JP2021068113A - 電力変換装置の設計支援装置及び出力安定装置、電力変換装置の設計支援プログラム及び出力安定プログラム - Google Patents

電力変換装置の設計支援装置及び出力安定装置、電力変換装置の設計支援プログラム及び出力安定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】オーバーシュートやアンダーシュートなどを更に効果的に抑制することができ、電力変換装置を更に安定した状態に制御することができる設計支援装置及び出力安定装置を提供する。【解決手段】出力安定装置50は、回路パラメータ、制御パラメータ、及び制御値からなる群から選択されるパラメータ情報及び目標制御値を入力部51で受け付けて記憶部52に蓄積し、パラメータ情報及び目標制御値に基づいて第1特性を得る特性取得部53と、第1特性を補間した第2特性により目標制御値に応じた制御パラメータを近似予測する予測部54と、近似予測された制御パラメータを出力する出力部55を有する。【選択図】図9

Description

本発明は、電力変換装置の設計支援装置及び出力安定装置、電力変換装置の設計支援プログラム及び出力安定プログラムに関するものである。
電力変換装置の一例のスイッチング電源では、駆動回路によるオン/オフの時間比率により出力電力が制御される。駆動回路によるオン/オフは、出力電圧が目的電圧となるよう駆動制御装置によるフィードバック制御により行われる。駆動回路によるオン/オフにより出力電圧は、過渡期にオーバーシュートやアンダーシュートが発生し、徐々に減衰する振幅を繰り返しながら目的電圧へと収束する。したがって、このオーバーシュートやアンダーシュート、リンギングなどを抑えることが重要である。
このような駆動回路のオン/オフ制御について、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の電力変換装置の制御回路及び制御方法は、オーバーシュート又はアンダーシュートの期間中に経時減衰するオーバーシュート又はアンダーシュートの抑制量を付加することで、短時間内にオーバーシュート又はアンダーシュートを抑制して出力を基準値に近づけるというものである。具体的には、出力がオーバーシュートしたときには、出力のフィードバック制御量に、オーバーシュートしている期間において定義される経時減衰抑制量を含むオーバーシュート抑制量を付加し、出力がアンダーシュートしたときには、出力のフィードバック制御量に、アンダーシュートしている期間において定義される経時減衰制御量を含むアンダーシュート抑制量を付加する。
特許第5401729号公報
オーバーシュートやアンダーシュートは、速やかな抑制により目標値に収束できることが望ましいが、特許文献1に記載の電力変換装置の制御回路及び制御方法では、サンプリング周期を乗算する時間関数により経時減衰抑制量を算出し、スイッチのオン時間を算出しているため、応答に時間が掛かるおそれがある。
したがって、デジタル制御電源の設計などのパラメータ決定時においても、オーバーシュートやアンダーシュートの抑制について、更なる改良が望まれている。
そこで本発明は、ゲイン制御に必要である、電力変換装置の駆動制御部のゲインを決定する適切な制御パラメータを即時演算及び出力することで、電力変換装置を更に安定した状態に制御することができる設計支援装置及び出力安定装置を提供することを目的とする。
本発明に係る設計支援装置は、入力された電力を変換して負荷へ出力する電力変換部と、前記負荷への出力をゲイン制御する駆動制御部とを備えた電力変換装置の設計を支援する設計支援装置であって、前記電力変換部を構成する回路部品の回路パラメータ、前記駆動制御部のゲインを決定する制御パラメータ、及び制御値からなる群から選択されるパラメータ情報と目標制御値との入力を受け付ける入力部と、前記パラメータ情報及び前記目標制御値が蓄積される記憶部と、前記パラメータ情報及び前記制御目標値に基づいて得られた第1特性を前記記憶部に蓄積する特性取得部と、前記記憶部に蓄積された前記第1特性を補間して得られた第2特性により、前記目標制御値に応じた制御パラメータを近似予測する予測部と、前記近似予測された制御パラメータを出力する出力部とを備える。これにより、パラメータ情報に基づいて、目標制御値に応じた適切な制御パラメータを出力することができる。
前記本発明に係る設計支援装置の前記特性取得部は、前記パラメータ情報と目標制御値とを用いて機械学習を行い、前記目標制御値を満たすパラメータの組合せを第1特性として前記記憶部に蓄積する機能と、前記予測部は、前記第1特性を用いて機械学習を行い、学習結果を法則化した第2特性により前記目標制御値に応じた制御パラメータを近似予測する機能とを含むことが望ましい。これにより、複雑系においても、目標制御値に応じた適切な制御パラメータを出力することができる。
本発明に係る出力安定装置は、入力された電力を変換して負荷へ出力する電力変換部と、前記負荷への出力をゲイン制御する駆動制御部とを備え、前記電力変換部を構成する回路部品の回路パラメータ、前記駆動制御部のゲインを決定する制御パラメータ、及び制御値からなる群から選択されるパラメータ情報を通知する通知部と、制御パラメータを設定する設定部とを含む電力変換装置の動作を制御する出力安定装置であって、前記パラメータ情報及び目標制御値の入力を受け付ける入力部と、前記パラメータ情報及び前記目標制御値が蓄積される記憶部と、前記パラメータ情報及び前記目標制御値に基づいて得られた第1特性を前記記憶部に蓄積する特性取得部と、前記記憶部に蓄積された前記第1特性を補間して得られた第2特性により、前記目標制御値に応じた制御パラメータを近似予測する予測部と、前記近似予測された制御パラメータを出力する出力部とを備え、前記電力変換装置の前記通知部からの通知に応じて、前記予測部が新たな制御パラメータを演算し、前記出力部から前記電力変換装置の前記設定部へ前記新たな制御パラメータを出力する。これにより、パラメータ情報に基づいて出力された目標制御値に応じた適切な制御パラメータを、電力変換装置へ適用することができる。
