JP2021072215A - 電線の配置構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】目的は、なるべくコンパクトな構成によって放熱性を向上させることである。【解決手段】電線の配置構造体10は、ベース部材12と、4本以上の電線22を含む電線群20と、を備え、前記電線群20は、前記ベース部材12によって並列状態に固定された並列配置部26を含み、並列配置部26では、幅方向の両側部領域(例えばR2、R2)における前記電線22間寸法の平均値よりも、幅方向の中央部領域(例えばR1)における電線22間寸法の平均値の方が大きい。【選択図】図1

Description

本開示は、電線の配置構造体に関する。
特許文献1は、電線の絶縁被覆とシート状に形成された機能性外装部材とが重なる部分の少なくとも一部が溶着されたワイヤーハーネスを開示している。
特許文献2は、電気接続箱への接続端近傍の電線群にテープを巻付けない露出部分が設けられることが開示されている。また、この露出部分が径方向に膨らんで電線の間に隙間が設けられた放熱部に形成されることが開示されている。
特開2018−137208号公報 特開2000−50464号公報
ワイヤーハーネスにおいてさらに放熱性を向上させることが望まれている。また、放熱部を設けるにあたっても、なるべくコンパクトな構成とすることが要請されている。
そこで、本開示は、なるべくコンパクトな構成によって放熱性を向上させることを目的とする。
本開示の電線の配置構造体は、ベース部材と、4本以上の電線を含む電線群と、を備え、前記電線群は、前記ベース部材によって並列状態に固定された並列配置部を含み、前記並列配置部では、幅方向の両側部領域における前記電線間寸法の平均値よりも、幅方向の中央部領域における前記電線間寸法の平均値の方が大きい、電線の配置構造体である。
本開示によれば、なるべくコンパクトな構成によって放熱性が向上する。
図1は実施形態に係る電線の配置構造体を示す図である。 図2は電線の配置構造体における端部にコネクタを設けた例を示す図である。 図3はベース部材上に対する電線群の他の配置例を示す図である。 図4はベース部材上に対する電線群のさらに他の配置例を示す図である。 図5は電線の配置構造体のモデル例を示す図である。 図6は例1、例2に対する電線の150℃到達時間の解析結果を示す図である。 図7は配置パターン1、2、3に対する電線の150℃到達時間の解析結果を示す図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の電線の配置構造体は、次の通りである。
(1)ベース部材と、4本以上の電線を含む電線群と、を備え、前記電線群は、前記ベース部材によって並列状態に固定された並列配置部を含み、前記並列配置部では、幅方向の両側部領域における前記電線間寸法の平均値よりも、幅方向の中央部領域における前記電線間寸法の平均値の方が大きい、電線の配置構造体である。
本開示によると、前記並列配置部では、両側部領域における前記電線間寸法の平均値よりも、中央部領域における前記電線間寸法の平均値の方が大きい。このため、蓄熱し易い中央部領域において、電線間寸法の平均値が大きいため、効率的に放熱される。また、中央部領域と比較して放熱され易い位置にある両側部領域では、電線間寸法の平均値が小さいため、電線の配置スペースがなるべく幅狭になる。これにより、なるべくコンパクトな構成によって放熱性が向上する。
(2)前記並列配置部が並列方向において長さによって3等分されたときに、その両外側領域が前記両側部領域であり、中央領域が前記中央部領域であってもよい。前記並列配置部が並列方向において長さによって3等分されたときに、中央部領域において効率的に放熱され、両側部領域においてなるべく電線が密に配置される。
(3)前記両側部領域は、前記並列配置部の両側から数えて、前記並列配置部における前記電線の総本数に対して1/3以下の本数となる前記電線が配置される領域であり、前記中央部領域は、残りの電線が配置される領域であってもよい。並列配置部における電線の本数を基準にして、中央部領域において効率的に放熱され、両側部領域がなるべく幅狭になる。
