JP2021068504A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2021068504A
JP2021068504A JP2019190631A JP2019190631A JP2021068504A JP 2021068504 A JP2021068504 A JP 2021068504A JP 2019190631 A JP2019190631 A JP 2019190631A JP 2019190631 A JP2019190631 A JP 2019190631A JP 2021068504 A JP2021068504 A JP 2021068504A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separator
layer
material layer
negative electrode
positive electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019190631A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7296042B2 (ja
Inventor
祐太 川本
Yuta Kawamoto
祐太 川本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2019190631A priority Critical patent/JP7296042B2/ja
Publication of JP2021068504A publication Critical patent/JP2021068504A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7296042B2 publication Critical patent/JP7296042B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】ハイレート特性と過充電耐性とが改善されている非水電解液二次電池を提供する。【解決手段】ここに開示される非水電解液二次電池1は、正極30と負極40と正極30および負極40の間に介在されたセパレータ50とが捲回されてなる電極体20と、非水電解液と、を備える。セパレータ50は、多孔質構造の基材層52と、基材層52の表面に備えられ樹脂粒子を含む粒子層54と、を備える。粒子層54は、捲回の軸となる捲回軸に沿う方向の一方の端部と他方の端部とを繋ぐ拡散経路を含み、基材層52と粒子層とのいずれか一方は、所定の温度以上に加熱されたときに溶融または軟化して電解質の移動を遮断するシャットダウン機能を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン電池、ナトリウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として用いられている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両の駆動用高出力電源として好ましく用いられている。
非水電解液二次電池は、典型的には、正極活物質層を備えた正極と負極活物質層を備えた負極とが、多孔性のセパレータを介して積層された電極体と、非水電解液とを備える。このような二次電池においては、電解液中の電荷担体(例えばリチウムイオン)がセパレータの空孔を通過して両電極間を行き来することで充放電が行われる。ここで特許文献1には、所定の微細繊維層と繊維補強層とを含む不織布からなるリチウムイオン二次電池用セパレータが開示されている。このセパレータは、内部抵抗が低くハイレート放電に適していることが記載されている。
特開2007−048533号公報 特開2013−251259号公報
しかしながら、不織布からなるセパレータは、過充電等により二次電池の温度が上昇したときに軟化または溶融し、セパレータに含まれる細孔を閉塞する、いわゆるシャットダウン機能を本質的に備えていない。したがって、ハイレートで充放電を行う用途や、高い安全性が求められる用途の二次電池に対し、このようなセパレータを用いることは、過充電耐性および安全面で課題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハイレート特性と過充電耐性とが改善されている非水電解液二次電池を提供することにある。
ここに開示される非水電解液二次電池は、正極と負極と前記正極および前記負極の間に介在されたセパレータとが捲回されてなる電極体と、非水電解液と、を備える。前記セパレータは、多孔質構造の基材層と、前記基材層の表面に備えられ樹脂粒子を含む粒子層と、を備える。前記粒子層は、前記捲回の軸となる捲回軸に沿う方向の一方の端部と他方の端部とを繋ぐ拡散経路を含み、前記基材層と前記粒子層とのいずれか一方は、所定の温度以上に加熱されたときに溶融または軟化して電解質の移動を遮断するシャットダウン機能を有する。
上記構成によると、基材層と粒子層との少なくとも一方がシャットダウン機能を有することから、過充電により電池温度が上昇した時には当該層が速やかにシャットダウンし、二次電池の電池化学反応を早い段階で安全に停止することができる。また、セパレータの基材は一般に延伸加工により製造され、厚み方向の電解質透過性は高いが、面方向の電解質透過性は十分でない。これに対し、上記構成の粒子層は、電解質が移動するための拡散経路を備えており、ハイレートで充放電した場合に、電極はセパレータの厚み方向だけでなく面方向からも電解質を吸蔵および放出することができる。これにより、ハイレートで繰り返し充放電した場合であっても抵抗の増加が抑制された二次電池が実現される。換言すると、ハイレート特性と過充電耐性とが改善された非水電解液二次電池が提供される。
なお、特許文献2には、多孔質基材の両面に、3〜10nmの微細な有機粒子1〜50重量%と、0.01〜0.5μmのエマルジョンタイプのバインダー重合体とからなるコーティング層が備えられたセパレータが開示されている。このセパレータは、バインダー高分子によりコーティング層の結着力が高められており、セパレータと電極との間を安定的に結着できることが記載されている。しかしながら、特許文献2には、有機粒子を含む層に、電荷担体が移動するための拡散経路を設けることについて何ら開示がない。かかる点において、特許文献2のコーティング層とここに開示される樹脂層とは、明確に区別される。
