JP2021068493A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】作動時の内部抵抗が低い燃料電池を提供する。【解決手段】カソード2と、アノード3と、カソード及びアノードの間に介在する固体電解質層4とを含むセル構造体、カソードに酸化剤を供給するための酸化剤流路23、アノードに燃料を供給するための燃料流路53、アノード側セパレータ52、及び、カソード側セパレータ22、を備え、アノード側セパレータと前記アノードの間、または、カソード側セパレータとカソードの間の少なくともいずれか一方に、集電体21,51が設けられ、集電体は線材が編み込まれた金属メッシュであり、線材の少なくとも表層に耐腐食層を備える、燃料電池。【選択図】図1

Description

本発明は、電解質層として固体酸化物を含む、燃料電池に関する。
燃料電池は、水素などの燃料ガスと空気(酸素)との電気化学反応によって発電する装置であり、化学エネルギーを電気に直接変換できるため、発電効率が高い。なかでも、作動温度が700℃以上、特には800℃〜1000℃程度である固体酸化物型燃料電池(以下、SOFCと称する)は、反応速度が速いため、有望視されている。SOFCには、固体酸化物を含む電解質層が、セラミックス(焼結体)により形成される2枚の電極で挟まれて一体化されたMEA(Membrane Electrode Assembly、膜−電極接合体)が使用される。すなわち、MEAの構成要素がすべて固体であるため、取り扱いが容易である。
固体電解質として、酸素イオン伝導性を有する金属酸化物、例えばイットリウム安定化ジルコニア(YSZ:Yttria-Stabilized Zirconia)が使用されている。酸素イオン伝導性のYSZを電解質として使用するSOFCの作動温度は、750℃〜1000℃の高温である。加熱に必要なエネルギー消費の低減や、耐高温性を有する材料の選択性の観点から、安価な汎用ステンレス鋼を利用できる400℃〜600℃の中温域で作動するSOFCの開発が進められている。BaCe0.80.22.9(BCY)、BaZr0.80.22.9(BZY)などのペロブスカイト酸化物は、中温域で高いプロトン伝導性を示すため、中温型燃料電池の固体電解質として期待されている。
通常、大きな電力を得るために、複数のMEAが積層されて配置され、MEA同士の間には、燃料ガスと空気とを分離するインターコネクタ(セパレータ)が配置される。インターコネクタは、発生した電流を外部へ取り出すための集電機能も有する。
燃料電池には、MEAに燃料ガスあるいは空気を供給するため、MEAに隣接するガス流路が必要とされる。ガス流路を確保するために、例えば特許文献1では、MEAとインターコネクタとの間にエキスパンドメタルが配置されている。特許文献2は、インターコネクタに、エッチング等によりガス流路となるディンプルを形成する方法を教示している。
特開2007−250297号公報 国際公開第2003/12903号パンフレット
セルに流れる電子は、アノードおよび/またはカソードに接触する金属材料を経由して集電される。このとき、アノードおよび/またはカソードと接触する金属材料が少ないと、電子が流れにくくなって、抵抗が高くなる。特許文献1の方法では、ガス流路の確保のために配置されるエキスパンドメタルが、集電体としての役割も担う。しかし、エキスパンドメタルは孔径が大きいため、抵抗が高くなり易い。
そこで、集電性を主な役割とする材料と、ガス拡散性を主な役割とする材料とを、それぞれ別に配置することが考えられる。例えば、セルとインターコネクタとの間に、集電機能を主な役割とする金属材料(集電体)を配置する。
上述の通り、700℃〜1000℃の高温で作動するSOFCは、稼動と停止を繰り返すと、室温から1000℃までの広範な温度変化にさらされる。このため、集電体には、高い耐熱衝撃性が必要とされる。また、集電体は、高温環境における耐腐食性に優れた材料が好ましい。特に空気(酸化性ガス)と接触するカソード側の集電体には、高温の高酸化性雰囲気にさらされるため、高い耐腐食性が必要とされる。
本発明の一局面は、カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に介在する固体電解質層とを含むセル構造体、カソードに酸化剤を供給するための酸化剤流路、アノードに燃料を供給するための燃料流路、アノード側セパレータ、及び、カソード側セパレータ、を備えた燃料電池セル、を備え、前記アノード側セパレータと前記アノードの間、または、前記カソード側セパレータと前記カソードの間の少なくともいずれか一方に、集電体が設けられ、前記集電体は線材が編み込まれた金属メッシュであり、前記線材の少なくとも表層に耐腐食層を備える燃料電池に関する。
