JP2021068887A - 真空装置用部品及び真空装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パーティクルが脱落し難くする。【解決手段】真空装置用部品19は、基板Sを真空処理するための真空装置10の内部に用いられる部品であって、算術平均粗さRaが5μm以上で且つ8μm以下の範囲とされ、凹凸平均間隔RSmが300μm以上で且つ500μm以下の範囲とされる表面粗さを有する。【選択図】図1
Description
本明細書が開示する技術は、真空装置用部品及び真空装置に関する。
半導体等の成膜装置及びプラズマ処理装置に用いる真空装置用部品の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された真空装置用部品は、表面がセラミック及び又は金属溶射膜で被覆され、該溶射膜の表面にJISB0601:2001及びJISB0633:2001で規定する輪郭曲線要素の平均長さRsmが20〜70μmの範囲、算術平均粗さRaが8〜15μmの範囲で、算術平均うねりWaが8μm以下である表面粗さを有する溶射膜を具備する。
上記した特許文献1に記載された真空装置用部品は、表面における算術平均粗さRaが8〜15μmの範囲と十分に大きいことから、真空装置にて行われる真空処理に伴って発生するパーティクルを吸着する能力が高くなっている。しかしながら、上記真空装置用部品の表面における輪郭曲線要素の平均長さRsmが20〜70μmの範囲と小さいことから、表面に形成された凹凸の間に存在する空間の容積が十分に確保されていない。このため、上記凹凸は、上記空間に堆積したパーティクルによってすぐに平坦化されてしまい、それ以降に吸着されるパーティクルが脱落し易くなるおそれがあった。
本願明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、パーティクルが脱落し難くすることを目的とする。
(1)本願明細書に記載の技術に関わる真空装置用部品は、基板を真空処理するための真空装置の内部に用いられる部品であって、算術平均粗さRaが5μm以上で且つ8μm以下の範囲とされ、凹凸平均間隔RSmが300μm以上で且つ500μm以下の範囲とされる表面粗さを有する。
(2)また、上記真空装置用部品は、上記(1)に加え、セラミックからなり、前記表面粗さとなる凹凸が直接形成されてなるようにしてもよい。
(3)本願明細書に記載の技術に関わる真空装置は、上記(1)または上記(2)の真空装置用部品を備える真空装置であって、前記基板が収容される真空室と、前記真空室内に配されて前記基板を支持する基板支持部と、前記基板支持部側から立ち上がって前記基板を取り囲む側壁部と、を備えており、少なくとも前記側壁部は、前記真空装置用部品により構成される。
(4)また、上記真空装置は、上記(3)に加え、前記側壁部は、少なくとも前記基板側を向いた側面が前記表面粗さとされてもよい。
(5)また、上記真空装置は、上記(3)または上記(4)に加え、前記側壁部と前記基板支持部との間に介在していて前記側壁部と共に前記基板支持部に対して近づくようまたは離れるよう変位可能な可動部を備えており、少なくとも前記可動部は、前記真空装置用部品により構成されてもよい。
(6)また、上記真空装置は、上記(5)に加え、前記基板支持部には、前記可動部を受ける受け部が設けられており、少なくとも前記受け部は、前記真空装置用部品により構成されてもよい。
(7)また、上記真空装置は、上記(6)に加え、前記可動部は、少なくとも前記受け部との対向面が前記表面粗さとされてもよい。
(8)また、上記真空装置は、上記(6)または上記(7)に加え、前記受け部は、少なくとも前記可動部との対向面が前記表面粗さとされてもよい。
本願明細書に記載の技術によれば、パーティクルが脱落し難くすることができる。
<実施形態1>
実施形態1を図1から図3によって説明する。エッチング装置(真空装置)10について例示する。
実施形態1を図1から図3によって説明する。エッチング装置(真空装置)10について例示する。