一実施形態に係るリチウムイオン電池の構成を模式的に示す切欠き斜視図である。 一実施形態に係る捲回型電極体の構成を説明する部分展開図である。 一実施形態に係るセパレータの構成を説明する断面模式図である。 一実施形態に係るセパレータの構成を説明する要部の平面図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない非水電解液二次電池の構成や動作等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。なお本技術に関し、数値範囲を示す「A〜B」との表記は、「A以上B以下」を意味するものとする。
本技術において「二次電池」とは繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン二次電池、リチウムポリマー電池等のいわゆる蓄電池、ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、「非水電解液二次電池」とは、電荷担体として非水系の電解液を用いて充放電を実現する二次電池である。また、「活物質」とは、二次電池において電荷担体となる化学種を可逆的に吸蔵および放出し得る物質をいう。以下、非水電解液二次電池がリチウムイオン二次電池である場合を例にして、本技術について説明する。
[リチウムイオン二次電池]
図1は、一実施形態に係る非水電解液二次電池(以下、単に「二次電池」等という。)1の構成を示す切欠き斜視図である。このリチウムイオン電池1は、捲回型電極体20が非水電解液(図示せず)とともに電池ケース10に収容されることで構成されている。図2は捲回型電極体20の構成を説明する部分展開図である。図3は、セパレータの一部断面を模式的に示した図であり、図4は、セパレータの平面図である。図中のWは、電池ケース10および捲回型電極体20の幅方向を示し、捲回型電極体20の捲回軸WLと一致する方向である。捲回型電極体20は、正極30と負極40とセパレータ50とを含む。以下、各要素について説明する。
正極30は、典型的には、正極集電体32と、その両面に形成された多孔質の正極活物質層34とを備える。正極活物質層34の細孔には非水電解液が含浸されている。正極集電体32には、例えば、アルミニウム箔等の金属箔が好適に使用される。正極集電体32は、幅方向の一端に正極活物質層34が備えられずに集電体が露出した集電部を備える。正極活物質層34は、粒状の正極活物質を含有する。正極活物質としては、例えば、リチウムイオンの可逆的な吸蔵・放出が可能な、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等)、リチウムニッケル複合酸化物(例、LiNiO等)、リチウムコバルト複合酸化物(例、LiCoO等)、リチウムニッケルマンガン複合酸化物(例、LiNi0.5Mn1.5等)などのリチウム遷移金属複合酸化物の一種または二種以上の組合せが用いられる。正極活物質層34は、正極活物質の他に、アセチレンブラック(AB)等の導電材や、これらを結着するための、アクリル系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)等のバインダを含有し得る。正極活物質層34は、これらの他に、負極の表面に被膜を形成するための、リン酸三リチウム(LPO)などの被膜形成材を含んでいてもよい。
正極活物質の平均粒子径(D50)は特に制限されず、典型的には0.5μm以上、好ましくは1μm以上、2μm以上、例えば3μm以上であり、例えば20μm以下、典型的には15μm以下、好ましくは12μm以下、例えば9μm以下である。正極活物質層34全体に占める正極活物質の割合は、およそ50質量%以上、典型的には60質量%以上、例えば70質量%以上であってよく、典型的には95質量%以下、例えば90質量%以下であり得る。正極活物質層34における導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して、典型的には0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、例えば3質量部以上であり、典型的には15質量部以下、好ましくは12質量部以下、例えば10質量部以下である。正極活物質層34におけるバインダの割合は、正極活物質100質量部に対して、典型的には0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上、例えば2質量部以上であり、典型的には10質量部以下、好ましくは8質量部以下、例えば5質量部以下とすることができる。また、正極活物質層34のプレス後の厚み(片面の平均厚みである。以下同じ。)は、典型的には10μm以上、例えば15μm以上であって、典型的には50μm以下、例えば30μm以下とすることができる。また、正極活物質層34の密度はこれに限定されないが、典型的には1.5g/cm以上、例えば2g/cm以上であって、3g/cm以下、例えば2.5g/cm以下とすることができる。正極30の厚み方向の圧縮弾性率は、典型的には、20MPa以上、例えば30MPa以上100MPa以下である。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特にことわりのない限り、レーザ回折散乱法によって得られる体積基準の粒度分布における累積50%粒子径(D50)である。
負極40は、典型的には、負極集電体42と、その両面に形成された多孔質の負極活物質層44とを備え得る。負極活物質層44の細孔には非水電解液が含浸されている。負極集電体42には、例えば、銅箔等の金属箔が好適に使用される。負極集電体42は、幅方向の一端に負極活物質層44が備えられずに集電体が露出した集電部を備える。負極活物質層44は、粒状の負極活物質を含有する。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンの可逆的な吸蔵・放出が可能な、グラファイトカーボン、アモルファスカーボンなどの炭素系材料、シリコン、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物等の一種または二種以上の組合せが用いられる。負極活物質層44は、負極活物質の他に、これらを結着するための、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)等のバインダや、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を含有し得る。
