明する。
打音の切り出しにおいて精度が悪くなる原因として、測定箇所でのノイズが大きい場合がある。例えば、トンネル内で打音検査を行っている場合に大型トラックがトンネル内に進入してくると、大きな反響音やトンネルの壁に振動が発生し、それも音検知部4の振動センサにノイズとして検知されてしまう。このような状況では、真の打音由来の音信号がノイズに隠れてしまうため、打音を示す音信号として切り出すべきか判断が難しくなる。
しかし、位置検知部3の位置センサによりある時刻に検知された情報により打撃されたことが分かれば、同じ時刻に振動センサで検知された情報を所望の音信号として切り出せばよい。
一方、打撃位置に関して取得した情報についても、精度が悪くなる場合がある。例えば、位置検知部3における打撃位置の検出面に人の体が入ってしまい、実際は打撃を行っていないにもかかわらず打撃したかのように検知される場合がある。また、打撃に用いるハンマーの上記検出面への進入の仕方によっては、同じ場所で1回しか打撃を行っていないにもかかわらず、複数回打撃したかのように検知される場合もある。これらの場合においても、同時刻に振動センサによって検知された情報に基づいて、どの打撃位置が真の位置であったのかが分かるようになる。
ここで、ある時刻tに上記検出面を横切る打撃があったことの確からしさを示すものとして、指標Pos(t)を採用する。なお、この値が大きい程、打撃が行われた確率が高いことになる。
また、同じくある時刻tにおいて打音が発生したことの確からしさを示すものとして、指標Echo(t)を採用する。そして、これらの統合は例えば、次式(7)に示されるように、指標Pos(t)と指標Echo(t)を乗算して積Hit(t)を求め、この積Hit(t)が一定のしきい値を超えた場合にのみ、その時刻tに真の打撃が発生したものと判定する。
以下において、上記の指標Pos(t)と指標Echo(t)の具体例を順に詳しく説明する。
最初に、指標Pos(t)の一例について説明する。位置検知部3は、時刻tにおいて上記検出面を横断するi個の物体の幅Wk(t)(k=1〜i)を検知することができる。ここで、時刻tに幅Wk(t)が表す物体により打撃が行われた尤もらしさCk(t)を、打撃に用いられるハンマー等の幅hを平均とする正規分布により次式(8)で表す。
このとき、時刻tにおける指標Pos(t)は、全ての尤もらしさCk(t)の総和として定義できる。すなわち、指標Pos(t)は次式(9)により算出される。
次に、指標Echo(t)の一例について説明する。打音であるか否かの判定基準として、振動センサで計測された時間波形の振幅値を用いる。具体的には、時刻tのときの波形の振幅を振幅P(t)とすると、当該波形の絶対値の包絡線EP(t)があるしきい値Pthを超えたときに、打撃が行われたものと判断する。このとき、打音らしさを表す指標Echo(t)としては、例えば次式(10)で示される値を用いることができる。
ただし、大きな雑音がある場合にも、この指標は大きな値となってしまうため、以下のような制約を付する。
打音の波形の特徴は、音の継続時間が極めて短時間である。このため、例えば上記包絡線EP(t)がしきい値Pthを超えてからしきい値Pth以下となるまでの継続時間Tdがしきい値Tthを超える場合は、打撃による音ではなくて外来ノイズとして判断して、当該継続時間中の指標Echo(t)の値を0に修正する。
そして、ステップS23において、制御部22は、ステップS22において積Hit(t)が上記しきい値を超えたと判断されたときに、ステップS21で検知された打撃位置を示す位置信号と打撃音を示す音信号とを対応づけることにより生成される打音データを、記憶部11に保存する。
次に、ステップS24において、表示部6は、ユーザによる操作部7の操作に応じて、ステップS23で記憶部11に保存された上記打音データに基づき、被検体の各位置における不良の有無を表示する。なお、本ステップは、図2に示されたステップS3と同様に実行される。
以上より、本発明の実施の形態3に係る打音検査装置及び打音検査方法によれば、位置検知部3と音検知部4で検知することにより得られた二つの情報を統合することにより、さらに両検知精度を向上することができる。