本発明の上記一局面によれば、燃料電池の作動時の内部抵抗を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る燃料電池の構成を模式的に示す断面図である。 図1の燃料電池に含まれるセル構造体を模式的に示す断面図である。 Ni−Sn層を含む耐腐食層の一例のSEM写真である。 燃料電池のアノード側セパレータとカソード側セパレータとの間の電圧の稼働回数増に伴う経時変化を、電圧の減少割合(劣化率)の変化として示すグラフである。 燃料電池のアノード側セパレータとカソード側セパレータとの間の電圧の稼働回数増に伴う経時変化を、電圧の減少割合(劣化率)の変化として示すグラフである。
[発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の一実施形態に係る燃料電池は、カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に介在する固体電解質層とを含むセル構造体、カソードに酸化剤を供給するための酸化剤流路、アノードに燃料を供給するための燃料流路、アノード側セパレータ、及び、カソード側セパレータ、を備え、
アノード側セパレータとアノードの間、または、カソード側セパレータと前記カソードの間の少なくともいずれか一方に、集電体が設けられ、
集電体は線材が編み込まれた金属メッシュであり、線材の少なくとも表層に耐腐食層を備えている。
本発明の上記実施形態によれば、耐腐食層が線材の少なくとも表層に形成された金属メッシュを集電体として、アノード側セパレータとアノードの間、または、カソード側セパレータとカソードの間に設けたことで、燃料電池の作動時の抵抗が低減される。上記メッシュで構成された集電体は、高い耐熱性と耐熱衝撃性を有しており、熱衝撃後の作動抵抗の増加が抑制される。また、耐腐食層が形成されていることで、メッシュの耐酸化性が向上し、高燃料利用率で稼動時の内部抵抗の上昇が抑制される。
(2)耐腐食層は、NiおよびSnを含むことが好ましい。耐熱性を備えた耐腐食層を容易に形成できる。
Snは、メッシュを構成する線材と合金を形成し易く、耐腐食層を形成し易い。なかでも、NiとSnの合金は、高い耐熱性および耐腐食性(耐酸化性)を有している。NiおよびSnを含む耐腐食層は、NiメッシュをSn層またはNiとSnの合金層でめっきすることにより形成してもよい。
例えば、Niメッシュの表面を、めっき処理等を用いてSn層またはNiとSnの合金層で被覆した後、還元雰囲気下で熱処理することによって、SnがNi線材の内部に拡散し、線材の表層から一定の深さの領域までを、NiとSnとの合金層(以下において、適宜「Ni−Sn層」と称する)に変化させることができる。Ni−Sn層は、耐腐食層を形成する。
(3)好ましくは、耐腐食層内において、Niに対するSn濃度が異なる第1相と第2相が共存しており、第1相のSn濃度が第2相のSn濃度よりも高い。
耐腐食層であるNi−Sn層中には、Niに対するSn濃度が高い第1相と、Niに対するSn濃度が第1相よりも低い第2相とが共存していてもよい。第1相では、NiとSnが金属間化合物(例えば、NiSn)の形で存在している。第2相は、Niを主成分とする相であり、SnがNi中に固溶した形で存在していると考えられる。上記第1および第2相のうち、金属間化合物相である第1相が、第2相より高い耐腐食性を有している。したがって、耐腐食層内の第1相と第2相の合計に占める第1相の割合が高いほど、耐腐食層は、耐腐食性に優れる。しかしながら一方で、第1相の割合が高いほど、耐熱性が低下し、電気伝導性が低下する。
上記Ni−Sn層内において、NiとSnとの組成比は、耐腐食性を高める観点から、Ni−Sn層に含まれるSnの割合が、NiとSnの全量を100質量%として4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。一方で、高い耐熱性および電気伝導性を維持する観点から、Ni−Sn層に含まれるSnの割合が、Ni−Sn層に含まれるNiとSnの全量を100質量%として15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。このような条件を満たす組成比でNi−Sn層中にSnが含まれるとき、Ni−Sn層は、NiSnを主成分とする金属間化合物相(第1相)と、Niを主成分とし、Ni中にSnが固溶した相(第2相)との2相が観察される。第1相と第2相が共存することで、耐腐食性、耐熱性および良好な電気伝導性を確保できる。
図3に、Ni−Sn層の断面のSEM写真を示す。図3は本発明と同様にしてNi−Sn層を形成した金属多孔体(セルメット)の断面写真である。しかしながら、Ni−Sn金属メッシュにおいても、少なくとも表層において図3と同様の組成分布を示す。