負極活物質粒子の平均粒子径(D50)は特に制限されず、例えば、0.5μm以上であってよく、1μm以上が好ましく、より好ましくは5μm以上である。また、30μm以下であってよく、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。負極活物質層44全体に占める負極活物質の割合は、およそ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%、例えば95質量%〜99質量%である。バインダを使用する場合には、負極活物質層44に占めるバインダの割合を、負極活物質100質量部に対して例えば0.1質量部〜5質量部程度とすることができ、通常はおよそ0.5質量部〜2質量部とすることが適当である。また、ここに開示される技術において、負極40の厚み方向の圧縮弾性率は一般的なハイレート用途の二次電池における負極よりも高められている。すなわち、負極40の厚み方向の圧縮弾性率は、38MPa以上であり、典型的には、40MPa以上、50MPa以上、60MPa以上であってよく、例えば70MPa以上である。負極40の厚み方向の圧縮弾性率は特に制限されず、例えば100MPa以下であってよく、90MPa以下や88MPa以下であり得る。これにより、体積容量率の高い電池を実現することができる。負極活物質層44のプレス後の厚み(片面の平均厚みである。以下同じ。)は、例えば20μm以上、典型的には40μm以上であって、例えば高容量化の観点からは50μm以上であるとよい。負極活物質層44の平均厚みは、例えば100μm以下、典型的には80μm以下、例えば65μm以下であってよい。また、負極活物質層44の密度は特に限定されないが、例えば0.8g/cm以上、典型的には1.0g/cm以上であって、1.5g/cm以下、典型的には1.4g/cm以下、例えば1.2g/cm以下とすることができる。
セパレータ50は、正極と負極とを電気的に絶縁し、正負極間での電荷担体の移動を可能にする多孔性の部材である。セパレータ50の細孔にも非水電解液が含浸されている。セパレータ50は、多孔質構造の基材層52と、この基材層52の表面に備えられ樹脂粒子を含む粒子層54と、を備えている。
基材層52は、従来よりこの種の二次電池の樹脂セパレータとして使用されている、微多孔性シートによって好適に構成される。この基材層52は、典型的には、乾式または湿式で作製した可塑剤添加フィルムを延伸加工し、電解質の通過経路となる微細な空隙(細孔)を形成することで製造される。この細孔は、一軸延伸法および二軸延伸法のいずれによっても、基材層52の厚み方向に連続する細孔または貫通する細孔として形成される。その結果、基材層52は、厚み方向での電解質透過性には優れるものの、面方向での電解質透過性には乏しいという傾向がある。
粒子層54は、樹脂粒子を含む。粒子層54は、典型的には、樹脂粒子がバインダにより結着され、基材層52上に層状に結合されることで形成される。粒子層54を構成する樹脂粒子の平均粒子径は厳密には制限されないが、例えば50nm以上、典型的には100nmμm以上であって、例えば高空隙率の観点からは300nm以上であるとよい。樹脂粒子の平均粒子径は、例えば1μm以下、典型的には800nm以下、例えば650nm以下であってよい。これにより、粒子層の空隙率を整えるとともに、拡散経路を好適に形成することができる。なお、粒子層54に使用するバインダは、樹脂粒子に対して好適な結着性を示すとともに、電池化学反応に耐性を有する樹脂バインダを特に制限なく用いることができる。このようなバインダとしては、例えば正極活物質層34や負極活物質層44に用いるバインダ(例えば、PVdFやアクリル系バインダ)を適宜使用することができる。粒子層54に占めるバインダの割合は、樹脂粒子100質量部に対して例えば0.1質量部〜5質量部程度とすることができ、例えば0.5質量部〜2質量部とすることが適当である。
またこの粒子層54は、拡散経路54aを含むことによって特徴付けられる。この拡散経路54aは、基材層52上に樹脂粒子が連続して存在しないことによって形成される空隙である。拡散経路54aは、後述する捲回型電極体20の捲回の軸となる捲回軸WLに沿う方向の、セパレータ50の一方の端部と他方の端部とを繋ぐように形成される。この構成により、電解質は拡散経路54aを通じて、捲回型電極体20の一方の端部から他方の端部に容易に移動することができる。換言すると、電解質は、セパレータ50の面方向で容易に移動することができる。これにより、例えば、二次電池1が、一度に大量の電荷を充電したり放電したりするハイレート充放電に供された場合であっても、正極30と負極50との間には、セパレータ50の厚み方向だけでなく、面方向に移動できる電解質の移動経路が提供される。その結果、正極30と負極50との間で電解質がスムーズに移動でき、ハイレート充放電時の抵抗上昇を抑制することができる。
また、ハイレートで充放電する二次電池1においては、繰り返しの充放電に伴い正極または負極が大きく膨張収縮を繰り返す。この電極体20は、電池ケース10によってその変形が制限されるため、電極体20の空隙に存在している非水電解液が電極体20から押し出され、その後上手く電極体20に戻れなくなる事態が発生し得る。これにより、電極体20における非水電解液の塩濃度にムラが生じ、ハイレート抵抗が高まるという課題がある。ここで、上記の粒子層54を備えるセパレータ50は、幅方向(捲回軸WLに沿う方向)の一方の端部から他方の端部に連なる拡散経路54aを備えている。これにより、二次電池1がハイレートで繰り返し充放電を行った場合でも、非水電解液が拡散経路54aを通じて電極体20内に戻りやすい構成が実現される。その結果、電極体20の塩濃度ムラの発生を抑制することができる。
拡散経路54aは、粒子層54のうち、基材層52上に樹脂粒子が連続して存在しないことによって形成される空隙である。拡散経路54aは、例えば、基材層52の表面に意図的に樹脂粒子からなる層を形成しない領域を設けることで構成されていてもよい。拡散経路54aは、図4に示すように、セパレータ50の幅方向に沿って、概ね直線的に設けられていてもよいし、曲線により構成されていてもよい。拡散経路54aの幅は特に制限されないが、例えば、0.5μm以上、1μm以上であってよく、10μm以下、例えば5μm以下であってよい。拡散経路54aは、セパレータ50の幅方向に沿って、概ね直線的に設けられていてもよいし、曲線により構成されていてもよい。拡散経路54aが規則的に設けられることで、粒子層54はストライプ模様を呈していてもよい。