図1は、エッチング装置10を示す断面図である。本実施形態のエッチング装置10は、図1に示すように、液晶パネルを構成する基板Sに成膜された被処理膜PFをエッチング処理(真空処理)するためのものである。基板Sにおいてエッチング処理の対象である被処理膜PFは、所定のパターンのレジスト膜により覆われている。なお、被処理膜PFには、金属膜、半導体膜、透明電極膜、絶縁膜(無機絶縁膜、有機絶縁膜)などが含まれる。従って、エッチング装置10によるエッチング処理がなされると、被処理膜PFのうちのレジスト膜により覆われない部分が選択的にエッチングされて除去され、レジスト膜により覆われた部分がエッチングされることなく残存する。これにより、被処理膜PFは、レジスト膜のパターンに応じてパターニングされるようになっている。なお、エッチング処理の対象となる基板Sは、平面形状が方形をなしている。
本実施形態のエッチング装置10は、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)装置と呼ばれるものであり、異方性エッチングを行うのに適している。エッチング装置10は、図1に示すように、基板Sを収容する真空室11と、真空室11内に配されて基板Sを支持する基板支持部12と、真空室11に接続されて真空室11内に反応性ガス(例えばアルゴンガスなど)を導入するためのガス導入装置13と、真空室11に接続されて真空室11内を排気するための排気装置14と、ガス導入装置13により導入されるガスの流路に配される上部電極(アノード電極)15と、を少なくとも備える。このうちの基板支持部12は、基板Sが載置されて高周波電源RFに接続される下部電極(カソード電極)12Aと、下部電極12Aに対して基板Sとは反対側に配されて下部電極12Aを支持する下部電極ベース12Bと、から構成される。上記した高周波電源RFは、出力が例えば13.56MHzとされる。エッチング処理に際しては、真空室11内に収容した基板Sを基板支持部12上に載置した後、排気装置14により排気を行って真空室11内を真空環境下としつつ、ガス導入装置13により反応性ガスを真空室11内に導入する。この状態で高周波電源RFから下部電極12Aに高周波電圧を印加すると、下部電極12Aと上部電極15との間に放電が生じ、それに伴って真空室11内にプラズマが発生する。すると、反応性ガスに解離が生じ、それに伴って発生した活性種(イオン・ラジカル)ASがターゲットである被処理膜PFに向けて加速されて衝突する。このとき、活性種ASによるスパッタリングと、反応性ガスの化学反応が同時に起こることで、被処理膜PFを高い精度でエッチングすることができる。このエッチングに伴い、被処理膜PFのパーティクルPが真空室11内に飛散するおそれがある。
さらには、エッチング装置10は、図1に示すように、基板支持部12側から立ち上がって基板Sを取り囲む側壁部16と、側壁部16と基板支持部12との間に介在していて側壁部16と共に基板支持部12に対して近づくようまたは離れるよう変位可能な可動部17と、を備える。側壁部16は、その高さ寸法が基板S及び被処理膜PFの厚さ寸法よりも十分に大きくされている。側壁部16は、その壁面が基板Sの板面の法線方向とほぼ一致するよう配されている。側壁部16は、図2に示すように、基板Sを全周にわたって取り囲むよう方形の枠状をなしている。なお、図2は、側壁部16及び可動部17の平面図である。側壁部16は、4つの辺部16Bを連ねてなり、各辺部16Bは、それぞれ長さ方向についての一端側部分16B1と、他端側部分16B2と、これらの間の中央部分16B3と、を有する。可動部17は、側壁部16と同様に、基板Sを全周にわたって取り囲むよう方形の枠状をなしている。可動部17は、図1に示すように、その板面が側壁部16の壁面とほぼ直交するとともに基板Sの板面と並行するよう配されている。可動部17は、内周側部分に対して図1に示す上側に側壁部16が載る形で取り付けられている。