(4)前記電線群の端部が並列状態でコネクタに接続されており、前記並列配置部における幅は、前記コネクタから延び出る前記電線群の幅よりも大きくてもよい。コネクタから延び出る電線群の幅よりも並列配置部における幅を大きくすることによって、放熱性が向上する。
(5)前記並列配置部において、前記4つ以上の電線の間に3つ以上の放熱用の隙間が形成されており、前記3つ以上の放熱用の隙間の寸法は、幅方向中央から外側に向うに従って小さくなっていてもよい。この場合、蓄熱し易い中央に近い程、電線が粗に配置され効率的に放熱される。また、放熱され易い側縁部に近い程、電線が密に配置され、配置スペースが小さくなる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電線の配置構造体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[実施形態]
以下、実施形態に係る電線の配置構造体について説明する。図1は実施形態に係る電線の配置構造体10を示す図である。図1では電線22に対して直交する面におけるベース部材12と電線22との位置関係が示されている。
電線の配置構造体10は、ベース部材12と、電線群20とを備える。
ベース部材12は、電線群20が取付けられる固定面13を含む。固定面13は、平面であってもよいし、曲面であってもよいし、平面と曲面とが組合わされた面であってもよい。
ベース部材12は、金属であってもよいし、樹脂であってもよい。ベース部材12が金属であれば、電線群20で生じた熱がベース部材12の全体に伝わり、当該ベース部材12において効率的に放熱される。
ベース部材12は、金属箔、樹脂シート、不織シート等のように柔軟に曲るシート状の部材であってもよいし、金属板、樹脂成形品のように、一定の形状を保つ部材であってもよい。ベース部材12が柔軟に曲るシート状の部材であれば、電線群20が固定されたベース部材12は、扁平配線部材として、車両における配設対象箇所に沿って配設され得る。ベース部材12が一定の形状を保つ部材である場合、ベース部材12は、車両の構成部分であること、例えば、車両における金属ボディ、金属製のリンフォース、車両における各種樹脂パネル(ドアパネル等)であることが想定される。この場合、電線の配置構造体10は、電線付車両構成部品である。ベース部材12が一定の形状を保つ部材である場合、ベース部材12は、車両の構成部材の主面形状に沿って形成された樹脂成形部品であることも想定される。この場合、電線の配置構造体10は、経路規制された配線部材である。
ここでは、ベース部材12は、金属板材であるとして想定する。金属は、鉄、ステンレス、アルミニウム、各種合金であることが想定される。ここでは、ベース部材12は、鋼板であるとして説明する。ベース部材12は、例えば、方形板状に形成される。ベース部材12は、一定形状(ここでは平たい形状)を保ち得る程度の厚みであるとする。ベース部材12の一方主面が、電線群20が固定される固定面13である。
電線群20は、4本以上の電線22を含む。これにより、4本以上の電線22の間に、3つ以上の電線22間部分が設けられ得る。電線群20は、5本以上の電線を含んでいてもよいし、6本以上の電線を含んでいてもよいし、8本以上の電線を含んでいてもよいし、10本以上の電線を含んでいてもよい。
電線22は、電気を伝送する線状の部材である。ここでは、電線22は、芯線23と、被覆24とを備える(一部の電線22についてのみ図示)。芯線23は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属によって形成された線状の部材である。芯線23は、1つの金属線によって構成されていてもよいし、複数の素線の集合によって構成されていてもよい。被覆24は、芯線23の周囲を覆う絶縁材である。被覆24は、例えば、芯線23の周囲に溶融した樹脂が押出被覆されることによって形成される。電線は、シールド線、エナメル線であってもよい。電線は、信号を伝送してもよいし、電力を伝送してもよい。4本以上の電線は、同じ外径であってもよいし、異なる外径であってもよい、4本以上の電線内の芯線径は、同じ外径であってもよいし、異なる外径であってもよい、通常、伝送対象となる信号又は電力の電流値に応じて、芯線の断面積が設定される。