前記本発明に係る出力安定装置の前記特性取得部は、前記パラメータ情報と目標制御値とを用いて機械学習を行い、前記目標制御値を満たすパラメータの組合せを第1特性として前記記憶部に蓄積する機能と、前記予測部は、前記第1特性を用いて機械学習を行い、学習結果を法則化した第2特性により前記目標制御値に応じた制御パラメータを近似予測する機能とを含むことが望ましい。これにより、複雑系においても、通知されたパラメータ情報に基づいて出力された目標制御値に応じた適切な制御パラメータを、電力変換装置へ適用することができる。
前記本発明に係る出力安定装置は、前記制御値が所定の閾値を超えたことを異常として検知する検知部と、前記検知部による前記異常を報知する報知部とを備えることが望ましい。これにより、電力変換装置の異常を検知し、その旨を報知することができる。
前記本発明に係る出力安定装置は、前記検知部が前記制御値として出力電圧の異常を検知する出力安定装置であって、前記検知部は、前記出力電圧のオーバーシュート又はアンダーシュートの立ち上がり又は立ち下がりの周期が所定の閾値未満か否かを検知し、前記報知部は、前記周期が所定の閾値未満であれば、前記電力変換部のキャパシタの静電容量が減少していることを、前記周期が所定の閾値以上であれば、内部損失が増加していることを異常として報知することが望ましい。これにより、電力変換装置のキャパシタの静電容量の減少異常及び内部損失の増加異常を検知し、その旨を報知することができる。
本発明の設計支援装置によれば、デジタル制御電源の設計時に、電力変換装置の仕様や目標制御値に応じた適切な制御パラメータを即時に演算することができ、電力変換装置を安定した状態に制御することができる。
また、本発明の出力安定装置によれば、動的に、電力変換装置の仕様や目標制御値に応じた適切な制御パラメータを即時に演算及び出力することができ、電力変換装置を更に安定した状態に制御することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る設計支援装置の構成を説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態に係る出力安定装置の構成を説明するための図である。 図1に示す駆動制御部の構成を説明するための図である。 図1に示す駆動制御部のゲイン演算部の構成を説明するための図である。 図1に示す駆動制御部の動作を説明するためのフローチャートである。 目標電圧からプラス方向及びマイナス方向に電圧閾値が設定されたことを説明するための図である。 オーバーシュートと立ち上がり又は立ち下がり、アンダーシュートの立ち下がり又は立ち上がりによって、ゲイン調整値を切り替えることを説明するための図である。 図1に示す設計支援装置の構成を説明するための図である。 図2に示す出力安定装置の構成を説明するための図である。 図2に示す駆動制御部の構成を説明するための図である。 図8に示す設計支援装置及び図9に示す出力安定装置の動作を説明するためのフローチャートである。 図8に示す設計支援装置及び図9に示す出力安定装置の特性取得部を説明するための図である。 図8に示す設計支援装置及び図9に示す出力安定装置の予測部を説明するための図である。 実施例で用いた降圧型DC−DCコンバータを説明するための図である。 実施例の結果を示す図であり、(A)はeoの偏差に対してKPを切り替えた場合の過渡特性を、(B)はeoの傾きに対してKPを切り替えた場合の過渡特性をまとめたものである。 実施例の結果を示す図であり、(A)は制御パラメータKerrorとΔeomaxの第1特性を、(B)は制御パラメータKdevとΔeomaxの第1特性を説明するための図である。 実施例の結果を示す図であり、(A)は図16(A)の第1特性に対し、(B)は図16(B)の第1特性に対し補間を行ったグラフである。 実施例の結果を示す図であり、(A)は図17(A)に基づいて、(B)は図17(B)に基づいて導出された近似曲線を示したものである。 実施例の結果を示す図であり、(A)は負荷ステップが0.2A〜1.0A、(B)は負荷ステップが0.2A〜2.0Aの場合に導出された近似式を用いてKPを切り替えた場合の過渡特性を示した図である。 検知部が検知する異常を説明するための図である。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る設計支援装置5を図面に基づいて説明する。設計支援装置5は電力変換装置1の設計を支援するため、まず、電力変換装置1について説明する。図1に示す電力変換装置1は、電力変換部2と、駆動部3と、駆動制御部4とを備えている。また、電力変換装置1の電力変換部2は、直流電源Bと、DC−DCコンバータ部21と、負荷Rとを備えており、入力された電流を変換して負荷Rへ出力する。
DC−DCコンバータ部21は、直流電圧を変圧して供給する電圧変換装置であり、本実施の形態では、降圧型コンバータとしている。DC−DCコンバータ部21は、直流電源Bからの電源線L1とグランド線L2とが入力端子T11,T12に接続され、出力端子T21,T22に負荷Rが接続されている。
DC−DCコンバータ部21は、スイッチング素子Trと、リアクトルLと、ダイオードDと、キャパシタCとを備えている。
スイッチング素子Trは、負荷Rへの電流を通過させたり遮断させたりするトランジスタである。本実施の形態では、スイッチング素子Trはn型FET(Field Effect Transistor)としている。
スイッチング素子Trは、ドレインが電源線L1に接続されていると共に、駆動部3に接続されている。
ダイオードDは、電源線L1とグランド線L2との間に接続されている。
リアクトルLは、電源線L1に直列に挿入されている。リアクトルLの一端は、スイッチング素子Trのソースに接続されていると共に、ダイオードDのカソードに接続されている。リアクトルLの他端は、キャパシタCと負荷Rに接続されている。
キャパシタCは、電源線L1とグランド線L2との間に接続されている。
駆動部3は、駆動制御部4からのPWM(Pulse Width Modulation)制御のための信号SPWMに基づいて、スイッチング素子Trにオン/オフを指示する信号を駆動するものである。