セパレータ50の総厚みは、15μm以上であってよく、20μm以上が好ましく、例えば23μm以上であってよい。総厚みを所定値以上とすることで、セパレータ50の機械的強度(例えば、引張強度や突刺強度)や耐久性を向上することができる。しかしながら、厚すぎるセパレータ50は体積容量率の低下や内部抵抗の上昇をもたらす点において好ましくない。セパレータの総厚みは、例えば30μm以下、例えば25μm以下であるとよい。総厚みを所定値以下とすることで、イオン伝導性を高めて、二次電池1のハイレート充放電特性を向上することができる。なお、セパレータが基材層52と粒子層54とからなる場合、粒子層54の厚みは、概ね2μm以上、例えば4μm以上であって、概ね10μm以下、例えば8μm以下であるとよい。これにより、良好なイオン伝導性を実現すると共に、セパレータ50の機械的強度や耐熱性などの特性を確保することができる。その結果、通常使用時の電池特性と過充電耐性とをより良くバランスすることができる。
なお、セパレータ50および各層の厚みは、例えば電子顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM))観察によって実測することができる。例えば、セパレータ50および各層において、複数箇所で厚みを測定し、その算術平均値を採用することができる。
粒子層54の空隙率は厳密には限定されないが、基材層52の空隙率よりも、概ね1.1倍以上、好ましくは1.2倍以上、例えば1.25倍以上や1.3倍以上大きいとよい。例えば、基材層52の空隙率は、概ね35%以上、典型的には40%以上、例えば45%以上であって、概ね55%以下、典型的には50%以下であるとよい。そして、粒子層54の空隙率(拡散経路を除く)は、概ね55%以上、典型的には60%以上、例えば65%以上であって、概ね75%以下、典型的には70%以下、例えば68%以下であるとよい。また、セパレータ50全体の空隙率は、概ね50%以上、典型的には55%以上、例えば60%以上であって、概ね70%以下、典型的には68%以下、例えば65%以下であるとよい。これにより、二次電池1の通常使用時には、電解液の浸透性や保湿性が高められる。その結果、優れたイオン伝導性を実現することができる。また、セパレータ50の機械的強度や耐久性を確保することができる。
なお、空隙率は、アルキメデス法により測定した値を採用することができる。
なお、セパレータ50を構成する基材層52と粒子層54のいずれか一方は、電池温度が所定の高温になったときに軟化または溶融し、セパレータ50の細孔を閉塞するシャットダウン機能を備えることが好ましい。これにより、過充電等により電池温度が上昇した場合により早い段階で電解質の移動を制限し、安全に電池反応を停止させることができる。シャットダウン機能は、基材層52と粒子層54のいずれに備えられていてもよい。基材層52および粒子層54のうちの一方を、シャットダウン温度(例えば、80〜130℃)に軟化点または融点を有する樹脂により構成することで、当該層にシャットダウン機能を備えることができる。以下、シャットダウン機能を有する層をシャットダウン層という。このとき、シャットダウン機能を備えない層(については、シャットダウン温度よりも十分に高い温度(例えば、150〜180℃)でも軟化または溶融しない樹脂により構成することが好ましい。
シャットダウン層を構成する樹脂としては特に制限されないが、ポリエチレン(PE)系樹脂等の電池化学反応による雰囲気に対する耐久性を有するポリオレフィン樹脂が好適である。ポリエチレン系樹脂は、その融点が、二次電池1の通常使用温度の上限よりも高く、典型的には80℃以上、例えば100℃以上である。したがって、二次電池1の通常使用時には、セパレータ50の多孔質構造は維持され、正極30と負極40との間に良好なイオン伝導パスを提供することができる。ポリエチレン系樹脂は、その軟化点または融点が、概ね130℃以下、典型的には120℃以下、好ましくは110℃以下、例えば100℃以下であるとよい。これにより、二次電池1の内部の温度が大きく上昇する前に、迅速にシャットダウン機能を発現させることができる。なお、樹脂の融点は、一般的な示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)によって測定することができる。
また、シャットダウン機能を発現しない層を構成する樹脂としては、特に制限されないが、例えばポリエチレン系樹脂よりも融点の高い樹脂が挙げられる。以下、シャットダウン機能を発現しない層を「高融点樹脂層」と表現する場合がある。このような高融点樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース類、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂等が例示される。また、例えばPE層に、ポリエチレン樹脂として、LLDPEやLDPE、エチレン−プロピレン共重合体等の低融点ポリエチレン系樹脂を用いる場合には、高融点樹脂層の高融点樹脂として、HDPEやエチレン−酢酸ビニル共重合体等の高融点ポリエチレン系樹脂を用いることもできる。機械的強度(例えば、引張強度や突刺強度)や化学的安定性を向上する観点からは、高融点樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。なお、ここで「ポリオレフィン系樹脂」とは、主鎖骨格にカルボニル単位を含む化合物全般をいうものとする。好適な一例では、高融点樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂を含む多孔質のPP層である。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを主モノマー成分とする(モノマー成分のなかで最も多い割合を占める成分である)樹脂であり、好ましくは、プロピレンの共重合割合が50質量%を超える樹脂である。ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体(ホモポリマー)や、プロピレンを主モノマーとするエチレン−プロピレン共重合体(ランダムコポリマー、ブロックコポリマー)等が例示される。好適には、ポリプロピレン(PP)系樹脂等の電池化学反応による雰囲気に対する耐久性を有するポリオレフィン樹脂であるとよい。