電線群20の少なくとも一部は、ベース部材12における固定面13上に固定される。電線22は、接着剤によって固定面13に固定されてもよい。ベース部材12の固定面13に金属が露出している場合には、被覆24の表面に露出する樹脂及び固定面13における金属への接着に適した接着剤が用いられてもよい。例えば、接着剤として、シランカップリング剤を含む接着剤のように、分子構造中に樹脂側官能基及び金属側官能基を含む化合物を含有し、前記樹脂側官能基が前記被覆24を構成する樹脂と化学結合し、前記金属側官能基が前記固定面13に露出する金属と化学結合するものであってもよい。例えば、金属側官能基は、アルコキシ基であり、前記化合物は、分子構造中に前記アルコキシ基と前記樹脂側官能基とをつなぐケイ素をさらに含むものであってもよい。金属側官能基は、キレート基であってもよい。被覆24を構成する樹脂がポリ塩化ビニルである場合、樹脂側官能基は、アミノ基、チオール基、及びエポキシ基からなる群より選択された1種または2種以上の官能基であってもよい。被覆24を構成する樹脂がポリオレフィンである場合、樹脂側官能基は、アミノ基、チオール基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、及びエポキシ基からなる群より選択された1種または2種以上の官能基であってもよい。化合物は、分子鎖に前記樹脂側官能基及び前記無機物側官能基がそれぞれ複数結合したポリマーであってもよい。
ベース部材12の固定面13に樹脂が露出している場合には、樹脂同士の接着に適した一般的な接着材が用いられてもよい。また、被覆24と固定面13とが超音波溶着、加熱熱溶着等によって溶着されていてもよい。
電線22を固定面13に固定する構成は上記例に限られない。例えば、縫糸が電線22をベース部材12に縫付けている構成であってもよい。また、粘着テープ又は粘着シートが電線22及び固定面13に粘着され、もって、粘着テープ又は粘着シートが電線22を固定面13に対して押え込んでいる構成であってもよい。固定面13に電線22を嵌め込むための複数の溝又は複数組の突起が形成され、電線22が当該溝又は対の突起の間に挟み込まれる構成であってもよい。
いずれの構成にせよ、電線群20の少なくとも一部は、ベース部材12における固定面13上に固定される。もっとも、ベース部材12が固定面13を有していることは必須ではない。複数の電線22が樹脂等の内部に埋込まれて並列状態に維持されていてもよい。
電線群20は、固定面13において並列状態に固定された並列配置部26を含む。図1では並列配置部26における配置関係が示されている。固定面13上に複数の電線22が並列状態で固定されている。並列配置部26において、複数の電線22が並ぶ方向、即ち、固定面13及び電線22の両方に対して直交する方向を幅方向とする。並列配置部26では、幅方向の両側部領域における電線22間の寸法の平均値よりも、幅方向中央部領域における電線22間の寸法の平均値の方が大きくなっている。
幅方向の側部領域は、最も左端又は右端の電線22を含む領域である。幅方向の中央部領域は、最も幅方向中央に位置する電線22を含む領域である。中央部領域と側部領域とは接していてもよい。中央部領域と側部領域との間に他の領域が介在していてもよい。中央部領域と側部領域とが接している場合、それらの境界は、例えば、寸法基準又は本数基準によって決定され得る。中央部領域と側部領域との全ての設定に関し、両側部領域における電線22間の寸法の平均値よりも、中央部領域における電線22間の寸法の平均値の方が大きくなっている必要は無い。つまり、中央部領域と側部領域とのいずれか1つの設定に関し、両側部領域における電線22間の寸法の平均値よりも、中央部領域における電線22間の寸法の平均値の方が大きくなっていればよい。
寸法基準によって、中央部領域と側部領域とを設定する例について説明する。例えば、並列配置部26が並列方向において長さによって3等分されたときに、その両方の外側領域が両側部領域R2、R2であり、中央領域が中央部領域R1であるとしてもよい。