図3に示すように、駆動制御部4は、前置増幅部41と、ADコンバータ部42と、ゲイン演算部43と、PID(Proportional Integral Differential)制御部44と、PWM信号生成部45とを備えている。
前置増幅部41は、DC−DCコンバータ部21の出力電圧eo(負荷電圧)を増幅すると共に、ローパスフィルタにより標本化定理を満たすように高周波成分を遮断する。
ADコンバータ部42は、アナログ信号(アナログ値)をデジタル信号(デジタル値)に変換する。本実施の形態では、ADコンバータ部42は、例えば、12ビットのデジタル値に変換している。
ゲイン演算部43は、目標電圧Nrと出力電圧eoとの偏差の絶対値と、出力電圧eoの変化分の絶対値とを加算して、ゲイン調整値KPとしてPID制御部44へ出力する。
PID制御部44は、ゲイン調整値KPに基づいて負荷Rへの出力(出力電圧eo)と目標値(目標電圧Nr)との偏差を是正するゲイン制御を行うフィードバック制御部として機能するものである。
PWM信号生成部45は、PID制御部44からのスイッチング信号NTonに基づいてゲイン制御をPWM制御により行うための信号SPWMを駆動部3へ出力する。
ここで、ゲイン演算部43について、図4に基づいて詳細に説明する。
図4に示すゲイン演算部43は、負荷Rへの出力(出力電圧eo)と目標値(目標電圧Nr)との偏差の絶対値を演算する第1演算部431と、負荷Rへの出力(出力電圧eo)の傾きの絶対値を演算する第2演算部432と、加算部433と、ゲイン抑制部434とを備えている。
第1演算部431は、偏差演算部43aと、第1絶対値演算部43bと、第1ゲイン演算部43cとを備えている。
偏差演算部43aは、ADコンバータ部42からの出力電圧eO[n](デジタル値)を入力して目標電圧Nrとの偏差を求め、偏差Nerrorを出力する。
第1絶対値演算部43bは、偏差演算部43aからの偏差Nerrorの絶対値|Nerror|を算出する。
第1ゲイン演算部43cは、第1絶対値演算部43bからの出力|Nerror|に定数Kerrorを乗算したものに、バイアス値KC1を加算して、第1ゲインKP1を算出する。
第2演算部432は、バッファ部43dと、傾き演算部43eと、第2絶対値演算部43fと、第2ゲイン演算部43gとを備えている。
バッファ部43dは、出力電圧eO[n]を記憶して、前回の出力電圧eO[n−1]を出力する。
傾き演算部43eは、出力電圧eo[n]と前回の出力電圧eo[n−1]との差を求め、傾きNdevを出力する。
第2絶対値演算部43fは、傾き演算部43eからの傾きNdevの絶対値|Ndev|を算出する。
第2ゲイン演算部43gは、第2絶対値演算部43fからの出力|Ndev|を、べき乗数Mによるべき乗して定数Kdevを乗算したものに、バイアス値KC2を加算して、第2ゲインKP2を算出する。本実施の形態では、Ndevの絶対値(|Ndev|)を自乗している。
加算部433は、第1ゲイン演算部43cからの第1ゲインKP1と、第2ゲイン演算部43gからの第2ゲインKP2と、バイアス値KCとを加算して、ゲイン調整値KP0を算出する。
ゲイン抑制部434は、偏差の絶対値|Nerror|と閾値電圧値の絶対値|Vth|とを比較し、その結果に基づいてゲイン調整値KPを設定して、PID制御部44に出力する。
ここで、電圧閾値Vthは、例えば、目標電圧Nrの1%とすることができるが、負荷Rが要求する電圧精度に応じて適宜決定することができる。
電圧閾値Vthは、|Nerror|が増加して第1値とした|Vth|以上となると、第1値とした|Vth|から小さい第2値とすることができる。また、|Nerror|が減少して第3値とした|Vth|未満となると、第3値とした|Vth|から大きい第4値とすることができる。この第1値から第4値は、第1値と第4値は同じ値とすることができ、第2値と第3値を同じ値とすることができる。
このように|Vth|の値を|Nerror|の増加または減少に応じて変えることで、ゲイン抑制部434にヒステリシス特性を持たせることができ、|Nerror|が|Vth|付近で揺らぐように変化したときに、ゲイン調整値KPが振動することを抑止することができる。
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る電力変換装置1の動作を、図5に示すフローチャートの流れにしたがって説明する。
まず、図3に示す前置増幅部41が負荷Rへの出力電圧eOを検出すると増幅して、ADコンバータ部42へ出力する(ステップS10)。
図3及び図4に示すADコンバータ部42は、前置増幅部41により増幅された出力電圧eOをデジタル値であるeO[n]へ変換して、ゲイン演算部43と、PID制御部44へ出力する。
まず、図4に示す偏差演算部43aが、目標電圧Nrから出力電圧eO[n]を引き偏差Nerrorを算出する。また、傾き演算部43eでは、バッファ部43dから前回の出力電圧eO[n−1]を読み出し、出力電圧eO[n]からの差から、変化分となる傾きNdevを算出する。(ステップS20)。
次に、第1絶対値演算部43bが、偏差Nerrorの絶対値|Nerror|を算出する。
また、第2絶対値演算部43fが、Ndevの絶対値|Ndev|を算出する(ステップS30)。
次に、ゲイン抑制部434が、偏差の絶対値である|Nerror|が所定の電圧閾値の絶対値|Vth|以上であるか否かを判断する(ステップS40)。
|Nerror|が所定の電圧閾値の絶対値|Vth|未満であるときには、ゲイン抑制部434は、ゲインを抑制するための定数Kpminをゲイン調整値KPとする(ステップS50)。定数Kpminは、例えば1とすることができる。
図3及び図4に示すように、PID制御部44は、比例ゲインであるゲイン調整値KPに基づいてPID制御(P制御)をKP(Nr−eO[n])にしたがって行い、偏差を是正するためのスイッチング信号NTonを出力する(ステップS60)。
一方、ステップS40にて、偏差の絶対値である|Nerror|が所定の電圧閾値の絶対値|Vth|以上であると判定された場合には、ゲイン抑制部434は、Ndev×Nerrorが0未満であるか否かを判定する(ステップS70)。