図3から分かるように、Ni−Sn層は、Location 1として示される部分(第1相)と、Location 2として示される、Location 1よりも黒色の濃い灰色の部分(第2相)の2相が観察される。Location 1では、Ni、Sn、およびO(酸素)が、原子分率でそれぞれ、75at%、18at%、7at%の割合で含まれていた。このことから、Location 1では、NiおよびSnの大半は、金属間化合物NiSnの形で存在していると考えられる。一方、Location 2では、Ni、Sn、およびOが、原子分率でそれぞれ、91at%、4at%、5at%の割合で含まれていた。このことから、Location 2では、SnはNiに固溶した状態で含まれていると考えられる。
メッシュを構成する線材の全部が、Ni−Sn層であることがより好ましい。
また、金属メッシュの表面を、NiおよびSnを含む層で被覆することによっても、Ni−Sn層を線材の少なくとも表層に形成することができる。この場合、金属メッシュを構成する線材はNiに限られない。
(4)(1)において、集電体は、アノード側セパレータとアノードの間に設けられることができる。以下において、アノード側セパレータとアノードの間に設けられた集電体を、適宜「アノード側集電体」と称する。
アノードでは、水素などの燃料を酸化して、プロトンと電子とを放出する反応が進行する。アノードおよびアノード側集電体周辺の雰囲気は、水素ガスが含まれていることから、基本的に還元性の雰囲気である。しかしながら、高温で、且つ高い燃料利用率で稼動させる場合には、アノード側で水(水蒸気)の量が多くなり、アノード側集電体の周辺の雰囲気が酸化性に傾く。
アノード側集電体として、例えば多孔質のニッケル焼結体や、ニッケルのみからなる金属メッシュを用いる場合には、高温且つ高い燃料利用率での稼動において、ニッケルが酸化され易く、これに伴って内部抵抗が上昇し易い。しかしながら、上記実施形態によれば、金属メッシュの線材の少なくとも表層に耐腐食層を形成したことから、耐酸化性が向上しており、高温且つ高い燃料利用率での稼動においても金属メッシュが酸化され難く、内部抵抗の上昇を抑制できる。
(5)(4)において、固体電解質層が、酸素イオン伝導性を有してもよい。この場合、アノード側において、プロトンと酸化物イオンが反応して水が生成する。したがって、アノード側集電体の周辺の雰囲気が酸化性雰囲気となり易い。この場合においても、上記実施形態によれば、金属メッシュの線材の少なくとも表層に耐腐食層を形成したことから、金属メッシュが酸化され難く、内部抵抗の上昇を抑制できる。
(6)(4)において、燃料電池の作動温度が800℃以上であってもよい。このような高温では、アノード側集電体の周辺の雰囲気が高い酸化性雰囲気となり易いが、金属メッシュの線材の少なくとも表層に耐腐食層を形成したことから、金属メッシュが酸化され難く、内部抵抗の上昇を抑制できる。
(7)(4)において、燃料利用率が75%以上であってもよい。このような高い燃料利用率では、アノード側集電体の周辺の雰囲気が高い酸化性雰囲気となり易いが、金属メッシュの線材の少なくとも表層に耐腐食層を形成したことから、金属メッシュが酸化され難く、内部抵抗の上昇を抑制できる。
なお、燃料利用率とは、燃料流路を介して燃料電池に供給した燃料量のうち、実際に電池反応に使用された燃料量の割合を指す。燃料利用率は、燃料電池により流れた電流量、および、燃料流路を介して供給された燃料ガスの流量に基づいて算出できる。
(8)(1)において、集電体は、カソード側セパレータとカソードの間に設けられることができる。以下において、カソード側セパレータとカソードの間に設けられた集電体を、適宜「カソード側集電体」と称する。カソードでは、酸化剤流路から導入された酸化剤(酸素)が解離し、酸化物イオンが生成される。このため、カソードおよびカソード側集電体の周辺は、高温であり、且つ高酸化性の雰囲気にさらされている。
耐酸化性のカソード側集電体として、例えばカソード材料としても用いられるランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)のペーストが用いられている。しかしながら、この場合、高温での稼動と稼動停止を繰り返すことで、LSCFが熱衝撃により割れ、酸化物ペーストが脱落し易く、これに伴って内部抵抗が上昇し易い。これに対し、上記実施形態によれば、金属メッシュは高い耐熱性および耐熱衝撃性を有し、且つ、金属メッシュの線材の少なくとも表層に耐腐食層を形成したことにより耐酸化性を備えている。このため、金属メッシュをカソード側集電体に用いることで、燃料電池作動時の内部抵抗の上昇を抑制できる。
(9)(8)において、燃料電池セルの作動温度が700℃以下であることが好ましい。上記の作動条件の場合に、耐腐食層を少なくとも表層に設けた金属メッシュをカソード側集電体に用いて、内部抵抗の上昇を抑制し易い。
固体電解質層として、上述したBCY、BZYなどのプロトン伝導性を示す材料を用いたSOFCは、400℃〜600℃の中温域で作動するため、耐腐食層を表層に設けた金属メッシュを、カソード側集電体として好適に用いることができる。他のプロトン伝導性の固体電解質層を用いたSOFC、または、酸素イオン伝導性の固体電解質層を用いたSOFCにおいても、700℃以下で作動させる場合には、上記実施形態の金属メッシュをカソード側集電体として好ましく利用できる。
