JP2021070675A - 光応答性化合物、接着剤、トナーおよび画像形成方法 - Google Patents

光応答性化合物、接着剤、トナーおよび画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光照射により流動化し、可逆的に非流動化し、かつ著しい着色のない化合物を提供する。【解決手段】光照射により流動化し、可逆的に非流動化する下記一般式(1)で表される光応答性化合物であって、一般式(1)中、Z1およびZ2は、それぞれ独立して、NまたはCHであり、かつZ1≠Z2であり、AおよびBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の芳香族複素環基であり、下記式(1)で表される活性化エネルギーEaが60kJ/mol以上であることを特徴とする、化合物。式(1):Ea(kJ/mol)=(TSの全エネルギー(kJ/mol))−(シス体の全エネルギー(kJ/mol))[上記式(1)中、TSは、遷移状態を指す。]【選択図】なし

Description

本発明は、光応答性化合物、接着剤、トナーおよび画像形成方法に関する。
光照射により流動性が変化する材料として光応答性液晶材料が知られている。例えば、特許文献1、2では、アゾベンゼン誘導体を用いた高分子液晶材料が提案されている。これらは光に応答してアゾベンゼン部位のシス−トランス異性化反応を起こす。これによる分子構造変化が固体状態から流動性状態への相転移を誘起すると考えられている。また、波長を変えて再光照射するか、加熱するか、或いは、暗所に室温で放置することで、逆反応が起きて再び固化するというものである。
特開2011−256155号公報 特開2011−256291号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載されているアゾベンゼン誘導体は、いずれも黄色〜橙色の着色が有り、トナーや接着剤など工業製品に応用する際に所望の色を再現できないという問題があった。さらに、本発明者らの検討によれば、アゾベンゼン誘導体の置換基を変化させることにより、黄色〜橙色の着色につき、多少色を調整することはできても、根本的に無色もしくは無色に近い状態にすることは不可能であることも分かった。
そこで本発明は、光照射により流動化し、可逆的に非流動化し、かつ著しい着色のない化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を積み重ねた。その結果、アゾメチン部位を有する化合物であって、シス体からトランス体への異性化の活性化エネルギーが所定の範囲である化合物を用いることで、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、光照射により流動化し、可逆的に非流動化する下記一般式(1)で表される光応答性化合物であって、
Figure 2021070675
一般式(1)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、NまたはCHであり、かつZ≠Zであり、
AおよびBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の芳香族複素環基であり、
下記式(1)で表される活性化エネルギーEaが60kJ/mol以上であることを特徴とする、化合物:
式(1):Ea(kJ/mol)=(TSの全エネルギー(kJ/mol))−(シス体の全エネルギー(kJ/mol))
上記式(1)中、TSは、一般式(2)で表される遷移状態を指し、シス体は一般式(3)で表される異性体を指す。
Figure 2021070675
本発明によれば、光照射により流動化し、可逆的に非流動化し、かつ著しい着色のない化合物を提供できる。
本発明の一実施形態による画像形成方法で用いられる画像形成装置100を示す概略構成図である。 画像形成装置100における照射部40の概略構成図である。 実施例および比較例で合成した化合物の光照射に伴う接着性の変化を測る装置の概略図である。
本発明は、光照射により流動化し、可逆的に非流動化する下記一般式(1)で表される光応答性化合物であって、
Figure 2021070675
一般式(1)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、NまたはCHであり、かつZ≠Zであり、
AおよびBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の芳香族複素環基であり、
下記式(1)で表される活性化エネルギーEaが60kJ/mol以上であることを特徴とする、化合物:
式(1):Ea(kJ/mol)=(TSの全エネルギー(kJ/mol))−(シス体の全エネルギー(kJ/mol))
上記式(1)中、TSは、一般式(2)で表される遷移状態を指し、シス体は一般式(3)で表される異性体を指す。
Figure 2021070675
上記一般式(1)で表され、所定の活性化エネルギーを有する化合物(アゾメチン部位を有する化合物)を用いることで、光照射により流動化し、可逆的に非流動化し、かつトナーや接着剤に応用する際に所望の色の再現に影響しない程度の着色のない光応答性化合物を実現することができる。
なぜ、本発明の化合物により上記効果が得られるのか、詳細は不明であるが、下記のようなメカニズムが考えられる。なお、下記のメカニズムは推測によるものであり、本発明は下記メカニズムに何ら制限されるものではない。以下の説明では、上記一般式(1)で表される化合物を、「アゾメチン部位を有する化合物」または「アゾメチン誘導体」とも称する。
アゾベンゼン化合物は、光を吸収し固体状態から軟化(光相転移)する、すなわち、光照射により流動化する材料であることが知られており、その光相転移は、シス−トランス異性化により結晶構造が崩れることで生じていると考えられる。特許文献1または2に記載のアゾベンゼン化合物では、光照射による異性化反応に伴って相変化を起こすが、これらの化合物は、長波長領域にn−π遷移に由来する強い吸収を示し、橙色に着色しているため、工業製品に適用する際に所望の色を再現できないという点で問題があった。
本発明では、アゾメチン部位を有する化合物を用いることで、光照射により流動化し、可逆的に非流動化し、かつ著しい着色のない化合物を提供することを実現した。アゾベンゼン化合物に代わりアゾメチン部位を導入することで、アゾベンゼン化合物における強いn−π吸収を弱めることができるため、著しい着色のない化合物を実現できる。
また、光異性化に伴い流動化および非流動化する化合物は、非流動性のトランス体(E)が光照射され、シス体(Z)へ異性化するとき、多くのトランス体がシス体へと変化していくことで規則構造が崩れ相転移変化、すなわち流動化現象を誘起できると考えられる。また、シス体がトランス体へと戻っていくことで、再び規則構造が形成され、非流動化現象を誘起できると考えられる。したがって、流動化現象を誘起するためには、多くのトランス体(E)がシス体(Z)へ異性化する必要があると考えられる。しかしながら、一般的にアゾメチン化合物は、アゾベンゼン化合物に比べてZ体からE体への異性化の速度が速いことが知られており、両端に非置換のベンゼンを導入したアゾメチン化合物では流動化および可逆的な非流動化を誘起するには不利になることが予想された。
Z体からE体への異性化の速度が速いということは、Z体からE体への異性化反応におけるエネルギー障壁が低いために素早くトランス体(E)に戻っているものと考えられる。本発明者らは、Z体からE体への異性化反応におけるエネルギー障壁(活性化エネルギーEa)をコントロールすることでZ体からE体への異性化の速度をコントロールできると考えた。そして、Z体からE体への異性化反応におけるエネルギー障壁(活性化エネルギーEa)を60kJ/mol以上とすることで、Z体からE体への異性化反応の反応速度をコントロールすることができ、光照射により流動化させ、可逆的に非流動化させることができることを見出した。
なお、本明細書中、光照射により流動化し、可逆的に非流動化するとは、光照射によって非流動状態から流動状態へと変化し、さらに非流動状態へと戻ることを指す。
上記の理由から、本発明のアゾメチン部位を有する化合物は無色でありながら異性化に伴い流動化および非流動化現象を誘起することができると考えられる。したがって、本発明のアゾメチン部位を有する化合物をトナーに導入することで、熱定着以外の定着手段として光照射による定着が可能であり、且つ色再現性の高いトナーを得ることができる。
なお、本発明における流動とは、外力なし、または少ない外力で変形する状態のことを指す。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
<アゾメチン部位を有する化合物>
本発明のアゾメチン部位を有する化合物は、光照射により流動化し、可逆的に非流動化する下記一般式(1)で表される光応答性化合物である。
Figure 2021070675
一般式(1)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、NまたはCHであり、かつZ≠Zであり、AおよびBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の芳香族複素環基である。
そして、本発明の化合物は、下記式(1)で表される活性化エネルギーEaが60kJ/mol以上である。
式(1):Ea(kJ/mol)=(TSの全エネルギー(kJ/mol))−(シス体の全エネルギー(kJ/mol))
上記式(1)中、TSは、一般式(2)で表される遷移状態を指し、シス体は一般式(3)で表される異性体を指す。
Figure 2021070675
上記式(1)で表される活性化エネルギーEaが60kJ/molを下回ると、シス体からトランス体への異性化反応の障壁が低いため、光照射により流動性のシス体に異性化しても非流動性のトランス体に素早く戻ってしまうため、光照射による流動化およびその後の可逆的な非流動化が実現できない。
好ましくは、上記活性化エネルギーEaは、63kJ/mol以上であり、より好ましくは64kJ/mol以上であり、さらに好ましくは65kJ/mol以上である。また、上記活性化エネルギーEaは、トランス体への戻りやすさから、100kJ/mol以下が好ましく、さらに好ましくは、95kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下であり、さらに好ましくは80kJ/mol以下である。このようにすることで、本発明の効果がより容易に得られうる。
ここで、本発明の化合物のシス体の分子構造と全エネルギーおよび遷移状態の分子構造と全エネルギーの算出には、米国Gaussian社製のGaussian 16 (Revision B.01, M. J. Frisch, G. W. Trucks, H. B. Schlegel, G. E. Scuseria, M. A. Robb, J. R. Cheeseman, G. Scalmani, V. Barone, G. A. Petersson, H. Nakatsuji, X. Li, M. Caricato, A. V. Marenich, J. Bloino, B. G. Janesko, R. Gomperts, B. Mennucci, H. P. Hratchian, J. V. Ortiz, A. F. Izmaylov, J. L. Sonnenberg, D. Williams-Young, F. Ding, F. Lipparini, F. Egidi, J. Goings, B. Peng, A. Petrone, T. Henderson, D. Ranasinghe, V. G. Zakrzewski, J. Gao, N. Rega, G. Zheng, W. Liang, M. Hada, M. Ehara, K. Toyota, R. Fukuda, J. Hasegawa, M. Ishida, T. Nakajima, Y. Honda, O. Kitao, H. Nakai, T. Vreven, K. Throssell, J. A. Montgomery, Jr., J. E. Peralta, F. Ogliaro, M. J. Bearpark, J. J. Heyd, E. N. Brothers, K. N. Kudin, V. N. Staroverov, T. A. Keith, R. Kobayashi, J. Normand, K. Raghavachari, A. P. Rendell, J. C. Burant, S. S. Iyengar, J. Tomasi, M. Cossi, J. M. Millam, M. Klene, C. Adamo, R. Cammi, J. W. Ochterski, R. L. Martin, K. Morokuma, O. Farkas, J. B. Foresman, and D. J. Fox, Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2016.)ソフトウェアを用いることができ、計算手法として密度汎関数法(B3LYP/6−31G(d))を用いることができる。シス体の分子構造としては、一般式(3)で表される異性体の最安定な分子構造、すなわち最も全エネルギーの低い分子構造を算出し、この全エネルギーをシス体の全エネルギーとする。遷移状態(TS)の分子構造としては、一般式(2)で表される遷移状態について、対応する分子構造の鞍点を算出し、このときに得られた全エネルギーを遷移状態の全エネルギーとする。なお、ソフトウェアや計算手法に特に限定はなく、いずれを用いても同様の値を得ることができる。このようにして得られた計算値から、上記式(1)に従って活性化エネルギーEaの値を求めることができる。
本発明のアゾメチン部位を有する化合物において、上記一般式(1)のAおよびBの構造を適宜選択することで、上記(1)で表される活性化エネルギーEaを60kJ/mol以上に制御することができる。
具体的には、アゾメチン部位を有する化合物に電子供与性構造を導入することでアゾメチン部位の電子密度を上げ、活性化エネルギーEaを高くすることができる。例えば、AおよびBの少なくとも一方を電子供与性の高い芳香族複素環基とすることで活性化エネルギーEaを高くすることができる。また、AおよびBとしての芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に電子供与性の高い置換基を導入することで活性化エネルギーEaを高くすることができる。