dev×Nerrorが0以上である場合には、ゲイン抑制部434は、ステップS50へ移行して、ゲイン調整値KP0より小さい値となる定数であり、ゲインを抑制するための定数Kpminをゲイン調整値KPとする。
ステップS70にて、Ndev×Nerrorが0未満であると判定された場合には、第1ゲイン演算部43cが第1ゲインKP1を算出し、第2ゲイン演算部43gが、第2ゲインKP2を算出する(ステップS80)。
具体的には、第1ゲイン演算部43cは、偏差Nerrorの絶対値|Nerror|に定数Kerrorを乗算し、バイアス値KC1を加算することで、第1ゲインKP1を算出する。
また、第2ゲイン演算部43gは、傾きNdevの絶対値|Ndev|をべき乗して定数Kdevを乗算し、バイアス値KC2を加算することで、第2ゲインKP2を算出する。
第1ゲインKP1が算出され、第2ゲインKP2が算出されると、加算部433が、第1ゲインKP1と、第2ゲインKP2と、バイアス値KCとを加算して、ゲイン調整値KP0を出力する(ステップS90)。
そして、ゲイン抑制部434は、PID制御部44へのゲイン調整値KPとしてゲイン調整値KP0を出力して、ステップS60へ移行する(ステップS100)。
そして、PWM信号生成部45は、スイッチング信号NTonに基づいてPWM制御のための信号SPWMを駆動部3へ出力する。駆動部3は、信号SPWMを増幅して、スイッチング素子Trをオンまたはオフすることで、負荷Rへの電流を通過させたり、遮断させたりする。
ここで、ゲイン抑制部434によるゲインの抑制について、図面に基づいて詳細に説明する。
まず、出力電圧eOが過渡状態であるか否かによって、ゲイン調整値Kpを切り替えている点について説明する。
図6に示すように、出力電圧eOが過渡状態であるか否かを判断するために目標電圧Eo *からプラス方向及びマイナス方向にVthの幅を持たせて電圧閾値が設定される。
図5に示すように、ステップS40にて、偏差の絶対値である|Nerror|が所定の電圧閾値の絶対値|Vth|以上であるか否かを判定している。
そして、|Nerror|が|Vth|未満であれば、ゲイン抑制部434は、ステップS50にて、定数Kpminをゲイン調整値KPとしている。
また、|Nerror|が|Vth|以上であれば、NdevとNerrorの符号がマイナス同士又はプラス同士の時に、ゲイン抑制部434は、ステップS100にてKP0をゲイン調整値KPとしている。
したがって、出力電圧eOが電圧閾値Vthを超えると過渡状態と見なし、系が不安定条件になっても構わないので、大きなゲイン(KP0→KP)の調整を行うことで、大きく是正することができる。
出力電圧eOが過渡状態でない定常状態では、小さいゲイン(Kpmin→KP)の調整を行うことで、大きなゲインによる調整で、収束に悪影響を与えることを抑えることができ、出力平滑キャパシタを小さい容量とすることができるので、小型化を図ることができる。
また、出力平滑キャパシタが小さいと過渡時の振動の周波数も高くなり、時定数は逆に小さくなるため、速く収束させることができる。
次に、オーバーシュートの立ち上がり又は立ち下がり、アンダーシュートの立ち下がり又は立ち上がりによって、ゲイン調整値Kpを切り替えている点について説明する。
図7に示すように、出力電圧eOが、アンダーシュートにより、目標電圧Eo *から、マイナス方向に遠ざかるように変化しているT1期間では、偏差Nerrorはマイナス符号となり、傾きNdevもマイナス符号となる。
T1期間から目標電圧Eo *に向かうように変化するT2期間では、偏差Nerrorはマイナス符号となり、傾きNdevはプラス符号となる。
T2期間から目標電圧Eo *を超えて、プラス方向に遠ざかるように変化しているT3期間では、偏差Nerrorはプラス符号となり、傾きNdevもプラス符号となる。
T3期間から目標電圧Eo *に向かうように変化するT4期間では、偏差Nerrorはプラス符号となり、傾きNdevはマイナス符号となる。
したがって、出力電圧eOが目標電圧Eo *から遠ざかる方向に変化している期間(T1期間,T3期間)では、偏差Nerrorと傾きNdevの乗算は、プラス符号となる。
以上より、ステップS100にて、ゲイン調整値KP0をゲイン調整値KPとすることで、アンダーシュートの立ち下がりや、オーバーシュートの立ち上がりを、大きく抑制することができる。
反対に、目標電圧Eo *に向かうように変化している期間(T2期間,T4期間)では、偏差Nerrorと傾きNdevの乗算は、マイナス符号となる。
したがって、ステップS50にて、定数Kpminをゲイン調整値KPとすることで、KP0より十分に小さい値とすることができるので、過補償によるアンダーシュートやオーバーシュートを引き起こすことが防止できる。
ここで、第1ゲイン演算部43cで第1ゲインKP1を算出する際に用いる定数Kerrorや、第2ゲイン演算部43gで第2ゲインKP2を算出する際に用いる定数Kdevなどの制御パラメータは、適切な値を設定すれば効果的にオーバーシュートやアンダーシュートを抑制することができるが、手動で適切な値を予測することは非常に困難である。例えば、定数Kerrorを大きくし過ぎてしまうと、系の安定性が徐々に損なわれ、収束が遅れたり、そもそも収束しなかったりする。また、定数Kdevを大きくすると、高速な応答を得られるが、出力電圧eoがほぼ収束している状態で出力電圧eoの僅かな傾きに対して大きくゲインが変わってしまうため、振動が残ってしまう。
また、出力電圧だけでなく、リアクトル電流や収束時間など目標値に近付ける場合や、さらに、定数Kerrorや定数Kdev以外、例えば微分ゲイン定数KD、積分ゲイン定数KIなどを含めた複数の制御パラメータを予測する場合は、手動で適切な値を予測することは不可能である。なお、より効果的にオーバーシュートやアンダーシュートを抑制するためには、例えば、過渡状態の出力電圧eoのオーバーシュートやアンダーシュート時の途中の電圧毎にゲインを切り替える必要がある。
したがって、更に効果的にオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制するために、制御パラメータの適切な値を予測し得る設計支援装置5を提供する。
