JP2021073116A - バリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性に優れ、かつ耐湿耐熱性および耐候性に優れたバリア性フィルムの提供。【解決手段】樹脂基材11と、第1の化学気相蒸着層12と、原子層堆積膜13と、第2の化学気相蒸着層14とをこの順に備え、第1の化学気相蒸着層12が、ケイ素および酸素を含み、原子層堆積膜13が、アルミニウムおよび酸素を含み、第2の化学気相蒸着層14が、ケイ素および酸素を含むバリア性フィルムである。【選択図】図1

Description

本発明は、バリア性フィルムに関し、さらに詳細には、樹脂基材と、第1の化学気相蒸着層と、原子層堆積膜と、第2の化学気相蒸着層とをこの順に備えるバリア性フィルムに関する。
近年、酸素あるいは水蒸気等に対するバリア性材料として、フィルム基材に酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法等で形成してなる透明ガスバリア性フィルムが注目されている。従来のポリ塩化ビニリデンを積層したバリア性フィルムは、ガス遮断性には優れるが、包装材の廃棄時に塩素が発生することが問題となる。また、アルミ箔等を積層したバリア性フィルムは、ガス遮断性には優れるが、不透明であるため、内容物の誤認による事故を避けるために、内容物の視認性が要求される用途では用いることができない。
例えば、プラズマCVDによってモノシランとアンモニアを用いてSiNx膜を成膜すると、バリア性は高いものの、膜の屈折率が高く透過率が低くなるという課題があった。
プラズマCVDでは、HMDSOのような有機ケイ素化合物を用いてSiOx膜やSiOxCyを成膜する方法も考えられるが、薄い膜ではバリア性がそれほど向上できなかったり、膜厚を増やすとバリアフィルムが黄色みを帯びて透過率が低くなったりするという課題があった。
また、薄膜でバリア性を得る技術として原子層堆積という手法があり、これによりAlOxを成膜すると、20nm程度の膜厚で10−4台のバリア性を得ることができる。しかし、ハンドリング時に触れただけで劣化することがあるうえ、耐湿熱性が非常に低いという課題があった。耐湿熱性の低さについては、高温高湿下でAlOx膜が水酸化するためと考えられている。
さらに、特許文献1には、高分子フィルム/密着層(アクリル樹脂とテトラエトキシシランの加水分解物)/原子層堆積法によるセラミック膜/保護層(テトラエトキシシランの加水分解物)という構成のガスバリアフィルムにおいて、保護層によりセラミック膜や各界面への水蒸気の浸透を鈍化させる方法が提案されている。
特許文献2には、プラスチックフィルム基材/CVDによる下地層/原子層堆積法によるガスバリア層という構成のガスバリア性積層体が提案されている。
特許文献3には、基材/PVD層/原子層堆積法による層/ポリシラザン層という構成のガスバリア性フィルムにより、高温高湿時のバリア性低下を抑制することが提案されている。
特許文献4には、基材/密着層(アクリル樹脂とテトラエトキシシランの加水分解物)/原子層堆積法によるセラミック膜/保護層(加水分解物)という構成のガスバリアフィルムが提案されている。
特開2011−173261号公報 特開2011−241421号公報 特開2015−3464号公報 特開2015−77804号公報
しかしながら、本発明者らは、特許文献1〜4に記載の発明には、以下の技術的課題が存在することを知見した。
特許文献1に記載のガスバリアフィルムにおける保護層ではドライ成膜によるバリア層に比べてバリア性が低いため、原子層堆積法による層を保護する層としては不十分であった。また、加水分解物のエージングは通常3日から5日間程度の時間がかかるため、リードタイムが長くなる欠点があった。
特許文献2に記載のガスバリア性積層体では、原子層堆積法による層が保護されておらず、高温高湿や接触により劣化し易かった。
特許文献3に記載のガスバリア性フィルムを製造するためには、少なくとも3種類の膜を成膜できる設備が必要となり高コストになる懸念があった。また、実施例では基材にブリードウト防止層と平滑層をさらに設けていることから、所望の性能を得るために実質的には基材上に5層設ける必要があった。
特許文献4に記載のガスバリアフィルムでは、加水分解物のエージングに通常3日から5日間程度の時間がかかるため、リードタイムが長くなる欠点があった。
したがって、依然として、透明性に優れ、かつ耐湿耐熱性および耐候性に優れたバリア性フィルムが要望されている。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、樹脂基材上に、化学気相成長法(CVD法)により第1の化学気相蒸着層と第2の化学気相蒸着層を形成することで、透明性に優れ、かつ耐湿耐熱性および耐候性に優れたバリア性フィルムを提供できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、
樹脂基材と、第1の化学気相蒸着層と、原子層堆積膜と、第2の化学気相蒸着層とをこの順に備えるバリア性フィルムであって、
前記第1の化学気相蒸着層が、ケイ素、酸素および炭素を含み、
前記原子層堆積膜が、アルミニウムおよび酸素を含み、
前記第2の化学気相蒸着層が、ケイ素、酸素および炭素を含み、
前記第1の化学気相蒸着層および第2の化学気相蒸着層において、ケイ素、酸素、および炭素の3元素の合計100%に対して、炭素の割合が0.1%以上15%未満であり、
前記樹脂基材と前記第1の化学気相蒸着層との間に、第3の化学気相蒸着層をさらに備え、第3の化学気相蒸着層が、ケイ素、酸素および炭素を含み、ケイ素、酸素、および炭素の3元素の合計100%に対して、炭素の割合が15%以上40%以下である、バリア性フィルムが提供される。