ここで、芳香族炭化水素基としては、特に制限されないが、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基などが挙げられる。なかでも流動化、非流動化が効果的に生じることからフェニル基が好ましい。
芳香族複素環基としては、特に制限されないが、炭素数2〜30のものが好ましい。また、電子供与性の高いものが好ましく、例えば、チオフェニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ナフチリジニル基、アクリジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾチオフェニル基などが挙げられるがこれらに制限されない。なかでも、活性化エネルギーが高くなり、流動化、非流動化が効果的に生じることから、チオフェニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基が好ましい。
上記の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基は、それぞれ、置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限されないが、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、炭素数2〜19のアシル基、および炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、炭素数2〜19のアシル基、および炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基である。
上記のように、アゾメチン化合物の光相転移はアゾベンゼン化合物と同様、シス−トランス異性化により結晶構造が崩れることで生じていると考えられる。一般的に分子間のπ−π相互作用が強いため、光相転移は結晶構造の極最表面でしか生じない。ここで、上記一般式(1)のAまたはBで表される芳香族炭化水素基または芳香族複素環基が置換基を有すると、本発明のアゾメチン部位を有する化合物は、π−π相互作用が支配的な周期構造中に、これらの置換基の熱運動によって等方的に乱れた構造が共存する特異的な結晶構造を形成する。そのため、局所的にシス−トランス異性化反応が進行しアゾメチン部位のπ−π相互作用が低減すると、系全体で連鎖的に等方的な融解を生じる。そのため、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなると考えられる。
この際、上記置換基の少なくとも1つが、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、炭素数2〜18のアシル基、または炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基であることが好ましい。このような構造とすることで、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなると考えられる。このうち、熱運動性が高いことから、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基であることがより好ましい。
上記置換基の炭素数としては、より好ましくは、上記アルキル基は、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは、炭素数4〜12のアルキル基である。また、より好ましくは、上記アルコキシ基は、炭素数1〜12のアルコキシ基であり、さらに好ましくは炭素数4〜12のアルコキシ基である。また、より好ましくは、上記ジアルキルアミノ基は、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基であり、さらに好ましくは炭素数4〜6のジアルキルアミノ基である。より好ましくは、上記アシル基は、炭素数2〜13のアシル基であり、さらに好ましくは炭素数5〜13のアシル基である。また、より好ましくは、上記アルコキシカルボニル基は、炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは炭素数5〜13のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。このように、長鎖置換基を導入することで結晶が崩れやすく、光溶融性がよくなり、トナーに用いた場合に定着性がよくなる。
炭素数1〜18のアルキル基の例としては、特に制限されるものではなく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、t−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、1−メチルデシル基、1−ヘキシルヘプチル基などの分枝状のアルキル基が挙げられる。
炭素数1〜18のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基などの直鎖状のアルコキシ基:1−メチルペンチルオキシ基、4−メチル−2−ペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、t−オクチルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、2,2−ジメチルヘプチルオキシ基、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、1−ヘキシルヘプチルオキシ基などの分枝状のアルコキシ基が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキルアミノ基の例としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基などが挙げられる。
炭素数2〜10のジアルキルアミノ基の例としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基などが挙げられる。
炭素数2〜19のアシル基の例としては、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であり、例えば、アセチル基、プロパノイル基(プロピオニル基)、ブタノイル基(ブチリル基)、イソブタノイル基(イソブチリル基)、ペンタノイル基(バレリル基)、イソペンタノイル基(イソバレリル基)、sec−ペンタノイル基(2−メチルブチリル基)、tert−ペンタノイル基(ピバロイル基)、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、tert−オクタノイル基(2,2−ジメチルヘキサノイル基)、2−エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、イソノナノイル基、デカノイル基、イソデカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、ウンデシレノイル基およびオレオイル基等が挙げられる。
炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基の例としては、直鎖状若しくは分岐状であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、n−ウンデシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基、n−トリデシルオキシカルボニル基、n−テトラデシルオキシカルボニル基、n−ペンタデシルオキシカルボニル基、n−ヘキサデシルオキシカルボニル基などの直鎖状のアルコキシカルボニル基:1−メチルペンチルオキシカルボニル基、4−メチル−2−ペンチルオキシカルボニル基、3,3−ジメチルブチルオキシカルボニル基、2−エチルブチルオキシカルボニル基、1−メチルヘキシルオキシカルボニル基、t−オクチルオキシカルボニル基、1−メチルヘプチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、2−プロピルペンチルオキシカルボニル基、2,2−ジメチルヘプチルオキシカルボニル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシカルボニル基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシカルボニル基、1−メチルデシルオキシカルボニル基、1−ヘキシルヘプチルオキシカルボニル基などの分枝状のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
好ましくは、前記一般式(1)において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基または置換もしくは非置換の芳香族複素環基である。このような構成とすることで、流動化、非流動化がより効果的に生じうる。
また、本発明の好ましい一実施形態は、前記一般式(1)において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換または非置換のフェニル基であり、AおよびBの少なくとも一方は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、および炭素数2〜10のジアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基を有する、化合物である。ここで、それぞれの置換基の具体的な形態は上記の通りである。
両端にベンゼン環を導入したアゾメチン化合物では、いずれか一方が電子供与性の芳香族複素環基である場合と比較して、アゾメチン部位の電子密度が低くなり、活性化エネルギーが低くなりやすいが、上記の置換基を導入することでアゾメチン部位の電子密度を高めて活性化エネルギーを所定の範囲に制御し、流動化および可逆的な非流動化現象を効果的に誘起することができる。また、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π−π相互作用の低減等が生じる。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなると考えられる。
すなわち、本発明のアゾメチン部位を有する化合物において、C=N結合の両端にベンゼン環を有する化合物は、少なくとも一方のベンゼン環上に1以上の電子供与性の置換基(アルコキシ基、ジアルキルアミノ基など)を有すると、双方のベンゼン環がいずれも置換基を有さない場合や、電子吸引性の置換基のみを有する場合と比較して、アゾメチン部位の電子密度が高くなる。そのため活性化エネルギーが高くなりやすく、流動化および可逆的な非流動化現象を効果的に誘起することができるため好ましい。
この際、AおよびBの少なくとも一方(すなわち、AおよびBの前記フェニル基のうち少なくとも一方)は、前記ZまたはZに対するパラ位に前記置換基を有することが好ましい。このように、ベンゼン環のパラ位に前記置換基を導入することで結晶が崩れやすく、光溶融性がよくなり、定着性がよくなる。さらに、前記置換基としては、一定以上の長さの炭素鎖を有することにより上記効果がより顕著に得られると考えられることから、炭素数4〜12のアルキル基、炭素数4〜12のアルコキシ基、または炭素数4〜10のジアルキルアミノ基であることがより好ましい。上記AおよびBがいずれもフェニル基である場合、両方のフェニル基のZまたはZに対するパラ位に前記置換基を有することがより好ましい。上記AおよびBがいずれもフェニル基であり、両方のフェニル基のZまたはZに対するパラ位に前記置換基を有することで、光溶融性がよくなり、定着性がよくなるという効果がより一層顕著に得られうる。
また、上記AおよびBがいずれもフェニル基であり、AおよびBの双方に前記置換基を有することがより好ましい。このようにすることで、結晶が崩れやすく、光溶融性がよくなり、定着性がよくなる効果がより一層顕著に得られうる。
本発明の一実施形態において、上記AおよびBがいずれもフェニル基であり、AおよびBの少なくとも一方は、前記ZまたはZに対する2つのオルト位および2つのメタ位が置換されていないか、または炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基およびハロゲン原子から選択される基で置換されたフェニル基であることが好ましい。すなわち、2つのオルト位および2つのメタ位の計4つの炭素原子がすべて非置換であってもよく、上記の計4つの炭素原子がそれぞれハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、および炭素数1〜4のアルコキシ基から選択される基で置換されていてもよく、上記の計4つの炭素原子のうちの一部が非置換であり、残りがハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、および炭素数1〜4のアルコキシから選択される基で置換されていてもよい。また、置換されている場合、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、および炭素数1〜4のアルコキシ基から選択されるものであれば、それぞれ同一の基で置換されていても異なる基で置換されていてもよい。なお、アルキル基、アルコキシ基は直鎖状であっても分岐していてもよい。このような構成とすることで、C=N結合の近傍の立体障害を制御でき、流動化、非流動化が効果的に発現しうる。また化合物の融点を好適な範囲に制御できるため好ましい。
本発明の他の好ましい実施形態は、前記一般式(1)において、AおよびBの少なくとも一方が、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、および炭素数2〜10のジアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたフェニル基であり、他方が、置換もしくは非置換の芳香族複素環基である、化合物である。上記構成により、アゾメチン部位の電子密度を高めて活性化エネルギーを所定の範囲に制御し、流動化および可逆的な非流動化現象を効果的に誘起することができる。また、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π−π相互作用の低減等が生じる。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなると考えられる。ここで、芳香族複素環基やそれぞれの置換基の具体的な形態は上記と同様である。