そして、可動部17は、リフト機構によって図1に示す上下方向に沿って変位可能とされ、その変位動作に側壁部16が追従するようになっている。図1に示される位置(エッチング処理位置)とされた可動部17が基板支持部12から離れるよう図1に示される上側に移動されると、図3に示すように、可動部17と基板支持部12との間に空間が空けられるようになっており、この空間を通して基板Sの搬入出を行うことが可能とされる。なお、図3は、可動部17と基板支持部12との間に空間が空けられた状態を示す断面図である。また、エッチング処理を行う際には、図3に示される位置(基板搬入出位置)とされた可動部17が基板支持部12に近づくよう図3に示される下側に移動され、図1に示すように、可動部17が基板支持部12に接する状態に至る。基板支持部12には、可動部17を受ける受け部18が設けられている。受け部18は、側壁部16及び可動部17と同様に方形の枠状をなしており、その板面が側壁部16の壁面とほぼ直交するとともに基板S及び可動部17の板面と並行するよう配されている。受け部18は、図1及び図3に示す上側の板面が、可動部17における下側の板面に当接されることで、可動部17を支持することができる。受け部18は、可動部17に対する支持面が下部電極12Aにおける基板Sに対する支持面とほぼ面一状をなしている。
さて、本実施形態に係るエッチング装置10には、算術平均粗さRaが5μm以上で且つ8μm以下の範囲とされ、凹凸平均間隔RSmが300μm以上で且つ500μm以下の範囲とされる表面粗さを有するエッチング装置用部品(真空装置用部品)19が備えられている。本実施形態では、図1及び図2に示すように、エッチング装置10の構成部品のうち、側壁部16がエッチング装置用部品19により構成されている。詳しくは、エッチング装置用部品19により構成される側壁部16は、表面のうち基板S側を向いた側面(壁面)16Aが選択的に上記した表面粗さとされている。側壁部16は、セラミックからなり、その基板S側を向いた側面16Aには、上記した表面粗さとなる微細な凹凸20が多数形成されている。このような凹凸20を形成するに際しては、側壁部16における基板S側を向いた側面16Aに対してブラスト装置によって選択的にブラスト処理が行われており、それにより側面16Aに凹凸20が直接形成されている。凹凸20は、側壁部16における基板S側を向いた側面16Aの全周・全高さ範囲にわたって形成されている。なお、上記した算術平均粗さRa及び凹凸平均間隔RSmは、いずれもJIS規格である「JIS B601−2001」に基づいて算出した。
上記のような構成の側壁部16がエッチング装置10の内部に配されているので、基板Sがエッチング処理されるのに伴って被処理膜PFのパーティクルPが真空室11内に飛散しても、そのパーティクルPを側壁部16の側面16Aに形成された凹凸20によって十分に高い吸着力でもって吸着することができる。凹凸20に吸着されたパーティクルPには、脱落が生じ難くなっている。これにより、パーティクルPが真空室11内を浮遊し続けて基板Sに付着する事態が生じ難くなり、エッチング処理された基板Sの歩留まりを向上させることができる。しかも、側壁部16における基板S側を向いた側面16Aに対してブラスト装置によってブラスト処理を行うことで、適切な凹凸20を容易に形成することができる。
以上説明したように本実施形態のエッチング装置用部品(真空装置用部品)19は、基板Sを真空処理するためのエッチング装置(真空装置)10の内部に用いられる部品であって、算術平均粗さRaが5μm以上で且つ8μm以下の範囲とされ、凹凸平均間隔RSmが300μm以上で且つ500μm以下の範囲とされる表面粗さを有する。
エッチング装置10の内部では、基板Sが真空処理されるのに伴ってパーティクルPが発生する。このパーティクルPが不用意に基板Sに付着すると、基板Sが不良品となるおそれがある。そこで、エッチング装置10の内部に用いられるエッチング装置用部品19に所定の表面粗さとなるよう微細な凹凸20を形成することで、凹凸20によってパーティクルPを吸着し、基板Sへの付着を抑制することができる。