本発明の態様においては、前記第1の化学気相蒸着層および第2の化学気相蒸着層が、さらに窒素を含み、ケイ素、酸素、炭素、および窒素の4元素の合計100%に対して、窒素の割合が1%以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記バリア性フィルムが、前記樹脂基材上に易接着層を備え、前記第1の化学気相蒸着層が、前記易接着層上に直接設けられていないことが好ましい。
本発明の態様においては、前記樹脂基材の少なくとも一方の面上に、易滑剤を含む層が設けられていないことが好ましい。
本発明の態様においては、水蒸気透過率が1.0×10−2g/m/day以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
本発明の態様においては、85℃85%RHで120時間保管した後の水蒸気透過率が1g/m/day以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、ISO 4892−2に準拠して、キセノンウエザーオーメーターで120時間の照射試験した後の水蒸気透過率が1g/m/day以下であることが好ましい。
本発明によれば、透明性に優れ、かつ高温高湿環境下での保存後やキセノンランプで長時間照射後であっても水蒸気バリア性に優れたバリア性フィルムを提供することができる。このようなバリア性フィルムは、視認性の要求される食品の包装、医療医薬の包装、電子製品の基材等に好適に用いることができる。
本発明のバリア性フィルムの一実施形態を示した概略断面図である。 本発明のバリア性フィルムの一実施形態を示した概略断面図である。
<バリア性フィルム>
本発明によるバリア性フィルムは、樹脂基材と、第1の化学気相蒸着層と、原子層堆積膜と、第2の化学気相蒸着層とをこの順に備えるバリア性フィルムである。バリア性フィルムは、樹脂基材と第1の化学気相蒸着層との間に、第3の化学気相蒸着層をさらに備えても良い。
バリア性フィルムは、水蒸気バリア性に優れ、水蒸気透過度が、好ましくは1.0×10−2g/m/day以下であり、より好ましくは5.0×10−3g/m/day以下であり、さらに好ましくは1.0×10−3g/m/day以下であり、さらにより好ましくは5.0×10−4g/m/day以下である。水蒸気透過度が上記数値範囲を満たせば、高度な水蒸気バリア性を要求される用途であっても、包装材料として用いることができる。なお、水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定機(MOCON社製:PERMATRAN)を用いて、JIS K7129Bに準拠して、または、Tecnolox製DELTAPARMを用いて、ISO 15106−5に準拠して、温度40℃および湿度90%の環境下で測定することができる。
バリア性フィルムは、温度85℃および湿度85%の環境下で120時間保存後の水蒸気透過度が、好ましくは1g/m/day以下であり、より好ましくは1.0×10−1g/m/day以下であり、さらに好ましくは5.0×10−2g/m/day以下、さらにより好ましくは1.0×10−2g/m/day以下であり、最も好ましくは1.0×10−3g/m/day以下である。上記条件の保存後の水蒸気透過度が上記数値範囲を満たせば、高温高湿環境下に曝される用途であっても、包装材料として用いることができる。
バリア性フィルムは、ISO 4892−2に準拠して、キセノンウエザーオーメーターで120時間の照射試験した後の水蒸気透過率が、好ましくは1g/m/day以下であり、より好ましくは1.0×10−1g/m/day以下であり、さらに好ましくは5.0×10−2g/m/day以下、さらにより好ましくは1.0×10−2g/m/day以下であり、最も好ましくは1.0×10−3g/m/day以下である。上記条件の保存後の水蒸気透過度が上記数値範囲を満たせば、高温高湿環境下に曝される用途であっても、包装材料として用いることができる。
バリア性フィルムは、光透過性に優れ、全光線透過率が好ましくは85%以上であり、より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率が上記数値範囲を満たせば、包装材料として用いた際に内容物の視認性に優れる。なお、全光線透過率は、株式会社村上採光研究所製 HAZE METER HM−150を用いて、JIS K7361に準拠して測定することができる。
バリア性フィルムは、光透過性に優れ、ヘーズが好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。ヘーズが上記数値範囲を満たせば、包装材料として用いた際に内容物の視認性に優れる。なお、ヘーズは、株式会社村上採光研究所製 HAZE METER HM−150 を用いて、JIS K7136に準拠して測定することができる。
バリア性フィルムの層構成を、図面を参照しながら説明する。図1に示すバリア性フィルム10は、樹脂基材11と、樹脂基材11上に、第1の化学気相蒸着層12と、原子層堆積膜13と、第2の化学気相蒸着層14とをこの順に備える。また、図2に示すバリア性フィルム20は、樹脂基材11と、樹脂基材11上に、第3の化学気相蒸着層15と、第1の化学気相蒸着層12と、原子層堆積膜13と、第2の化学気相蒸着層14とをこの順に備える。以下、本発明のバリア性フィルムを構成する各層について説明する。
<樹脂基材>
本発明によるバリア性フィルムを構成する樹脂基材としては、下記の化学気相蒸着層を担持できるものであれば特に限定されず、公知の種々の樹脂基材を用いることができる。