この際、前記フェニル基は、前記ZまたはZに対するパラ位に前記置換基を有することが好ましい。前記ZまたはZに対するパラ位に長鎖置換基を導入することで結晶が崩れやすく、光溶融性がよくなり、トナーに用いたときに定着性がよくなる。
さらには、前記芳香族複素環基が非置換であるか、または、前記芳香族複素環基が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、炭素数2〜19のアシル基もしくは炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基で置換されていることが好ましい。上記構成により、活性化エネルギーを所定の範囲に容易に制御し、流動化および可逆的な非流動化現象を効果的に誘起することができる。また、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π−π相互作用の低減等が生じる。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなると考えられる。
本発明のさらに他の好ましい実施形態は、前記一般式(1)において、AおよびBの少なくとも一方が、置換もしくは非置換のフェニル基であり、他方が、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、および炭素数2〜10のジアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基で置換された芳香族複素環基である、化合物である。上記構成により、アゾメチン部位の電子密度を高めて活性化エネルギーを所定の範囲に制御し、流動化および可逆的な非流動化現象を効果的に誘起することができる。また、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π−π相互作用の低減等が生じる。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなると考えられる。光溶融性をより向上させる観点から、前記芳香族複素環基は、炭素数4〜12のアルキル基、炭素数4〜12のアルコキシ基、または炭素数4〜10のジアルキルアミノ基で置換された芳香族複素環基であることがより好ましい。ここで、芳香族複素環基やそれぞれの置換基の具体的な形態は上記と同様である。
この際、前記フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、または炭素数2〜10のジアルキルアミノ基で置換されたフェニル基であることが好ましい。これにより、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π−π相互作用の低減等が生じる。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなると考えられる。
本発明のさらに他の好ましい実施形態は、前記一般式(1)において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族複素環基であり、AおよびBの少なくとも一方は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、および炭素数2〜10のジアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基を有する、化合物である。上記構成により、アゾメチン部位の電子密度を高めて活性化エネルギーを所定の範囲に制御し、流動化および可逆的な非流動化現象を効果的に誘起することができる。また、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π−π相互作用の低減等が生じる。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなると考えられる。ここで、AおよびBを構成する芳香族複素環基は同一であっても異なっていてもよい。ここで、芳香族複素環基やそれぞれの置換基の具体的な形態は上記と同様である。なお、光溶融性をより向上させる観点から、AおよびBの少なくとも一方は、炭素数4〜12のアルキル基、炭素数4〜12のアルコキシ基、または炭素数4〜10のジアルキルアミノ基で置換された芳香族複素環基であることがより好ましい。
また、好ましくは、AおよびBの一方が、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、および炭素数2〜10のジアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基を有する芳香族複素環基であり、他方が、非置換であるか、または、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、炭素数2〜19のアシル基もしくは炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基で置換された芳香族複素環基である。このような構成とすることで、流動化、非流動化が効果的に発現しうる。また化合物の融点を好適な範囲に制御できるため好ましい。
上記したように、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、炭素数2〜19のアシル基または炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよい。
上記したように、本発明の化合物は、光異性化の活性化エネルギーを所定の範囲とすることにより、流動化および可逆的な非流動化を達成できるものと考えられる。さらに、後述の実施例に示すように、上記一般式(1)において、A、Z、Z、Bを適切に選択することにより分子間相互作用の大きさを制御し、光溶融性を制御することができる。
例えば、上記一般式(1)において、AおよびBの一方が置換もしくは非置換のフェニル基であり、他方が置換もしくは非置換のチオフェニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、またはインドリル基である化合物は、AおよびBの両方が置換もしくは非置換のフェニル基である場合に比較して溶液中のモル吸光係数が小さい傾向があるため、光照射したときにより深い方向まで光が到達でき、上層だけでなく下層まで光溶融させることができるものと考えられる。そのため、光異性化の活性化エネルギーが所定の範囲であることに加え、上記構成を有することにより、より光溶融性に優れる化合物が得られうる。したがって、トナーに用いた場合に、より低い照射光強度で光照射による定着を達成できる。特に、上記一般式(1)において、Aが置換もしくは非置換のフェニル基であり、Bが置換もしくは非置換のチオフェニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、またはインドリル基であり、ZがNであり、ZがCHである化合物は上記効果がより顕著に得られうる。
本発明の化合物の具体例としては、後述の実施例の化合物1〜59が挙げられる。
なお、本発明の上記一般式(1)で表される化合物の分子量は特に制限されないが、100以上1000未満であることが好ましく、100以上800以下であることがより好ましい。なお、本発明の上記一般式(1)で表される化合物は、重合体を含まないものとする。好ましい実施形態において、上記一般式(1)で表される化合物は、繰り返し単位を含まずに構成されている。好ましい実施形態において、上記一般式(1)で表される化合物は、重合性基を含むモノマーを重合して得られるものではない。
光照射で前記アゾメチン部位を有する化合物が流動化する際の照射光の波長は、好ましくは280nm以上480nm以下の範囲、より好ましくは300nm以上420nm以下の範囲内、さらに好ましくは330nm以上420nm以下の範囲内である。この範囲であれば、光を良く吸収するため、光溶融性が良くなり、定着性が良くなる。また、流動化させる際には、光照射に加え、熱や圧力を加えて流動化を促進させても良い。熱や圧力を加えることにより、より少ない光照射量で流動化させることができる。そのため、当該アゾメチン部位を有する化合物をトナーに導入することで、上記波長での定着が可能となり、且つ色再現性の高いトナーを得ることができる。なお、上記波長範囲は、紫外線の領域であるが、紫外線に近い可視光の領域も含まれる。紫外線に近い可視光の領域の照射光でも下記の照射条件により前記アゾメチン部位を有する化合物を流動化させることができるためである。
前記アゾメチン部位を有する化合物が流動化する際の照射光の照射条件としては、照射量は、好ましくは0.1J/cm以上200J/cm以下の範囲内、より好ましくは0.1J/cm以上100J/cm以下の範囲内、さらに好ましくは、0.1J/cm以上50J/cm以下の範囲内である。
一方、前記アゾメチン部位を有する化合物を非流動化させる条件は、室温で放置(25±15℃の範囲)、即ち、自然環境下とするのが好ましい。この際は、暗所におくのが良いが、自然光や蛍光灯などの可視光を受けていてもよい。また、非流動化させる過程で熱を加えるとより好ましい。また光を加えても良い。
本発明のアゾメチン部位を有する化合物の合成方法は、特に制限されず、従来公知の合成方法を適用することができる。たとえば、一般式(1)において、ZがNであり、ZがCHであり、Aが4−ヘキシルオキシフェニル基であり、Bが5−メチル−2−チオフェニル基である化合物を例にとれば、下記スキーム1により合成できる。
エタノール(EtOH)中、4−(ヘキシルオキシ)アニリンと5−メチルチオフェン−2−カルボキシアルデヒドとを加熱攪拌して反応させ、反応液をろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄し、メタノール/エタノールで再結晶すれば、目的物のアゾメチン部位を有する化合物を得ることができる(下記スキーム1参照)。加熱攪拌の際の温度は、好ましくは0℃以上100℃以下の範囲内、より好ましくは30℃以上70℃以下の範囲内、さらに好ましくは、40℃以上60℃以下の範囲内である。
Figure 2021070675
また、たとえば、一般式(1)において、ZがCHであり、ZがNであり、Aが4−N,N’−ジプロピルアミノフェニル基であり、BがN−メチル−2−ピロリル基である化合物を例にとれば、下記スキーム2により合成できる。
エタノール(EtOH)中、4−N,N’−ジプロピルアミノ−ベンズアルデヒドとN−メチル−ピロール−2−アミンとを加熱攪拌して反応させ、反応液をろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄し、メタノール/エタノールで再結晶すれば、目的物のアゾメチン部位を有する化合物を得ることができる(下記スキーム2参照)。加熱攪拌の際の温度は、好ましくは0℃以上100℃以下の範囲内、より好ましくは30℃以上70℃以下の範囲内、さらに好ましくは、40℃以上60℃以下の範囲内である。
Figure 2021070675
また、たとえば、一般式(1)において、ZがNであり、ZがCHであり、Aが4−ヘキシルオキシフェニル基であり、BがN−メチル−2−ピロリル基である化合物を例にとれば、下記スキーム3により合成できる。また、たとえば、当該化合物のZとZを入れ替えた化合物についても、上記スキーム2及び下記スキーム3を参照して適宜合成できる。
エタノール(EtOH)中、4−(ヘキシルオキシ)アニリンとN−メチル−ピロール−2−カルボキシアルデヒドとを加熱攪拌して反応させ、反応液をろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄し、メタノール/エタノールで再結晶すれば、目的物であるアゾメチン部位を有する化合物を得ることができる(下記スキーム3参照)。加熱攪拌の際の温度は、好ましくは0℃以上100℃以下の範囲内、より好ましくは30℃以上70℃以下の範囲内、さらに好ましくは、40℃以上60℃以下の範囲内である。
Figure 2021070675
上記以外のアゾメチン部位を有する化合物についても、上記スキーム1〜3を参照し、適宜原料を変更することで同様の方法で合成することができる。
本発明のアゾメチン部位を有する化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
[トナーの構成]
本発明はまた、上記した光照射により流動化し、可逆的に非流動化する所定のアゾメチン部位を有する化合物を含む、トナーを提供する。前記アゾメチン部位を有する化合物をトナーに導入することで、光照射により定着可能且つ色再現性の高いトナーを得ることができる。なお、トナーとは、トナー母体粒子またはトナー粒子の集合体をいう。トナー粒子とは、トナー母体粒子に外添剤を添加したものであることが好ましいが、トナー母体粒子をそのままトナー粒子として用いることもできる。なお、本発明において、トナー母体粒子、トナー粒子およびトナーを特に区別する必要がない場合、単に「トナー」ともいう。
<結着樹脂>
上記のように、本発明のトナーは、所定のアゾメチン部位を有する化合物に加え、さらに結着樹脂を含むことが好ましい。トナーの製造方法として後述の乳化凝集法を利用することにより、略均一な粒子径および形状を有するトナー粒子を作製できることが一般的に知られている。結着樹脂を用いずに、前記アゾメチン部位を有する化合物単独または他の添加剤である着色剤や離型剤を加えるだけでもトナーの製造は可能である。前記アゾメチン部位を有する化合物と結着樹脂とを併用することにより、乳化凝集法における塩析を用いて略均一な粒子径および形状を有するトナー粒子の作製を行うことができる。よって、前記アゾメチン部位を有する化合物および結着樹脂を含むトナーは、電子写真用トナーにより容易に適用することができる。
このような結着樹脂は、一般にトナーを構成する結着樹脂として用いられている樹脂を制限なく用いることができる。具体的には、たとえば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、アミド樹脂、およびエポキシ樹脂などが挙げられる。これら結着樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
これらの中でも、溶融すると低粘度になり、かつ高いシャープメルト性を有するという観点から、結着樹脂は、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、スチレンアクリル樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
以下では、好ましい結着樹脂であるスチレンアクリル樹脂およびポリエステル樹脂について説明する。
(スチレンアクリル樹脂)