1,10,20 打音検査装置
3 位置検知部
4 音検知部
5 補正部
6 表示部
8,11 記憶部
12 異常度算出部
13 平滑化部
21 判定部
22 制御部
3 位置検知部
4 音検知部
5 補正部
6 表示部
8,11 記憶部
12 異常度算出部
13 平滑化部
21 判定部
22 制御部
Claims (6)
- 被検体に対する打撃位置を検知する位置検知手段と、
前記打撃により生じる音を検知する音検知手段と、
前記位置検知手段により検知された前記打撃位置を示す位置信号と、前記打撃により生じた音を検知することにより前記音検知手段により生成された前記音信号とを対応づけることにより生成される打音データを保存する記憶手段と、
前記打音データの異常度を算出する異常度算出手段と、
指定された範囲内における前記打撃により得られた複数の前記打音データを前記記憶手段から読み出し、読み出された前記打音データ毎の前記異常度を前記異常度算出手段に算出させて平滑化する平滑化手段と、
前記位置検知手段により生成された前記打撃位置を示す位置信号と、前記平滑化手段により平滑化された前記異常度に応じて、前記被検体の各位置における不良の有無を表示する表示手段を備えた打音検査装置。 - 前記平滑化手段は、前記打音データ毎の前記異常度の単純平均若しくは重み付け平均を求めることにより、前記平滑化を行う請求項1に記載の打音検査装置。
- 被検体に対する打撃位置を検知する位置検知手段と、
前記打撃により生じる音を検知する音検知手段と、
前記位置検知手段により検知された前記打撃位置を示す位置信号と、前記打撃により生じた音を検知することにより前記音検知手段により生成された前記音信号とを対応づけることにより生成される打音データを保存する記憶手段と、
ある時刻に前記被検体へ打撃がなされた確からしさを示す指標を算出すると共に、前記時刻に打音が発生した確からしさを示す指標を算出し、二つの前記指標の積がしきい値を超えたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記積が前記しきい値を超えたと判断されたときに、前記打音データを前記記憶手段に保存させる制御手段と、
前記記憶手段に保存された前記打音データに応じて、前記被検体の各位置における不良の有無を表示する表示手段を備えた打音検査装置。 - 被検体に対する打撃位置を検知すると共に、前記打撃により生じる音を検知する第一のステップと、
前記第一のステップで検知された前記打撃位置を示す位置信号と前記打撃により生じる音を示す音信号とを対応づけることにより生成される打音データを記憶手段に保存する第二のステップと、
指定された範囲内における前記打撃により得られた複数の前記打音データを前記記憶手段から読み出し、読み出された前記音信号毎の前記異常度を算出して平滑化する第四のステップと、
前記位置信号と前記第四のステップで平滑化された前記異常度に基づいて、前記被検体の各位置における不良の有無を表示する第五のステップとを有する打音検査方法。 - 前記第四のステップでは、前記音信号毎の前記異常度の単純平均若しくは重み付け平均を求めることにより、前記平滑化を行う請求項4に記載の打音検査方法。
- 被検体に対する打撃位置を検知すると共に、前記打撃により生じる音を検知する第一のステップと、
ある時刻に前記被検体へ打撃がなされた確からしさを示す指標を算出すると共に、前記時刻に打音が発生した確からしさを示す指標を算出し、二つの前記指標の積がしきい値を超えたか否かを判定する第二のステップと、
前記第二のステップにおいて前記積が前記しきい値を超えたと判断されたときに、前記第一のステップで検知された前記打撃位置を示す位置信号と前記第一のステップで検知された前記音を示す音信号とを対応づけることにより生成される打音データを、記憶手段に保存する第三のステップと、
前記第三のステップで前記記憶手段に保存された前記打音データに基づいて、前記被検体の各位置における不良の有無を表示する第四のステップを有する打音検査方法。
Priority Applications (1)
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