JP2021067932A - プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

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一浩 山内
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Abstract

【課題】良好な電位変動を維持しつつ、横走りを抑制したプロセスカートリッジを提供すること。【解決手段】第1支持体、最下層、及び感光層を有する電子写真感光体と、第2支持体及び第2導電層を有する帯電部材と、を有するプロセスカートリッジであって、第2導電層は、マトリックスと、第2のゴム及び電子導電剤を含むドメインとを有し、マトリックスの体積抵抗率ρMは、ドメインの体積抵抗率ρDの1.0×105倍以上であり、最下層に交流電圧を変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合に、インピーダンスの位相が45°となる最大周波数をfOPC[Hz]とし、帯電部材に交流電圧を変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合に、該インピーダンスの位相が45°となる最大周波数をfC[Hz]とした場合に、fOPCとfCが一定の範囲の値となるプロセスカートリッジ。【選択図】図2

Description

本発明は電子写真感光体及び帯電部材を有する、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも言う。)に関わる電子写真プロセスは、主に帯電・露光・現像・転写の4つのプロセスから成り、必要に応じてクリーニングや前露光などのプロセスが加わる。これらの中でも帯電プロセスと露光プロセスは、感光体の電荷分布を制御し、感光体表面を所望の電位分布にする、静電潜像形成の肝となるプロセスである。帯電プロセスは、帯電部材(帯電手段)から電子写真感光体へと放電を発生させ、感光体表面を帯電させる。その際、感光体及び帯電部材の電気特性や、電気特性の周波数依存性が適切に設計されていないと、放電が過剰になって感光体が絶縁破壊する現象(以下、「リーク」とも言う。)や、放電の不安定化による帯電不良現象が発生し、問題となる。そのため、感光体の支持体の直上に感光層とは別に抵抗を制御した層を設け(以下、「最下層」と言う。)、支持体の表面のささくれ等に起因する凹凸を電気的に隠蔽することでリークや帯電不良を抑制することが行われてきた。
感光体特性を電気抵抗の観点で考えた場合、リークの抑制と帯電能力向上による帯電不良の抑制の観点から、電気抵抗が高いことが望ましいが、電気抵抗を高くし過ぎると露光プロセスにおいて光感度が悪化する。特に、電気抵抗の高い感光体を用いて画像印刷を繰り返し行うと、電荷の抜けが悪いため、長期間の使用を通じて電荷が感光体内部に蓄積される。このため、明部電位が徐々に上昇(以下、「電位変動」とも言う。)し、暗部電位とのコントラストが小さくなる。したがって、露光プロセスを考えた時には、感光体は電気抵抗が低いことが好ましい。
そこで従来、最下層や感光体の電気特性をインピーダンスの考え方で設計し、周波数依存性を考慮した電気特性を最適化してきた。そうすることで、帯電プロセスや露光プロセス等の電子写真プロセス毎に異なる特徴的な時間スケールに対し、それぞれの時定数に対応した周波数帯域での電気特性をプロセスに合わせて最適化することで、上述の問題に対処してきた。
他方、帯電プロセス中に感光体に電荷を付与する帯電部材としては、従来からコロナ型やローラ型などが主に使われている。その中で、コロナ型はローラ型に比べて必要な印加電圧が高く、そのために必要な電源のサイズ及びコストが問題となる。それに対してローラ型は印加電圧が低く、電源のサイズ及びコストを小さく抑えられる。ただし、ローラ型はコロナ型に比べて帯電の均一性や安定性については劣るという問題がある。
また、ローラ型の帯電部材(以下、「帯電ローラ」とも言う。)では帯電ローラと感光体が直接接触するため、感光層への異物混入や衝撃による打痕によって感光体が局所的に最下層表面まで傷付き、あるいは穴が空くことによって、その局所的な領域で感光体への印加電圧が最下層に大きく分圧される。そのような場合、その領域を通って感光体の表層側から支持体側に大きな電流が流れる。すると、帯電ローラへの電荷供給が不足して、感光体表面への放電が十分に行われずに、帯電ローラ長手方向に対して線状の帯電不良が発生する。この状態で画像を印刷した場合、感光体長手方向に黒い線が描かれた画像(以下、横走り画像と言う)が出力される。この現象(以下、「横走り」と言う)は、異物混入や衝撃による打痕の発生を制御しきることが難しいため、問題であった。
特許文献1には、表面にアルミニウム酸化被膜を有するアルミニウム基体上に光導電性材料を含有した感光層を備える感光体が記載されている。アルミニウム酸化被膜のインピーダンスを制御することで、局所的な帯電不良によるかぶりが抑制される。
特許文献2には、複素インピーダンス成分が最大となる角周波数ωmax[rad]が、2≦ωmax≦10である下引層を有する感光体が記載されている。下引層のインピーダンスを上述の範囲に制御することで、帯電プロセス中に下引層中で電荷が移動しすぎることによる異常放電の発生が抑えられ、低画像濃度の画像におけるスジ状の画質欠陥を抑制される。
特許文献3には、体積固有抵抗率1×1012Ω・cm以下の原料ゴムAを主体とするイオン導電性ゴム材料からなるポリマー連続相と、原料ゴムBに導電粒子を配合して導電化した電子導電性ゴム材料からなるポリマー粒子相とを含んでなる海島構造のゴム組成物、及び該ゴム組成物から形成された弾性体層を有する帯電部材が記載されている。イオン導電性ゴム材料と電子導電性ゴム材料とが海島構造となることで、帯電部材の抵抗安定性に優れる。
特開平10−268541号公報 特開2016−139052号公報 特開2002−3651号公報
発明者らの検討によると、特許文献1〜3に記載の電子写真感光体及び帯電部材では、良好な電位変動を維持しつつ、横走りを抑制することが困難であった。
本発明の一態様によれば、良好な電位変動を維持しつつ、横走りを抑制し得るプロセスカートリッジの提供に向けたものである。また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を形成することができる電子写真装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、電子写真感光体と帯電部材を有し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体は、円筒状の第1支持体、該第1支持体の直上に形成された最下層、及び該最下層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、該最下層に交流電圧を周波数1.0×10−2[Hz]−1.0×10[Hz]の間で変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合に、該インピーダンスの位相が45°となる最大周波数をfOPC[Hz]とし、前記帯電部材は、円柱状の第2支持体及び該第2支持体上に形成された第2導電層を有する電子写真用の帯電部材であって、該第2導電層は、第1のゴムを含むマトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインとを有し、該ドメインは、第2のゴム及び電子導電剤を含み、該マトリックスの体積抵抗率ρは該ドメインの体積抵抗率ρの1.0×10倍以上であり、該帯電部材に交流電圧を周波数1.0×10−2[Hz]−1.0×10[Hz]の間で変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合に、該インピーダンスの位相が45°となる最大周波数をf[Hz]とした場合に、fOPCとfが下記式(D1)または下記式(D2)の関係を満たすプロセスカートリッジが提供される:
10≦fOPC/f≦10,000 式(D1)
0.0001≦fOPC/f≦0.1 式(D2)。
また、本発明の他の態様によれば、電子写真感光体と帯電部材を有する電子写真装置であって、前記電子写真感光体は、円筒状の第1支持体、該第1支持体の直上に形成された最下層、及び該最下層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、該最下層に交流電圧を周波数1.0×10−2[Hz]−1.0×10[Hz]の間で変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合に、該インピーダンスの位相が45°となる最大周波数をfOPC[Hz]とし、前記帯電部材は、円柱状の第2支持体及び該第2支持体上に形成された第2導電層を有する電子写真用の帯電部材であって、該第2導電層は、第1のゴムを含むマトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインとを有し、該ドメインは、第2のゴム及び電子導電剤を含み、該マトリックスの体積抵抗率ρは該ドメインの体積抵抗率ρの1.0×10倍以上であり、該帯電部材に交流電圧を周波数1.0×10−2[Hz]−1.0×10[Hz]の間で変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合に、該インピーダンスの位相が45°となる最大周波数をf[Hz]とした場合に、fOPCとfが下記式(D1)または下記式(D2)の関係を満たす、電子写真装置が提供される:
10≦fOPC/f≦10,000 式(D1)
0.0001≦fOPC/f≦0.1 式(D2)。
本発明の一態様によれば、良好な電位変動を維持しつつ、横走りを抑制し得るプロセスカートリッジを得ることができる。また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を形成することができる電子写真装置を得ることができる。
電子写真感光体と帯電部材を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の帯電部材が持つ海島構造の模式図である。 本発明で必要なインピーダンス特性の説明図である。 本発明の実施例5における、インピーダンス特性の説明図である。 本発明の実施例7における、インピーダンス特性の説明図である。 本発明の比較例4における、インピーダンス特性の説明図である。 本発明の比較例1における、インピーダンス特性の説明図である。 本発明の比較例6における、インピーダンス特性の説明図である。 本発明の実施例17における、インピーダンス特性の説明図である。 実施例で作成した帯電ローラに測定電極を形成した状態の概要図である。 帯電ローラに測定電極を形成した状態の断面図である。 インピーダンス測定系の概要図である。 帯電部材の製造方法の説明図である。 リーク試験装置の概略図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
発明者らが検討したところ、従来技術の感光体でアルミニウム酸化被膜や下引層のインピーダンスを最適化するだけでは、前述の異物混入や打痕による横走りの抑制を良好な電位変動の維持と両立させる効果を有さないことが分かった。
そこで発明者らは、感光体と帯電部材との組合せを最適化し、上記課題を解決するためには、感光体と帯電部材をそれぞれ以下のように設計し、更に組合せを最適化することで、良好な電位変動を維持しつつ、横走りの抑制が可能なことを見出した。