本発明でいうスチレンアクリル樹脂とは、少なくともスチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを用いて、重合を行うことにより形成されるものである。ここで、スチレン単量体とは、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものも含まれる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、エステル結合を有する官能基を側鎖に有するものである。具体的には、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル単量体の他、CH=C(CH)COOR(Rはアルキル基)で表されるメタクリル酸エステル単量体などのビニル系エステル化合物が含まれる。
以下に、スチレンアクリル樹脂を形成することが可能なスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例を示すが、以下に示すものに限定されるものではない。
スチレン単量体としては、たとえば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体は、以下に示すアクリル酸エステル単量体およびメタクリル酸エステル単量体が代表的なもので、アクリル酸エステル単量体としては、たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェニルアクリレートフェニルなどが挙げられる。メタクリル酸エステル単量体としては、たとえば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
これらのスチレン単量体、アクリル酸エステル単量体、またはメタクリル酸エステル単量体は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。
また、スチレンアクリル共重合体には、上述したスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体のみで形成された共重合体の他に、これらスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体に加えて、一般のビニル単量体を併用して形成されるものもある。以下に、本発明でいうスチレンアクリル共重合体を形成する際に併用可能なビニル単量体を例示するが、併用可能なビニル単量体は以下に示すものに限定されるものではない。
(1)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(2)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(3)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(4)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(5)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(6)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
また、多官能性ビニル単量体を使用して、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。さらに、側鎖にイオン性解離基を有するビニル単量体を使用することも可能である。イオン性解離基の具体例としては、たとえば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。以下に、これらイオン性解離基を有するビニル単量体の具体例を示す。
カルボキシル基を有するビニル単量体の具体例としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。
スチレンアクリル樹脂の形成方法は、特に制限されず、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。必要に応じてたとえば、n−オクチルメルカプタンなどの公知の連鎖移動剤を使用してもよい。
本発明に使用されるスチレンアクリル樹脂を形成する場合、スチレン単量体およびアクリル酸エステル単量体の含有量は特に限定されるものではなく、結着樹脂の軟化温度やガラス転移温度を制御する観点から適宜調整することが可能である。具体的には、スチレン単量体の含有量は、単量体全体に対し40〜95質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。また、アクリル酸エステル単量体の含有量は、単量体全体に対し5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
スチレンアクリル樹脂の形成方法は、特に制限されず、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。
アゾ系またはジアゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
過酸化物系重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンなどが挙げられる。
また、乳化重合法でスチレンアクリル樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素などが挙げられる。
重合温度は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、50〜100℃であることが好ましく、55〜90℃であることがより好ましい。また、重合時間は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、たとえば2〜12時間であることが好ましい。
乳化重合法により形成されるスチレンアクリル樹脂粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成とすることもできる。この場合の製造方法としては、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する多段重合法を採用することができる。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸成分)と、2価以上のアルコール(多価アルコール成分)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂である。なお、ポリエステル樹脂は、非晶性であってもよいし結晶性であってもよい。
多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の価数としては、好ましくはそれぞれ2〜3であり、特に好ましくはそれぞれ2であるため、特に好ましい形態として価数がそれぞれ2である場合(すなわち、ジカルボン酸成分、ジオール成分)について説明する。
ジカルボン酸成分としては、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;メチレンコハク酸、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸、ドデセニルコハク酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−フェニレン二酢酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸などの不飽和芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。ジカルボン酸成分は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
その他、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸、および上記のカルボン酸化合物の無水物、あるいは炭素数1〜3のアルキルエステルなども用いることができる。
ジオール成分としては、たとえば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの飽和脂肪族ジオール;2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−ブチン−1,4−ジオール、9−オクタデセン−7,12−ジオールなどの不飽和脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、およびこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などの芳香族ジオールが挙げられ、また、これらの誘導体を用いることもできる。ジオール成分は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
ポリエステル樹脂の製造方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸成分および多価アルコール成分を重縮合する(エステル化する)ことによりを製造することができる。
ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウムなどの金属の化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;およびアミン化合物などが挙げられる。具体的には、スズ化合物としては、酸化ジブチルスズ(ジブチル錫オキサイド)、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、これらの塩などを挙げることができる。チタン化合物としては、テトラノルマルブチルチタネート(Ti(O−n−Bu))、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド;ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;チタンテトラアセチルアセトナート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどなどのチタンキレートなどを挙げることができる。ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウムなどを挙げることができる。さらにアルミニウム化合物としては、ポリ水酸化アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、トリブチルアルミネートなどを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合温度は特に限定されるものではないが、70〜250℃であることが好ましい。また、重合時間も特に限定されるものではないが、0.5〜10時間であることが好ましい。重合中には、必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
本発明のトナーが結着樹脂を含む場合、前記アゾメチン部位を有する化合物の含有量は、化合物種や樹脂種によるが、定着性と色再現性の観点から、前記アゾメチン部位を有する化合物:結着樹脂=5:95〜95:5(質量比)の範囲であることが好ましく、10:90〜90:10(質量比)の範囲が好ましく、10:90〜80:20(質量比)の範囲がより好ましく、10:90〜70:30(質量比)の範囲がさらに好ましい。この範囲であれば、前記アゾメチン部位を有する化合物の光相転移が生じやすく、トナーの光照射による軟化速度が十分なものとなる。なお、2種類以上のアゾメチン部位を有する化合物を用いる場合はその合計量が上記範囲となることが好ましい。2種類以上の結着樹脂を用いる場合はその合計量が上記範囲となることが好ましい。
なお、前記アゾメチン部位を有する化合物および結着樹脂を含むトナーは、単層構造であってもよいしコアシェル構造であってもよい。コアシェル構造のコア粒子およびシェル部に用いられる結着樹脂の種類は、特に制限されない。
<着色剤>
本発明のトナーは、さらに着色剤を含むことが好ましい。上記の所定のアゾメチン部位を有する化合物は著しい着色がなく、異性化に伴い流動化および可逆的な非流動化現象を誘起することができると考えられる。そのため、前記アゾメチン部位を有する化合物と共に所望の着色剤をトナーに導入することで、光照射により定着可能となり、且つ加えた着色剤の色再現性の高いトナーを得ることができる。着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラックなどが挙げられ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。また、磁性体としてはフェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
イエローのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162などの染料;C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などの顔料が挙げられる。
マゼンタのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122などの染料;C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などの顔料が挙げられる。
シアンのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などの染料;C.I.ピグメントブルー1、同7、同15、同15:3、同60、同62、同66、同76などの顔料が挙げられる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有割合は、トナー母体粒子中0.5〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。
<離型剤>
本発明に係るトナーは、さらに離型剤を含むことが好ましい。上記の所定のアゾメチン部位を有する化合物と共に離型剤をトナーに導入することで、より定着性に優れたトナーを得ることができる。