ここで、仮に算術平均粗さRaを5μmよりも小さい表面粗さとした場合には、表面に形成された凹凸が平坦すぎるため、パーティクルPを十分に吸着することができない。これに対し、仮に算術平均粗さRaを8μmよりも大きい表面粗さとした場合には、パーティクルPを吸着する能力は高いものの、表面をブラスト処理することで凹凸を形成しようとした場合に凹凸が強度に悪影響を与えるような損傷となってしまい、製造が困難となる。一方、仮に凹凸平均間隔RSmを300μmよりも小さい表面粗さとした場合には、表面に形成された凹凸の間に存在する空間の容積が十分に確保されないため、上記凹凸が上記空間に堆積したパーティクルPによってすぐに平坦化されてしまい、それ以降に吸着されるパーティクルPが脱落し易くなるおそれがある。これに対し、仮に凹凸平均間隔RSmを500μmよりも大きい表面粗さとした場合には、凹凸の間に存在する空間の容積は十分に確保されるものの、表面をブラスト処理することで凹凸を形成しようとした場合にブラスト処理を行うブラスト装置の能力の限界から製造が困難となる。また、凹凸の間に存在する空間の容積が大きすぎると、パーティクルPが堆積してなる堆積物の重量も大きくなりすぎるため、自重によってパーティクルPの堆積物が脱落し易くなることも懸念される。
その点、算術平均粗さRaが5μm以上で且つ8μm以下の範囲とされる表面粗さとすれば、パーティクルPを十分な吸着力でもって吸着することができるのに加え、表面にブラスト処理を行うことで適切な凹凸20を容易に形成することができる。そして、凹凸平均間隔RSmが300μm以上で且つ500μm以下の範囲とされる表面粗さとすれば、凹凸20の間に存在する空間の容積を十分に確保することができるので、十分な量のパーティクルPを吸着してその脱落を生じ難くすることができるのに加え、表面にブラスト処理を行うことで適切な凹凸20を容易に形成することができる。以上により、パーティクルPの吸着能力が十分に高くなるとともにパーティクルPが脱落し難くなり、さらにはブラスト処理での製造が容易になる。
また、セラミックからなり、上記した表面粗さとなる凹凸20が直接形成されてなる。本実施形態では、ブラスト処理を用いて、セラミックからなる当該エッチング装置用部品19に凹凸20を直接形成する。ここで、一般的にブラスト処理とは、加工面に固体金属または研磨材等を吹き付けて加工面を摩耗(粗面化)させる処理をいう。そのため、加工対象物がセラミックのような脆性破壊し易い材質であると、ブラスト処理に伴う加工面の強度低下が懸念される。このような事情に鑑み、セラミックからなる当該エッチング装置用部品19に凹凸20を直接形成するに際してその表面粗さについて鋭意検討した結果、算術平均粗さRaが8μm以下の表面粗さとすれば、セラミックからなる当該エッチング装置用部品19に脆性破壊を生じさせることなく凹凸20をブラスト処理により形成することができることを見出した。そして、凹凸平均間隔RSmが500μm以下の表面粗さとすれば、セラミックからなる当該エッチング装置用部品19に凹凸20を、能力上の問題を生じさせることなくブラスト処理により形成することができる。
また、本実施形態に係るエッチング装置10は、上記記載のエッチング装置用部品19を備え、基板Sが収容される真空室11と、真空室11内に配されて基板Sを支持する基板支持部12と、基板支持部12側から立ち上がって基板Sを取り囲む側壁部16と、を備えており、少なくとも側壁部16は、エッチング装置用部品19により構成される。このような構成のエッチング装置10によれば、真空室11内に収容された基板Sは、基板支持部12によって支持されるとともに側壁部16によって取り囲まれる。この状態で基板Sが真空処理されるのに伴って発生するパーティクルPは、上記した表面粗さを有するエッチング装置用部品19により構成される側壁部16に効率的に吸着される。これにより、パーティクルPが基板Sに付着し難くなっている。
また、側壁部16は、少なくとも基板S側を向いた側面16Aが上記した表面粗さとされる。このようにすれば、基板Sに付着しようとするパーティクルPを、側壁部16における基板S側を向いた側面16Aによって効率的に吸着することができる。これにより、基板SへのパーティクルPの付着をより好適に生じ難くすることができる。
<実施形態2>
実施形態2を図4または図5によって説明する。この実施形態2では、可動部117及び受け部118がいずれもエッチング装置用部品119により構成される場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