<感光体の設計>
発明者らは、感光体は、円筒状の支持体(以下、感光体の支持体を「第1支持体」という。)上に最下層を設けることが必要であることを見出した。この最下層は、感光体に異物混入や打痕が発生した場合に、第1支持体が完全に露出することを防ぐ役割を果たす。
<帯電部材の設計>
また、発明者らは、帯電部材は、円柱状の支持体(以下、帯電部材の支持体を「第2支持体」という。)上に形成された導電層(以下、帯電部材の導電層を「第2導電層」という。)を有する帯電部材であって、該第2導電層が海島構造(図2参照)を持ち、更に海部が島部に比べて一定以上の抵抗を持つことが必要であることを見出した。
ここで、第2導電層の「海島構造」とは、図2に示すように、第1のゴムを含む海部であるマトリックス6aと、マトリックス6a中に分散された複数個の島部であるドメイン6bを有し、ドメイン6bが第2のゴム及び電子導電剤6cを含む構造である。また、「海部が島部に比べて一定以上の抵抗を持つこと」とは、具体的には、例えば、マトリックス6aの体積抵抗率ρ[Ω・cm]とドメイン6bの体積抵抗率ρ[Ω・cm]の比ρ/ρが、1.0×10以上である。
<感光体と帯電部材の組合せの最適化>
本発明において、感光体と帯電部材とを組合せる際、感光体の反応周波数と帯電部材の反応周波数を一定以上離しつつ、限界値以上には離さないことが必要であった。
ここで言う「反応周波数」とは、感光体あるいは帯電部材に交流電圧を周波数1.0×10−2[Hz]〜1.0×10[Hz]の間で変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合の、該インピーダンスの位相が45°となる最大周波数を意味する。感光体の反応周波数をfOPC[Hz]、帯電部材の反応周波数をf[Hz]とする。また、ここで言う「一定以上離す」とは、感光体の反応周波数と帯電部材の反応周波数の比が1桁以上であること、つまりfOPC/fが10以上または0.1以下を満たすことを意味する。また、ここで言う「限界値以上には離さない」とは、感光体の反応周波数fOPCと帯電部材の反応周波数fの比が4桁以下であること、つまりfOPC/fが10,000以下または0.0001以上を満たすことを意味する。すなわち、fOPC/fは、下記式(D1)または下記式(D2)の関係を満たす。
10≦fOPC/f≦10,000 式(D1)
0.0001≦fOPC/f≦0.1 式(D2)
図4、図5、図6、図7、図8、及び図9に、本発明の実施例または比較例の構成における、感光体の最下層と帯電部材のインピーダンスの測定結果を示す。図4、図5、及び図6は、同一の帯電部材に対して最下層を変えた場合のインピーダンス測定結果を示す。図4及び図5では、最下層の反応周波数fOPCと帯電部材の反応周波数fが一定以上離れつつ、限界値以上には離れていないため、本発明の効果が発揮されている。一方、図6では最下層の反応周波数fOPCと帯電部材の反応周波数fが近すぎるため、本発明の効果が発揮されない。図7、図8、及び図9には、図4、図5、及び図6のそれぞれ帯電部材を変えた場合のインピーダンス測定結果を示す。図7は最下層の反応周波数fOPCと帯電部材の反応周波数fの2つの反応周波数が離れすぎているために本発明の効果が発揮されておらず、図8は2つの反応周波数が近すぎるために本発明の効果が発揮されていない。一方、図9では2つの反応周波数の比が必要な範囲に入っているため、本発明の効果が発揮されている。
以下に、インピーダンスと反応周波数の関係について説明する。
サンプルのインピーダンスを測定する際、等価回路は抵抗成分である電気抵抗R[Ω]と、容量成分である静電容量C[Ω]の並列回路(以下、「RC並列回路」とも言う)で概ね表現できる。このときのサンプルのインピーダンスZ[Ω]及びインピーダンスの絶対値|Z|[Ω]は、それぞれ下記式(E1)及び(E2)で表される。
Figure 2021067932
Figure 2021067932
(式(E1)及び(E2)中、iは虚数単位、fは周波数[Hz]である。)
また、Zの極座標表示を考えると、Zは位相θを用いて下記式(E3)で表すことができる。
Figure 2021067932
これらの式から位相θを周波数fの関数として表すと、下記式(E4)となる。
Figure 2021067932
図3に式(E4)のf−θグラフを示す。ここに示すRC並列回路モデルの場合、RとCはサンプル毎に固有の定数であるため、θ=0°のときf=0となる。このときのインピーダンスは抵抗成分が支配的になる。他方、θ=90°のときf→∞となり、このときのインピーダンスは容量成分が支配的になる。θ=45°のときのRC並列回路は抵抗Rと静電容量Cの2成分の過渡期であり、反応性が高い。本発明においては、θ=45°に対応する周波数を反応周波数と呼んでいる。ここで、「反応性が高い」とは、例えば感光体表面への導電性異物の突き刺さりや打痕等によって生じる局所的に低抵抗な部分が帯電プロセス部に突入し、感光体にかかる分担電圧が急激に変化した場合に、分担電圧の急激な変化に伴って帯電部材または感光体に大きな電気的負荷がかかってしまう特性のことをいう。
良好な電位変動を維持しつつ横走りを抑制することに対して、感光体及び帯電部材の組合せが、有効である理由を、発明者らは以下のように推測している。
まず、感光体が最下層を有することによって、感光層に導電性異物の突き刺さりや打痕が発生して局所的に傷つく場合でも第1支持体の完全な露出が抑制される。そのため、帯電プロセス時に局所的な傷部を通って感光体の第1支持体と帯電ローラとの間に生じる大電流を最下層が止めて、横走りを抑制することができる。
第二に、第2導電層が有する、マトリックスがドメインに比べて一定以上の抵抗である海島構造を持つことにより、帯電プロセスにおいて感光体表面への放電は主にドメインから行われる。しかも、複数のドメインでの放電がマトリックスによって電気的に隔てられているため、それぞれの放電が結合して放電が成長することが抑制される。これにより、仮に感光体が局所的に傷ついて電気抵抗が小さくなっていたとしても、そこへの大電流の流れ込みが抑制される。その結果、帯電ローラへの電荷供給の不足による感光体表面への放電不足が抑えられ、帯電ローラ長手方向に対する線状の帯電不良、すなわち横走りが抑制される。
第三に、感光体の反応周波数fOPCと帯電部材の反応周波数fを一定以上離すことで、感光体と帯電部材が帯電プロセス中の同じ時定数で同時に大きな電気的負荷がかかることを抑制できる。帯電ローラの回転に伴って感光体表面が帯電ローラとの接触部(以下、「ニップ」とも言う。)に接近するとき、ニップ近傍の微小な空隙において、放電が発生する。感光体表面への導電性異物の突き刺さりや打痕等によって生じる局所的に低抵抗な部分が突入した場合、感光体表面は急激に大電流が発生しやすく、一方、低抵抗部に対応する帯電部材表面においては、分担電圧が急激に増大しやすくなる。したがって、感光体の反応周波数fOPCと、帯電ローラの反応周波数fが近い場合、両者の電気的負荷が同時に大きくなり、大電流が発生してしまう可能性が高いと、発明者らは考えている。感光体の反応周波数fOPCと帯電ローラの反応周波数fを一定以上離すことで、帯電ローラと感光体に大電流が流れるのを回避できる。その結果、横走りが抑制される。
他方で、fOPCとfを限界値以上に離さないことで、帯電プロセス中に帯電部材から放電が発生している際の感光体の電気抵抗や静電容量等のインピーダンス特性がある程度変化する。その結果、それまでの露光や転写等のプロセスによって感光体内に蓄積されている様々なメモリが緩和されるため、均一で安定な放電による高品位の帯電が行われ、良好な画像品質を維持できる。
以上示した通り、横走りを感光体の最下層や帯電部材の第2導電層の電気抵抗で制御するのではなく、感光体と帯電部材の反応周波数の組合せの最適化により制御するため、良好な電位変動を達成するための電気抵抗を独立に制御しやすくなる。また、上述のメカニズムの通り、感光体内のメモリが緩和され高品位な帯電が行われることも、良好な電位変動の達成に資する。
[電子写真感光体]
本発明に係る電子写真感光体は、最下層と、最下層上に形成された感光層とを有することを特徴とする。ここで最下層とは、第1支持体の直上に積層された、第1支持体の表面に電気化学的な処理などを行うことによってできた表面処理層、下引き層、または導電層(以下、電子写真感光体の導電層を「第1導電層」とも言う。)を意味する。第1支持体の表面の表面処理層及び第1導電層については後述する。最下層を構成する材料は、長期間使用による劣化の観点から、無機物であることが好ましい。
最下層のインピーダンスを測定した際のfOPC[Hz]は、5[Hz]以上であることが好ましく、100[Hz]以上であることが特に好ましい。fOPCを大きくすることで、放電1回当たりの放電量を小さく、かつ、放電回数を多くできるため、横走りも電位変動も良化することになる。
また、fOPC/10[Hz]における最下層の単位面積当たりのインピーダンスzOPCは3.0×10[Ω・cm]以上であることが好ましく、更にその中でも1.0×10[Ω・cm]以下であることがより好ましい。
OPC及びzOPCは、最下層を構成する樹脂の材質、金属酸化物及び金属酸化物の表面処理、膜厚、樹脂と金属酸化物の混合比や分散状態、などの様々なパラメータによって制御される。例えば、fOPCは時定数τ=RCで制御することができる。ここで、Rは最下層の抵抗、Cは最下層の静電容量を意味する。一般にRを大きくするとインピーダンス測定における位相の変化領域は低周波数側にシフトするため、fOPCを小さくすることができる。また、Cを大きくすることでも同様の効果が得られる。
このような電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、各層について説明する。
<第1支持体>
第1支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、第1支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状であることが好ましい。また、第1支持体の表面に、ブラスト処理や切削処理などによって表面処理層を設けてもよい。
第1支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製の支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合または被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
第1支持体は、酸化剤を含む酸性液体中において第1支持体の表面を陽極酸化して表面処理層を設けても良い。この場合、陽極酸化処理には、例えば、硫酸、クロム酸等の無機酸やシュウ酸、スルホン酸等の有機酸を電解液として用いることができる。印加電圧、電流密度、処理温度、時間等の条件は、電解液の種類や膜厚に応じて選択できる。また、本発明の電子写真感光体に用いられる陽極酸化された表面処理層は電解処理した後、封孔処理を施してもよい。封孔処理の方法としては熱水処理、水蒸気処理、酢酸ニッケルやフッ化ニッケル等の各種封孔剤を用いてもよいが、効率よく微細孔を封孔処理できる酢酸ニッケルを用いて処理するのが好ましい。
特に、アルミニウム製の第1支持体の表面を適切な条件で陽極酸化して設けた表面処理層をアルマイト層と呼び、上述の処理条件を適切に制御することで、本発明の最下層として利用することができる。
例えば、第1支持体の陽極酸化時間を長くしてアルマイト層の抵抗Rを大きくすることで、fOPCを小さくすることができる。
<第1導電層>