使用される離型剤は、特に限定されるものではなく、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、または酸化型の低分子量ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、パラフィン、合成エステルワックスなどが挙げられ、特に、低融点および低粘度であることから、合成エステルワックスを用いることが好ましく、合成エステルワックスとしてベヘン酸ベヘニル、グリセリントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネートなどを用いることが特に好ましい。
離型剤の含有割合は、トナー母体粒子中1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、3〜15質量%の範囲内であることがより好ましい。
<荷電制御剤>
本発明に係るトナーは、さらに荷電制御剤を含有してもよい。使用される荷電制御剤は、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ無色のものであれば特に限定されず、公知の種々の正帯電性の荷電制御剤および負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有割合は、トナー母体粒子中0.01〜30質量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。
<外添剤>
トナーの流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するために、トナー母体粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤を添加して本発明のトナーを構成してもよい。
外添剤としては、たとえば、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子などの無機酸化物粒子、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子などの無機ステアリン酸化合物粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸亜鉛粒子などの無機チタン酸化合物粒子などの無機粒子が挙げられる。必要に応じてこれらの無機粒子は疎水化処理されていてもよい。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
これらの中でも、外添剤としては、例えば、ゾルゲルシリカ粒子や、表面を疎水化処理したシリカ粒子(疎水性シリカ粒子)または酸化チタン粒子(疎水性酸化チタン粒子)が好ましく、これらのうち少なくとも2種以上の外添剤を使用することがより好ましい。
外添剤の数平均一次粒子径は、1〜200nmの範囲内であることが好ましく、10〜180nmであることがより好ましい。
これら外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量%に対して、0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。
<トナーの平均粒径>
トナーの平均粒径は、体積基準のメジアン径(D50)で4〜10μmであることが好ましく、6〜9μmであることがより好ましい。体積基準のメジアン径(D50)が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなりハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
本発明において、トナーの体積基準のメジアン径(D50)は、「コールターカウンター3」(ベックマン・コールター株式会社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター株式会社製)を接続した測定装置を用いて測定、算出されるものである。
具体的には、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、たとえば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター株式会社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。
ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径(D50)とされる。
[トナーの製造方法]
本発明のトナーの製造方法は特に制限されない。たとえば、前記アゾメチン部位を有する化合物のみでトナーとする場合は、上記の合成方法で得られた結着樹脂以外の添加剤を、ハンマーミル、フェザーミル、カウンタージェットミルなどの装置を用いて粉砕した後、スピンエアーシーブ、クラッシール、マイクロンクラッシファイアーなどの乾式分級機を用いて所望の粒径になるように分級することを含む製造方法が好ましい。
前記アゾメチン部位を有する化合物および着色剤等の添加剤を含み、結着樹脂を含まないトナーを製造する場合は、アゾメチン部位を有する化合物および着色剤等の添加剤がともに溶解する溶媒を用いて、アゾメチン部位を有する化合物および着色剤等の添加剤を溶解させ溶液とした後、脱溶媒し、その後、上記した方法と同様の方法で、粉砕、分級することを含む製造方法が好ましい。
前記アゾメチン部位を有する化合物、結着樹脂および着色剤等の添加剤を含むトナーを製造する場合は、粒子径および形状の制御が容易な乳化凝集法を利用した製造方法であることが好ましい。
かような製造方法は、
(1A)結着樹脂粒子の分散液を調製する結着樹脂粒子分散液調製工程
(1B)着色剤粒子の分散液を調製する着色剤粒子分散液調製工程
(1C)アゾメチン部位を有する化合物粒子の分散液を調製するアゾメチン部位を有する化合物粒子分散液調製工程
(2)結着樹脂粒子、着色剤粒子およびアゾメチン部位を有する化合物粒子が存在している水系媒体中に、凝集剤を添加し、塩析を進行させると同時に凝集、融着を行い、会合粒子を形成する会合工程
(3)会合粒子の形状制御をすることによりトナー母体粒子を形成する熟成工程
(4)水系媒体からトナー母体粒子を濾別し、当該トナー母体粒子から界面活性剤等を除去する濾過、洗浄工程
(5)洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程
(6)乾燥処理されたトナー母体粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
の各工程を含むことが好ましい。以下、(1A)〜(1C)の工程について説明する。
(1A)結着樹脂粒子分散液調製工程
本工程では、従来公知の乳化重合などにより樹脂粒子を形成し、この樹脂粒子を凝集、融着させて結着樹脂粒子を形成する。一例として、結着樹脂を構成する重合性単量体を水系媒体中へ投入、分散させ、重合開始剤によりこれら重合性単量体を重合させることにより、結着樹脂粒子の分散液を作製する。
また、結着樹脂粒子分散液を得る方法として、上記の水系媒体中で重合開始剤により重合性単量体を重合させる方法の他に、たとえば、溶媒を用いることなく、水性媒体中において分散処理を行う方法、あるいは結着樹脂(結晶性樹脂等)を酢酸エチルなどの溶媒に溶解させて溶液とし、分散機を用いて当該溶液を水性媒体中に乳化分散させた後、脱溶媒処理を行う方法などが挙げられる。
この際、必要に応じ、結着樹脂には離型剤(ワックス)を予め含有させておいてもよい。また、分散のために、適宜公知の界面活性剤(たとえば、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸などのアニオン系界面活性剤)の存在下で重合させることも好ましい。なお、結着樹脂粒子分散液とは別に離型剤粒子分散液を、着色剤粒子分散液調製工程と同様にして調製し、上記(2)の会合工程の水系媒体中に存在させるようにしてもよい。
分散液中の結着樹脂粒子の体積基準のメジアン径は、50〜300nmが好ましい。分散液中の結着樹脂粒子の体積基準のメジアン径は、「マイクロトラックUPA−150」(日機装株式会社製)を用いて動的光散乱法によって測定することができる。
(1B)着色剤粒子分散液調製工程
この着色剤粒子分散液調製工程は、着色剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて着色剤粒子の分散液を調製する工程である。
着色剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができる。分散液中の着色剤粒子の個数基準のメジアン径は、10〜300nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。着色剤粒子の個数基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定することができる。
(1C)アゾメチン部位を有する化合物粒子分散液調製工程
この工程は、アゾメチン部位を有する化合物を水系媒体中に微粒子状に分散させてアゾメチン部位を有する化合物粒子の分散液を調製する工程である。アゾメチン部位を有する化合物粒子分散液を調製するにあたり、まず、アゾメチン部位を有する化合物の乳化液を調製する。アゾメチン部位を有する化合物の乳化液の調製方法としては、たとえば、有機溶媒にアゾメチン部位を有する化合物を溶解させたアゾメチン部位を有する化合物液を得た後、該アゾメチン部位を有する化合物液を水系媒体中で乳化させる方法が挙げられる。
アゾメチン部位を有する化合物を有機溶媒に溶解する方法は、特に制限されず、たとえば、アゾメチン部位を有する化合物を有機溶媒に添加して、アゾメチン部位を有する化合物が溶解するように攪拌混合する方法がある。アゾメチン部位を有する化合物の添加割合は、有機溶媒100質量部に対して、好ましくは5質量部以上100質量部以下、より好ましくは10質量部以上50質量部以下である。
次に、アゾメチン部位を有する化合物液と水系媒体とを混合し、ホモジナイザーなどの公知の分散機を用いて攪拌する。これにより、アゾメチン部位を有する化合物が液滴となって、水系媒体中に乳化され、アゾメチン部位を有する化合物の乳化液が調製される。
アゾメチン部位を有する化合物液の添加割合は、水系媒体100質量部に対して、好ましくは10質量部以上110質量部以下である。
また、アゾメチン部位を有する化合物液と水系媒体との混合時における、アゾメチン部位を有する化合物液および水系媒体のそれぞれの温度は、有機溶媒の沸点未満となる温度範囲であって、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは30℃以上75℃以下である。アゾメチン部位を有する化合物液と水系媒体との混合時における、アゾメチン部位を有する化合物液の温度と水系媒体の温度とは、互いに同一であっても異なっていてもよく、好ましくは互いに同一である。
分散機の攪拌条件は、たとえば、容量が1〜3Lの場合、その回転数が7000rpm以上20000rpm以下であることが好ましく、また、その攪拌時間が10分以上30分以下であることが好ましい。
アゾメチン部位を有する化合物粒子分散液は、アゾメチン部位を有する化合物の乳化液から有機溶媒を除去することにより調製される。アゾメチン部位を有する化合物の乳化液から有機溶媒を除去する方法としては、たとえば、送風、加熱、減圧、またはこれらの併用など、公知の方法が挙げられる。
一例として、アゾメチン部位を有する化合物の乳化液は、たとえば、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、好ましくは25℃以上90℃以下、より好ましくは30℃以上80℃以下で、初期の有機溶媒量の80質量%以上95質量%以下程度が除去されるまで加熱されることにより、有機溶媒が除去される。これにより、水系媒体から有機溶媒が除去されて、アゾメチン部位を有する化合物粒子が水系媒体中に分散されたアゾメチン部位を有する化合物粒子分散液が調製される。
アゾメチン部位を有する化合物粒子分散液中のアゾメチン部位を有する化合物粒子の質量平均粒径は、90nm以上1200nm以下が好ましい。アゾメチン部位を有する化合物粒子の質量平均粒径は、アゾメチン部位を有する化合物を有機溶媒に配合したときの粘度、アゾメチン部位を有する化合物液と水との配合割合、アゾメチン部位を有する化合物の乳化液を調製するときの分散機の攪拌速度などを適宜調節することにより、上記範囲内に設定することができる。アゾメチン部位を有する化合物粒子分散液中のアゾメチン部位を有する化合物粒子の質量平均粒径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定することができる。
<有機溶媒>
本工程で用いられる有機溶媒は、本発明のアゾメチン部位を有する化合物を溶解させることができれば特に制限されず使用することができる。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ヘキサン、ヘプタンなどの飽和炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。
このような有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。これら有機溶媒の中でも、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類が好ましく、メチルエチルケトン、ジクロロメタンがより好ましい。
<水系媒体>
本工程で用いられる水系媒体は、水、または水を主成分として、アルコール類、グリコール類などの水溶性溶媒や、界面活性剤、分散剤などの任意成分が配合されている水系媒体などが挙げられる。水系媒体は、好ましくは水と界面活性剤とを混合したものが用いられる。
界面活性剤としては、たとえば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、たとえば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、たとえば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウムなどの脂肪酸石けん、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖などが挙げられる。
このような界面活性剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。界面活性剤の中では、好ましくはアニオン性界面活性剤、より好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが使用される。
界面活性剤の添加量は、水系媒体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.04質量部以上1質量部以下である。