実施形態2を図4または図5によって説明する。この実施形態2では、可動部117及び受け部118がいずれもエッチング装置用部品119により構成される場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る可動部117及び受け部118は、図4及び図5に示すように、いずれもエッチング装置用部品119により構成されている。上記した実施形態1にて説明した通り、可動部117は、側壁部116と共に受け部118を有する基板支持部112に対して近づくようまたは離れるよう変位可能とされている。このため、可動部117が側壁部116と共に基板支持部112に対して変位される際には、可動部117により吸着されたパーティクルPが脱落したり、受け部118により吸着されたパーティクルPが脱落したりすることで、パーティクルPが基板Sに付着することが懸念される。その点、可動部117及び受け部118は、側壁部116と共に、算術平均粗さRaが5μm以上で且つ8μm以下の範囲とされ、凹凸平均間隔RSmが300μm以上で且つ500μm以下の範囲とされる表面粗さを有するエッチング装置用部品119により構成されている。従って、可動部117が基板支持部112に対して変位される際に、可動部117により吸着されたパーティクルPに脱落が生じ難くなるとともに受け部118に吸着されたパーティクルPに脱落が生じ難くなっている。
しかも、可動部117は、図4及び図5に示すように、受け部118との対向面117Aが選択的に上記した表面粗さとされるとともに受け部118は、可動部117との対向面118Aが選択的に上記した表面粗さとされる。可動部117及び受け部118は、いずれもセラミックからなり、それぞれの対向面117A,118Aには、上記した表面粗さとなる微細な凹凸120が多数形成されている。このような凹凸120を形成するに際しては、可動部117及び受け部118におけるそれぞれの対向面117A,118Aに対してブラスト装置によって選択的にブラスト処理が行われており、それにより各対向面117A,118Aに凹凸120が直接形成されている。凹凸120は、可動部117及び受け部118におけるそれぞれの対向面117A,118Aの全域にわたって形成されている。このように、可動部117及び受け部118は、各対向面117A,118Aが上記した表面粗さとされているので、可動部117が側壁部116と共に基板支持部112及び受け部118に対して変位される際に可動部117及び受け部118の各対向面117A,118Aが相互に干渉した場合でも、各対向面117A,118Aに形成された凹凸120によって吸着されたパーティクルPに脱落が生じ難くなっている。これにより、パーティクルPが基板Sに付着する事態が生じ難くなっている。
以上説明したように本実施形態によれば、側壁部116と基板支持部112との間に介在していて側壁部116と共に基板支持部112に対して近づくようまたは離れるよう変位可能な可動部117を備えており、少なくとも可動部117は、エッチング装置用部品119により構成される。このようにすれば、真空室111にて基板支持部112により支持される基板Sの搬入出を行う際には、側壁部116と共に可動部117を基板支持部112に対して変位させればよい。可動部117が側壁部116と共に基板支持部112に対して変位される際には、可動部117により吸着されたパーティクルPが脱落し、基板Sに付着することが懸念される。その点、可動部117は、側壁部116と共に、上記した表面粗さを有するエッチング装置用部品119により構成されているので、変位される際にも可動部117により吸着されたパーティクルPに脱落が生じ難くなっている。これにより、パーティクルPが基板Sに付着する事態が生じ難くなっている。