第1支持体の上に、導電層(以下、感光体の導電層を「第1導電層」と言う。)を設けてもよい。第1導電層を設けることで、第1支持体の表面の傷や凹凸を隠蔽することや、第1支持体の表面における光の反射を制御することができる。第1導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
特に、導電性粒子、及び樹脂の選択や、それらの配合比、第1導電層用塗布液中での導電性粒子の分散方法等を制御することで、本発明の最下層として利用することができる。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。ドープする元素やその酸化物としては、リン、アルミニウム、ニオブ、タンタルなどが挙げられる。
導電性粒子の表面処理方法、または、用いる金属酸化物を変えて導電性粒子の比誘電率を制御することで、第1導電層の静電容量Cを大きくしてすることで、fOPCを小さくすることができる。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズ、酸化チタンなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、第1導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などを更に含有してもよい。
第1導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
第1導電層は、上記の各材料及び溶剤を含有する第1導電層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。第1導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
第1支持体または第1導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などを更に含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上記重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤を更に含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上記の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層を有する。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1−1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を更に含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.10μm以上1.00μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.40μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上記の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
(1−2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比は、質量比で4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上記の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
<保護層>
本発明において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は、導電性粒子及び/または電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
保護層は、上記の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
<最下層のインピーダンスの測定方法>
最下層のインピーダンスは、以下の方法によって測定できる。
インピーダンス測定に際し、最下層と測定電極との間の接触抵抗の影響を排除するために、低抵抗な薄膜を最下層の表面に堆積させ、当該薄膜を電極として使用し、一方で導電性の第1支持体を接地電極として2端子でインピーダンスを測定する方法がある。当該薄膜の形成方法としては、金属蒸着、スパッタリング、金属ペーストの塗布、金属テープを貼付するなどの金属膜の形成方法を挙げることができる。
しかしながら、特定の最下層に対してこれらの手法で電極を直接形成した場合、電極や電極を分散させている溶媒が最下層を汚染する懸念がある。その観点から、最下層表面の接地は針電極を当接させる手法であることが望ましい。該針電極を測定装置に接続し、第1支持体側を測定装置のアース側に接続する。これにより、最下層からの電気信号を好適に測定装置に取得でき、インピーダンス測定を実施することができる。
インピーダンス測定装置は、インピーダンスアナライザ、ネットワークアナライザ、スペクトルアナライザ等、1.0×10Hzまでの周波数帯域のインピーダンスを測定できる装置であればよい。これらの中でも最下層の電気抵抗域から、インピーダンスアナライザによって測定することが好ましい。
インピーダンスの測定条件に関して述べる。インピーダンス測定装置を使用し、1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzの周波数帯域におけるインピーダンスを測定する。測定は温度23℃、相対湿度50%の環境下で行ない、測定ばらつきを低減するために、周波数1桁あたり5点以上の測定点を設けることが好ましい。
測定電圧に関しては、電子写真装置内で最下層に印加される分担電圧を考慮して直流電圧を印加しながら測定してもよい。具体的には、10V以下の直流電圧を振動電圧と重畳印加しながら測定するのが、電荷の輸送と蓄積の特性を定量化するために好適である。
本発明の実施例では、インピーダンス測定装置(ソーラトロン1260、及びソーラトロン1296 ソーラトロン社製)の高電圧側の導線の先端に直径1mmの針電極を取り付け、この針電極を、適切な溶剤などでむき出しにした最下層に対して垂直に当接させた。インピーダンス装置のアース側の導線には導電性のクリップを取り付け、第1支持体の芯材がむき出しになっている部位を挟むことで導通を取った。必要に応じて第1支持体の表面をやすりで研磨し、十分に導通を取れるようにした。−8Vの直流電圧に振幅1Vppの交流電圧を重畳印加しながら測定し、周波数1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzで測定(周波数が1桁変化する際に、10点ずつ測定)した。
[帯電部材]
本発明に係る帯電部材は、例えば、第2導電層を有する帯電ローラであることができる。
該帯電ローラは、例えば下記工程(1)〜(4)を含む方法を経て形成することができる。
工程(1):電子導電材及び第2のゴムを含む、ドメイン形成用ゴム混合物(以下、「CMB」とも言う。)を調製する工程。
工程(2):第1のゴムを含むマトリックス形成用ゴム混合物(以下、「MRC」とも言う。)を調製する工程。
工程(3):CMBとMRCとを混練して、マトリックス−ドメイン構造を有するゴム混合物を調製する工程。
工程(4):工程(3)で調製したゴム混合物の層を、導電性の第2支持体の該表面上に直接または他の層を介して形成し、該ゴム混合物の層を硬化させて、本発明の第2導電層を形成する工程。
<第2支持体>
第2支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、第2支持体の形状としては、円柱状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円柱状であることが好ましい。
第2支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。また、これらに対して、酸化処理やクロム、ニッケルなどで鍍金処理を施しても良い。鍍金の種類としては電気鍍金、無電解鍍金のいずれも使用することができるが、寸法安定性の観点から無電解鍍金が好ましい。ここで使用される無電解鍍金の種類としては、ニッケル鍍金、銅鍍金、金鍍金、その他各種合金鍍金を挙げることができる。鍍金厚さは、0.05μm以上が好ましく、作業効率と防錆能力のバランスを考慮すると、鍍金厚さは0.1〜30μmであることが好ましい。第2支持体の円柱状の形状は、中実の円柱状でも、中空の円柱状(円筒状)でもよい。この第2支持体の外径は、3mm〜10mmの範囲が好ましい。
<中間層>
第2支持体と第2導電層の間に、中間層を設けてもよい。中間層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷供給能力を制御することができる。
中間層は、帯電プロセス中の放電による電荷の消費後の電荷供給を迅速に行い、帯電を安定化させる観点から、プライマーのごとき、薄膜、かつ、導電性の樹脂層が好ましい。
プライマーとしては、第2導電層形成用のゴム材料及び第2支持体の材質等に応じて公知のものを選択して用いることができる。プライマーの材料としては、フェノール系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられる。
<第2導電層>
第2導電層は、第2支持体の外表面上に設けられ、第1のゴムを含むマトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインとを有する。該ドメインは、第2のゴム及び電子導電剤を含み、該マトリックスの体積抵抗率ρは該ドメインの体積抵抗率ρの1.0×10倍以上である。該マトリックスの体積抵抗率ρと該ドメインの体積抵抗率ρとを上記の関係とすることで、マトリックスとドメインの界面で電荷が一時停止する機能が発現する。これにより、ドメイン内に電荷が潤沢に蓄積され、蓄積量が多いことでドメイン間の電荷授受の効率が向上する。すなわち、ドメインの体積抵抗率ρとマトリックスの体積抵抗率ρの差が大きくなると、導電層内の応答性が向上するため、反応周波数が高周波側にシフトする。
また、海島構造に対応した感光体上の電荷コントラストをより明確にする観点から、マトリックスの体積抵抗率ρが1.0×1012[Ω・cm]以上であることが好ましい。
マトリックスの体積抵抗率ρを1.0×1012[Ω・cm]以上にすることで、マトリックス部からの放電や電荷流れ込みが大幅に抑えられ、帯電プロセス中の放電領域での放電コントラスト、及び、ニップ領域での電流コントラストが増大する。その結果、帯電ローラの海島構造に対応した、帯電プロセス後の感光体上の電荷コントラストをより明確にすることができる。また、f/10[Hz]における帯電部材の単位面積当たりのインピーダンスzは1.0×10[Ω・cm][Hz]以上であることが好ましい。
導電層の厚みは、目的とする帯電部材の機能及び効果が得られるものであれば特に限定されないが、1.0mm以上4.5mm以下であることが好ましい。
<帯電部材インピーダンスの測定方法>
帯電部材のインピーダンスは以下の方法によって測定できる。
インピーダンスの測定に際し、帯電部材と測定電極との間の接触抵抗の影響を排除するために、低抵抗な薄膜を帯電部材の表面に堆積させ、当該薄膜を電極として使用し、一方で導電性の第2支持体を接地電極として2端子でインピーダンスを測定する。