例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂のフィルムを用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、およびポリブテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン−6、ナイロン−66、およびポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、フッ素樹脂あるいはこれらの混合物等が挙げられる。特に、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリイミド等の、延伸性、透明性が良好な熱可塑性樹脂が好ましい。これら熱可塑性樹脂からなる樹脂基材はバリア性フィルムの用途に応じて、単層であっても、二種以上の熱可塑性樹脂からなる積層体であってもよい。また、これらの樹脂基材は、下記の化学気相蒸着層との接着性を改良するために、その表面を、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
<原子層堆積膜>
本発明によるバリア性フィルムを構成する原子層堆積膜は、原子層堆積法(ALD法)により形成される無機酸化物の膜である。
本発明における原子層堆積膜は、アルミニウムおよび酸素を含むものであり、無機酸化物の膜がAlを含むことが好ましい。材料の反応性を考慮して、TMA(トリメチルアルミニウム)を使用することが更に好ましい。なお、各ガスの導入時間や、成膜温度、成膜時の圧力を調整することによりAlOx等の中間酸化物を含んでいてもよい。
原子層堆積膜は、アルミニウム、酸素、および炭素の3元素の合計100%に対して、アルミニウムの割合が、好ましくは30%以上42%以下であり、より好ましくは32%以上40%以下であり、さらにより好ましくは34%以上38%以下であり、酸素の割合が、好ましくは50%以上70%以下であり、より好ましくは54%以上66%以下であり、さらにより好ましくは56%以上64%以下であり、炭素の割合が、好ましくは0.1%以上10%未満であり、より好ましくは0.5%以上9%以下であり、さらに好ましくは、1%以上8%以下である。
原子層堆積膜では、無機酸化物の膜密度が、好ましくは2.50g/cm以上3.00g/cm以下であり、より好ましくは2.55g/cm以上2.95g/cm以下であり、さらにより好ましくは2.60g/cm以上2.90g/cm以下である。無機酸化物の膜密度が上記範囲程度であれば、従来のPVD法による膜密度(3.5〜3.6g/cm程度)よりも低いため、膜が割れる可能性を低減できる。無機酸化物の膜密度は、原子層堆積法におけるフィルム搬送速度や成膜温度などを調節することで、所望の範囲に調節することができる。なお、膜密度は、リガク社製「ATX−G」を用いて、対陰極:Cu、波長:1.5405Å、出力:50kV、300mAの条件で、X線強度プロファイルを測定し、このX線強度プロファイルに一致するように、シミュレーションソフト((株)リガク社製「DX−RR3」)を用いてシミュレーションパラメータを最適化することにより、算出することできる。
原子層堆積膜では、無機酸化物の膜の屈折率が、好ましくは1.50以上1.65以下であり、より好ましくは1.55以上1.64以下である。屈折率が上記範囲程度であれば、二軸延伸ポリプロピレン(屈折率:1.47)や二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(屈折率:1.64)等のような屈折率の低いプラスチックフィルムの樹脂基材に積層した場合であっても、境界層での反射が生じづらく、干渉による虹模様の発生を抑制できる。無機酸化物の膜の屈折率は、原子層堆積法におけるフィルム搬送速度や成膜温度などを調節することで、所望の範囲に調節することができる。なお、屈折率は、エリプソメーター(溝尻光学工業、DVA−36L、He−Neレーザー光(632.8nm))を用いて測定することできる。
<化学気相蒸着層>
本発明によるバリア性フィルムを構成する化学気相蒸着層は、化学気相成長法(CVD法)により形成される蒸着膜である。本発明において、化学気相蒸着層は、物理気相成長法(PVD法)により得られる蒸着膜に比べて、厚膜な蒸着層を形成し易く、また屈曲性に優れるため、バリア性フィルムの蒸着層としてより好適である。
バリア性フィルムは、上記の原子層堆積膜の両面に化学気相蒸着層を備える。原子層堆積膜の両面に化学気相蒸着層を備えることで、原子層堆積膜を保護し、高温高湿環境下での保存後やキセノンランプで長時間照射後であっても、ガスバリア性に優れたバリア性フィルムを得ることができる。なお、原子層堆積膜の両面の化学気相蒸着層は、樹脂基材側から順に、第1の化学気相蒸着層、第2の化学気相蒸着層とする。
第1の化学気相蒸着層と、第2の化学気相蒸着層とは、いずれもケイ素、酸素、および炭素を含むものである。第1の化学気相蒸着層および第2の化学気相蒸着層を、同元素が含まれる蒸着膜とすることで、両者の密着性が向上し、水蒸気バリア性を向上させることができる。
第1および第2の化学気相蒸着層は、ケイ素、酸素、および炭素の3元素の合計100%に対して、ケイ素の割合が、好ましくは27%以上40%以下であり、より好ましくは29%以上37%以下であり、さらにより好ましくは31%以上35%以下であり、酸素の割合が、好ましくは55%以上75%以下であり、より好ましくは60%以上70%以下であり、さらにより好ましくは62%以上68%以下であり、炭素の割合が、好ましくは0.1%以上15%未満であり、より好ましくは0.5%以上12%以下であり、さらに好ましくは、1%以上8%以下である。