また、基板支持部112には、可動部117を受ける受け部118が設けられており、少なくとも受け部118は、エッチング装置用部品119により構成される。このようにすれば、可動部117が側壁部116と共に基板支持部112及び受け部118に対して変位される際に、可動部117が受け部118に干渉すると、受け部118により吸着されたパーティクルPが脱落し、基板Sに付着することが懸念される。その点、受け部118は、側壁部116及び可動部117と共に、上記した表面粗さを有するエッチング装置用部品119により構成されているので、可動部117が干渉する際にも受け部118により吸着されたパーティクルPに脱落が生じ難くなっている。これにより、パーティクルPが基板Sに付着する事態が生じ難くなっている。
また、可動部117は、少なくとも受け部118との対向面117Aが上記した表面粗さとされる。このようにすれば、可動部117が側壁部116と共に基板支持部112及び受け部118に対して変位される際には、可動部117における受け部118との対向面117Aが受け部118に干渉することで、当該対向面117Aにより吸着されたパーティクルPに脱落が生じることが懸念される。その点、可動部117は、少なくとも受け部118との対向面117Aが上記した表面粗さとされているので、当該対向面117Aが受け部118に干渉した場合でも、パーティクルPに脱落が生じ難くなっている。これにより、パーティクルPが基板Sに付着する事態が生じ難くなっている。
また、受け部118は、少なくとも可動部117との対向面118Aが上記した表面粗さとされる。このようにすれば、可動部117が側壁部116と共に基板支持部112及び受け部118に対して変位される際には、受け部118における可動部117との対向面118Aが可動部117に干渉することで、当該対向面118Aにより吸着されたパーティクルPに脱落が生じることが懸念される。その点、受け部118は、少なくとも可動部117との対向面118Aが上記した表面粗さとされているので、当該対向面118Aが可動部117に干渉した場合でも、パーティクルPに脱落が生じ難くなっている。これにより、パーティクルPが基板Sに付着する事態が生じ難くなっている。
<比較実験>
上記した実施形態1に記載したような表面粗さを有するエッチング装置用部品19により側壁部16を構成することで得られる効果を実証するため、下記の比較実験を行った。この比較実験では、実施例としてブラスト処理を施したエッチング装置用部品19を用い、比較例としてブラスト処理を施していないエッチング装置用部品を用いた。比較例は、算術平均粗さRaが2μm以上で且つ4μm以下の範囲とされ、凹凸平均間隔RSmが200μm以上で且つ300μm以下の範囲とされる表面粗さを有する。実施例は、算術平均粗さRaが5μm以上で且つ8μm以下の範囲とされ、凹凸平均間隔RSmが300μm以上で且つ500μm以下の範囲とされる表面粗さを有する。図6には、比較例及び実施例の側面を撮影した写真が示されている。図6によれば、実施例は、比較例よりも表面に形成された凹凸が粗くなっていることが把握できる。図7は、比較例及び実施例において、図2に示される各辺部16Bのうちの一端側部分16B1と中央部分16B3と他端側部分16B2との3位置における算術平均粗さRa(単位は「μm」)及び凹凸平均間隔RSm(単位は「μm」)を示す表である。図7に示される算術平均粗さRa及び凹凸平均間隔RSmの各数値に基づき、比較例及び実施例における表面粗さに係る数値範囲が上記のように特定されている。
上記した実施形態1に記載したような表面粗さを有するエッチング装置用部品19により側壁部16を構成することで得られる効果を実証するため、下記の比較実験を行った。この比較実験では、実施例としてブラスト処理を施したエッチング装置用部品19を用い、比較例としてブラスト処理を施していないエッチング装置用部品を用いた。比較例は、算術平均粗さRaが2μm以上で且つ4μm以下の範囲とされ、凹凸平均間隔RSmが200μm以上で且つ300μm以下の範囲とされる表面粗さを有する。実施例は、算術平均粗さRaが5μm以上で且つ8μm以下の範囲とされ、凹凸平均間隔RSmが300μm以上で且つ500μm以下の範囲とされる表面粗さを有する。図6には、比較例及び実施例の側面を撮影した写真が示されている。図6によれば、実施例は、比較例よりも表面に形成された凹凸が粗くなっていることが把握できる。図7は、比較例及び実施例において、図2に示される各辺部16Bのうちの一端側部分16B1と中央部分16B3と他端側部分16B2との3位置における算術平均粗さRa(単位は「μm」)及び凹凸平均間隔RSm(単位は「μm」)を示す表である。図7に示される算術平均粗さRa及び凹凸平均間隔RSmの各数値に基づき、比較例及び実施例における表面粗さに係る数値範囲が上記のように特定されている。