当該薄膜の形成方法としては、金属蒸着、スパッタリング、金属ペーストの塗布、金属テープを貼付するなどの金属膜の形成方法を挙げることができる。これらの中でも、導電性部材との接触抵抗の低減という観点で、白金やパラジウムのような金属薄膜を蒸着によって電極とすることが好ましい。
帯電部材の表面に金属薄膜を形成する場合、その簡便さ及び薄膜の均一性を考慮すると、真空蒸着装置に対して帯電部材を把持できる機構を付与し、断面が円柱状の導電性部材に対しては、更に回転機構を付与した、真空蒸着装置を使用することが好ましい。
断面が円形状などの曲面で構成される、例えば円柱状の帯電部材に対しては、上記の測定電極としての金属薄膜と、インピーダンスの測定装置との接続が困難になるため、次のような方法を用いることが好ましい。具体的には、帯電部材の長手方向に、10mm〜20mm程度の幅の金属薄膜電極を形成したのち、金属シートを隙間なく巻き付け、当該金属シートと、測定装置から出ている測定電極と接続して測定すればよい。これにより、帯電部材の第2導電層からの電気信号を好適に測定装置に取得でき、インピーダンス測定を実施することができる。金属シートとしては、インピーダンスを測定するに際して、測定装置の接続ケーブルの金属部と同等の電気抵抗値である金属シートであればよく、例えば、アルミホイルや金属テープ等を用いることができる。
インピーダンスの測定装置は、インピーダンスアナライザ、ネットワークアナライザ、スペクトルアナライザ等、1.0×10Hzまでの周波数帯域におけるインピーダンスを測定できる装置であればよい。これらの中でも帯電部材の電気抵抗域から、インピーダンスアナライザによって測定することが好ましい。
インピーダンスの測定は、インピーダンス測定装置を使用し、1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzの周波数帯域におけるインピーダンスを測定する。測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境下で行なう。測定ばらつきを低減するために、周波数1桁あたり5点以上の測定点を設けることが好ましい。
測定電圧に関しては、電子写真装置内の帯電部材に印加される分担電圧を考慮して直流電圧を印加しながら測定してもよい。具体的には、10V以下の直流電圧を振動電圧と重畳印加しながら測定するのが、電荷の輸送と蓄積の特性を定量化するために好適である。
本発明の実施例では、まず前処理として、作製した帯電部材に対し、回転しながら真空白金蒸着をすることよって、測定電極を作成した。この時、マスキングテープを使用して、長手方向の幅1.5cmの帯状で、周方向に均一な電極を作成した。当該電極を形成することによって、導電性部材の表面粗さによって、測定電極と導電性部材の接触抵抗の影響を極力排除することができる。次に、当該電極に、アルミシートを隙間なく巻きつけ、導電性部材側の測定電極を形成した。
図10に帯電ローラに測定電極を形成した状態の概要図を示す。図10の中で、111が導電性の第2支持体、112がマトリックスドメイン構造を有する第2導電層、113が白金蒸着層、114がアルミシートである。
図11に帯電ローラに測定電極を形成した状態の断面図を示す。121が導電性の第2支持体、122がマトリックスドメイン構造を有する第2導電層、123が白金蒸着層、124がアルミシートである。図11のように、導電性の第2支持体と、測定電極によってマトリックスドメイン構造を有する第2導電層を挟む状態にすることが重要である。
図12に、本測定系の概要図を示す。アルミシート124を、インピーダンス測定装置125(例えば、ソーラトロン1260、及びソーラトロン1296 ソーラトロン社製等)側の測定電極に接続する。導電性の第2支持体121と、アルミシート124を測定のためのインピーダンス測定装置125の2つの電極にすることで、インピーダンス測定を行う。
インピーダンスの測定に際し、帯電部材を温度23℃、相対湿度50%の環境に48時間放置し、帯電部材の水分量を飽和させる。
インピーダンスの測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境において、振幅が1Vppの交流電圧、周波数1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzで測定(周波数が1桁変化する際に、5点ずつ測定)し、インピーダンスの測定値を得る。
<ρ、ρ、及び、ドメインマトリックス構造の制御方法>
本発明の第2導電層について、そのドメインの体積抵抗率ρ[Ω・cm]、マトリックスの体積抵抗率ρ[Ω・cm]、及び、ドメインマトリックス構造を制御するには、前述の帯電ローラを製造する工程(1)〜(4)の各工程に用いる材料の種類及び含有量の選択、製造条件の調整を行えば良い。
まずドメインの体積抵抗率ρは、CMB中の電子導電剤の量によって制御できる。
例えば電子導電剤として、フタル酸ジブチル吸油量(DBP吸油量)が、40[cm]/100[g]以上、170[cm]/100[g]以下である導電性カーボンブラックを用いるとする。この場合、CMBの全質量を基準として、40質量%以上、200質量%以下の導電性カーボンブラックを含むようCMBを調製することで、ρを1.0×10[Ω・cm]以上1.0×10[Ω・cm]以下に制御することができる。
ドメイン用のゴム材料としては、マトリックス用としてのゴム成分を含むゴム組成物を用いることができるが、海島構造を形成しやすいという観点から、マトリックスを形成するゴム材料とのSP値の差が0.4[(J/cm0.5]以上、5.0[(J/cm0.5]以下であることが好ましく、0.4[(J/cm0.5]以上、2.2[(J/cm0.5]以下であることがより好ましい。
ドメインの体積抵抗率は、電子導電剤の種類、及びその添加量を適宜選択することによって調整することができる。ドメインに配合される電子導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化錫等の酸化物、Cu、Ag等の金属またはこれらの金属酸化物が表面に被覆され導電化された粒子などが挙げられる。また、必要に応じて、これらの導電剤の2種類以上を適宜量配合して使用しても良い。
以上の電子導電剤のうち、ゴムとの親和性が大きく、電子導電剤間の距離の制御が容易な、導電性のカーボンブラックを使用することが好ましい。ドメインに配合されるカーボンブラックとしては、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、高い導電性をドメインに付与し得るという観点から、DBP吸油量が40[cm]/100[g]以上170[cm]/100[g]以下である導電性カーボンブラックを好適に用いることができる。
導電性のカーボンブラック等の電子導電剤は、ドメインに含まれるゴム成分の100質量部に対して、20質量部以上150質量部以下でドメインに配合されることが好ましい。特に好ましい配合割合は、50質量部以上100質量部以下である。これらの割合での導電剤の配合は、一般的な電子写真用の帯電部材と比較して、導電剤が多量に配合されていることが好ましい。
また、必要に応じて、ゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、老化防止剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、軟化剤、分散剤、着色剤等を、本発明に係る効果を阻害しない範囲でドメイン用のゴム組成物に添加してもよい。
次にマトリックスの体積抵抗率ρは、MRCの組成によって制御できる。
例えばMRCに用いる第1のゴムとしては、導電性の低い、天然ゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴムなどが挙げられる。
また、MRCには、必要に応じて、充填剤、加工助剤、架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、老化防止剤、軟化剤、分散剤、着色剤を添加してもよい。
他方、MRCには、ρ/ρ≧10、及び、ρ≧1.0×1012とするために、カーボンブラックの如き電子導電剤は含有させないことが好ましい。
最後にドメインマトリックス構造は、下記(a)〜(d)の4つを調整することで効果的に制御できる。
(a)CMB、及びMRCの各々の界面張力σの差。
(b)CMBの粘度η、及びMRCの粘度ηの比η/η
(c)帯電ローラの製造工程(3)における、CMBとMRCとの混練時のせん断速度γ、及び、せん断時のエネルギー量EDK
(d)帯電ローラの製造工程(3)における、MRCに対するCMB体積分率。
以下、各工程について説明する。
(a)CMBとMRCの界面張力差
一般的に2種の非相溶のゴムを混合した場合、相分離する。これは、異種高分子間の相互作用よりも、同一高分子間の相互作用が強いため、同一高分子同士で凝集し、自由エネルギーを低下させ安定化しようとするためである。相分離構造の界面は異種高分子と接触するため、同一分子同士の相互作用で安定化されている内部より、自由エネルギーが高くなる。その結果、界面の自由エネルギーを低減させるために、異種高分子と接触する面積を小さくしようとする界面張力が発生する。この界面張力が小さい場合、エントロピーを増大させるために異種高分子でもより均一に混合しようとする方向に向かう。均一に混合した状態とは溶解であり、溶解度の目安となる溶解度パラメーター(以下、SP値と呼称する)と界面張力は相関する傾向にある。
つまり、CMB、及びMRCの各々の界面張力σの差は、各々が含むゴムのSP値差と相関すると考えられる。MRC中の第1のゴムと、CMB中の第2のゴムとしては、SP値の絶対値の差が、0.4[(J/cm0.5]以上、5.0[(J/cm0.5]以下、特には、0.4[(J/cm0.5]以上2.2[(J/cm0.5]以下となるようなゴムを選択することが好ましい。この範囲であれば安定した相分離構造を形成でき、また、CMBのドメイン径を小さくすることができる。
ここで、CMBに用い得る第2のゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム(U)などが挙げられる。
(b)CMBとMRCの粘度比
CMBとMRCとの粘度比η/ηは、1に近い程、ドメインの最大フェレ径を小さくできる。具体的には、η/ηは1.0≦η/η≦2.0であることが好ましい。η/ηは、CMB及びMRCに使用する原料ゴムのムーニー粘度の選択や、充填剤の種類や量の配合によって調整が可能である。また、相分離構造の形成を妨げない程度に、パラフィンオイルなどの可塑剤を添加することでも可能である。また混練時の温度を調整することで、粘度比の調整を行うことができる。なおドメイン形成用ゴム混合物やマトリックス形成用ゴム混合物の粘度は、JIS K 6300−1:2013に基づきムーニー粘度ML(1+4)を混練時のゴム温度で測定することで得られる。
(c)CMBとMRCの混練時のせん断速度、及び、せん断時のエネルギー量
CMBとMRCとの混練時のせん断速度γは速いほど、また、せん断時のエネルギー量EDKは大きいほど、ドメイン間距離を小さくすることができる。
γは、混練機のブレードやスクリューといった撹拌部材の内径を大きくし、撹拌部材の端面から混練機内壁までの間隙を小さくすることや、回転数を大きくすることで上げることができる。またEDKを上げるには、撹拌部材の回転数を上げることや、CMB中の第2のゴムとMRC中の第1のゴムの粘度を上げることで達成できる。
(d)MRCに対するCMB体積分率