図8に示すように、設計支援装置5は、入力部51と、記憶部52と、特性取得部53と、予測部54と、出力部55とを備えている。
入力部51は、電力変換装置1の電力変換部2を構成する回路部品の回路パラメータ、電力変換装置1の駆動制御部4のゲインを決定する制御パラメータ、及び制御値からなる群から選択されるパラメータ情報、及び目標制御値の入力を受け付ける。ここで、回路パラメータは、電力変換装置1の電力変換を行う電力変換部2を構成する回路部品のパラメータであり、具体的には、図1に示すリアクトルL、キャパシタC、入力電圧Eiの内部損失rなどの値を示すパラメータである。また、制御パラメータは、電力変換部2の出力を制御する駆動制御部4のゲインを決定するためのパラメータであり、具体的には、定数Kerror、定数Kdev、閾値電圧値の絶対値|Vth|、定数KPmin、定数KC、微分ゲイン定数KD、積分ゲイン定数KIなどの値を示すパラメータである。以下、定数Kerror、定数Kdev等を単にKerror、Kdevということもある。なお、制御値とは、具体的には、出力電圧eomax、出力電流iLmax、収束時間tcvなどの制御対象の値である。
記憶部52には、入力部51より受け付けられた、パラメータ情報及び目標制御値が蓄積される。
特性取得部53は、記憶部52に蓄積されたパラメータ情報と目標制御値とを用いて機械学習を行い、目標制御値を満たすパラメータの組合せを第1特性として記憶部52に蓄積する。
予測部54は、記憶部52に蓄積された該第1特性を用いて機械学習を行い、学習結果を法則化した第2特性により、目標制御値に応じた制御パラメータを近似予測する。
出力部55は、予測部54で予測された制御パラメータを出力する。
前述した第1の実施の形態に係る設計支援装置によれば、デジタル制御電源の設計時に、電力変換装置の仕様や目標制御値に応じた適切な制御パラメータを即時に演算することができる。そして、該制御パラメータを利用することで、効果的にオーバーシュートやアンダーシュートなどの抑制を行うことができ、電力変換装置を安定した状態に制御することができる。
(第2の実施の形態)
続いて、第2の実施の形態に係る出力安定装置を図面に基づいて説明する。図9に示す出力安定装置50は、図8に示す設計支援装置5と同様の構造及び機能を有し、さらに、検知部56と、報知部57とを備える。また、図2に示すように、電力変換装置10は、出力安定装置50へ、回路パラメータ、制御パラメータ、及び制御値からなる群から選択されるパラメータ情報を通知し、出力安定装置50は、電力変換装置10へ制御パラメータを出力する。
電力変換装置10の駆動制御部40は、図1に示す電力変換装置1の駆動制御部4と同様の構造及び機能を有し、さらに、出力安定装置50の入力部51へパラメータ情報を通知する通知部46と、出力安定装置50の出力部55から出力される新たな制御パラメータを設定する設定部47とを備える(図10参照)。
出力安定装置50は、電力変換装置10の駆動制御部40の通知部46から通知されたパラメータ情報に応じて、予測部54で新たな制御パラメータを演算し、出力部55で電力変換装置10へ新たな制御パラメータを出力する。電力変換装置10の駆動制御部40の設定部47は、該新たな制御パラメータに基づいて負荷への出力をゲイン制御する。これにより、動的なゲインの変更による制御が可能となり、より効果的にオーバーシュートやアンダーシュートなどの抑制を行うことができる。
ここで、電力変換装置10と出力安定装置50間の入出力(通信)は、有線又は無線通信を利用して行ってもよい。また、出力安定装置50により導出された近似式を、電力変換装置10の駆動制御部40に適用させることで、駆動制御部40側で制御値に応じた新たな制御パラメータの演算を行ってもよい。なお、動的なゲイン制御(ゲインの変更)だけでなく、回路パラメータや制御パラメータ全般の変更を行ってもよい。
前述した本発明の第1の実施の形態に係る設計支援装置5、及び第2の実施の形態に係る出力安定装置50を用いた制御パラメータの出力などについて、図11に示すフローチャートの流れに従って説明する。
[仕様決定]
始めに、回路の仕様を決定する(S110)。
設計対象の回路に応じて、固定される回路パラメータ、変化させる回路パラメータ及びその範囲の決定を行う。次に、固定される制御パラメータ、変化させる制御パラメータ及びその範囲の決定を行う。そして、制御対象の目標制御値や仕様の決定などを行う。具体的には、出力電圧の目標制御値及び変化の許容範囲の決定や、許容される収束時間の決定などである。最後に、動作モード(例えば、軽負荷状態ではPFM、重負荷状態ではPWMなど)や回路モデルを選択する。
決定した回路パラメータ、制御パラメータ、目標制御値などは、入力部51で受け付けられ、記憶部52に蓄積される。入力部51へは、有線又は無線通信によりキーボード、マウスなどから入力してもよく、USBメモリや外部ストレージなどを用いてもよい。
そして、決定した仕様に基づいて回路パラメータや制御パラメータを変化させて制御値を取得し、決定した目標制御値の条件を満たすパラメータの組合せを起点データとして収集する(S120)。収集した起点データは、入力部51で受け付けられ、記憶部52に蓄積される。ここで、起点データは、シミュレーションや実験を行い収集してもよく、理論式から導き出した値を採用してもよい。また、起点データの数に制限はなく、起点データがなくてもよい。
[特性取得]
次に、特性取得部53は、記憶部52に蓄積されたパラメータ情報と目標制御値とに基づいて第1特性を取得する(ステップS130)。図12(A)に、第1特性の予測のイメージを示す。ここで、図12(A)に示す入出力パラメータは一例であり、例示されているパラメータ以外を用いてもよい。また、図12(B)に、第1特性のイメージを示す。図12(B)に示されているのは、回路パラメータ(負荷のステップ変化ΔR1,ΔR2)、制御パラメータ(Kerror)、及び制御値(出力電圧Δeomax)との特性(関係性)であり、他の回路パラメータ(他の負荷のステップ変化ΔRなど)や制御パラメータ(Kdev,Kcなど)、制御値(リアクトル電流など)についても、このような特性が得られる。