この比較実験では、上記した比較例及び実施例を上記した実施形態1にて説明したエッチング装置内に設置した上で、所定枚数ずつの基板Sをエッチング処理した。なお、比較実験における基板Sの被処理膜PFは、金属膜とされる。エッチング処理された基板SにパーティクルPが付着しているか否かを検査し、パーティクルPが付着していた不良基板の数を、比較例及び実施例毎に集計した上で正規化した。正規化に際しては、比較例及び実施例における不良基板の数のそれぞれを、比較例における不良基板の数により除するようにした。つまり、比較例の実験結果を基準とした正規化を行った。このようにして得た実験結果は図8に示される通りである。
図8に示される実験結果について説明する。実施例における不良基板の数を正規化した値は、「0.86」であり、比較例の「1」よりも「0.14」低い値であった。このような結果となった要因について次のように推考する。比較例は、算術平均粗さRaを5μmよりも小さい表面粗さとされていることから、表面に形成された凹凸が平坦すぎるため、パーティクルPを十分に吸着することができないと思われる。また、比較例は、凹凸平均間隔RSmを300μmよりも小さい表面粗さとされていることから、表面に形成された凹凸の間に存在する空間の容積が十分に確保されない。このため、上記凹凸が上記空間に堆積したパーティクルPによってすぐに平坦化されてしまい、それ以降に吸着されるパーティクルPが脱落し易くなると考えられる。これらの要因から比較例は、実施例よりも不良基板の数が多くなっていると考えられる。
これに対し、実施例は、算術平均粗さRaが5μm以上となる表面粗さとされているので、パーティクルPを十分な吸着力でもって吸着することができると考えられる。さらには、実施例は、凹凸平均間隔RSmが300μm以上となる表面粗さとされているので、凹凸20の間に存在する空間の容積が十分に確保されている。これにより、凹凸20の間に十分な量のパーティクルPが吸着されてその脱落が生じ難くなっていると考えられる。また、実施例は、算術平均粗さRaが8μm以下となる表面粗さとされているので、凹凸20を形成するために行われるブラスト処理によって強度上の問題が生じることが避けられ、ブラスト処理によって適切な凹凸20を容易に形成することができる。また、実施例は、凹凸平均間隔RSmが500μm以下となる表面粗さとされているので、凹凸20を形成するためのブラスト処理を実行するブラスト装置の能力の限界を超えることなく、適切な凹凸20を容易に形成することができる。それに加えて、凹凸20の間に存在する空間の容積が大きくなりすぎることが避けられるので、パーティクルPが堆積してなる堆積物が自重によって脱落する事態も生じ難くなっていると考えられる。以上により、実施例によれば、パーティクルPの吸着能力が十分に高くなるとともにパーティクルPが脱落し難くなり、さらにはブラスト処理での製造が容易になっている。
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)側壁部16,116は、表面のうちの基板S側を向いた側面16A以外の面にも上記した表面粗さの凹凸20,120が形成されていても構わない。
(2)上記した実施形態2において、可動部117は、表面のうちの受け部118との対向面117A以外の面にも上記した表面粗さの凹凸120が形成されていても構わない。
(3)上記した実施形態2において、受け部118は、表面のうちの可動部117との対向面118A以外の面にも上記した表面粗さの凹凸120が形成されていても構わない。
(4)エッチング装置用部品19,119は、セラミック以外の材料により構成されていても構わない。
(5)凹凸20,120は、側壁部16,116における基板S側を向いた側面16Aにおいて部分的に形成されていても構わない。