図1に示す例に基づいてより具体的に説明する。図1では、23本の電線22が例示されている。電線22の総本数は奇数である。電線22が左右方向において対称な配置とされる場合、中央部は左右から数えて12本目の電線22が位置している。中央の電線22から並列方向外側の電線22に向けて、電線22の間の寸法がd1、d2、d3、d4、0(接している)、0、d5、0、0、0、0に設定される。ここで、d1>d2>d3>d4=d5である。
並列配置部26における電線群20の幅が長さ基準によって3つに等分割されるとする。境界上には、並列方向において端から数えて10本目の電線22が位置している。このため、中央部領域R1には、中央寄りの5つの電線22間が含まれる。これらの電線22間の寸法の平均値は、(d1×2+d2×2)/4である。側部領域R2、R2のそれぞれに、側部から数えて10本目迄の電線22間が含まれる。側部領域R2における電線22間の寸法の平均値は、(d3+d4+d5)/9である。この平均値は、側部領域R2、R2の全体における電線22間の寸法の平均値と同じである。
図1に示される例において、d1は1.0mm、d2は0.7mm、d3は0.4mm、d4=d5は0.1mmとする(配置パターン1とする)。この場合、隙間の総和は4.6mmであり、複数の電線22を密着して並列配置した場合よりも、4.6mm幅広となる。この場合、中央部領域R1における電線22間寸法の平均値は、0.85mmである。側部領域R2における電線22間寸法の平均値は約0.067mmである。このため、前者の平均値は後者の平均値よりも大きい。
なお、3等分した境界上に電線22間が存在する場合、当該電線22間は、中央部領域R1に属すると考えてもよいし、側部領域R2に属すると考えてもよいし、中央部領域R1及び側部領域R2のいずれにも属さないと考えてもよい。
本数基準によって、中央部領域と側部領域とを設定する例について説明する。例えば、両側部領域R2、R2に対応する両側部領域S2、S2は、並列配置部26の両側から数えて、並列配置部26における電線22の総本数に対して1/3以下の本数となる電線22が配置される領域であり、中央部領域R1に対応する中央部領域S1は、残りの電線22が配置される領域としてもよい。
上記と同様に、図1に示す例に基づいてより具体的に説明する。並列配置部26における電線22の総本数は23本であるから、この1/3の値は7.67(本)である。このため、電線22の総本数に対して1/3以下の本数は、7本である。このため、それぞれの側部領域S2、S2には、側部から数えて7本目までの電線22が配置される。中央部領域S1は、残りの電線22,即ち、中央寄りの9本の電線22が配置される領域である。
中央部領域S1における電線22間の寸法の平均値は、(d1×2+d2×2+d3×2+d4×2)/8である。側部領域S2、S2における電線22間の寸法の平均値は、d5/6である。この平均値は、側部領域S2、S2の全体における電線22間の寸法の平均値と同じである。
図1に示される例において、各電線22間の寸法を上記した例と同じと考えると、中央部領域S1における電線22間寸法の平均値は、0.55mmである。側部領域S2における電線22間寸法の平均値は約0.017mmである。このため、前者の平均値は後者の平均値より大きい。
なお、電線22の総本数を3等分した場合において、隣合う領域S1、S2に属する電線22の間に存在する電線22間については、中央部領域S1に属すると考えられてもよいし、側部領域S2に属すると考えられてもよいし、中央部領域S1及び側部領域S2のいずれにも属さないと考えられてもよい。上記例は、3つ目の考えに基づく例である。
並列配置部26において4つ以上の電線22の間に3つ以上の放熱用の隙間が形成されている場合、3つ以上の放熱用の隙間の寸法は、幅方向中央から外側に向うに従って小さくなるように設定されていてもよい。図1に示す例では、中央の電線22から並列方向外側の電線22に向けて、電線22の間の寸法がd1、d2、d3、d4,0(接している)、0、d5、0、0、0、0に設定される。電線22の間の寸法d1、d2、d3、d4、d5となる部分が、放熱用の隙間が形成された部分である。d1>d2>d3>d4=d5であるから、3つ以上の放熱用の隙間の寸法が、幅方向中央から外側に向うに従って小さくなっている。ここで、3つ以上の放熱用の隙間の寸法が、幅方向中央から外側に向うに従って小さくなる場合には、部分的に同じ隙間の寸法が続く場合を含む。換言すれば、3つ以上の放熱用の隙間の寸法が、幅方向中央から外側に向うに従って、少なくとも1ステップ小さくなっていればよい。