また、第1および第2の化学気相蒸着層は、ケイ素、酸素、炭素、および窒素の4元素の合計100%に対して、窒素の割合が、好ましくは1%以下であり、より好ましくは0.5%以下である。第1および第2の化学気相蒸着層中の窒素の割合が低いことで、屈折率を低く抑えることができる。
バリア性フィルムは、樹脂基材と第1の化学気相蒸着層との間に、第3の化学気相蒸着層をさらに備えてもよい。第3の化学気相蒸着層が、ケイ素および酸素を含むものである。第3の化学気相蒸着層中の炭素割合は、第1の化学気相蒸着層中の炭素割合よりも高いことが好ましい。このような条件を満たすことで、成膜時のダメージを低減でき、高温高湿環境下やキセノンランプ照射下でのさらなるダメージがあっても、水蒸気バリア性に優れた状態を保てる。
第3の化学気相蒸着層は、ケイ素、酸素、および炭素の3元素の合計100%に対して、ケイ素の割合が、好ましくは24%以上36%以下であり、より好ましくは26%以上34%以下であり、さらにより好ましくは28%以上32%以下であり、酸素の割合が、好ましくは36%以上60%以下であり、より好ましくは38%以上54%以下であり、さらにより好ましくは40%以上48%以下であり、炭素の割合が、好ましくは15%以上40%以下であり、好ましくは16%以上38%以下であり、さらに好ましくは、17%以上35%以下である。
第1および第2の化学気相蒸着層の厚さは、好ましくは10nm以上500nm未満であり、より好ましくは30nm以上300nm以下であり、さらに好ましくは50nm以上200nm以下である。
第3の化学気相蒸着層の厚さは、好ましくは10nm以上500nm以下であり、より好ましくは30nm以上300nm以下であり、さらに好ましくは50nm以上200nm以下である。
上記のような厚さの化学気相蒸着層を備えることで、バリア性フィルムは、高温高湿環境下での保存後であっても水蒸気バリア性に優れる。化学気相蒸着層の厚さは、CVD法による蒸着の際の成膜時間もしくはフィルム搬送速度を調節することで、所望の範囲に調節することができる。
<その他の層>
バリア性フィルムが、樹脂基材上に易接着層を備えていてもよい。但し、耐湿耐熱性の観点から、樹脂基材上に易接着層を備える場合、第1の化学気相蒸着層が易接着層上に直接設けられていないことが好ましい。また、耐湿耐熱性の観点から、樹脂基材の少なくとも一方の面上に、易滑剤を含む層が設けられていないことが好ましい。
<バリア性フィルムの製造方法>
本発明によるバリア性フィルムの製造方法において、化学気相蒸着層は、以下のようにして形成することができる。樹脂基材上に、有機珪素化合物の1種以上を含む成膜用モノマーガスを原料とし、キャリアガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、かつ、プラズマ発生装置等を利用するプラズマ化学気相成長法を用いて珪素酸化物を含む第1〜第3の化学気相蒸着層を形成することができる。
上記において、プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の従来公知のプラズマ発生装置を使用することができる。本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
成膜用混合ガス組成物の各ガス成分の混合比としては、例えば、成膜用モノマーガス:
酸素ガス:不活性ガス=1:0〜50:0〜20(単位:sccm)のガス組成比からなる成膜用混合ガス組成物等を使用することができる。このような成膜用混合ガス組成物を用いることで、珪素酸化物を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜を形成することができる。成膜用混合ガス組成物の各ガス成分の混合比を調整することで、第1〜第3の化学気相蒸着層に含まれるケイ素、酸素、および炭素の割合を適宜調整することができる。
成膜用モノマーガスを構成する有機珪素化合物としては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。これらの有機珪素化合物の中でも、取り扱い性、形成された連続膜の特性等の観点から、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサンやヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが特に好ましい。また、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
また、原子層堆積膜は、以下のようにして原子層堆積法により、形成することができる。まず、原子層堆積法とは、2種以上のガス(第1のガスおよび第2のガス)を基材上に交互に導入することにより、原子層を1層ごとに堆積させる方法である。より詳細には、はじめに第1のガスを基材上に導入してガス分子層(単原子層)を形成させる。次いで不活性ガスを導入することにより、第1のガスをパージ(除去)する。なお、形成された第1のガスのガス分子層は、化学吸着により不活性ガスを導入してもパージされない。次に、第2のガスを導入して形成されたガス分子層を酸化して無機膜が形成される。最後に、不活性ガスを導入することにより、第2のガスをパージし、原子層堆積法の1サイクルが完了する。上記サイクルを繰り返すことにより、原子層が1層ずつ堆積されて、所定の膜厚を有する第1のガスバリア層を形成することができる。なお、原子層堆積法は、基板の表面の凹凸によらず、陰影部分も含めて無機膜を形成することができる。
成膜温度は、ガス分子の基材への吸着のため基材表面の活性化が必要である。このため、成膜温度は、ある程度高温であることが好ましく、基材のプラスチック基板のガラス転移温度あるいは分解開始温度を超えない範囲で適宜調整すればよい。プラスチック基材を用いる場合、通常反応器内の温度は、50〜200℃程度である。サイクル1回の堆積速度は通常、0.01〜0.3nmであり、成膜サイクルを繰り返すことによって所望の膜厚とする。