(2)会合工程から(6)外添剤添加工程までの工程については、従来公知の種々の方法に従って行うことができる。
なお、(2)会合工程において使用される凝集剤は、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、たとえばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩等の一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
[現像剤]
本発明のトナーは、たとえば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
上記磁性体としては、たとえばマグネタイト、γ−ヘマタイト、または各種フェライトなどを使用することができる。
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、鋼、ニッケル、コバルト、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。
キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体粉末を分散してなるいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることが好ましい。被覆用の樹脂としては、特に限定はないが、たとえば、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂またはフッ素樹脂などが用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、たとえば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂など使用することができる。
キャリアの体積基準のメジアン径は、20〜100μmであることが好ましく、25〜80μmであることがより好ましい。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパテック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
トナーのキャリアに対する混合量は、トナーとキャリアとの合計質量を100質量%として、2〜10質量%であることが好ましい。
[画像形成方法]
本発明のトナーは、電子写真方式の公知の種々の画像形成方法において用いることができる。たとえば、モノクロの画像形成方法やフルカラーの画像形成方法に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、1つの感光体とにより構成される4サイクル方式の画像形成方法や、各色に係るカラー現像装置および感光体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成方法など、いずれの画像形成方法にも適用することができる。本発明の一実施形態による画像形成方法では、前記アゾメチン部位を有する化合物を含むトナーからなるトナー像を記録媒体上に形成する工程と、前記トナー像に光を照射して、前記トナー像を軟化させる工程とを含むことが好ましい。またトナー中のアゾメチン部位を有する化合物を十分に流動化させ、トナー像を素早く軟化させる観点から、前記トナー像に光を照射する際の光の波長は、280nm以上480nm以下であることが好ましい。またより良い定着性を得るという観点から、前記トナー像を加圧する工程をさらに含むのが好ましい。さらに、より良い定着性を得るという観点から、前記加圧する工程では、前記トナー像をさらに加熱することが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態による画像形成方法で用いられる画像形成装置100を示す概略構成図である。ただし、本発明に用いられる画像形成装置としては、下記の形態および図示例に限定されるものではない。図1には、モノクロの画像形成装置100の例を示すが、カラーの画像形成装置にも本発明を適用することができる。
画像形成装置100は、記録媒体としての記録用紙Sに画像を形成する装置であって、画像読取装置71および自動原稿送り装置72を備え、用紙搬送系7により搬送される記録用紙Sに対し画像形成部10、照射部40、および圧着部9により画像形成を行う。
また、記録媒体として、画像形成装置100では記録用紙Sを用いているが、画像形成を行う対象とされる媒体は、用紙以外でもよい。
自動原稿送り装置72の原稿台上に載置された原稿dは、画像読取装置71の走査露光装置の光学系により走査露光されてイメージセンサーCCDに読み込まれる。イメージセンサーCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部20において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、画像形成部10の露光器3に入力される。
用紙搬送系7は、複数のトレイ16、複数の給紙部11、搬送ローラー12、搬送ベルト13等を備えている。トレイ16は、決められたサイズの記録用紙Sをそれぞれ収容しており、制御部90からの指示に応じて定められたトレイ16の給紙部11を作動させ、記録用紙Sを供給する。搬送ローラー12は、給紙部11によってトレイ16から送り出された記録用紙Sまたは手差し給紙部15から搬入された記録用紙Sを画像形成部10へ搬送する。
画像形成部10は、感光体1の周りに、感光体1の回転方向に沿って、帯電器2、露光器3、現像部4、転写部5、除電部(図示せず)およびクリーニング部8がこの順番に配置されて構成されている。
像担持体である感光体1は、表面に光導電層の形成された像担持体であり、図示しない駆動装置により図1中の矢印方向に回転可能に構成されている。感光体1の近傍には、画像形成装置100内の温度や湿度を検知する温湿度計17が設けられている。
帯電器2は、感光体1の表面に均一に電荷を与え、感光体1の表面を一様に帯電させる。露光器3は、レーザーダイオード等のビーム発光源を備え、帯電された感光体1の表面にビーム光を照射することで照射部分の電荷を消失させ、感光体1上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像部4は、内部に収容されるトナーを感光体1に供給して、感光体1表面上に静電潜像に基づくトナー像を作像する。
転写部5は、記録用紙Sを介して感光体1と対向し、トナー像を記録用紙Sに転写する。除電部は、トナー像を転写した後の感光体1上の除電を行う。クリーニング部8は、ブレード85を備える。ブレード85により、感光体1表面をクリーニングして感光体1の表面に残留した現像剤を除去する。
トナー像が転写された記録用紙Sは、搬送ベルト13により圧着部9へ搬送される。圧着部9は、任意に設置されるものであり、トナー像が転写された記録用紙Sに対し、加圧部材91および92によって圧力のみまたは熱および圧力を加えて定着処理を施し、これにより記録用紙S上に画像を定着させる。画像が定着された記録用紙Sは、搬送ローラーによって排紙部14に搬送され、排紙部14から機外へ排出される。
また、画像形成装置100は用紙反転部24を備えており、加熱定着処理がなされた記録用紙Sを排紙部14の手前で用紙反転部24に搬送し、表裏を反転して排出するか、または表裏を反転した記録用紙Sを再度画像形成部10に搬送し記録用紙Sの両面に画像形成を行うことを可能としている。
<照射部>
図2は、画像形成装置100における照射部40の概略構成図である。
本発明の一実施形態による画像形成装置100は、照射部40を備える。照射部40を構成する装置の例としては、発光ダイオード(LED)、レーザー光源などが挙げられる。
照射部40は、現像剤のトナーに含まれる光吸収により相転移する化合物(本発明のアゾメチン部位を有する化合物)を溶融、流動化させるものである。照射する光の波長は、十分に流動化させうる程度であればよく、好ましくは280nm以上480nm以下の範囲、より好ましくは300nm以上420nm以下の範囲内、さらに好ましくは330nm以上420nm以下の範囲内の波長を有する光を照射する。照射部40における光の照射量も、十分に流動化させうる程度であればよく、好ましくは0.1〜200J/cmの範囲内、より好ましくは0.1〜100J/cmの範囲内、さらに好ましくは0.1〜50J/cmの範囲内である。
アゾメチン部位を有する化合物を非流動化させる際は、そのまま室温(25±15℃の範囲)で放置することで非流動化させればよい。
すなわち、本発明の一実施形態による画像形成方法は、記録媒体上に本発明のトナーからなるトナー像を形成する工程と、前記トナー像に対して、280nm以上480nm以下の波長を有する光を照射して前記トナー像を軟化させる工程と、軟化した前記トナー像に対して、室温(25±15℃の範囲)で放置することで、前記トナー像を固化させ記録媒体に定着させる工程と、を含む。なお、定着させる工程においては、軟化した前記トナー像を加圧する工程をさらに含むことが好ましい。前記加圧する工程では、軟化した前記トナー像をさらに加熱することが好ましい。加熱することで、より軟化させることができるからである。
前記加圧する工程でさらに加熱する際の加熱温度としては、好ましくは30℃以上100℃以下、より好ましくは40℃以上100℃以下である。
照射部40はトナー像を保持する記録用紙Sにおける感光体側の第1面に向かって光を照射するものであり、感光体1と転写部である転写ローラー5とにニップされた記録用紙S面に対して感光体側に配置されている。また、記録用紙Sの搬送方向(用紙搬送方向)に沿って、照射部40が配置されている。
照射部40は、感光体1と転写ローラー5とのニップ位置に対して、用紙搬送方向下流側、かつ圧着部9に対して用紙搬送方向上流側に配置されている。
本発明の一実施形態による画像形成方法によれば、帯電器2により感光体1に一様な電位を付与して帯電させた後、原画像データに基づいて露光器3により照射した光束で感光体1上を走査し、静電潜像を形成する。次に現像部4により光吸収により相転移する化合物(アゾメチン部位を有する化合物)を含むトナーを有する現像剤を感光体1上に供給する。
感光体1の表面に担持されたトナー像が、感光体1の回転によって転写部である転写ローラー5の位置に至るタイミングに合わせて、トレイ16から記録用紙Sを画像形成部10に搬送すると、転写ローラー5に印加される転写バイアスにより、感光体1上のトナー像が、転写ローラー5と感光体1とにニップされた記録用紙S上に転写される。
また、転写部材5は、加圧部材を兼ねており、感光体1から記録用紙Sにトナー像を転写させることができながら、トナー像に含まれるアゾメチン部位を有する化合物を確実に記録用紙Sに密着させることができる。
トナー像が記録用紙Sに転写された後に、クリーニング部8のブレード85は、感光体1表面に残留する現像剤を除去する。
トナー像が転写された記録用紙Sが搬送ベルト13により圧着部9に搬送される過程において、照射部40は、記録用紙S上に転写されたトナー像に対して、280nm以上480nm以下の波長を有する光を照射する。照射部40により記録用紙Sの第1面上のトナー像に向かって紫外光を照射することにより、トナー像をより確実に溶融させることができ、トナー像の記録用紙Sに対する定着性を向上させることができる。
トナー像が保持された記録用紙Sが、搬送ベルト13により圧着部9に至ると、加圧部材91および92が、トナー像を記録用紙Sの第1面に圧着する。圧着部9により定着処理が施される前に、トナー像が照射部40による紫外光照射により軟化するため、記録用紙Sに対する画像圧着の省エネルギー化を図ることができる。本発明の画像形成方法は、前記トナー像を固化させ記録媒体に定着させる工程において、室温(25±15℃の範囲)で放置しつつ、トナー像を加圧部材91、92により加圧する工程をさらに含むことが好ましい。加圧部材91、92により、圧力を加えることで、トナー像の記録用紙Sへの定着性がより向上する。
記録媒体上のトナー像を加圧する際の圧力は、特に限定されないが、0.01〜5.0MPaであることが好ましく、0.05〜1.0MPaであることがより好ましい。圧力を0.01MPa以上とすることで、トナー像の変形量を大きくしうるため、トナー像と記録用紙Sとの接触面積が増加し、画像の定着性をさらに高めやすい。また、圧力を5.0MPa以下とすることで、加圧時のショックノイズを抑制できる。
また、加圧する工程では、前記トナー像をさらに加熱することが好ましい。加圧部材91、92により圧力及び熱を加えることで、トナー像の記録用紙Sへの定着性がより一層向上する。具体的には、加圧部材91は、記録用紙Sが加圧部材91および92の間を通過する際に、光照射によって軟化したトナー像は、加熱によりさらに軟化された状態で加圧されることで、トナー像の記録用紙Sへの定着性がより一層向上する。
その後、記録用紙S上のトナー像を、自然環境下で(室温で放置して)固化する。詳しくは、加圧部材91および92の間を通過した記録用紙Sが、排紙部14に至るまで、自然環境下(室温で放置する状態)におくことで、記録用紙S上のトナー像をより確実に凝固させることができ、トナー像の記録用紙Sに対する定着性をより向上させることができる。
記録用紙Sの両面に画像を形成する場合、圧着処理がなされた記録用紙Sを排紙部14の手前で用紙反転部24に搬送し、表裏を反転して排出するか、または表裏を反転した記録用紙Sを再度画像形成部10に搬送する。
(光応答性接着剤)
本発明の化合物は光照射により流動化し、可逆的に非流動化するため、本発明の化合物を用いて繰り返しの利用が可能な光応答性接着剤(感光性接着剤)を作製することができる。例えば、粘度(摩擦係数)の変化に対応して、繰り返しの光脱着可能な光応答性接着剤として各種の接着技術に応用することが可能である。すなわち、本発明の一実施形態は、本発明の化合物を用いた光応答性接着剤である。
本発明の光応答性接着剤は、繰り返しの利用が可能な仮止めに使えるほか、リサイクル利用にも適しているが、これらに何ら制限されるものではない。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
化合物1〜59、および比較例1の化合物を合成し、その活性化エネルギーを計算した。化合物1〜11、13〜59、比較例1に用いるアゾメチン部位を有する化合物は、以下の化合物12の合成と同様の方法で合成した。化合物12の合成法を代表で示す。
[アゾメチン部位を有する化合物の合成]
<化合物12の合成>
Figure 2021070675
冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mlの4頭フラスコに、4−ヘキシルオキシベンゼンアミン(4−ヘキシルオキシアニリン)(7.7mmol)と5−メチルチオフェン−2−カルボキシアルデヒド(7.7mmol)とエタノール20mlを投入し、加熱攪拌した。反応液を吸引ろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄した。さらに、メタノール/エタノールで再結晶を行い、目的物である化合物12を収率42%で得た。
H NMRで化合物12の生成を確認した。H NMR(400MHz、CDCl);8.35ppm(s,1H,CH=N)、7.39ppm(d,2H,aryl)、7.08ppm(d,1H,thiophen)、6,96ppm(d,2H,aryl)、6.67ppm(d,2H,thiophen)、4.11ppm(t,2H,methylene)、2.44ppm(s,3H,methyl)、1.80ppm(m,2H,methylene)、1.47ppm(m,2H,methylene),1.37ppm(m,4H,methylene)、0.89ppm(t,3H,methyl)。
他の化合物もそれぞれ対応する原料を用い、同様の方法で合成を行って、化合物1〜59、比較例1のアゾメチン部位を有する化合物を得た。また、同様にH NMRで目的の化合物の生成を確認した。
<比較例2:アゾベンゼン化合物の合成>
特開2014−191078号公報の段落「0217」〜「0224」に記載の「(1−1−1)UV軟化材料Aの合成」と同様の方法で、下記化学式(2)で表される化合物(アゾベンゼン化合物)を得た。上記のアゾメチン部位を有する化合物と同様に、H NMRにて化合物の生成を確認し、目的の化合物が得られていることがわかった。
Figure 2021070675
[理論計算]
各実施例の化合物1〜59、および比較例1の化合物の最安定な分子構造(シス体の分子構造)とシス体の全エネルギーおよび遷移状態の分子構造と遷移状態の全エネルギーの算出には、米国Gaussian社製のGaussian16 (Revision B.01, M. J. Frisch, G. W. Trucks, H. B. Schlegel, G. E. Scuseria, M. A. Robb, J. R. Cheeseman, G. Scalmani, V. Barone, G. A. Petersson, H. Nakatsuji, X. Li, M. Caricato, A. V. Marenich, J. Bloino, B. G. Janesko, R. Gomperts, B. Mennucci, H. P. Hratchian, J. V. Ortiz, A. F. Izmaylov, J. L. Sonnenberg, D. Williams-Young, F. Ding, F. Lipparini, F. Egidi, J. Goings, B. Peng, A. Petrone, T. Henderson, D. Ranasinghe, V. G. Zakrzewski, J. Gao, N. Rega, G. Zheng, W. Liang, M. Hada, M. Ehara, K. Toyota, R. Fukuda, J. Hasegawa, M. Ishida, T. Nakajima, Y. Honda, O. Kitao, H. Nakai, T. Vreven, K. Throssell, J. A. Montgomery, Jr., J. E. Peralta, F. Ogliaro, M. J. Bearpark, J. J. Heyd, E. N. Brothers, K. N. Kudin, V. N. Staroverov, T. A. Keith, R. Kobayashi, J. Normand, K. Raghavachari, A. P. Rendell, J. C. Burant, S. S. Iyengar, J. Tomasi, M. Cossi, J. M. Millam, M. Klene, C. Adamo, R. Cammi, J. W. Ochterski, R. L. Martin, K. Morokuma, O. Farkas, J. B. Foresman, and D. J. Fox, Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2016.)ソフトウェアを用いて行った。計算手法として密度汎関数法(B3LYP/6−31G(d))を用いた。得られた計算値から、上記式(1)に従って活性化エネルギーEaの値を求めた。
シス体の分子構造としては、上記一般式(3)で表される異性体の最安定な分子構造、すなわち最も全エネルギーの低い分子構造を算出し、この全エネルギーをシス体の全エネルギーとした。遷移状態の分子構造としては、一般式(2)で表される遷移状態について、対応する分子構造の鞍点を算出し、このとき得られた全エネルギーを遷移状態の全エネルギーとした。このようにして得られた計算値から、上記式(1)に従って活性化エネルギーEaの値を求めた。
実施例の化合物1〜59、比較例1で得られた各化合物の構造および活性化エネルギーを下記表1に示す。
[光応答接着試験]
化合物1〜59および比較例1、2で合成した化合物の光照射に伴う接着性の変化を図3に示す装置を用いて、以下の光応答接着試験で評価した。図3に示すように、18mm角のカバーガラス1に化合物2mgをガラス中心から半径6mm内に載せ、同サイズのカバーガラス2を、カバーガラス1に対して平行方向に約4mmずらした位置で、化合物をすべて覆いかぶせるように被せた。これを加熱し、試料を溶融させ、カバーガラス1とカバーガラス2とを接着させた。得られた各サンプルを下記の非流動性→流動性の試験に供し、その後、下記の流動性→非流動性の試験に供した。
<非流動性→流動性の試験(流動化試験)>
図3に示す(A)部分を台にセロハンテープで固定し、(C)部分には100gのおもりを装着した長さ30cmのビニール紐をセロハンテープで固定した。(B)部分に波長365nmの光を照射量30J/cmで照射し、カバーガラス2がカバーガラス1から剥がれるかを確認し、下記の評価基準に従って判定した。得られた結果を下記表2に示す。
−非流動性→流動性の試験(流動化試験)の評価基準−
〇:カバーガラス2がカバーガラス1から完全に剥がれた
△:カバーガラス2がずれた
×:カバーガラス2は動かなかった。
<流動性→非流動性の試験(非流動化試験)>
非流動性→流動性試験終了後、カバーガラス2が完全に剥がれた試料とずれた試料について以下の実験を行った。なお、ずれた試料については、手でカバーガラス1と2を剥がした。非流動性→流動性試験の光照射終了5分(5分は、自然環境下、即ち室温(25±15℃の範囲)で放置した)後に、上記試験で使用したカバーガラス1の試料部分((B)部分)を覆いかぶせるようにカバーガラス3(カバーガラス1、2と同サイズ)をのせ、カバーガラス1とカバーガラス3とが接着するかを確認し、下記の評価基準に従って判定した。得られた結果を表2に示す。
−流動性→非流動性の試験(非流動化試験)の評価基準−
〇:接着しなかった(非流動化していた)
△:一部接着した(一部、流動化状態が保たれていた)
×:接着した(流動化状態が保たれていた)。
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
Figure 2021070675
上記表2から明らかなように、実施例の化合物1〜59は、いずれも光照射により流動化し、可逆的に非流動化することがわかった。これに対して、シス体からトランス体への異性化反応における活性化エネルギーEaが60kJ/molを下回る比較例1の化合物では、光照射による流動化、非流動化は生じないことがわかった。また、比較例2におけるアゾベンゼン化合物では流動化の後の可逆的な非流動化が確認されなかった。
[トナーの作製]
[結着樹脂の作製]
(スチレンアクリル樹脂1を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液1の作製)
(第1段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温80℃とし、スチレン480質量部、n−ブチルアクリレート250質量部、メタクリル酸68.0質量部及びn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート16.0質量部よりなる重合性モノマー溶液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、攪拌することにより重合を行い、スチレンアクリル樹脂粒子(1a)を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1A)を調製した。
(第2段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、上記のスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1A)260質量部とスチレン245質量部、n−ブチルアクリレート120質量部、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート1.5質量部、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−11」(日本精蝋社製)67質量部を90℃にて溶解させた重合性モノマー溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CREARMIX」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱攪拌することにより重合を行い、スチレンアクリル樹脂粒子(1b)を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1B)を調製した。
(第3段重合)
上記のスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1B)に過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン435質量部、n−ブチルアクリレート130質量部、メタクリル酸33質量部及びn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート8質量部からなる重合性モノマー溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱攪拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却しスチレンアクリル樹脂1を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液1を得た。また、このスチレンアクリル樹脂1のガラス転移点Tgを測定したところ、45℃であった。
(ポリエステル樹脂1を含有するポリエステル樹脂粒子分散液1の作製)
窒素導入管、脱水管、攪拌器、および熱電対を備えた容量10リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 524質量部、テレフタル酸 105質量部、フマル酸 69質量部、およびオクチル酸スズ(エステル化触媒)2質量部を投入し、温度230℃で8時間の重縮合反応を行った。さらに、8kPaで1時間重縮合反応を継続後、160℃に冷却し、ポリエステル樹脂1を得た。ポリエステル樹脂1 100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(株式会社徳寿工作所製)で粉砕し、予め作製した0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液 638質量部と混合し、攪拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(株式会社日本精機製作所製)を用いて、V−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液1を得た。また、このポリエステル樹脂1のガラス転移点Tgを測定したところ、42℃であった。
[トナー1の作製]
(カーボンブラック分散液の調製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム 11.5質量部を純水160質量部に溶解し、カーボンブラック「モーガルL(キャボット社製)」20質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックス(登録商標)WモーションCLM−0.8(エム・テクニック株式会社製)」を用い、カーボンブラック分散液を調製した。
(アゾメチン部位を有する化合物粒子分散液1の調製)
ジクロロメタン80質量部と、化合物2 20質量部とを50℃で加熱しながら混合攪拌し、化合物2を含む液を得た。この液100質量部に、50℃に温めた蒸留水99.5質量部と、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5質量部との混合液を添加した。その後、シャフトジェネレーター18Fを備えるホモジナイザー(ハイドルフ社製)により16000rpmで20分間攪拌して乳化させ、アゾメチン部位を有する化合物の乳化液1を得た。
得られたアゾメチン部位を有する化合物の乳化液1をセパラブルフラスコへ投入し、窒素を気相中へ送気しながら40℃で90分間加熱攪拌して有機溶媒を除去して、アゾメチン部位を有する化合物粒子分散液1を得た。
(凝集、融着)
上記で作製したスチレンアクリル樹脂粒子分散液1を固形分換算で504質量部、アゾメチン部位を有する化合物粒子分散液1を固形分換算で216質量部、イオン交換水900質量部、およびカーボンブラック分散液を固形分換算で70質量部を、攪拌装置、温度センサー、および冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物 2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を攪拌下、10分間かけて滴下した後、昇温を開始し、この系を60分間かけて70℃まで昇温し、70℃を保持したま粒子成長反応を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター株式会社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメジアン径(D50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。70℃で1時間攪拌した後、さらに昇温を行い、75℃の状態で加熱攪拌することにより、粒子の融着を進行させた。その後、30℃まで冷却することにより、トナー母体粒子の分散液を得た。