[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態の具体例を、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
(金属メッシュ)
金属メッシュは、金属線材を編み込んでメッシュに加工したものであり、線材は耐腐食層を備えている。耐腐食層は、予め耐腐食層を形成した線材を編みこんでメッシュに加工してもよいし、線材をメッシュに加工後に、メッシュ表面に耐腐食層を形成する処理を行ってもよい。耐腐食層の形成は、めっき処理により行うことが好ましい。他に、例えば、蒸着、化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)、プラズマCVD、スパッタリング等の気相法、あるいは金属ペーストの塗布により行ってもよい。めっき処理、蒸着処理、およびスパッタリング処理は、耐腐食層の材料に応じて、公知の方法で行うことができる。
メッシュを構成する線材金属としては、例えば、Cu、Fe、Ni、Ag、Zn、真鍮、フェロクロム(FeとCrの合金)、ステンレス鋼(SUS)等、任意の金属又は合金材料を使用できる。メッシュを構成する金属は、耐腐食層との親和性を考慮して選択される。なかでも、集電体として使用するための低い抵抗率、耐熱性、コストの点で、Niを採用することが好ましい。この場合、耐腐食層として、Ni−Si合金層を好ましく採用できる。
耐腐食層としてのNi−Sn合金層は、例えば、塩化第1スズ、塩化ニッケル、および、ピロリン酸カリウムを含むめっき液を用いた電解めっき処理により形成することができる。または、例えば、硫酸および硫酸第1スズを含むめっき液を用いた電解めっき処理により、Snめっき層を下地のNi線材上に形成し、その後に800〜1000℃の還元雰囲気での熱処理によってNi線材内にSnを拡散させてもよい。これにより、Ni−Sn合金層を形成できる。
また、Fe−Cr合金に、耐腐食層としてCoやMnを被覆した金属メッシュを用いてもよい。
金属メッシュの網目の大きさ(目開き)は、例えば、一辺が0.5mm〜1mmの正方形である。
上記の耐腐食層を形成したメッシュは、固体酸化物型燃料電池(SOFC)のアノード側集電体またはカソード側集電体に用いられる。
(燃料電池)
図1に、本発明の一実施形態に係る燃料電池(固体酸化物型燃料電池)の構成を模式的に示す。
燃料電池10は、セル構造体1を含む。セル構造体の断面模式図の一例を図2に示す。図2に示すように、セル構造体1は、カソード2と、アノード3と、これらの間に介在する固体電解質層4とを含む。なお、図示例では、アノード3と固体電解質層4とは一体化され、電解質層−電極接合体5を形成している。
燃料電池10は、セル構造体1のほか、図1に示すように、カソードに酸化剤を供給するための酸化剤流路23と、アノードに燃料を供給するための燃料流路53と、カソード側セパレータ22と、アノード側セパレータ52と、を備える。図1の例では、酸化剤流路23がカソード側セパレータ22によって形成され、燃料流路53がアノード側セパレータ52によって形成されている。セル構造体1は、カソード側セパレータ22と、アノード側セパレータ52との間に挟持されている。カソード側セパレータ22の酸化剤流路23は、セル構造体1のカソード2に対向するように配置され、アノード側セパレータ52の燃料流路53は、アノード3に対向するように配置される。
以下に、燃料電池セルの個々の構成要素について、更に説明する。
(固体電解質層)
固体電解質層としては、所定の温度域でプロトン伝導性または酸素イオン伝導性を有するものが用いられる。固体電解質層は、公知の材料を用いることができる。酸素イオン伝導性を有する金属酸化物として、例えば、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ:Yttria-Stabilized Zirconia)が挙げられる。この場合、YSZを電解質として使用するSOFCは、750℃〜1000℃の高温で作動させる必要がある。
また、プロトン伝導性を有する金属酸化物として、例えば、BaCe0.80.22.9(BCY)、BaZr0.80.22.9(BZY)などのペロブスカイト酸化物が挙げられる。BCYおよびBZYは、400℃〜600℃の中温域で高いプロトン伝導性を示すため、中温型燃料電池の固体電解質層として利用可能である。
これらの金属酸化物は、例えば、焼結により形成し、固体電解質層として用いることができる。
固体電解質層がプロトン伝導性を有する場合、固体電解質層4は、アノード3で生成されたプロトンをカソード2へ移動させる。固体電解質層が酸素イオン伝導性を有する場合、固体電解質層4は、カソード2で生成された酸化物イオンをアノード3へと移動させる。