放熱用の隙間とは、複数の電線22の間のうち接触する部分を除く、部分であると把握されてもよい。もっとも、設計上、電線22間において放熱用の隙間が形成されない部分についても、製造上の誤差、制約等によって、隙間が生じてしまうこともあり得る。
本実施形態によると、並列配置部26では、両側部領域R2(又はS2)における電線22間の寸法の平均値よりも、中央部領域R1(又はS2)における電線22間の寸法の平均値の方が大きい。ここで、並列配置部26においては、複数の電線22が並列配置しているため、幅方向中央部よりも幅方向両側部の方で、効率的な放熱がなされる。そこで、中央部領域R1(又はS1)で、電線22間の寸法の平均値を大きくすると、電線22がまばらとなり、発熱が少なくなると共に、効率的な放熱が期待される。また、側部領域R2(又はS2)で、電線22間の寸法の平均値を小さくしても、側部領域R2(又はS2)の電線22は比較的冷たい外気に曝されやすいため、効果的な放熱が期待される。そして、側部領域R2(又はS2)で、電線22間の寸法の平均値を小さくすることによって、並列配置部26における幅を小さくすることができ、配置レイアウトを小さくできる。結果、なるべくコンパクトな構成によって放熱性が向上する。
また、上記のような並列方向における長さ基準によって、中央部領域R1、両側部領域R2、R2が分けて考えられることで、中央部領域R1において効率的に放熱され、両側部領域R2、R2においてなるべく密に電線22が配置される。
また、上記のような並列方向における本数基準によって、中央部領域S1、両側部領域S2、S2が分けて考えられることで、中央部領域S1において効率的に放熱され、両側部領域S2、S2がなるべく幅狭になる。
また、3つ以上の放熱用の隙間の寸法d1、d2、d3、d4,d5は、並列配置部26における幅方向中央から外側に向うに従って小さくなる。このため、蓄熱し易い中央に近い程、電線22が粗に配置される。結果、発熱自体が少なくかつ効率的に放熱される。また、放熱され易い側縁部に近い程、電線22が密に配置され、配置スペースが小さくなる。このため、なるべくコンパクトな構成によって放熱性を向上させるのに効果的な構成である。
上記実施形態を前提として、適用例、変形例について説明する。
図2は電線の配置構造体10における端部にコネクタ100を設けた例を示す図である。
ベース部材12の端部にコネクタ100が設けられる。ここでは、コネクタ100は、ベース部材12の端部に固定されている。固定は、接着剤、溶着、嵌め込み構造、ネジ止等によってなされてもよい。コネクタ100は、ベース部材12の端部に固定されていなくてもよい。
複数の電線22の端部には端子が取付けられている。コネクタ100には、複数のキャビティが並列状態で形成されている。複数の端子は、コネクタ100における複数のキャビティに挿入されている。つまり、電線群20の端部は並列状態でコネクタ100に接続されている。電線群20のうちコネクタ100から延び出る部分28は、コネクタ100における複数のキャビティの幅に応じた幅となっている。すなわち、端子がキャビティに挿入されると、当該端子が接続された電線22は、コネクタ100の背面側に真っ直ぐ延びていく。このため、複数の電線22のピッチは、コネクタ100における複数のキャビティのピッチと一致している。このピッチに応じて、電線群20のうちコネクタ100から延び出る部分28の幅W1が決定される。
電線群20は、上記部分28から移行部29を経て並列配置部26に至る。移行部29は、電線群20は並列方向外側に広がるように固定面13上に配置される。並列配置部26における幅W2は、では、放熱用の隙間を設けた分、電線群20の幅が大きくなっている。
このように、コネクタ100の幅に拘らず、並列配置部26における幅W2を大きくすることによって、電線群20の並列配置部26における放熱性が向上する。