高融点樹脂の融点は、シャットダウン層を構成する樹脂よりも高い限りにおいて特に限定されない。高融点樹脂の融点は、シャットダウン層に含まれる樹脂の融点よりも、概ね5℃以上、典型的には10℃以上、好ましくは20℃以上、例えば30℃以上高いとよい。これにより、シャットダウン層が機能する際に、高融点樹脂層の形状を保持し易くなる。したがって、正極10と負極20との短絡をより良く抑制することができる。また、シャットダウン層と高融点樹脂層とに、それぞれ融点の異なる樹脂を含むことによって、二段階のシャットダウンを可能にすることができる。言い換えれば、高融点樹脂層が第2のシャットダウン層としての機能を好適に発揮して、より高い過充電耐性を実現することができる。高融点樹脂の融点は、概ね100℃以上、典型的には110℃以上、好ましくは130℃以上、例えば150℃以上であるとよい。これにより、セパレータ50の耐熱性を向上することができる。高融点樹脂の融点は、概ね200℃以下、典型的には180℃以下、好ましくは170℃以下、例えば165℃以下であるとよい。これにより、高融点樹脂層が第2のシャットダウン層として機能を好適に発揮し得る。
好適な一例では、比表面積を大きくすることで電池の発熱に対する感受性が高められる粒子層54にシャットダウン機能を備えることが挙げられる。この場合、粒子層54を構成する樹脂粒子を、シャットダウン機能を備える樹脂(例えばPE)により構成するとよい。このような構成によると、セパレータ50がシャットダウン温度に達したときに粒子層54が速やかに溶融し、溶融した粒子層54が基材層52の細孔に流れ込んで当該細孔をスムーズに閉塞することができる。また、基材層52はシャットダウン温度においてもその形状を保ち、正極30と負極40との短絡を好適に抑制することができる。
セパレータ50は、上述のとおり、基材層52よりも粒子層54の方が空隙率が高い。本発明者の検討によれば、正極活物質よりも負極活物質の方が電解質の吸蔵放出に伴う体積変化が大きく、正極活物質層34に比べて負極活物質層44の方が低密度に形成される。換言すると、負極活物質層44に比べて正極活物質層34の方が空隙率が低く、空隙に含浸しうる非水電解液の量が少なくなり。したがって、これに限定されるものではないが、セパレータ50は、空隙率のより高い粒子層54が正極30に対向するように配置することで、正極30に電解質が好適に供給されて、ハイレート充放電を行った場合でも抵抗を低く抑えることができる。
また、図2に示されるように、電極体20は、長尺の正極30と負極40とが2枚のセパレータ50で互いに絶縁された状態に積層され、捲回軸WLを中心に断面長円形に捲回されたいわゆる捲回型電極体である。正極活物質層34の幅W1と、負極活物質層44の幅W2と、セパレータの幅W3とは、W1<W2<W3の関係を満たす。負極活物質層44は幅方向の両端で正極活物質層34を覆い、セパレータ50は幅方向の両端で負極活物質層44を覆う。そしてセパレータ50の粒子層54には、この幅方向で両方の端部を繋ぐように延びる拡散経路54aが備えられている。
非水電解液は、非水溶媒と電解質支持塩とを含んでいる。非水溶媒および電解質支持塩の種類は特に限定されず、従来の二次電池の電解液に使用されているものと同様であってよい。電解質支持塩の好適例は、例えば、LiPF、LiBF等のリチウム塩である。非水溶媒の好適例は、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類等の非プロトン性溶媒である。なかでも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート、および、これらのカーボネートがフッ素化されたフッ素化鎖状またはフッ素化環状カーボネートを、1種または2種以上含むことが好ましい。電解液中のリチウム塩の濃度は、例えば0.8〜1.3mol/Lとすることができる。非水電解液は、その他、被膜形成剤、過充電防止剤などの添加剤を含むことができる。
電池ケース10は、一の面に開口を有するケース本体11と、この開口を封口する蓋部材12と、を備える。本例のケース本体11は、扁平な有底角筒形状を有する。蓋部材12は、ケース本体11の広側面および狭側面の上端部に形成される開口を気密に封止できるように構成されている。蓋部材12には、正極外部端子38および負極外部端子48と、注液孔および安全弁が備えられている。電池ケース10は、これに限定されないものの、例えば、鉄、銅、アルミニウム、チタニウムおよびこれらを含む合金(例えば、鋼)などの金属、または高強度樹脂等により好適に構成される。正極外部端子38および負極外部端子48は、蓋部材12のケース内部側に設けられる正極集電部材38aおよび負極集電部材48aに接続されている。正極集電部材38aおよび負極集電部材48aは、この正負の集電部に接続されている。これにより、正極外部端子38および負極外部端子48を通じて、電極体20に電気エネルギーを充電したり、電極体20から電気エネルギーを取り出したりすることができる。
ここに開示されるリチウムイオン電池は各種用途に利用可能であるが、従来品に比べ、体積容量率を高くした上で、ハイレートでの繰り返し充放電を低抵抗かつ過充電耐性を高めた状態で実現することができる。換言すると、このような優れた電池性能と信頼性(過充電時の熱安定性等の安全性を包含する)とを高いレベルで両立可能なものであり得る。したがって、このような特徴を活かして、高エネルギー密度や高入出力密度が要求される用途、高い信頼性を要求される用途で好ましく用いることができる。かかる用途としては、例えば、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。なお、かかる二次電池は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用され得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をこれらの具体例で示すものに限定することを意図したものではない。
[評価用二次電池の構築]
(例1)