MRCに対するCMBの体積分率は、CMB同士の衝突合体確率と相関する。具体的には、MRCに対するCMBの体積分率を低減させると、CMB同士の衝突合体確率が低下する。つまり必要な導電性を得られる範囲において、MRCに対するCMBの体積分率を減らすことで、ドメイン間距離を小さくできる。この観点から、MRCに対するCMBの体積分率は15%以上、40%以下であることが好ましい。
以上の方法を用いてρ及びρを制御し、海島構造を形成することで、ρ/ρ≧1.0×10、ρ≧1.0×1012を満たす第2導電層を得ることができる。
<海島構造の確認方法>
第2導電層中の海島構造の存在は、第2導電層から薄片を作製して、薄片に形成した破断面の詳細観察により確認することができる。
薄片化する手段としては、例えば、鋭利なカミソリや、ミクロトーム、FIBなどがあげられる。また、海島構造のより正確な観察を実施するために、染色処理、蒸着処理など、ドメインとマトリックスとのコントラストが好適に得られる前処理を観察用の薄片に施してもよい。
破断面の形成、及び必要に応じて前処理を行った薄片に対して、レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によって破断面を観察して海島構造の存在を確認することができる。簡易的、かつ正確に海島構造を確認できるという観点から、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することが好ましい。
上述の手法で第2導電層の薄片を取得し、当該薄片の表面を1,000倍〜10,000倍で観察して得られる画像を取得した後、画像処理ソフト(商品名:ImageProPlus、Media Cybernetics製)等を使用して8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得る。次いで、破断面内のドメインが白くなるように、画像の白黒を反転処理した後、画像の輝度分布に対して大津の判別分析法のアルゴリズムに基づいて、2値化の閾値を設定し、2値化画像を得る。最後に,ドメイン及びマトリックスを2値化によって区別する状態に画像処理した当該解析画像によって、マトリックスドメイン構造の有無を判断すればよい。
当該解析画像に、図2のように、複数のドメイン6bがマトリックス6a中に孤立した状態で存在する構造が含まれている場合に、第2導電層中での海島構造の存在を確認することができる。ドメイン6bの孤立状態は、各ドメイン6bが他のドメイン6bと連結していない状態で配置され、かつ、マトリックス6aは画像内で連通し、ドメイン6bがマトリックス6aによって分断されている状態であればよい。具体的には、当該解析画像内の50[μm]四方内を解析領域とした場合に、当該解析領域の枠線と接点を持たないドメイン群の総数に対して、上述のように孤立状態で存在するドメインの個数が80個数パーセント以上存在する状態を、海島構造を有する状態とする。
上述の確認を、導電性部材の第2導電層を長手方向に均等に5等分し、周方向に均等に4等分し、それぞれの領域から任意に1点ずつ、合計20点から当該切片を作製して上記測定を行えばよい。
本発明の実施例では、カミソリを用いて第2導電層の長手方向と垂直な断面が観察できるように切片を切り出し、白金蒸着を行った後、走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:S−4800、日立ハイテクノロジーズ製)を用いて1,000倍で撮影し、断面画像を得た。
続いて、本発明の実施例では、上記画像処理ソフト及び方法を用いて得た2値化画像に対して、カウント機能によって50μm四方の領域内に存在し、かつ、2値化画像の枠線に接点を持たないドメイン6bの総数に対して、ドメイン6b同士が接続せずに孤立しているドメイン6bの個数パーセントKを算出した。その際、図2のように、複数のドメイン6bがマトリックス6a中に分散されて、ドメイン6b同士が接続せずに独立した状態で存在する形態を示し、他方で、マトリックス6aは画像内で連通している状態であるドメイン群を確認した。
最後に、本発明の実施例では、海島構造の有無の判定を以下のようにして行った。すなわち、第2導電層を長手方向に均等に5等分し、周方向に均等に4等分して得られた領域のそれぞれから任意に1点ずつ、合計20点から当該切片を作製して上記測定を行った。そうして得た算術平均値K(個数%)が80以上の場合に、海島構造が「有」、算術平均値K(個数%)が80未満場合に海島構造が「無」と評価した。
<ドメインの体積抵抗率ρの測定方法>
ドメインの体積抵抗率ρは、第2導電層を薄片化した後、微小探針によって計測することができる。薄片化する手段としては、例えば、鋭利なカミソリや、ミクロトーム、収束イオンビーム法(FIB)などが挙げられる。
薄片の作製に関しては、マトリックスの影響を排除し、ドメインのみの体積抵抗率を計測する必要があるため、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などであらかじめ計測したドメイン間距離よりも小さい膜厚の薄片を作成する必要がある。したがって、薄片化の手段としては、ミクロトームのような非常に薄いサンプルを作成できる手段が好ましい。
体積抵抗率の測定は、まず、当該薄片の片面を接地した後に、薄片中のマトリックスとドメインの場所を特定する。これらの場所の特定は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)や原子間力顕微鏡(AFM)など、マトリックスとドメインの体積抵抗率あるいは硬度の分布を計測できる手段によって行うことができる。次いで、当該マトリックスに探針を接触させ、1[V]のDC電圧を5秒間印加しての接地電流値の5秒間の算術平均値を測定し、その測定値で印加電圧を除することで電気抵抗値を算出する。最後に薄片の膜厚を用いて、抵抗値を体積抵抗率に変換すればよい。このとき、SPMやAFMのような形状測定も可能な手段は、抵抗値と同時に当該薄片の膜厚も計測できるため、好適である。
円柱状の帯電部材におけるρの測定は、第2導電層を周方向に4分割、長手方向に5分割した領域のそれぞれから各1つずつ薄片サンプルを切り出し、上記の測定値を得た後に、合計20サンプルの体積抵抗率の算術平均値を算出することによって行なうことができる。
実施例では、第2導電層から、ミクロトーム(商品名:Leica EM FCS、ライカマイクロシステムズ製)を用いて、切削温度−100℃にて、1μmの厚みの超薄切片を切り出した。長薄切片の切り出しに際しては、放電のために電荷が輸送される方向を踏まえ、帯電部材の長手方向と垂直な断面の方向とした。
次に、実施例では、温度23℃、相対湿度50%の環境において、当該超薄切片を金属プレート上に設置し、金属プレートに直接接触している箇所の中を選び、ドメインに該当する箇所を走査型プローブ顕微鏡(SPM)(商品名:Q−Scope250、Quesant Instrument Corporation製)のカンチレバーを接触させ、5秒間、カンチレバーに1Vの電圧を印加し、電流値を測定し、5秒間の算術平均値を算出した。
続いて、本発明の実施例では、当該SPMで当該測定切片の表面形状を観察して、得られる高さプロファイルから測定箇所の厚さを算出した。更に、表面形状観察結果から、カンチレバーの接触部の凹部面積を算出した。当該厚さと当該凹部面積とから体積抵抗率を算出した。
最後に、本発明の実施例では、第2導電層を長手方向に5等分し、周方向に4等分して得られたそれぞれの領域内から任意に1点ずつ、合計20点の当該切片を作製して上記測定を行った。その平均値を、ドメインの体積抵抗率ρとした。
なお、本発明の実施例では、上記SPMをコンタクトモードで走査した。
<マトリックスの体積抵抗率のρ測定方法>
マトリックスの体積抵抗率ρの測定は、前記<ドメインの体積抵抗率ρの測定方法>に対して、測定箇所をマトリックスに相当する場所に変更し、電流値の測定の際の印加電圧を50Vに変更した以外は同様の方法で実施すればよい。
本発明の実施例では、前記<ドメインの体積抵抗率ρの測定方法>における本発明の実施例での方法に対して、測定箇所をマトリックスに相当する場所に変更し、電流値の測定の際の印加電圧を50Vに変更した以外は同様の方法で実施した。
<SP値の測定方法>
SP値は、SP値が既知の材料を用いて検量線を作成することで、精度良く算出することが可能である。この既知のSP値は、材料メーカーのカタログ値を用いることもできる。例えば、NBR及びSBRは、分子量に依存せず、アクリロニトリル及びスチレンの含有比率でSP値がほぼ決定される。したがって、マトリックス及びドメインを構成するゴムに対して熱分解ガスクロマトグラフィー(Py−GC)及び固体NMR等の分析手法を用いることで、アクリロニトリルまたはスチレンの含有比率を解析し、SP値が既知の材料から得た検量線と合わせて、SP値を算出することができる。また、イソプレンゴムは、1,2−ポリイソプレン、1,3−ポリイソプレン、3,4−ポリイソプレン、及びcis−1,4−ポリイソプレン、trans−1,4−ポリイソプレンなどの、異性体構造でSP値が決定される。したがって、SBR及びNBRと同様にPy−GC及び固体NMR等で異性体含有比率を解析し、SP値が既知の材料から得た検量線と合わせて、SP値を算出することができる。SP値が既知の材料のSP値は、Hansen球法で求めたものである。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と帯電部材とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。なお、本発明のプロセスカートリッジは、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段を一体に支持していても良い。
また、本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体と帯電部材に加え、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする。
本発明のプロセスカートリッジが有する感光体と帯電部材は、感光体のfOPC[Hz]と帯電部材のf[Hz]の関係fOPC/fが下記式(D3)または下記式(D4)を満たすことが好ましい。
30≦fOPC/f≦3,000 式(D3)
0.0003≦fOPC/f≦0.03 式(D4)
更に、横走りを感光体と帯電部材の電気抵抗のバランスを取って抑制する観点から、fOPC/10[Hz]における前記最下層の単位面積当たりのインピーダンスzOPC[Ω・cm]と、f/10[Hz]における前記帯電部材の単位面積当たりのインピーダンスz[Ω・cm]が、下記式(D5)の関係を満たすことが好ましい。
(zOPC×z)≧1.0×10 式(D5)
図1に、電子写真感光体と帯電部材とを備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
円筒状の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電部材3により、正または負の所定電位に帯電される。なお、図1に示す通り、本発明の帯電部材はローラ型帯電部材によるローラ帯電方式である。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジ11を電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
電子写真感光体は、レーザビームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