固体電解質層の厚みは、例えば、1μm〜50μm、好ましくは3μm〜20μmである。固体電解質層の厚みがこのような範囲である場合、固体電解質層の抵抗が低く抑えられる点で好ましい。
固体電解質層は、カソードおよびアノードとともにセル構造体を形成し、燃料電池に組み込むことができる。セル構造体において、固体電解質層は、カソードとアノードとの間に挟持されており、固体電解質層の一方の主面は、アノードに接触し、他方の主面はカソードと接触している。
(カソード)
カソードは、多孔質の構造を有している。プロトン伝導性の固体電解質層を用いる場合、カソードでは、固体電解質層を介して伝導されたプロトンと、酸化物イオンとの反応(酸素の還元反応)が進行する。酸化物イオンは、酸化剤流路から導入された酸化剤(酸素)が解離することにより生成する。
カソード材料としては、公知の材料を用いることができる。カソード材料として、例えば、ランタンを含み、かつペロブスカイト構造を有する化合物(フェライト、マンガナイト、および/またはコバルタイトなど)が好ましく、これらの化合物のうち、さらにストロンチウムを含むものがより好ましい。具体的には、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF、La1−x1Srx1Fe1−y1Coy13−δ1、0<x1<1、0<y1<1、δ1は酸素欠損量である)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM、La1−x2Srx2MnO3−δ1、0<x2<1、δ1は酸素欠損量である)、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC、La1−x3Srx3CoO3−δ1、0<x3≦1、δ1は酸素欠損量である)等が挙げられる。プロトンと酸化物イオンとの反応を促進させる観点から、カソードは、Pt等の触媒を含んでいても良い。触媒を含む場合、カソードは、触媒と上記材料とを混合して、焼結することにより形成することができる。
カソードは、例えば、上記の材料の原料を焼結することにより形成することができる。必要に応じて、原料とともに、バインダ、添加剤、および/または分散媒などを用いてもよい。
カソードの厚みは、特に限定されないが、例えば、5μm〜2mmから適宜決定でき、5μm〜40μm程度であってもよい。
(アノード)
アノードは、多孔質の構造を有している。アノードでは、燃料流路から導入される水素などの燃料を酸化して、プロトンと電子とを放出する反応(燃料の酸化反応)が進行する。酸素イオン伝導性の固体電解質層を用いる場合、アノードにおいて、固体電解質層を介して伝導された酸化物イオンとプロトンとの反応(酸素の還元反応)が進行する。
アノードの材料としては、公知の材料を用いることができる。アノード材料として、例えば、プロトン伝導性の固体電解質層を用いる場合、触媒成分である酸化ニッケル(NiO)と、固体電解質層を構成するプロトン伝導体(酸化イットリウム(Y)、BCY、BZYなど)との複合酸化物などが挙げられる。酸素イオン伝導性の固体電解質層を用いる場合、触媒および電子伝導体成分である酸化ニッケル(NiO)と、固体電解質層を構成する酸素イオン伝導体(YSZなど)との複合酸化物などが挙げられる。
アノードは、例えば、原料を焼結することにより形成することができる。例えば、NiO粉末とプロトン伝導体の粉末などとの混合物を焼結することによりアノードを形成できる。
アノードの厚みは、例えば、10μm〜2mmから適宜決定でき、100μm〜600μmであってもよい。
図1および図2では、アノード3の厚みがカソード2よりも大きくなっており、アノード3が固体電解質層4(ひいてはセル構造体1)を支持する支持体として機能している。なお、アノード3の厚みを、必ずしもカソード2よりも大きくする必要はなく、例えば、アノード3の厚みはカソード2の厚みと同程度であってもよい。
なお、図示例では、アノードと固体電解質層とが一体化された例を示したが、この場合に限らず、カソードと固体電解質層とが一体化されて、電解質層−電極接合体を形成してもよい。
酸化剤流路23は、酸化剤が流入する酸化剤入口と、反応で生成した水や未使用の酸化剤などを排出する酸化剤排出口を有する(いずれも図示せず)。酸化剤としては、例えば、酸素を含むガスが挙げられる。燃料流路53は、燃料ガスが流入する燃料ガス入口と、未使用の燃料、反応により生成するHO、N、CO等を排出する燃料ガス排出口を有する(いずれも図示せず)。燃料ガスとしては、水素、メタン、アンモニア、一酸化炭素等の気体を含むガスが例示される。
(集電体)