無機酸化物が酸化アルミニウムの場合、前記第1のガスはアルミニウム化合物を気化して得られるガスであり、前記第2のガスは酸化性ガスでありうる。また、不活性ガスは、上記第1のガスおよび/または第2のガスと反応しないガスである。
前記アルミニウム化合物としては、アルミニウムを含み、気化できるものであれば特に制限はない。アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、およびトリクロロアルミニウムが挙げられる。
前記酸化性ガスとしては、HOが用いられるほか、酸素を導入した上でプラズマをたてることで、酸化させる手法がとられる。
<用途>
本発明によるバリア性フィルムは、高度なバリア性を要求される様々な分野の製品に適用することができる。例えば、包装製品や、太陽電池、有機発光ダイオード、および表示装置等の電気・電子製品に用いることができる。
<包装材料>
本発明によるバリア性フィルムは、包装材料として好適に用いることができる。例えば、医薬品、化粧品、化学品、飲食品等の用途に用いることができる。バリア性フィルムは、透明性に優れ、かつ高温高湿環境下での保存後であっても水蒸気バリア性に優れたものであるため、内容物の視認性や高度な水蒸気バリア性が要求される、包装材料として好適に用いることができる。
<電気・電子製品>
本発明によるバリア性フィルムは、電気・電子製品の基材・カバー材として特に好適に用いることができる。例えば、有機太陽電池、有機発光ダイオードに用いることができる。バリア性フィルムは、透明性に優れ、かつ高温高湿環境下や紫外線が照射される環境下の保存後であっても、水蒸気バリア性に優れたものであるため、光の透過性や高度な水蒸気バリア性が要求される、電気・電子製品の基材・カバー材として特に好適に用いることができる。
<他の態様>
本発明者らは、特許文献1〜4に記載の発明には、以下の技術的課題が存在することを知見した。
特許文献1に記載のガスバリアフィルムにおける保護層ではドライ成膜によるバリア層に比べてバリア性が低いため、原子層堆積法による層を保護する層としては不十分であった。また、加水分解物のエージングは通常3日から5日間程度の時間がかかるため、リードタイムが長くなる欠点があった。
特許文献2に記載のガスバリア性積層体では、原子層堆積法による層が保護されておらず、高温高湿や接触により劣化し易かった。
特許文献3に記載のガスバリア性フィルムを製造するためには、少なくとも3種類の膜を成膜できる設備が必要となり高コストになる懸念があった。また、実施例では基材にブリードウト防止層と平滑層をさらに設けていることから、所望の性能を得るために実質的には基材上に5層設ける必要があった。
特許文献4に記載のガスバリアフィルムでは、加水分解物のエージングに通常3日から5日間程度の時間がかかるため、リードタイムが長くなる欠点があった。
したがって、依然として、透明性に優れ、かつ耐湿耐熱性および耐候性に優れたバリア性フィルムが要望されている。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、樹脂基材上に、化学気相成長法(CVD法)により第1の化学気相蒸着層と第2の化学気相蒸着層を形成することで、透明性に優れ、かつ耐湿耐熱性および耐候性に優れたバリア性フィルムを提供できることを知見した。本発明の他の態様は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の他の態様によれば、
樹脂基材と、第1の化学気相蒸着層と、原子層堆積膜と、第2の化学気相蒸着層とをこの順に備えるバリア性フィルムであって、
前記第1の化学気相蒸着層が、ケイ素および酸素を含み、
前記原子層堆積膜が、アルミニウムおよび酸素を含み、
前記第2の化学気相蒸着層が、ケイ素および酸素を含む、バリア性フィルムが提供される。
本発明の他の態様においては、前記第1の化学気相蒸着層および第2の化学気相蒸着層において、ケイ素、酸素、炭素、および窒素の4元素の合計100%に対して、窒素の割合が1%以下であることが好ましい。
本発明の他の態様においては、前記第1の化学気相蒸着層および第2の化学気相蒸着層において、ケイ素、酸素、および炭素の3元素の合計100%に対して、炭素の割合が0.1%以上15%未満であることが好ましい。
本発明の他の態様においては、前記バリア性フィルムが、前記樹脂基材と前記第1の化学気相蒸着層との間に、第3の化学気相蒸着層をさらに備え、第3の化学気相蒸着層が、ケイ素および酸素を含み、炭素の割合が15%以上40%以下であることが好ましい。
本発明の他の態様においては、前記バリア性フィルムが、前記樹脂基材上に易接着層を備え、前記第1の化学気相蒸着層が、前記易接着層上に直接設けられていないことが好ましい。
本発明の他の態様においては、前記樹脂基材の少なくとも一方の面上に、易滑剤を含む層が設けられていないことが好ましい。
本発明の他の態様においては、バリア性フィルムは、水蒸気透過率が1.0×10−2g/m/day以下であることが好ましい。
本発明の他の態様においては、バリア性フィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
本発明の他の態様においては、バリア性フィルムは、85℃85%RHで120時間保管した後の水蒸気透過率が1g/m/day以下であることが好ましい。
本発明の他の態様においては、バリア性フィルムは、キセノンウエザーオーメーターで120時間の照射試験した後の水蒸気透過率が1g/m/day以下であることが好ましい。