実施例及び比較例の電子写真感光体の各層の膜厚は、電荷発生層を除き、渦電流式膜厚計(商品名:Fischerscope、フィッシャーインスツルメント製)を用いる方法、または単位面積当たりの質量から比重換算する方法で求めた。電荷発生層の膜厚は、感光体の表面に分光濃度計(商品名:X−Rite504/508、X−Rite製)を押し当てて測定したマクベス濃度値と断面SEM画像観察による膜厚測定値から予め取得した校正曲線を用いて、感光体のマクベス濃度値を換算することで測定した。
<電子写真感光体の製造>
以下の方法で第1支持体、第1導電層、下引き層、電荷発生層、及び電荷輸送層を作製し、電子写真感光体を製造した。製造した感光体における、表面処理層、第1導電層、及び下引き層の組み合わせを表1に示す。
<第1支持体の作製>
熱間押し出しにより、直径φ24mm、長さ257mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を得た。必要に応じて、後述の方法で表面処理層を作製し、第1支持体を得た。
(表面処理層1の作製)
第1支持体に対し、ダイヤモンド焼結バイトを用いて切削加工を行った。
洗浄工程としてこのシリンダ−を脱脂処理、2wt%水酸化ナトリウム溶液で1分間エッチング処理、中和処理、更に純水洗浄を順に行った。
次に、14wt%硫酸溶液中、直流電圧20Vにて10分間の陽極酸化を行い、シリンダ−表面に陽極酸化膜を形成した。次に、水洗後、0.8wt%酢酸ニッケル溶液に温度72℃で15分間浸漬して封孔処理を行った。更に純水洗浄、乾燥処理を行い、表面処理層1を得た。
(表面処理層2の作製)
第1支持体に対し、ダイヤモンド焼結バイトを用いて切削加工を行った。
洗浄工程としてこのシリンダ−を脱脂処理、2wt%水酸化ナトリウム溶液で1分間エッチング処理、中和処理、更に純水洗浄を順に行った。
次に、10wt%硫酸溶液中、直流電圧15Vにて20分間の陽極酸化を行い、シリンダ−表面に陽極酸化膜を形成した。次に、水洗後、1wt%酢酸ニッケル溶液に温度80℃で15分間浸漬して封孔処理を行った。更に純水洗浄、乾燥処理を行い、表面処理層2を得た。
(表面処理層3の作製)
表面処理層2の作製で陽極酸化を30秒に変更したこと以外は表面処理層2と同様にして、表面処理層3を得た。
(表面処理層4の作製)
表面処理層2の作製で陽極酸化を20秒に変更したこと以外は表面処理層2と同様にして、表面処理層4を得た。
(表面処理層5の作製)
表面処理層2の作製で陽極酸化を10秒に変更したこと以外は表面処理層2と同様にして、表面処理層5を得た。
<第1導電層の作製>
(導電層1−1)
酸化スズで被覆されている硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、DIC製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.015部、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン合同会社製)3.6部、2−メトキシ−1−プロパノール50部、及び、メタノール50部をボールミルに入れ、20時間分散処理して、第1導電層用塗布液1を調製した。第1導電層用塗布液1を上述の第1支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を温度145℃で1時間加熱し硬化させることにより、膜厚が25μmの導電層1−1を形成した。
(導電層1−2)
酸化亜鉛粒子(平均一次粒径:50nm、比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm、テイカ製)100部をトルエン500部に撹拌しながら混合した。これに表面処理剤としてN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学製)1.25部を添加し、4時間攪拌しながら混合した。その後、トルエンを減圧留去して、温度130℃で4時間乾燥させることによって、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
酸化チタン粒子(商品名:JR−405、テイカ(株)製、平均一次粒子径:210nm)100部をトルエン500部と攪拌混合し、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.75部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、温度120℃で3時間焼き付けを行い、表面処理された酸化チタン粒子を得た。
Figure 2021067932
続いて、上記表面処理された酸化亜鉛粒子75部、式(A2)で示されるブロック化されたイソシアネート化合物(商品名:スミジュール3175、固形分:75質量%、住友バイエルウレタン製)16部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業製)9部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業製)1部、干渉縞を防止する目的で表面処理された酸化チタン粒子8.65部を、メチルエチルケトン60部とシクロヘキサノン60部の混合溶剤に加えて分散液を調製した。この分散液に、平均粒径1.0mmのガラスビーズを用いて縦型サンドミルにて温度23℃雰囲気下、回転数1,500rpmで3時間分散処理した。分散処理後、得られた分散液に架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(商品名:SSX−103、平均粒径:3μm、積水化学工業製)5部と、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.01部を添加して攪拌することで、第1導電層用塗布液2を調製した。第1導電層用塗布液2を第1支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を温度160℃で40分間加熱、重合させることによって、膜厚が30μmの導電層1−2を形成した。
(導電層1−3)
金属酸化物粒子としての酸素欠損型酸化スズ(SnO)が被覆されている酸化チタン(TiO)粒子214部、結着材料としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分:60質量%)132部、及び、溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:温度18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して10質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、平均粒径2μm)を分散液に添加した。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)を分散液に添加して撹拌することによって、第1導電層用塗布液3を調製した。この第1導電層用塗布液3を第1支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を温度150℃で30分間乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層1−3を形成した。
(導電層1−4)
芯材のアナターゼ型二酸化チタンは公知の硫酸法で製造することができる。即ち、硫酸チタン、硫酸チタニルを含む溶液を加熱して加水分解させメタチタン酸スラリーを作製し、該メタチタン酸スラリーを脱水焼成して得られる。
芯材粒子として、平均一次粒径が200nmのアナターゼ型酸化チタン粒子を使用した。チタンをTiO換算で33.7部、ニオブをNb換算で2.9部含有するチタンニオブ硫酸溶液を調製した。芯材粒子100部を純水に分散して1000部の懸濁液とし、温度60℃に加温した。チタンニオブ硫酸溶液と10mol/L水酸化ナトリウムとを懸濁液のpHが2〜3になるように3時間かけて滴下した。全量滴下後、pHを中性付近に調整し、凝集剤を添加して固形分を沈降させた。上澄みを除去し、ろ過及び洗浄し、温度110℃で乾燥し、凝集剤由来の有機物をC換算で0.1wt%含有する中間体を得た。この中間体を窒素中温度750℃で1時間焼成を行った後、空気中温度450℃で焼成して、酸化チタン粒子1を作製した。得られた粒子は前述の走査電子顕微鏡を用いた粒径測定方法において、平均粒径(平均一次粒径)220nmであった。
次に、結着材料としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ−325、DIC製、樹脂固形分:60%、硬化後の密度:1.3g/cm)80部を、溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール60部に溶解させて溶液を得た。
この溶液に金属酸化物粒子1を100部加え、これを分散媒体として平均粒径1.0mmのガラスビーズ200部を用いた縦型サンドミルに入れ、分散液温度23±3℃、回転数1500rpm(周速5.5m/s)の条件で2時間分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュでガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液を、PTFE濾紙(商品名:PF060、アドバンテック東洋製)を用いて加圧ろ過した。加圧ろ過後の分散液に、レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:SH28 PAINT ADDITIVE、東レ・ダウコーニング製)0.015部、及び、表面粗さ付与材としてシリコーン樹脂粒子(商品名:KMP−590、信越化学工業製、平均粒径:2μm、密度:1.3g/cm)15部を添加して攪拌することによって、第1導電層用塗布液4を調製した。この第1導電層用塗布液4を上述の第1支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を温度145℃で1時間加熱し硬化させることにより、膜厚が25μmの導電層1−4を形成した。
<下引き層の作製>
(下引き層1)
N−メトキシメチル化ナイロン6(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス製)25部をメタノール/n−ブタノール=2/1混合溶液480部に溶解(温度65℃での加熱溶解)させて下溶液を調製した。その後、溶液をメンブランフィルター(商品名:FP−022、孔径:0.22μm、住友電気工業製)で濾過して、下引き層用塗布液1を調製した。この下引き層用塗布液1を第1支持体または第1導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層1を形成した。
(下引き層2)
ルチル型酸化チタン粒子(平均一次粒径:50nm、テイカ製)100部をトルエン500部と攪拌混合し、式(A3)で示される化合物として、n=1、Rがメチル基であるエチルトリメトキシシラン3.0部を添加し、8時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、温度120℃で3時間乾燥させることによって、エチルトリメトキシシランで表面処理されたルチル型酸化チタン粒子を得た。
Figure 2021067932