(6)上記した実施形態2において、凹凸120は、可動部117における受け部118との対向面117Aにおいて部分的に形成されていても構わない。
(7)上記した実施形態2において、凹凸120は、受け部118における可動部117との対向面118Aにおいて部分的に形成されていても構わない。
(8)側壁部16,116は、その壁面が基板Sの板面の法線方向に対して交差するよう配されていても構わない。
(9)可動部17,117は、その板面が基板Sの板面に対して交差するよう配されていても構わない。
(10)受け部18,118は、その板面が基板Sの板面に対して交差するよう配されていても構わない。
(11)エッチング装置10は、反応性イオンエッチング装置以外にも、誘導結合型プラズマ装置やマイクロ波プラズマ装置でも構わない。
(12)真空装置は、エッチング装置10以外にも、基板Sに対して真空処理として成膜処理を行う成膜装置であっても構わない。その場合、膜材料からなるターゲットがスパッタリングされる際に生じるパーティクルPが真空装置用部品により吸着されて脱落し難くなるとともに基板Sに付着し難くなる効果が得られる。
10…エッチング装置(真空装置)、11,111…真空室、12,112…基板支持部、16,116…側壁部、16A…側面、17,117…可動部、18,118…受け部、19,119…エッチング装置用部品(真空装置用部品)、20,120…凹凸、117A…対向面、118A…対向面、P…パーティクル、S…基板
Claims (8)
- 基板を真空処理するための真空装置の内部に用いられる部品であって、
算術平均粗さRaが5μm以上で且つ8μm以下の範囲とされ、凹凸平均間隔RSmが300μm以上で且つ500μm以下の範囲とされる表面粗さを有する真空装置用部品。 - セラミックからなり、前記表面粗さとなる凹凸が直接形成されてなる請求項1記載の真空装置用部品。
- 請求項1または請求項2記載の真空装置用部品を備える真空装置であって、
前記基板が収容される真空室と、
前記真空室内に配されて前記基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部側から立ち上がって前記基板を取り囲む側壁部と、を備えており、
少なくとも前記側壁部は、前記真空装置用部品により構成される真空装置。 - 前記側壁部は、少なくとも前記基板側を向いた側面が前記表面粗さとされる請求項3記載の真空装置。
- 前記側壁部と前記基板支持部との間に介在していて前記側壁部と共に前記基板支持部に対して近づくようまたは離れるよう変位可能な可動部を備えており、
少なくとも前記可動部は、前記真空装置用部品により構成される請求項3または請求項4記載の真空装置。 - 前記基板支持部には、前記可動部を受ける受け部が設けられており、
少なくとも前記受け部は、前記真空装置用部品により構成される請求項5記載の真空装置。 - 前記可動部は、少なくとも前記受け部との対向面が前記表面粗さとされる請求項6記載の真空装置。
- 前記受け部は、少なくとも前記可動部との対向面が前記表面粗さとされる請求項6または請求項7記載の真空装置。
Applications Claiming Priority (2)
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JP2020152599A Pending JP2021068887A (ja) | 2019-10-22 | 2020-09-11 | 真空装置用部品及び真空装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7358576B1 (ja) | 2022-07-21 | 2023-10-10 | 積水化学工業株式会社 | 成膜装置及び膜付きウェハの製造方法 |
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2020
- 2020-09-11 JP JP2020152599A patent/JP2021068887A/ja active Pending
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