本発明の他の態様によれば、透明性に優れ、かつ高温高湿環境下での保存後やキセノンランプで長時間照射後であっても水蒸気バリア性に優れたバリア性フィルムを提供することができる。このようなバリア性フィルムは、視認性の要求される食品の包装、医療医薬の包装、電子製品の基材等に好適に用いることができる。
<バリア性フィルムの製造>
[実施例1]
(フィルム層構成:PET/CVD−A/ALD/CVD−A)
樹脂基材として二軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製:A4100、厚さ50μm、片面に易接着層有り)を用意した。該PETフィルムの易接着層の無い面上に、下記の条件Aで第1の化学気相蒸着層、下記の条件で原子層堆積膜、下記の条件Aで第2の化学気相蒸着層をこの順に成膜して、バリア性フィルムを得た。
(平行平板型プラズマCVD装置)
第1〜第3の化学気相蒸着層の成膜には、平行平板型の電極構造を有するプラズマCVD装置(アネルバ製、型番:PED−401)を使用した。上部電極と下部電極の距離は28mmとした。直径325mmの下部電極に40kHzの高周波電力が投入されるように設計している。また下部電極はチラーにより温度設定が可能である。上部電極はガスを導入するためシャワーヘッドになっている。成膜に用いる原料を導入するためのバブラーを設置し、ウォーターバスにより温度を設定できるようにした。バブラーからニードルバルブを介して、プラズマCVD装置内にガス化した原料が導入される。ニードルバルブの調整によりバブラーの圧力を変更できる。
(第1および第2の化学気相蒸着層(CVD−A)の成膜条件A)
樹脂基材をプラズマCVD装置の真空チャンバーに入れ、下部電極上に設置した。また、膜厚を測定するため、表面が鏡面加工されたシリコンウエハを一部マスキングした状態で樹脂フィルム上の一部に設置した。下部電極の温度は18℃とした。チャンバーを閉めて1Pa以下まで減圧したあと、Arガスをキャリアガスとし、バブリングにより、原料のHMDSOをプラズマCVD装置の真空チャンバー内に供給した。Arガスの流量を3sccm、バブラーの温度を30℃、バブラーの圧力を160Torrとした。このときHMDSOの流量は、1.5sccmと算出された。別途、酸素ガスを50sccm供給し、Arガス及びHMDSOと混合した上で真空チャンバー内に導入した。排気量を調整して真空チャンバー内の圧力を15Paに調整したのち、放電電力を100Wとし、成膜を行った。成膜時間は5分間とした。成膜時間経過後放電を止めて、1Pa以下まで減圧したのちベントして大気圧に戻した。
(原子層堆積膜(ALD)の成膜条件)
樹脂基材の第1の化学気相蒸着層上に原子層堆積法でAlOx膜を成膜した。この際、原料ガスはTMA(トリメチルアルミニウム)、パージガスとしてAr、反応ガスとして酸素を用いた。原子層堆積用の成膜装置に基材を入れステージに設置した。膜厚を測定するため、表面が鏡面加工されたシリコンウエハを一部マスキングした状態で基材上の一部に設置した。基材設置後に1Paまで減圧した。成膜は各ガスの導入を切り替えて、1.TMA0.5秒、2.Ar4秒、3.酸素1秒、うち放電0.5秒、4.Ar4秒を1サイクルとして125サイクル実施した。なお、成膜時のステージの設定温度は80℃、成膜時の圧力は100Pa、使用した電源の周波数は13.56MHzである。成膜後1Paまで減圧したのちベントして大気に戻した。
[実施例2]
(フィルム層構成:PET/CVD−D/CVD−A/ALD/CVD−A)
樹脂基材として二軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製:A4100、厚さ50μm、片面に易接着層有り)を用意した。該PETフィルムの易接着層の無い面上に、下記の条件Dで第3の化学気相蒸着層を成膜した。続いて、実施例1と同様の条件で第1の化学気相蒸着層、原子層堆積膜、第2の化学気相蒸着層をこの順に成膜して、バリア性フィルムを得た。
(第3の化学気相蒸着層(CVD−D)の成膜条件D)
成膜する基材をプラズマCVD装置の真空チャンバーに入れ、下部電極上に設置した。
また、膜厚を測定するため、表面が鏡面加工されたシリコンウエハを一部マスキングした状態で基材上の一部に設置した。下部電極の温度は18℃とした。チャンバーを閉めて1Pa以下まで減圧したあと、Arガスをキャリアガスとし、バブリングにより、原料のHMDSOをプラズマCVD装置の真空チャンバー内に供給した。Arガスの流量を50sccm、バブラーの温度を39℃、バブラーの圧力を160Torrとした。このときHMDSOの流量は、51.5sccmと算出された。別途、酸素ガスを50sccm供給し、Arガス及びHMDSOと混合した上で真空チャンバー内に導入した。排気量を調整して真空チャンバー内の圧力を20Paに調整したのち、放電電力を100Wとし、成膜を行った。成膜時間は30秒とした。成膜時間経過後放電を止めて、1Pa以下まで減圧したのちベントして大気圧に戻した。膜厚測定の便宜上、大気圧に戻しているが、基材を真空チャンバー内に設置したままで、第1の化学気相蒸着層を成膜することもできる。
[実施例3]
(フィルム層構成:PET/CVD−B/ALD/CVD−B)
樹脂基材として二軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製:A4100、厚さ50μm、片面に易接着層有り)を用意した。該PETフィルムの易接着層の無い面上に、下記の条件Bで第1の化学気相蒸着層、実施例1の条件で原子層堆積膜、下記の条件Bで第2の化学気相蒸着層をこの順に成膜して、バリア性フィルムを得た。
(第1および第2の化学気相蒸着層(CVD−B)の成膜条件B)