燃料電池10は、カソード2とカソード側セパレータ22との間に配置されるカソード側集電体21と、アノード3とアノード側セパレータ52との間に配置されるアノード側集電体51とを、備えてもよい。カソード側集電体21は、集電機能に加え、酸化剤流路23から導入される酸化剤ガスをカソード2に拡散させて供給する機能を果たす。アノード側集電体51は、集電機能に加え、燃料流路53から導入される燃料ガスをアノード3に拡散させて供給する機能を果たす。そのため、各集電体は、十分な通気性を有する構造体であることが好ましい。
アノード側集電体51として、上述の耐腐食層を有する金属メッシュを用いることができる。上記メッシュは、作動温度が800℃以上の場合、特に、燃料利用率が75%以上となる高温の酸化性雰囲気にさらされる場合においても、十分な耐熱性および耐酸化性を有している。勿論、作動温度が800℃未満、または燃料利用率が75%未満の条件においても、上記メッシュをアノード側集電体51として使用するのに支障はない。
燃料電池10の作動温度が800℃未満、または燃料利用率が75%未満の場合には、アノード側集電体51として、上記メッシュの他に、例えば、銀、銀合金、ニッケル、ニッケル合金等を含む金属多孔体、(耐腐食層を有しない)金属メッシュ、パンチングメタル、エキスパンドメタル等を用いることも可能である。なかでも、軽量性や通気性の点で、金属多孔体が好ましい。特に、三次元網目状の構造を有する金属多孔体が好ましい。三次元網目状の構造とは、金属多孔体を構成する棒状や繊維状の金属が相互に三次元的に繋がり合い、ネットワークを形成している構造を指す。例えば、スポンジ状の構造や不織布状の構造が挙げられる。
金属多孔体は、例えば、連続空隙を有する樹脂製の多孔体を、前記のような金属で被覆することにより形成できる。金属被覆処理の後、内部の樹脂が除去されると、金属多孔体の骨格の内部に空洞が形成されて、中空となる。このような構造を有する市販の金属多孔体としては、住友電気工業(株)製のニッケルの「セルメット」等を用いることができる。
カソード側集電体21は、アノード側よりも高い酸化性雰囲気にさらされるため、アノード側集電体51よりも耐酸化性に優れた材料が望まれる。一般に、例えば、カソードを構成する材料であるLSCFをペースト状に加工したものを用いることができる。
しかしながら、燃料電池10の作動温度が700℃以下の場合、特に燃料利用率が75%以下の場合には、カソード側集電体21として、上述の耐腐食層を有する金属メッシュを好適に用いることができる。耐腐食層を有するメッシュは、LSCFと比べて高い耐熱衝撃性を有している。
(セパレータ)
複数のセル構造体が積層されて、燃料電池が構成される場合には、例えば、セル構造体1と、カソード側セパレータ22と、アノード側セパレータ52とが、一単位として積層される。複数のセル構造体1は、例えば、両面にガス流路(酸化剤流路および燃料流路)を備えるセパレータにより、直列に接続されていてもよい。
セパレータの材料としては、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の耐熱合金が例示できる。なかでも、安価である点で、ステンレス鋼が好ましい。プロトン伝導性固体酸化物型燃料電池(PCFC:Protomic Ceramic Fuel Cell)では、作動温度が400℃〜600℃程度であるため、ステンレス鋼をセパレータの材料として用いることができる。
酸素イオン伝導性の固体電解質を用いる場合など、800℃程度以上の高温で作動させるSOFCの場合は、セパレータの材料として、ニッケル基合金、クロム基合金等が用いられる。
燃料電池は、上記のセル構造体を用いる以外は、公知の方法により製造できる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下のようにして、固体電解質層としてYSZを用いた燃料電池を作成し、評価した。
(1)金属メッシュの作成
Niメッシュ(太陽金網製、目開き0.5mm)を、硫酸第1スズ、硫酸、クレゾールスルホン酸、ゼラチン、および、βナフトールを含むめっき液に浸し、電解めっき処理を行った。その後、1000℃の水素雰囲気下で2時間、熱処理を行った。これにより、Ni−Sn層を備えた金属メッシュ(Ni−Snメッシュ)X1を得た。
(2)セル構造体の作製
ZrO2とY23との固溶体であるYSZ粉末に、NiO(触媒原料)を70体積%含むようにNiOを混合し、ボールミルによって粉砕混練した。YSZ中のZrとYとの比率(原子組成比)は90:10とした。得られた混合物(55体積%)と、バインダ(PVB系樹脂、45体積%)とを含むスラリーを、ドクターブレード法によって、厚み1.0mmのシート状に加工し、アノード前駆体シートを得た。同様にして、上記YSZ粉末(55体積%)と、バインダ(PVB系樹脂、45体積%)とを含むスラリーを、ドクターブレード法によって厚み12μmのシート状に加工し、固体電解質層の前駆体シートを得た。