特性取得部53は、全ての制御値が、予め設定した仕様や制約条件を満たす(つまり、目標制御値を満たす)と評価し得るパラメータの組合せを決定する。予め設定した仕様や制約条件を満たすとは、例えば、出力電圧Δeomaxの変動が許容範囲である±5%以内に収まっているか否か、などである。このように、特性取得部53は、目標制御値を満たす(仕様を満たす)パラメータの組合せを第1特性として取得し、記憶部52に蓄積する。
目標制御値を満たすパラメータの組合せとは、例えば、制御値をΔeomax、目標制御値を5V±5%以内とすると、出力電圧Δeomaxが4.75V〜5.25Vとなる回路パラメータ、制御パラメータの組合せである。
ここで、特性取得部53は、パラメータ情報と目標制御値とを用いて機械学習を行い、全ての制御値が目標制御値を満たすパラメータの組合せを求めることが望ましい。機械学習によれば、全ての組合せ(複数の回路パラメータや制御値)から、最適な解(制御パラメータ)を効率よく求めることができるためである。また、機械学習は、パラメータの数や種類などに応じて、ディープラーニング、強化学習、GA(Genetic Algorithm)などから選択することが望ましい。特に、このような組合せ最適化問題においては、GAを用いることが望ましい。全探索が不可能と考えらえるほど広大な解空間を持つ複雑系においても、有効だからである。
[予測]
第1特性が記憶部52に蓄積されると、予測部54は、記憶部52に蓄積された第1特性から、目標制御値に応じた制御パラメータを近似予測する。まず、予測部54は、特性取得部53で取得された第1特性を補間して第2特性を取得する(ステップS140)。補間とは、前後のデータを参照し、その中間の値を演算から推測して補うことである。例えば、出力電圧Δeomaxが4.0Vの場合おける制御パラメータKerrorが5、出力電圧Δeomaxが4.5Vの場合における制御パラメータKerrorが10であるとすると、その間(4.0V〜4.5V)の制御パラメータKerrorを、前後のデータ(Kerrorが5、Kerrorが10)を参照して補うことである。
図13(A)に、各回路パラメータ及び制御対象(例えば、出力電圧Δeomax)の目標値を予測部54に入力し、それに基づいて補間される各制御パラメータのイメージを示す。図13(B)は、予測部54により補間された制御パラメータ(Kerror)と、制御対象(出力電圧Δeomax)の目標制御値との関係性を示した第2特性のイメージである。このようにして得られた第2特性により、制御対象(出力電圧Δeomax)の目標制御値に応じた制御パラメータ(Kerror)の近似予測を行う。
予測部54は、第2特性から、線形近似や非線形近似などによる近似式を導出し、該近似式を利用して制御パラメータの近似予測を行う(ステップS150)。
ここで、予測部54は、第1特性を用いて機械学習を行い、学習結果を法則化することで第2特性を取得し、近似式を導出することが望ましい。各制御パラメータと制御対象の目標制御値との関係が非線形の場合における予測が、可能となるためである。
学習結果を法則化することとは、例えば、第1特性から規則性や関連性を抽出し、機械学習を繰り返すことで、学習モデルを作成することである。また、機械学習は、パラメータの数や種類、導出される近似式の種類などに応じて、ディープラーニング、強化学習、GA(Genetic Algorithm)などから選択することが望ましい。特に、近似式が一次関数ではなく多変数関数となるような、複雑な近似が必要となる場合は、ディープラーニングを用いることが望ましい。入力層を増やし、中間層を多層とすることで予測精度の向上が図れるためである。
予測された制御パラメータは、駆動制御装置のゲイン演算部で利用される。これにより、目標制御値(負荷への出力目標値など)に応じた制御パラメータの設計が可能となる。
なお、近似予測はLUT(LookUp Table)を作成して行ってもよい。また、補間だけでなく、補外により変域外の制御パラメータを予測してもよい。
出力安定装置50は、さらに電力変換装置10からの通知を入力部51で受け付ける。通知を受け付けた場合(データの追加があった場合)、出力安定装置50は、該通知情報(データ)を加えて、さらにステップS130〜S150を繰り返す。具体的には、通知されたパラメータ情報が加えられたデータに基づいて、再度、特性取得部53は第1特性を取得し、予測部54は第2特性の取得及び近似予測を行う。
このように、データの追加を行う(学習データを増やす)ことで、AIによる組合せ最適化における解の精度向上や法則化の精度向上が図られ、制御パラメータの予測精度が向上する。その結果、手動(人間)では予測不能とも言える複雑系においても、仕様や制約条件を満たし、より正確な制御パラメータの予測を実現できる。
(試験例)
実施の一例として、図2に示す出力安定装置50について、制御パラメータを予測してゲイン制御(ゲイン切り替え)を行った場合の過渡特性を検証し、従来の過渡特性との比較を行った。条件として、負荷ステップは0.2A〜1.0A及び0.2A〜2.0Aの2種類、制御対象(制御値)は、Δeomax、tcv、iLmax、目標制御値にはΔeomax(5V±5%)を用いて、最適な制御パラメータKerror及びKdevを予測した。検証に使用した降圧型DC−DCコンバータの固定パラメータを図14に示す。固定する回路パラメータは、Ei、Ci、L、Co、Eo、ΔEoであり、固定する制御パラメータは、A−D変換器のビット数、KD、KI、制御周期である。
この条件において従来方式の結果は、Δeomax、tcv及びiLmaxが、4.6%、4.7ms及び59%(負荷ステップを0.2A〜1.0Aとした場合)、10%、4.8ms及び150%(負荷ステップを0.2A〜2.0Aとした場合)である。なお、従来方式とは、PID制御において、ゲイン制御(ゲイン調整)を行わない方式である。
図15(A)は、シミュレーションによって得られた、eoの偏差に対してKPを切り替えた場合の起点データをまとめたものである。制御パラメータKerrorの値を10,20,30,50と変化させてシミュレーションを行い、起点となるデータを取得した。一方、図15(B)は、eoの傾きに対してKPを切り替えた場合の起点データをまとめたものである。制御パラメータKdevの値を10,20,30,50と変化させてシミュレーションを行い、起点となるデータを取得した。