前記エチルトリメトキシシランで表面処理済みされたルチル型酸化チタン粒子18部、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス製)4.5部、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)1.5部を、メタノール90部と、1−ブタノール60部と及びジメチルケトンアセトン15部の混合溶剤に加えて分散液を調製した。この分散液を、直径1.0mmのガラスビーズを用いて縦型サンドミルにて5時間分散処理することにより、下引き層用塗布液2を調製した。この下引き層用塗布液2を第1支持体または第1導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層2を形成した。
<電荷発生層>
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2±0.3°に強いピークを有する結晶形のチタニルフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)5部及びシクロヘキサノン250部を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、分散処理時間:3時間の条件で分散処理を行い、次に、酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を第1支持体上または第1導電層上または下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を温度100℃で10分間乾燥させることによって、マクベス濃度値が0.95の電荷発生層を形成した。
<電荷輸送層>
式(A4)で表される電荷輸送物質を90部、バインダー樹脂として式(A5)の繰り返し単位を持つポリアリレート樹脂を100部、レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:KF−96、信越シリコーン社製)0.05部をテトラヒドロフラン480部とトルエン120部の混合溶媒に混合し、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を温度140℃で30分間乾燥させることによって、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2021067932
Figure 2021067932
Figure 2021067932
[ドメイン形成用未加硫ゴム混合物(CMB)の製造]
<CMB1の製造例>
原料ゴムとしてブチルゴム(商品名:JSR Butyl 065、JSR株式会社製)100部、電子導電剤としてカーボンブラック(商品名:トーカブラック♯5500、東海カーボン製)60部、加硫促進剤として酸化亜鉛(商品名:酸化亜鉛2種、堺化学工業株式会社製)5部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛(商品名:SZ−2000、堺化学工業株式会社製)2部を、6リットル加圧ニーダー(商品名:TD6−15MDX、トーシン製)を用いて混合し、CMB1を製造した。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、20分間とした。
このとき、原材料ゴムのSP値とムーニー粘度、及び、CMB1のムーニー粘度を前述の方法で測定した。その結果を、CMB1の各材料構成と共に表2に示す。
なお、表2中の原材料ゴム種の材料略称については表4に、電子導電剤の材料略称については表5に示す。
なお、表2中の「質量部」は原材料ゴム種100部に対する電子導電剤の質量部を意味する。
<CMB2〜8の製造例>
CMB1の製造例において、原材料ゴム種と電子導電剤を表2に示すように変更したこと以外はCMB1の製造例と同様にして、CMB2〜8を製造した。
また、CMB1と同様にして、CMB2〜8の原材料ゴムのSP値とムーニー粘度、及び、CMB2〜8のムーニー粘度を測定した。その結果を、CMB2〜8の各材料構成と共に表2に示す。また、表2中の原材料ゴム種の材料略称については表4に、電子導電剤の材料略称については表5に示す。
Figure 2021067932
表中のムーニー粘度に関し、原料ゴムのムーニー粘度の値は各社のカタログ値である。CMBのムーニー粘度の値は、JIS K6300−1:2013に基づくムーニー粘度ML(1+4)であり、CMBを構成する材料すべてを混練している時のゴム温度で測定されたものである。
[マトリックス形成用ゴム混合物(MRC)の製造]
<MRC1の製造例>
原料ゴムとしてスチレンブタジエンゴム(商品名:T1000、旭化成製)100部、充填剤として炭酸カルシウム(商品名:ナノックス#30、丸尾カルシウム株式会社製)70部、加硫促進剤として酸化亜鉛(商品名:酸化亜鉛2種、堺化学工業株式会社製)7部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛(商品名:SZ−2000、堺化学工業株式会社製)2.8部を、6リットル加圧ニーダー(商品名:TD6−15MDX、トーシン製)を用いて混合し、MRC1を製造した。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
このとき、原材料ゴムのSP値とムーニー粘度、及び、MRC1のムーニー粘度を前述の方法で測定した。その結果を、MRC1の各材料構成と共に表3に示す。
なお、表3中の「質量部」は原材料ゴム種100部に対する導電剤の質量部を意味する。また、表3中の原材料ゴム種の材料略称については表4に示す。
<MRC2〜7の製造例>
MRC1の製造例において、原材料ゴム種を表3に示すように変更したこと以外はMRC1の製造例と同様にして、MRC2〜7を製造した。
また、MRC1の製造例と同様にして、MRC2〜7の原材料ゴムのSP値とムーニー粘度、及び、MRC2〜7のムーニー粘度を測定した。その結果を、MRC2〜7の各材料構成と共に表3に示す。
Figure 2021067932
Figure 2021067932
Figure 2021067932
<帯電部材の製造>
(帯電ローラ1の製造例)
円柱状の第2支持体として、ステンレス鋼(SUS304)の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した全長252mm、外径6mmの丸棒を用意した。
次に、CMB1とMRC1とをそれぞれ25部と75部の配合量で、6リットル加圧ニーダー(商品名:TD6−15MDX、トーシン製)を用いて混合した。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
次に、CMB1とMRC1の混合物100部、加硫剤として硫黄(商品名:SULFAX PMC、鶴見化学工業製)3部、加硫助剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド(商品名:ノクセラーTT−P、大内新興化学株式会社製)3部を、ロール径12インチのオープンロールを用いて混合し、第2導電層形成用未加硫ゴム混合物を調製した。混合条件は、前ロール回転数10rpm、後ロール回転数8rpmで、ロール間隙2mmとして合計20回左右の切り返しを行った後、ロール間隙を0.5mmとして10回薄通しを行った。
続いて、図13に示す装置を用いて未加硫ゴムローラを製造した。第2支持体161の供給機構164、及び未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド163の押出機の先端に、内径10mmのダイスを取付け、押出機162とクロスヘッド163の温度を80℃、第2支持体161の搬送速度を60mm/secに調整した。この条件で、押出機162から第2導電層形成用未加硫ゴム混合物を供給して、クロスヘッド163内にて第2支持体161の外周部を該第2導電層形成用未加硫ゴム混合物で被覆し、未加硫ゴムローラ165を得た。
次に、温度160℃の熱風加硫炉中に未加硫ゴムローラ165を投入し、60分間加熱することで第2導電層形成用未加硫ゴム混合物を加硫し、第2支持体161の外周部に第2導電層を形成した。その後、第2導電層の両端部を各10mm切除して、第2導電層部の長手方向の長さを232mmとし、ローラ166を得た。
最後に、ローラ166の第2導電層の表面を回転砥石で研磨した。これによって、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が8.4mm、中央部直径が8.5mmのクラウン形状である帯電ローラ1を製造した。
このとき得られた帯電ローラ1のドメインの体積抵抗率ρ[Ω・cm]、マトリックスの体積抵抗率ρ[Ω・cm]を前述の方法で測定した。その結果を、帯電ローラ1の構成と共に表6に示す。
なお、表6中の加硫剤及び加硫促進剤の材料略称については表7に示す。
(帯電ローラ2〜15の製造例)
帯電ローラ1の製造例において、CMB、MRC、CMBとMRCの混合比、加硫促進剤を表6に示すように変更したこと以外は帯電ローラ1の製造例と同様にして、帯電ローラ2〜15を製造した。
また、帯電ローラ1と同様にして、帯電ローラ2〜15のドメインの体積抵抗率ρ[Ω・cm]、マトリックスの体積抵抗率ρ[Ω・cm]を測定した。その結果を、帯電ローラ2〜15の構成と共に表6に示す。
Figure 2021067932
Figure 2021067932
[実施例1]
感光体1と帯電部材1を、ヒューレットパッカード社製のレーザビームプリンタ(商品名:Color Laser Jet Enterprise M653dn)のプロセスカートリッジに装着し、実施例1のプロセスカートリッジを用意した。
このとき、用いた感光体1のfOPCとzOPCの測定値、及び、帯電部材1のfとzの測定値、及び、ρ/ρの計算値、そして感光体1と帯電部材1を組み合わせた時のfOPC/fと(zOPC×z0.5の計算値を表8に示す。
[実施例2〜36、比較例1〜6]
実施例1において、感光体1と帯電部材1を表8に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜36及び比較例1〜6のプロセスカートリッジを用意した。
また、用いた感光体のfOPCとzOPCの測定値、及び、帯電部材のfとzの測定値、及び、ρ/ρの計算値、そして感光体と帯電部材を組み合わせた時のfOPC/fと(zOPC×z0.5の計算値を表8に示す。
Figure 2021067932
[評価]
実施例と比較例との各プロセスカートリッジについて、以下の評価を行った。
<評価装置>
評価用の電子写真装置として、ヒューレットパッカード社製のレーザビームプリンタ(商品名:Color Laser Jet Enterprise M653dn)を用意し、感光ドラムなどを回転駆動させるモータを80rpmに改造し、更に、帯電ローラへの印加電圧、及び、感光体への前露光量と像露光量を調節及び測定できるよう改造した。
また、実施例と比較例の各プロセスカートリッジを3つずつ準備した。このプロセスカートリッジはマゼンタ色用のプロセスカートリッジステーションにのみ取り付けるため、他の色(シアン、イエロー、ブラック)用のプロセスカートリッジをレーザビームプリンタ本体に装着しなくても作動するようにした。
画像の出力に際しては、マゼンタ色用のプロセスカートリッジのみをレーザビームプリンタ本体に取り付け、マゼンタトナーのみによる単色画像を出力した。
<横走り>
最初に、プロセスカートリッジから感光体を2本ずつ取り外した。この感光体表面の中心部に対して垂直に、回転させたドリルを侵入させ、下引き層がむき出しになるまで直径2mmの穴開けを行った。この穴は、感光体の長手方向の同一軸上に複数個存在しないように、感光体周方向にずらしながら各感光体に対して5箇所開けた。当該感光体と帯電部材1を用いて、横走り試験を以下のように行った。