これらの前駆体シートを重ねてラミネートし、全体の厚みが約1.0mmの積層シートを得た。次に、得られた積層体を、大気中600℃で1時間加熱して、バインダを除去した。続いて、酸素雰囲気下、1300℃で2時間の加熱処理を行うことにより共焼結し、アノードと固体電解質層との複合体を形成した。
続いて、固体電解質層の表面に、カソードの材料であるLSCF(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−δ)の粉末と有機溶媒(ブチルカルビトールアセテート)とを混合したLSCFペーストをスクリーン印刷し、酸素雰囲気下、1000℃で2時間の焼成を行うことにより、セル構造体を作製した。カソードの厚みは10μmであった。
(3)燃料電池の作製
上記で得られたセル構造体のアノードの表面に、アノード集電体として、上述の金属メッシュX1を積層し、さらに、ガス流路を有するステンレス鋼製のアノード側セパレータを積層した。一方、カソードの表面に、ガス流路を有するステンレス鋼製のカソード側セパレータを積層し、図1に類似した燃料電池Y1を作製した。アノード側セパレータおよびカソード側セパレータのそれぞれに、リード線の一方の端部を接合した。各リード線の他方の端部は、燃料電池の外部に引き出し、各リード線の間の電流値および電圧値を計測できるように、計測器に接続した。
(4)内部抵抗の評価
作動温度を900℃として、作製された燃料電池のアノードに燃料ガスとして水素を0.3L/分で流し、カソードに空気を1.0L/分で流した。各リード線を電子負荷装置に接続し、アノード側セパレータとカソード側セパレータとの間に流れる電流と電圧を測定した。このとき、燃料利用率が75%となるように、アノード側セパレータとカソード側セパレータとの間に流れる電流が32Aとなるように、電子負荷装置を設定した。
燃料電池を100時間稼動させた後、稼動を停止し、燃料電池を室温まで冷却した。10時間、燃料電池の停止状態を維持した。その後、上記と同一の条件で、再び燃料電池を100時間稼動させた。
燃料電池の稼動と停止を10回繰り返し、各回の燃料電池の稼動が終了する直前におけるアノード側セパレータとカソード側セパレータとの間の電圧(V1)の、初期の電圧(V0)からの劣化率A=(V0−V1)/V0を求めた。
電圧V1は、燃料電池セルで発生した起電力をE、集電体で発生する内部抵抗をr、アノード側セパレータとカソード側セパレータとの間の電流をIとして、V1=E−rIで表すことができる。したがって、電流Iを一定とした場合、内部抵抗rが増加するほど、電圧V1が低下し、劣化率Aが増加する。
[比較例1]
アノード集電体として、耐腐食層を形成していないNi金属メッシュX2を用いた燃料電池を、実施例1と同様の方法で作製し、燃料電池Y2を得た。燃料電池Y2の劣化率を、実施例1と同様にして評価した。
[実施例2]
(1)燃料電池の作製
燃料電池Y1の作製において、セル構造体のアノードの表面に、アノード集電体として、耐腐食層が形成されていないNi金属メッシュを積層し、さらに、ガス流路を有するステンレス鋼製のアノード側セパレータを積層した。一方、カソードの表面に、カソード集電体として、耐腐食層を有する金属メッシュX1を積層し、さらに、ガス流路を有するステンレス鋼製のカソード側セパレータを積層した。
これ以外については、実施例1の燃料電池Y1と同様の方法で、燃料電池Y3を得た。
(2)内部抵抗の評価
作動温度を700℃として、作製された燃料電池のアノードに燃料ガスとして水素を0.3L/分で流し、カソードに空気を1.0L/分で流した。リード線を電子負荷装置に接続し、側セパレータとカソード側セパレータとの間に流れる電流と電圧を測定した。このとき、燃料利用率が75%となるように、アノード側セパレータとカソード側セパレータとの間に流れる電流が32Aとなるように、電子負荷装置を設定した。
実施例1と同様にして、燃料電池の稼動と停止を繰り返し、アノード側セパレータとカソード側セパレータとの間の電圧の劣化率A=(V0−V1)/V0を求めた。
[比較例2]
カソード集電体として、耐腐食層が形成されていないNi金属メッシュX2を用いた燃料電池を、実施例2と同様の方法で作製し、燃料電池Y4を得た。燃料電池Y4の劣化率を、実施例2と同様にして評価した。
[比較例3]
実施例2の燃料電池Y3の作製において、カソード集電体としての金属メッシュX1をカソードとカソード側セパレータの間に積層する代わりに、固体電解質層の表面に形成するLSCFペーストの量を増加させ、カソードの厚みを燃料電池Y3よりも厚くした。これ以外については、実施例2と同様の方法で、燃料電池Y5を作製した。
燃料電池Y5では、カソードの厚みを厚くしたことにより、カソード側セパレータの側に位置するカソード材料の一部を、カソード集電体として機能させている。焼成後のカソードの厚みは50μmであった。この場合、カソード側セパレータと接触する側の厚さ40μmのLSCF層が、カソード集電体に相当する。
燃料電池Y5の劣化率を、実施例2と同様にして評価した。