樹脂基材をプラズマCVD装置の真空チャンバーに入れ、下部電極上に設置した。また、膜厚を測定するため、表面が鏡面加工されたシリコンウエハを一部マスキングした状態で樹脂フィルム上の一部に設置した。下部電極の温度は18℃とした。チャンバーを閉めて1Pa以下まで減圧したあと、Arガスをキャリアガスとし、バブリングにより、原料のHMDSOをプラズマCVD装置の真空チャンバー内に供給した。Arガスの流量を3sccm、バブラーの温度を30℃、バブラーの圧力を160Torrとした。このときHMDSOの流量は、1.5sccmと算出された。別途、酸素ガスを50sccm供給し、Arガス及びHMDSOと混合した上で真空チャンバー内に導入した。排気量を調整して真空チャンバー内の圧力を17Paに調整したのち、放電電力を100Wとし、成膜を行った。成膜時間は5分間とした。成膜時間経過後放電を止めて、1Pa以下まで減圧したのちベントして大気圧に戻した。
[実施例4]
(フィルム層構成:PET/CVD−E/CVD−C/ALD/CVD−C)
樹脂基材として二軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製:A4100、厚さ50μm、片面に易接着層有り)を用意した。該PETフィルムの易接着層の無い面上に、下記の条件Eで第3の化学気相蒸着層を成膜した。続いて、下記の条件Cで第1の化学気相蒸着層、実施例1の条件で原子層堆積膜、下記の条件Cで第2の化学気相蒸着層をこの順に成膜して、バリア性フィルムを得た。
(第3の化学気相蒸着層(CVD−E)の成膜条件E)
成膜する基材をプラズマCVD装置の真空チャンバーに入れ、下部電極上に設置した。
また、膜厚を測定するため、表面が鏡面加工されたシリコンウエハを一部マスキングした状態で基材上の一部に設置した。下部電極の温度は18℃とした。チャンバーを閉めて1Pa以下まで減圧したあと、Arガスをキャリアガスとし、バブリングにより、原料のHMDSOをプラズマCVD装置の真空チャンバー内に供給した。Arガスの流量を50sccm、バブラーの温度を39℃、バブラーの圧力を160Torrとした。このときHMDSOの流量は、51.5sccmと算出された。排気量を調整して真空チャンバー内の圧力を20Paに調整したのち、放電電力を100Wとし、成膜を行った。成膜時間は15秒とした。成膜時間経過後放電を止めて、1Pa以下まで減圧したのちベントして大気圧に戻した。
(第1および第2の化学気相蒸着層(CVD−C)の成膜条件C)
樹脂基材をプラズマCVD装置の真空チャンバーに入れ、下部電極上に設置した。また、膜厚を測定するため、表面が鏡面加工されたシリコンウエハを一部マスキングした状態で樹脂フィルム上の一部に設置した。下部電極の温度は18℃とした。チャンバーを閉めて1Pa以下まで減圧したあと、Arガスをキャリアガスとし、バブリングにより、原料のHMDSOをプラズマCVD装置の真空チャンバー内に供給した。Arガスの流量を3sccm、バブラーの温度を30℃、バブラーの圧力を160Torrとした。このときHMDSOの流量は、1.5sccmと算出された。別途、酸素ガスを10sccm供給し、Arガス及びHMDSOと混合した上で真空チャンバー内に導入した。排気量を調整して真空チャンバー内の圧力を15Paに調整したのち、放電電力を100Wとし、成膜を行った。成膜時間は5分間とした。成膜時間経過後放電を止めて、1Pa以下まで減圧したのちベントして大気圧に戻した。
[実施例5]
(フィルム層構成:PET/CVD−F/CVD−B/ALD/CVD−A)
樹脂基材として二軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製:A4100、厚さ50μm、片面に易接着層有り)を用意した。該PETフィルムの易接着層の無い面上に、下記の条件Fで第3の化学気相蒸着層を成膜した。続いて、実施例2の条件Bで第1の化学気相蒸着層、実施例1の条件で原子層堆積膜、実施例1の条件Aで第2の化学気相蒸着層をこの順に成膜して、バリア性フィルムを得た。
(第3の化学気相蒸着層(CVD−F)の成膜条件F)
成膜する基材をプラズマCVD装置の真空チャンバーに入れ、下部電極上に設置した。
また、膜厚を測定するため、表面が鏡面加工されたシリコンウエハを一部マスキングした状態で基材上の一部に設置した。下部電極の温度は18℃とした。チャンバーを閉めて1Pa以下まで減圧したあと、Arガスをキャリアガスとし、バブリングにより、原料のHMDSOをプラズマCVD装置の真空チャンバー内に供給した。Arガスの流量を50sccm、バブラーの温度を39℃、バブラーの圧力を160Torrとした。このときHMDSOの流量は、51.5sccmと算出された。別途、酸素ガスを50sccm供給し、Arガス及びHMDSOと混合した上で真空チャンバー内に導入した。排気量を調整して真空チャンバー内の圧力を23Paに調整したのち、放電電力を20Wとし、成膜を行った。成膜時間は5分とした。成膜時間経過後放電を止めて、1Pa以下まで減圧したのちベントして大気圧に戻した。
[比較例1]
(フィルム層構成:PEN/ALD)
樹脂基材としてPENフィルム(帝人(株)製、Q65HA、厚み125μm)を用意した。該PENフィルムの易接着層のある面上に、実施例1と同様の条件で原子層堆積膜のみを成膜して、バリア性フィルムを得た。
[比較例2]
(フィルム層構成:PET/ALD)
樹脂基材として二軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製:A4100、厚さ50μm、片面に易接着層有り)を用意した。該PETフィルムの易接着層の無い面上に、実施例1と同様の条件で原子層堆積膜のみを成膜して、バリア性フィルムを得た。