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(LNCM)粉末と、リン酸三リチウム(LPO)粉末と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、まず、LNCM:AB:PVdF=87:10:3の質量比で、かつ、正極活物質層におけるLPOの含有量が8.8質量%となるように配合し、N−メチルピロリドン(NMP)に分散・混合することで正極用スラリーを調製した。このスラリーを、帯状のアルミニウム箔の幅方向の一端に沿って非塗工部を残し、その他の領域に両面に塗布して乾燥した後、ロールプレスすることにより、正極シートを作製した。
負極活物質としての黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比で配合し、イオン交換水と混練することで負極ペーストを調製した。そして用意した負極ペーストを、帯状の銅箔の幅方向の一端に沿って非塗工部を残し、その他の領域に両面に塗布して乾燥した後、ロールプレスすることにより、負極活物質層を備える負極を得た。
延伸加工で作製された厚みが13μmのポリプロピレン系樹脂からなる多孔質PPシートを基材層とし、この基材層の片面に、平均粒子径が約0.5μmのポリエチレン系樹脂粒子(PE粒子)を含むPE粒子層を7μmの厚さに形成して、二層構造のセパレータ(例1)を用意した。なお、PE粒子層は、PE粒子とアクリル樹脂系バインダとを質量比で90:10の割合で含むPE粒子スラリーを基材層の表面に塗布することで形成した。なお、PE粒子スラリーは、PE粒子スラリーを塗布した部分とPE粒子スラリーを塗布していない部分とが、幅方向に延び、かつ、長さ方向で交互に配置され、ストライプ状を呈するように塗布した。このセパレータについてアルキメデス法により測定される空隙率は、60%であった。
用意した正極と負極を、二枚のセパレータを介して下からセパレータ−負極−セパレータ−正極の順で互いに絶縁されるように重ね合わせて積層体とし、次いで捲回することで、捲回型電極体を構築した。このとき、セパレータのPE粒子層がいずれも正極に当接するようにセパレータの向きを調整した。ついで、用意した電極体を電池ケースに収容し、ケースごと電極体を加熱乾燥させた後、電池ケースの注液孔から所定量の非水電解液を電池ケース内に注液して注液孔を封止することで、例1の評価用二次電池とした。なお、非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とをEC:EMC:DMC=3:3:4の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
(例2)
セパレータの基材層として、延伸加工で作製された厚みが16μmのポリプロピレン系樹脂からなる多孔質PPシートを用いた。また、PE粒子層は、厚みを4μmとしたこと以外は例1と同様にして基材層の片面に形成し、例2のセパレータとした。このセパレータのアルキメデス法により測定される空隙率は57%であった。例2のセパレータを用いたこと以外は例1と同様にして、例2の評価用二次電池とした。
(例3)
セパレータの基材層として、延伸加工で作製された厚みが10μmのポリプロピレン系樹脂からなる多孔質PPシートを用いた。また、PE粒子層は、厚みを10μmとしたこと以外は例1と同様にして基材層の片面に形成し、例3のセパレータとした。このセパレータのアルキメデス法により測定される空隙率は66%であった。例3のセパレータを用いたこと以外は例1と同様にして、例3の評価用二次電池とした。
(例4)
例1と同じ二枚のセパレータを用い、セパレータのPE粒子層がいずれも負極に当接するようにセパレータの向きを調整したこと以外は例1と同様にして、例4の評価用二次電池とした。
(例5)
例1のセパレータに代えて、厚さ20μmの不織布からなる例5のセパレータを用いた。このセパレータのアルキメデス法により測定される空隙率は62%であった。例5のセパレータを用いたこと以外は例1と同様にして、例5の評価用二次電池とした。
(例6)
例1のセパレータに代えて、延伸加工で作製された、ポリエチレン系樹脂からなる多孔質PEシートの両面を、ポリプロピレン系樹脂からなる多孔質PPシートで挟んだPP/PE/PP三層構造のセパレータを用いた。このセパレータのアルキメデス法により測定される空隙率は48%であった。例6のセパレータを用いたこと以外は例1と同様にして、例6の評価用二次電池とした。
[コンディショニング]
各例の評価用二次電池に対し、以下のコンディショニングを行った。すなわち、25℃の環境下、1Cにて4.1Vまで定電流(CC)充電し、電流値が1/50Cとなるまで定電圧(CV)充電を行うことで、充電状態(State of Charge:SOC)を満充電(SOC100%)とする初期充電処理を行った。次いで、60℃で24時間保持する初期エージング処理を施し、負極活物質層の表面に被膜を形成した。その後、3.0Vまで1CのレートでCC放電し、このときの充電状態をSOC0%とした。なお、1Cとは、活物質の理論容量から予測される電池容量(Ah)を1時間で充電できる電流値である。
[ハイレートサイクル試験]
コンディショニング後の各例の電池について、まず、初期のIV抵抗を測定した。すなわち、25℃の環境下でSOC56%に調整した各例の電池を、130Aで10秒間放電したときの放電カーブの傾きから初期抵抗値(IV抵抗)を求めた。次いで、25℃の環境下で充電状態をSOC40%に調整した電池に対し、125Aで10秒間充電した後、5秒間の休止期間を挟み、10Aで125秒間放電して、5秒間休止する、ことを1サイクルとするハイレート充放電サイクルを2000サイクル行った。そして、上記の手法でサイクル後のIV抵抗を測定し、次式:抵抗上昇率(%)=サイクル後抵抗÷初期抵抗×100;に基づき抵抗上昇率を算出し、表1に示した。
[過充電耐性評価]
コンディショニング後の各例の電池について、60℃の温度環境下にて、過充電を行った。すなわち、25℃の環境下でSOC56%に調整した各例の電池を60℃の環境で安定させたのち、190Aで10Vに至るまで定電流(CC)充電した。このときの電池温度を観測し、その結果を表1の「過充電耐性」の欄に示した。なお、「過充電耐性」の評価は、「◎」が過充電時の電池温度が150℃以下、「○」が過充電時の電池温度が150℃超過200℃以下、「×」が過充電時の電池温度が200℃超過、を意味している。
Figure 2021068504
[評価]