図16(A)及び図16(B)は、特性取得部53により、起点データ及び追加データに基づいて回路パラメータ(負荷のステップ変化(ΔR1,ΔR2))毎に各制御パラメータ(Kerror,Kdev)の最適な組合せを予測したものである。特性取得部53は、電力変換装置のパラメータ情報と目標制御値とを用いて機械学習を行い、予め設定した仕様や制約条件を満たす各制御パラメータの最適な組合せ(第1特性)を予測した。図16(A)及び図16(B)に示す○で囲まれた制御パラメータ値が、仕様や制約条件を満たすと評価された値である。特性取得部53は、新しい電力変換装置のパラメータ情報が通知される度に(データが増える度に)、制御パラメータの最適な組合せを予測する。データが増える(例えば、様々なパターンの負荷のステップ変化におけるデータが増える)ことで、有用な特性(予め設定した仕様や制約条件を満たす各制御パラメータの最適な組合せ)が増え、最適な制御パラメータを近似予測する精度が向上することとなる。
図17(A)は、予測部54により予測された制御パラメータKerrorとΔeomaxの関係を補間した第2特性である。一方、図17(B)は、予測部54により予測された制御パラメータKdevとΔeomaxの関係を補間した第2特性である。そして、予測部54は、第2特性に基づいて近似式を導出した。図18(A)は、図17(A)に基づいて導出された近似曲線を示したものである。横軸は、eoの偏差の絶対値をEoに対する割合Ner_perで表したものである。図18(A)の近似曲線を近似式で表すと、近似式(1)となる。
Figure 2021068113
一方、図18(B)は、図17(B)に基づいて導出された近似曲線を示したものであり、図18(B)の近似曲線を近似式で表すと、近似式(2)となる。
Figure 2021068113
第2特性は第1特性を用いて機械学習を行い補間(法則化)されるため、前述したようにデータが増える度に第2特性も補間し直される。また、第2特性に基づいて導出される近似式も同様である。このように、起点となるデータから導出された近似式から、データの増加により特性取得部53及び予測部54において予測(学習)が繰り返し行われ、最適な制御パラメータを近似予測する精度が向上される。
以上のように、導出されたKerrorの近似式(1)及びKdevの近似式(2)を用いて、制御対象となるΔeomaxの目標値に応じたKerror及びKdevを予測し、前述したKPの値を決定した。なお、導出した近似式は、導出に用いたデータの範囲に縛られることなく、広く一般化して用いることができる。例えば、導出に用いた出力電圧の目標値の範囲が1%〜5%である場合、それ以外の範囲の出力電圧の目標値とするための制御パラメータも予測できる。
図19は、導出された近似式(ゲイン切り替え関数)を用いてKPを切り替えた場合の過渡特性を示している。図19(A)は、負荷ステップが0.2A〜1.0Aの場合、図19(B)は、負荷ステップが0.2A〜2.0Aの場合である。
どちらの場合も、Δeomaxに関しては、従来方式が4.6%及び10%であるのに対し、1.2%及び2.4%と大きく低減されている。
また、tcvに関しても、従来方式に比べて十分に早い段階でeoの変化を抑え、±1%以内に収束させることができている。収束範囲を±1%基準とすると、図19(A),(B)の収束時間の括弧内に示されているように、従来方式が4.7ms及び4.8msであるのに対し、0.04ms(99%減)及び0.12ms(96%減)と、大きく改善されている。
なお、iLに関しては、従来方式が59%及び150%であるのに対し、63%及び34%と同等程度に抑制されている。
以上の試験例の結果をまとめる。本実施の形態に係る出力安定装置50を用いて、制御対象Δeomaxの制御目標値に応じた制御パラメータKerror及びKdevを予測した。そして、予測された制御パラメータKerror及びKdevを用いてゲイン制御を行い、従来方式の過渡特性と、今回の過渡特性を比較した。その結果、以下のよう良好な結果が得られた。
(1)従来方式と比較して、出力電圧のアンダーシュートは約1/4に抑制できた。
(2)従来方式と比較して、出力電圧の収束時間は、目標電圧の±1%を基準とした場合、96%〜99%の改善率を得ることができた。
(3)従来方式と比較して、リアクトル電流は同等程度に抑制できた。
このように、設計支援装置5を電力変換装置1のゲイン切り替え方式に適用することで、従来方式よりも大きな効果が得られた。なお、試験例の結果としてゲイン切り替え方式を記載しているが、回路及び制御パラメータ全般の設計にも有用である。
(第3の実施の形態)
最後に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図2に示す電力変換装置10は、上述したように、出力安定装置50へパラメータ情報を通知する。ここで、出力安定装置50の検知部56は、電力変換装置10から通知された制御値が所定の閾値を超えた場合に、異常と判断する(図9参照)。
図20に、検知部66が検知する異常の具体例を示す。図20(A)は、正常時の過渡特性(直線)と、出力電圧が所定の閾値を超えた異常時の過渡特性(破線)を示している。この場合、検知部66は、内部損失が増加していると判断し、報知部67は、その内容を報知する。一方、図20(B)は、正常時の過渡特性(直線)と、出力電圧が所定の閾値を超え、かつオーバーシュート又はアンダーシュートの立ち上がり又は立ち下がりの周期が所定の閾値未満である異常時の過渡特性(破線)を示している。この場合、検知部66は、キャパシタの静電容量が減少していると判断し、報知部67は、その内容を報知する。
このように、出力安定装置50により、電力変換装置10の異常(故障)を事前に予測することができる。ここで、報知部57は、有線又は無線通信を利用し報知してもよいし、LEDなどを設け、異常の種類毎に定めた所定の色で発光させることにより報知してもよい。
本実施の形態では、電力変換装置1及び電力変換装置10としてDC−DCコンバータを例に説明したが、AC−DCコンバータやDC−ACインバータでもよい。