<バリア性フィルムの性能評価>
上記の実施例および比較例で製造したバリア性フィルムに下記の測定を行った。
(バリア性の測定)
バリア性フィルムのバリア性として水蒸気透過率(WVTR)を測定した。
WVTRが0.1g/m/day以上のサンプルは、MOCON社製PERMATRAN−W 3/31を用いて、40℃、相対湿度90%の条件で測定した。
WVTRが0.1g/m/day未満のサンプルは、Technolox社製DELTAPERMを用いて、ISO 15106−5に準拠して、40℃、相対湿度90%の条件で測定した。
(耐湿耐熱性試験)
バリア性フィルムを85℃85%RHで120時間保管した後に、上記のバリア性の測定を行った。
(耐候性試験)
キセノンウエザーオーメーター(ATLAS社製Xenon Weather−Ometer Ci5000)を使用して、ISO 4892−2に基づく条件で、バリア面側から120時間の照射試験を実施した後に、上記のバリア性の測定を行った。
(膜厚の測定)
バリア性フィルムの膜厚は、シリコンウエハ上に形成された化学気相蒸着層または原子層堆積膜の存在する部分と存在しない部分の段差を小阪研究所製サーフコーダET4000Lにて測定することで確認した。
(光学特性の測定)
全光線透過率(Tt)は、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製HM−150)でJIS K7361に準拠して測定した。
ヘーズ(HAZE)は、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製HM−150)でJIS K7136に準拠して測定した。
(組成分析)
X線光電子分光分析装置(KRATOS社製ESCA−3400)を用いて、X線銃:MgKα、20mA、10kVの条件で、元素組成を分析した。深さ方向の組成を確認する際のイオンスパッタ条件は、0.3kV、30mAとして、スパッタする時間を制御して各深さの元素組成を分析した。
上記の組成分析の結果は、以下の通りであった。
・CVD−Aの組成 Si:O:C=33.4:65.7:0.9
・CVD−Bの組成 Si:O:C=33.3:65.6:1.1
・CVD−Cの組成 Si:O:C=32.4:60.7:6.9
・CVD−Dの組成 Si:O:C=30.2:47.0:22.8
・CVD−Eの組成 Si:O:C=28.6:40.3:31.1
・CVD−Fの組成 Si:O:C=32.4:43.1:24.5
・ALDの組成 Al:O:C=36.5:60.1:3.4
なお、第1〜第3の化学気相蒸着層において、ケイ素、酸素、炭素、および窒素の4元素の合計100%に対して、窒素の割合は0.4%であった。
また、原子層堆積膜において、アルミニウム、酸素、炭素、および窒素の4元素の合計100%に対して、窒素の割合は0.5%であった。
上記の各測定の結果を表1にまとめて示した。
Figure 2021073116
10、20 バリア性フィルム
11 樹脂基材
12 第1の化学気相蒸着層
13 原子層堆積膜
14 第2の化学気相蒸着層
15 第3の化学気相蒸着層

Claims (8)

  1. 樹脂基材と、第1の化学気相蒸着層と、原子層堆積膜と、第2の化学気相蒸着層とをこの順に備えるバリア性フィルムであって、
    前記第1の化学気相蒸着層が、ケイ素、酸素および炭素を含み、
    前記原子層堆積膜が、アルミニウムおよび酸素を含み、
    前記第2の化学気相蒸着層が、ケイ素、酸素および炭素を含み、
    前記第1の化学気相蒸着層および第2の化学気相蒸着層において、ケイ素、酸素、および炭素の3元素の合計100%に対して、炭素の割合が0.1%以上15%未満であり、
    前記樹脂基材と前記第1の化学気相蒸着層との間に、第3の化学気相蒸着層をさらに備え、第3の化学気相蒸着層が、ケイ素、酸素および炭素を含み、ケイ素、酸素、および炭素の3元素の合計100%に対して、炭素の割合が15%以上40%以下である、バリア性フィルム。
  2. 前記第1の化学気相蒸着層および第2の化学気相蒸着層が、さらに窒素を含み、ケイ素、酸素、炭素、および窒素の4元素の合計100%に対して、窒素の割合が1%以下である、請求項1に記載のバリア性フィルム。
  3. 前記バリア性フィルムが、前記樹脂基材上に易接着層を備え、前記第1の化学気相蒸着層が、前記易接着層上に直接設けられていない、請求項1または2に記載のバリア性フィルム。
  4. 前記樹脂基材の少なくとも一方の面上に、易滑剤を含む層が設けられていない、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバリア性フィルム。
  5. 水蒸気透過率が1.0×10−2g/m/day以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバリア性フィルム。
  6. 全光線透過率が85%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のバリア性フィルム。
  7. 85℃85%RHで120時間保管した後の水蒸気透過率が1g/m/day以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のバリア性フィルム。
  8. ISO 4892−2に準拠して、キセノンウエザーオーメーターで120時間の照射試験した後の水蒸気透過率が1g/m/day以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のバリア性フィルム。
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