例5に示されるように、不織布からなるセパレータは、厚み方向と面方向の両方で電解質透過性に優れるため、ハイレートで繰り返し充放電を行ったときであっても抵抗増加が抑制されていることがわかった。しかしながら、不織布からなるセパレータは、過充電したときにシャットダウンする機能を有していない。そのため、過充電により電池温度が容易に上昇し、電池の発熱が200℃を超えてしまうことが確認された。したがって、このセパレータは、安全性の観点から、過充電を行う用途の電池には適さないと言える。
一方、例6のPP/PE/PP三層構造のセパレータは、真ん中のPE層がシャットダウン機能を発現し、過充電によって電池温度が上昇したときに速やかに溶融してPP層の細孔を防ぐ。このことにより、更なる過充電を抑制して電池の発熱を150℃以下という低温段階で停止し、過充電耐性に優れることがわかった。しかしながら、例6のセパレータは、延伸加工で製造され面方向での電解質の移動性に乏しい。その結果、ハイレートで繰り返し充放電を行ったときの抵抗増加が大きくなってしまうことがわかった。このセパレータは、過充電耐性に優れるものの、ハイレートサイクル時の抵抗増加の観点から検討の余地があると言える。
これに対し、例1〜4のセパレータを用いた電池は、過充電耐性に優れるとともに、例6の電池よりもハイレート充放電時の抵抗上昇率が低く抑えられ、過充電耐性とハイレート特性とに優れていることがわかった。これは以下の理由によると考えられる。
すなわち、例1〜4のセパレータは、粒子層がPE粒子により構成されていることからシャットダウン機能を有し、過充電時には速やかに充放電を停止させて、更なる発熱を抑制できる。また、延伸加工により製造された基材層は、通常、厚み方向での電解質透過性には優れるものの、面方向での電解質透過性が低く、ハイレートで充放電する場合に電極は広範囲からの電解質の吸蔵と放出とが妨げられる。しかしながら、例1〜4のセパレータは、粒子層がPE粒子により構成され、かつ、セパレータの幅方向に沿って拡散層が形成されている。このことにより、セパレータの厚み方向だけでなく面方向での電解質移動性が高められ、電極は厚み方向だけでなく面方向においても電解質の吸蔵と放出とが可能とされる。その結果、ハイレートの充放電を低抵抗で行うことができる。
ただし、例3に示されるように、PE粒子層の厚みが多くなりすぎると空隙率が高くなりすぎ、過充電時にPE粒子層がシャットダウンしたときの収縮量が大きくなりすぎ、耐性がやや劣る傾向が見られる。したがって、粒子層がシャットダウン機能を備える場合、粒子層はセパレータの厚みの50%以下であると良いといえる。
また、例1と例4との比較から、ビーズ層は正極に接するように配置した方が、負極に接するように配置する場合よりもハイレート充放電時の抵抗増加が抑制され得ることがわかった。これは、一般に、充放電による体積膨張の大きい負極活物質層よりも、体積膨張が小さい正極活物質層の方が、高密度に形成されることと関連している。すなわち、高密度の正極は非水電解液を保持し難い。そのため、空隙率の高い粒子層を正極側に配置させることで、正極活物質層に多量の電解質をよりスムーズに供給でき、抵抗増加が効果的に抑制されると考えられる。
以上の結果から、セパレータの基材層に拡散経路を有する粒子層を備えることで、ハイレート特性と過充電耐性とを好適に両立できることがわかった。この粒子層は、正極と負極のうち、正極に面する側に配置することで、ハイレート充放電時の抵抗増加を依り効果的に低減できることもわかった。また、粒子層は、過充電時の安全性を高めるためには、おおよそ50%以下の厚みにしたり、セパレータ全体の空隙率を66%以下程度に抑えたりするとよいといえる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 二次電池
10 電池ケース
20 捲回電極体
30 正極
40 負極
50 セパレータ
52 基材層
54 粒子層
54a 拡散経路

Claims (1)

  1. 正極と負極と前記正極および前記負極の間に介在されたセパレータとが捲回されてなる電極体と、非水電解液と、を備え、
    前記セパレータは、多孔質構造の基材層と、前記基材層の表面に備えられ樹脂粒子を含む粒子層と、
    を備え、
    前記粒子層は、前記捲回の軸となる捲回軸に沿う方向の一方の端部と他方の端部とを繋ぐ拡散経路を含み、
    前記基材層と前記粒子層とのいずれか一方は、所定の温度以上に加熱されたときに溶融または軟化して電解質の移動を遮断するシャットダウン機能を有する、非水電解液二次電池。
JP2019190631A 2019-10-18 2019-10-18 非水電解液二次電池 Active JP7296042B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019190631A JP7296042B2 (ja) 2019-10-18 2019-10-18 非水電解液二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019190631A JP7296042B2 (ja) 2019-10-18 2019-10-18 非水電解液二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021068504A true JP2021068504A (ja) 2021-04-30
JP7296042B2 JP7296042B2 (ja) 2023-06-22

Family

ID=75637489

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019190631A Active JP7296042B2 (ja) 2019-10-18 2019-10-18 非水電解液二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7296042B2 (ja)

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014509777A (ja) * 2011-04-06 2014-04-21 エルジー・ケム・リミテッド セパレータ及びこれを備える電気化学素子
JP2015099777A (ja) * 2013-11-19 2015-05-28 三星エスディアイ株式会社Samsung SDI Co.,Ltd. リチウム電池用セパレータ、それを含むリチウム電池及び該リチウム電池の製造方法
JP2016107642A (ja) * 2014-12-09 2016-06-20 旭化成イーマテリアルズ株式会社 多層多孔膜及び蓄電デバイス用セパレータ