図4に、燃料電池Y1およびY2における、稼動回数ごとの電圧V1の経時変化を、初期電圧V0からの劣化率A=(V0−V1)/V0(%)の経時変化として示す。図5に、燃料電池Y3、Y4およびY5における、稼動回数ごとの電圧V1の経時変化を、初期電圧V0からの劣化率A=(V0−V1)/V0(%)の経時変化として示す。
図4に示すように、燃料電池Y2では、累積稼動時間が長くなるに伴い内部抵抗の上昇が大きい。これは、燃料電池の作動温度が高温(900℃)であり、高い燃料利用率で作動させていることから、アノードとアノード集電体の周辺が局所的に酸化性の雰囲気になっており、アノード集電体として用いたNiメッシュの表面が酸化され、抵抗が上昇したためと考えられる。これに対し、燃料電池Y1では、長時間の累積稼動においても内部抵抗の上昇が抑制されている。これは、耐腐食層を備えたNi−Snメッシュを使用しているため、耐食性、耐酸化性が高く、集電体の酸化が抑制されたためと考えられる。
評価後の燃料電池Y1およびY2を分解し、アノード集電体を取り出し、表面を観察した。燃料電池Y2では、Ni金属メッシュX2が酸化され、酸化ニッケルが形成されていた。しかしながら、燃料電池Y1では、メッシュX1中のニッケルの酸化は見られなかった。
図5に示すように、燃料電池Y4およびY5では、累積稼動時間が長くなるに伴い内部抵抗の上昇が大きい。これは、燃料電池Y4については、カソードとカソード集電体の周辺が酸化性の雰囲気であることから、カソード集電体として用いたNiメッシュの表面が酸化され、抵抗が上昇したためと考えられる。燃料電池Y5については、稼動と停止を繰り返すことに伴い、カソード集電体として機能しているLSCFの一部が熱衝撃により割れ、脱落したためと考えられる。
これに対し、燃料電池Y3では、長時間の累積稼動においても内部抵抗の増加が抑制されている。これは、金属メッシュが耐熱衝撃性を有しており、且つ、耐腐食層を備えたNi−Snメッシュであることから、耐腐食層がNiの酸化を抑制しているためと考えられる。
評価後の燃料電池Y3およびY4を分解し、カソード集電体を取り出し、表面を観察した。燃料電池Y4では、Ni金属メッシュX2の表面が酸化され、酸化ニッケルが形成されていた。しかしながら、燃料電池Y3では、金属メッシュX1中のニッケルの酸化は見られなかった。
また、評価後の燃料電池Y5を分解し、セル構造体を取り出して観察したところ、カソードを構成するLSCFの一部がセル構造体から脱落していた。
本発明の実施形態に係る燃料電池は、SOFCでの利用に適しており、作動時の内部抵抗の低いSOFCを実現できる。
1:セル構造体
2:カソード
3:アノード
4:固体電解質層
5:電解質層−電極接合体
10:燃料電池
21、51:集電体
22、52:セパレータ
23:酸化剤流路
53:燃料流路

Claims (9)

  1. カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に介在する固体電解質層とを含むセル構造体、
    カソードに酸化剤を供給するための酸化剤流路、
    アノードに燃料を供給するための燃料流路、
    アノード側セパレータ、及び、
    カソード側セパレータ、を備え、
    前記アノード側セパレータと前記アノードの間、または、前記カソード側セパレータと前記カソードの間の少なくともいずれか一方に、集電体が設けられ、
    前記集電体は線材が編み込まれた金属メッシュであり、前記線材の少なくとも表層に耐腐食層を備える、燃料電池。
  2. 前記耐腐食層がNiおよびSnを含む、請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記耐腐食層内において、Niに対するSn濃度が異なる第1相と第2相が共存しており、
    前記第1相の前記Sn濃度が、前記第2相の前記Sn濃度よりも高い、請求項2に記載の燃料電池。
  4. 前記集電体が、前記アノード側セパレータと前記アノードの間に設けられている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  5. 前記固体電解質層が、酸素イオン伝導性を有する、請求項4に記載の燃料電池。
  6. 前記燃料電池の作動温度が800℃以上である、請求項4または請求項5に記載の燃料電池。
  7. 前記燃料電池の燃料利用率が75%以上である、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池。
  8. 前記集電体が、前記カソード側セパレータと前記カソードの間に設けられている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  9. 前記燃料電池の作動温度が700℃以下である、請求項8に記載の燃料電池。
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