電力変換装置1及び電力変換装置10は、PWM信号生成部45からの信号SPWMによりPWM制御を行っているが、シリーズ方式により制御するようにしてもよいし、PFM制御を行ってもよい
フィードバック制御部としてPID制御を行うPID制御部44としているが、P制御(比例制御)のみとしたり、P制御にI制御(積分制御)またはD制御(微分制御)のいずれかを組合せたものとしたりしてもよい。
また、PID制御部44は、フィードバック制御部はデジタルフィルタを採用してもよい。
更に、本実施の形態では、DC−DCコンバータ部21からの出力電圧に基づいてゲイン調整値を算出していたが、出力電流、電力、インピーダンスに基づいて偏差や傾きを求めるようにしてもよい。この場合、制御対象は目標電流、目標電力、目標インピーダンスとなる。
なお、本実施の形態では、DC−DCコンバータ部21からの出力電圧に基づいてゲイン調整値を算出するための制御パラメータを予測していたが、目標制御値を目標電流、目標電力、目標インピーダンスとして制御パラメータを予測してもよい。
本発明の設計支援装置及び出力安定装置は、目標制御値に応じた適切な制御パラメータの予測が必要となるデジタル制御電源の設計や、動的な制御パラメータの変更などに好適である。
1,10 電力変換装置
2 電力変換部
21 DC−DCコンバータ部
3 駆動部
4,40 駆動制御部
41 前置増幅部
42 ADコンバータ部
43 ゲイン演算部
431 第1演算部
432 第2演算部
433 加算部
434 ゲイン抑制部
43a 偏差演算部
43b 第1絶対値演算部
43c 第1ゲイン演算部
43d バッファ部
43e 傾き演算部
43f 第2絶対値演算部
43g 第2ゲイン演算部
44 PID制御部
45 PWM信号生成部
46 通知部
47 設定部
5 設計支援装置
50 出力安定装置
51 入力部
52 記憶部
53 特性取得部
54 予測部
55 出力部
56 検知部
57 報知部
B 直流電源
Tr スイッチング素子
L リアクトル
D ダイオード
C キャパシタ
R 負荷
L1 電源線
L2 グランド線
T11,T12 入力端子
T21,T22 出力端子

Claims (8)

  1. 入力された電力を変換して負荷へ出力する電力変換部と、前記負荷への出力をゲイン制御する駆動制御部とを備えた電力変換装置の設計を支援する設計支援装置であって、
    前記電力変換部を構成する回路部品の回路パラメータ、前記駆動制御部のゲインを決定する制御パラメータ、及び制御値からなる群から選択されるパラメータ情報と目標制御値との入力を受け付ける入力部と、
    前記パラメータ情報及び前記目標制御値が蓄積される記憶部と、
    前記パラメータ情報及び前記目標制御値に基づいて得られた第1特性を前記記憶部に蓄積する特性取得部と、
    前記記憶部に蓄積された前記第1特性を補間して得られた第2特性により、前記目標制御値に応じて近似予測された制御パラメータを近似予測する予測部と、
    前記近似予測された制御パラメータを出力する出力部と
    を備えた設計支援装置。
  2. 前記特性取得部は、前記パラメータ情報と前記目標制御値とを用いて機械学習を行い、前記目標制御値を満たすパラメータの組合せを第1特性として前記記憶部に蓄積する機能と、
    前記予測部は、前記第1特性を用いて機械学習を行い、学習結果を法則化した第2特性により前記目標制御値に応じた制御パラメータを近似予測する機能と
    を含む請求項1に記載の設計支援装置。
  3. 入力された電力を変換して負荷へ出力する電力変換部と、前記負荷への出力をゲイン制御する駆動制御部とを備え、
    前記電力変換部を構成する回路部品の回路パラメータ、前記駆動制御部のゲインを決定する制御パラメータ、及び制御値からなる群から選択されるパラメータ情報を通知する通知部と、制御パラメータを設定する設定部とを含む電力変換装置の動作を制御する出力安定装置であって、
    前記パラメータ情報及び目標制御値の入力を受け付ける入力部と、
    前記パラメータ情報及び前記目標制御値が蓄積される記憶部と、
    前記パラメータ情報及び前記目標制御値に基づいて得られた第1特性を前記記憶部に蓄積する特性取得部と、
    前記記憶部に蓄積された前記第1特性を補間して得られた第2特性により、前記目標制御値に応じて近似予測された制御パラメータを近似予測する予測部と、
    前記近似予測された制御パラメータを出力する出力部と
    を備え、
    前記電力変換装置の前記通知部からの通知に基づいて、前記予測部が新たな制御パラメータを演算し、前記出力部から前記電力変換装置の前記設定部へ前記新たな制御パラメータを出力する出力安定装置。
  4. 前記特性取得部は、前記パラメータ情報と前記目標制御値とを用いて機械学習を行い、前記目標制御値を満たすパラメータの組合せを第1特性として前記記憶部に蓄積する機能と、
    前記予測部は、前記第1特性を用いて機械学習を行い、学習結果を法則化した第2特性により前記目標制御値に応じた制御パラメータを近似予測する機能と
    を含む請求項3に記載の出力安定装置。
  5. 前記制御値が所定の閾値を超えたことを異常として検知する検知部と、
    前記検知部による前記異常を報知する報知部と
    を備えた請求項3又は4に記載の出力安定装置。
  6. 前記検知部が前記制御値として出力電圧の異常を検知する請求項5に記載の出力安定装置であって、
    前記検知部は、前記出力電圧のオーバーシュート又はアンダーシュートの立ち上がり又は立ち下がりの周期が所定の閾値未満か否かを検知し、
    前記報知部は、前記周期が所定の閾値未満であれば、前記電力変換部のキャパシタの静電容量が減少していることを、前記周期が所定の閾値以上であれば、内部損失が増加していることを異常として報知する出力安定装置。
  7. 請求項1又は2に記載の設計支援装置として、コンピュータを機能させるための設計支援プログラム。
  8. 請求項3〜6のいずれか1項に記載の出力安定装置として、コンピュータを機能させるための出力安定プログラム。
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