図14にリーク試験装置を示す。横走り試験は、高温高湿(温度30℃/相対湿度80%)環境下において行う。電子写真感光体21の両端を固定台23に載せ動かないように固定させる。電子写真感光体21の第1支持体との接触部24を100kΩの基準抵抗25を介してアースに接続する。次に帯電部材26が電子写真感光体21の感光層27の中央部に接触するように片端5Nで当接させる。帯電部材26には、電圧を印加するための電源28を接続する。電子写真感光体21は、第1支持体との接触部24により、長手方向を軸として回転させることができる。
電子写真感光体21を回転速度200rpmで回転させながら、帯電部材26に−1500Vの電圧を印加した。この際、電子写真感光体21からアースに流れる電流プロファイルにおいて、下引き層がむき出しになった箇所に突入する電流(他の場所よりも電流が大きく検出される部分)を横走り電流とした。このときの横走り電流の測定結果を表9に示す。
次に、穴開けがされた感光体を用いたプロセスカートリッジを各実施例と比較例について再び用意し、このプロセスカートリッジを一つずつ評価機に取り付けた。暗部電位は−750V、明部電位は−130Vとなるように、帯電ローラへの印加電圧、及び、感光体への像露光量を設定した。また、前露光量は像露光量の3倍とした。電位設定の際の感光体表面電位の測定には、プロセスカートリッジの現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック・ジャパン製)を装着したものを用い、表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン製)を使用した。
上記と同様の帯電ローラへの印加電圧、及び、電子写真感光体への前露光量と像露光量を用いて、1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像を10000枚出力した。
本発明においては、10000枚目のハーフトーン画出しにおける、5箇所の穴開け部に対応した画像結果に応じて、以下の基準でランク付けした。評価基準のA〜Dが、本発明の効果が表れているものとした。評価結果を表9に示す。
A:5箇所全てで黒点のみが観測される。
B:短く薄い横黒筋が5箇所中1本または2本観測される。
C:短く薄い横黒筋が5箇所中3本以上観測される。
D:画像域全域に及ぶ長い横黒筋が5箇所中1本または2本観測される。
E:画像域全域に及ぶ長い横黒筋が5箇所中3本以上観測される。
<電位変動>
最初に、実施例と比較例のプロセスカートリッジを再度用意し、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を、低温低湿(L/L:温度15℃/相対湿度20%)の環境下に24時間以上放置した後に、該プロセスカートリッジを該電子写真装置のマゼンタ色用のプロセスカートリッジステーションに装着した。
暗部電位は−750V、明部電位は−130Vとなるように、帯電ローラへの印加電圧、及び、感光体への像露光量を設定した。また、前露光量は像露光量の3倍とした。電位設定の際の感光体表面電位の測定には、プロセスカートリッジの現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック・ジャパン製)を装着したものを用い、表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン製)を使用して測定した。
プロセスカートリッジ及び電子写真装置を、低温低湿(L/L:温度15℃/相対湿度20%)の環境下に24時間以上放置した後に、該プロセスカートリッジを該電子写真装置のマゼンタ色用のプロセスカートリッジステーションに装着した。暗部電位は−750V、明部電位は−130Vとなるように、帯電ローラへの印加電圧、及び、感光体への像露光量を設定した。また、前露光量は像露光量の3倍とした。このプロセスカートリッジ及び電子写真装置を用いて、印字率2%の文字画像をA4サイズ普通紙に1枚ずつ出力する間欠モードでプリント操作を行い、10000枚の画像出力による通紙耐久試験を行った。
続いて、10000枚の通紙耐久試験後直ぐに、暗部電位が−750Vになるように印加電圧を再度設定した。暗部電位は−750V、明部電位は−130Vとなるように、帯電ローラへの印加電圧、及び、感光体への像露光量を設定し、前露光量は像露光量の3倍として、暗部電位と明部電位を測定した。測定した明部電位をV[V]として、10000枚の通紙耐久試験前後の電位変動量としてΔV=|V+130|を求めた。
本発明においては、ΔVの値に応じて、以下の基準でランク付けした。評価基準のA〜Dが、本発明の効果が表れているものとした。評価結果を表9に示す。
A:ΔV≦15
B:15<ΔV≦25
C:25<ΔV≦35
D:35<ΔV≦45
E:45<ΔV
Figure 2021067932
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電部材
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
6a マトリックス
6b ドメイン
6c 導電性粒子
81 帯電部材
111 第2支持体
112 第2導電層
113 白金蒸着層
114 アルミシート
121 第2支持体
122 第2導電層
123 白金蒸着層
124 アルミシート
125 インピーダンス測定装置
161 導電性の軸芯体
162 押出機
163 2層クロスヘッド
164 芯金送りローラ
165 未加硫ゴムローラ
166 ローラ
21 電子写真感光体
23 固定台
24 支持体に接触する部分
25 基準抵抗
26 段付き芯金
27 感光層
28 電源

Claims (10)

  1. 電子写真感光体と帯電部材を有し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、
    前記電子写真感光体は、円筒状の第1支持体、該第1支持体の直上に形成された最下層、及び該最下層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
    該最下層に交流電圧を周波数1.0×10−2[Hz]−1.0×10[Hz]の間で変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合に、該インピーダンスの位相が45°となる最大周波数をfOPC[Hz]とし、
    前記帯電部材は、円柱状の第2支持体及び該第2支持体上に形成された第2導電層を有する電子写真用の帯電部材であって、
    該第2導電層は、第1のゴムを含むマトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインとを有し、
    該ドメインは、第2のゴム及び電子導電剤を含み、
    該マトリックスの体積抵抗率ρ該ドメインの体積抵抗率ρの1.0×10倍以上であり、
    該帯電部材に交流電圧を周波数1.0×10−2[Hz]−1.0×10[Hz]の間で変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合に、該インピーダンスの位相が45°となる最大周波数をf[Hz]とした場合に、
    OPCとfが下記式(D1)または下記式(D2)の関係を満たすことを特徴とするプロセスカートリッジ:
    10≦fOPC/f≦10,000 式(D1)
    0.0001≦fOPC/f≦0.1 式(D2)。
  2. 前記電子写真感光体及び前記帯電部材において、前記fOPCと前記fが下記式(D3)または下記式(D4)の関係を満たす、請求項1に記載のプロセスカートリッジ:
    30≦fOPC/f≦3,000 式(D3)
    0.0003≦fOPC/f≦0.03 式(D4)。
  3. 前記電子写真感光体において、前記fOPCが5[Hz]以上である、請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
  4. 前記電子写真感光体において、前記fOPCが100[Hz]以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  5. 前記電子写真感光体において、周波数がfOPC/10[Hz]における前記最下層の単位面積当たりのインピーダンスをzOPC[Ω・cm]とし、
    前記帯電部材において、周波数がf/10[Hz]における前記帯電部材の単位面積当たりのインピーダンスをz[Ω・cm]としたとき、
    OPCとzが下記式(D5)の関係を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ:
    (zOPC×z)≧1.0×10 式(D5)。
  6. 前記電子写真感光体において、周波数がfOPC/10[Hz]における前記最下層の単位面積当たりのインピーダンスzOPCが3.0×10[Ω・cm]以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  7. 前記電子写真感光体において、周波数がfOPC/10[Hz]における前記最下層の単位面積当たりのインピーダンスzOPCが1.0×10[Ω・cm]以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  8. 前記帯電部材において、周波数がf/10[Hz]における前記帯電部材の単位面積当たりのインピーダンスzが1.0×10[Ω・cm][Hz]以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  9. 前記帯電部材において、前記マトリックスの体積抵抗率ρが1.0×1012[Ω・cm]以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  10. 電子写真感光体と帯電部材を有する電子写真装置であって、
    前記電子写真感光体は、円筒状の第1支持体、該第1支持体の直上に形成された最下層、及び該最下層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
    該最下層に交流電圧を周波数1.0×10−2[Hz]−1.0×10[Hz]の間で変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合に、該インピーダンスの位相が45°となる最大周波数をfOPC[Hz]とし、
    前記帯電部材は、円柱状の第2支持体及び該第2支持体上に形成された第2導電層を有する電子写真用の帯電部材であって、
    該第2導電層は、第1のゴムを含むマトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインとを有し、
    該ドメインは、第2のゴム及び電子導電剤を含み、
    該マトリックスの体積抵抗率ρは、該ドメインの体積抵抗率ρの1.0×10倍以上であり、
    該帯電部材に交流電圧を周波数1.0×10−2[Hz]−1.0×10[Hz]の間で変化させながら印加してインピーダンスを測定した場合に、該インピーダンスの位相が45°となる最大周波数をf[Hz]とした場合に、
    OPCとfが下記式(D1)または下記式(D2)の関係を満たす、ことを特徴とする電子写真装置:
    10≦fOPC/f≦10,000 式(D1)
    0.0001≦fOPC/f≦0.1 式(D2)。
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