上記で得られたトナー母体粒子の分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥して、トナー母体粒子を作製した。
得られたトナー母体粒子100質量%に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒径:12nm)1質量%、および疎水性チタニア(数平均一次粒径:20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(登録商標)を用いて混合することにより、トナー1を得た。
[トナー2〜51及び比較例1、2のトナーの作製]
トナー1の作製と同様にして、表1、3に記載の内容に適宜変更して、トナー2〜51及び比較例1、2のトナーを作製した。
具体的には、トナー2〜43については、化合物2を表1、3に記載の化合物に変更したことを除いては、トナー1と同様にトナー2〜43を作製した。
トナー44〜47については、トナー1の作製において、化合物2を化合物12に変更し、アゾメチン部位を有する化合物粒子分散液の添加量(固形分換算)とスチレンアクリル樹脂粒子分散液1の添加量(固形分換算)を下記表3に記載の化合物:結着樹脂の比率になるように調節した。
トナー48〜51については、トナー1の作製において、化合物2を化合物12に変更し、スチレンアクリル樹脂粒子分散液1を上記で作製したポリエステル樹脂粒子分散液1に変更し、さらに、アゾメチン部位を有する化合物粒子分散液の添加量(固形分換算)とポリエステル樹脂粒子分散液1の添加量(固形分換算)を下記表3に記載の化合物:結着樹脂の比率になるように調節した。
比較例1、2のトナーについては、上記のトナー1の作製において、化合物2をそれぞれ比較例1、2の化合物に変更した。
[現像剤の作製]
上記で作製した各実施例および比較例のトナーについて、シクロヘキサンメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体樹脂(モノマー質量比1:1)で被覆した体積平均粒径が30μmのフェライトキャリア粒子を、トナー粒子濃度が6質量%となるように混合し、現像剤1〜51を得た。混合は、V型混合機を用いて30分間行った。
[評価:定着性試験]
得られた現像剤を用いて、記録媒体として普通紙上にトナー画像を形成し、印刷物を得た。具体的には、一方現像剤、他方にグロスコート紙(坪量:128g/m)を設置した一対の平行平板(アルミ)電極間に、現像剤を磁力によって摺動させながら配置し、電極間ギャップが0.5mm、DCバイアスとACバイアスとはトナー付着量4g/mとなる条件でトナーを現像させ、普通紙の表面にトナー像を形成し、定着装置で定着させて、印刷物を得た。
定着装置は、図2に示す装置を適宜改変して構成された下記3種の装置を用いた。
定着装置No.1:図2の圧着部9がなく、照射部40から照射される紫外光の波長は365nmであり(光源:発光波長が365nm±10nmのLED光源)、照射量は8および12J/cmで実施した。また紫外光照射により軟化したトナーは、排紙部14(図1参照)に至るまで、自然環境下、即ち室温(20℃)で放置した状態で固化(化合物を非流動化)、定着させた。
定着装置No.2:図2の圧着部9があり、加圧部材91の温度が20℃であり、加圧時の圧力は0.2MPaである。照射部の光源及び照射量はNo.1と同様である。また紫外光照射により軟化したトナーは、加圧部材91による加圧により定着させ、その後、排紙部14(図1参照)に至るまで、室温(20℃)で放置した状態で固化(化合物を非流動化)させた。
定着装置No.3:図2の圧着部9があり、加圧部材91の温度が80℃である。照射部の光源及び照射量はNo.1と同様である。また、加圧部材91での加圧時の圧力は、No.2と同様である。また紫外光照射により軟化したトナーは、加圧部材91による加圧、加熱により、より軟化させて定着させた。その後、排紙部14(図1参照)に至るまで、室温(20℃)で放置した状態で固化(化合物を非流動化)させた。
このようにして得られた印刷物に荷重をかけるように折り機で折り、その後画像部に0.35MPaの圧縮空気を吹き付けた。折り目部分を、下記評価基準にしたがってランク評価し、ランク3以上を合格とした。
6:全く折れ目なし
5:ほんのわずかに折れ目に従った剥離あり
4:一部に折れ目に従った剥離あり
3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり
2:折れ目に従った太い線状の剥離あり
1:折れ目に従った大きな剥離あり。
[色再現性評価]
上記で得られた実施例および比較例の画像について色再現性を、10名のモニターによる目視評価により下記評価基準に従って評価した。具体的には、評価比較用サンプルとして、各実施例に記載のトナーに対し、光応答性化合物を除いたトナーを作製し、上記と同様に現像し、下記に示す定着装置No.4にて定着を行った。
定着No.4:
図2の圧着部9があり、加圧部材91の温度は150℃であり、加圧時の圧力は0.2MPaであり、光照射は実施しない。
10名のモニターに対して、前記評価比較用サンプルと実施例記載のサンプルを順番に見せ、2つの画像の色が明らかに異なるか質問した。下記色再現性の評価基準による判定結果を下記表3に示す。
−色再現性の評価基準−
◎:2名以下が明らかに異なると答えた
○:3〜4名が明らかに異なると答えた
△:5〜7名が明らかに異なると答えた
×:8名以上が明らかに異なると答えた。
各トナーの構成、定着装置の種類および評価結果を下記表3に示す。
Figure 2021070675
Figure 2021070675
表3中の「化合物」は、一般式(1)で表されるアゾメチン部位を有する化合物を指す。化合物の番号は、表1および表2中のアゾメチン部位を有する化合物の番号を指す。表3中の「化合物:結着樹脂(質量比)」は、トナー中の、アゾメチン部位を有する化合物:結着樹脂(質量比)を示す。ただし比較例2については「アゾベンゼン化合物:結着樹脂(質量比)」を示す。
上記表3から明らかなように、各実施例のトナー1〜51はいずれも、高い定着性と優れた色再現性とを示した。一方、活性化エネルギーが60kJ/molよりも低い化合物を用いた比較例1のトナーでは光照射による十分な定着性が得られない。また、アゾベンゼン化合物を用いた比較例2のトナーは、定着性はよいが、色再現性が低い。定着性試験で用いられた紫外線の光源および紫外線の照射条件は、各実施例および比較例を通して一定であることから、実施例のトナーは比較例のトナーに比べて、光照射により流動化し、可逆的に非流動化し、かつ著しい着色のないアゾメチン部位を有する化合物による効果が十分に発現されたものといえる。
定着装置の比較をすると、同じトナー5を用い、同じ条件で紫外線照射し、加圧部材を用いないNo.1の定着装置よりも、加圧部材で加圧したNo.2の定着装置、および加圧部材で加熱しつつ加圧したNo.3の定着装置を用いた方が、より高い定着性が得られることがわかった。
1 感光体、
2 帯電器、
3 露光器、
4 現像部、
5 転写部(転写ローラー)、
7 用紙搬送系、
8 クリーニング部、
9 圧着部、
10 画像形成部、
11 給紙部、
12 搬送ローラー、
13 搬送ベルト、
14 排紙部、
15 手差し給紙部、
16 トレイ、
17 温湿度計、
20 画像処理部、
24 用紙反転部、
40 照射部、
71 画像読取装置、
72 自動原稿送り装置、
85 ブレード、
90 制御部、
91、92 加圧部材、
100 画像形成装置、
d 原稿、
S 記録用紙。

Claims (24)

  1. 光照射により流動化し、可逆的に非流動化する下記一般式(1)で表される光応答性化合物であって、
    Figure 2021070675

    一般式(1)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、NまたはCHであり、かつZ≠Zであり、
    AおよびBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の芳香族複素環基であり、
    下記式(1)で表される活性化エネルギーEaが60kJ/mol以上であることを特徴とする、化合物:
    式(1):Ea(kJ/mol)=(TSの全エネルギー(kJ/mol))−(シス体の全エネルギー(kJ/mol))
    上記式(1)中、TSは、一般式(2)で表される遷移状態を指し、シス体は一般式(3)で表される異性体を指す。
    Figure 2021070675
  2. 前記一般式(1)において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基または置換もしくは非置換の芳香族複素環基である、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記一般式(1)において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換または非置換のフェニル基であり、AおよびBの少なくとも一方は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、および炭素数2〜10のジアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基を有する、請求項2に記載の化合物。
  4. AおよびBの少なくとも一方は、前記ZまたはZに対するパラ位に前記置換基を有する、請求項3に記載の化合物。
  5. AおよびBの双方に前記置換基を有する、請求項4に記載の化合物。
  6. AおよびBの少なくとも一方は、前記ZまたはZに対する2つのオルト位および2つのメタ位が置換されていないか、または炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基およびハロゲン原子から選択される基で置換されたフェニル基である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. AおよびBの少なくとも一方が、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、および炭素数2〜10のジアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたフェニル基であり、
    他方が、置換もしくは非置換の芳香族複素環基である、請求項2に記載の化合物。
  8. 前記ZまたはZに対するパラ位に前記置換基を有する、請求項7に記載の化合物。
  9. 前記芳香族複素環基が非置換であるか、または、
    前記芳香族複素環基が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、炭素数2〜19のアシル基もしくは炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基で置換される、請求項8に記載の化合物。
  10. AおよびBの少なくとも一方が、置換もしくは非置換のフェニル基であり、
    他方が、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、および炭素数2〜10のジアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基で置換された芳香族複素環基である、請求項2または3に記載の化合物。
  11. 前記フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、または炭素数2〜10のジアルキルアミノ基で置換されたフェニル基である、請求項10に記載の化合物。
  12. 前記一般式(1)において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族複素環基であり、AおよびBの少なくとも一方は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、および炭素数2〜10のジアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基を有する、請求項2に記載の化合物。
  13. AおよびBの一方が、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、および炭素数2〜10のジアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基を有する芳香族複素環基であり、
    他方が、非置換であるか、または、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、炭素数2〜19のアシル基もしくは炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基で置換された芳香族複素環基である、請求項12に記載の化合物。
  14. 前記光の波長は、280nm以上480nm以下である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を用いたトナー。
  16. さらに結着樹脂を含む、請求項15に記載のトナー。
  17. 前記結着樹脂は、スチレンアクリル樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項15または16に記載のトナー。
  18. さらに着色剤を含む、請求項15〜17のいずれか1項に記載のトナー。
  19. さらに離型剤を含む、請求項15〜18のいずれか1項に記載のトナー。
  20. 請求項15〜19のいずれか1項に記載のトナーからなるトナー像を記録媒体上に形成する工程と、前記トナー像に光を照射して、前記トナー像を軟化させる工程とを含む、画像形成方法。
  21. 前記光の波長は、280nm以上480nm以下である、請求項20に記載の画像形成方法。
  22. 前記トナー像を加圧する工程をさらに含む、請求項20または21に記載の画像形成方法。
  23. 前記加圧する工程では、前記トナー像をさらに加熱する、請求項22に記載の画像形成方法。
  24. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を用いた光応答性接着剤。
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