JP2016122648A (ja) * 2012-07-26 2016-07-07 旭化成株式会社 蓄電デバイス用セパレータ、積層体、及び多孔膜
KR20170112250A (ko) * 2016-03-31 2017-10-12 주식회사 엘지화학 접착층을 포함하는 전기화학소자용 분리막 및 이를 포함하는 전극 조립체
JP2018530860A (ja) * 2015-08-25 2018-10-18 エルジー・ケム・リミテッド 接着層を含む電気化学素子用の複合分離膜及びこれを備えた電気化学素子
CN208674245U (zh) * 2018-10-22 2019-03-29 江苏卓高新材料科技有限公司 一种新型锂离子电池用隔膜
JP2019169336A (ja) * 2018-03-23 2019-10-03 旭化成株式会社 微細パタンを有する多孔質フィルム
WO2020004205A1 (ja) * 2018-06-26 2020-01-02 旭化成株式会社 微細パタンを有するセパレータ、捲回体および非水電解質電池

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014509777A (ja) * 2011-04-06 2014-04-21 エルジー・ケム・リミテッド セパレータ及びこれを備える電気化学素子
JP2016122648A (ja) * 2012-07-26 2016-07-07 旭化成株式会社 蓄電デバイス用セパレータ、積層体、及び多孔膜
JP2015099777A (ja) * 2013-11-19 2015-05-28 三星エスディアイ株式会社Samsung SDI Co.,Ltd. リチウム電池用セパレータ、それを含むリチウム電池及び該リチウム電池の製造方法
JP2016107642A (ja) * 2014-12-09 2016-06-20 旭化成イーマテリアルズ株式会社 多層多孔膜及び蓄電デバイス用セパレータ
JP2018530860A (ja) * 2015-08-25 2018-10-18 エルジー・ケム・リミテッド 接着層を含む電気化学素子用の複合分離膜及びこれを備えた電気化学素子
KR20170112250A (ko) * 2016-03-31 2017-10-12 주식회사 엘지화학 접착층을 포함하는 전기화학소자용 분리막 및 이를 포함하는 전극 조립체
JP2019169336A (ja) * 2018-03-23 2019-10-03 旭化成株式会社 微細パタンを有する多孔質フィルム
WO2020004205A1 (ja) * 2018-06-26 2020-01-02 旭化成株式会社 微細パタンを有するセパレータ、捲回体および非水電解質電池
CN208674245U (zh) * 2018-10-22 2019-03-29 江苏卓高新材料科技有限公司 一种新型锂离子电池用隔膜

Also Published As

Publication number Publication date
JP7296042B2 (ja) 2023-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7378185B2 (en) Prismatic lithium secondary battery having a porous heat resistant layer
KR101955061B1 (ko) 세퍼레이터, 전지, 전지 팩, 전자 기기, 전동 차량, 축전 장치 및 전력 시스템
JP4519796B2 (ja) 角型リチウム二次電池
JP5828346B2 (ja) リチウム二次電池
US7419743B2 (en) Cylindrical lithium battery resistant to breakage of the porous heat resistant layer
US10026941B2 (en) Separator for nonaqueous electrolyte secondary battery, and battery including same
JP6152825B2 (ja) 非水電解液二次電池
KR20160115722A (ko) 비수전해질 2차 전지
JP2005285447A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2014096269A (ja) 非水系二次電池
US20060251963A1 (en) Non-aqueous electrolyte secondary battery
JP2020145093A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2016091870A (ja) 非水電解液二次電池
JP6094815B2 (ja) 非水電解質二次電池およびその製造方法
WO2017098716A1 (ja) 蓄電素子
JP5871158B2 (ja) 非水系二次電池
US20160276643A1 (en) Non-aqueous electrolyte secondary battery
KR101799172B1 (ko) 비수전해질 이차 전지
JP4824450B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP7365566B2 (ja) 非水電解液二次電池
JP6735036B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP7296042B2 (ja) 非水電解液二次電池
JP6950532B2 (ja) 蓄電素子
JP2018147644A (ja) 蓄電素子
JP7430665B2 (ja) 二次電池の集電体およびその製造方法、ならびに二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220314

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230511

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230524

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7296042

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151