なお、コネクタ100におけるキャビティのピッチ等によっては、並列配置部26における幅W2が、電線群20のうちコネクタ100から延び出る部分28の幅より大きい場合もあり得る。
図3及び図4は、それぞれベース部材12上に対する電線群20の他の配置例を示す図である。図3及び図4に示す例が、図1と異なるのは、電線22間の寸法である。
図3に示す例では、中央の電線22から並列方向外側の電線22に向けて、電線22の間の寸法がd1、d2、d3、d4、d5、0(接している)、0、0、0、0、0に設定される。d1>d2>d3>d4=d5の関係が成立するように設定される。例えば、d1は1.0mmに設定され、d2は0.7mmに設定され、d3は0.4mmに設定され、d4=d5は0.1mmに設定される(配置パターン2とする)。この場合の隙間の総和は4.6mmであり、図1における隙間寸法例における隙間の総和と同じである。
図3に示す例は、実施形態で説明したように、寸法基準によっても、本数基準によっても、中央部領域における電線22間寸法の平均値は、両側部領域における電線22間の寸法の平均値よりも大きい例である。また、図3に示す例は、3つ以上の放熱用の隙間の寸法d1、d2、d3、d4、d5が、幅方向中央から外側に向うに従って小さくなる例の1つである。
図4に示す例では、中央の電線22から並列方向外側の電線22に向けて、電線22の間の寸法がd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8、d9、d10、0(接している)に設定される。ここでは、d1>d2>d3>d4=d5=d6=d7>d8=d9=d10の関係が成立するように設定される。例えば、d1は0.5mmに設定され、d2は0.4mmに設定され、d3は0.3mmに設定され、d4=d5=d6=d7は0.2mmに設定され、d8=d9=d10は0.1mmに設定される(配置パターン3とする)。この場合の隙間の総和は4.6mmであり、図1における隙間寸法例における隙間の総和と同じである。
図4に示す例も、実施形態で説明したように、寸法基準によっても、本数基準によっても、中央部領域における電線22間寸法の平均値は、両側部領域における電線22間の寸法の平均値よりも大きい例である。また、図4に示す例は、3つ以上の放熱用の隙間の寸法d1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8、d9が、幅方向中央から外側に向うに従って小さくなる例の1つである。
[実験例]
CAE(Computer aided engineering)解析によって、電線22に電気を流した場合において、電線が150℃に達する迄の時間を計算してみた。
解析条件は次の通りである。モデルとして、図5に示すように、ベース部材12上に23本の電線22が固定されたものを想定した。このモデルにおいて、電線22は接着剤110によって固定されている。ベース部材12は、幅(W)60mm、厚さ1.6mmの鋼板である。接着剤の輻射率は0.8である。接着剤の熱伝導率としては、1W/m・K、2W/m・K、3W/m・K、4W/m・Kの4つの場合が想定された。接着剤110の高さhとして、電線22の高さ(直径)に対して1/4倍である場合、半分である場合、同じである場合(つまり、全埋め)である3つの場合が想定された。電線22は、0.5sq(Square mm)のAVSS(自動車用薄肉低圧電線)である。
そして、各電線22に25Aの電流が流れるという設定で、各電線22の150℃到達時間を解析した。
電線22の配置として、比較のための例1として、23本の電線22が密着して配列配置されたモデルが採用された。比較のための例2として、23本の電線22が寸法0.209mmの均等隙間をあけて並列配置されたモデルが採用された。
例1、例2に対する電線22の150℃到達時間の解析結果が図6に示される。上記配置パターン1、2、3に対する電線22の150℃到達時間の解析結果が図6に示される。図6及び図7では、各例又は配置パターンにおいて、複数の電線22の150℃到達時間のうち最も短い値が示されている。
図6に示すように、例1、例2のそれぞれにおいて、接着剤の熱伝導率が大きくなるほど150℃到達時間が少しずつ長くなることが理解される。また、接着剤110の高さが高いほど150℃到達時間が長くなることが理解される。また、例1よりも例2の場合、すなわち、電線22に隙間を設けた方が、150℃到達時間が長くなることが理解される。
上記配置パターン1、2、3のそれぞれの解析結果が図7に示される。図6及び図7の比較結果から、上記実施形態及びその変形例に係る配置パターンにより、150℃到達時間が長くなることが理解される。
特に、配置パターン1、2、3と、例2とでは、複数の電線22の全幅が同じであるにも拘らず、配置パターン1、2、3の方が例2よりも150℃到達時間が長くなっている。このため、配置パターン1、2、3により、限られた配置スペース内において効果的に放熱がなされていることが理解される。
また、特に、配置パターン1、2は、配置パターン3、例2より150℃到達時間が長くなっていることから、中央部領域と両側部領域とで、隙間の差を大きくした方が、150℃到達時間を長くするために効果的であることが理解される。
また、配置パターン1、2、3では、接着剤の熱伝導率の違いは、150℃到達時間に大きな影響をもたらないことが理解される。特に、配置パターン1、2では、接着剤の熱伝導率の違いは150℃到達時間にほとんど影響をもたらさない。この理由は、中央部領域で隙間の寸法が大きく、両側部領域において隙間の寸法が小さく設定されることによって、熱がある程度分散されるため、接着剤110による熱伝導の意義が薄れるためであると考えられる。よって、熱伝導性の優れた接着剤を用いなくても、電線の配置構造体10の放熱性が向上することが理解される。
その他、図7においても、図6と同様に、接着剤110の高さが高いほど150℃到達時間が長くなることが理解される。
なお、電流値を20A、15Aに変更してCAE解析を行っても,同様な傾向が見られた。
10 配置構造体
12 ベース部材
13 固定面
20 電線群
22 電線
23 芯線
24 被覆
26 並列配置部
28 コネクタから延び出る部分
29 移行部
100 コネクタ
110 接着剤
R1 中央部領域
R2 側部領域
S1 中央部領域
S2 側部領域
d1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8、d9 寸法
h 高さ

Claims (5)

  1. ベース部材と、
    4本以上の電線を含む電線群と、
    を備え、
    前記電線群は、前記ベース部材によって並列状態に固定された並列配置部を含み、
    前記並列配置部では、幅方向の両側部領域における前記電線間寸法の平均値よりも、幅方向の中央部領域における前記電線間寸法の平均値の方が大きい、電線の配置構造体。
  2. 請求項1に記載の電線の配置構造体であって、
    前記並列配置部が並列方向において長さによって3等分されたときに、その両外側領域が前記両側部領域であり、中央領域が前記中央部領域である、電線の配置構造体。
  3. 請求項1に記載の電線の配置構造体であって、
    前記両側部領域は、前記並列配置部の両側から数えて、前記並列配置部における前記電線の総本数に対して1/3以下の本数となる前記電線が配置される領域であり、前記中央部領域は、残りの電線が配置される領域である、電線の配置構造体。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電線の配置構造体であって、
    前記電線群の端部が並列状態でコネクタに接続されており、
    前記並列配置部における幅は、前記コネクタから延び出る前記電線群の幅よりも大きい、電線の配置構造体。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電線の配置構造体であって、
    前記並列配置部において、前記4つ以上の電線の間に3つ以上の放熱用の隙間が形成されており、
    前記3つ以上の放熱用の隙間の寸法は、幅方向中央から外側に向うに従って小さくなる、電線の配置構造体。
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